「リブロ」の版間の差分
m 失礼しました。 |
|||
(59人の利用者による、間の88版が非表示) | |||
1行目: | 1行目: | ||
{{Pathnav|[[日本出版販売]]|frame=1}} |
|||
{{otheruses|書店チェーン|日本のヒップホップ・ミュージシャン|LIBRO}} |
|||
{{基礎情報 会社 |
{{基礎情報 会社 |
||
|社名=株式会社リブロ |
|社名=株式会社リブロ |
||
|英文社名=LIBRO CO., LTD. |
|英文社名=LIBRO CO., LTD. |
||
|ロゴ= |
|ロゴ = |
||
|画像 = [[File:LIBRO Emio-Fujimidai branch 2017-10-08.jpg|250px]] |
|||
⚫ | |||
|画像説明 = エミオ富士見台店 |
|||
|市場情報=非上場 |
|||
⚫ | |||
|機関設計= |
|||
|市場情報 = <!-- 株式非公開会社において「非上場」などと書く必要はありません --> |
|||
|略称= |
|略称= |
||
|国籍={{JPN}} |
|国籍={{JPN}} |
||
|郵便番号=171-0021 |
|郵便番号=171-0021 |
||
|本社所在地=[[東京都]][[豊島区]][[ |
|本社所在地=[[東京都]][[豊島区]][[東池袋]]4-23-15<br />第2キンズメンビル |
||
|電話番号=03-3980-9090 |
|||
|設立=1985年6月10日 |
|設立=1985年6月10日 |
||
|廃止 = 2018年9月1日(株式会社リブロプラスに合併し解散) |
|||
|業種=小売業 |
|業種=小売業 |
||
|事業内容=書籍・雑誌の小売販売及び卸売等 |
|事業内容=書籍・雑誌の小売販売及び卸売等 |
||
|代表者=代表取締役社長 |
|代表者=代表取締役社長 三浦正一 |
||
|資本金=9000万円 |
|資本金=9000万円 |
||
|発行済株式総数= |
|発行済株式総数= |
||
|売上高= |
|売上高=201億円<br />(2015年2月期) |
||
|営業利益= |
|営業利益 = |
||
| |
|経常利益 = |
||
|純利益 = △1億4824万4000円<br />(2018年2月期)<ref name="fy">[https://kessan.laboneko.jp/settlements/6139 株式会社リブロ 第2期決算公告]</ref> |
|||
|純資産= |
|||
| |
|純資産 = |
||
|総資産 = 71億1068万1000円<br />(2018年2月28日現在)<ref name="fy" /> |
|||
|従業員数= |
|従業員数=341人<br />(2015年2月現在) |
||
|決算期=2月末日 |
|決算期=2月末日 |
||
|主要株主=[[日本出版販売]]株式会社 100% |
|主要株主=[[日本出版販売]]株式会社 100% |
||
|主要子会社= |
|主要子会社= |
||
|関係する人物= |
|関係する人物= [[堤清二]] |
||
|外部リンク= |
|外部リンク=https://www.nic-retails.co.jp/ |
||
|特記事項= |
|特記事項= |
||
}} |
}} |
||
'''株式会社リブロ''' |
'''株式会社リブロ'''({{Lang-en-short|LIBRO CO., LTD.}}) は、かつて[[東京都]][[豊島区]][[東池袋]]に本社を置いていた中規模[[書店]][[チェーンストア|チェーン]]である。[[セゾングループ]]を率いた[[堤清二]]が創業に関わり同グループにおけるの文化戦略の一翼を担った。[[2003年]]7月に[[日本出版販売]](日販)傘下となる。 |
||
