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{{正確性|date=2020年6月}} |
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{{生物分類表|省略=鳥綱 |
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{{生物分類表 |
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|省略=鳥綱 |
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|名称=エナガ |
|名称=エナガ |
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|画像 = [[ |
|画像 = [[ファイル:Aegithalos caudatus.jpg|250px|シマエナガ]] |
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|画像キャプション = ''Aegithalos caudatus caudatus'' |
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|status = LC |
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| status = LC |
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|目 = [[スズメ目]] [[:en:Passerine|Passeriformes]] |
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| status_ref = <ref name="iucn">BirdLife International. 2016. ''Aegithalos caudatus''. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T103871923A87471081. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2016-3.RLTS.T103871923A87471081.en. Downloaded on 14 June 2020.</ref> |
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|科 = [[エナガ科]] [[:en:Aegithalidae|Aegithalidae]] |
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|目 = [[スズメ目]] {{Sname||Passeriformes}} |
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|属 = エナガ属 ''[[:en:Aegithalos|Aegithalos]]'' |
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|科 = [[エナガ科]] {{Sname||Aegithalidae}} |
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|属 = [[エナガ属]]{{Sfn|大西敏一|五百澤日丸|2014|p=540}} {{Snamei||Aegithalos}} |
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|種 = '''エナガ''' ''A. caudatus'' |
|種 = '''エナガ''' ''A. caudatus'' |
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|学名 = ''Aegithalos caudatus'' |
|学名 = ''Aegithalos caudatus'' ([[カール・フォン・リンネ|Linnaeus]], [[1758年|1758]])<ref name="iucn" /><ref name="ioc">[https://www.worldbirdnames.org/bow/bushtits/ Bushtits, leaf warblers, reed warblers], Gill F, D Donsker & P Rasmussen (Eds). 2020. IOC World Bird List (v10.1). https://doi.org/10.14344/IOC.ML.10.1. (Downloaded 14 June 2020)</ref><!-- エナガ科 --> |
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|和名 = エナガ<ref name="osj">[[日本鳥学会]] 「エナガ<!-- エナガ科 -->」『日本鳥類目録 改訂第7版』日本鳥学会(目録編集委員会)編、[[日本鳥学会]]、2012年、282-283頁。</ref> |
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|英名 =[[w:Long-tailed Tit|Long-tailed Tit]] |
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|英名 = [[:en:Long-tailed tit|Long-tailed tit]]<ref name="iucn" /><ref name="ioc" /><br />Long-tailed bushtit<ref name="iucn" /> |
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|和名 = エナガ |
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}} |
}} |
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'''エナガ'''(柄長、 |
'''エナガ'''(柄長<ref>{{Cite Kotobank|柄長|accessdate=2020-11-23}}</ref>{{Sfn|叶内拓哉|安部直哉|2015|p=498}}、''Aegithalos caudatus'')は、エナガ科エナガ属に分類される[[鳥]]の一種である{{Sfn|大西敏一|五百澤日丸|2014|p=540}}{{Sfn|叶内拓哉|2017|p=306}}。<!-- エナガ科は2020年の時点で本種も含め3属13種 --> |
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== 分布 == |
== 分布 == |
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[[ユーラシア大陸]]の中[[緯度]]地方{{Efn2|ただし[[ヒマラヤ山脈|ヒマラヤ]]と[[中央ユーラシア|中央]]の高地を除く<ref name="日本の鳥550">{{Cite book|和書|title=新訂 日本の鳥550 山野の鳥|publisher=文一総合出版|date=2014-03-10|author=五百澤日丸・山形則男(解説)|edition=初版第1刷発行|series=ネイチャーガイドシリーズ|isbn=978-4829984000|page=190|coauthor=山形則男・吉野俊幸・五百澤日丸(写真)}}</ref>。}}を中心に[[ヨーロッパ]]から[[中央アジア]]、[[日本]]まで広く分布する{{Sfn|叶内拓哉|安部直哉|2015|p=498}}。 |
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[[ヨーロッパ]]から[[中央アジア]]、[[日本]]まで広く分布する。 |
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[[ファイル:Holosiiv NPP Aegithalos caudatus 1.jpg|thumb|150px|right|冬の[[ウクライナ]]のエナガ]] |
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日本では九州以北に[[留鳥]]として生息する。 |
日本では[[九州]]以北に[[留鳥]]または[[漂鳥]]として生息する{{Sfn|大西敏一|五百澤日丸|2014|p=540}}{{Sfn|叶内拓哉|安部直哉|2015|p=498}}。[[渡り鳥|渡り]]はしない<ref name="世界文化社"/>。 |
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== 形態 == |
== 形態 == |
