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{{Otheruses}} |
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{{otheruseslist|模擬実験|サッカーの反則|ファウル (サッカー)}} |
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'''シミュレーション'''({{Lang-en-short|simulation}})は、何らかの[[システム]]の挙動を、それとほぼ同じ[[法則]]に支配される他のシステムや[[計算]]によって[[模倣|模擬]]すること<ref name="k6">広辞苑第6版</ref><ref name="intro">増田顕邦ほか『シミュレーション入門』[[日刊工業新聞社]]([[昭和]]36年9月23日発行)</ref>。simulationには「'''模擬実験'''」や「'''模擬訓練'''」という意味もある<ref>[http://ejje.weblio.jp/content/simulation simulationの意味 - 英和辞典 Weblio辞書]</ref>。動詞形は'''シミュレート'''。 |
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'''シミュレーション''' ({{Lang-en-short|Simulation}}) とは、[[実験]]・[[訓練]]を目的とし、複雑な[[事象]]・[[システム]]を定式化して行う'''模擬実験'''をいう。 |
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なお、「<u>シュ</u><u>ミ</u>レーション」は「シミュレーション」の語頭の2音を[[音位転換]]させたことによって生じた語形であり、誤りである{{refn|group="注"|[[石綿敏雄]]は、[[日本語]]の([[漢語]]由来の)[[拗音]]には[[歯音]]系のシュ・ジュが多く、[[唇音]]系のミュ・ヒュ・ビュが少ないことから、日本人にとって「シミュレーション」より「シュミレーション」のほうがずっと発音しやすく、このことが誤表記・誤発音の要因となっているのではと推測している<ref>[[石山茂利夫]]『今様こくご辞書』[[読売新聞社]]、1998年、48-51頁。ISBN 4-643-98075-3。</ref>。}}。また、同化によって「シミレーション」と発音されることがある。「シミュレイション」と表記することもまれにある。 |
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[[File:Kiva_Simulation.jpg|300px|thumb|right|コンピュータを用いたエンジンの燃焼室内のガスの流れのシミュレーション]] |
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== 概要 == |
== 概要 == |
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[[File:Molecular simulation process.svg|300px|thumb|right|モデルを立てるプロセス。[[実験]]、シミュレーション、[[理論]]の[[相互作用]]の説明。]] |
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実際に実験を行うことが極めて困難、不可能、または危険である場合、多岐にわたる選択条件を事前に検証しようとすると、現象の特定要素を簡略化・デフォルメして検証する必要がある。シミュレーションの実施には現象を論理的に単純化したモデル、模型、[[コンピュータ]]プログラムなどが用いられる。シミュレーションを行う装置や[[プログラム (コンピュータ)|プログラム]]を'''シミュレータ''' ('''Simulator''') と言う。ただし、シミュレータは必須ではなく、自然状態の再現が容易な場合、特に単純化されたモデルを用いる場合などは必要とされない場合もある。 |
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[[ラテン語]]の 「similis シミリス(似ている)」「simulare シミュラーレ('''[[模倣]]する''')」「simulat(真似た、コピーした)」といった用語から生まれた概念である。 |
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シミュレーションは、対象となるシステムで働いている法則を推定・抽出し、それを真似るようにして組み込んだ[[モデル (自然科学)|モデル]]、[[模型]]、[[コンピュータプログラム]]などを用いて行われる。<ref name="intro"/><ref name="gtc">Gould, H., Tobochnik, J., & Christian, W. (1988). An introduction to computer simulation methods (Vol. 1). New York: Addison-Wesley.</ref> |
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通常シミュレーションは現象の全てを試行要素とせず、対象要素を絞り込むことにより要素が現象に与える影響を検証する事が主な目的とされる。よって、結果が完全に不確定な事象を検証することは困難とされる。特にコンピュータを用いた積算によるシミュレーションは、基本的に線形近似による計算となるため、非線形要素を含む自然現象をシミュレートする場合は必ず誤差が生ずる。従ってコンピュータによるシミュレーションによって良好な結果を得る為には、モデル化による誤差見積もりが重要となる。モデル化によるシミュレーションは、現象についてどの程度正確に真似るかによって計算量を調整することが可能であり、現象についての完全な知識は必要とされないなどのメリットがある。 |
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現実のシステムを動かしてその挙動や結果を確かめることが困難、不可能、または危険である場合にシミュレーションが用いられる。<ref name="intro"/><ref name="gtc"/> |
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システムのモデル化を行わず、完全な模倣を目的とする場合は、シミュレーションと言わず[[エミュレーション]]という。エミュレーションは、模倣したいシステムにおいて、予測できる現象より予測できない現象が支配的である場合などに使われる。 |
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例えば、[[社会現象]]などにおける問題の解決方法を探る時など、(悪影響があるので実社会ではとりあえず試せないので)実際の社会と似た状況を数式などで作りだし、コンピュータ等を用いて模擬的に動かし、その特性などを把握するのに用いる<ref name="b">[[ブリタニカ百科事典]]「シミュレーション」</ref>。例えば[[風洞実験]]、水槽実験で働いている法則を数学的なモデルに置き換えて行う<ref name="b" /><ref name="intro"/><ref name="gtc"/><ref name="dyn">Wilkins, M. L. (2013). Computer simulation of dynamic phenomena. Springer Science & Business Media.</ref><ref name="liquid">Allen, M. P., & Tildesley, D. J. (2017). Computer simulation of liquids. Oxford University Press.</ref>。また例えば[[経営]]に関する様々な事象を数学的なモデルに置き換えてみて、様々な数値を入力したり変化させることで、結果を推定する<ref name="b" /><ref>Pidd, M. (1998). Computer simulation in management science (Vol. 4). Chichester: Wiley.</ref>。 |
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なお、「'''シュミ'''レーション」と表記されることもあるが、これらは誤りである。 |
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シミュレーションのための[[装置]]や[[プログラム (コンピュータ)|プログラム]]を[[シミュレータ]] ({{lang-en-short|simulator}}) と言う<ref>{{Kotobank|シミュレータ}}</ref>。ただし、きわめて単純なシステムを模倣するためのシミュレーション、特に単純化されたモデルを用いる場合などは(とりあえず)紙と鉛筆(や[[ホワイトボード]]とペン)だけを用いて手作業で行われるものもある。 |
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== 分類と用語 == |
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歴史的には、シミュレーションという用語はいくつかの分野で独自に使われていた。しかし、[[20世紀]]になって、[[一般システム理論]]や[[サイバネティックス]]の研究により、コンピュータの各種利用をシミュレーションという用語で表すようになり、用語としての意味が統一されていった。 |
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対象となるシステムにおいて働いている法則をどれほど忠実に模倣するかによって、シミュレーションの精度は異なる。シミュレーションの質は、シミューレーションを設計する者の技量や、どの程度まで法則を見抜き、どこまでそれらの法則を模倣させたか、ということによって異なるのである。現実の法則を十分に模倣していないシミュレーションは、現実とは異なった挙動を示す。 |
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=== 物理的シミュレーションと対話型シミュレーション === |
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「物理的シミュレーション」とは、何らかの物理的な物体で実物を置き換えることを指す。置換する物体としては、実物よりも小さいものや安価なものが選ばれる。 |
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また、コンピュータを用いて連続現象を離散化した積算によるシミュレーションは<!--、基本的に線形近似による計算となるため、非線形要素を含む自然現象をシミュレートする場合は-->必ず[[誤差]]が生じ、その誤差は蓄積する<ref>[[杉原正顯]], & 室田一雄. (1994). 数値計算法の数理. [[岩波書店]].</ref><ref name="mori">[[森正武]] (2002) 数値解析第2版, [[共立出版]].</ref>。従ってコンピュータによるシミュレーションによって良好な結果を得る為には、モデル化による誤差見積もりが重要となる。モデル化によるシミュレーションは、現象についてどの程度正確に真似るかによって計算量を調整することが可能であり、現象についての完全な知識は必要とされないなどのメリットがある。 |
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「対話型シミュレーション」は物理的シミュレーションの特殊形態であり、シミュレーション環境内に人間が入り込むものを指す。例えば、[[フライトシミュレータ]]や[[ドライビングシミュレーター|ドライブシミュレータ]]がある。 |
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システムのモデル化を行わず、完全な模倣を目的とする場合は、シミュレーションと言わず[[エミュレーション]]ということもある<ref>{{Kotobank|エミュレーション}}</ref>。エミュレーションは、模倣したいシステムにおいて、予測できる現象より予測できない現象が支配的である場合などに使われる。 |
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=== コンピュータシミュレーション === |
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コンピュータシミュレーションは、実世界や何らかの仮説的状況をコンピュータ上でモデル化するもので、それによってそのシステムがどのように作用するのかを研究することができる。変数を変化させることで、システムの振る舞いについて予測を立てることができる。 |
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== 目的・用途 == |
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コンピュータシミュレーションの応用として、コンピュータを使ってコンピュータをシミュレートするというものがある。関連するソフトウェアとして、[[コンピュータ・アーキテクチャ・シミュレータ]]と呼ばれるものは、[[命令セットシミュレータ]]と[[フルシステムシミュレータ]]に分けられる。 |
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[[File:Base-isolation.gif|250px|thumb|right|模型を用いた、[[地震]]時の建物の挙動のシミュレーション]] |
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# [[建築物]]や[[自動車]]などの製品の機構に内在する欠陥(負荷や強度など)を模型やコンピュータによって探して取り除く。 |
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# [[ビジネス]]において客層や商品、時間帯、店舗等の調査結果をシミュレーションに取り入れることで、効率的な販売をする。 |
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# [[災害]]の発生や規模の予知。[[地震]]、<ref>Lu, X., & Guan, H. (2017). Earthquake disaster simulation of civil infrastructures. Beijing: Springer and Science Press.</ref>[[津波]]、<ref>Imamura, F. (1996). Review of tsunami simulation with a finite difference method. Long-wave runup models, 25-42.</ref><ref>Goto, C., Ogawa, Y., Shuto, N., & Imamura, F. (1997). Numerical method of tsunami simulation with the leap-frog scheme. IUGG/IOC TIME Project Intergovernmental Oceanographic Commission of UNESCO, Manuals and Guides, 35, 126.</ref>[[火災]]などの自然災害や、[[原子力発電所]]の[[メルトダウン]]や[[航空事故|航空機事故]]などの[[人災]]などの[[防災]]。 |
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# [[自動車]]における[[ドライブシミュレータ]]や[[航空機]]における[[フライトシミュレーション|フライトシミュレータ]]等、各種の操縦、操作を学ぶ手立てとしての利用。いろいろな状況、特に実機では危険を伴うような場面を体験することが可能となる。<ref name="allerton09">Allerton, D. (2009). Principles of flight simulation. John Wiley & Sons.</ref><ref name="rs88">Rolfe, J. M., & Staples, K. J. (Eds.). (1988). Flight simulation (No. 1). Cambridge University Press.</ref><ref name="baarspul">Baarspul, M. (1990). A review of flight simulation techniques. Progress in Aerospace Sciences, 27(1), 1-120.</ref><ref name="mhld">Miller, R., Hobday, M., Leroux-Demers, T., & Olleros, X. (1995). Innovation in complex systems industries: the case of flight simulation. Industrial and corporate change, 4(2), 363-400.</ref><ref name="allerton10">Allerton, D. J. (2010). The impact of flight simulation in aerospace. The Aeronautical Journal, 114(1162), 747-756.</ref><ref name="rt98">Rosenkopf, L., & Tushman, M. L. (1998). The coevolution of community networks and technology: Lessons from the flight simulation industry. Industrial and corporate change, 7(2), 311-346.</ref> |
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# [[シミュレーションゲーム]]ではシミュレーションを娯楽として行う。ボードやコマやカードを使い事象を再現するような[[規則|ルール]]に基づいてプレイするものと、コンピュータを使って事象の再現を行わせるものとがある。ウォーゲーム、戦略ゲーム、経営ゲームなど<ref>Faria, A. J., & Nulsen, R. O. (1996, March). Business simulation games: current usage levels. A ten year update. In Developments in Business Simulation and Experiential Learning: Proceedings of the Annual ABSEL conference (Vol. 23).</ref><ref>Pando-Garcia, J., Periañez-Cañadillas, I., & Charterina, J. (2016). Business simulation games with and without supervision: An analysis based on the TAM model. Journal of Business Research, 69(5), 1731-1736.</ref><ref>Chang, J., Lee, M., Ng, K. L., & Moon, K. L. (2003). Business simulation games: the Hong Kong experience. Simulation & gaming, 34(3), 367-376.</ref>。前項のドライブ、フライトシミュレータはレース、戦闘などの形でゲームとしても存在する。 |
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# その他、[[天気予報]]や[[人口]]の推移、予測、分析、医療の分野でも広く使われている。<ref>Lacy, R. C. (1993). VORTEX: a computer simulation model for population viability analysis. Wildlife research, 20(1), 45-65.</ref><ref>Hampe, J., Wienker, T., Schreiber, S., & N√ ºrnberg, P. (1998). POPSIM: a general population simulation program. Bioinformatics (Oxford, England), 14(5), 458-464.</ref><ref>Yuan, X., Miller, D. J., Zhang, J., Herrington, D., & Wang, Y. (2012). An overview of population genetic data simulation. Journal of Computational Biology, 19(1), 42-54.</ref><ref>Dyke, B., & MacCluer, J. W. (Eds.). (2014). Computer simulation in human population studies. Academic Press.</ref><ref>{{Cite web|和書|title=切らない二重術(二重埋没法) {{!}} 浦和駅から徒歩1分の美容医院 {{!}} OZI SKIN CLINIC|url=https://www.ozi-skin.com/eyelid/treatment/double.html|website=www.ozi-skin.com|accessdate=2021-11-25}}</ref> |
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== 模型などによるシミュレーション == |
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コンピュータシミュレーションは、[[物理学]]/[[化学]]/[[生物学]]における様々な自然科学的システムの[[モデル (自然科学)|モデル]]化、[[経済学]]/[[社会科学]]における人間に関わるシステムのモデル化、さらには[[工学]]におけるシステムのモデル化において、それらシステムの作用について洞察を得る助けとなる。シミュレーションにコンピュータを使うことの利便性を表す例として、[[ネットワーク交通量シミュレーション]]がある。このようなシミュレーションにおいては、その環境についての初期設定を変更するとモデルの振る舞いが変化する。一般にコンピュータシミュレーションは、人間との対話を排除した形で行われるものとされる。 |
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[[File:Horse_simulator_WWI.jpg|thumb|right|250px|木製の馬を用いたシミュレーション訓練。([[第一次世界大戦]]当時)]] |
