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'''コーチング'''(coaching)とは、[[人材開発]]の技法の1つ。対話によって相手の自己実現や目標達成を図る技術である。相手の話をよく聴き(傾聴)、感じたことを伝えて承認し、質問することで、自発的な行動を促す。{{要検証|=一般的にコーチングといった場合には[[ビジネス]]や個人の目標達成の援助のことを指している|date=2013年9月}}。[[国際コーチ連盟]]では、コーチングとは、思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通して、クイアトが自身可能性公私において最大化させるように、コーチとライアントのパートナー関係を築くことある」と定義<ref>Code of Ethics 国際コーチ連盟の倫規定 http://icfjapan.com/?page_id=36</ref>している。
'''コーチング'''(coaching)とは、[[人材開発]]の技法の1つ。対話によって相手の自己実現や目標達成を図る技術である。相手の話をよく聴き(傾聴)、感じたことを伝えて承認し、質問することで、自発的な行動を促す。{{要検証|=一般的にコーチングといった場合には[[ビジネス]]や個人の目標達成の援助のことを指している|date=2013年9月}}。最近では、コーチングに[[神経言語プログ]](NLP)手法取り入れたNLPコーチングいうプログムも存在している。また、[[ポジティブ心理学]]に対抗してギリス「[[コーチング心学]]」が発祥たが、その[[学術]]名称の適切性も含めて今後の動向が注目を集めている。</b>
最近では、コーチングに[[神経言語プログラミング]](NLP)の手法を取り入れたNLPコーチングというプログラムも存在している。また、[[ポジティブ心理学]]に対抗してイギリスで「[[コーチング心理学]]」が発祥したが、その[[学術]]名称の適切性も含めて今後の動向が注目を集めている。</b>


コーチングは[[カウンセリング]]の質問技法<ref>[[カウンセリング]]は「[[ラポール]]の形成」や「傾聴・[[共感]]」を重視するとともに、広範かつ重層的な質問技法を有し、クライアントへの関与目的やカウンセリングの進行状況に合わせて適宜・適切な質問を選択的に行う。</ref>の中のフィード・フォワード質問や具体化質問など、ごく狭い領域に絞り込んだ目的思考の質問<ref>GROWモデルと呼ぶコーチング・セミナー会社が多い。</ref>をビジネスライクに行うことに特徴がある。また、クライアントへの「助言・力づけ・援助」<ref>クライアントの内発的・自発的な行動変容や既成概念の打破を惹起するために、助言は基本的に行うべきでないとする考え方から、必要に応じて指示的・教育的な助言も行うべきであるとする考え方まで、カウンセリングの各種アプローチや目的によって、見解や関与態度・手法が最も分かれる部分である。</ref> をクロージングとするカウンセリングと異なり、コーチングはそれらを「承認」に代えるという点でもユニークである。しかし、承認のプロセスはコーチによる誘導やクライアントの自己[[暗示]]に陥り易いというだけでなく、クライアントに対する行動操作や心理拘束を容易にし、究極の[[洗脳]]テクニックとなり得るという批判がネット上でもたびたび取り沙汰されている。
コーチングは[[カウンセリング]]の質問技法<ref>[[カウンセリング]]は「[[ラポール]]の形成」や「傾聴・[[共感]]」を重視するとともに、広範かつ重層的な質問技法を有し、クライアントへの関与目的やカウンセリングの進行状況に合わせて適宜・適切な質問を選択的に行う。</ref>の中のフィード・フォワード質問や具体化質問など、ごく狭い領域に絞り込んだ目的思考の質問<ref>GROWモデルと呼ぶコーチング・セミナー会社が多い。</ref>をビジネスライクに行うことに特徴がある。また、クライアントへの「助言・力づけ・援助」<ref>クライアントの内発的・自発的な行動変容や既成概念の打破を惹起するために、助言は基本的に行うべきでないとする考え方から、必要に応じて指示的・教育的な助言も行うべきであるとする考え方まで、カウンセリングの各種アプローチや目的によって、見解や関与態度・手法が最も分かれる部分である。</ref> をクロージングとするカウンセリングと異なり、コーチングはそれらを「承認」に代えるという点でもユニークである。しかし、承認のプロセスはコーチによる誘導やクライアントの自己[[暗示]]に陥り易いというだけでなく、クライアントに対する行動操作や心理拘束を容易にし、究極の[[洗脳]]テクニックとなり得るという批判がネット上でもたびたび取り沙汰されている。
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コーチングは[[サイエントロジー]]の[[オーディティング]]と[[コンセプト]]を同じくし、ビジネスライクに進行させるという点でもオーディティングとの類似性が見られるとする主張があるが、サイエントロジーのオーディティングは原因訴求・時間遡及型の質問も行うなど、多分にカウンセリング的であり、この点でコーチングとは異なる。ただし、コーチングは心理学とは看做されないため[[通俗心理学]]等の批判は受けないが、海外では[[カルト]]に位置づけられたりカルトまがいと揶揄されることがあるのは確かである<ref>[[ドイツ]]の首都[[ベルリン]]市議会[[上院]]のカルトに関する調査報告は、コーチングをランドマーク・エデュケーションが用いる洗脳手段として位置づけている。[http://www.ariplex.com/ama/amasenat.htm#7.4.2. SEKTEN - Risiken und Nebenwirkungen (シャンパン - リスクと副作用)] ‐ Informationen zu ausgewählten neuen religiösen und weltanschaulichen Bewegungen
コーチングは[[サイエントロジー]]の[[オーディティング]]と[[コンセプト]]を同じくし、ビジネスライクに進行させるという点でもオーディティングとの類似性が見られるとする主張があるが、サイエントロジーのオーディティングは原因訴求・時間遡及型の質問も行うなど、多分にカウンセリング的であり、この点でコーチングとは異なる。ただし、コーチングは心理学とは看做されないため[[通俗心理学]]等の批判は受けないが、海外では[[カルト]]に位置づけられたりカルトまがいと揶揄されることがあるのは確かである<ref>[[ドイツ]]の首都[[ベルリン]]市議会[[上院]]のカルトに関する調査報告は、コーチングをランドマーク・エデュケーションが用いる洗脳手段として位置づけている。[http://www.ariplex.com/ama/amasenat.htm#7.4.2. SEKTEN - Risiken und Nebenwirkungen (シャンパン - リスクと副作用)] ‐ Informationen zu ausgewählten neuen religiösen und weltanschaulichen Bewegungen
und Psychoangeboten (新宗教・イデオロギー運動・カルト勧誘に関する主要な情報)
und Psychoangeboten (新宗教・イデオロギー運動・カルト勧誘に関する主要な情報)
</ref>。コーチングという呼び方は[[スポーツ]]分野移入されたが、その意味や手法はここでのコーチングと関係はない。
</ref>。コーチングという呼び方は[[スポーツ]]分野でも用いられるようになったが、その意味や手法はここでのコーチングと関係はない。<ref>出版社によっては、タイトルにコーチとついたスポーツ分野の書籍を再版改定する際、コーチングに変更するケースが見られる。</ref>


