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{{Otheruses|2=その他の用法|3=レストラン (曖昧さ回避)}}
[[ファイル:Tom's_Restaurant,_NYC.jpg|thumb|ニューヨークのトムズ・レストラン。[[スザンヌ・ヴェガ]]の歌「Tom's Diner」に歌われ、[[テレビドラマ]]、『[[となりのサインフェルド]]』に「Monk's」として登場する。]]
'''レストラン'''({{Lang-fr-short|restaurant}})は、客が[[料理]]を選ぶことができ、それを[[テーブル]]で提供してもらえ、その代価として料金を支払う[[飲食店]]<ref name=American-Dictionary>{{Cite web|url=https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/restaurant|title=American dictionary, restaurant|accessdate=2024-1-4}}</ref>。
'''レストラン'''({{Lang-fr-short|Restaurant}})または'''食堂'''(しょくどう)とは、食事を提供する[[店]]である。持ち帰りをする[[テイクアウト]]、配達をする[[出前]]・仕出し・[[デリバリー]]などの形態もあるが、日本語では一般に店内で食事をする場所を提供するものを指す。


元のフランス語<ref name="akamatsu" />やそれを借用した英語では、テーブルで料理を提供してくれる広範囲の飲食店を指す用語であり、ともかくテーブルで料理を提供し対価をいただく飲食店である。フレンチ・レストラン、イタリアン・レストランなどだけでなくチャイニーズ・レストラン(中華料理店)もレストランに含み、テーブルで蕎麦を提供する蕎麦屋も英語ではsoba restaurantと言い、restaurantに含んでいる<ref>[https://www.byfood.com/blog/tokyo/best-soba-restaurants-in-tokyo]</ref>。
== 歴史 ==
=== 中国 ===
[[ファイル:Qingming Festival Detail 15.jpg|thumb|right|200px|A [[宋 (王朝)|宋]]の茶屋、[[張択端]]作『[[清明上河図]]』より]]
レストランとみなせる食品サービス店が、[[宋 (王朝)|宋]]前期の[[中国]]の北首都である[[開封市|開封]]で[[11世紀]]以降から知られていた。100万人以上の人口、歓待の文化、および紙幣により開封ではレストラン発展の機が熟していた。旅行者向けの茶屋と居酒屋が発展し、開封のレストランは中国の他の地域からの人向けと同様に地域住民向けの産業として発展したと考えられる<ref name="gernet 133">Gernet, 133.</ref>。スティーブン・H・ウェストはレストラン事業の発展と宋で急拡大した中産階級商人に供された演劇舞台、賭博、および売春の施設に密接な関係があると論じている<ref>West, 69-76.</ref>。


レストランの範囲、どこからがレストランでないのかについて解説すると、レストランではなくレストランと対比されるもののひとつは、テーブルでなくカウンターで飲食物を提供する店である[[バール]](bar)や[[バー]](bar)である。また、たとえば料理を選ぶことができず、食べた人(生徒)から料金をとらない[[学校給食]]もレストランでは無いものである。
レストランは料理、価格帯、および宗教用件の様々な形式を供した。レストランの1店でさえ多くの選択が可能であり、[[献立|メニュー]]から選んだ料理が注文された<ref name="gernet 133"/>。[[1275年]]以降の宋後期の首都、[[杭州市|杭州]]について以下のような記述がされている。


一方、日本の総務省の統計では、どうしてこういう分類法になってしまったか理由や経緯は不明だが、テーブルで料理が提供されても専門料理店(蕎麦屋、ラーメン店、[[焼肉店]]、[[寿司屋]]など)はレストランに含めず、別の区分としている<ref name="soumu000290732" />。これは、あくまで過去のなんらかの統計調査の都合で生まれた分類法でしかなく、百科事典の定義などに仕えるものではないので<ref group="注釈">行政が行う統計では、一般的な定義や分類法とは異なる妙な分類法がしばしば行われてしまう。たとえば世の中では[[ファミリーレストラン]]というカテゴリーが明らかにあり、百科事典などでも「ファミリーレストラン」は掲載され、フード業界誌などでもファミリーレストランという区分は明らかに使われ、ビジネス業界ではそれの統計がとられているが、日本の行政の統計ではなぜか「ファミリーレストラン」という区分で統計をとらず、別の2つの用語で別々に統計をとってしまっていて、非常に使いづらい。行政の統計というのは、統計をとる側の特殊な事情を優先し、しばしばまともな定義に一致しない変な区切り方を使い、ともかくそれまでに調査できて明らかにできていた数字を使って統計数値をはじき出そうとする。また政府の統計は、経年的変化を追跡するために何年も同じ基準(区分法)で集計することが優先されるので、最初にうっかり変な区分が採用されてしまうと、たとえそれが変な区分法であっても、翌年以降もその変な区分法を踏襲してしまことがほとんどである。ともかく、統計上の区分は、あくまで統計上の、しばしば人にはまともに説明できないような統計調査する側の集計上の都合の区分なので、百科事典の定義文として採用してはいけない。</ref>、本項では百科事典などに採用されている世界的に一般的な定義法を採用して説明する。
:''杭州の人々を喜ばせることは非常に難しい。四方八方から何百もの注文が行われる。ある人は温かい料理、別の人は冷たい料理、もう1人は微温の料理、4人目は冷却された料理を注文する。ある人は調理した料理、別の人は生の料理、別の人は焙った料理、別の者は焼いた料理を注文する''<ref>Kiefer, 5-7.</ref>。


