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APOジャパン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
株式会社エー・ピー・オー・ジャパン[1]
種類 株式会社
本社所在地 神奈川県横浜市中区山下町252番地[1]
設立 1971年10月21日[1]
事業内容 自動車関連商品の販売[1]
代表者 代表取締役会長 柴田権[1]
売上高 約60億円(1974年4月-1975年3月)[1]
関係する人物 波和二
島津幸一
特記事項:1975年12月倒産
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APOジャパンは、神奈川県横浜市に本社を置いていた連鎖販売取引企業

1969年に設立されたオートモーティブ・パフォーマンス社が1971年にAPO・オブ・アメリカに改称、オートモーティブ・パフォーマンス社が開発した水メタノール噴射装置[2]を改良した「マークⅡベーパーインジェクター(MarkII vapor injector)」を製造・販売[3]。 自動車エンジンの排気ガスを減少させて出力アップを図り結果的に燃費を向上させるという効果を謳い、疑似科学成功哲学を基に念ずれば念ずるほど燃費は向上するというセールスまで行われていた。

日本では1971年に日本法人が設立されて販売および会員獲得活動を開始。催眠商法で活動していた島津幸一[4]ブリタニカを原型とする百科辞典英会話教材の強引な押しつけ商法に関わったセールスマンが入社して、そのノウハウを吸収、テレビCM富士スピードウェイで行われるカーレースへのスポンサードを利用した勧誘で、3大マルチの中で最多となる25万人まで会員を拡大した。しかし、悪質な勧誘による被害が多発した結果、1975年2月にはホリディマジック及びジェッカーチェーンの被害者らと共同で「悪徳商法被害者対策委員会」が結成されるに至った[5]

1975年3月、東京都千代田区のホテルで悪徳商法被害者対策委員会がAPOジャパン側と出資金返還の交渉を行ったところ、交渉決裂後に対策委員会の会長がAPOジャパンの社員らに車で拉致・監禁される事件が発生した[6]。会長は「対策委員会を解散する」旨の誓約書を書かされた上で解放された[7]。この事件については、APOジャパンの幹部2名が監禁及び傷害の容疑で逮捕されている[8]

APOジャパンの姿勢が社会的批判を浴びる中、1975年5月13日衆議院物価問題等に関する特別委員会に会長が参考人として招致され[1]、同年9月には会員の高校生が自殺したことを契機に、同年12月に事実上倒産。アメリカでも1976年1月に環境保護庁(EPA)がロードテストを実施した結果[9]、APOの「マークII・ベーパー・インジェクター」は少なくとも燃費向上策としてはほとんど実効性が見られない事が明らかとなり[10]、APO・オブ・アメリカも活動停止に追い込まれた[11]

波和二が経営幹部として同社に在籍していた。

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e f g 第075回国会 物価問題等に関する特別委員会 第10号”. 衆議院 (1975年5月13日). 2019年12月1日閲覧。
  2. ^ アメリカ合衆国特許第 3,557,763号 - Vapor injector
  3. ^ WHERE-日本での発展史、ネットワーク.ビジネスの日本の歴史 - ネット翁れんだいこの真知の万華鏡サイト
  4. ^ 催眠商法」は一体どのように生まれたのか 東洋経済ONLINE 2016年5月24日
  5. ^ 「被害者の会発足 3社の1250人が合同」、『朝日新聞』、1975年2月14日、朝刊、p.3
  6. ^ 「マルチ商法、誘かい騒ぎ 被害者会長が不明」、『朝日新聞』、1975年3月20日、朝刊、p.23
  7. ^ 「「誓約書を書かされた」 マルチ商法誘拐事件 被害者会長現われる」、『朝日新聞』、1975年3月20日、夕刊、p.11
  8. ^ 「マルチ商法二幹部逮捕 被害者代表監禁で」、『朝日新聞』、1975年4月3日、夕刊、p.8
  9. ^ Mark II Vapor Injector: an Air-Vapor Bleed Device Evaluated - アメリカ合衆国環境保護庁
  10. ^ ジム・ダニー「gas-saving devices」『Popular Science 1980年3月号』117-119、182ページ。
  11. ^ APO Of America, Inc. - Dallas - California - BusinessWiki.info