== 起源 ==
== 起源 ==
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アメリカ合衆国では、トーマス・レナードという同一人物によって、1992年にCoach U(別名: Coach University)、1994年にCoachville(邦名: コーチヴィル)<ref>日本のコーチ・エィがライセンス契約を行い会員制有料サイトの名称として利用している。[https://www.coachville.co.jp/modules/htmls/index.php?op=viewarticle&artid=7 コーチヴィル(ABOUT US)]</ref>、並びに International Coach Federation(邦名: 国際コーチ連盟)というコーチング・セミナー会社もしくは団体が相次いで設立された。アメリカの経済紙は、トーマス・レナード<ref>[http://www.thomasleonard.com/bio.html Thomas J. Leonard]: 2003年にはもっぱら発展途上国向けの、International Association of Coaches という団体も設立している。</ref>がランドマーク・エデュケーションの前身であるest社の社員であったことを確かめている<ref>Jane Renton, "Coaching and Mentoring: What They Are and How to Make the Most of Them",The Economist Newspaper, Ltd.,2009, pgs 8 & 27.</ref>。トーマス・レナードは、Coach Uと同じ1992年に設立されたCTI(Coaches Training Institute)の創業にも深く関わっている。<ref>CTI創業者の1人、ローラ・ウイットワースはトーマス・レナードが経営するランドマーク・エデュケーションの下請企業の従業員だった。</ref>
アメリカ合衆国では、トーマス・レナードという同一人物によって、1992年にCoach U(別名: Coach University)、1994年にCoachville(邦名: コーチヴィル)<ref>日本のコーチ・エィがライセンス契約を行い会員制有料サイトの名称として利用している。[https://www.coachville.co.jp/modules/htmls/index.php?op=viewarticle&artid=7 コーチヴィル(ABOUT US)]</ref>、並びに International Coach Federation(邦名: 国際コーチ連盟)というコーチング・セミナー会社もしくは団体が相次いで設立された。アメリカの経済紙は、トーマス・レナード<ref>[http://www.thomasleonard.com/bio.html Thomas J. Leonard]: 2003年にはもっぱら発展途上国向けの、International Association of Coaches という団体も設立している。</ref>がランドマーク・エデュケーションの前身であるest社の社員であったことを確かめている<ref>Jane Renton, "Coaching and Mentoring: What They Are and How to Make the Most of Them",The Economist Newspaper, Ltd.,2009, pgs 8 & 27.</ref>。トーマス・レナードは、Coach Uと同じ1992年に設立されたCTI(Coaches Training Institute)の創業にも深く関わっている。<ref>CTI創業者の1人、ローラ・ウイットワースはトーマス・レナードが経営するランドマーク・エデュケーションの下請企業の従業員だった。</ref>