== 概説 ==
杭州のレストランはまた[[1120年]]の[[女真]]の侵攻から逃れた北宋の人々の多くに利用され、多くのレストランが開封からの家族で経営されていたことが知られている<ref name="gernet 133 134">Gernet, 133-134.</ref>。
飲食を提供する店は古くからあり、例えばギリシャ・ローマ時代から使われている飲食できる店を意味する語に[[タヴェルナ (飲食店)|タベルナ]]があるが、これは市場などに集まってきた人々に屋台に近い設備で簡単な軽食を出すものであった<ref name="akamatsu" />。


中世ヨーロッパの[[ギルド|ギルド制]]のもとでは飲食店も25業種に分けられ、ロスティエールではロースト料理のみ、シャルキュティエでは豚料理のみなどギルドの種類ごとに決まった料理しか提供することが認められず、トレトゥールと呼ばれた仕出し屋のみが日替わりの料理を提供できた<ref name="akamatsu" />。また、中世ヨーロッパでの飲食店や宿屋での食事の提供は大テーブルを客が囲み大皿から料理を取り分けて食べる方式であった<ref name="akamatsu" />。
女真に支配された[[金 (王朝)|金]]の時代、[[1153年]]に開封で開業した馬豫興桶子鶏 {{Enlink|Ma Yu Ching's Bucket Chicken House}} は、当時から現在まで変わらず経営しているとされる(連続した営業を証明する資料は存在せず、単に名前を頂いただけという可能性もある)。


レストランは[[フランス語]]に由来し、その起源については諸説あるが、フランス語のレストレ(restaurer)から来ている<ref name="akamatsu" />。レストランの語が用いられるようになったのは、18世紀に都会に働きにきた人たちなどに体調を回復できるよう消化に良い食べ物を提供するようになったことが由来になっている<ref name="akamatsu" />。レストランでの食事の提供の特徴は、客ごとに個別のテーブルを用意したこと、客が体調に応じてメニューから料理を選択できるようにしたこと、それぞれの料理の価格を明記したことなどが挙げられる<ref name="akamatsu">{{Cite journal|和書|author=赤松幹之 |title=語源を楽しむ |journal=情報管理 |year=2012 |volume=55 |issue=3 |pages=203-206 |naid=130001855932 |doi=10.1241/johokanri.55.203 |issn=0021-7298 |publisher=科学技術振興機構 |url=https://doi.org/10.1241/johokanri.55.203}}</ref>
=== イスラム世界 ===

レストランは、中国とほぼ同時期に、中世のイスラム世界で生まれた。イスラム世界には「全ての種類の料理を注文できるレストラン」があった。これらのレストランについて、 ムカッダスィー {{Enlink|Al-Muqaddasi}} が[[10世紀]]後半に言及した<ref>{{Citation|title=Daily Life in the Medieval Islamic World|first=James E.|last=Lindsay|year=2005|publisher=Greenwood Publishing Group|isbn=0313322708|page=131}}</ref>。
レストランは国際標準産業分類(ISIC)ではサービス業としてホテルと同じ区分になっている<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2019/03/d2019_T3-01A.pdf |title=A表 国際標準産業分類(ISIC)|publisher=独立行政法人労働政策研究・研修機構 |accessdate=2020-11-06}}</ref>。また、日本標準産業分類では「小分類7611-食堂、レストラン(専門料理店を除く)」に分類されており「主として主食となる各種の料理品をその場所で飲食させる事業所」と定義されている<ref name="soumu000290732">{{Cite web|和書|url=https://www.soumu.go.jp/main_content/000290732.pdf |title=大分類M-宿泊業,飲食サービス業|publisher=総務省 |accessdate=2020-11-06}}</ref>。

== 歴史 ==
=== ヨーロッパ、地中海沿岸 ===
[[ファイル:GrandeTaberna.JPG|サムネイル|[[テルモポリウム]]]]
[[古代ギリシャ・ローマ世界]]には[[テルモポリウム]]、すなわち「温かい食物を提供する場所」という名で呼ばれていた飲食店があった。
[[ヘルクラネウム]]の遺跡には[[甕]]や大鍋をはめ込んだ石造りの[[カウンター]]を備えた飲食店が残されている。[[ポンペイ]](紀元前5世紀頃 - 紀元後の79年)の遺跡にもカウンターを備えた飲食店が残り、瓶などの容器に残された成分の分析により、[[豚肉]]、[[魚]]、[[牛肉]]、[[エスカルゴ]]の料理が提供されていたことが判っており、カウンター前面の絵がメニューだとすると[[鶏肉]]料理も提供していた可能性がある<ref>{{Cite web |url=https://nyakomeshi.com/entry/2023/11/16/200000 |title=「古代ローマの飲食店」 |publisher=にゃこめしの食材博物記 |language=ja |accessdate=2024-07-04}} </ref>。


中世[[アンダルス|イスラム世界のスペイン]]のレストランでは、3つのコースの食事が供された。これは[[9世紀]]に[[シルヤブ]] {{Enlink|Ziryab}} により早期に導入されたものであり食事は[[スープ]]、メインコース、および[[デザート]]の3つの独立したコースとすることが主張された<ref name="Marin">Salma Khadra Jayyusi and Manuela Marin(1994), ''The Legacy of Muslim Spain'', p. 117, [[:en:Brill Publishers]], ISBN 9004095993</ref>。