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全長は約14 [[センチメートル|cm]]{{Sfn|大西敏一|五百澤日丸|2014|p=540}}{{Sfn|叶内拓哉|安部直哉|2015|p=498}}ないし13 cm{{Sfn|叶内拓哉|2017|p=307}}<!-- 鳥類の体長とは?嘴の先端から尾羽の先端までの計測値なら全長(通常鳥類の計測値で用いられる)。同じ記事内に体長と全長が混在している。 -->。[[翼幅|翼開長]]は約16 cm<ref name="中川 (2010)、204頁">[[#ひと目でわかる野鳥|中川 (2010)、204頁]]</ref><ref name="叶内 (2006/3)、158頁">[[#絵解きで野鳥が識別できる本|叶内 (2006/3)、158頁]]</ref>。体重は5.5 - 9.5 [[グラム|g]]。左記体長には長い[[尾羽]]を含むので、尾羽を含めない身体は[[スズメ]](体重約24 g<ref name="大橋 (2007)、34-35頁">[[#庭で楽しむ野鳥の本|大橋 (2007)、34-35頁]]</ref>)と比べるとずいぶん小さい<ref name="中川 (2010)、204頁" /><!-- 尾羽を含むのなら全長 -->が、羽が柔らかく膨らみ、尾が長いため、実際よりやや大きく見える<ref name="新日本動物図鑑"/>。尾の長さは約75 [[ミリメートル|mm]]<ref name="新日本動物図鑑"/>。 |
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体長12.5-14.5cm。体重5.5-9.5g。左記体長には長い尾羽を含むので、尾羽を含めない身体は[[スズメ]]と比べるとずいぶん小さい。[[くちばし]]と首が短く丸い体に長い尾羽がついた小鳥である。目の上の眉斑がそのまま背中まで太く黒い模様になっており、翼と尾も黒い。肩のあたりと尾の下はうすい褐色で、額と胸~腹は白い。雌雄同形同色で外観上の区別はできない。 |
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黒い[[くちばし]]は小さく{{Sfn|高木清和|2000|p=110}}(約7 mm){{Efn2|山形則男 (2001) は「鳥の中で最も短い嘴をもつ」と述べている<ref name="山形則男"/>。}}<ref name="新日本動物図鑑"/>、嘴峰は湾曲している<ref name="日本の鳥550"/>。首は短く、丸い体に長い尾羽がついた小鳥である<ref name="真木 (2012)、213頁">[[#名前がわかる野鳥大図鑑|真木 (2012)、213頁]]</ref>。雌雄同形同色で、外観上の区別はできない<ref name="真木 (2012)、213頁" />。 |
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[[成鳥]]は瞼が黄色く{{Sfn|大西敏一|五百澤日丸|2014|p=540}}、南方系の[[亜種]](エナガなど)の場合は黒色の太い眉斑があるが、北方系の亜種(シマエナガなど)の場合は頭部全体が白い<ref name="kotobank">{{Cite Kotobank|エナガ|accessdate=2020-11-23}}</ref>。眉斑を有する南方系亜種の場合<ref name="kotobank"/>、眉斑はそのまま背中まで太く黒い模様になっている{{Sfn|大西敏一|五百澤日丸|2014|p=540}}。肩のあたり(背の両側)と尾の下(下尾筒)は淡い葡萄色で{{Sfn|大西敏一|五百澤日丸|2014|p=540}}、額から頭上<ref name="世界文化社"/>、および顔と体下面は白い{{Sfn|大西敏一|五百澤日丸|2014|p=540}}。翼・尾は黒い{{Sfn|大西敏一|五百澤日丸|2014|p=540}}。[[羽毛]]は薄褐色の初列風切が10枚で野外では黒く見え、次列風切りが6枚で重ねると黒く見え、3列風切が3枚で他の風切羽より褐色味が強く、尾羽は6枚で内側3枚は黒色、外側3枚は黒色に白色の模様が混じる<ref>[[#野鳥の羽ハンドブック|高田 (2008)、73頁]]</ref>。 |
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幼鳥は成鳥で黒色になる部分が淡色で{{Sfn|叶内拓哉|安部直哉|2015|p=498}}、眉斑などは褐色味を帯びる{{Sfn|大西敏一|五百澤日丸|2014|p=540}}。また頬は淡黄色で{{Sfn|大西敏一|五百澤日丸|2014|p=540}}、瞼は赤く、背・下腹部の淡い葡萄色味はない{{Sfn|叶内拓哉|安部直哉|2015|p=498}}。 |
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== 名前の由来 == |
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属名 ''Aegithalos'' は[[ギリシャ語]]で「[[カラ類|シジュウカラ類]]の一種」を、種小名 ''caudatus'' は[[中世ラテン語]]で「(長い)尾の」をそれぞれ意味する単語で、[[学名]]は「長い尾のシジュウカラ類の一種」という意味である<ref name="野鳥の名前">{{Cite book|和書|title=野鳥の名前 名前の由来と語源|publisher=山と渓谷社|date=2008-10-25|author=安部直哉(解説)|series=山渓名前図鑑|isbn=978-4635070171|page=69|author2=叶内拓哉(写真)}}</ref>。 |
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[[和名]]は極端に長い尾{{Efn2|尾の先は太めである{{Sfn|高木清和|2000|p=110}}。}}(全長14 cmに対して尾の長さが7 - 8 cm)を柄の長い[[柄杓]]に例えたことに由来し<ref name="中川 (2010)、204頁" />、[[江戸時代]]には「柄長柄杓(えながひしゃく)」、「柄柄杓(えびしゃく)」、「尾長柄杓(おながひしゃく)」、「柄長鳥(えながどり)」などとも呼ばれていた<ref name="大橋 (2007)、34-35頁" /><ref name="国松 (1995)、142頁">[[#名前といわれ 日本の野鳥図鑑1|国松 (1995)、142頁]]</ref>。 |
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<gallery> |
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ファイル:Aegithalos caudatus trivirgatus (Mount Noko).JPG|尾羽が長いのが特徴 |
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ファイル:Aegithalos caudatus trivirgatus in flight.JPG|飛行中の様子 |
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ファイル:ItsukushimaDipperBasin7431.jpg|[[和名]]の由来である[[柄杓]] |
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Aegithalos caudatus MHNT.ZOO.2010.11.180.1.jpg |''Aegithalos caudatus '' |
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</gallery> |
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== 分類 == |
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[[ファイル:Long-tailed Tit Aegithalos caudatus.jpg|right|thumb|''A. c. europaeus'']] |
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[[ファイル:Mito Aegithalos caudatus 1.jpg|right|thumb|''A. c. irbii'']] |
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[[ファイル:Long-tailed tit at Tennōji Park in Osaka, March 2016.jpg|right|thumb|亜種エナガ<br />''A. c. trivirgatus'']] |
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エナガ ''Aegithalos caudatus'' は体の大きさ・体の各部の羽色の相違から20前後の亜種に分類されている<ref name="野鳥の名前"/>。以下の亜種の分類・分布は、IOC World Bird List (v10.1)に従う<ref name="ioc" />。基亜種を除く日本に分布する亜種の分布・和名は、日本産鳥類目録 改訂第7版に従う<ref name="osj" />。 |
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; ''Aegithalos caudatus caudatus'' (Linnaeus, 1758){{Efn2|シマエナガを基亜種 ''A. c. caudatus'' のシノニムとする学説{{Sfn|浅井芝樹ほか|2016|p=115,128}}が提唱される以前には、基亜種を'''コウライシマエナガ'''と呼称する場合もあった<ref>{{Cite book|title=A Hand-List of the Japanese Birds|publisher=[[日本鳥学会|Ornithological Society of Japan]]|year=1958|author=edited by a special committee of the Ornithological Society of Japan|language=en|page=50|location=[[東京|Tokyo]]|oclc=1434704}}</ref><!-- =日本鳥類目録(改訂四版)? -->。{{Sfn|浅井芝樹ほか|2016|p=115,128}}。}} <!-- シマエナガ --> |