書店経営に逆風が吹く中、経営基盤を強化するとともに店舗経営などを効率化するため、[[2018年]]9月1日付で同じく日販傘下で[[オリオン書房]]を運営する万田商事株式会社を存続会社として株式会社あゆみBooksとともに合併。株式会社リブロプラスとなった。店舗におけるリブロの商号は引き続き使用されている<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.nippan.co.jp/news/libroplus-20180724/|title=グループ書店事業3社の経営統合に関するお知らせ {{!}} 日本出版販売株式会社|accessdate=2018-10-09|website=www.nippan.co.jp|language=ja}}</ref><ref>『セゾン 堤清二が見た未来』p.187</ref>。2023年10月1日にはブラス株式会社が、株式会社リブロプラスと株式会社Y・spaceを吸収合併、ブラス株式会社をNICリテールズ株式会社に社名変更。 |
|||
⚫ | |||
{{独自研究|section=1|date=2009年6月}} |
|||
池袋は[[東京都区部]]では[[神田神保町]]と並ぶ書店激戦区である。読書が知的な娯楽であり、書籍以外のメディアが乏しいこともあって売れ行きの良かった[[1970年代]]には、思想・社会系で優れた品揃えをする駅西口の[[芳林堂書店]](閉店)や、東口駅前(南池袋)に店構えした法律・経済系に強い老舗[[新栄堂書店]](閉店)など、多くの書店が競り合った。 |
|||
[[関東地方]]を中心に主要都市で[[店|商業施設]]・[[テナント]]内を中心に展開する。パルコ内に出店していることが多い。本店を[[西武の店舗一覧#池袋本店|西武池袋本店]]書籍館・別館に構えていたが、[[2015年]]7月20日を以て閉店している。 |
|||
当時の社会情勢では、[[左翼]]思想運動などに関与して体系思想をもった人材が出版関連に参入し、そこで活躍するといった潮流ができていた。しかし、リブロの前身である西武ブックセンターに限っては、百貨店テナントとして進出したものであり、歴史も人材も持たぬところからのスタートであった。 |
|||
[[大韓民国|韓国]]には同名・同業種の「BOOKS LIBRO」が存在するが、本項のリブロとは無関係な会社である。 |
|||
ところが逆に、自由で柔軟な売り場編集が許され、[[西武グループ|西武]]・セゾンの強力なブランドイメージを背景に、営業方針思想からして違う書店を目指した。[[ポストモダン]]がファッションの小道具と化した時代には、セゾンがその商業的中心であり、当然リブロも付き従って一定の知名度を獲得した。硬直した思想が疎まれた[[バブル景気|バブル期]]の「軽チャー」路線の象徴ともいえる。 |
|||
⚫ | |||
1985年から1998年にかけて、系列会社の出版社「[[リブロポート]]」が活動した。また[[大韓民国|韓国]]には同名の「BOOKS LIBRO」が存在するが、全く関係はない。 |
|||
[[File:Meiko Building 2012-01-26.JPG|thumb|200px|本社が2013年9月まで入居していた明光ビル]] |
|||
[[1970年代]]の池袋は、思想・社会系で優れた品揃えをする[[西池袋|駅西口]]の[[S企画|芳林堂書店]](閉店)や、東口駅前([[南池袋]])に店構えした法律・経済系に強い老舗新栄堂書店(東口駅前店は閉店したが、南池袋にて小規模継続営業中)など、多くの書店が競合していた。そのような中、堤清二宛に「文化を標榜している西武流通グループがなぜ自分の力で書店をつくろうとしないのか。」との主旨がしたためられた手紙が届いた。それを読んだ堤は自前で書店を立ち上げることを決意し<ref>『セゾン文化は何を夢みた』p.66</ref>、1975年9月には旧リブロ池袋本店の前身となる西武ブックセンター(西武百貨店書籍部)がオープンした。百貨店テナントとして歴史も人材も持たぬところからのスタートであった。 |
|||
その後1985年には、[[西武百貨店]]や[[西友]]内に設けられた書籍売り場を統合し株式会社リブロが設立された<ref>『セゾン文化は何を夢みた』p.63</ref>。1980年から1998年まで、系列の出版社として「[[リブロポート]]」が運営されていた。 |
|||
⚫ | |||
書店業界も小売り一般と同様、営業規模がものを言う大規模化・チェーン化の道を辿り、[[1997年]]には[[近畿地方]]に地盤を持つ[[ジュンク堂書店]]が池袋店(当時関東最大級)を出店させ、商戦の激化に拍車をかけた。 |