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[[ミニチュア]](相似模型)による実験など、何らかの物理的な物体で実物を置き換えることもシミュレーションの一種である。これを「物理的シミュレーション」と言うこともある。置換する物体としては、実物よりも小さいものや安価なものが選ばれる。このとき、相似則が成立するかどうかの指標となるのが{{要検証範囲|date=2023-08|[[パイナンバー]]という無次元量である}}<ref>[[江守一郎]]『模型からの発想 ― 新技術に挑むスピリット』(講談社ブルーバックス、1970年)</ref>。 |
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航空機(零戦のエルロンフラッターなど)や自動車の空気特性の予測<ref>この場合、大型風洞があれば原寸大のモックアップが使われることもある。</ref>や交通事故の状況再現<ref>自動車の衝突は塑性衝突に近いという。詳細は[[江守一郎|江守]]『交通事故工学』(技術書院)を参照されたい。</ref>などにおいて[[模型実験]]が活用されたが、再現性にかかわる要因が不足していると現実の現象を正しく近似できないため、ある意味で職人的な素養を要求される。 |
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古来、システムの形式的モデル化には数学が用いられ、解析的な解を求めることで、あるパラメータと初期条件におけるシステムの振る舞いを予測する。コンピュータシミュレーションは、そのような単純な解法が不可能な場合の補助あるいは置換として使われることが多い。コンピュータシミュレーションには様々なタイプがあるが、それらに共通するのは、システムが取りうる全ての状態を列挙するのが不可能あるいは現実的でない場合に、そのモデルの代表的シナリオの標本を生成しようとするという点である。 |
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== WSG == |
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[[モンテカルロ法]]や[[確率論]]的モデリングによるコンピュータシミュレーションは、モデル化が非常に簡単という特徴がある。 |
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ウォー・シミュレイション・ゲームの略。「図上演習」とも言われる。詳細はゲーデザイナーである[[鈴木銀一郎]]などを参照のこと。 |
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模型(図表と駒)を使った戦争シミュレーションの例として、『[[戦国策]]』『[[墨子]]』には、[[墨子]]が[[公輸盤]]と戦争を論じ合い、[[楚 (春秋)|楚]]王の前で模型を使って勝負をし、公輸盤が新兵器である[[雲梯#攻城兵器|雲梯]]を使って9回攻めたが、墨子の守りは固く攻め落とすことができず、これを見た王は[[宋 (春秋)|宋]]を侵略しないことを約束したという逸話が記されている<!-- 大久保典夫監修 『日本語に強くなる本』 省光社 1991年 p.124. -->。これは模型を使ったシミュレーションによって戦争を防いだ(守城戦を見せつけた)逸話である。また日本でも[[戦国時代 (日本)|戦国時代]]の大名・[[上杉謙信]]は2[[メートル]]四方もある城の模型を用いて合戦のシミュレーションを行っていたと言い伝えられている<ref>磯田道史 『日本史の探偵手帳』 文春文庫 2019年 p.98.</ref>。 |
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== コンピュータ・シミュレーション == |
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コンピュータシミュレーションとは、その名の通り[[コンピュータ]]を用いたシミュレーションのことである。いくつかの種類があり、[[微分方程式]]に基づく数値計算によるもの([[天体力学]]における、解析的に解けない場合の軌道計算など)、物理モデルに基づくもの([[レイトレーシング]]など)、システム・ダイナミクスに基づくもの([[成長の限界]]など)などが知られている。 |
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[[計算機科学]]では、「シミュレーション」という言葉には特別な意味がある。[[アラン・チューリング]]は、離散状態機械の状態遷移表をコンピュータ上に置き、その機械の動作を行わせることを「シミュレーション」とした。 |
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;コンピュータ・シミュレーションの種類 |
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[[コンピュータ・アーキテクチャ]]においては、扱いにくい種類のコンピュータで動作するプログラムの実行にシミュレータが使われたり、[[マイクロプログラム方式|マイクロプログラム]]や場合によっては商用アプリケーションの[[デバッグ]]にシミュレータが使われる。シミュレータではプログラマが任意の時点で様々な情報を参照することが可能であり、実行速度も好きなように設定できる。シミュレータを使って[[フォルトツリー解析]]を行うこともある。また、大規模[[集積回路]]の論理設計は実際に製造に入る前にシミュレータでテストされる。例えば、シンボリックシミュレーションと呼ばれる手法がある。 |
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コンピュータ・シミュレーションには、一旦シミュレーションが始まるとあとはコンピュータだけで完結してシミュレーションを行う「非対話型シミュレーション」と、シミュレーション中に人間がなんらかの形で(コンピュータ内に模擬的に作られた世界に)介入し影響を与えることのできる「対話型シミュレーション」がある<ref>田畑孝一, & 大野豊. (1975). 対話型シミュレーション・システム. 情報処理学会研究報告知能と複雑系 (ICS), 1975(3 (1975-ICS-020)), 1-10.</ref><ref>金野千里, 梅谷征雄, 太田忠, 深田肇, 山賀晋, & 池田美以子. (1992). 対話型数値シミュレーションシステム: ビジュアル DEQSOL. 情報処理学会論文誌, 33(7), 929-943.</ref>(その応用形のひとつの形が、フライトシミュレータやドライビングシミュレータなどである)。 |
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;モデル開発とモデルの質の重要性 |
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[[理論計算機科学]]では、[[状態遷移系]]間の関係を「シミュレーション」と呼ぶ。これは特に[[操作的意味論]]の研究で使われる。 |
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コンピュータ・シミュレーションは、実世界や何らかの仮説的状況をコンピュータ上でモデル化するもので、それによってそのシステムがどのように作用するのかを研究することができる<ref name="intro"/><ref name="gtc"/>。変数を変化させることで、システムの振る舞いについて予測を立てることができる<ref name="intro"/><ref name="gtc"/>。 |
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コンピュータ・シミュレーションは、自然科学的システムの[[モデル (自然科学)|モデル]]化を行い(たとえば[[物理学]]/[[化学]]/[[生物学]]における様々なモデル化<ref name="dyn"/><ref name="liquid"/><ref>Hockney, R. W., & Eastwood, J. W. (1988). Computer simulation using particles. CRC Press.</ref><ref>Birdsall, C. K., & Langdon, A. B. (2004). Plasma physics via computer simulation. CRC Press.</ref><ref>Van Gunsteren, W. F., & Berendsen, H. J. (1990). Computer simulation of molecular dynamics: methodology, applications, and perspectives in chemistry. Angewandte Chemie International Edition in English, 29(9), 992-1023.</ref>、[[経済学]]/[[社会科学]]における人間に関わるシステムのモデル化、<ref>Conte, R., Hegselmann, R., & Terna, P. (Eds.). (2013). Simulating social phenomena (Vol. 456). Springer Science & Business Media.</ref><ref>Gilbert, N., & Doran, J. (Eds.). (2018). Simulating societies: the computer simulation of social phenomena. Routledge.</ref>さらには[[工学]]におけるシステムのモデル化など)、それをコンピュータで計算することで、システムの作用について洞察を得る助けとなる。シミュレーションにコンピュータを使うことの利便性を表す例は多数ある。人々によく知られ、日々実感されている例としては[[数値予報]]([[:en:Numerical weather prediction]])、[[メッシュ予報]]のために各国の気象機関で[[スーパーコンピューター]]を使って行われているシミュレーションが挙げられる。ほかにも「ネットワーク交通量シミュレーション」を挙げる人<ref>Barceló, J. (2010). Fundamentals of traffic simulation. New York: Springer.</ref>もいる。異なった数値モデルを使うと振る舞い、結果が異なり、また環境の初期設定を変更してもモデルの振る舞いが変化する。 |
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[[最適化問題]]の分野では、物理プロセスのシミュレーションが[[進化的計算]]と共に使われ、制御戦略の最適化を行う。 |
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なお[[気候変動]]の予測には、適切な気候モデルを用いたコンピュータシミュレーションが不可欠である。2021年には、はじめて大気海洋結合モデルを開発し[[地球温暖化]]について具体的な温度変化の数字もコンピュータではじき出して科学的研究を可能にした[[眞鍋淑郎]]にノーベル物理学賞が授与された。 |
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== 目的・用途 == |
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:: [[:en:Numerical modeling (geology)]] も参照。 |
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# [[建築物]]や[[自動車]]などの製品の機構に内在する欠陥(負荷や強度など)を模型やコンピュータによって探して取り除く。 |
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<!-- 説明の方向性が逆。解析学というただの数学分野ばかりにやたらと結びつけて行う説明は、本当のコンピュータシミュレーションを知らない者による、かなり間違った説明。 「古来、システムの形式的モデル化には[[解析学]]が用いられ、[[代数学|代数的]]に解を求めることで、ある[[パラメータ]]と初期条件におけるシステムの振る舞いを予測することがおこなわれてきた。これに対し、数値を具体的に計算することによる手法を[[数値解析]]という<ref name="mori"/>。--> <!-- コンピュータ・シミュレーションは、コンピュータを使わないことには計算量的に現実的でない数値解析をコンピュータによっておこなう「コンピュータによる数値解析」の一種でシミュレーションによるもの、とみることもでき、--><!--代数的な解法や単純な計算では不可能な場合の補助あるいは置換として使われることが多い。--> |
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# ビジネスにおいて客層や商品、時間帯、店舗等の調査結果をシミュレーションに取り入れることで、効率的な販売をする。 |
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# [[災害]]の発生や規模の予知。地震、津波、火災などの自然災害や、原子力発電所のメルトダウンや航空機事故などの人災などの防災。 |
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# [[自動車]]における[[ドライビングシミュレーター|ドライブシミュレータ]]や[[航空機]]における[[フライトシミュレーション|フライトシミュレータ]]等、各種の操縦、操作を学ぶ手立てとしての利用。いろいろなシチュエーション、特に実機では危険を伴うような場面を体験することが可能となる。 |
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# [[シミュレーションゲーム]]ではシミュレーションを娯楽として行う。ボードやコマやカードを使い事象を再現するようなルールに基づいてプレイするものと、コンピュータを使って事象の再現を行わせるものとがある。ウォーゲーム、戦略ゲーム、経営ゲームなど。前項のドライブ、フライトシミュレータはレース、戦闘などの形でゲームとしても存在する。 |
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# その他、[[天気予報]]や人口の推移、予測、分析の分野でも広く使われている。 |
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コンピュータ・シミュレーションには様々なタイプがあるが、それらに共通するのは、システムが取りうる全ての状態を列挙するのが不可能あるいは現実的でない場合に、そのモデルの代表的シナリオの標本を生成しようとするという点である。 |
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== コンピュータによるシミュレーション == |
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[[モンテカルロ法]]や[[確率論]]的モデリングによるコンピュータ・シミュレーションは、モデル化が非常に簡単という特徴がある。<ref>Raychaudhuri, S. (2008, December). Introduction to Monte Carlo simulation. In 2008 Winter simulation conference (pp. 91-100). [[IEEE]].</ref><ref>Bonate, P. L. (2001). A brief introduction to Monte Carlo simulation. Clinical pharmacokinetics, 40(1), 15-22.</ref><ref>Binder, K. (Ed.). (1995). Monte Carlo and molecular dynamics simulations in polymer science. Oxford University Press.</ref><ref>Segala, R., & Lynch, N. (1995). Probabilistic simulations for probabilistic processes. Nordic Journal of Computing, 2(2), 250-273.</ref> |
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;計算理論など |
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コンピュータに関係するシミュレーションであるが、前の節で説明しているものとはおもむきが大きくことなるものなので、節を分けて説明する。[[計算理論]]では、たとえば[[万能チューリングマシン]](のような、模倣する能力を持つ機械)が、模倣対象(たとえば、なんらかの[[チューリングマシン]])の状態遷移と入力と出力を記述した[[状態遷移表]]{{refn|group="注"|英語版のSimulationの記事がこれを「状態遷移表」としている。等価性としては多分それでもいいと思うが普通は、万能チューリングマシンの議論では、状態遷移表は万能機械を記述する遷移表とし、対象機械の記述はテープの初期状態として与える。}}を実行すること(現代風に言うと、コンピュータがそのようなプログラムを走らすこと)を、シミュレーションと言う。<!--シミュレーションの語を使ったのは[[アラン・チューリング]]である{{要出典|date=2011年5月}}。--><!-- ← とりあえず「On Computable Numbers, with an Application to the Entscheidungsproblem」にな無いようでした -->これは、[[状態遷移系]]間の関係といった、[[プログラム意味論|意味論]]の研究などで使われている。 |
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== コンピュータ・シミュレーションの応用 == |
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コンピュータの登場によって、人間の手による計算ではほとんど不可能な膨大な量の総当りでしか行えない計算が比較的短時間で行えるようになったため、コンピュータによるシミュレーションは自然現象や経済活動や人口の推移といったものに使用されるようになった。コンピューターの演算能力の発展は、以前は縮小模型や実物大模型などによって行われていた実験を計算による仮想空間のみで実験・予測することが可能になってきている。 |
コンピュータの登場によって、人間の手による計算ではほとんど不可能な膨大な量の総当りでしか行えない計算が比較的短時間で行えるようになったため、コンピュータによるシミュレーションは自然現象や経済活動や人口の推移といったものに使用されるようになった。コンピューターの演算能力の発展は、以前は縮小模型や実物大模型などによって行われていた実験を計算による仮想空間のみで実験・予測することが可能になってきている。 |
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;物理学 |
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例えば、木の葉が舞い落ちる動きを通常の手計算で導き出す事は不可能であった。これは[[重力]]や空気抵抗だけでなく、木の葉自体の動きによる空気の状態変化などが複雑に絡み合っているからである。この、[[カオス理論|カオティック]]な振る舞いに対して、単純計算を膨大に繰り返す事の出来るコンピュータによって、ある程度の周期性や規則性を見出されうる。<ref name="gtc"/><ref>Rohrlich, F. (1990, January). Computer simulation in the physical sciences. In PSA: Proceedings of the biennial meeting of the philosophy of science association (Vol. 1990, No. 2, pp. 507-518). Philosophy of Science Association.</ref> |
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;気象学・気象予報 |
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{{節スタブ|section=1|date=2015年7月}} |
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{{Seealso|メッシュ予報}} |
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最近の[[気象予報]]には、コンピュータ・シミュレーションは欠かせない。地球という球体上を格子([[メッシュ]])に区切ったモデルを用いて、[[スーパーコンピュータ]]を用いてシミュレーションを行っている。コンピュータの性能が向上するにつれて次第に格子の大きさを小さくすることができるようになるとともに、予測精度が向上した。<ref>Lynch, P. (2008). The origins of computer weather prediction and climate modeling. Journal of computational physics, 227(7), 3431-3444.</ref><ref>Kimura, R. (2002). Numerical weather prediction. Journal of Wind Engineering and Industrial Aerodynamics, 90(12-15), 1403-1414.</ref> |
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{{Gallery |
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|Tornado simulation.gif|コンピュータを用いた[[竜巻]]のシミュレーション |
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|Typhoon Mawar 2005 computer simulation thumbnail.gif|コンピュータによる、台風の48時間の動きのシミュレーション |
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;天文学 |
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数値シミュレーションは[[天文学]]においては第三の手法と見なされている。天文現象というのは時の長さや空間的なスケールの大きさのせいで実験室で実験することが不可能なため、コンピュータシミュレーションが必要になる。天体物理学者はコンピュータのなかに宇宙を創り出しその中で天文現象を再現しその挙動を確かめる<ref name="nao_cfca">[https://www.nao.ac.jp/en/research/project/cfca.html Center for Computational Astrophysics]</ref>。 |
