都市
都市(とし)とは、村落に対して、人口・人口密度が大きく、第二次・第三次産業に従事する人の割合が高く、住居以外の用途に当てられる建造物、施設の数も多い規模の大きな人間の集合体のこと。都市のうち、居住に供する部分を市街地という。
歴史的には、こうした都市の内、その国の行政、文化、祭式の中心地を都(みやこ)とも言ったが、もともとは、死んだ主君の宗廟があって、君主の住まうところで、人の集まる場所という意味であった。「都」(と)と読んだ場合は、現在の日本では、東京都を指す。
都市についての国際的な統一の定義はない。都市は、機能的には居住地域、工業地域、商業地域からなる。中心部には官公庁や事務所、商業施設が集中する地域(都心、中央業務地区、CBD;central business district)があり、その周辺に住宅地や工業地域が形成される。ドーナツ型に同心円を描いたり、都市から放射状に広がる鉄道路線の上に衛星都市として点在したり、その周縁の広がり方は、地形や交通の整備状況などにも依存する。また、その都市に流れ込んでる人口、経済的な商品、人の移動などその用件によって、同心円のかたちはさまざまに変化し、アメーバの運動のように一定した周縁というものはない。
また都市にはライフライン、食料の供給と水、電力、通信などの手段が、都市住民の生活を維持し、その他の都市とのつながりを確保する手段として必要不可欠である。都市には、電力供給の手段と上下水道の設備、鉄道駅や港、空港などもその人口に応じて必要である。
また、最近では都市の限られた空間を効率よく使うために地下が利用される。
都市の発展により、都市の周辺の農村部では農地の宅地化や工場・商業施設などの進出など、都市としての性格を持つようになる。この現象を都市化という。
人口による都市圏の順位によると、世界最大の都市圏は東京である。
都市の機能
- 政治・行政機能 - 市役所、市議会、警察、消防署
- 都道府県庁、市役所といった行政と議会、裁判所が含まれ、市内の区分ごとに警察、消防署などがある。水道局、下水道局、ゴミ処理施設などライフラインを支えるもの。
- 商業機能 - デパート、商店街、ホテル、ファーストフード店、レストラン
- 町の中心部にあったデパート、商店街は、郊外型のショッピングモールに押されて、消費者の動向は郊外に移動。市内中心部の映画館も姿を消しつつある。
- 交通・通信機能 - 鉄道、バス、地下鉄、空港、港湾
- 都市中心部への車の乗り入れを押さえるニューアーバニズムなどの動きが、欧米の都市では出始めて、シャトルバス、路面電車がその無公害さを再評価され始めた。
- 教育・文化・余暇機能 - 学校、大学、社会教育センター、市民館、文化ホール、公会堂、図書館、博物館、公園、スタジアム
- 都市の継続的な発展のために、その後進を育て育成していく教育機関が、都市には必要である。
- 医療・福祉機能 - 病院、母子保健センター、老人ホーム
- 都市住民の高齢化に伴い、医療機関、社会福祉施設の充実が都市の生き残りのために重要な問題になってきた。高齢者専用のマンション、アパート、グループホームも最近は増えつつある。アメリカでは、高齢者のための分譲地から出来上がった高齢者の高齢者のための都市、サンシティ (アリゾナ)もある。
都市問題
- 環境問題-ごみ-大気汚染-水質汚濁、生活廃棄物
- エネルギー供給関連 発電・停電
- 不況・ホームレス・外国人労働者・スラム・所得格差
- 地震・台風などの自然災害
- 水(上下水道、工業用水)・交通問題(交通渋滞など)
- 犯罪-麻薬、テロなどの治安問題・都市型犯罪、郊外型犯罪
- 住宅問題・人口問題・地価高騰(ドーナツ化現象・スプロール現象・インナーシティ問題など)
- 都市景観
- 疎外・孤独
都市の類型
- 国際都市
- 国際的に存在意義が高く、重要な都市。世界の政治、経済、文化に多大な影響力を持つ。国際機関の本部があったり、国際会議がよく開催されたりする。日系企業や多国籍企業の拠点にもなる。また、外国為替市場や証券取引所があるために、世界経済において重要な都市になっているものもある(東京、ニューヨーク等)。
- 例:ニューヨーク、東京、ロンドン、パリ、香港、シンガポール
- 行政政治都市