書店業界も小売り一般と同様、営業規模がものを言う大規模化・チェーン化の道を辿り、[[1997年]]には[[近畿地方]]に地盤を持つ[[ジュンク堂書店]]が池袋店(当時関東最大級)を出店させ、商戦の激化に拍車をかけた。 |
||
1998年には、リブロの経営を[[西友]]からパルコが引き受けた<ref>『セゾンの挫折と再生』p.160</ref>。 |
|||
⚫ | |||
[[2003年]]7月には[[日本出版販売]]がリブロの株式をパルコから90%取得することで買収した<ref>{{Cite press release |和書|title=子会社株式の譲渡に関するお知らせ|author= |agency=|publisher=株式会社パルコ|date=2003-7-9|url=http://www.parco.co.jp/pdf/jp/library/file_030709ss.pdf|accessdate=2015-8-17}}</ref>。これによってセゾングループから外れた。2000年代中頃には、同じ系列で同業種だった[[パルコブックセンター]]との[[経営統合]]を行った。 |
|||
⚫ | |||
日販傘下となった以降は、各地の大型商業施設への出店を進め |
日販傘下となった以降は、各地の大型商業施設への出店を進め、郊外型店舗では[[イオングループ]]のショッピングセンター、また都市型店舗では九州・[[熊本市]]の[[県民百貨店|県民百貨店(旧・くまもと阪神)]]や[[沖縄県]][[那覇市]]の[[パレットくもじ]]〔[[リウボウインダストリー|リウボウ]]〕への出店などが行われている。 |
||
[[2015年]]3月、本店を西武池袋本店 書籍館・別館から撤退すると発表し<ref>{{cite news |title=リブロ、池袋本店を7月末までに閉店|author= |agency=|publisher=日本経済新聞|date=2015-3-4 |url=https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ04HVK_U5A300C1TJ2000/|accessdate=2015-6-3}}</ref>、同7月20日の営業をもって閉店した<ref>{{cite news |title=ショップブログ リブロ池袋本店閉店のお知らせ|author= |agency=|publisher=リブロ|date= |url=http://www.libro.jp/blog/ikebukuro/blog/close.php|accessdate=2015-6-3}}</ref>。この閉店は「通常のテナント契約の満了」とされていたが、西武百貨店の後身である[[そごう・西武]]の親会社である[[セブン&アイ・ホールディングス]]を率いていた当時の[[鈴木敏文]]会長が、日販と競合する[[トーハン]]出身であったことが影響しているという見方も存在した<ref>{{cite news |title=「聖地」リブロ池袋本店が閉店へ そうか、そんな事情が...|author= |agency=|publisher=[[J-CAST]]ニュース|date=2015-03-04 |url=https://www.j-cast.com/2015/03/04229477.html?p=all|accessdate=2021-8-1}}</ref>。 |
|||
== 回想 == |
|||
セゾングループ時代の回想に、本部勤務の今泉正光(聞き手[[小田光雄]])『「今泉棚」とリブロの時代-出版人に聞く〈1〉』([[論創社]] 2010)、中村文孝(聞き手同)『リブロが本屋であったころ-出版人に聞く〈4〉』(論創社 2011) 。 |
|||
跡地には7月29日に[[三省堂書店]]池袋本店がプレオープンし<ref>{{cite news |title=リブロ池袋本店40年の歴史に幕 作家らも駆け付け、ネットでも惜しむ声|author= |agency=|publisher=池袋経済新聞|date=2015-7-21|url=http://ikebukuro.keizai.biz/headline/1316/|accessdate=2015-7-23}}</ref><ref>{{cite news |title=リブロ池袋本店跡に三省堂書店が入居|author= |agency=|publisher=日本経済新聞|date=2015-7-16|url=https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ16HP2_W5A710C1TI5000/|accessdate=2019-06-27}}</ref>、12月6日にグランドオープンした<ref>{{cite news |title=三省堂書店池袋本店、グランドオープンです!