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{{Gallery|width = 250px |
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|File:Computer simulation of a three body solar system.gif|太陽系の[[三体問題]]のコンピュータシミュレーション |
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|File:Simulation of density ripples around a wind emitting binary star.gif|[[連星]]から放出されるガスが周囲に引き起こすさざ波のシミュレーション |
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;コンピュータの実機のシミュレーション(模倣) |
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コンピュータを使ったコンピュータのシミュレートというものもある。[[エミュレータ (コンピュータ)|エミュレータ]]と呼ばれるシミュレータも使われる(たとえば実機で走らせるのが困難な場合や面倒な場合や、制御されたテスト環境下でプログラムを実行して実害が出ない安全な状態で結果を事前に確認するためなどに使われる。) |
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[[仮想化]]というのもシミュレーションの一種である。たとえば、[[マイクロプログラム]]やアプリケーションプログラムを、実機に送り込む前に[[デバッグ]]するのに使う。コンピュータの動作がシミュレートなので、コンピュータの動作の全ての情報をプログラマが直接的に利用でき、速度を変えたりステップ実行したりなど好きなようにできる。一方でいわゆる「ゲートレベル」の完全なエミュレーションは現実的でないことが多く、また普通はそこまで厳密にエミュレーションする必要はないことも多いが、例えばエミュレートしきれない部分の実機にバグがある場合のデバッグまではできない。プログラムによるシミュレーションでは速度的に不十分な必要な場合は、[[FPGA]]などのプログラマブルなハードウェアによって、エミュレーションないしシミュレーションを行うこともある。[[VMware]]、[[VirtualBox]]、Hyper-Vなどを用いて、バーチャルにOSを構築し、さまざまな環境を設定してOSの挙動を安全な環境下で確かめる手法も一般化している。 |
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::[[エミュレータ (コンピュータ)|エミュレータ]]、[[命令セットシミュレータ]]、[[仮想化]]、[[仮想機械]]なども参照のこと。 |
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;通信プロトコルのシミュレーション |
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[[TCP/IP]]等の[[通信プロトコル]]の分野では日々新しい方式が提案されている。[[IEEE]]や[[国際電気通信連合|ITU]]、あるいは日本の[[電波産業会]](ARIB)などで次世代の[[通信プロトコル]]の標準規格が議論されるが、このとき各提案者の案として提示されている規格が、さまざまな条件下でどのような特性を持っているのかを比較検討する必要がある。このような局面で[[通信プロトコル]]のシミュレーション が必須となっている。2層(データリンク層)以上の[[通信プロトコル]]の規格は[[状態遷移図]]で記載されることが多いが、記述された状態遷移等の処理、条件をコンピュータ上で疑似し、スループットやエラー処理などの評価を行う。 |
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学術機関で用いられるシミュレータは[[ns (シミュレータ)|ns]]<ref>[http://www.nsnam.org/ NS3 NSNAM Home Page]</ref> 等の[[オープンソースソフトウェア]]が多いが、民間企業や民間研究所のような、資金に余裕があり応用に近い研究を行う組織では、大規模トポロジ構築などを容易に行えるツール群が整備され、より迅速に現実に即した解析が可能な[[Qualnet]]<ref>[http://www.qualnet.com/ QualNet Home Page]</ref><ref>[http://www.kke.co.jp/qualnet/ 構造計画研究所QualNet Home Page]</ref>、[[OPNET Modeler]]<ref>[http://www.opnet.com/solutions/network_rd/modeler.html OPNET Modeler Home Page]</ref><ref>[http://www.johokobo.co.jp/opnet/modeler/opnet_modeler_top.html 情報工房OPNET Modeler Home Page]</ref> 等の商用のシミュレータを使用するケースが多い。 |
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この分野のシミュレーションでは[[信号処理]]の部分を[[MATLAB]]/[[Simulink]]、<ref>Chaturvedi, D. K. (2017). Modeling and simulation of systems using MATLAB and Simulink. CRC Press.</ref>電波伝搬の部分をWirelessInSight, Winprop, Atoll等の他のシミュレータや計算ソフトと連携させたりする場合もある。また特に無線、移動体の分野では各通信機の動きも重要な要素となるためその部分に関して他のツールや実際の計測値などと連携させる試みもなされている。 |
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[[Qualnet]]、[[OPNET Modeler]]<ref>Lu, Z., & Yang, H. (2012). Unlocking the power of OPNET modeler. Cambridge University Press.</ref>等の商用ツールでは実際のネットワーク上を流れる[[通信パケット]]をシミュレータと接続できるものもあり、仮想のネットワークを利用した時の動画品質も確認などにも使われている。 |
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;電子回路の設計・実験 |
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=== 物理学 === |
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コンピューター上で[[電子回路]]の設計や実験をするのに、[[SPICE (ソフトウェア)|SPICE]]やSPICEを起源とする電子回路シミュレーション・ソフトウェア等が使われている。電子回路を所定の書式でシミュレーターに入力(GUIによる入力が可能なものも多い)すると、各電子部品の電気的特性を元に回路の動作が計算され、回路の動作を調べることができる。<ref>Arrillaga, J. A., & Harker, B. J. (1983). Computer modelling of electrical power systems. John Wiley & Sons, Inc..</ref> |
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例えば、木の葉が舞い落ちる動きを通常の手計算で導き出す事は不可能であった。これは重力や空気抵抗だけでなく、木の葉自体の動きによる空気の状態の変化などが複雑に絡み合っているからである。この、[[カオス理論|カオティック]]な振る舞いに対して、単純計算を膨大に繰り返す事の出来るコンピュータによって、ある程度の周期性や規則性を見出されうる。 |
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[[マイクロプロセッサ]]など高度に複雑なディジタルLSIの論理設計も、実際に製造に入る前にシミュレータでテストされる。 |
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=== 工学 === |
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==== 電子工学 ==== |
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[[電子工学]]においては、コンピューター上で回路の設計や実験をするのに、[[SPICE (ソフトウェア)|SPICE]]やSPICEを起源とする[[電子回路]]シミュレーション・ソフトウェア等が使われている。電子回路を所定の書式でシミュレーターに入力(GUIによる入力が可能なものも多い)すると、各電子部品の電気的特性を元に回路の動作が計算され、回路の動作を調べることができる。 |
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;アンテナのシミュレーション |
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==== 無線工学 ==== |
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===== アンテナのシミュレーション ===== |
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[[無線工学]]においては、[[アンテナ]]の設計をするのにアンテナ・シミュレーション・ソフトウェアが用いられる。アマチュア用途では[[MMANA]]やMMANA-GAL等のフリーソフトがある。アンテナの物理的な形状を入力すると、自由空間や特定の地上高におけるアンテナ上の電圧分布、電流分布、共振周波数、給電点における[[インピーダンス]]特性、[[定在波比|SWR]]特性などを計算により求めることができる。短縮型アンテナやマルチバンド・アンテナの設計のために、延長コイル、短縮コンデンサ、LCトラップ等を挿入した場合のリアクタンス値を求めることもできる。 |
[[無線工学]]においては、[[アンテナ]]の設計をするのにアンテナ・シミュレーション・ソフトウェアが用いられる。アマチュア用途では[[MMANA]]やMMANA-GAL等のフリーソフトがある。アンテナの物理的な形状を入力すると、自由空間や特定の地上高におけるアンテナ上の電圧分布、電流分布、共振周波数、給電点における[[インピーダンス]]特性、[[定在波比|SWR]]特性などを計算により求めることができる。短縮型アンテナやマルチバンド・アンテナの設計のために、延長コイル、短縮コンデンサ、LCトラップ等を挿入した場合のリアクタンス値を求めることもできる。 |
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;電波伝播のシミュレーション |
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無線工学において、[[電波伝播]](電波の伝わり方)をシミュレーションするのに電波伝播シミュレーション・ソフトウェアが用いられる。[[超短波|VHF]]や[[極超短波|UHF]]のテレビ放送局や中継局の[[放送#放送区域|サービスエリア]]を調べるために、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の研究者 A. G. Longley と P. L. Rice とが[[1968年]]に[[Longley-Rice Modelアルゴリズム]]を開発・発表した。このアルゴリズムは 20 |
無線工学において、[[電波伝播]](電波の伝わり方)をシミュレーションするのに電波伝播シミュレーション・ソフトウェアが用いられる。[[超短波|VHF]]や[[極超短波|UHF]]のテレビ放送局や中継局の[[放送#放送区域|サービスエリア]]を調べるために、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の研究者 A. G. Longley と P. L. Rice とが[[1968年]]に[[Longley-Rice Modelアルゴリズム]]を開発・発表した。この[[アルゴリズム]]は 20 MHz - 20 GHz の周波数に適用でき、これを基にした電波伝播シミュレーション・ソフトウェアが、日本のいくつかの電気通信コンサルタント会社により開発されている。<ref name="radio wave propagation">{{Cite journal|和書 |
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|author=原岡 充 |
|author=原岡 充 |
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|year=2009 |
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|pages=pp. 84-89 |
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|publisher=[[CQ出版|CQ出版社]] |
|publisher=[[CQ出版|CQ出版社]] |
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|location=東京都豊島区 |
|location=[[東京都]][[豊島区]] |
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</ref> |
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シミュレーションするには、ソフトウェアに、大地の[[導電率]]と[[比誘電率]]、大気の[[屈折率]]、送信場所や受信場所の[[標高]]、[[電波の周波数による分類|周波数]]、電波の偏波面、アンテナの[[利得]]や地上高、[[送信機]]の出力、[[受信機]]の感度などの値を与える。また、シミュレーション対象地域のデジタル地形データ(たとえば[[アメリカ航空宇宙局|NASA]]のFTPサイト<ref>[ftp://e0srp01u.ecs.nasa.gov/srtm/version2/SRTM3/Eurasia/ NASA デジタル地形データダウンロード・サイト (FTP)] - NxxEyyy.hgt.zip の xx は北緯、yyy は東経。注意:アクセスが集中していると接続拒否される。</ref>からダウンロードできる)を与える。すると、電波の大気による[[屈折]]、地形による[[反射]]や[[回折]]、電波が伝わるうえで受ける[[減衰]]等を計算し、電波の届く範囲をシミュレーションする。結果は、数値や、地図上に電波の強さごとにグラフィカルに色分けして示される。<ref name="radio wave propagation" /> |
シミュレーションするには、ソフトウェアに、大地の[[導電率]]と[[比誘電率]]、大気の[[屈折率]]、送信場所や受信場所の[[標高]]、[[電波の周波数による分類|周波数]]、電波の偏波面、アンテナの[[利得 (電気工学)|利得]]や地上高、[[送信機]]の出力、[[受信機]]の感度などの値を与える。また、シミュレーション対象地域のデジタル地形データ(たとえば[[アメリカ航空宇宙局|NASA]]のFTPサイト<ref>[ftp://e0srp01u.ecs.nasa.gov/srtm/version2/SRTM3/Eurasia/ NASA デジタル地形データダウンロード・サイト (FTP)] - NxxEyyy.hgt.zip の xx は北緯、yyy は東経。注意:アクセスが集中していると接続拒否される。</ref> からダウンロードできる)を与える。すると、電波の大気による[[屈折]]、地形による[[反射 (物理学)|反射]]や[[回折]]、電波が伝わるうえで受ける[[減衰]]等を計算し、電波の届く範囲をシミュレーションする。結果は、数値や、地図上に電波の強さごとにグラフィカルに色分けして示される。<ref name="radio wave propagation" /> |
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フリーソフトとしては[[カナダ]]の[[ |
フリーソフトとしては[[カナダ]]の[[アマチュア無線家]] Roger Coude(VE2DBE)が[[1988年]]に開発した Radio Mobile<ref>[http://www.g3tvu.co.uk/ Radio Mobile ダウンロード・サイト]</ref> がある。<ref name="radio wave propagation" /> |
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;軍事 |
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===== 通信プロトコルのシミュレーション ===== |
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軍事分野においては戦闘状況をシミュレートしたモデル研究が行われており、[[地形]]、時間、損害率、兵員数、戦闘価値、移動速度、発見率、命中率などの要素から[[戦闘]]の推移、両軍の損害などを導き出すことができる。また指揮官制、補給計画立案、戦術研究、海空軍の訓練などでシミュレーションは用いられている。<ref>Hill, R. R., & Miller, J. O. (2017, December). A history of United States military simulation. In 2017 Winter Simulation Conference (WSC) (pp. 346-364). IEEE.</ref><ref>Hill, R. R., & Tolk, A. (2017). A history of military computer simulation. In Advances in Modeling and Simulation (pp. 277-299). Springer, Cham.</ref> |
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[[TCP/IP]]等の[[通信プロトコル]]の分野では日々新しい方式が提案されている。[[IEEE]]や[[ITU]]、あるいは日本の[[電波産業会]]([[ARIB]])などで次世代の[[通信プロトコル]]の標準規格が議論されるが、このとき各提案者の案として提示されている規格が、さまざまな条件下でどのような特性を持っているのかを比較検討する必要がある。このような局面で[[通信プロトコル]]のシミュレーション が必須となっている。2層(データリンク層)以上の[[通信プロトコル]]の規格は[[状態遷移図]]で記載されることが多いが、記述された状態遷移等の処理、条件をコンピュータ上で疑似し、スループットやエラー処理などの評価を行う。 |
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また、最近の戦争においては情報を伝達するための[[通信]]の確保は戦況を左右する重要な要素であるため、部隊展開時に山間部や市街地などにおいても兵員同士が途切れることなく通信できることをシミュレーションするシステム(JCSS:旧称 NetWars)を[[アメリカ国防情報システム局]](DISA)が開発している<ref>[http://www.disa.mil/jcss/history.html JCSS History]</ref><ref>[http://www.disa.mil/jcss/documents/User_Manual.pdf JCSS User’s Manual7.0 Final (OPNET 2.6.4)]</ref>。 |
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フリーウェアでは[[NS3]]<ref>[http://www.nsnam.org/ NS3 NSNAM Home Page]</ref> 等があるが、企業や研究所のレベルでは[[OPNET Modeler]]<ref>[http://www.opnet.com/solutions/network_rd/modeler.html OPNET Modeler Home Page]</ref><ref>[http://www.johokobo.co.jp/opnet/modeler/opnet_modeler_top.html 情報工房OPNET Modeler Home Page]</ref>等の商用のシミュレーターを使用するケースが多い。 |
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歴史的には軍事学的な研究に由来の一部を持つ[[オペレーションズ・リサーチ]]では、数理的なモデル化とコンピュータシミュレーションは両輪をなしており、経済など社会活動の分析に現代では広く活用されていて、今ではむしろ軍事は単にその応用分野のたった一つに過ぎない。<ref>Winston, W. L., & Goldberg, J. B. (2004). Operations research: applications and algorithms (Vol. 3). Belmont^ eCalif Calif: Thomson/Brooks/Cole.</ref><ref>Taha, H. A. (2013). Operations research: an introduction. Pearson Education India.</ref><ref>Hillier, F. S. (2012). Introduction to operations research. Tata McGraw-Hill Education.</ref> |
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この分野のシミュレーションでは電波伝搬の部分をMatLabやSimlink、Winprop等の他のシミュレーターや計算ソフトと連携させたりする場合もある。また特に無線、移動体の分野では各通信機の動きも重要な要素となるためその部分に関して他のツールや実際の計測値などと連携させる試みもなされている。 |
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;他 |
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[[OPNET Modeler]]等の商用ツールでは実際のネットワーク上を流れる[[通信パケット]]をシミュレータと接続できるものもあり、仮想のネットワークを利用した時の動画品質も確認などにも使われている。 |
