建築物
この記事はその主題が日本に置かれた記述になっており、世界的観点から説明されていない可能性があります。 (2014年10月) |
建築物(けんちくぶつ、フランス語 bâtiment[注 1]、英語 building[注 2])は、建築された物体[1]。建築された構造物。建造物(けんぞうぶつ)という言葉もあるが、場合により使い分けがなされている。一般的な言い方は建物(たてもの)である。
日本の法律用語の「建築物」と、刑法や文化財保護法に見られる「建造物」の、使い分けについては「#日本と建築物」の節を、英語 building と、日本語でカタカナ表記の外来語の「ビルディング」と「ビル」については「#ビルディングと英語 building」の節を参照。
建築物の歴史
建築物の種類
- 建築物の一覧(英語)も参照
用途による分類
- 一般的用途(=「特殊」以外)
- 特殊な用途 [注 3]
構造による分類
- 構造材料による分類
- 石積み
- レンガ造
- 木構造・木質構造
- 鉄骨構造・鋼構造(S造)
- 重量鉄骨構造
- 軽量鉄骨構造
- 鉄筋コンクリート構造(RC造)
- 鉄骨鉄筋コンクリート構造(SRC造)
- コンクリート充填鋼管構造(CFT造)
- 補強コンクリートブロック造(CB造)
- 膜構造
- 構造形式による分類
- 応答制御による分類
形状による分類
ランキング
建築物の部位
ビルディングと英語 building
英語buildingや、これをカタカナにした外来語のビルヂングやビルディング(ビルはその省略形)には、必ずしも学術的なまたは法律上の明確な定義は無い。building を辞書で引くと「屋根と壁を伴う構造物」といった定義があり[2][3]、この語義では建築基準法にいう建築物に近い(→#法律上の定義の節)。他方、ビルディングの定義では、建築物でも構造が鉄筋コンクリート構造などであるものに限り、高さもある程度、高いものに限っている辞書が複数見られる[4]。
日本と建築物
この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
歴史
近年の法律上の定義と線引き
- 建築物
日本の法律用語としては建築基準法に定義があり、土地に定着する工作物(こうさくぶつ)[5]のうち特定条件を満たすものが建築物とされる。
建築基準法[6]第一章第二条第一号に定義があり、他の法律からも参照されている[7]。この定義によると、建築物は土地に定着する工作物[5]のうち、
- 屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)
- 1.に附属する門若しくは塀
- 観覧のための工作物
- 地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)
をいい、建築設備を含む。建築設備は同条第三号に定義があり、土地に定着し建築物に設ける工作物のうち、電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備や煙突、昇降機若しくは避雷針をいう。
土地への定着要件は建築基準法に明確に示されていないが、行政例規上は旧建設省通達を踏襲しており、プレハブ物置やコンテナハウス、トレーラーハウスなど基礎に緊結されていないものであっても、随時かつ任意に移動できない形式のものは建築物として取り扱われる。したがって、これらプレハブ物置等についても一定の土地において恒常的に建築物として利用する場合は、基礎への緊結や規模によっては建築確認申請等の手続きを要する。
屋根については風雨をしのぐ機能を有するものであるため、かつて、屋根をグレーチング板とした立体駐車場を脱法的に建築する事案が発生した。法改正により「これに類する構造のものを含む」との文言が付されたことによって、屋根の機能を持たない屋外設置型の機械式駐車場についても一定の高さを超えるものについては建築物として取り扱う行政庁が多い。
- 「建造物」の定義
法律用語としての「建造物」の定義は必ずしも明確ではない。刑法[8]や文化財保護法[9]においては建築物ではなく建造物が用いられているが[注 7]、建造物には建築物の定義を満たさない建物、構築物(主には橋梁や水門などの土木構造物)も含まれうる[注 8]。景観法では景観重要建造物という名称を用いている。また、自治体の文化財保護においても、建造物の名称が用いられている[注 9]。
刑法では、建造物が現住建造物か非現住建造物による区別がある条項[注 10]と、無い条項[注 11]が見られる。
- 現住建造物…現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物