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: ヨーロッパ北部および東部から[[シベリア]]にかけて、日本、朝鮮半島 |
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: 亜種シマエナガ ''A. c. japonicus'' は[[シノニム]]とされるが、系統関係について十分な研究が行われていないという指摘もある{{Sfn|浅井芝樹ほか|2016|p=115,128}}。 |
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:; ''Aegithalos caudatus japonicus'' Prazák, 1897 シマエナガ |
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:: シマエナガ(漢字表記:島柄長){{Efn2|シマエナガの「シマ」は「縞」ではなく「島」(=限られた特定の地域、すなわち北海道)の意味{{Sfn|叶内拓哉|安部直哉|2015|p=499}}。また北海道産であることから「えぞえなが」、頭部が白いことから「[[綿帽子|わたぼうし]]」とも呼ばれる{{Sfn|菅原浩|柿澤亮三|1993|p=216}}。}}{{Sfn|菅原浩|柿澤亮三|1993|p=559}}<ref>{{Cite Kotobank|島柄長|デジタル大辞泉|accessdate=2020-11-23}}</ref>は日本では[[北海道]]に分布する{{Sfn|大西敏一|五百澤日丸|2014|p=540}}。本州中部以北では迷鳥として記録されることもあり{{Sfn|大西敏一|五百澤日丸|2014|p=540}}、冬期には青森県を中心に東北地方での記録がある<ref>嶋田哲郎・白鳥晃「[https://doi.org/10.20745/izu.18.0_87 伊豆沼・内沼におけるシマエナガの詳細な越冬記録]」『伊豆沼・内沼研究報告』第18巻、宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団、2024年、87-92頁。</ref>。本州以南に分布する3亜種とは異なり{{Sfn|叶内拓哉|安部直哉|2015|p=498}}、黒い眉斑{{Sfn|大西敏一|五百澤日丸|2014|p=540}}(過眼線)がなく{{Sfn|大西敏一|五百澤日丸|2014|pp=540-541}}、頭部全体が白い{{Sfn|大西敏一|五百澤日丸|2014|p=540}}{{Sfn|叶内拓哉|安部直哉|2015|p=498}}。ただし、幼鳥はエナガと同様に眉斑などが褐色味を帯びるため、幼鳥の亜種間の区別は難しい{{Sfn|叶内拓哉|安部直哉|2015|p=498}}。 |
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; ''Aegithalos caudatus alpinus'' (Hablizl, 1783) |
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: [[アゼルバイジャン]]南東部、[[イラン]]北部、[[トルクメニスタン]]南西部 |
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; ''Aegithalos caudatus aremoricus'' Whistler, 1929 |
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: [[フランス]]西部 |
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; ''Aegithalos caudatus europaeus'' (Hermann, 1804) |
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: フランス北東部・[[ドイツ]]から[[イタリア]]北部・[[トルコ]]にかけて |
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; ''Aegithalos caudatus irbii'' (Sharpe & Dresser, 1871) |
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: スペイン南部、ポルトガル、[[コルシカ島]] |
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; ''Aegithalos caudatus italiae'' Jourdain, 1910 |
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: イタリア中部および南部、[[スロベニア]]南西部 |
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; ''Aegithalos caudatus kiusiuensis'' Kuroda, 1923 キュウシュウエナガ |
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: [[四国]]、[[九州]]<ref name="osj" /> |
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: 胸の黒斑が薄い<ref name="新日本動物図鑑">{{Cite book|和書|title=新日本動物圖鑑|publisher=[[北隆館]]|date=1988-05-10|author1=岡田要|authorlink1=岡田要|author2=内田清之助|authorlink2=内田清之助|author3=内田亨(著者代表。エナガの種解説は内田清之助)|authorlink3=内田亨|edition=9版発行|page=644|volume=下|origdate=1965年1月25日(初版印刷)}}</ref>。 |
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; ''Aegithalos caudatus macedonicus'' (Salvadori & Dresser, 1892) |
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: [[アルバニア]]・[[ギリシャ]]から、[[ブルガリア]]・トルコ北西部にかけて |
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; ''Aegithalos caudatus magnus'' (Clark, 1907) チョウセンエナガ |
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: 朝鮮半島、[[対馬]]、[[壱岐]]<ref name="osj" /> |
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; ''Aegithalos caudatus major'' (Radde, 1884) |
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: トルコ北東部、[[コーカサス]] |
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; ''Aegithalos caudatus passekii''(Zarudny, 1904) |
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: [[イラン]]南西部、トルコ南東部 |
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; ''Aegithalos caudatus rosaceus'' Mathews, 1938 |
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: [[ブリテン諸島]] |
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; ''Aegithalos caudatus siculus'' (Whitaker, 1901) |
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: [[シチリア|シチリア島]] |
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; ''Aegithalos caudatus taiti'' Ingram, 1913 |
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: フランス南部および南西部から、[[スペイン]]中部・[[ポルトガル]]にかけ |
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; ''Aegithalos caudatus tauricus'' (Menzbier, 1903) |
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: [[クリミア半島]] |
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; ''Aegithalos caudatus tephronotus'' (Gunther, 1865) |