=== 西洋 ===
[[ファイル:RestaurantBath.jpg|thumb|[[バース (イギリス)|バース]]のレストラン]]
[[ファイル:RestaurantBath.jpg|thumb|[[バース (イギリス)|バース]]のレストラン]]
[[ファイル:Boris Kustodiev 001.jpg|thumb|[[ボリス・クストーディエフ]]:『モスクワのレストラン』(1916年)]]
[[ファイル:Moscow Tavern (Kustodiev).jpg|thumb|[[ボリス・クストーディエフ]]:『モスクワのレストラン』(1916年)]]
西洋では[[古代]]から、[[宿泊施設|宿屋]]が料理を提供していた。宿屋は旅行者向けの施設であり、一般に地域住民が食事をすることはほとんどなかった。
西洋では、[[宿泊施設|宿屋]]と居酒屋が[[古代]]から知られている。これらは旅行者向けの施設であり、一般に地域住民が食事をすることはほとんどなかった。特定の料理が客から注文され、この注文に従って調理するような食事を供する仕事としてのレストランは[[18世紀]]になって各都市に現れた。この時代のレストランとしてはロンドンで1798年に創業した[[ルールズ (レストラン)|ルールズ]]などがある。[[ギネス・ワールド・レコーズ]]によると現存する最古のレストランは[[スペイン]]、[[マドリード]]のボティン {{Enlink|Sobrino de Botín}} であり[[1725年]]に開業した。他に世界最古を主張しているレストランは[[ザルツブルク]]の[[シュティフツケラー・ザンクト・ペーター]]であり、[[カール大帝]]の時代、[[803年]]創業である。

[[ザルツブルク]]の[[シュティフツケラー・ザンクト・ペーター]]は、[[カール大帝]]の時代、[[803年]]の創業であり「現存するレストランとしては世界最古だ」と主張している。

;中世イスラム世界のレストラン
[[中世]]の[[イスラーム]]世界は、[[地中海]]沿岸の広域に広がっていたわけだが、イスラーム世界には「全ての種類の料理を注文できるレストラン」があった。これらのレストランについて、ムカッダスィー {{Enlink|Al-Muqaddasi}} が[[10世紀]]後半に言及した<ref>{{Citation|title=Daily Life in the Medieval Islamic World|first=James E.|last=Lindsay|year=2005|publisher=Greenwood Publishing Group|isbn=0313322708|page=131}}</ref>。

中世[[アンダルス|イスラム世界のスペイン]]のレストランでは、3つのコースの食事が供された。これは[[9世紀]]に[[シルヤブ]] {{Enlink|Ziryab}} により早期に導入されたものであり食事は[[スープ]]、メインコース、および[[デザート]]の3つの独立したコースとすることが主張された<ref name="Marin">Salma Khadra Jayyusi and Manuela Marin(1994), ''The Legacy of Muslim Spain'', p. 117, [[:en:Brill Publishers]], ISBN 9004095993</ref>。


;18世紀
レストラン([[フランス語]]で「回復させる」を意味する動詞 restaurer の現在分詞 restaurant が語源)という言葉は[[16世紀]]に現れ「回復する食事」を意味し、特に栄養に富み強く風味付けされた[[スープ]]であったが、この語が最初に食事店に使われたのは[[1765年]]頃にブーランジェが創業した[[パリ]]の[[酒場|エスタミネ]]であった。ギルドの規則から煮込み料理は出せない代わりに、鶏や卵を使った料理やレストランを食べさせた。その後、似たような店が多数出現し、そうした店はレストラトゥールと呼ばれた<ref>エドモンド・ネランク、ジャン=ピエール・プーラン 辻調グループ監訳『よくわかるフランス料理の歴史』同朋舎出版 1994年、ISBN 4810413276 pp56-57</ref>。


[[18世紀]]になると、特定の料理が客から注文されこの注文に従って調理するような食事を供するレストランが各都市に現れた。[[ギネス世界記録|ギネス・ワールド・レコーズ]]によると現存する最古のレストランは[[1725年]]に開業した、[[スペイン]]、[[マドリード]]のボティン {{Enlink|Sobrino de Botín}} である。ロンドンでは1798年に[[ルールズ (レストラン)|ルールズ]]が創業した。
レストラン([[フランス語]]で「回復させる」を意味する動詞 restaurer の現在分詞 restaurant が語源)という言葉は[[16世紀]]に現れ「回復する食事」を意味し、特に栄養に富み強く風味付けされた[[スープ]]であった。この語が最初に食事店に使われたのは[[1765年]]頃にブーランジェが創業した[[パリ]]の[[酒場|エスタミネ]]であった。ギルドの規則から煮込み料理は出せない代わりに、鶏や卵を使った料理やレストランを食べさせた。その後、似たような店が多数出現し、そうした店はレストラトゥールと呼ばれた<ref>エドモンド・ネランク、ジャン=ピエール・プーラン 辻調グループ監訳『よくわかるフランス料理の歴史』同朋舎出版 1994年、ISBN4810413276 pp56-57</ref>。


標準となった形態(固定した営業時間中に客が個々のテーブルの一人分の場所に座り、メニューから料理を選ぶ)を持った最初のレストランは「Grand Taverne de Londres」(ロンドンの偉大な居酒屋)であり、[[1782年]]にアントワーヌ・ボーヴィリエにより創業された。彼は代表的料理作家、料理学の権威であり<ref>Encyclopaedia Britannica 15th Ed.</ref>、成功した料理店主として名声を得た。また、標準的な料理本となった『料理人の技術』(''L'Art du cuisinier''、[[1814年]])を著した。
標準となった形態(固定した営業時間中に客が個々のテーブルの一人分の場所に座り、メニューから料理を選ぶ)を持った最初のレストランは「Grand Taverne de Londres」(ロンドンの偉大な居酒屋)であり、[[1782年]]にアントワーヌ・ボーヴィリエにより創業された。彼は代表的料理作家、料理学の権威であり<ref>Encyclopaedia Britannica 15th Ed.</ref>、成功した料理店主として名声を得た。また、標準的な料理本となった『料理人の技術』(''L'Art du cuisinier''、[[1814年]])を著した。