日本で最初にコーチングを商業化したのは、iBD<ref>ロバート・ホワイトも創立メンバーの1人であったアメリカの自己啓発セミナー会社Lifespring社から、ライセンスの供与を受けた日本の自己啓発セミナー会社である。</ref> が1997年に子会社として設立したコーチ21(現[[コーチ・エィ]])社である。当初の受講者数は少なかったものの、[[生涯学習開発財団]]<ref>元[[文部科学省]]所管の財団法人である。[[公益法人制度改革]]にともない現在は[[一般財団法人]]となっている。</ref>とのタイアップで「生涯学習開発財団認定コーチ」という資格化を行い<ref>実際に認定するのはコーチ21(現コーチ・エィ)社であるため、詐欺的であるという批判がある。この点については所管であった文部科学省、及び同省幹部職員が実名を上げて批判された。</ref>、出版との相乗効果で受講者を増大させた。また、自分もコーチをつけていること・一定人数以上に対してコーチを行うことという、ユニークなシステムを資格取得・資格更新の条件にしたことや新聞広告<ref>主に[[日経新聞]]紙上で「コーチ募集:説明会開催」の体裁をとり、21世紀初頭にかけて広告された。</ref>も受講者増に寄与したとされる。<ref>無形財(サービス)のマルチ商法であるという批判がある。</ref>
日本で最初にコーチングを商業化したのは、iBD<ref>ロバート・ホワイトも創立メンバーの1人であったアメリカの自己啓発セミナー会社Lifespring社から、ライセンスの供与を受けた日本の自己啓発セミナー会社である。</ref> が1997年に子会社として設立したコーチ21(現[[コーチ・エィ]])社である。当初の受講者数は少なかったものの、[[生涯学習開発財団]]<ref>元[[文部科学省]]所管の財団法人である。[[公益法人制度改革]]にともない現在は[[一般財団法人]]となっている。</ref>とのタイアップで「生涯学習開発財団認定コーチ」という資格化を行い<ref>実際に認定するのはコーチ21(現コーチ・エィ)社であるため、詐欺的であるという批判がある。この点については所管であった文部科学省、及び同省幹部職員が実名を上げて批判された。</ref>、[[出版]]との相乗効果で受講者を増大させた。また、自分もコーチをつけていること・一定人数以上に対してコーチを行うことという、ユニークなシステムを資格取得・資格更新の条件にしたことや新聞広告<ref>主に[[日経新聞]]紙上で「コーチ募集:説明会開催」の体裁をとり、21世紀初頭にかけて広告された。</ref>も受講者増に寄与したとされる。<ref>無形財(サービス)のマルチ商法であるという批判がある。</ref>