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シミュレータを使って[[フォルトツリー解析]]を行うこともある<ref>Lee, W. S., Grosh, D. L., Tillman, F. A., & Lie, C. H. (1985). Fault Tree Analysis, Methods, and Applications ߝ A Review. IEEE transactions on reliability, 34(3), 194-203.</ref><ref>Vesely, W. E., Goldberg, F. F., Roberts, N. H., & Haasl, D. F. (1981). Fault tree handbook (No. NUREG-0492). Nuclear Regulatory Commission Washington DC.</ref><ref>Ruijters, E., & Stoelinga, M. (2015). Fault tree analysis: A survey of the state-of-the-art in modeling, analysis and tools. Computer science review, 15, 29-62.</ref>。 |
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<!--シンボリックシミュレーションでは、変数を未知の値を表すのに使う。--> |
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[[最適化問題]]の分野では、物理プロセスのシミュレーションが[[進化的計算]]と共に使われ、制御戦略の最適化を行う。 |
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=== 軍事 === |
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軍事分野においては戦闘状況をシミュレートしたモデル研究が行われており、地形、時間、損害率、兵員数、戦闘価値、移動速度、発見率、命中率などの要素から戦闘の推移、両軍の損害などを導き出すことができる。また指揮官制、補給計画立案、戦術研究、海空軍の訓練などでシミュレーションは用いられている。 |
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また、最近の戦争においては情報を伝達するための[[通信]]の確保は戦況を左右する重要な要素であるため、部隊展開時に山間部や市街地などにおいても兵員同士が途切れることなく通信できることをシミュレーションするシステム(JCSS:旧称 NetWars)を[[アメリカ国防情報システム局 ]](DISA)が開発している<ref>[http://www.disa.mil/jcss/history.html JCSS History]</ref><ref>[http://www.disa.mil/jcss/documents/User_Manual.pdf JCSS User’s Manual7.0 Final (OPNET 2.6.4)]</ref>。 |
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== 訓練としてのシミュレーション == |
== 訓練としてのシミュレーション == |
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=== 物理的シミュレーションと対話型シミュレーション === |
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「対話型シミュレーション」は物理的シミュレーションの特殊形態であり、シミュレーション環境内に人間が入り込むものを指す。例えば、[[フライトシミュレーション|フライトシミュレータ]]や[[ドライブシミュレータ]]がある。 |
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--><!--「コンピュータの各種利用」って意味不明です。コンピュータを具体的にどう使うのが「シミュレーション」なんでしょうか。物理的シミュレーションという言葉は、ミニチュアなどによるシミュレーションを言いますが、物理現象の(有限要素法などによる)シミュレーションのことも言い、また対義語として「論理的シミュレーション」もあります。「対話型」の対義語は、「バッチ型」にでもなるんじゃないでしょうか。というかこの説明だとソフトウェアによるフライトシミュレータが存在しないような--> |
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[[画像:Vehicle simulator.jpg|thumb|right|大型車のシミュレータで訓練中の兵士]] |
[[画像:Vehicle simulator.jpg|thumb|right|大型車のシミュレータで訓練中の兵士]] |
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シミュレーションは一般市民や兵士の[[訓練]]に使われることが多い。これは、実際の装置や兵器を訓練に使用するのがコスト的に高価すぎたり、単に非常に危険であるという理由からである。この場合、安全な仮想環境で意味の有る訓練が行われる。特に、実際なら生命に関わるような失敗をしても許される点は重要である。 |
シミュレーションは一般市民や[[兵士]]の[[訓練]]に使われることが多い。これは、実際の装置や兵器を訓練に使用するのがコスト的に高価すぎたり、単に非常に危険であるという理由からである。この場合、安全な仮想環境で意味の有る訓練が行われる。特に、実際なら生命に関わるような失敗をしても許される点は重要である。 |
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訓練におけるシミュレーションは3つに分類される。 |
訓練におけるシミュレーションは3つに分類される。 |
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* 「ライブ」シミュレーション - 実地でシミュレートされた装備を身につけた人間が訓練を行う。 |
* 「ライブ」シミュレーション - 実地でシミュレートされた装備を身につけた人間が訓練を行う。 |
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* 「仮想」シミュレーション - 仮想環境でシミュレートされた装備を身につけた人間が訓練を行う。 |
* 「仮想」シミュレーション - 仮想環境でシミュレートされた装備を身につけた人間が訓練を行う。 |
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* 「構築型」シミュレーション - 仮想環境でシミュレートされた装備を身につけたシミュレートされた人間が訓練を行う。これは、ウォーゲームと呼ばれるものが進化したものである。 |
* 「構築型」シミュレーション - 仮想環境でシミュレートされた装備を身につけたシミュレートされた人間が訓練を行う。これは、[[ウォーゲーム]]と呼ばれるものが進化したものである。 |
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=== フライトシミュレータ === |
=== フライトシミュレータ === |
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{{Main|フライトシミュレーション}} |
{{Main|フライトシミュレーション}} |
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フライトシミュレータは、地上で[[航空機]]の |
フライトシミュレータは、地上で[[パイロット (航空)|操縦士]]が[[航空機]]の操縦訓練に用いる。再現の度合いにより異なるが一定の訓練時間が[[飛行時間]]として認められる。実際の航空機よりも低価格ながらエンジンが停止した状態での着陸、離陸直後のトラブルなど、実地では困難な訓練が可能である。<ref name="allerton09"/><ref name="rs88"/><ref name="baarspul"/><ref name="mhld"/><ref name="allerton10"/><ref name="rt98"/> |
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現在では、機種癲癇においてフライトシミュレータが用いられているという。 |
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=== ドライブシミュレータ === |
=== ドライブシミュレータ === |
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{{Main|ドライビングシミュレーター}} |
{{Main|ドライビングシミュレーター}} |
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ドライブシミュレータは実際の[[自動車]]の特性を仮想環境内で再現する。外的要因や条件を再現 |
ドライブシミュレータは実際の[[自動車]]の特性を仮想環境内で再現する。外的要因や条件を再現し、さまざまな車両運転状況が体感可能である。<ref>Bayarri, S., Fernandez, M., & Perez, M. (1996). Virtual reality for driving simulation. Communications of the ACM, 39(5), 72-76.</ref><ref>Cremer, J., Kearney, J., & Papelis, Y. (1996). Driving simulation: challenges for VR technology. IEEE Computer Graphics and Applications, 16(5), 16-20.</ref> |
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=== 船舶シミュレータ === |
=== 船舶シミュレータ === |
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船舶シミュレータは、船員の訓練に |
船舶シミュレータは、船員の訓練に用いる<ref>稲石正明, 近藤逸人, & 川口明. (2004). 船舶群と船舶群の遭遇シミュレーション. 日本航海学会論文集, 110, 1-7.</ref><ref>田中邦彦, 金湖富士夫, 宮崎恵子, & 桐谷伸夫. (1993). 船舶航行システムの安全評価用シミュレータ-I: リアリティのある景観情報. 日本航海学会論文集, 88, 129-136.</ref>。特に大型の船舶をシミュレートするものが多く、操船訓練を行なう操船シミュレーター、エンジンプラントの運転訓練を行なうエンジントラブルシミュレーター、荷役訓練を行なう荷役シミュレーターなどがある。 |
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=== プラントシミュレータ === |
=== プラントシミュレータ === |
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化学プラントのプラントシミュレータは、物理モデルに基づいて化学プラントの動的な挙動を模擬するものである.さまざまな条件 |
化学プラントのプラントシミュレータは、物理モデルに基づいて化学プラントの動的な挙動を模擬するものである.さまざまな条件下で挙動を再現し、主に[[プラント]]を運転するオペレータの運転操作訓練に用いる. |
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=== 教育におけるシミュレーション === |
=== 教育におけるシミュレーション === |
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教育におけるシミュレーションも訓練の一種と考えられ、特定の主題に沿って行われる。ビデオを鑑賞し、問題の解決策を話し合い、ロールプレイを行うなどの手法がある。企業によるビジネス教育の一環としてもシミュレーションが採用されつつある。リスクのない仮想環境でビジネス戦略の実験をしたり、ケーススタディの学習における拡張手段として用いられる。 |
教育におけるシミュレーションも訓練の一種と考えられ、特定の主題に沿って行われる。<ref>Aldrich, C. (2003). Learning by Doing : A Comprehensive Guide to Simulations, Computer Games, and Pedagogy in e-Learning and Other Educational Experiences. San Francisco: Pfeifer — John Wiley & Sons.</ref><ref>Aldrich, C. (2004). Simulations and the future of learning: an innovative (and perhaps revolutionary) approach to e-learning. San Francisco: Pfeifer — John Wiley & Sons.</ref><ref>Percival, F., Lodge, S., Saunders, D. (1993). The Simulation and Gaming Yearbook: Developing Transferable Skills in Education and Training. London: Kogan Page.</ref>ビデオを鑑賞し、問題の解決策を話し合い、[[ロールプレイ]]を行うなどの手法がある。ロールプレイング方式で行うものは、[[ゲーム]]の一種としてゲーミング・シミュレーション(あるいは単にゲーミング)と呼ばれることが多い<ref>{{Cite book|和書|title=大学の学びを変えるゲーミング|date=2020年|publisher=晃洋書房}}</ref>。企業によるビジネス教育の一環としてもシミュレーションが採用されつつある。リスクのない仮想環境でビジネス戦略の実験をしたり、[[ケーススタディー]]の学習における拡張手段として用いられる。 |
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=== 軍事教練におけるシミュレーション=== |
=== 軍事教練におけるシミュレーション=== |
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兵士が行軍や歩兵戦闘などをシミュレーションするもの。[[Operation Flashpoint: Cold War Crisis]]や[[ArmA: Armed Assault]]から発展した[[Virtual Battlespace|VBS1・VBS2]]が米豪等の軍で採用されている。 |
兵士が行軍や歩兵戦闘などをシミュレーションするもの。[[Operation Flashpoint: Cold War Crisis]]や[[ArmA: Armed Assault]]から発展した[[Virtual Battlespace|VBS1・VBS2]]が米豪等の軍で採用されている。 |
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班単位での射撃訓練が可能な大型シミュレータも登場しており、[[陸上自衛隊]]では10名が同時に利用できる「普通科部隊戦闘射撃訓練シミュレーター(GICCS)」を導入している<ref>[https://web.archive.org/web/20070429204835/http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/Topix/topix4.html 普通科部隊戦闘射撃訓練シミュレーター] - [[陸上自衛隊]]</ref>。 |
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== 医療シミュレータ == |
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医療シミュレータは、医療に従事する者への治療法/診断法/概念/意思決定についての教育の目的で、近年開発が盛んになってきている。医療シミュレータによる訓練は、単純な血液採取から[[腹腔鏡]]手術まで各種存在する。また、新型医療機器の開発においてもシミュレーションは重要である。医療シミュレータでもコンピュータが重要な役割を担っている。実物大の人形を用いたシミュレータでは、人形への薬物投与などによって適切な反応を示すようにプログラムされている。視覚を[[コンピュータグラフィックス]]で擬似する場合、触覚は訓練者の動作に反応するようプログラムされたフィードバック機器で再現する。この場合、現実性を増すために実際の患者の[[コンピュータ断層撮影|CT]]や[[核磁気共鳴画像法|MRI]]のデータを用いることが多い。より簡便なシミュレーションとして、ウェブブラウザで操作できるものもあるが、触覚は再現されず、キーボードとマウスで操作することになる[http://vam.anest.ufl.edu/wip.html]。 |
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=== 危機管理シミュレーション === |
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医療シミュレータとは若干意味が異なるが、[[偽薬]]を使った医薬の有効性の試験も一種のシミュレーションと言える。 |
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[[危機管理]](crisis management)に際して、予測困難な事象に対して複数主体間でそれぞれの目標を達成しようとするシミュレーションが危機管理シミュレーションである。[[キューバ危機]](1962年)で危機を回避した歴史をもとに、[[キューバ危機]]をめぐるゲーミング・シミュレーションがアメリカをはじめ過去に遡及し歴史をなぞる形で実施されてきた。他にも、[[台湾海峡危機]]、[[冷戦]]期の核戦争回避、北朝鮮の核開発をめぐる[[6カ国協議]]、2010年の[[中国漁船衝突事件|漁船衝突事件]]、などが主題となる。 |
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現実世界は時間が連続し「一難去ってまた一難」ということがありうるが、ゲーミング・シミュレーションには1)必ず「終わり」があり、2)予定調和が埋め込まれ「[[箱庭]]」的である<ref name=":0">岡野 正「ルールジェネレート型シミュレーションゲームの提案と体験セッション」『日本シミュレーショ. ン&ゲーミング学会 2006 年度春季全国大会発表論文集</ref>。そのためゲーミングの終了を見越して駆け込みで行動する(これ自体は合理的な行為である)プレイヤーが生まれ、勝ち逃げ(例えば「駆け込み核戦争」)が発生する一因となる<ref>「『駆け込み核戦争』は防げるか? 国際政治のシミュレーションの課題」『松山大学論集』2004年2月(15巻6号)</ref>。むろん現実の世界でも政治的な時間軸には「節目」があり(例えば大統領の任期)、駆け込み的行動がみられる。そのため、シミュレーション上で駆け込みの制御をいかに条件づけるが課題となる。 |
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ゲーミング上での想定外の行動(事象)をどのように評価するかがゲーミング・シミュレーションでは問われる<ref>近藤敦・玉井良尚・宮脇昇「ゲーミング&シミュレーションの開発を通じた国際公共政策の理解と学習」『政策科学』23巻4号、2016年</ref>。現実に多くの専門家が予想を外した朝鮮戦争(1950年)、ソ連崩壊(1991年)、911テロ事件(2001年)、対テロ戦争後のカブール陥落(2021年)、ロシアのウクライナ侵攻(2022年)といった「想定外」の事実に対抗して、仮想世界で同様な大規模な変化をアクターがおこすことがある。想定外ゆえに捨象したり除外するのでは危機管理の意味がない。しかし想定外が多発するのも現実的ではない。箱庭としてのゲーミングではとらえきれないルール・ジェネレート的発想が必要とされる所以である<ref name=":0" />。 |
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また危機に際しては誤認・誤解、疑心暗鬼、相互不信が高まる中<ref>{{Cite book|和書|title=国際関係(「社会科学の理論とモデル」)|url=https://www.worldcat.org/oclc/1273662676|date=2000|location=Tōkyō|isbn=978-4-13-030181-7|oclc=1273662676|others=Motoshi Suzuki, Keisuke Iida, 基史 鈴木, 敬輔 飯田|publisher=東京大学出版会}}</ref>、短い時間での政策決定が後に甚大な惨禍をもたらすことがある。[[グレアム・アリソン]]の第2モデル(組織過程モデル)、第3モデル(政治過程モデル)に加えて、認知的アプローチが必要となる。[[集団思考]](groupthink)の可能性も想定せねばならない。[[完備情報]]下の合理的行動とは異なる、こうした危機における行動の特性を理解するためにゲーミング・シミュレーションは有用である<ref>近藤敦「国際政治ゲーミング・シミュレーションの考え方-その歴史と構造を中心にして」『グローバル・ガバナンスの理論と政策』中央大学出版部、2004年</ref>。 |
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=== 宇宙開発とシミュレーション === |
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[[File:Christer_Fuglesang_underwater_EVA_simulation_for_STS-116.jpg|thumb|right|200px|プールを用いたシミュレーション]] |
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[[宇宙開発]]の[[船外活動]]のシミュレーションとしては、ひとつは[[プール]]を使う方法がある。[[NASA]]などで採用されている。水の[[浮力]]によって、[[宇宙空間]]の[[無重力]]状態に、若干似た状態を作りだすことができ、船外作業の体験・訓練を行うことができる<ref group="注">完全には同じではないが、[[宇宙飛行士]]は、自分の身体が浮いてしまっている状況での作業の困難さを体験することができる。</ref>。[[ロボットアーム]]の動き、作業手順などのシミュレーションは、コンピュータを用いたものも用いられ、実際の操作レバーと、コンピュータ画面内に作りだされた映像で模倣・確認しつつ訓練を行うものである。 |
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=== 医療・救急用シミュレータ === |
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[[File:CardiopulmonaryResuscitationBabyDummy.jpg|thumb|right|200px|[[心肺蘇生法]]習得のためのダミー人形を用いたシミュレーション]] |