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: ギリシャ東部から、[[イラク]]北部・[[シリア]]・トルコ中部にかけて |
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; ''Aegithalos caudatus trivirgatus'' (Temminck & Schlegel, 1848) エナガ |
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: [[本州]]、[[佐渡島]]、[[隠岐諸島|隠岐]]<ref name="osj" /> |
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=== 日本産の亜種 === |
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日本ではシマエナガ(北海道<ref name="kotobank"/> / 基亜種のシノニムとする説あり{{Sfn|浅井芝樹ほか|2016|p=115,128}})・エナガ(本州など)・キュウシュウエナガ(四国および九州)・チョウセンエナガ(対馬など)4亜種が生息するが、北方系亜種であるシマエナガを除き、いずれも南方系の亜種である<ref name="kotobank"/>。南方系3亜種の場合<ref name="kotobank"/>、(成鳥の)亜種間の羽色にはほとんど差異はない{{Sfn|大西敏一|五百澤日丸|2014|pp=540-541}}。また、幼鳥には亜種間の差異はほとんどない{{Sfn|叶内拓哉|2017|p=307}}。 |
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なお[[千葉県]]北西部を中心に、眉斑の色が淡い亜種シマエナガのような[[個体]]が見られる場合があり{{Efn2|『日本鳥類目録』改訂第7版によれば、シマエナガは千葉県でも記録されているが「偶然飛来したもの」とされているため、[[日本野鳥の会]]千葉県支部はこのような個体はシマエナガとは別物という見解を示している<ref>{{Cite web|和書|url=https://chibawbsj.com/saezu/sz-main1604.html|title=Wanted! 顔の白いエナガを見ましたか? 皆さんの観察記録をお寄せください ~~~『ほおじろ』2016.4.巻頭言から~~~|accessdate=2020-12-04|publisher=[[日本野鳥の会]]|year=2016|month=4|website=日本野鳥の会 千葉県支部|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20201204150201/https://chibawbsj.com/saezu/sz-main1604.html|archivedate=2020-12-04}}</ref>。}}、そのような個体は「チバエナガ」という通称で呼ばれる<ref name="柴田佳秀2019">{{Cite book|和書|title=街・野山・水辺で見かける野鳥図鑑|publisher=日本文芸社|date=2019-06-01|author=柴田佳秀|editor=樋口広芳(監修)|edition=第1刷発行|isbn=978-4537216851|page=179|coauthors=戸塚学(写真)}}</ref>。江戸時代中期の書物『[[堀田正敦#正敦の文化事業|観文禽譜]]』には「どろえなが」の名で「或云 形えながに似て 頭灰白 今此鳥を以て偽て島えながとなす [[上総国|上総]]の産なり」という記述があり、エナガの変異個体である可能性も示唆されているが{{Sfn|菅原浩|柿澤亮三|1993|p=321}}、正体は不明である<ref name="柴田佳秀2019"/>。 |
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== 生態 == |
== 生態 == |
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主に[[平地]]から[[山地]]にかけての[[森林|林]]{{Efn2|特に[[落葉広葉樹林]]や、[[針葉樹]]との[[混交林|混合林]]を好む<ref name="kotobank"/>。特に林縁部や、[[クリ]]・[[ナラ]]と[[マツ]]の混交した[[天然林|二次林]]でよく見かける<ref name="kotobank"/>。}}に生息するが<ref name="中川 (2010)、204頁" />、樹木の多い[[庭園]]・[[公園]]や[[街路樹]]などでも見ることができる{{Sfn|高木清和|2000|p=110}}。冬季は山地上部にいた個体が越冬のため、低地の[[里山]]に降りてくることがある{{Sfn|高木清和|2000|p=110}}。 |
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おもに[[森林|林]]に生息するが、木の多い[[公園]]や[[街路樹]]の上などでもみることができる。 |
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[[繁殖]]期は群れの中につがいで小さな[[縄張り]]を持つ<ref>[[#エナガの個体群の行動圏構造|中村 (1972)、464頁]]</ref>。非繁殖期も小さな群れ{{Efn2|数羽 - 約30羽前後の小群を作り、一定の区域内で行動する{{Sfn|叶内拓哉|安部直哉|2015|p=498}}。}}をつくるが、[[シジュウカラ]]、[[ヤマガラ]]、[[ヒガラ]]、[[メジロ]]、[[コゲラ]]などの違う種の小鳥と混群{{Efn2|夏の終わりごろには[[ツグミ科|小型ツグミ類]]や[[ムシクイ類]]、[[サンコウチョウ]]などと混じって行動することもある{{Sfn|叶内拓哉|2017|p=306}}。ただし、長時間にわたり混群していることはない{{Sfn|叶内拓哉|安部直哉|2015|p=498}}。}}することも多い<ref name="中川 (2010)、204頁" />。エナガはその混群の先導を行う<ref name="大橋 (2007)、34-35頁" />。また、非繁殖期にはねぐらとなる木の枝に並列し、小さなからだを寄せ合って集団で眠る習性がある<ref name="中川 (2010)、204頁" />。街中の街路樹がねぐらとなることもあり、ねぐらとなった街路樹は夕方にはたくさんのエナガの鳴き声でザワザワと騒がしくなり木の下には糞がたくさん落とされることになる。地鳴きで仲間を確認しながら、群れで雑木林の中を動き回る{{Sfn|高木清和|2000|p=110}}。 |
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[[File:Aegithalos caudatus Catch a caterpillar 20240314- YAS6301-2.jpg|thumb|<small>幼虫を捕食しようとする'''エナガ'''、群馬県</small>]] |
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木の枝先などで小さな[[昆虫類]]{{Efn2|[[カイガラムシ]]や<ref name="柴田佳秀2019"/>昆虫の卵<ref name="山形則男"/>、[[ガ]]などやその[[幼虫]]も食べる{{Sfn|小海途銀次郎|2011|p=172}}。}}・[[クモ]]類・[[種実類|木の実]]など{{Sfn|叶内拓哉|安部直哉|2015|p=498}}、草の[[種子]]を食べる<ref name="世界文化社"/>。特に[[アブラムシ]]を好み<ref name="世界文化社">{{Cite book|和書|title=鳥類|publisher=[[世界文化社]]|date=2004-06-15|edition=初版第1刷発行|series=改訂新版 世界文化生物大図鑑|isbn=978-4418049028|page=242}}</ref>、葉先にいるアブラムシを[[空中浮揚|停空飛行]]しながら捕食したり{{Sfn|叶内拓哉|安部直哉|2015|p=498}}、枝にぶら下がって種子を食べたりすることもある{{Sfn|叶内拓哉|安部直哉|2015|p=499}}。また、[[樹皮]]から染み出る[[樹液]]を吸うこともある{{Efn2|[[クヌギ]]などの樹液を飲む<ref name="さえずり・地鳴き図鑑">{{Cite book|title=日本の野鳥 さえずり・地鳴き図鑑|publisher=メイツ出版|date=2014-07-25|author=植田睦之(監修)|edition=第1版・第1刷発行|isbn=978-4780414622|page=19|coauthor=平野敏明(協力)}}</ref>ほか、冬季はホバリングしながら、樹液が凍ってできた氷柱から樹液を舐めることもある<ref name="山形則男">{{Cite book|和書|title=カラーポシェット 野鳥図鑑|publisher=日本文芸社|date=2001-03-25|author=山形則男(写真)|edition=第1刷発行|isbn=978-4537200423}}</ref>。}}<ref name="中川 (2010)、204頁" />。 |
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[[File:Aegithalos caudatus Collecting nest materials 20240330- YAS8160-2.jpg|right|thumb|<small>巣の材料を集める'''エナガ'''、群馬県</small>]] |