コーチ21社の一定の成功によって、日本では多くのコーチング・セミナー会社(一般社団法人などを含む)が設立され、日本は世界で最もコーチングに対する認知度が高い国となった。これにはコーチ・エィの系列出版社である[[ディスカヴァー・トゥエンティワン]]だけでなく、大手を含む出版社が多くのコーチング関連書籍を発刊したり<ref>[[PHP研究所]]は2012年6月までの期間に約50冊のコーチング関連書籍を発刊し、公開セミナーや資格認定セミナーも実施している。</ref>、主に[[日経新聞]]や[[日経BP社]]などの経済紙誌が取り上げたことも大きく影響している。<ref>[[NHK総合テレビ]]の[[クローズアップ現代]]は過去に2度コーチングを取り上げた。</ref> アメリカでは[[コンサルティング]]やインストラクティング、ときにカウンセリングの事業所を新規開業する際、既存事業者との差別化を図るためにコーチングという名称を使うケースがあり、そうした英語圏の混乱が日本に波及した面もみられる。
コーチ21社の一定の成功によって、日本では多くのコーチング・セミナー会社(一般社団法人などを含む)が設立され、日本は世界で最もコーチングに対する認知度が高い国となった。<ref>日本の認知度の高さは、[[Yahoo]]など言語別に運営される[[ポータルサイト]]で “coaching”のワード[[検索]]を実行すると、その広告量や[[コンテンツ]]量から如実に伺える。</ref> これにはコーチ・エィの系列[[出版社]]である[[ディスカヴァー・トゥエンティワン]]だけでなく、大手を含む出版社が多くのコーチング関連書籍を発刊したり<ref>[[PHP研究所]]は2012年6月までの期間に約50冊のコーチング関連書籍を発刊し、公開セミナーや資格認定セミナーも実施している。</ref>、主に[[日経新聞]]や[[日経BP社]]などの経済紙誌が取り上げたことも大きく影響している。<ref>[[NHK総合テレビ]]の[[クローズアップ現代]]は過去にコーチングを2度取り上げた。</ref>
アメリカでは[[コンサルティング]]やインストラクティング、ときにカウンセリングの事業所を新規開業する際、既存事業者との差別化を図るためにコーチングという名称を使うケースがあり、そうした英語圏の混乱が日本に波及した面もみられる。


== 概要 ==
== 概要 ==
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== コーチングの基本 ==
== コーチングの基本 ==
コーチングの基本[[概念]]はコーチング・セミナー会社や団体、また[[国]]や[[言語]]によっても異なるが、[[国際コーチ連盟]]の定義では「コーチングとは、思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通して、クライアントが自身の可能性を公私において最大化させるように、コーチとクライアントのパートナー関係を築くことである」<ref>Code of Ethics [http://icfjapan.com/?page_id=36 国際コーチ連盟の倫理規定]</ref>としている。一般的にコーチングの基本とされているものの中からいくつか列挙する。
コーチングの基本とされているものの中からいくつか列挙する。


=== モチベーション ===
=== モチベーション ===
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== コンサルティングとの違い ==
== コンサルティングとの違い ==
コーチングではあくまでも個人が自ら成長し、その中で問題解決やスキルの向上を図ることが主眼となる。コーチングをする側では解決策を押しつけることはしないし、してはいけない。だが、コンサルティングでは解決策を考えることが[[コンサルタント]]の役割であり、その点ではコーチングとは全く異なるものとなる。だが、コンサルタントが提示した解決策を実施に移す段階で「押しつけられた」という感じを持たれると、実施そのものがうまくいかないことも多くなる。実施段階ではコーチングをふまえた方法を採用することで、コンサルティングの実効を高めることが可能である。
コーチングではあくまでも個人が自ら成長し、その中で問題解決やスキルの向上を図ることが主眼となる。コーチングをする側では解決策を押しつけることはしないし、してはいけない。だが、コンサルティングでは解決策を考えることが[[コンサルタント]]の役割であり、その点ではコーチングとは全く異なるものとなる。だが、コンサルタントが提示した解決策を実施に移す段階で「押しつけられた」という感じを持たれると、実施そのものがうまくいかないことも多くなる。実施段階ではコーチングをふまえた方法を採用することで、コンサルティングの実効を高めることが可能である。

== 資格 ==
コーチの資格には、多くの民間資格が存在するが、例えば、[[国際コーチ連盟]]が認定する「認定アソシエイトコーチ(ACC)」「認定プロフェッショナルコーチ(PCC)」とその上級の「認定マスターコーチ(MCC)」などがある。