[[フランス革命]]により料理ギルドが解体され、素晴らしい料理を作る技能を持つ使用人達を残して貴族が逃れたことでその後のフランスでレストランが普通のものとなった。一方同時に多くの地方人が、料理をしてくれる家族を残してパリに集まった。レストランはこれらの双方を呼び集める手段であった。そして、外食というフランスの伝統が生まれた。
[[フランス革命]]により料理ギルドが解体され、素晴らしい料理を作る技能を持つ使用人達を残して貴族が逃れたことでその後のフランスでレストランが普通のものとなった。一方同時に多くの地方人が、料理をしてくれる家族を残してパリに集まった。レストランはこれらの双方を呼び集める手段であった。そして、外食というフランスの伝統が生まれた。

ナポレオンの時代の代表的なレストランはヴェリィで惜しみなく飾り付けされ膨大な選択のスープ、魚および肉料理、そして何十ものサイドディッシュのメニューを誇っていた。[[オノレ・ド・バルザック|バルザック]]がしばしばそこで食事をした{{要出典|date=2008年9月}}。[[1896年]]に競合他社に吸収されたが、その後も店舗[[ル・グラン・ヴェフール]] {{Enlink|Le Grand Véfour}} は営業を続けている。


19世紀のパリで最も有名であるとブリタニカが説明したレストランは、イタリアン大通りのカフェ・アングレ(イギリスのカフェ)である。「イギリス」がレストランの命名に使用されパリ市民がロンドン、イギリス、そしてイギリス人に対して明白に持つ高い敬意が表されている。
19世紀のパリで最も有名であるとブリタニカが説明したレストランは、イタリアン大通りのカフェ・アングレ(イギリスのカフェ)である。「イギリス」がレストランの命名に使用されパリ市民がロンドン、イギリス、そしてイギリス人に対して明白に持つ高い敬意が表されている。


19世紀になってもパリ以外ではレストランは流行せず、イギリスの旅行ガイドブックにはパリに行ったときはレストランで食事することをすすめる内容が掲載されていたという<ref name="akamatsu" />。レストランが世界的に広まるのは19世紀中頃のことである<ref name="akamatsu" />。
レストランは世界中に急速に広まった。[[アメリカ合衆国]]では[[1794年]]に[[ボストン]]で開店した(''Jullien's Restarator'')。しかしながら多くは標準的に共有の料理をテーブル供して客が自分で取って食べる形式(''Service à la française''、一般に「ファミリースタイル」レストランと呼ばれる)であり、より早く食べることを薦めるものであった。別の食事のフォーマルな形式は[[ウェイター]]がテーブルの周りを料理の大皿を運ぶもので、''Service à la russe''として知られている。この時間差フルコースは[[1810年]]に[[帝政ロシア]]の皇太子に仕えた政治家・外交官[[アレクサンドル・クラーキン]]によりフランスに紹介されたと言われる。これが急速にイギリスを越えて広まった。食事が既に配置されている皿が客に供される普通のパターンのサービスはアメリカ由来でないことは確かであるが、「アメリカン・サービス」と呼ばれている。

=== アメリカ ===
[[ファイル:Tom's_Restaurant,_NYC.jpg|thumb|[[ニューヨーク]]のトムズ・レストラン。[[スザンヌ・ヴェガ]]の歌「Tom's Diner」に歌われ、[[テレビドラマ]]、『[[となりのサインフェルド]]』に「Monk's」として登場する。]]
[[英語圏]]の[[北アメリカ|北米]]などにおいては料理・飲料類を提供する[[業種]]を指す[[名前|名称]]として"restaurant"の言葉が使用され、西洋料理以外の[[店|店鋪]]でも"restaurant"と称する。

[[アメリカ合衆国]]では[[1794年]]に[[ボストン]]でレストランが開店した(''Jullien's Restarator'')。しかしながら多くは共有の料理のテーブルを供して客がそれを自分で取って食べる形式(''Service à la française''、一般に「ファミリースタイル」レストランと呼ばれる)であり、より早く食べることを薦めるものであった。別の食事のフォーマルな形式は[[ウェイター]]がテーブルの周りを料理の大皿を運ぶもので、''Service à la russe''として知られている。この時間差フルコースは[[1810年]]に[[帝政ロシア]]の皇太子に仕えた政治家・外交官[[アレクサンドル・クラーキン]]によりフランスに紹介されたと言われる。これが急速にイギリスを越えて広まった。食事が既に配置されている皿が客に供される普通のパターンのサービスはアメリカ由来でないことは確かであるが、「アメリカン・サービス」と呼ばれている。