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3月ごろから繁殖期に入り、つがいとなって、樹木の枝や幹のまたに、[[苔]]を[[クモの網|クモの糸]]{{Efn2|クモの糸だけでなく、[[ガ]]の[[繭]]など虫の糸を用いる場合もある<ref name="kotobank"/>。}}で丸くまとめた袋状の精巧な[[巣]]を作る{{Efn2|巣について「低山の林内で地上から約2 - 5 [[メートル|m]]の高さの枝の上に巣を作る」{{Sfn|小海途銀次郎|2011|p=172}}、「枝または幹に、[[蘚苔類]]をクモの糸で楕円形にまとめ、[[ウメノキゴケ]]をはりつけた巣をとりつける」とする文献もある<ref name="世界文化社"/>。また、早春の寒い時期から繁殖を開始するため、保温性を高くする目的で{{Sfn|石田光史|2015|p=283}}、巣の内部(産座)には各種の鳥の羽毛を多量に詰めており{{Sfn|小海途銀次郎|2011|p=172}}、その枚数は1,000枚以上におよぶこともある{{Sfn|石田光史|2015|p=283}}。}}<ref name="中川 (2010)、204頁" />。このため、巧婦鳥(たくみどり)と呼ばれることもあった<ref name="国松 (1995)、142頁" />。巣は円形ないし楕円形(横幅約8×10 cm、縦約15 cm)の袋状{{Efn2|内径(産座)は約4×6nbsp;cm、深さは約3 cm{{Sfn|小海途銀次郎|2011|p=172}}。}}で、側面上部に小さな丸い出入口(直径約2.5 cm)がある{{Sfn|小海途銀次郎|2011|p=172}}。巣は樹幹の瘤のように見え<ref name="新日本動物図鑑"/>、似たような巣を作る鳥は他にいない{{Sfn|小海途銀次郎|2011|p=172}}。 |
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File:Aegithalos caudatus collect nest materials 20240314- YAS6311.jpg|<small>巣の材料を集める'''エナガ'''、群馬県</small> |
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File:Aegithalos caudatus Collecting nest materials 20240330- YAS8151-2.jpg|<small>巣の材料を集める'''エナガ'''、群馬県</small> |
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4月 - 6月に白色有斑の[[卵]]{{Efn2|卵は長径約15 mm、短径約11 mmで、汚白色の地に淡紫色と淡赤褐色の微小斑がある{{Sfn|小海途銀次郎|2011|p=172}}。}}を7 - 12個産み、主に雌が12 - 14日間抱卵する{{Efn2|日中は雌のみが抱卵するが、夜は雄も抱卵を行う<ref name="中川 (2010)、204頁" />。また、抱卵している個体は尾羽に曲がり癖がつく{{Sfn|石田光史|2015|p=282}}。}}<ref name="世界文化社"/>。4月には雛が見られることがある<ref name="叶内 (2006/3)、158頁" />。産座には大量の[[羽毛]]が敷きつめられる<ref name="中川 (2010)、204頁" />。雛は孵化後、約14 - 17日で巣立ち{{Sfn|小海途銀次郎|2011|p=172}}、巣立ち後はいくつかの家族群が集まり、群れで行動する<ref name="さえずり・地鳴き図鑑"/>。つがい以外の繁殖に失敗した雄が育雛に参加することもあり<ref name="中川 (2010)、204頁" /><ref name="真木 (2012)、213頁" /><ref>[[#広島県沿岸部におけるエナガ|上野 (2001)、83頁]]</ref>、雌だけでなく雄が給餌する場合もある<ref name="kotobank"/>。また、シジュウカラの育雛にも参加する例が確認されている<ref>[[#シジュウカラとエナガの共同育雛|生田 (1989)、282-283頁]]</ref>。 |
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日本では[[岐阜県]]で2001年 - 2004年に行われた178巣の調査では、56巣がなんらかの捕食者([[ハシボソガラス]]・[[ハシブトガラス]]・[[ニホンイタチ]]・[[ヘビ]]類)による襲撃により繁殖に失敗し (31.5 %) 、繁殖に成功したのは51巣 (28.7 %) という報告例がある<ref>{{Cite journal|journal=[[Strix]]|author=赤塚隆幸|year=2005|title=エナガの卵や巣内ビナの捕食者|volume=23|pages=51-58|publisher=[[日本野鳥の会]]|NAID=40006706765}}</ref>。 |
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昼に樹上・藪の中・地上・空中などで鳴く<ref name="さえずり・地鳴き図鑑"/>。鳴き声は1年を通じて同じで{{Sfn|叶内拓哉|2017|p=306}}、さえずりは、「チーチー」、「ツリリ」、「ジュリリ」<ref name="中川 (2010)、204頁" />。[[地鳴き]]は「チュリリ」、「ジュリリ」<ref name="中川 (2010)、204頁" />。[[猛禽類]]の[[ハイタカ]]、[[ツミ]]、[[モズ]]などにより捕食されることがあり、これらの外敵を察知すると警戒発声を行う<ref>[[#冬期のエナガの捕食者とそれに対する警戒反応|赤塚 (2005)、63頁]]</ref>。また[[オオカマキリ]]などの大型の肉食性の昆虫に捕食されることもある。 |
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<gallery> |
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ファイル:Long Tailed Tit Nest 10-04-12 (6919194038).jpg|袋状の[[巣]] |
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ファイル:Long Tailed Tit Nest 02-05-11 (5681127171).jpg|[[卵]] |
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ファイル:Aegithalos caudatus trivirgatus eating insect.JPG|[[幼虫]]を捕食する |
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ファイル:LongTailedTits 60.JPG|寄り添う雛に給餌する親 |
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</gallery> |
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== 種の保全状況評価 == |
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日本の以下の[[都道府県]]でレッドリストの指定を受けている<ref>{{Cite web|和書|url=http://jpnrdb.com/search.php?mode=map&q=02180160386|title=エナガ|website=日本のレッドデータ検索システム|publisher=[[EnVision環境保全事務所]]|accessdate=2020-11-30|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20201130134524/http://jpnrdb.com/search.php?mode=map&q=02180160386|archivedate=2020-11-30}} - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典元の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。</ref>。 |
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* 準絶滅危惧(NT) - [[東京都]]北多摩地区<ref>{{Cite web|和書|url=https://tokyo-rdb.jp/kohyou.php?serial=967|title=エナガ|website=東京都レッドデータブック|publisher=東京都|year=2013|accessdate=2020-11-30|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20201130135754/https://tokyo-rdb.jp/kohyou.php?serial=967|archivedate=2020-11-30}}</ref> |
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== 脚注 == |
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繁殖期は群れの中につがいで小さななわばりを持つ。非繁殖期も小さな群れをつくるが、[[シジュウカラ]]、[[メジロ]]、[[コゲラ]]などの違う種の小鳥と群れをつくることもある。また、非繁殖期にはねぐらをつくって小さなからだを寄せ合って集団で眠る習性がある。街中の街路樹がねぐらとなることもあり、ねぐらとなった街路樹は夕方にはたくさんのエナガの鳴き声でザワザワと騒がしくなり木の下にはフンがたくさん落とされることになる。 |
