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州都は、カザフスタンの2007年現在の首都である[[アスタナ]]から南東に約240kmの所に位置する、[[カラガンダ]]である。なお、時刻帯は[[UTC+6]]を使用しており、サマータイムは実施していない。
州都は、カザフスタンの2007年現在の首都である[[アスタナ]]から南東に約240kmの所に位置する、[[カラガンダ]]である。なお、時刻帯は[[UTC+6]]を使用しており、夏時間は実施していない。


== 概要 ==
== 概要 ==

2017年3月5日 (日) 10:28時点における版

カラガンダ州英語、Karaganda region )は、ユーラシア大陸の中央部に位置する、中央アジアの内陸国カザフスタンの州の1つ。 州都は、カザフスタンの2007年現在の首都であるアスタナから南東に約240kmの所に位置する、カラガンダである。なお、時刻帯はUTC+6を使用しており、夏時間は実施していない。

概要

カラガンダ州

2009年現在、カザフスタンには14の州が存在するが [1] 、カラガンダ州はその1つである。州の面積は約42万8000km2 [2] 。 このカラガンダ州はカザフスタンの中央部に位置していて、この州は全方位をカザフスタンの州に囲まれている。すなわち、州の西方はコスタナイ州クズロルダ州アクトベ州に接し、北方はアクモラ州パブロダール州に接し、東方は東カザフスタン州アルマトイ州に接し、南方はジャンブール州南カザフスタン州に接する。なお、カラガンダ州の地形は、一般に平野か標高の低い山地となっていて、もっとも標高の高い場所でも1565m(アクソラン山山頂)しかない。このカラガンダ州は鉱産資源には恵まれた州で、特にマンガンはカザフスタン国内では唯一カラガンダ州のみで商業的な採鉱が行われている。マンガン以外にも、モリブデンタングステンのような合金などに欠かせない元素の鉱石が産出する。植生は、気候が乾燥していることもあって、ステップ沙漠が主だが、山間部のように比較的降水量の多い場所では、マツカバハンの混合林も生育している。そして、そのような場所のうち、カラカンダの東側は、カルカラリ国立公園英語版に指定されている。

人口動態・民族

民族構成('カラガンダ州)2010
カザフ人
  
44.68%
ロシア人
  
39.17%
ウクライナ人
  
4.56%
ドイツ人
  
2.93%
タタール人
  
2.53%


2009年時点の国勢調査結果でのカラガンダ州の人口は134万1700人であり、州の面積は約42万8000km2なので、2009年時点での人口密度は1km2当たり約3.1人であった [2] 。 ただし、人口は10年前よりも減少していて、1999年時点の国勢調査結果での人口は141万0218人であった [3] 。 なお、2007年現在、州の人口うちの31.8%が州都であるカラガンダに居住し、カラカンダも含めた都市部の人口は、州の人口の83.3%に達していると推計されている [4]

民族は、近隣の首都アスタナと比べると、ロシア人、ウクライナ人などのスラブ系が多く、カザフ人とほぼ半々である他、歴史的な経緯からドイツ人が多い。

気候と植生

これはカラガンダ州に限らず、カザフスタン一般に言えることだが、この国はユーラシア大陸の中央部に位置するために、典型的な大陸性気候となっている。すなわち、夏は暑くて冬は寒い上に、降水量も比較的少ない。参考までに、夏に当たる7月の平均気温は+26℃であるのに対し、冬に当たる1月の平均気温は-17℃、そして年間降水量は、州北部で250mmから300mm程度、州南部に至っては150mmから200mm程度しか降らず、比較的降水量の多い山間部でさえ最大で400mm程度にしかならない [4] 。 このため、雨の多い山間部には木々も見られるものの、大半はステップ(丈の短い草地、カザフステップ/Kazakh steppe)の植生、または、半沙漠の植生となっている。さらに、雨の少ない州の南部にはベトパク・ダラ沙漠(Betpak Dala Desert)、南西部にはカラ・クム沙漠(Kara Kum Desert)、モインクム沙漠(Moiynkum Desert)、ジェトィコヌィル沙漠(Zhetykonyr Desert)と言った、沙漠群が存在している。