|author= |agency=|publisher=三省堂書店|date=2015-12-06 |url=http://ikebukuro.books-sanseido.co.jp/news/434|accessdate=2015-12-08}}</ref>。リブロは池袋周辺に移転先を構想したが未定となり、2022年時点でも池袋に再出店は行われていない<ref>[https://libroplus.co.jp/shop/?area_key=key_kanto 店舗検索(関東地方)](リブロ)</ref>。 |
|||
またインタビューを交えた[[永江朗]](元スタッフ)による 『セゾン文化は何を夢みた』([[朝日新聞出版]] 2010)と、田口久美子(リブロの元店長)による『書店風雲録』、(本の雑誌社、新版・[[ちくま文庫]]/続編に『書店繁盛記』 ポプラ社、新版・ポプラ文庫)がある。 |
|||
== 参考文献 == |
|||
== 駅シェルパサービス == |
|||
* 小川道明 『棚の思想―メディア革命時代の出版文化』([[影書房]]、1990年)- 創業幹部による[[昭和]]時代の活動報告 |
|||
池袋本店では1,575円以上の購入で、[[西武鉄道]]の一部[[鉄道駅|駅]][[改札]]の「お客様ご案内用オープンカウンター」で購入商品を受け取ることが可能な「駅シェルパサービス」を実施している。詳細は[http://www.libro.jp/shop_list/2009/07/ikebukuro-honten.php 公式サイト]を参照。 |
|||
* [[永江朗]] 『セゾン文化は何を夢みた』([[朝日新聞出版]]、2010年)- セゾングループの洋書店アール・ヴィヴァンで勤務した著者によるインタビューを交えた著作 |
|||
* [[由井常彦]]<ref>編者代表『セゾンの歴史 変革のダイナミズム』ほか、「セゾングループ史」全4冊(リブロポート、1991年)を刊行している。</ref>、田付茉莉子、伊藤修 『セゾンの挫折と再生』(山愛書院、2010年)。ISBN 4434143131 |
|||
* 鈴木哲也『セゾン 堤清二が見た未来』([[日経BP]]社、2018年)。ISBN 4822256057 |
|||
;;<span style="font-size:105%;">以下は社員たちの回想記</span> |
|||
* 今泉正光 『「今泉棚」とリブロの時代-出版人に聞く〈1〉』([[論創社]]、2010年)- セゾングループ時代に本部に勤務(店舗企画担当)、公開インタビュー(聞き手[[小田光雄]]) |
|||
* 中村文孝 『リブロが本屋であったころ-出版人に聞く〈4〉』(論創社、2011年)- セゾングループ時代に本部に勤務、公開インタビュー(聞き手小田光雄) |
|||
* 菊池壮一 『書店に恋して-リブロ池袋本店とわたし』([[晶文社]]、2018年)- 元幹部社員による回想記 |
|||
* 田口久美子 『書店風雲録』([[本の雑誌社]]/新編版・[[ちくま文庫]])- リブロの元店長による回想記 |
|||
* 田口久美子 『書店繁盛記』([[ポプラ社]]/新版・[[ポプラ文庫]])- 続編 |
|||
* 田口久美子 『書店不屈宣言 わたしたちはへこたれない』([[筑摩書房]]/増補版・[[ちくま文庫]])- 続編 |
|||
* 辻山良雄『本屋、はじめました』(苦楽堂、2017年/増補版・ちくま文庫、2020年)- 著者は閉店時の池袋本店マネージャー |
|||
⚫ | |||
{{Reflist}} |
|||
== 外部リンク == |
== 外部リンク == |
||
* [ |
* [https://www.nic-retails.co.jp/ NICリテールズ] |
||
{{セゾングループ}} |
|||
{{company-stub}} |
|||
{{DEFAULTSORT:りふろ}} |
{{DEFAULTSORT:りふろ}} |