=== 中国 ===
[[ファイル:Qingming Festival Detail 15.jpg|thumb|right|200px|A [[宋 (王朝)|宋]]の茶屋、[[張択端]]作『[[清明上河図]]』より]]
食事のサービスを行う店は、[[宋 (王朝)|宋]]前期の[[中国]]の北の首都である[[開封市|開封]]で[[11世紀]]以降から知られていた。100万人以上の人口、歓待の文化により、開封ではレストラン発展の機が熟していた。旅行者向けの茶屋と居酒屋が発展し、開封のレストランは中国の他地域からの人びとを受け入れると同時に地域住民向けの産業として発展したと考えられる<ref name="gernet 133">Gernet, 133.</ref>。スティーブン・H・ウェストはレストラン事業の発展と宋で急拡大した中産階級商人に供された演劇舞台、賭博、および売春の施設に密接な関係があると論じている<ref>West, 69-76.</ref>。

レストランは料理、価格帯、および宗教用件の様々な形式を供した。一軒のレストランでさえ多くの選択が可能であり、[[献立|メニュー]]から料理を選んで注文した<ref name="gernet 133" />。[[1275年]]以降の宋後期の首都、[[杭州市|杭州]]について以下のように記述されている。

:''杭州の人々を喜ばせることは非常に難しい。四方八方から何百もの注文が行われる。ある人は温かい料理、別の人は冷たい料理、もう1人は微温の料理、4人目は冷却された料理を注文する。ある人は調理した料理、別の人は生の料理、別の人は焙った料理、別の者は焼いた料理を注文する''<ref>Kiefer, 5-7.</ref>。

杭州のレストランはまた[[1120年]]の[[女真]]の侵攻から逃れた北宋の人々の多くに利用され、多くのレストランが開封からの移民によって、経営されていたことが知られている<ref name="gernet 133 134">Gernet, 133-134.</ref>。

女真に支配された[[金 (王朝)|金]]の時代、[[1153年]]に開封で開業した馬豫興桶子鶏 {{Enlink|Ma Yu Ching's Bucket Chicken House}} は、当時から現在まで変わらず経営しているとされる(連続した営業を証明する資料は存在せず、単に名前を頂いただけという可能性もある)。



=== 日本 ===
=== 日本 ===
[[ファイル:140322 Unzen Kanko Hotel Unzen Nagasaki pref Japan09s.jpg|thumb|昭和初期創業の[[雲仙観光ホテル]]のレストラン]]
[[ファイル:140322 Unzen Kanko Hotel Unzen Nagasaki pref Japan09s.jpg|thumb|昭和初期創業の[[雲仙観光ホテル]]のレストラン]]
[[英語圏]]の[[北アメリカ|北米]]などにおいては料理・飲料類を提供する[[業種]]を指す[[名前|名称]]として"restaurant"の[[言葉]]が使用され、西洋料理以外の[[店|店鋪]]でも"restaurant"と称する。[[日本]]では[[明治]]時代から[[昭和]]初期にかけて高級[[ホテル]]が開業し、集客の目玉として各国の料理を提供する西洋料理レストランが日本に導入された。以降、日本の[[食材]]と西洋料理の[[技術|技法]]と掛け合わせた[[調理法|料理法]]が[[開発]]され日本独自にアレンジされた「[[洋食]]」を提供する場として「レストラン」が各地に作られていった。また、洋風の店舗で和食を提供する料理店は「和風レストラン」と名乗ったり、様々な個性的なレストランが増えている。
[[日本]]では[[明治]]時代から[[昭和]]初期にかけて高級[[ホテル]]が開業し、集客の目玉として各国の料理を提供する西洋料理レストランが日本に導入された。以降、日本の[[食材]]と西洋料理の[[技術|技法]]と掛け合わせた[[調理法|料理法]]が開発され日本独自にアレンジされた「[[洋食]]」を提供する場として「レストラン」が各地に作られていった。また、洋風の店舗で和食を提供する料理店は「和風レストラン」と名乗ったり、様々な個性的なレストランが増えている。


== 種類 ==
== レストランの形式 ==
[[ファイル:Chinese restaurant Shanghai in Tampere.jpg|thumb|[[フィンランド]]の[[タンペレ]]にある中華料理店。]]
[[ファイル:Kitchen Snug02s3s4592.jpg|thumb|一軒家のイタリアンレストラン(日本)]]
[[ファイル:Kitchen Snug02s3s4592.jpg|thumb|一軒家のイタリアンレストラン(日本)]]
レストランは普段の昼食や職場の近くの食事場所など普通の環境での安価で質素な料理から、フォーマルな環境で洗練された料理と[[ワイン]]が供される高価な料理店まで幅広い。前者の場合、客は通常[[カジュアル]]な服装である。後者の場合、文化や地域伝統に従って客はセミカジュアル、セミフォーマルであり特別な場合には正装する。通常、客はテーブルに座りウェイターが注文をとる。ウェイターは料理ができるとテーブルに運び、客は席を立つ前に勘定を支払う。優れたレストランでは受付担当者、または支配人が客を歓迎して席に案内する。客を待つ他のスタッフには、ウェイター助手と[[ソムリエ]]がいる
レストランは多様であり、普段の昼食や職場の近くの食事場所など普通の環境での安価で質素な料理を提供する店から、フォーマルな環境で洗練された料理と[[ワイン]]が供される高価な料理店まで幅広い。


レストランは特定の種類の料理の専門店または統一したあるいは歓待するテーマを提する。例えば[[魚介類|シーフード]]レストラン、[[菜食主義|ベジタリアン]]レストラン、エスニックレストランがある。概して「地元の」料理を扱うレストランは単にレストランと呼ばれる。一方海外発の料理を扱うレストランはそれに従い、例えば中華料理店、フランス料理店と呼ばれる。
レストランは特定の種類の料理の専門店である場合もあるし、統一したテーマの料理を提ることもある。例えば[[魚介類|シーフード]]レストラン、[[菜食主義|ベジタリアン]]レストラン、エスニックレストランがある。