地形

カラガンダ州の地形は、ウリタウ山脈(Ulytau Range)、カルカラリ山脈(Karkaraly Range)、ケント山脈(Kent Range)、キジラライ山脈(Kyzylarai Range)といった山地群も存在するものの、一般に平野か標高の低い山地となっている [4] 。 これは、ユーラシア大陸のこの付近の地殻のほとんどは、カザフスタニアと呼ばれる部分に当たっているからである。カザフスタニアの表面は長い期間浸食され続けてきたので、比較的平坦な地形となっているのである。キジラライ山脈に存在するカラガンダ州における最高峰のアクソラン山(Aksoran Mountain)ですら、その山頂の標高は1565mに過ぎない [4]

なお、このキジラライ山脈の南には、カラガンダ州で最大の塩水湖である、バルハシ湖(Lake Balkhash、面積約1万8200km2)が存在している他、州内には幾つもの塩水湖が見られる。また、州内にはヌラ川(Nura River)、ケンギル川(Kengir River)、アタサウ川(Atasau River)といった幾つかの河川も存在する。

農業

カザフスタンは、ソビエト連邦を構成する共和国の1つカザフ・ソビエト社会主義共和国であった時代から農業(穀物栽培、牧畜など)が盛んな地域であった。2007年現在のカラガンダ州においても、33万0422km2が行政における分類上では農地ということになっている [4] 。 ただし、いわゆる日本でイメージされるような農地、すなわち畑を耕して種をまいて作物を栽培するために使われている農地(耕種農地)は、上記のうちのわずか3.4%程度に過ぎない [4] 。 したがって、耕種農地の面積は約1万1234km2程度である。この耕種農地のうちの76%(約8538km2)は穀物の栽培に利用されており、主にコムギを栽培している [4] 。 この穀物栽培に利用されている農地で2006年に収穫された穀類生産量は約57万トンで、これは2006年のカザフスタン全体での穀類生産量の約4.6%に当たる [注釈 1] 。 なお、その他の耕種農地ではジャガイモなどの野菜、その他が栽培されている。また、牧畜も行われており、むしろ上記の農地に分類されている土地の大部分が、放牧のための土地として利用されている。特にカラガンダ州は、カザフスタン国内でもウマの産地としてよく知られている。2006年のウマの飼育数は約11万3000頭で、これはカザフスタン国内の約1割(10.1%)の飼育数に当たる [4] 。 この他、ヒツジヤギの放牧が行われている他、少数(1000頭程度)ながらラクダの放牧も行われている [注釈 2] 。 さらに、ウシブタニワトリなどの飼育も行われている。ここから、食肉鶏卵羊毛などが生産されている。なお、農業製品の加工業は、2007年現在、カラガンダ州の産業生産高の約7.3%を占めている [4]

鉱産資源

カラガンダ州には、カザフスタン国内におけるマンガンの埋蔵量の全てが存在している [4] 。 マンガンの他にも、モリブデンタングステン亜鉛などが産出されている。これらの元素の他、さらにの堆積型鉱床も存在が確認されている。また、石炭石油天然ガスも産出している。

工業

カラガンダ州は、2007年現在、カザフスタン国内における全てのを生産量していることで知られている [4] 。 鉄は様々な元素と混合して合金が生産されるが、既述の通り、このカラガンダ州からは鉄との合金に使用される元素として重要な元素の1つであるマンガンが、カザフスタン国内で唯一産出する。さらに、モリブデンタングステンのように、やはり鉄との合金に使用される元素の鉱石が産出している他、製鉄には欠かせない石炭もカラカンダ炭田などすぐ近くで採れ、さらに、鉄自体も産出するといった恵まれた環境にある。また、非鉄金属(などの貴金属も含む)の生産も行われている。これら、金属を扱った産業が、2007年現在カラガンダ州では重要な地位を占めている [4]