||
[[Category:書店]] |
[[Category:日本の書店]] |
||
[[Category: |
[[Category:かつて存在した東京都の企業]] |
||
[[Category:池袋]] |
[[Category:池袋]] |
||
[[Category:パルコ|脱]] |
|||
[[en:Libro]] |
|||
[[Category:1985年設立の企業]] |
|||
[[Category:2018年廃止の企業]] |
2024年12月30日 (月) 20:26時点における最新版
エミオ富士見台店 | |
種類 | 株式会社 |
---|---|
本社所在地 |
日本 〒171-0021 東京都豊島区東池袋4-23-15 第2キンズメンビル |
設立 | 1985年6月10日 |
廃止 | 2018年9月1日(株式会社リブロプラスに合併し解散) |
業種 | 小売業 |
法人番号 | 9013301038435 |
事業内容 | 書籍・雑誌の小売販売及び卸売等 |
代表者 | 代表取締役社長 三浦正一 |
資本金 | 9000万円 |
売上高 |
201億円 (2015年2月期) |
純利益 |
△1億4824万4000円 (2018年2月期)[1] |
総資産 |
71億1068万1000円 (2018年2月28日現在)[1] |
従業員数 |
341人 (2015年2月現在) |
決算期 | 2月末日 |
主要株主 | 日本出版販売株式会社 100% |
関係する人物 | 堤清二 |
外部リンク | https://www.nic-retails.co.jp/ |
株式会社リブロ(英: LIBRO CO., LTD.) は、かつて東京都豊島区東池袋に本社を置いていた中規模書店チェーンである。セゾングループを率いた堤清二が創業に関わり同グループにおけるの文化戦略の一翼を担った。2003年7月に日本出版販売(日販)傘下となる。
書店経営に逆風が吹く中、経営基盤を強化するとともに店舗経営などを効率化するため、2018年9月1日付で同じく日販傘下でオリオン書房を運営する万田商事株式会社を存続会社として株式会社あゆみBooksとともに合併。株式会社リブロプラスとなった。店舗におけるリブロの商号は引き続き使用されている[2][3]。2023年10月1日にはブラス株式会社が、株式会社リブロプラスと株式会社Y・spaceを吸収合併、ブラス株式会社をNICリテールズ株式会社に社名変更。
関東地方を中心に主要都市で商業施設・テナント内を中心に展開する。パルコ内に出店していることが多い。本店を西武池袋本店書籍館・別館に構えていたが、2015年7月20日を以て閉店している。
韓国には同名・同業種の「BOOKS LIBRO」が存在するが、本項のリブロとは無関係な会社である。
歴史
[編集]1970年代の池袋は、思想・社会系で優れた品揃えをする駅西口の芳林堂書店(閉店)や、東口駅前(南池袋)に店構えした法律・経済系に強い老舗新栄堂書店(東口駅前店は閉店したが、南池袋にて小規模継続営業中)など、多くの書店が競合していた。そのような中、堤清二宛に「文化を標榜している西武流通グループがなぜ自分の力で書店をつくろうとしないのか。」との主旨がしたためられた手紙が届いた。それを読んだ堤は自前で書店を立ち上げることを決意し[4]、1975年9月には旧リブロ池袋本店の前身となる西武ブックセンター(西武百貨店書籍部)がオープンした。百貨店テナントとして歴史も人材も持たぬところからのスタートであった。
その後1985年には、西武百貨店や西友内に設けられた書籍売り場を統合し株式会社リブロが設立された[5]。1980年から1998年まで、系列の出版社として「リブロポート」が運営されていた。
書店業界も小売り一般と同様、営業規模がものを言う大規模化・チェーン化の道を辿り、1997年には近畿地方に地盤を持つジュンク堂書店が池袋店(当時関東最大級)を出店させ、商戦の激化に拍車をかけた。
1998年には、リブロの経営を西友からパルコが引き受けた[6]。
2003年7月には日本出版販売がリブロの株式をパルコから90%取得することで買収した[7]。これによってセゾングループから外れた。2000年代中頃には、同じ系列で同業種だったパルコブックセンターとの経営統合を行った。