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
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== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
* [http://coachfederation.org/ 国際コーチ連盟(ICF)] - トーマス・レナードによって設立された。
* [http://www.coachinc.com/CoachU/default.asp?s=1 Coach U(Coach University)] - 1992年にトーマス・レナードによって設立された。
* [http://www.coaching-courses.com/ CTI(Coaches Training Institute)] - 1992年にトーマス・レナードのバックアップによって設立された。
* [http://icfjapan.com/ 国際コーチ連盟日本支部(ICF Japan Chapter)] - 一般社団法人。
* [http://www.coaching-courses.com/ CTI(Coaches Training Institute)] - トーマス・レナードのバックアップによって設立された。
* [http://powerofgroups7.coachville.com/home/index コーチヴィル(Coachville)] - 1994年にトーマス・レナードによって設立された。
* [http://www.thecoaches.co.jp/ CTIジャパン] - 国際コーチ連盟認定のプログラムを提供する株式会社
* [http://coachfederation.org/ 国際コーチ連盟(ICF)] - 1994年にトーマス・レナードによって設立された
* [http://powerofgroups7.coachville.com/home/index コーチヴィル(Coachville)] - トーマス・レナードによって設立された。
* [http://www.certifiedcoach.org/ IAC(International Association of Coaches)] - 2003年にトーマス・レナードによって設立された。
* [http://www.coach.or.jp/ 日本コーチ協会] - 日本のコーチ・エィ社によって設立された[[NPO法人]]。
* [https://www.coachville.co.jp/ コーチヴィル・ジャパン(Coachville Japan)] - 日本のコーチ・エィ社が会員制有料サイトとして商標を用いている。
* [https://www.coachville.co.jp/ コーチヴィル・ジャパン(Coachville Japan)] - 日本のコーチ・エィ社が会員制有料サイトとして商標を用いている。
* [http://www.coach.or.jp/ 日本コーチ協会] - コーチ・エィ社によって設立されたNPO
* [http://www.thecoaches.co.jp/ CTIジャパン] - 国際コーチ連盟認定のプログラムを提供するCTIの日本法人
* [http://icfjapan.com/ 国際コーチ連盟日本支部(ICF Japan Chapter)] - 一般社団法人。
* [http://www.coachinc.com/CoachU/default.asp?s=1 Coach U(Coach University)] - トーマス・レナードによって設立された。
* [http://www.certifiedcoach.org/ IAC(International Association of Coaches)] - トーマス・レナードによって設立された。


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2014年2月16日 (日) 07:25時点における版

コーチング(coaching)とは、人材開発の技法の1つ。対話によって相手の自己実現や目標達成を図る技術である。相手の話をよく聴き(傾聴)、感じたことを伝えて承認し、質問することで、自発的な行動を促す。一般的にコーチングといった場合にはビジネスや個人の目標達成の援助のことを指している[要検証]。最近では、コーチングに神経言語プログラミング(NLP)の手法を取り入れたNLPコーチングというプログラムも存在している。また、ポジティブ心理学に対抗してイギリスで「コーチング心理学」が発祥したが、その学術名称の適切性も含めて今後の動向が注目を集めている。

コーチングはカウンセリングの質問技法[1]の中のフィード・フォワード質問や具体化質問など、ごく狭い領域に絞り込んだ目的思考の質問[2]をビジネスライクに行うことに特徴がある。また、クライアントへの「助言・力づけ・援助」[3] をクロージングとするカウンセリングと異なり、コーチングはそれらを「承認」に代えるという点でもユニークである。しかし、承認のプロセスはコーチによる誘導やクライアントの自己暗示に陥り易いというだけでなく、クライアントに対する行動操作や心理拘束を容易にし、究極の洗脳テクニックとなり得るという批判がネット上でもたびたび取り沙汰されている。

コーチングはサイエントロジーオーディティングコンセプトを同じくし、ビジネスライクに進行させるという点でもオーディティングとの類似性が見られるとする主張があるが、サイエントロジーのオーディティングは原因訴求・時間遡及型の質問も行うなど、多分にカウンセリング的であり、この点でコーチングとは異なる。ただし、コーチングは心理学とは看做されないため通俗心理学等の批判は受けないが、海外ではカルトに位置づけられたりカルトまがいと揶揄されることがあるのは確かである[4]。コーチングという呼び方はスポーツ分野でも用いられるようになったが、その意味や手法はここでのコーチングと関係はない。[5]

起源

カウンセリングや心理療法は、提唱者や研究グループの名前が冠せられたり、礎となった理論仮説や理念・信念を表出した名称が付与されるが、コーチングの場合はそうした出自・経緯が明らかとはなっていない。[6]

日本では、島津幸一[7]とロバート・ホワイト[8]が設立したアーク・インターナショナル[9]が1980年代後半にアメリカ合衆国コロラド州に、自社のトレーナーを中心としたスタッフを派遣してコーチングのトレーナーズ・セミナーを受講させ、ノウハウを取得したことが知られている[10]。但し、同社はコーチングを商業ベースに乗せることなく2000年に廃業した。商業化できなかったのは、内部対立が表面化したからとも勧誘システムを確立できなかったからとも言われている。

これと並行して、ランドマーク・エデュケーション[11]の日本法人が、1985年に日本に進出した当初から、勧誘プログラムを中心にトレーナーやスタッフがコーチという用語を多用し、勧誘プログラムの受講者に対して勧誘のコミットメント(やる気)を引き出しながら言質をとる手段として、コーチングの手法を用いていた。しかし、ランドマーク・エデュケーションもコーチングをプログラム・メニューに加えたのは21世紀に入ってからである。[12]