- 国の重要機関や都道府県庁が置かれた都市。特に、国の中央政府が置かれた都市を「首都」と言う(経済の中心を首都とする国もある)。国や都道府県から政策などに関する発表(日本国政府では内閣官房が発表する)があることから、自然と放送局・新聞社などの報道機関が立地し、「情報発信拠点」ともなる。さらに、行政機関への届出のために企業が立ち並び、いつしか「経済の中心」となる都市も少なくない(東京やソウルなど)。こうなった後の首都をもつ国の一部は、政治の中心と経済の中心を分離させるため「首都移転」によって新たな都市が誕生することもある(ニューデリーやキャンベラなど)。しかし、首都の移転は多くの問題(経済的問題や世論の反発など)を抱え、計画が破綻する例もある(日本では首都機能移転計画が宙に浮いたままであり、大韓民国では首都移転計画を憲法裁判所が却下した、など)。
- 例:東京、札幌、ワシントンD.C.、ベルリン、ボン、ソウル、北京、ニューデリー、キャンベラ、オタワ、ベルン、ブラジリア
- 大都市
- 単に発展した都市と言うことではなくその地方における中心の都市して発展した都市。商業・行政・交通のすべてにおいて充実した都市。
- 例:東京、大阪、名古屋、福岡、札幌、仙台、広島、プサン、バンコク、ロサンゼルス、シカゴ、トロント、メキシコシティ、サンパウロ
- 商業都市
- 古くから商いが活発な都市。古くから、大口の物資の運搬方法が船であることから、大河のほとりや潮流の穏やかな海に面した場所に位置することが多い。
- 例:大阪、堺、神戸、博多、広島、ニューヨーク、ハンブルク、上海、香港、ムンバイ
- 工業都市
- 特定の工業が集積した都市。都市の経済が第二次産業で成り立つ。ひとつ特定の工業が立地すると、下請けのための工場が林立する。古くからある工業都市は、原料や完成品の運搬のために港湾設備のあるところが多い。臨海都市ともいう。最近は、新たに工業生産品がPCパーツのように小型である場合には、空港があれば、臨空都市としても産業振興が図れるというケースもある。
- 例:横浜、名古屋、日立、川崎、千葉、木更津、諏訪、浜松、豊田、東大阪、倉敷、徳山、苫小牧、北九州、ミュンヘン、トリノ、シアトル、ミルウォーキー、デトロイト
- 資源都市
- 地下資源を産出するか、産出地に生産要素(労働力・資材・機械・技術など)を供給する都市。資源を運搬する鉄道・船舶や労働者が集まる。
- 例:飯塚・夕張(かつての炭鉱都市)、アブダビ・リヤド(石油)、パース(各種)
- 農業・漁業・林業都市
- 経済が第一次産業(農業・漁業・林業)で成り立つ都市。自然環境に恵まれた場所に位置する。天候不順の時には経済的打撃を激しく受ける。
- 例:夕張、中標津、魚沼、南魚沼(農業)、銚子、清水・焼津・土佐清水・ケープタウン(漁業)、新宮(林業)
- 軍事都市
- 古くから軍事関係の基地が立地している都市。広大な平地があるか、軍艦が隠せるある程度入り組んだ海岸線に位置することが多い。
- 例:三沢、横須賀、福生、舞鶴、呉、久留米、佐世保、キール、ウラジオストック
- 学術都市
- 高度な研究機関が集積する都市。学園都市ともいう。多くの場合、大学の新設や移転とともに付属する研究所が林立する。さらに発展して、先端産業の工場が立地することもある。
- 例:つくば、新竹、中関村、シリコンバレー
- 宗教都市
- 特定宗教の聖地がある都市。大きな寺院、教会、神社がある。参拝者や信者が絶えず訪れるために、都市の経済が訪問客の滞在費で成り立つ場合も少なくない。
- 例:天理、伊勢、長野、金光、メッカ、バチカン、ルルド、エルサレム、ソルトレイクシティ
- 観光都市
- 観光地がある都市。都市の経済が観光業で成り立つため、特に自然が関わるレジャー(夏の海水浴や冬のスキーなど)では、天候不順などによる経済的打撃が大きい。
- 例:函館、京都、奈良、金沢、熱海、日光、成田、高山、小樽、越後湯沢、ニース、カンヌ、モナコ、サンフランシスコ、ラスベガス、マイアミ、ホノルル、リオデジャネイロ、ゴールドコースト、クライストチャーチ
- 交通都市
- 空港や港、鉄道といった公共交通機関の重要なターミナルや高速道路のインターチェンジがある都市。物流の拠点や工場群ができやすい。
- 例:千歳、大宮、成田、新潟、米原、小郡、鳥栖、アンカレッジ、香港、アウクスブルク
- 住宅都市
- 上記の大都市の周辺にあり、労働者等が居住する都市。一般的に衛星都市と呼ばれる。日本でこの都市の成立が多い。
- 例:川口、多摩、茅ヶ崎、浦安、印西、枚方、尼崎、吹田、豊中、生駒、春日井、鵜沼(各務原市)、桑名、北広島、名取、前原
日本における都市の形態
都市の研究
さまざまな表現形態での都市
- ゲーム
- 仮想都市
- SF
- 鋼鉄都市(アイザック・アジモフ)
- 宇宙都市シリーズ(ジェームズ・ブリッシュ)
- ネモ船長と海底都市(ジュール・ヴェルヌ)
参考文献
関連項目
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