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医療シミュレータは、[[医療]]に従事する者への治療法/診断法/概念/意思決定についての教育の目的で、近年開発が盛んになってきている<ref>Kunkler, K. (2006). The role of medical simulation: an overview. The International Journal of Medical Robotics and Computer Assisted Surgery, 2(3), 203-210.</ref><ref>Rosen, K. R. (2008). The history of medical simulation. Journal of critical care, 23(2), 157-166.</ref><ref>Dawson, S. L., & Kaufman, J. A. (1998). The imperative for medical simulation. Proceedings of the IEEE, 86(3), 479-483.</ref>。医療シミュレータによる訓練は、単純な[[血液]]採取から[[腹腔鏡]]手術まで各種存在する。また、新型医療機器の開発においてもシミュレーションは重要である。医療シミュレータでもコンピュータが重要な役割を担っている。実物大の人形を用いたシミュレータでは、人形への[[薬物]]投与などによって適切な反応を示すようにプログラムされている。視覚を[[コンピュータグラフィックス]]で擬似する場合、触覚は訓練者の動作に反応するようプログラムされた[[フィードバック]]機器で再現する。この場合、現実性を増すために実際の患者の[[コンピュータ断層撮影|CT]]や[[核磁気共鳴画像法|MRI]]のデータを用いることが多い。より簡便なシミュレーションとして、ウェブブラウザで操作できるものもあるが、触覚は再現されず、キーボードとマウスで操作することになる [http://vam.anest.ufl.edu/wip.html]。 |
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<!--{{誰|date=2015年7月}}「{{要出典範囲|偽薬を使った医薬の有効性の試験も一種のシミュレーションと言える。|date=2015年7月}}」--> |
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[[諏訪邦夫]]は、[[麻酔]]のシミュレータをみずからプログラムを書いて開発したという。 |
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== 経済・金融 == |
== 経済・金融 == |
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最近の経済学的研究によって、実際には(古典経済学とは異なって)人々の個々の行動の動機は実に様々であることが明らかになってきているが、仮に、古典経済学的なモデル、つまり「人は全て自分の利益追求だけを求める」とするような極端な(本当の科学としては、事実とは異なり、かなり問題含みの)モデルを採用した場合でも、社会全体としての動きを知る事は出来ない。単純が複数集まるとそこには、様々な性質が生まれるという[[複雑系]]であるためで、これもまた、コンピュータの膨大な計算のシミュレーションによって予想されうるものであるが、実際のところ[[株価]]や[[物価]]の変動など、経済の動きを予測することは容易ではない。 |
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[[金融]]においては、コンピュータシミュレーションを用いてシナリオ立案が行われる。例えば、[[リスク]]を考慮した[[正味現在価値]] (NPV) は計算方法は確立しているが、入力値は不明な場合がある。評価対象のプロジェクトの性能を擬似することで、シミュレーションによって様々な場合の NPV が求められる。 |
[[金融]]においては、コンピュータシミュレーションを用いてシナリオ立案が行われる。例えば、[[リスク]]を考慮した[[正味現在価値]] (NPV) は計算方法は確立しているが、入力値は不明な場合がある。評価対象のプロジェクトの性能を擬似することで、シミュレーションによって様々な場合の NPV が求められる。 |
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== デザイン・都市景観 == |
== デザイン・都市景観 == |
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[[コンピュータグラフィックス]](CG)によって作成された[[バーチャルリアリティ]]映像を、工業[[デザイン]]や建築デザインの成果物を事前評価するのに用いる。例えば建築物や構造物による景観への影響を予測する景観シミュレーションの場合、実写風景の上で建物のCGと組み合わせたり、建物や背景の全てをCGで構築し、実際に建築した様子に近い景観を観察することが出来る。コンピュータの計算能力が実用に達するまでは、手作業により[[遠近法]]にそって書かれた[[パース画]]を作成し評価していた。 |
[[コンピュータグラフィックス]](CG)によって作成された[[バーチャルリアリティ]]映像を、工業[[デザイン]]や建築デザインの成果物を事前評価するのに用いる<ref>Henderson, K. (1998). On line and on paper: Visual representations, visual culture, and computer graphics in design engineering. MIT Press.</ref><ref>Foley, J. D., Van, F. D., Van Dam, A., Feiner, S. K., Hughes, J. F., Angel, E., & Hughes, J. (1996). Computer graphics: principles and practice (Vol. 12110). Addison-Wesley Professional.</ref>。例えば建築物や構造物による景観への影響を予測する景観シミュレーションの場合、実写風景の上で建物のCGと組み合わせたり、建物や背景の全てをCGで構築し、実際に建築した様子に近い景観を観察することが出来る。コンピュータの計算能力が実用に達するまでは、手作業により[[遠近法]]にそって書かれた[[パース画]]を作成し評価していた。 |
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都市計画のツールとして |
[[都市計画]]のツールとして都市シミュレータを使って、様々なポリシーの決定によって都市がどのように変わるかを把握することができる。大規模な都市シミュレータの例としては、UrbanSim<ref>Waddell, P. (2002). UrbanSim: Modeling urban development for land use, transportation, and environmental planning. Journal of the American planning association, 68(3), 297-314.</ref><ref>Borning, A., Waddell, P., & Förster, R. (2008). UrbanSim: Using simulation to inform public deliberation and decision-making. In Digital government (pp. 439-464). Springer, Boston, MA.</ref>([[ワシントン大学]]{{要曖昧さ回避|date=2023年4月}}で開発)、ILUTE<ref>Salvini, P., & Miller, E. J. (2005). ILUTE: An operational prototype of a comprehensive microsimulation model of urban systems. Networks and spatial economics, 5(2), 217-234.</ref>([[トロント大学]]で開発)、Distrimobs<ref>{{URL|http://distrimobs.fisicadellacitta.it}}</ref>([[ボローニャ大学]]で開発)などがある。都市シミュレータはエージェントに基づくシミュレーションが一般的で、土地の利用計画や交通機関などが入力として設定される。 |
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景観シミュレータと都市シミュレータの開発を行う研究分野は、一般的に[[計画支援システム]]と呼ばれている。 |
景観シミュレータと都市シミュレータの開発を行う研究分野は、一般的に[[計画支援システム]]と呼ばれている。 |
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シミュレーションは、工学システムや多くのプロセスから構成されるシステムの重要な機能である。例えば[[電子工学]]では、遅延線を使って実際の伝送線路における遅延や位相のずれをシミュレートする。また、擬似負荷(ダミーロード)を用いて[[インピーダンス]]のシミュレートが行われる。シミュレータは一般にシミュレート対象の一部の操作や機能だけを擬似する。一方、[[エミュレータ]]は対象の全機能を擬似するのが一般的である。 |
シミュレーションは、工学システムや多くのプロセスから構成されるシステムの重要な機能である。例えば[[電子工学]]では、遅延線を使って実際の伝送線路における遅延や位相のずれをシミュレートする。また、擬似負荷(ダミーロード)を用いて[[インピーダンス]]のシミュレートが行われる。シミュレータは一般にシミュレート対象の一部の操作や機能だけを擬似する。一方、[[エミュレータ]]は対象の全機能を擬似するのが一般的である。 |
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多くの工学シミュレーションは、数学的モデルを用いて、コンピュータを利用して行われる。しかし、その数学的モデルが信頼できない場合も多い。流体力学のシミュレーションは数学的なシミュレーションと物理的なシミュレーションの両方を必要とすることが多い。この場合、物理的モデルは動的相似性(Dynamic Similitude)を要求される。物理的シミュレーションや化学的シミュレーションは、研究目的だけでなく、具体的な実用目的を持つ。例えば、[[化学工学]]におけるプロセスシミュレーションによって得られたプロセスのパラメータは、石油精製などの化学工場の運用に即座に活用できる。 |
多くの工学シミュレーションは、数学的モデルを用いて、コンピュータを利用して行われる<ref name="intro"/><ref name="gtc"/>。しかし、その数学的モデルが信頼できない場合も多い。[[流体力学]]のシミュレーションは数学的なシミュレーションと物理的なシミュレーションの両方を必要とすることが多い([[数値流体力学]]も参照)<ref>Griebel, M., Dornseifer, T., & Neunhoeffer, T. (1998). Numerical simulation in fluid dynamics: a practical introduction. Society for Industrial and Applied Mathematics.</ref>。この場合、物理的モデルは動的相似性(Dynamic Similitude)を要求される。物理的シミュレーションや化学的シミュレーションは、研究目的だけでなく、具体的な実用目的を持つ。例えば、[[化学工学]]における[[プロセスシミュレーション]]によって得られたプロセスのパラメータは、[[石油精製]]などの化学工場の運用に即座に活用できる<ref>James, J. C. (1989). Process modeling, simulation and control for chemical engineers. McGraw-Hill.</ref><ref>Dobre, T. G., & Marcano, J. G. S. (2007). Chemical engineering: Modeling, simulation and similitude. John Wiley & Sons.</ref>。 |
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===離散事象シミュレーション=== |
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{{see also|制約条件の理論|ボトルネック|コンサルティング}} |
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[[生産技術]]・[[オペレーション]]・[[オペレーションズリサーチ]]の分野でよく使われる[[離散事象シミュレーション]]は、様々なシステムのモデル化に使われる。例えば、ビジネスにおいて各個人が30のタスクを実行可能で、数千の製品やサービスがあり、各製品/サービスには数十のタスクを逐次的に行う必要があり、顧客がどの製品/サービスを求めるかは季節によって変動したり、将来的に変化していく。このような状況をシミュレーションすることで経営上の様々な意思決定の助けとなる。関連する事項として、[[制約条件の理論]]、[[ボトルネック]]、[[コンサルティング]]などがある。 |
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[[生産技術]]・[[オペレーション]]・[[オペレーションズリサーチ]]の分野でよく使われる離散事象シミュレーションは、様々なシステムのモデル化に使われる<ref>Fishman, G. S. (2013). Discrete-event simulation: modeling, programming, and analysis. Springer Science & Business Media.</ref><ref>Zeigler, B. P., Muzy, A., & Kofman, E. (2018). Theory of modeling and simulation: discrete event & iterative system computational foundations. Academic press.</ref>。例えば、[[ビジネス]]において各個人が30の[[タスク]]を実行可能で、数千の製品や[[サービス]]があり、各製品/サービスには数十のタスクを逐次的に行う必要があり、顧客がどの製品/サービスを求めるかは季節によって変動したり、将来的に変化していく。このような状況をシミュレーションすることで経営上の様々な意思決定の助けとなる。 |
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== 脚注 == |
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{{脚注ヘルプ}} |
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{{Reflist}} |
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== 参考文献 == |
== 参考文献 == |
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*増田顕邦ほか『シミュレーション入門』日刊工業新聞社(昭和36年9月23日発行) |
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* R. Frigg and S. Hartmann, [http://plato.stanford.edu/entries/models-science/ Models in Science]. Entry in the ''Stanford Encyclopedia of Philosophy''. |
* R. Frigg and S. Hartmann, [http://plato.stanford.edu/entries/models-science/ Models in Science]. Entry in the ''Stanford Encyclopedia of Philosophy''. |
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* S. Hartmann, [http://philsci-archive.pitt.edu/archive/00002412/ The World as a Process: Simulations in the Natural and Social Sciences], in: R. Hegselmann ''et al.'' (eds.), ''Modelling and Simulation in the Social Sciences from the Philosophy of Science Point of View'', Theory and Decision Library. Dordrecht: Kluwer 1996, 77–100. |
* S. Hartmann, [http://philsci-archive.pitt.edu/archive/00002412/ The World as a Process: Simulations in the Natural and Social Sciences], in: R. Hegselmann ''et al.'' (eds.), ''Modelling and Simulation in the Social Sciences from the Philosophy of Science Point of View'', Theory and Decision Library. Dordrecht: Kluwer 1996, 77–100. |
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* P. Humphreys, ''Extending Ourselves: Computational Science, Empiricism, and Scientific Method''. Oxford: Oxford University Press, 2004. |
* P. Humphreys, ''Extending Ourselves: Computational Science, Empiricism, and Scientific Method''. Oxford: Oxford University Press, 2004. |
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* Roger D. Smith: [http://www.modelbenders.com/encyclopedia/encyclopedia.html Simulation Article], |
* Roger D. Smith: [http://www.modelbenders.com/encyclopedia/encyclopedia.html Simulation Article],<cite>Encyclopedia of Computer Science</cite>, Nature Publishing Group, ISBN 0-333-77879-0. |
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* Roger D. Smith: [http://www.modelbenders.com/Bookshop/techpapers.html "Simulation: The Engine Behind the Virtual World"], eMatter, December, 1999. |
* Roger D. Smith: [http://www.modelbenders.com/Bookshop/techpapers.html "Simulation: The Engine Behind the Virtual World"], eMatter, December, 1999. |
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* Aldrich, C. (2003). Learning by Doing : A Comprehensive Guide to Simulations, Computer Games, and Pedagogy in e-Learning and Other Educational Experiences. San Francisco: Pfeifer — John Wiley & Sons. |
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* Aldrich, C. (2004). Simulations and the future of learning: an innovative (and perhaps revolutionary) approach to e-learning. San Francisco: Pfeifer — John Wiley & Sons. |
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* Percival, F., Lodge, S., Saunders, D. (1993). The Simulation and Gaming Yearbook: Developing Transferable Skills in Education and Training. London: Kogan Page. |
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* South, R., "A Sermon Delivered at Christ-Church, Oxon., Before the University, Octob. 14. 1688: Prov. XII.22 Lying Lips are abomination to the Lord", pp.519–657 in South, R., ''Twelve Sermons Preached Upon Several Occasions (Second Edition), Volume I'', Printed by S.D. for Thomas Bennet, (London), 1697. |
* South, R., "A Sermon Delivered at Christ-Church, Oxon., Before the University, Octob. 14. 1688: Prov. XII.22 Lying Lips are abomination to the Lord", pp.519–657 in South, R., ''Twelve Sermons Preached Upon Several Occasions (Second Edition), Volume I'', Printed by S.D. for Thomas Bennet, (London), 1697. |