アメリカ合衆国では、トーマス・レナードという同一人物によって、1992年にCoach U(別名: Coach University)、1994年にCoachville(邦名: コーチヴィル)[13]、並びに International Coach Federation(邦名: 国際コーチ連盟)というコーチング・セミナー会社もしくは団体が相次いで設立された。アメリカの経済紙は、トーマス・レナード[14]がランドマーク・エデュケーションの前身であるest社の社員であったことを確かめている[15]。トーマス・レナードは、Coach Uと同じ1992年に設立されたCTI(Coaches Training Institute)の創業にも深く関わっている。[16]

日本で最初にコーチングを商業化したのは、iBD[17] が1997年に子会社として設立したコーチ21(現コーチ・エィ)社である。当初の受講者数は少なかったものの、生涯学習開発財団[18]とのタイアップで「生涯学習開発財団認定コーチ」という資格化を行い[19]出版との相乗効果で受講者を増大させた。また、自分もコーチをつけていること・一定人数以上に対してコーチを行うことという、ユニークなシステムを資格取得・資格更新の条件にしたことや新聞広告[20]も受講者増に寄与したとされる。[21]

コーチ21社の一定の成功によって、日本では多くのコーチング・セミナー会社(一般社団法人などを含む)が設立され、日本は世界で最もコーチングに対する認知度が高い国となった。[22] これにはコーチ・エィの系列出版社であるディスカヴァー・トゥエンティワンだけでなく、大手を含む出版社が多くのコーチング関連書籍を発刊したり[23]、主に日経新聞日経BP社などの経済紙誌が取り上げたことも大きく影響している。[24]

アメリカではコンサルティングやインストラクティング、ときにカウンセリングの事業所を新規開業する際、既存事業者との差別化を図るためにコーチングという名称を使うケースがあり、そうした英語圏の混乱が日本に波及した面もみられる。

概要

コーチングを一言で言うと「人を育てるための方法」である。育てるということについてはさまざまな解釈が可能。スポーツであれば技能が向上する、プログラミングであればそのスキルが向上する、ビジネスであれば営業や専門職などである。また、精神面での成長も「育つ」というように考えることができる。学習により人間は成長し育つが、学習意欲が続かないことは多くの人が体験していることだろう。コーチングでは、モチベーションを活用し、人が自ら学習し育つことを主眼としている。また、コーチングを通して、自分を成長させる方法を学ぶことで、自ら問題を解決していけるようになることも目的としている。

種類

コーチングには大きく分けて「メンタルコーチング」と「スキルコーチング」がある。

「メンタルコーチング」ではコーチングを受ける側の情報の整理を手伝い、異なった視点からみるチャンスを与えるなどして、気づきを待つ。そのため特定分野に対するスキルが無くても、コーチングを行うことが可能になる。

「スキルコーチング」は、たとえばスポーツのコーチのように、コーチングする側がその分野に対しての知識とスキルを持ち、それをベースにして個人のスキルの向上を目指すことができる。目的がはっきりしていること、より適切な課題を設定できることから、メンタルコーチングのみの場合と比べて大きな効果を期待できる。スキルコーチングであっても、メンタルコーチングの要素を欠かすことはできず、メンタルコーチングの上により効果的な「学ばせる」スキルが加わったものだと考えなければならない。

目的

コーチングでは画一的な人間を作ることは目指さない。コーチングされる側の個人の能力を可能な限り引き出し、それにより個人の問題解決をはかったり、スキルの向上を実現することを目的とする。統一的なやり方を押しつけることはしない。これが一般的な「教育」との一番大きな違いである。 あくまで、個人を尊重し、個人の考える力を育てることが目的である。 スポーツの世界では個人を育てるのがよいのは理解しやすいが、ビジネスの世界では敬遠されるかもしれない。だが、会社の構成単位は最終的には個人であることから、個人の能力をいかに発揮させるかが、現代の企業の課題となっている。

コーチング技術

市販の書籍などには「傾聴」から始まってさまざまな質問の仕方などが載っているが、教科書に書いてあるままの質問を投げ続けるだけではコーチングにはなりえない。経験と心理学に関する素養などに基づいて、適切な分析と判断を行った上での質問でなければ、本来の効果は期待できない。また、スキルコーチングで多用される「課題」も本来めざしているスキルを育てるためのものでなければならず、難しすぎても簡単すぎても意味はない。 これらの「コーチングスキル」をベースとして、認めること、共感などの心理的なテクニックを用いながら、コミュニケーションをとり、モチベーションを高め、能力を伸ばし、スキルを身につけさせていくのがコーチングの技術となる。