この他、化学プラントなどでの化学肥料生産、様々な用途に使われる硫酸の生産などの化学工業、ゴム製品やプラスチック製品を扱う石油化学工業、その他機械工業なども存在する。

交通

カラガンダ州の2007年現在の道路総延長は8893km、鉄道路線総延長は1811kmである [4] 。 カラガンダ州の州都であるカラガンダには、主要な道路だけでも、1997年12月に遷都を行うまでカザフスタンの首都であったアルマトゥイ(アルマトイ、または、アルマティ)方面からバルハシ湖の湖畔に存在する工業都市のバルハシ(Balkhash)を経由する道路、かつてはアクモラ(Akmola)と呼ばれていたアスタナ(Astana) [注釈 3] からの道路、アルミニウム工業で知られるパブロダール(パヴロダール/Pavlodar)からの道路、乾燥地帯に存在する工業都市のジェズカズガン(Dzezkazgan)からの道路などがカラカンダに伸びている。さらに、これらのうちアスタナからの鉄道、ジェズカズガンからの鉄道、また、アルマトゥイやバルハシ方面からの鉄道もカラカンダに伸びている。また、州都のカラガンダ近郊には、サリアルカ国際空港(Sary-Arka International Airport)も存在する。

この他、イルティッシュ・カラガンダ・ジェズカズガン運河(Irtysh-Karaganda-Zhezkazgan Canal)も、カラガンダ州内を通っている。また、カザフスタン国内の油田とロシア連邦のパブロダル石油精製所(Pavlodar oil refinery)とを結んでいる石油パイプラインも州内を通っている。

エネルギープラント

カラガンダ州内の主な発電所(火力発電所)は、以下の通り。なお、火力発電と同時に発生する熱(熱水)も周辺地域に供給する熱併給発電所もある。

  • 第2カラカンダ熱併給発電所(Karaganda power and heating plant-2)- 最大発電能力435MW
  • 第3カラカンダ熱併給発電所(Karaganda power and heating plant-3)- 最大発電能力400MW
  • 第2カラガンダ地区発電所(Karaganda district power plant-2) - 最大発電能力608MW
  • バルハシ火力熱併給発電所(Balkhash power and heating plant) - 最大発電能力155MW
  • ジェズカズガン熱併給発電所(Zhezkazgan power and heating plant)- 最大発電能力207MW

この州に属する主な市町村

注釈

  1. ^ カザフスタンは、ソビエト連邦を構成する共和国の1つカザフ・ソビエト社会主義共和国であった時代から穀倉地帯として知られていた。ただし、その場所はカザフスタンの西部であって、このカラガンダ州は、ややそこから外れている。むしろ、カラガンダ州では放牧が盛ん。
  2. ^ このカラガンダ州におけるラクダの放牧数約1000頭というのは、おおざっぱに言ってカザフスタン国内でのラクダの放牧数の1%弱に当たる。したがって、カザフスタン国内では10万頭を超えるラクダが飼育されていることを意味する。
  3. ^ アスタナは2007年現在もカザフスタンの首都である。なお「アスタナ」とは「首都」という意味。遷都の際にアクモラからアスタナに改名された。

出典

  1. ^ "the Republic of Kazakhstan" 日本カザフスタン共和国大使館のサイト(2009年更新)より (英語) 2012年12月28日閲覧。
  2. ^ a b "General Information" カラガンダ州政府のサイトより。
  3. ^ "Население Республики Казахстан"
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m "カラガンダ州" 日本カザフスタン共和国大使館のサイト(2007年更新)より (日本語) 2012年12月28日閲覧。

主な参考文献

  • "カラガンダ州" 日本カザフスタン共和国大使館のサイト(2007年更新)より (日本語) 2012年12月28日閲覧。

外部リンク