欧米のレストラン(特に高級店)では、[[子供]]の入店を禁じている。[[ファミリーレストラン]]は、子供の入店を禁じないカジュアルな店という事で、特にこのようにネーミングされたのが由来である。
欧米のレストラン(特に高級店)では、[[子供]]の入店を禁じている。[[ファミリーレストラン]]は、子供の入店を禁じないカジュアルな店という事で、特にこのようにネーミングされたのが由来である。


=== 日本の飲食としての ===
=== 形式による態区分 ===
クイックサービスレストラン、カジュアルダイニングレストラン、ダイニングレストランといった分類がある<ref name="nielsen">[https://www.nielsen.com/wp-content/uploads/sites/3/2019/04/JP20Global20Ingredient20and20Out-of-Home20Dining20Trends20Report.pdf ニールセン「食品の成分と消費者の心理 世界の原材料と外食の傾向」] (2021年8月20日閲覧)</ref>。
; 食堂
* クイックサービスレストラン
* [[食堂]]
** ファーストフードにおけるレストランをクイックサービスレストランという<ref name="nielsen" />。
** 一般的な名称。コンクリートの床にテーブルを置いたものから座敷を用意したものなど多種多様な店様式がある。狭義では[[中華料理店]]などの麺類、[[カレーライス]]、[[丼物]]など提供される料理の種類が多い大衆向けの店を指す。
* カジュアルダイニングレストラン
* [[居酒屋]]
** 中間的な形態で北米ではクイックサービスレストランとともに特に人気がある<ref name="nielsen" />。
** [[酒]]類の提供を重点に置いた[[食事]]を提供する。日中は食堂として、夜間は居酒屋として営業する店もある。
* ダイニングレストラン
* 定食屋([[大衆食堂]])
** フォーマルな形式のレストランをダイニングレストランという<ref name="nielsen" />。
** [[料理]]をセットにした[[定食]]を主に提供する。割安感があり[[ビジネス街]]や[[学生街]]に多く見られる。

* 洋食店
特に高級レストランは「グランメゾン」と呼ばれる{{要出典|date=2025年1月}}。
** 外国料理を日本風にアレンジした食事つまり[[洋食]]を提供する。[[明治]]以降盛んになった。

; レストラン
=== 日本の統計上の区分 ===
* グランメゾン
農林水産省「外食産業に関する基本調査結果」の業態区分では、[[ファーストフード]]、[[ファミリーレストラン]]、[[カジュアルレストラン]]、ディナーレストラン、その他([[喫茶店]]など)に分類している<ref name="maff">[https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gaisyoku/attach/pdf/index-6.pdf 農林水産省「外食産業に関する基本調査結果」] 農林水産省総合食料局(2021年8月20日閲覧)</ref>。
** 高級レストラン。
* ファーストフード
** 来客1人あたりの消費金額が700円未満で料理提供時間がおおよそ3分未満のもの<ref name="maff" />。
* ファミリーレストラン
** 来客1人あたりの消費金額が700円以上1500円未満で料理提供時間がおおよそ3分から10分のもの<ref name="maff" />。
* カジュアルレストラン
* カジュアルレストラン
** 来客1人あたりの消費金額が1500円以上2000円未満で料理提供時間がおおよそ3分から10分のもの<ref name="maff" />。
** 服装など気にすることなく、気楽に利用できるレストラン。
* [[ファミリーレストラン]]
* ディナーレストラン
** 来客1人あたりの消費金額が2000円以上で料理提供時間がおおよそ10分以上のもの<ref name="maff" />。
** メニューが家族向けにアレンジされている。略して「ファミレス」。
* 洋食レストラン
** 外国料理を日本風にアレンジした食事を提供する。
* [[和食レストラン]]
** 洋風の店舗で和食を提供したり、和食を洋風にアレンジした食事を提供する。
; ドライブイン
* [[ドライブイン]]
** 運転中に休憩を兼ねて[[食事]]がとれる、駐車場を併設した店。日本標準産業分類では、小分類「709-その他の一般飲食店」の細分類「7099-その他の一般飲食店」に該当する。


ファミリーレストランは、一般的にはチェーンストアとして展開している、家族連れを主な対象としている、メニューに和洋中の料理を広く含むといった特徴があるものをいう<ref name="fukui" />。旧商業統計には、ファミリーレストランの定義について客単価が500円~2000円、料理提供時間が3分以上で、客席は80席以上あることという定義があった<ref name="fukui">{{Cite journal|和書|author=井上尚美 |author2=西崎雅仁 |title=ファミリーレストラン市場の変化と経営的視座に関する研究 |journal=経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 |publisher=経営情報学会 |year=2010 |volume=2010年秋季全国研究発表大会 |page=1 |naid=130004606295 |doi=10.11497/jasmin.2010f.0.1.0 |url=https://doi.org/10.11497/jasmin.2010f.0.1.0}}</ref>。旧商業統計の分類によるとファミリーレストランは客単価はディナーレストランよりも低いが[[ファーストフード]]よりは高く、ファーストフードよりも料理提供時間が長いものをいい、ファミリーレストランはカジュアルレストランとほぼ同じものをいうとされていた<ref name="fukui" />。
== レストランの規則 ==