コーチングの基本

コーチングの基本概念はコーチング・セミナー会社や団体、また言語によっても異なるが、国際コーチ連盟の定義では「コーチングとは、思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通して、クライアントが自身の可能性を公私において最大化させるように、コーチとクライアントのパートナー関係を築くことである」[25]としている。一般的にコーチングの基本とされているものの中からいくつか列挙する。

モチベーション

これがなければ学習効果は決して上がらない。 自ら学ぶ、自ら問題を解決する、という姿勢を作り出さなければならない。

観察

すべての人間に個性があり、理解が早い人も遅い人もいる。個人の能力をそれぞれ伸ばすためには、同じ課題を与えても結果は異なることを前提とし、個人に対する観察、把握、分析が必須である。

適切な課題

スキルコーチングの場合には、これさえできれば、コーチングができたも同然である。観察に基づき、問題点や身につけさせたいスキルを抽出し、現状のスキルを判断し、難しすぎず簡単すぎない課題を考えて、実施する。 適切な課題をこなすことで人間は必ず成長していく、というのがスキルコーチングの考え方になる。

コミュニケーション

表情や動作などの非言語によるコミュニケーションを含め、コーチングを行う上での基本。 自分の主張だけをしたり、あらかじめ用意されたテキストや質問を読み上げるだけでは、コーチングにはならない。

考える力

コーチングを受ける側に、考えて自ら問題を解決する力をつけさせるのが、コーチングの最終的なゴールとなることを忘れてはならない。

コーチングの長所

他の学習方法、練習方法と比べて、コーチングの手法を取り入れた場合には、個人の能力をより大きくのばせる。 コーチングされる側が成長したいというモチベーションを強く持つことにより、コーチングをする側の期待を上回る成長を見せることもまれではない。個人を大きく効率的にのばしたいときには、コーチングが最適である。 また、コーチングは「学ぶ」ということに対しての普遍的な原理に基づいているため、幼稚園の子供から学生、新入社員、管理職、役員まで幅広く適用ができ、内容も個人の行動、組織の管理から技術の習得まで対応が可能である。

コーチングの短所

コーチングを行う側にきちんとした「コーチングスキル」が要求される。コーチングスキルがないコーチに形だけのコーチングを受けても、役には立たないが、コーチングを受ける側がコーチの力量を判断することは、最初は難しい。コーチとの相性もあるため、役に立つコーチを見つけることがなかなか難しい。 また、画一的な集団を育てることにも不向きである。一人一人の考える力を育てることが最大の目的になるので、そもそも「画一化」とは相容れない。

コーチングの適用

これらの点からコーチングを取り入れると効果のあると思われる分野は以下のようになる。

  • 家庭
  • 子供、大人のスポーツの現場
  • 子供、大人の学習の現場(学校を含む)
  • 新人教育、管理職研修などの企業研修
  • 各種技術研修
  • グループ内の管理(企業の部署など)
  • 個人の問題の解決

それぞれの分野でのコーチングについての書籍も多く存在しており、実際に導入しているところも増えている。

カウンセリングとの違い

カウンセリングとコーチングの間に手法の違いはそれほど大きくはない。しかし、カウンセリングは癒しまたは治療が目的であり、クライアントの目標達成を手助けするコーチングとは性質が異なる。

精神面の治療が必要と判断した場合、コーチングを引き受けないコーチやコーチング会社がある。

コーチングは安定した精神状態をプラスマイナスゼロと考えた場合、プラスの状態の時に機能する。[要出典] 例えば、大きなストレスを抱え続けていたり、家族を失ったりするなどの大きなダメージがあり、感情のコントロールが困難な状態(マイナスの状態)の時にはコーチングは適さない。 精神面の治療が必要な場合にコーチングを引き受ける事は、むしろ無責任な行為に当たる場合もある。

コンサルティングとの違い

コーチングではあくまでも個人が自ら成長し、その中で問題解決やスキルの向上を図ることが主眼となる。コーチングをする側では解決策を押しつけることはしないし、してはいけない。だが、コンサルティングでは解決策を考えることがコンサルタントの役割であり、その点ではコーチングとは全く異なるものとなる。だが、コンサルタントが提示した解決策を実施に移す段階で「押しつけられた」という感じを持たれると、実施そのものがうまくいかないことも多くなる。実施段階ではコーチングをふまえた方法を採用することで、コンサルティングの実効を高めることが可能である。