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{{脚注ヘルプ}} |
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=== 注釈 === |
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木の上で小さな[[昆虫類]]や[[クモ]]を食べ、特にアブラムシを好む。また、草の種子なども食べる。 |
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{{Notelist2}} |
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=== 出典 === |
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樹木の枝や幹のまたに、苔をクモの糸でまとめた巣を作り、1腹7-12個の卵を産む。抱卵期間は12-14日で、主に雌が抱卵する。雛は14-17日で巣立ちする。 |
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== 亜種 == |
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;シマエナガ(島柄長) |
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:[[file:wiki-simaenaga.jpg|right|200px|シマエナガ]] |
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:''Aegithalos caudatus japonicus'' |
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:ユーラシア大陸を横断するように分布するエナガには20種類ほどの亜種が知られており、日本には4亜種が分布する。[[北海道]]に分布するシマエナガは頭部全体が白いが、[[幼鳥]]には他の亜種の成鳥のように[[過眼線]]がある。ほかの3種はほとんど外見に違いはない。 |
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{{-}} |
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== 参考文献 == |
== 参考文献 == |
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* {{Cite journal|和書|author=赤塚隆幸|title=冬期のエナガの捕食者とそれに対する警戒反応|journal=野外鳥類学論文集 [[Strix]]|volume=23|naid=40006706766|date=2005|publisher=[[日本野鳥の会]]|url=http://www.wbsj.org/nature/public/strix/23/strix23_05.pdf|format=PDF|ref=冬期のエナガの捕食者とそれに対する警戒反応}} |
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* [[黒田長久]]監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科9 鳥III』、[[平凡社]]、[[1986年]]、158頁。 |
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* {{Cite journal|和書|journal=日本鳥学会誌|author=浅井芝樹|author2=岩見恭子|author3=斉藤安行|author4=亀谷辰朗|year=2016|title=スズメ目15科を対象とした日本鳥類目録改訂第7版の学名と分類の検証 第6版およびIOCリストとの相違|volume=65|issue=2|pages=105-128|publisher=日本鳥学会|issn=1881-9710|DOI=10.3838/jjo.65.105|accessdate=2020-11-30|ref={{SfnRef|浅井芝樹ほか|2016}}}} |
|||
* {{Cite journal|和書|author=生田実|title=シジュウカラとエナガの共同育雛|journal=野外鳥類学論文集 Strix|volume=8|naid=|date=1989|publisher=日本野鳥の会|url=|ref=シジュウカラとエナガの共同育雛}} |
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* {{Cite book|和書|title=ぱっと見わけ観察を楽しむ 野鳥図鑑|publisher=[[ナツメ社]]|date=2015-04-06|ref={{SfnRef|石田光史|2015}}|author=石田光史|editor=樋口広芳(監修)|edition=初版発行|isbn=978-4816358036|pages=282-283}} |
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* {{Cite journal|和書|author=上野吉雄|author2=佐藤英樹|title=広島県沿岸部におけるエナガ ''Aegithalos caudatus'' のつがい形成と冬季群形成|journal=日本鳥学会誌|volume=50|number=2|naid=10007421554|date=2001-05-31|publisher=[[日本鳥学会]]|url=https://doi.org/10.3838/jjo.50.71|ref=広島県沿岸部におけるエナガ}} |
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* {{Cite book|和書|title=決定版 日本の野鳥650|publisher=[[平凡社]]|date=2014-01-31|ref={{SfnRef|大西敏一|五百澤日丸|2014}}|author=真木広造(写真)大西敏一・五百澤日丸 (解説)|url=https://www.heibonsha.co.jp/book/b159221.html|edition=初版第1刷|isbn=978-4582542523|pages=540-541}} |
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* {{Cite book|和書|author=大橋弘一|authorlink=大橋弘一|date=2007-11-01|title=庭で楽しむ野鳥の本|publisher=[[山と渓谷|山と溪谷社]]|pages=|isbn=978-4635596190|ref=庭で楽しむ野鳥の本}} |
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* {{Cite book|和書|author=叶内拓哉|author2=安部直哉|date=2014-01-05|title=日本の野鳥|series=山溪ハンディ図鑑|issue=7|publisher=山と溪谷社|isbn=978-4635070331|edition=初版第2版|origdate=2014年1月5日:初版第1刷|ref={{SfnRef|叶内拓哉|安部直哉|2015}}}} |
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* {{Cite book|和書|title=フィールド図鑑 日本の野鳥|publisher=文一総合出版|date=2017-12-07|ref={{SfnRef|叶内拓哉|2017}}|author=叶内拓哉(解説)|isbn=978-4829988107|pages=306-307|coauthors=水谷高英(イラストレーション)}} |
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* {{Cite book|和書|author=叶内拓哉|date=2006-03|title=絵解きで野鳥が識別できる本|publisher=[[文一総合出版]]|isbn=978-4829901717|ref=絵解きで野鳥が識別できる本}} |
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* {{Cite book|和書|author=国松俊英|authorlink=国松俊英|date=1995-04|title=名前といわれ 日本の野鳥図鑑1 野山の鳥|publisher=[[偕成社]]|isbn=4035293601|ref=名前といわれ 日本の野鳥図鑑1}} |
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* {{Cite book|和書|title=鳥III|publisher=平凡社|year=1986-10|author=黒田長久(監修)|authorlink=黒田長久|editor=C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン|series=動物大百科|isbn=978-4582545098|page=158|volume=9}} |
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* {{Cite book|和書|title=決定版 日本の野鳥 巣と卵図鑑|publisher=世界文化社|date=2011-09-20|ref={{SfnRef|小海途銀次郎|2011}}|author=小海途銀次郎|edition=初版第1刷発行|isbn=978-4418119004|pages=172-173}} |