=== 米国の規則 ===
== レストランと法規 ==
油と動物性油脂の[[トランス脂肪酸#北米|論争]]のため米国のレストランは油が動物性油脂なしであるか、あるいは含まれることをメニューに記述することが合衆国法で定められている。またある料理に同じ油と動物性油脂を揚げ物等に使用するレストランについて、ある物質や料理の他の成分のアレルギー反応に関するケースによる話もある。ほとんどのレストランは法によりこれを強制されることはないが、メニューに記載する必要がある。{{要出典|date=2008年9月}}
=== 米国の法規 ===
油と動物性油脂の[[トランス脂肪酸#人体への影響|論争]]のため米国のレストランは油が動物性油脂なしであるか、あるいは含まれることをメニューに記述することが合衆国法で定められている。またある料理に同じ油と動物性油脂を揚げ物等に使用するレストランについて、ある物質や料理の他の成分のアレルギー反応に関するケースによる話もある。ほとんどのレストランは法によりこれを強制されることはないが、メニューに記載する必要がある。{{要出典|date=2008年9月}}


地域の慣習および制度により、レストランが[[酒]]を供することができるか否かが決定される。レストランでは、食事なしで酒を販売することがアルコール販売法で禁じられる。このような販売は[[バー (酒場)|バー]]の業務と考えられ、バーにはより厳しい制限がある。レストランには、酒の販売の認可(「完全認可」)と客によるアルコールの「持ち込み」(BYOまたはBYOB)の許可がある。ある場所ではレストランの認可はビール販売、またはワインとビールの制限がされることがある。
地域の慣習および制度により、レストランが[[酒]]を供することができるか否かが決定される。レストランでは、食事なしで酒を販売することがアルコール販売法で禁じられる。このような販売は[[バー (酒場)|バー]]の業務と考えられ、バーにはより厳しい制限がある。レストランには、酒の販売の認可(「完全認可」)と客によるアルコールの「持ち込み」(BYOまたはBYOB)の許可がある。ある場所ではレストランの認可はビール販売、またはワインとビールの制限がされることがある。


=== 日本の飲食業としての法規 ===
=== 日本の法規 ===
'''レストラン'''とは、[[食品衛生法]]第3条でいう「食品等事業者([[食品]]もしくは[[食品添加物|添加物]]を採取し、[[製造]]し、[[輸入]]し、[[加工]]し、[[調理]]し、貯蔵し、運搬し、もしくは[[販売]]することもしくは器具もしくは[[容器]][[包装]]を製造し、輸入し、もしくは販売することを営む人もしくは[[法人]]または[[学校]][[病院]]その他の[[施設]]において継続的に不特定もしくは多数の者に食品を供与する人もしくは法人をいう。)」のうち、[[日本標準産業分類]]の「大[[分類]]M-[[飲食店]],[[宿泊施設|宿泊]]業」でいう「飲食店とは,主として注文より直ちにその場所で[[料理]],その他の食料品まは[[飲料]]を飲食させ事業所をいう。また,[[百貨店]],[[遊園地]]などの一区画を占めて飲食店が営まれている場合,それが独立の事業所であれば本分類に含まれる。」のうち、「中[[分類]]70-一般飲食店」に該当するものから小分類の「702-[[蕎麦|そば]]・[[うどん]]店」「703-[[寿司屋|すし店]]」「704-[[喫茶店]]」「709-その他の一般飲食店」を除く「701-食堂、レストラン」を指す
日本の法規では「レストランは、[[食品衛生法]]第3条でいう「食品等事業者(食品もしくは[[食品添加物|添加物]]を採取し、製造し、輸入し、加工し、[[調理]]し、貯蔵し、運搬し、もしくは販売することもしくは器具もしくは容器包装を製造し、輸入し、もしくは販売することを営む人もしくは法人または学校、病院その他の[[施設]]において継続的に不特定もしくは多数の者に食品を供与する人もしくは法人をいう。)」にたる。


[[営業]]をするためには同法第52条の規定により、[[都道府県知事]]の[[許可]](窓口は[[保健所]])を受けなければならない。
営業をするためには同法第52条の規定により、[[都道府県知事]]の許可(窓口は[[保健所]])を受けなければならない。


== レストラン・ガイド ==
[[日本語]]では日本標準産業分類・細分類の「7013-[[西洋料理]]店」をレストランと呼ぶ場合が多く、日本標準産業分類・細分類の「7011-一般食堂」は食堂と呼ばれる場合が多い。
===書籍===
レストランガイドはレストランをレビューし、格付けまたは客向けの情報(料理の種類、アクセシビリティ、設備等)を提供する。12世紀の杭州(上記の最初のレストランの場所)では、地域のレストランと料理の質についての地域客の意見を一覧する看板が街の広場に掲示されていた。現在、レストランのレビューはより文明的な方法で行われる。[[西ヨーロッパ]]で有名な現代のガイドのひとつは、[[ミシュランガイド|ミシュラン]]の一連のガイドである。料理に高い評価が認められたレストランに、1つから3つの星が与えられる。