参考文献

脚注 / 出典

  1. ^ カウンセリングは「ラポールの形成」や「傾聴・共感」を重視するとともに、広範かつ重層的な質問技法を有し、クライアントへの関与目的やカウンセリングの進行状況に合わせて適宜・適切な質問を選択的に行う。
  2. ^ GROWモデルと呼ぶコーチング・セミナー会社が多い。
  3. ^ クライアントの内発的・自発的な行動変容や既成概念の打破を惹起するために、助言は基本的に行うべきでないとする考え方から、必要に応じて指示的・教育的な助言も行うべきであるとする考え方まで、カウンセリングの各種アプローチや目的によって、見解や関与態度・手法が最も分かれる部分である。
  4. ^ ドイツの首都ベルリン市議会上院のカルトに関する調査報告は、コーチングをランドマーク・エデュケーションが用いる洗脳手段として位置づけている。SEKTEN - Risiken und Nebenwirkungen (シャンパン - リスクと副作用) ‐ Informationen zu ausgewählten neuen religiösen und weltanschaulichen Bewegungen und Psychoangeboten (新宗教・イデオロギー運動・カルト勧誘に関する主要な情報)
  5. ^ 出版社によっては、タイトルにコーチとついたスポーツ分野の書籍を再版改定する際、コーチングに変更するケースが見られる。
  6. ^ コーチング・セミナー会社の中には、トム・ピーターズなどある程度の知名度を有する経営学者などの著作の中から、文脈上たまたまcoaching と表記された箇所を抜き出して、それにコーチングの起源の一端が見られると喧伝したケースがあり、批判の的となった
  7. ^ L&G」で仮想通貨「円天」を発行して組織的詐欺罪で逮捕された波和二とともに、かつて「APOジャパン」という企業を立ち上げた催眠商法(SF商法)の元祖とされる人物である。
  8. ^ コロラド州在住のアメリカ人。アメリカで非合法化されたマルチ商法「ホリデイ・マジック」のディストリビューター向けセミナーのトレーナーとして、たびたび来日していた。
  9. ^ 「ホリデイ・マジック」日本法人の倒産後に設立され、「ライフ・ダイナミックス」という自己啓発セミナーを提供していた。
  10. ^ 「コーチングの技術 (講談社現代新書) 2003年3月発刊」 参照。
  11. ^ フランスのように国家レベルでカルト指定する場合だけでなく、自治体レベルでカルト指定するケースでも、ほとんどの場合カルトに指定されるアメリカ・サンフランシスコに本社のある自己啓発セミナーである。
  12. ^ 日本法人ではコーチングのプログラムは提供されていないが、2002年に「リーダーシップ・コーチング・ウィニング」という3日間の特別セミナーを開催した。
  13. ^ 日本のコーチ・エィがライセンス契約を行い会員制有料サイトの名称として利用している。コーチヴィル(ABOUT US)
  14. ^ Thomas J. Leonard: 2003年にはもっぱら発展途上国向けの、International Association of Coaches という団体も設立している。
  15. ^ Jane Renton, "Coaching and Mentoring: What They Are and How to Make the Most of Them",The Economist Newspaper, Ltd.,2009, pgs 8 & 27.
  16. ^ CTI創業者の1人、ローラ・ウイットワースはトーマス・レナードが経営するランドマーク・エデュケーションの下請企業の従業員だった。
  17. ^ ロバート・ホワイトも創立メンバーの1人であったアメリカの自己啓発セミナー会社Lifespring社から、ライセンスの供与を受けた日本の自己啓発セミナー会社である。
  18. ^ 文部科学省所管の財団法人である。公益法人制度改革にともない現在は一般財団法人となっている。
  19. ^ 実際に認定するのはコーチ21(現コーチ・エィ)社であるため、詐欺的であるという批判がある。この点については所管であった文部科学省、及び同省幹部職員が実名を上げて批判された。
  20. ^ 主に日経新聞紙上で「コーチ募集:説明会開催」の体裁をとり、21世紀初頭にかけて広告された。
  21. ^ 無形財(サービス)のマルチ商法であるという批判がある。
  22. ^ 日本の認知度の高さは、Yahooなど言語別に運営されるポータルサイトで “coaching”のワード検索を実行すると、その広告量やコンテンツ量から如実に伺える。
  23. ^ PHP研究所は2012年6月までの期間に約50冊のコーチング関連書籍を発刊し、公開セミナーや資格認定セミナーも実施している。
  24. ^ NHK総合テレビクローズアップ現代は過去にコーチングを2度取り上げた。
  25. ^ Code of Ethics 国際コーチ連盟の倫理規定

関連項目

外部リンク