- 非現住建造物…現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物
である。
テレビ番組名で使用されているものでは、『メガ・ムーバーズ〜巨大建造物を移動せよ〜』などがある。
脚注
注釈
- ^ フランス語のbâtiment(バチマン)は、動詞 「bâtir バチール」(トンカチやのこぎりなどを使って)造る、建てる、というニュアンスの動詞から派生した名詞。特筆すべきことは、フランス語の場合、同じ動詞「bâtir」から派生した語に「bateau バト」(=船)もある。つまりフランス人の概念枠では「建物」も「舟」も、bâtirという行為によってできる物体であり、両者はしばしば似たようなものとして挙げられている。実際、西洋の伝統的木造船を造ること(造船)は、木造の家を建てるの共通するような道具や、かなり似た工程で行われる。
結局、伝統的木造船を造るのは、「大工」と大きく分類される人々(木工の職人)が行っているのである。(日本では伝統的に船を造る人を「船大工」と言う/言った。) - ^ 動詞「build」(造る。建てる。)という動詞の派生語。
- ^ あくまで日本のローカルな話であるが、日本の建築基準法には「特殊建築物」という分類があり、建築基準法別表第一、同法施行令第115条の3、同令第19条第1項より)
- ^ 基礎が無いと、建築が始まらない。まさに「基礎」「いしづえ」で、(よく見えず、素人にはなかなか分からないが)実は非常に重要。基礎が充分にしっかりしていないと、その上に乗る建築物が損壊・崩壊する可能性がある。建物を立ててしまってから、基礎部分の欠陥を補うことは、一般論として言えば、非常に困難なこととなる。最初の工程「基礎」に手ぬかりがあると、その後の工程が全て無駄になってしまい、全部がやり直しになってしまう可能性すらある。
- ^ 西欧建築では壁を基本構造に、壁を積み上げて造るのが概念としては一般的。石材を積み上げて壁としたり、あるいは木材(丸太)を井桁の形に積み上げて壁とすることで、建築物の基本形状を造り出す。伝統的西欧建築は、一般的に言えば、日本のように柱を基本構造にはしない。
- ^ 日本の伝統的建築物では、柱と梁を基本構造にして建築物を作る。壁は基本構造ではなく、後から足されるもの。
- ^ 重要伝統的建造物群保存地区、伝統的建造物群保存地区(篠山市篠山伝統的建造物群保存地区、近江八幡市八幡伝統的建造物群保存地区他)等。
- ^ なお、文化財保護法にもとづいて国宝、重要文化財、重要有形民俗文化財、特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物として指定/仮指定された建築物については、建築基準法は適用されない(建築基準法第三条第一項)。
- ^ 東京都選定歴史的建造物、横浜市認定歴史的建造物、小樽市指定歴史的建造物、景観形成重要建造物等 (兵庫県指定)等。
- ^ 区別がある例: 第百八条(現住建造物等放火)、第百九条(非現住建造物等放火)、第百十九条(現住建造物等浸害)、第百二十条(非現住建造物等浸害)。
- ^ 区別が無い例: 第百三十条(住居侵入等)、第二百六十条(建造物等損壊及び同致死傷)建造物等以外放火罪。
出典
- ^ 広辞苑「建築物」
- ^ building noun 1 (可算) "a structure such as a house or school that has a roof and walls" (Oxford Advanced Learner's Dictionary -6e)
- ^ building n. 1."a structure with a roof and walls" (The Concise Oxford Dictionary -10e)
- ^ 岩波書店『広辞苑』第五版、大修館書店『明鏡国語辞典』。
- ^ a b 工作物(こうさくぶつ)〔法律用語〕: 「建物・塀・橋などのように土地に接着して設置されたもの」(三省堂『大辞林』電子版データ『スーパー大辞林』 3.0)
- ^ 建築基準法(昭和25年法律第201号)
- ^ 景観法、都市計画法、都市公園法など。
- ^ 刑法(明治40年法律第45号)
- ^ 文化財保護法(昭和25年法律第214号)
関連項目
- 建築
- 建築家
- 建築物管理(ビル管理)
- 構築物
- 構造物
- 平屋 - 低層建築物 - 中層建築物 - 高層建築物 - 超高層建築物 - 超々高層建築物 - 木造ビル
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