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* {{Cite book|和書|title=図説 日本鳥名由来辞典|publisher=[[柏書房]]|date=1993-03-25|ref={{SfnRef|菅原浩|柿澤亮三|1993}}|author=菅原浩(編著者)|url=http://www.kashiwashobo.co.jp/book/b227760.html|edition=第1刷発行|isbn=978-4760107469|author2=柿澤亮三(編著者)}} |
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* {{Cite book|和書|title=フィールドのための野鳥図鑑 野山の鳥|publisher=山と溪谷社|date=2000-08-25|ref={{SfnRef|高木清和|2000}}|author=高木清和|edition=初版第1刷発行|isbn=978-4635063319|pages=110-111}} |
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* {{Cite book|和書|author=高田勝、叶内拓哉|date=2008-11-11|title=野鳥の羽ハンドブック|publisher=文一総合出版|isbn=978-4829910146|ref=野鳥の羽ハンドブック}} |
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* {{Cite book|和書|editor=中川雄三(監修)|date=2010-01|title=ひと目でわかる野鳥|publisher=成美堂出版|isbn=978-4415305325|ref=ひと目でわかる野鳥}} |
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* {{Cite journal|和書|author=中村登流|title=エナガの蕃殖期生活の観察|journal=山階鳥類研究所研究報告|volume=3|number=3|naid=40018555831|date=1962-12|publisher=[[山階鳥類研究所]]|url=https://doi.org/10.3312/jyio1952.3.155|ref=エナガの蕃殖期生活の観察}} |
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* {{Cite journal|和書|author=中村登流|title=エナガの個体群の行動圏構造II 繁殖期の行動圏とテリトリアリズム|journal=山階鳥類研究所研究報告|volume=6|number=5-6|naid=40018555668|date=1972-12|publisher=[[山階鳥類研究所]]|url=https://doi.org/10.3312/jyio1952.5.5_433|ref=エナガの個体群の行動圏構造}} |
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* {{Cite book|和書|author=真木広造|date=2012-04-10|title=名前がわかる野鳥大図鑑|publisher=[[永岡書店]]|isbn=978-4522430866|ref=名前がわかる野鳥大図鑑}} |
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* {{Cite book|和書 |author=柴田佳秀|editor=樋口広芳|date=2019-05|title=街・野山・水辺で見かける野鳥図鑑 |page=179|publisher=[[日本文芸社]]|isbn= 978-4537216851}} |
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== 関連項目 == |
== 関連項目 == |
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{{Commons|Aegithalos caudatus}} |
{{Commons|Aegithalos caudatus}} |
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{{Species|Aegithalos caudatus}} |
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*[[日本の野鳥一覧]] |
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* シマエナガちゃん - 写真家の[[小原玲]]によるシマエナガの[[写真集]]。 |
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* [[THE TIME,]] - [[TBSテレビ]]系列で[[2021年]][[10月1日]]から平日早朝に生放送されている[[情報番組]]。番組マスコットキャラクターがシマエナガをモチーフとした「シマエナガファミリー」となっている。 |
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{{Normdaten}} |
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{{DEFAULTSORT:えなか}} |
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[[Category:エナガ科]] |
[[Category:エナガ科]] |
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エナガ | |||||||||||||||||||||||||||
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Aegithalos caudatus caudatus
| |||||||||||||||||||||||||||
保全状況評価[1] | |||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | |||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Aegithalos caudatus (Linnaeus, 1758)[1][3] | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
エナガ[4] | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Long-tailed tit[1][3] Long-tailed bushtit[1] |
エナガ(柄長[5][6]、Aegithalos caudatus)は、エナガ科エナガ属に分類される鳥の一種である[2][7]。
分布
[編集]ユーラシア大陸の中緯度地方[注 1]を中心にヨーロッパから中央アジア、日本まで広く分布する[6]。
日本では九州以北に留鳥または漂鳥として生息する[2][6]。渡りはしない[9]。
形態
[編集]全長は約14 cm[2][6]ないし13 cm[10]。翼開長は約16 cm[11][12]。体重は5.5 - 9.5 g。左記体長には長い尾羽を含むので、尾羽を含めない身体はスズメ(体重約24 g[13])と比べるとずいぶん小さい[11]が、羽が柔らかく膨らみ、尾が長いため、実際よりやや大きく見える[14]。尾の長さは約75 mm[14]。
黒いくちばしは小さく[15](約7 mm)[注 2][14]、嘴峰は湾曲している[8]。首は短く、丸い体に長い尾羽がついた小鳥である[17]。雌雄同形同色で、外観上の区別はできない[17]。
成鳥は瞼が黄色く[2]、南方系の亜種(エナガなど)の場合は黒色の太い眉斑があるが、北方系の亜種(シマエナガなど)の場合は頭部全体が白い[18]。眉斑を有する南方系亜種の場合[18]、眉斑はそのまま背中まで太く黒い模様になっている[2]。肩のあたり(背の両側)と尾の下(下尾筒)は淡い葡萄色で[2]、額から頭上[9]、および顔と体下面は白い[2]。翼・尾は黒い[2]。羽毛は薄褐色の初列風切が10枚で野外では黒く見え、次列風切りが6枚で重ねると黒く見え、3列風切が3枚で他の風切羽より褐色味が強く、尾羽は6枚で内側3枚は黒色、外側3枚は黒色に白色の模様が混じる[19]。
幼鳥は成鳥で黒色になる部分が淡色で[6]、眉斑などは褐色味を帯びる[2]。また頬は淡黄色で[2]、瞼は赤く、背・下腹部の淡い葡萄色味はない[6]。
名前の由来
[編集]属名 Aegithalos はギリシャ語で「シジュウカラ類の一種」を、種小名 caudatus は中世ラテン語で「(長い)尾の」をそれぞれ意味する単語で、学名は「長い尾のシジュウカラ類の一種」という意味である[20]。
和名は極端に長い尾[注 3](全長14 cmに対して尾の長さが7 - 8 cm)を柄の長い柄杓に例えたことに由来し[11]、江戸時代には「柄長柄杓(えながひしゃく)」、「柄柄杓(えびしゃく)」、「尾長柄杓(おながひしゃく)」、「柄長鳥(えながどり)」などとも呼ばれていた[13][21]。
-
尾羽が長いのが特徴
-
飛行中の様子
-
Aegithalos caudatus
分類
[編集]エナガ Aegithalos caudatus は体の大きさ・体の各部の羽色の相違から20前後の亜種に分類されている[20]。以下の亜種の分類・分布は、IOC World Bird List (v10.1)に従う[3]。基亜種を除く日本に分布する亜種の分布・和名は、日本産鳥類目録 改訂第7版に従う[4]。