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*[http://www.authorama.com/essays-of-francis-bacon-7.html Of Simulation and Dissimulation] [[フランシス・ベーコン (哲学者)|フランシス・ベーコン]]の論文 |
*[http://www.authorama.com/essays-of-francis-bacon-7.html Of Simulation and Dissimulation] [[フランシス・ベーコン (哲学者)|フランシス・ベーコン]]の論文 |
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* Wolfe, Joseph & Crookall, David, |
* Wolfe, Joseph & Crookall, David, (1998). [http://sag.sagepub.com/cgi/reprint/29/1/7 Developing a scientific knowledge of simulation/gaming]. [http://www.unice.fr/sg/ '''''Simulation & Gaming: An International Journal of Theory, Design and Research'''''], 29(1), 7–19. |
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* [http://www.unice.fr/sg/resources/bibliographies.htm '''Bibliographies''' containing more references] to be found on the website of the journal [http://www.unice.fr/sg/ ''Simulation & Gaming'']. |
* [http://www.unice.fr/sg/resources/bibliographies.htm '''Bibliographies''' containing more references] to be found on the website of the journal [http://www.unice.fr/sg/ ''Simulation & Gaming'']. |
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* [https://link.springer.com/book/10.1007/978-981-10-0575-6 Kaneda, T., Kanegae, H., Toyoda, Y., Rizzi, P. (eds.) Simulation and Gaming in the Network Society, Springer, 2016] |
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* 橋本洋志、牧野浩二:「Pythonコンピュータシミュレーション入門:人文・自然・社会科学の数理モデル」、オーム社、ISBN 978-4-274-22698-4 (2021年4月12日). |
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== 関連項目 == |
== 関連項目 == |
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{{Commonscat|Simulation}} |
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* [[数値解析]] |
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* [[Scilab]] - [[MATLAB]]類似でフリーウェアのシミュレーション言語。システムフロー図を[[GUI]]で描いてプログラムできる。 |
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* [[偽薬]] |
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* [[GNU Octave]] - [[MATLAB]]互換を目指した[[フリーソフトウェア]]の行列型数値計算用言語。統計物理や工学的計算によく使われる。 |
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* [[物理演算]] |
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* [[R言語]] - [[S言語]]準拠の[[フリーソフトウェア]]の行列型数値計算言語。経済予測など時系列解析・シミュレーションによく使われる。 |
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* [[シミュレーテッドリアリティ]] |
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* [[SPICE (ソフトウェア)]] - [[カリフォルニア大学バークレー校]]で[[1973年]]に開発された、[[電子回路]]の[[アナログ]]動作を[[シミュレーション]]する[[ソフトウェア]]。 |
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* [[ファウル (サッカー)|シミュレーション(サッカーの反則行為)]] |
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* [[OrthoCAD]] - [[歯列矯正]]において矯正歯科医が治療計画、方法作成のために利用するシミュレーションシステム。抜歯の影響の評価や矯正器具の最適な設置位置などがパソコン上で実際に歯を動かすことによりシミュレーションできる。 |
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* [[標本調査]] |
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* [[オフラインティーチング]] |
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* [[エミュレータ]] |
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* [[In silico]] |
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===関連団体・研究集会=== |
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====国内==== |
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* [[応用数学分科会]] ([[日本数学会]]の分科会で、[[数値シミュレーション]]も扱う) |
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* [[日本応用数理学会]] ([[数値シミュレーション]]も扱う) |
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* [[日本シミュレーション学会]] |
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* [http://jasag.org/npo-jasag/mission-statement 日本シミュレーション・ゲーミング学会] |
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* 日本計算工学会 |
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* 日本コンピュータ化学会 |
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* 日本流体力学会 |
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====海外==== |
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* [[:en:International Association for Mathematics and Computers in Simulation]] |
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* [[:en:Society for Modeling and Simulation International]] |
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* [[SIAM (学会)|Society for Industrial and Applied Mathematics]] ([[数値シミュレーション]]も扱う学会) |
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* [[SCAN (国際研究集会)|International Symposium on Scientific Computing, Computer Arithmetic, and Validated Numerics]] ([[数値シミュレーション]]に関する国際研究集会) |
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===関連分野=== |
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* [[オペレーションズリサーチ]] |
* [[オペレーションズリサーチ]] |
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* [[データサイエンス]] |
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* [[地球シミュレータ]] |
* [[地球シミュレータ]] |
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* [[ |
* [[ビッグデータ]] |
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* [[数値シミュレーション]] |
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** [[スーパーコンピュータ]] |
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** [[精度保証付き数値計算]] |
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** [[数値線形代数]] |
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** [[常微分方程式の数値解法]] |
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** [[偏微分方程式の数値解法]] |
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* [[カオス理論]] |
* [[カオス理論]] |
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* [[複雑系]] |
* [[複雑系]] |
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* [[統計学]] |
* [[統計学]] |
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* [[ |
* [[未来学]] |
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* [[CAE]] |
* [[CAE]] |
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* [[オフラインティーチング]] |
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* [[ファウル (サッカー)|シミュレーション(サッカーの反則行為)]] |
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* [[エミュレータ]] |
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* [[In silico]] |
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* [[モンテカルロ法]] |
* [[モンテカルロ法]] |
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* [[偽薬]] |
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===ソフトウェア=== |
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* [[物理演算]] |
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* [[Scilab]] - [[MATLAB]]類似でフリーウェアのシミュレーション言語。<ref>Campos, D., Dias, N., Dias, A., & Ferreira, H. (2010). INTRODUCING NUMERICAL ANALYSIS TOOLS IN ENGINEERING. A SCILAB USER CASE IN ELECTRONICS COURSE. Proceedings of ICERI, 5178-5184.</ref><ref name="comp">Bunks, C., Chancelier, J. P., Delebecque, F., Goursat, M., Nikoukhah, R., & Steer, S. (2012). Engineering and scientific computing with Scilab. Springer Science & Business Media.</ref><ref>Mora, Á., Galán, J. L., Aguilera, G., Fernández, Á., Mérida, E., & Rodríguez, P. (2010). Scilab and Maxima Environment: Towards Free Software in Numerical Analysis. International Journal for Technology in Mathematics Education, 17(2).</ref><ref>Liao, W., Dong, N., & Fan, T. (2009, September). Application of Scilab in teaching of engineering numerical computations. In 2009 IEEE International Workshop on Open-source Software for Scientific Computation (OSSC) (pp. 88-90). IEEE.</ref>システムフロー図を[[GUI]]で描いてプログラムできる。 |
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* [[シミュレーテッドリアリティ]] |
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* [[GNU Octave]] - [[MATLAB]]互換を目指した[[フリーソフトウェア]]の行列型数値計算用言語。<ref>Hansen, J. S. (2011). GNU Octave: Beginner's Guide: Become a Proficient Octave User by Learning this High-level Scientific Numerical Tool from the Ground Up. Packt Publishing Ltd.</ref><ref>Eaton, J. W. (2012). GNU Octave and reproducible research. Journal of Process Control, 22(8), 1433-1438.</ref><ref>Eaton, J. W. (2001, March). Octave: Past, present and future. In Proceedings of the 2nd International Workshop on Distributed Statistical Computing.</ref>統計物理や工学的計算によく使われる。 |
|||
* [[R言語]] - [[S言語]]準拠の[[フリーソフトウェア]]の行列型数値計算言語。経済予測など[[時系列解析]]・シミュレーションによく使われる。<ref>Crawley, M. J. (2012). The R book. John Wiley & Sons.</ref><ref>Dalgaard, P. (2008). Introductory statistics with R. Springer.</ref><ref>Maronna, R. A., Martin, R. D., & Yohai, V. J. (2019). Robust statistics: theory and methods (with R). John Wiley & Sons.</ref><ref>Ugarte, M. D., Militino, A. F., & Arnholt, A. T. (2008). Probability and Statistics with R. CRC Press.</ref> |
|||
* [[SPICE (ソフトウェア)]] - [[カリフォルニア大学バークレー校]]で[[1973年]]に開発された、[[電子回路]]の[[アナログ]]動作を'''シミュレーション'''する[[ソフトウェア]]。 |
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* [[ns (シミュレータ)]] - [[インターネット]]を主な対象とした[[オープンソース]]の離散事象シミュレータ。 |
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* [[OrthoCAD]] - [[歯列矯正]]において矯正歯科医が治療計画、方法作成のために利用するシミュレーションシステム。抜歯の影響の評価や矯正器具の最適な設置位置などがパソコン上で実際に歯を動かすことによりシミュレートできる。 |
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== 脚注 == |
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=== 注釈 === |
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=== 出典 === |
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== 外部リンク == |
== 外部リンク == |
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* [http://www.jsst.jp/j/ 日本シミュレーション学会] |
* [http://www.jsst.jp/j/ 日本シミュレーション学会] |
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* [http://www.jsdam.com/ 日本医学シミュレーション学会] |
* [http://www.jsdam.com/ 日本医学シミュレーション学会] |
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* [http://www.econ.fukuoka-u.ac.jp/~yigarash/jasag/ JASAG] 日本シミュレーション&ゲーミング学会 |
* [http://www.econ.fukuoka-u.ac.jp/~yigarash/jasag/ JASAG] - 日本シミュレーション&ゲーミング学会 |
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* [http://www.eurosim.info/ EUROSIM] |
* [http://www.eurosim.info/ EUROSIM] - ヨーロッパのシミュレーション学会の連合組織 |
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* [http://www.informs.org/ INFORMS] - オペレーションズリサーチと管理科学に関する研究所 |
* [http://www.informs.org/ INFORMS] - オペレーションズリサーチと管理科学に関する研究所 |
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* [http://www.simulationinformation.com National Center for Simulation] |
* [http://www.simulationinformation.com National Center for Simulation] |
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* [http://www.scs.org/ The Society for Modeling and Simulation International (Formerly the Society of Computer Simulation)] |
* [http://www.scs.org/ The Society for Modeling and Simulation International (Formerly the Society of Computer Simulation)] |
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* [http://www.wintersim.org/ Winter Simulation Conference] |
* [http://www.wintersim.org/ Winter Simulation Conference] |
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* [http://www.nihonbinary.co.jp/product-genre-02.html 日本バイナリー株式会社] - 手術シミュレーション機器など |