以後リブロ自体の営業は、大型化を進め、池袋本店は西武池袋線改札横に立地し、ジュンク堂書店池袋店、西口側の旭屋書店(東武百貨店池袋店内)、いけだ書店(メトロポリタンプラザ内)等と競合する。
日販傘下となった以降は、各地の大型商業施設への出店を進め、郊外型店舗ではイオングループのショッピングセンター、また都市型店舗では九州・熊本市の県民百貨店(旧・くまもと阪神)や沖縄県那覇市のパレットくもじ〔リウボウ〕への出店などが行われている。
2015年3月、本店を西武池袋本店 書籍館・別館から撤退すると発表し[8]、同7月20日の営業をもって閉店した[9]。この閉店は「通常のテナント契約の満了」とされていたが、西武百貨店の後身であるそごう・西武の親会社であるセブン&アイ・ホールディングスを率いていた当時の鈴木敏文会長が、日販と競合するトーハン出身であったことが影響しているという見方も存在した[10]。
跡地には7月29日に三省堂書店池袋本店がプレオープンし[11][12]、12月6日にグランドオープンした[13]。リブロは池袋周辺に移転先を構想したが未定となり、2022年時点でも池袋に再出店は行われていない[14]。
参考文献
[編集]- 小川道明 『棚の思想―メディア革命時代の出版文化』(影書房、1990年)- 創業幹部による昭和時代の活動報告
- 永江朗 『セゾン文化は何を夢みた』(朝日新聞出版、2010年)- セゾングループの洋書店アール・ヴィヴァンで勤務した著者によるインタビューを交えた著作
- 由井常彦[15]、田付茉莉子、伊藤修 『セゾンの挫折と再生』(山愛書院、2010年)。ISBN 4434143131
- 鈴木哲也『セゾン 堤清二が見た未来』(日経BP社、2018年)。ISBN 4822256057
- 以下は社員たちの回想記
- 今泉正光 『「今泉棚」とリブロの時代-出版人に聞く〈1〉』(論創社、2010年)- セゾングループ時代に本部に勤務(店舗企画担当)、公開インタビュー(聞き手小田光雄)
- 中村文孝 『リブロが本屋であったころ-出版人に聞く〈4〉』(論創社、2011年)- セゾングループ時代に本部に勤務、公開インタビュー(聞き手小田光雄)
- 菊池壮一 『書店に恋して-リブロ池袋本店とわたし』(晶文社、2018年)- 元幹部社員による回想記
- 田口久美子 『書店風雲録』(本の雑誌社/新編版・ちくま文庫)- リブロの元店長による回想記
- 田口久美子 『書店繁盛記』(ポプラ社/新版・ポプラ文庫)- 続編
- 田口久美子 『書店不屈宣言 わたしたちはへこたれない』(筑摩書房/増補版・ちくま文庫)- 続編
- 辻山良雄『本屋、はじめました』(苦楽堂、2017年/増補版・ちくま文庫、2020年)- 著者は閉店時の池袋本店マネージャー
脚注
[編集]- ^ a b 株式会社リブロ 第2期決算公告
- ^ “グループ書店事業3社の経営統合に関するお知らせ | 日本出版販売株式会社”. www.nippan.co.jp. 2018年10月9日閲覧。
- ^ 『セゾン 堤清二が見た未来』p.187
- ^ 『セゾン文化は何を夢みた』p.66
- ^ 『セゾン文化は何を夢みた』p.63
- ^ 『セゾンの挫折と再生』p.160
- ^ 『子会社株式の譲渡に関するお知らせ』(プレスリリース)株式会社パルコ、2003年7月9日 。2015年8月17日閲覧。
- ^ “リブロ、池袋本店を7月末までに閉店”. 日本経済新聞. (2015年3月4日) 2015年6月3日閲覧。
- ^ “ショップブログ リブロ池袋本店閉店のお知らせ”. リブロ 2015年6月3日閲覧。
- ^ “「聖地」リブロ池袋本店が閉店へ そうか、そんな事情が...”. J-CASTニュース. (2015年3月4日) 2021年8月1日閲覧。
- ^ “リブロ池袋本店40年の歴史に幕 作家らも駆け付け、ネットでも惜しむ声”. 池袋経済新聞. (2015年7月21日) 2015年7月23日閲覧。
- ^ “リブロ池袋本店跡に三省堂書店が入居”. 日本経済新聞. (2015年7月16日) 2019年6月27日閲覧。
- ^ “三省堂書店池袋本店、グランドオープンです!”. 三省堂書店. (2015年12月6日) 2015年12月8日閲覧。
- ^ 店舗検索(関東地方)(リブロ)
- ^ 編者代表『セゾンの歴史 変革のダイナミズム』ほか、「セゾングループ史」全4冊(リブロポート、1991年)を刊行している。