- Aegithalos caudatus caudatus (Linnaeus, 1758)[注 4]
- ヨーロッパ北部および東部からシベリアにかけて、日本、朝鮮半島
- 亜種シマエナガ A. c. japonicus はシノニムとされるが、系統関係について十分な研究が行われていないという指摘もある[22]。
- Aegithalos caudatus alpinus (Hablizl, 1783)
- アゼルバイジャン南東部、イラン北部、トルクメニスタン南西部
- Aegithalos caudatus aremoricus Whistler, 1929
- フランス西部
- Aegithalos caudatus europaeus (Hermann, 1804)
- フランス北東部・ドイツからイタリア北部・トルコにかけて
- Aegithalos caudatus irbii (Sharpe & Dresser, 1871)
- スペイン南部、ポルトガル、コルシカ島
- Aegithalos caudatus italiae Jourdain, 1910
- イタリア中部および南部、スロベニア南西部
- Aegithalos caudatus kiusiuensis Kuroda, 1923 キュウシュウエナガ
- 四国、九州[4]
- 胸の黒斑が薄い[14]。
- Aegithalos caudatus macedonicus (Salvadori & Dresser, 1892)
- アルバニア・ギリシャから、ブルガリア・トルコ北西部にかけて
- Aegithalos caudatus magnus (Clark, 1907) チョウセンエナガ
- 朝鮮半島、対馬、壱岐[4]
- Aegithalos caudatus major (Radde, 1884)
- トルコ北東部、コーカサス
- Aegithalos caudatus passekii(Zarudny, 1904)
- イラン南西部、トルコ南東部
- Aegithalos caudatus rosaceus Mathews, 1938
- ブリテン諸島
- Aegithalos caudatus siculus (Whitaker, 1901)
- シチリア島
- Aegithalos caudatus taiti Ingram, 1913
- フランス南部および南西部から、スペイン中部・ポルトガルにかけ
- Aegithalos caudatus tauricus (Menzbier, 1903)
- クリミア半島
- Aegithalos caudatus tephronotus (Gunther, 1865)
- ギリシャ東部から、イラク北部・シリア・トルコ中部にかけて
- Aegithalos caudatus trivirgatus (Temminck & Schlegel, 1848) エナガ
- 本州、佐渡島、隠岐[4]
日本産の亜種
[編集]日本ではシマエナガ(北海道[18] / 基亜種のシノニムとする説あり[22])・エナガ(本州など)・キュウシュウエナガ(四国および九州)・チョウセンエナガ(対馬など)4亜種が生息するが、北方系亜種であるシマエナガを除き、いずれも南方系の亜種である[18]。南方系3亜種の場合[18]、(成鳥の)亜種間の羽色にはほとんど差異はない[29]。また、幼鳥には亜種間の差異はほとんどない[10]。
なお千葉県北西部を中心に、眉斑の色が淡い亜種シマエナガのような個体が見られる場合があり[注 6]、そのような個体は「チバエナガ」という通称で呼ばれる[31]。江戸時代中期の書物『観文禽譜』には「どろえなが」の名で「或云 形えながに似て 頭灰白 今此鳥を以て偽て島えながとなす 上総の産なり」という記述があり、エナガの変異個体である可能性も示唆されているが[32]、正体は不明である[31]。
生態
[編集]主に平地から山地にかけての林[注 7]に生息するが[11]、樹木の多い庭園・公園や街路樹などでも見ることができる[15]。冬季は山地上部にいた個体が越冬のため、低地の里山に降りてくることがある[15]。
繁殖期は群れの中につがいで小さな縄張りを持つ[33]。非繁殖期も小さな群れ[注 8]をつくるが、シジュウカラ、ヤマガラ、ヒガラ、メジロ、コゲラなどの違う種の小鳥と混群[注 9]することも多い[11]。エナガはその混群の先導を行う[13]。また、非繁殖期にはねぐらとなる木の枝に並列し、小さなからだを寄せ合って集団で眠る習性がある[11]。街中の街路樹がねぐらとなることもあり、ねぐらとなった街路樹は夕方にはたくさんのエナガの鳴き声でザワザワと騒がしくなり木の下には糞がたくさん落とされることになる。地鳴きで仲間を確認しながら、群れで雑木林の中を動き回る[15]。
木の枝先などで小さな昆虫類[注 10]・クモ類・木の実など[6]、草の種子を食べる[9]。特にアブラムシを好み[9]、葉先にいるアブラムシを停空飛行しながら捕食したり[6]、枝にぶら下がって種子を食べたりすることもある[24]。また、樹皮から染み出る樹液を吸うこともある[注 11][11]。
3月ごろから繁殖期に入り、つがいとなって、樹木の枝や幹のまたに、苔をクモの糸[注 12]で丸くまとめた袋状の精巧な巣を作る[注 13][11]。このため、巧婦鳥(たくみどり)と呼ばれることもあった[21]。巣は円形ないし楕円形(横幅約8×10 cm、縦約15 cm)の袋状[注 14]で、側面上部に小さな丸い出入口(直径約2.5 cm)がある[34]。巣は樹幹の瘤のように見え[14]、似たような巣を作る鳥は他にいない[34]。
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巣の材料を集めるエナガ、群馬県
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巣の材料を集めるエナガ、群馬県
4月 - 6月に白色有斑の卵[注 15]を7 - 12個産み、主に雌が12 - 14日間抱卵する[注 16][9]。4月には雛が見られることがある[12]。産座には大量の羽毛が敷きつめられる[11]。雛は孵化後、約14 - 17日で巣立ち[34]、巣立ち後はいくつかの家族群が集まり、群れで行動する[35]。つがい以外の繁殖に失敗した雄が育雛に参加することもあり[11][17][38]、雌だけでなく雄が給餌する場合もある[18]。また、シジュウカラの育雛にも参加する例が確認されている[39]。
日本では岐阜県で2001年 - 2004年に行われた178巣の調査では、56巣がなんらかの捕食者(ハシボソガラス・ハシブトガラス・ニホンイタチ・ヘビ類)による襲撃により繁殖に失敗し (31.5 %) 、繁殖に成功したのは51巣 (28.7 %) という報告例がある[40]。
昼に樹上・藪の中・地上・空中などで鳴く[35]。鳴き声は1年を通じて同じで[7]、さえずりは、「チーチー」、「ツリリ」、「ジュリリ」[11]。地鳴きは「チュリリ」、「ジュリリ」[11]。猛禽類のハイタカ、ツミ、モズなどにより捕食されることがあり、これらの外敵を察知すると警戒発声を行う[41]。またオオカマキリなどの大型の肉食性の昆虫に捕食されることもある。
種の保全状況評価
[編集]日本の以下の都道府県でレッドリストの指定を受けている[42]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ ただしヒマラヤと中央の高地を除く[8]。
- ^ 山形則男 (2001) は「鳥の中で最も短い嘴をもつ」と述べている[16]。
- ^ 尾の先は太めである[15]。
- ^ シマエナガを基亜種 A. c. caudatus のシノニムとする学説[22]が提唱される以前には、基亜種をコウライシマエナガと呼称する場合もあった[23]。[22]。
- ^ シマエナガの「シマ」は「縞」ではなく「島」(=限られた特定の地域、すなわち北海道)の意味[24]。また北海道産であることから「えぞえなが」、頭部が白いことから「わたぼうし」とも呼ばれる[25]。
- ^ 『日本鳥類目録』改訂第7版によれば、シマエナガは千葉県でも記録されているが「偶然飛来したもの」とされているため、日本野鳥の会千葉県支部はこのような個体はシマエナガとは別物という見解を示している[30]。
- ^ 特に落葉広葉樹林や、針葉樹との混合林を好む[18]。特に林縁部や、クリ・ナラとマツの混交した二次林でよく見かける[18]。
- ^ 数羽 - 約30羽前後の小群を作り、一定の区域内で行動する[6]。
- ^ 夏の終わりごろには小型ツグミ類やムシクイ類、サンコウチョウなどと混じって行動することもある[7]。ただし、長時間にわたり混群していることはない[6]。
- ^ カイガラムシや[31]昆虫の卵[16]、ガなどやその幼虫も食べる[34]。
- ^ クヌギなどの樹液を飲む[35]ほか、冬季はホバリングしながら、樹液が凍ってできた氷柱から樹液を舐めることもある[16]。
- ^ クモの糸だけでなく、ガの繭など虫の糸を用いる場合もある[18]。
- ^ 巣について「低山の林内で地上から約2 - 5 mの高さの枝の上に巣を作る」[34]、「枝または幹に、蘚苔類をクモの糸で楕円形にまとめ、ウメノキゴケをはりつけた巣をとりつける」とする文献もある[9]。また、早春の寒い時期から繁殖を開始するため、保温性を高くする目的で[36]、巣の内部(産座)には各種の鳥の羽毛を多量に詰めており[34]、その枚数は1,000枚以上におよぶこともある[36]。
- ^ 内径(産座)は約4×6nbsp;cm、深さは約3 cm[34]。
- ^ 卵は長径約15 mm、短径約11 mmで、汚白色の地に淡紫色と淡赤褐色の微小斑がある[34]。
- ^ 日中は雌のみが抱卵するが、夜は雄も抱卵を行う[11]。また、抱卵している個体は尾羽に曲がり癖がつく[37]。
出典
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