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[[hu:Szimuláció]] |
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[[id:Simulasi]] |
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[[it:Simulazione]] |
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[[kn:ಸಿಮ್ಯುಲೇಶನ್ (=ಅನುಕರಣೆ)]] |
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[[ko:시뮬레이션]] |
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[[lt:Imitacija]] |
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[[ms:Simulasi]] |
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[[nl:Simulatie]] |
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[[nn:Simulering]] |
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[[pl:Symulacja]] |
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[[pt:Simulação]] |
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[[ru:Симулятор]] |
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[[scn:Simulazzioni]] |
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[[simple:Simulation]] |
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[[sr:Симулација (психологија)]] |
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[[su:Simulasi]] |
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[[sv:Simulering]] |
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[[ta:உருவகப்படுத்துதல்]] |
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[[th:การจำลอง]] |
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[[tr:Benzetim]] |
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[[uk:Симуляція]] |
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[[zh:模擬]] |
2024年11月29日 (金) 17:04時点における最新版
シミュレーション(英: simulation)は、何らかのシステムの挙動を、それとほぼ同じ法則に支配される他のシステムや計算によって模擬すること[1][2]。simulationには「模擬実験」や「模擬訓練」という意味もある[3]。動詞形はシミュレート。
なお、「シュミレーション」は「シミュレーション」の語頭の2音を音位転換させたことによって生じた語形であり、誤りである[注 1]。また、同化によって「シミレーション」と発音されることがある。「シミュレイション」と表記することもまれにある。
概要
[編集]ラテン語の 「similis シミリス(似ている)」「simulare シミュラーレ(模倣する)」「simulat(真似た、コピーした)」といった用語から生まれた概念である。
シミュレーションは、対象となるシステムで働いている法則を推定・抽出し、それを真似るようにして組み込んだモデル、模型、コンピュータプログラムなどを用いて行われる。[2][5]
現実のシステムを動かしてその挙動や結果を確かめることが困難、不可能、または危険である場合にシミュレーションが用いられる。[2][5]
例えば、社会現象などにおける問題の解決方法を探る時など、(悪影響があるので実社会ではとりあえず試せないので)実際の社会と似た状況を数式などで作りだし、コンピュータ等を用いて模擬的に動かし、その特性などを把握するのに用いる[6]。例えば風洞実験、水槽実験で働いている法則を数学的なモデルに置き換えて行う[6][2][5][7][8]。また例えば経営に関する様々な事象を数学的なモデルに置き換えてみて、様々な数値を入力したり変化させることで、結果を推定する[6][9]。
シミュレーションのための装置やプログラムをシミュレータ (英: simulator) と言う[10]。ただし、きわめて単純なシステムを模倣するためのシミュレーション、特に単純化されたモデルを用いる場合などは(とりあえず)紙と鉛筆(やホワイトボードとペン)だけを用いて手作業で行われるものもある。
対象となるシステムにおいて働いている法則をどれほど忠実に模倣するかによって、シミュレーションの精度は異なる。シミュレーションの質は、シミューレーションを設計する者の技量や、どの程度まで法則を見抜き、どこまでそれらの法則を模倣させたか、ということによって異なるのである。現実の法則を十分に模倣していないシミュレーションは、現実とは異なった挙動を示す。
また、コンピュータを用いて連続現象を離散化した積算によるシミュレーションは必ず誤差が生じ、その誤差は蓄積する[11][12]。従ってコンピュータによるシミュレーションによって良好な結果を得る為には、モデル化による誤差見積もりが重要となる。モデル化によるシミュレーションは、現象についてどの程度正確に真似るかによって計算量を調整することが可能であり、現象についての完全な知識は必要とされないなどのメリットがある。
システムのモデル化を行わず、完全な模倣を目的とする場合は、シミュレーションと言わずエミュレーションということもある[13]。エミュレーションは、模倣したいシステムにおいて、予測できる現象より予測できない現象が支配的である場合などに使われる。
目的・用途
[編集]- 建築物や自動車などの製品の機構に内在する欠陥(負荷や強度など)を模型やコンピュータによって探して取り除く。
- ビジネスにおいて客層や商品、時間帯、店舗等の調査結果をシミュレーションに取り入れることで、効率的な販売をする。
- 災害の発生や規模の予知。地震、[14]津波、[15][16]火災などの自然災害や、原子力発電所のメルトダウンや航空機事故などの人災などの防災。
- 自動車におけるドライブシミュレータや航空機におけるフライトシミュレータ等、各種の操縦、操作を学ぶ手立てとしての利用。いろいろな状況、特に実機では危険を伴うような場面を体験することが可能となる。[17][18][19][20][21][22]
- シミュレーションゲームではシミュレーションを娯楽として行う。ボードやコマやカードを使い事象を再現するようなルールに基づいてプレイするものと、コンピュータを使って事象の再現を行わせるものとがある。ウォーゲーム、戦略ゲーム、経営ゲームなど[23][24][25]。前項のドライブ、フライトシミュレータはレース、戦闘などの形でゲームとしても存在する。
- その他、天気予報や人口の推移、予測、分析、医療の分野でも広く使われている。[26][27][28][29][30]
模型などによるシミュレーション
[編集]ミニチュア(相似模型)による実験など、何らかの物理的な物体で実物を置き換えることもシミュレーションの一種である。これを「物理的シミュレーション」と言うこともある。置換する物体としては、実物よりも小さいものや安価なものが選ばれる。このとき、相似則が成立するかどうかの指標となるのがパイナンバーという無次元量である[要検証 ][31]。
航空機(零戦のエルロンフラッターなど)や自動車の空気特性の予測[32]や交通事故の状況再現[33]などにおいて模型実験が活用されたが、再現性にかかわる要因が不足していると現実の現象を正しく近似できないため、ある意味で職人的な素養を要求される。
WSG
[編集]ウォー・シミュレイション・ゲームの略。「図上演習」とも言われる。詳細はゲーデザイナーである鈴木銀一郎などを参照のこと。 模型(図表と駒)を使った戦争シミュレーションの例として、『戦国策』『墨子』には、墨子が公輸盤と戦争を論じ合い、楚王の前で模型を使って勝負をし、公輸盤が新兵器である雲梯を使って9回攻めたが、墨子の守りは固く攻め落とすことができず、これを見た王は宋を侵略しないことを約束したという逸話が記されている。これは模型を使ったシミュレーションによって戦争を防いだ(守城戦を見せつけた)逸話である。また日本でも戦国時代の大名・上杉謙信は2メートル四方もある城の模型を用いて合戦のシミュレーションを行っていたと言い伝えられている[34]。
コンピュータ・シミュレーション
[編集]コンピュータシミュレーションとは、その名の通りコンピュータを用いたシミュレーションのことである。いくつかの種類があり、微分方程式に基づく数値計算によるもの(天体力学における、解析的に解けない場合の軌道計算など)、物理モデルに基づくもの(レイトレーシングなど)、システム・ダイナミクスに基づくもの(成長の限界など)などが知られている。
- コンピュータ・シミュレーションの種類
コンピュータ・シミュレーションには、一旦シミュレーションが始まるとあとはコンピュータだけで完結してシミュレーションを行う「非対話型シミュレーション」と、シミュレーション中に人間がなんらかの形で(コンピュータ内に模擬的に作られた世界に)介入し影響を与えることのできる「対話型シミュレーション」がある[35][36](その応用形のひとつの形が、フライトシミュレータやドライビングシミュレータなどである)。
- モデル開発とモデルの質の重要性
コンピュータ・シミュレーションは、実世界や何らかの仮説的状況をコンピュータ上でモデル化するもので、それによってそのシステムがどのように作用するのかを研究することができる[2][5]。変数を変化させることで、システムの振る舞いについて予測を立てることができる[2][5]。
コンピュータ・シミュレーションは、自然科学的システムのモデル化を行い(たとえば物理学/化学/生物学における様々なモデル化[7][8][37][38][39]、経済学/社会科学における人間に関わるシステムのモデル化、[40][41]さらには工学におけるシステムのモデル化など)、それをコンピュータで計算することで、システムの作用について洞察を得る助けとなる。シミュレーションにコンピュータを使うことの利便性を表す例は多数ある。人々によく知られ、日々実感されている例としては数値予報(en:Numerical weather prediction)、メッシュ予報のために各国の気象機関でスーパーコンピューターを使って行われているシミュレーションが挙げられる。ほかにも「ネットワーク交通量シミュレーション」を挙げる人[42]もいる。異なった数値モデルを使うと振る舞い、結果が異なり、また環境の初期設定を変更してもモデルの振る舞いが変化する。
なお気候変動の予測には、適切な気候モデルを用いたコンピュータシミュレーションが不可欠である。2021年には、はじめて大気海洋結合モデルを開発し地球温暖化について具体的な温度変化の数字もコンピュータではじき出して科学的研究を可能にした眞鍋淑郎にノーベル物理学賞が授与された。
コンピュータ・シミュレーションには様々なタイプがあるが、それらに共通するのは、システムが取りうる全ての状態を列挙するのが不可能あるいは現実的でない場合に、そのモデルの代表的シナリオの標本を生成しようとするという点である。
モンテカルロ法や確率論的モデリングによるコンピュータ・シミュレーションは、モデル化が非常に簡単という特徴がある。[43][44][45][46]
- 計算理論など
コンピュータに関係するシミュレーションであるが、前の節で説明しているものとはおもむきが大きくことなるものなので、節を分けて説明する。計算理論では、たとえば万能チューリングマシン(のような、模倣する能力を持つ機械)が、模倣対象(たとえば、なんらかのチューリングマシン)の状態遷移と入力と出力を記述した状態遷移表[注 2]を実行すること(現代風に言うと、コンピュータがそのようなプログラムを走らすこと)を、シミュレーションと言う。これは、状態遷移系間の関係といった、意味論の研究などで使われている。
コンピュータ・シミュレーションの応用
[編集]コンピュータの登場によって、人間の手による計算ではほとんど不可能な膨大な量の総当りでしか行えない計算が比較的短時間で行えるようになったため、コンピュータによるシミュレーションは自然現象や経済活動や人口の推移といったものに使用されるようになった。コンピューターの演算能力の発展は、以前は縮小模型や実物大模型などによって行われていた実験を計算による仮想空間のみで実験・予測することが可能になってきている。
- 物理学
例えば、木の葉が舞い落ちる動きを通常の手計算で導き出す事は不可能であった。これは重力や空気抵抗だけでなく、木の葉自体の動きによる空気の状態変化などが複雑に絡み合っているからである。この、カオティックな振る舞いに対して、単純計算を膨大に繰り返す事の出来るコンピュータによって、ある程度の周期性や規則性を見出されうる。[5][47]
- 気象学・気象予報
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最近の気象予報には、コンピュータ・シミュレーションは欠かせない。地球という球体上を格子(メッシュ)に区切ったモデルを用いて、スーパーコンピュータを用いてシミュレーションを行っている。コンピュータの性能が向上するにつれて次第に格子の大きさを小さくすることができるようになるとともに、予測精度が向上した。[48][49]
-
コンピュータを用いた竜巻のシミュレーション
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コンピュータによる、台風の48時間の動きのシミュレーション
- 天文学
数値シミュレーションは天文学においては第三の手法と見なされている。天文現象というのは時の長さや空間的なスケールの大きさのせいで実験室で実験することが不可能なため、コンピュータシミュレーションが必要になる。天体物理学者はコンピュータのなかに宇宙を創り出しその中で天文現象を再現しその挙動を確かめる[50]。
- コンピュータの実機のシミュレーション(模倣)
コンピュータを使ったコンピュータのシミュレートというものもある。エミュレータと呼ばれるシミュレータも使われる(たとえば実機で走らせるのが困難な場合や面倒な場合や、制御されたテスト環境下でプログラムを実行して実害が出ない安全な状態で結果を事前に確認するためなどに使われる。)
仮想化というのもシミュレーションの一種である。たとえば、マイクロプログラムやアプリケーションプログラムを、実機に送り込む前にデバッグするのに使う。コンピュータの動作がシミュレートなので、コンピュータの動作の全ての情報をプログラマが直接的に利用でき、速度を変えたりステップ実行したりなど好きなようにできる。一方でいわゆる「ゲートレベル」の完全なエミュレーションは現実的でないことが多く、また普通はそこまで厳密にエミュレーションする必要はないことも多いが、例えばエミュレートしきれない部分の実機にバグがある場合のデバッグまではできない。プログラムによるシミュレーションでは速度的に不十分な必要な場合は、FPGAなどのプログラマブルなハードウェアによって、エミュレーションないしシミュレーションを行うこともある。VMware、VirtualBox、Hyper-Vなどを用いて、バーチャルにOSを構築し、さまざまな環境を設定してOSの挙動を安全な環境下で確かめる手法も一般化している。
- エミュレータ、命令セットシミュレータ、仮想化、仮想機械なども参照のこと。
- 通信プロトコルのシミュレーション
TCP/IP等の通信プロトコルの分野では日々新しい方式が提案されている。IEEEやITU、あるいは日本の電波産業会(ARIB)などで次世代の通信プロトコルの標準規格が議論されるが、このとき各提案者の案として提示されている規格が、さまざまな条件下でどのような特性を持っているのかを比較検討する必要がある。このような局面で通信プロトコルのシミュレーション が必須となっている。2層(データリンク層)以上の通信プロトコルの規格は状態遷移図で記載されることが多いが、記述された状態遷移等の処理、条件をコンピュータ上で疑似し、スループットやエラー処理などの評価を行う。
学術機関で用いられるシミュレータはns[51] 等のオープンソースソフトウェアが多いが、民間企業や民間研究所のような、資金に余裕があり応用に近い研究を行う組織では、大規模トポロジ構築などを容易に行えるツール群が整備され、より迅速に現実に即した解析が可能なQualnet[52][53]、OPNET Modeler[54][55] 等の商用のシミュレータを使用するケースが多い。
この分野のシミュレーションでは信号処理の部分をMATLAB/Simulink、[56]電波伝搬の部分をWirelessInSight, Winprop, Atoll等の他のシミュレータや計算ソフトと連携させたりする場合もある。また特に無線、移動体の分野では各通信機の動きも重要な要素となるためその部分に関して他のツールや実際の計測値などと連携させる試みもなされている。
Qualnet、OPNET Modeler[57]等の商用ツールでは実際のネットワーク上を流れる通信パケットをシミュレータと接続できるものもあり、仮想のネットワークを利用した時の動画品質も確認などにも使われている。
- 電子回路の設計・実験
コンピューター上で電子回路の設計や実験をするのに、SPICEやSPICEを起源とする電子回路シミュレーション・ソフトウェア等が使われている。電子回路を所定の書式でシミュレーターに入力(GUIによる入力が可能なものも多い)すると、各電子部品の電気的特性を元に回路の動作が計算され、回路の動作を調べることができる。[58]
マイクロプロセッサなど高度に複雑なディジタルLSIの論理設計も、実際に製造に入る前にシミュレータでテストされる。
- アンテナのシミュレーション
無線工学においては、アンテナの設計をするのにアンテナ・シミュレーション・ソフトウェアが用いられる。アマチュア用途ではMMANAやMMANA-GAL等のフリーソフトがある。アンテナの物理的な形状を入力すると、自由空間や特定の地上高におけるアンテナ上の電圧分布、電流分布、共振周波数、給電点におけるインピーダンス特性、SWR特性などを計算により求めることができる。短縮型アンテナやマルチバンド・アンテナの設計のために、延長コイル、短縮コンデンサ、LCトラップ等を挿入した場合のリアクタンス値を求めることもできる。
- 電波伝播のシミュレーション
無線工学において、電波伝播(電波の伝わり方)をシミュレーションするのに電波伝播シミュレーション・ソフトウェアが用いられる。VHFやUHFのテレビ放送局や中継局のサービスエリアを調べるために、アメリカの研究者 A. G. Longley と P. L. Rice とが1968年にLongley-Rice Modelアルゴリズムを開発・発表した。このアルゴリズムは 20 MHz - 20 GHz の周波数に適用でき、これを基にした電波伝播シミュレーション・ソフトウェアが、日本のいくつかの電気通信コンサルタント会社により開発されている。[59]
シミュレーションするには、ソフトウェアに、大地の導電率と比誘電率、大気の屈折率、送信場所や受信場所の標高、周波数、電波の偏波面、アンテナの利得や地上高、送信機の出力、受信機の感度などの値を与える。また、シミュレーション対象地域のデジタル地形データ(たとえばNASAのFTPサイト[60] からダウンロードできる)を与える。すると、電波の大気による屈折、地形による反射や回折、電波が伝わるうえで受ける減衰等を計算し、電波の届く範囲をシミュレーションする。結果は、数値や、地図上に電波の強さごとにグラフィカルに色分けして示される。[59]
フリーソフトとしてはカナダのアマチュア無線家 Roger Coude(VE2DBE)が1988年に開発した Radio Mobile[61] がある。[59]
- 軍事
軍事分野においては戦闘状況をシミュレートしたモデル研究が行われており、地形、時間、損害率、兵員数、戦闘価値、移動速度、発見率、命中率などの要素から戦闘の推移、両軍の損害などを導き出すことができる。また指揮官制、補給計画立案、戦術研究、海空軍の訓練などでシミュレーションは用いられている。[62][63]
また、最近の戦争においては情報を伝達するための通信の確保は戦況を左右する重要な要素であるため、部隊展開時に山間部や市街地などにおいても兵員同士が途切れることなく通信できることをシミュレーションするシステム(JCSS:旧称 NetWars)をアメリカ国防情報システム局(DISA)が開発している[64][65]。
歴史的には軍事学的な研究に由来の一部を持つオペレーションズ・リサーチでは、数理的なモデル化とコンピュータシミュレーションは両輪をなしており、経済など社会活動の分析に現代では広く活用されていて、今ではむしろ軍事は単にその応用分野のたった一つに過ぎない。[66][67][68]
- 他
シミュレータを使ってフォルトツリー解析を行うこともある[69][70][71]。
最適化問題の分野では、物理プロセスのシミュレーションが進化的計算と共に使われ、制御戦略の最適化を行う。
訓練としてのシミュレーション
[編集]シミュレーションは一般市民や兵士の訓練に使われることが多い。これは、実際の装置や兵器を訓練に使用するのがコスト的に高価すぎたり、単に非常に危険であるという理由からである。この場合、安全な仮想環境で意味の有る訓練が行われる。特に、実際なら生命に関わるような失敗をしても許される点は重要である。
訓練におけるシミュレーションは3つに分類される。
- 「ライブ」シミュレーション - 実地でシミュレートされた装備を身につけた人間が訓練を行う。
- 「仮想」シミュレーション - 仮想環境でシミュレートされた装備を身につけた人間が訓練を行う。
- 「構築型」シミュレーション - 仮想環境でシミュレートされた装備を身につけたシミュレートされた人間が訓練を行う。これは、ウォーゲームと呼ばれるものが進化したものである。
フライトシミュレータ
[編集]フライトシミュレータは、地上で操縦士が航空機の操縦訓練に用いる。再現の度合いにより異なるが一定の訓練時間が飛行時間として認められる。実際の航空機よりも低価格ながらエンジンが停止した状態での着陸、離陸直後のトラブルなど、実地では困難な訓練が可能である。[17][18][19][20][21][22]
現在では、機種癲癇においてフライトシミュレータが用いられているという。
ドライブシミュレータ
[編集]ドライブシミュレータは実際の自動車の特性を仮想環境内で再現する。外的要因や条件を再現し、さまざまな車両運転状況が体感可能である。[72][73]
船舶シミュレータ
[編集]船舶シミュレータは、船員の訓練に用いる[74][75]。特に大型の船舶をシミュレートするものが多く、操船訓練を行なう操船シミュレーター、エンジンプラントの運転訓練を行なうエンジントラブルシミュレーター、荷役訓練を行なう荷役シミュレーターなどがある。
プラントシミュレータ
[編集]化学プラントのプラントシミュレータは、物理モデルに基づいて化学プラントの動的な挙動を模擬するものである.さまざまな条件下で挙動を再現し、主にプラントを運転するオペレータの運転操作訓練に用いる.
教育におけるシミュレーション
[編集]教育におけるシミュレーションも訓練の一種と考えられ、特定の主題に沿って行われる。[76][77][78]ビデオを鑑賞し、問題の解決策を話し合い、ロールプレイを行うなどの手法がある。ロールプレイング方式で行うものは、ゲームの一種としてゲーミング・シミュレーション(あるいは単にゲーミング)と呼ばれることが多い[79]。企業によるビジネス教育の一環としてもシミュレーションが採用されつつある。リスクのない仮想環境でビジネス戦略の実験をしたり、ケーススタディーの学習における拡張手段として用いられる。
軍事教練におけるシミュレーション
[編集]兵士が行軍や歩兵戦闘などをシミュレーションするもの。Operation Flashpoint: Cold War CrisisやArmA: Armed Assaultから発展したVBS1・VBS2が米豪等の軍で採用されている。
班単位での射撃訓練が可能な大型シミュレータも登場しており、陸上自衛隊では10名が同時に利用できる「普通科部隊戦闘射撃訓練シミュレーター(GICCS)」を導入している[80]。
危機管理シミュレーション
[編集]危機管理(crisis management)に際して、予測困難な事象に対して複数主体間でそれぞれの目標を達成しようとするシミュレーションが危機管理シミュレーションである。キューバ危機(1962年)で危機を回避した歴史をもとに、キューバ危機をめぐるゲーミング・シミュレーションがアメリカをはじめ過去に遡及し歴史をなぞる形で実施されてきた。他にも、台湾海峡危機、冷戦期の核戦争回避、北朝鮮の核開発をめぐる6カ国協議、2010年の漁船衝突事件、などが主題となる。
現実世界は時間が連続し「一難去ってまた一難」ということがありうるが、ゲーミング・シミュレーションには1)必ず「終わり」があり、2)予定調和が埋め込まれ「箱庭」的である[81]。そのためゲーミングの終了を見越して駆け込みで行動する(これ自体は合理的な行為である)プレイヤーが生まれ、勝ち逃げ(例えば「駆け込み核戦争」)が発生する一因となる[82]。むろん現実の世界でも政治的な時間軸には「節目」があり(例えば大統領の任期)、駆け込み的行動がみられる。そのため、シミュレーション上で駆け込みの制御をいかに条件づけるが課題となる。
ゲーミング上での想定外の行動(事象)をどのように評価するかがゲーミング・シミュレーションでは問われる[83]。現実に多くの専門家が予想を外した朝鮮戦争(1950年)、ソ連崩壊(1991年)、911テロ事件(2001年)、対テロ戦争後のカブール陥落(2021年)、ロシアのウクライナ侵攻(2022年)といった「想定外」の事実に対抗して、仮想世界で同様な大規模な変化をアクターがおこすことがある。想定外ゆえに捨象したり除外するのでは危機管理の意味がない。しかし想定外が多発するのも現実的ではない。箱庭としてのゲーミングではとらえきれないルール・ジェネレート的発想が必要とされる所以である[81]。
また危機に際しては誤認・誤解、疑心暗鬼、相互不信が高まる中[84]、短い時間での政策決定が後に甚大な惨禍をもたらすことがある。グレアム・アリソンの第2モデル(組織過程モデル)、第3モデル(政治過程モデル)に加えて、認知的アプローチが必要となる。集団思考(groupthink)の可能性も想定せねばならない。完備情報下の合理的行動とは異なる、こうした危機における行動の特性を理解するためにゲーミング・シミュレーションは有用である[85]。
宇宙開発とシミュレーション
[編集]宇宙開発の船外活動のシミュレーションとしては、ひとつはプールを使う方法がある。NASAなどで採用されている。水の浮力によって、宇宙空間の無重力状態に、若干似た状態を作りだすことができ、船外作業の体験・訓練を行うことができる[注 3]。ロボットアームの動き、作業手順などのシミュレーションは、コンピュータを用いたものも用いられ、実際の操作レバーと、コンピュータ画面内に作りだされた映像で模倣・確認しつつ訓練を行うものである。
医療・救急用シミュレータ
[編集]医療シミュレータは、医療に従事する者への治療法/診断法/概念/意思決定についての教育の目的で、近年開発が盛んになってきている[86][87][88]。医療シミュレータによる訓練は、単純な血液採取から腹腔鏡手術まで各種存在する。また、新型医療機器の開発においてもシミュレーションは重要である。医療シミュレータでもコンピュータが重要な役割を担っている。実物大の人形を用いたシミュレータでは、人形への薬物投与などによって適切な反応を示すようにプログラムされている。視覚をコンピュータグラフィックスで擬似する場合、触覚は訓練者の動作に反応するようプログラムされたフィードバック機器で再現する。この場合、現実性を増すために実際の患者のCTやMRIのデータを用いることが多い。より簡便なシミュレーションとして、ウェブブラウザで操作できるものもあるが、触覚は再現されず、キーボードとマウスで操作することになる [1]。
諏訪邦夫は、麻酔のシミュレータをみずからプログラムを書いて開発したという。
経済・金融
[編集]最近の経済学的研究によって、実際には(古典経済学とは異なって)人々の個々の行動の動機は実に様々であることが明らかになってきているが、仮に、古典経済学的なモデル、つまり「人は全て自分の利益追求だけを求める」とするような極端な(本当の科学としては、事実とは異なり、かなり問題含みの)モデルを採用した場合でも、社会全体としての動きを知る事は出来ない。単純が複数集まるとそこには、様々な性質が生まれるという複雑系であるためで、これもまた、コンピュータの膨大な計算のシミュレーションによって予想されうるものであるが、実際のところ株価や物価の変動など、経済の動きを予測することは容易ではない。
金融においては、コンピュータシミュレーションを用いてシナリオ立案が行われる。例えば、リスクを考慮した正味現在価値 (NPV) は計算方法は確立しているが、入力値は不明な場合がある。評価対象のプロジェクトの性能を擬似することで、シミュレーションによって様々な場合の NPV が求められる。
デザイン・都市景観
[編集]コンピュータグラフィックス(CG)によって作成されたバーチャルリアリティ映像を、工業デザインや建築デザインの成果物を事前評価するのに用いる[89][90]。例えば建築物や構造物による景観への影響を予測する景観シミュレーションの場合、実写風景の上で建物のCGと組み合わせたり、建物や背景の全てをCGで構築し、実際に建築した様子に近い景観を観察することが出来る。コンピュータの計算能力が実用に達するまでは、手作業により遠近法にそって書かれたパース画を作成し評価していた。
都市計画のツールとして都市シミュレータを使って、様々なポリシーの決定によって都市がどのように変わるかを把握することができる。大規模な都市シミュレータの例としては、UrbanSim[91][92](ワシントン大学[要曖昧さ回避]で開発)、ILUTE[93](トロント大学で開発)、Distrimobs[94](ボローニャ大学で開発)などがある。都市シミュレータはエージェントに基づくシミュレーションが一般的で、土地の利用計画や交通機関などが入力として設定される。
景観シミュレータと都市シミュレータの開発を行う研究分野は、一般的に計画支援システムと呼ばれている。
工学(技術)シミュレーションとプロセスシミュレーション
[編集]シミュレーションは、工学システムや多くのプロセスから構成されるシステムの重要な機能である。例えば電子工学では、遅延線を使って実際の伝送線路における遅延や位相のずれをシミュレートする。また、擬似負荷(ダミーロード)を用いてインピーダンスのシミュレートが行われる。シミュレータは一般にシミュレート対象の一部の操作や機能だけを擬似する。一方、エミュレータは対象の全機能を擬似するのが一般的である。
多くの工学シミュレーションは、数学的モデルを用いて、コンピュータを利用して行われる[2][5]。しかし、その数学的モデルが信頼できない場合も多い。流体力学のシミュレーションは数学的なシミュレーションと物理的なシミュレーションの両方を必要とすることが多い(数値流体力学も参照)[95]。この場合、物理的モデルは動的相似性(Dynamic Similitude)を要求される。物理的シミュレーションや化学的シミュレーションは、研究目的だけでなく、具体的な実用目的を持つ。例えば、化学工学におけるプロセスシミュレーションによって得られたプロセスのパラメータは、石油精製などの化学工場の運用に即座に活用できる[96][97]。
離散事象シミュレーション
[編集]生産技術・オペレーション・オペレーションズリサーチの分野でよく使われる離散事象シミュレーションは、様々なシステムのモデル化に使われる[98][99]。例えば、ビジネスにおいて各個人が30のタスクを実行可能で、数千の製品やサービスがあり、各製品/サービスには数十のタスクを逐次的に行う必要があり、顧客がどの製品/サービスを求めるかは季節によって変動したり、将来的に変化していく。このような状況をシミュレーションすることで経営上の様々な意思決定の助けとなる。
参考文献
[編集]- R. Frigg and S. Hartmann, Models in Science. Entry in the Stanford Encyclopedia of Philosophy.
- S. Hartmann, The World as a Process: Simulations in the Natural and Social Sciences, in: R. Hegselmann et al. (eds.), Modelling and Simulation in the Social Sciences from the Philosophy of Science Point of View, Theory and Decision Library. Dordrecht: Kluwer 1996, 77–100.
- P. Humphreys, Extending Ourselves: Computational Science, Empiricism, and Scientific Method. Oxford: Oxford University Press, 2004.
- Roger D. Smith: Simulation Article,Encyclopedia of Computer Science, Nature Publishing Group, ISBN 0-333-77879-0.
- Roger D. Smith: "Simulation: The Engine Behind the Virtual World", eMatter, December, 1999.
- South, R., "A Sermon Delivered at Christ-Church, Oxon., Before the University, Octob. 14. 1688: Prov. XII.22 Lying Lips are abomination to the Lord", pp.519–657 in South, R., Twelve Sermons Preached Upon Several Occasions (Second Edition), Volume I, Printed by S.D. for Thomas Bennet, (London), 1697.
- Of Simulation and Dissimulation フランシス・ベーコンの論文
- Wolfe, Joseph & Crookall, David, (1998). Developing a scientific knowledge of simulation/gaming. Simulation & Gaming: An International Journal of Theory, Design and Research, 29(1), 7–19.
- Bibliographies containing more references to be found on the website of the journal Simulation & Gaming.
- Kaneda, T., Kanegae, H., Toyoda, Y., Rizzi, P. (eds.) Simulation and Gaming in the Network Society, Springer, 2016
- 橋本洋志、牧野浩二:「Pythonコンピュータシミュレーション入門:人文・自然・社会科学の数理モデル」、オーム社、ISBN 978-4-274-22698-4 (2021年4月12日).
関連項目
[編集]関連団体・研究集会
[編集]国内
[編集]- 応用数学分科会 (日本数学会の分科会で、数値シミュレーションも扱う)
- 日本応用数理学会 (数値シミュレーションも扱う)
- 日本シミュレーション学会
- 日本シミュレーション・ゲーミング学会
- 日本計算工学会
- 日本コンピュータ化学会
- 日本流体力学会
海外
[編集]- en:International Association for Mathematics and Computers in Simulation
- en:Society for Modeling and Simulation International
- Society for Industrial and Applied Mathematics (数値シミュレーションも扱う学会)
- International Symposium on Scientific Computing, Computer Arithmetic, and Validated Numerics (数値シミュレーションに関する国際研究集会)
関連分野
[編集]ソフトウェア
[編集]- Scilab - MATLAB類似でフリーウェアのシミュレーション言語。[100][101][102][103]システムフロー図をGUIで描いてプログラムできる。
- GNU Octave - MATLAB互換を目指したフリーソフトウェアの行列型数値計算用言語。[104][105][106]統計物理や工学的計算によく使われる。
- R言語 - S言語準拠のフリーソフトウェアの行列型数値計算言語。経済予測など時系列解析・シミュレーションによく使われる。[107][108][109][110]
- SPICE (ソフトウェア) - カリフォルニア大学バークレー校で1973年に開発された、電子回路のアナログ動作をシミュレーションするソフトウェア。
- ns (シミュレータ) - インターネットを主な対象としたオープンソースの離散事象シミュレータ。
- OrthoCAD - 歯列矯正において矯正歯科医が治療計画、方法作成のために利用するシミュレーションシステム。抜歯の影響の評価や矯正器具の最適な設置位置などがパソコン上で実際に歯を動かすことによりシミュレートできる。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 石綿敏雄は、日本語の(漢語由来の)拗音には歯音系のシュ・ジュが多く、唇音系のミュ・ヒュ・ビュが少ないことから、日本人にとって「シミュレーション」より「シュミレーション」のほうがずっと発音しやすく、このことが誤表記・誤発音の要因となっているのではと推測している[4]。
- ^ 英語版のSimulationの記事がこれを「状態遷移表」としている。等価性としては多分それでもいいと思うが普通は、万能チューリングマシンの議論では、状態遷移表は万能機械を記述する遷移表とし、対象機械の記述はテープの初期状態として与える。
- ^ 完全には同じではないが、宇宙飛行士は、自分の身体が浮いてしまっている状況での作業の困難さを体験することができる。
出典
[編集]- ^ 広辞苑第6版
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外部リンク
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- 日本医学シミュレーション学会
- JASAG - 日本シミュレーション&ゲーミング学会
- EUROSIM - ヨーロッパのシミュレーション学会の連合組織
- INFORMS - オペレーションズリサーチと管理科学に関する研究所
- National Center for Simulation
- Simulation Interoperability Standards Organization
- The Society for Modeling and Simulation International (Formerly the Society of Computer Simulation)
- Winter Simulation Conference
- 日本バイナリー株式会社 - 手術シミュレーション機器など