アメリカ合衆国では、『モービル・トラベルガイド』と『AAA(全米自動車協会)』が同様に1から5の星(モービル)またはダイアモンド(AAA)の評価でレストランを格付けする。3、4、および5星/ダイアモンドの格付けはミシュランの1、2、および3星の格付けに該当し1および2星の格付けはよりカジュアルな食事場所を示す。ミシュランは、アメリカ合衆国で初の[[ニューヨーク|ニューヨーク市]]ガイドを[[2005年]]に発行した。[[ザガット・サーベイ]]は個人のコメント集で人気があるが、「公式の」批判的査定は記載しない。オーストラリアの新聞社フェアフォックスグループが発行する『グッド・フード・ガイド』は、オーストラリアで最も良い食事場所を一覧するガイドである。傑出するレストランに、1から3のシェフ帽が与えられる。『グッド・フード・ガイド』はまたバー、カフェ、およびプロバイダも組み込んでいる。オーストラリアにはまたもうひとつのレストラン・ガイドである『グッド・レストラン・ガイド』<ref>[http://www.good-restaurant-guide.com.au/ グッド・レストラン・ガイド](英語)</ref>があり一般客が経験したレストランのレビュー、場所の案内と詳細な連絡先を提供する。誰でもレビューを出すことができる。
==== 産業分類 ====
日本標準産業分類の事業区分では「小分類701-食堂、レストラン」以下、次のようになっている。「大分類M-飲食店,宿泊業」'''以下の上位分類は[[飲食店#産業分類]]を'''参照されたい。
* 7011 一般食堂
* 7012 [[日本料理]]店
* 7013 西洋料理店
* 7014 [[中華料理]]店
* 7019 その他の食堂,レストラン


ほとんどすべてのアメリカの[[新聞]]はレストラン評論家を雇って、新聞を販売する都市のオンライン食事ガイドを発行している。出版された標準的なガイドに対しレストランへの徹底的で考え深いレビューと評判を記載する新聞も幾つかあるが、他は一覧サービスを提供している。
== レストラン・ガイド ==
レストランガイドはレストランをレビューし、格付けまたは客向けの情報(料理の種類、アクセシビリティ、設備等)を提供する。12世紀の杭州(上記の最初のレストランの場所)では、地域のレストランと料理の質についての地域客の意見を一覧する看板が街の広場に掲示されていた。現在、レストランのレビューはより文明的な方法で行われる。[[西ヨーロッパ]]で有名な現代のガイドのひとつは、[[ミシュランガイド|ミシュラン]]の一連のガイドである。料理に高い評価が認められたレストランに、1つから3つの星が与えられる。アメリカ合衆国では、『モービル・トラベルガイド』と『AAA(全米自動車協会)』が同様に1から5の星(モービル)またはダイアモンド(AAA)の評価でレストランを格付けする。3、4、および5星/ダイアモンドの格付けはミシュランの1、2、および3星の格付けに該当し1および2星の格付けはよりカジュアルな食事場所を示す。ミシュランは、アメリカ合衆国で初の[[ニューヨーク|ニューヨーク市]]ガイドを[[2005年]]に発行した。[[ザガット・サーベイ]]は個人のコメント集で人気があるが、「公式の」批判的査定は記載しない。オーストラリアの新聞社フェアフォックスグループが発行する『グッド・フード・ガイド』は、オーストラリアで最も良い食事場所を一覧するガイドである。傑出するレストランに、1から3のシェフ帽が与えられる。『グッド・フード・ガイド』はまたバー、カフェ、およびプロバイダも組み込んでいる。オーストラリアにはまたもうひとつのレストラン・ガイドである『グッド・レストラン・ガイド』<ref>[http://www.good-restaurant-guide.com.au/ グッド・レストラン・ガイド](英語)</ref>があり一般客が経験したレストランのレビュー、場所の案内と詳細な連絡先を提供する。誰でもレビューを出すことができる。


===オンライン===
ほとんどすべてのアメリカの[[新聞]]はレストラン評論家を雇って、新聞を販売する都市のオンライン食事ガイドを発行している。出版された標準的なガイドに対しレストランへの徹底的で考え深いレビューと評判を記載する新聞も幾つかあるが、他は一覧サービスを提供している。より最近のインターネット・サイトには、食事評論家レビューと一般による人気レビューの両方を提供している。これは成長分野で市場は未熟であり、どのサイトもまだ市場の優位性も批判的なサポートも得ることができていない。Zagat.com、chowhound.com、およびFodors.com等、幾つかは牽引力を有するサイトもある。[[ブログ|ブロガー]]と検索エンジンにより主要な競争が行われる。これは検索エンジンが大量の静的なウェブサイトよりも活発なブロガーを好むためである。
{{main|グルメサイト}}
最近のインターネット・サイトでは、食事評論家のレビューと一般による人気レビューの両方を提供している。これらは成長分野で市場は未成熟である。どのサイトもまだ市場の優位性も批判的なサポートも得ることができていない。Zagat.com、chowhound.com、およびFodors.com等、幾つかは牽引力を有するサイトもある。[[ブログ|ブロガー]]と検索エンジンにより主要な競争が行われる。これは検索エンジンが大量の静的なウェブサイトよりも活発なブロガーを好むためである。


1つの興味深い変わったサイトMenuism.comり、ここではレストランよりも料理をレビューする。これらサイトの多くは、割引券と地図を提供する。
ユニークなサイトMenuism.comる。ここではレストランよりも料理をレビューする。これらサイトの多くは、割引券と地図を提供する。


== 経済 ==
== 統計 ==
[[Image:Friday lunch.jpg|thumb|right|200px|レストランでの[[昼食]]]]
[[ファイル:Friday lunch.jpg|thumb|right|200px|レストランでの[[昼食]]]]
=== 米国市場 ===
=== 米国 ===
Barnes Reports社による『2006 U.S. Industry & Market Outlook』によると2006年現在、およそ215,000のフルサービスレストランがアメリカ合衆国にあり298億ドルを売上げ250,000の限定サービス([[ファストフード]])レストランが260億ドルを売り上げている。
Barnes Reports社による『2006 U.S. Industry & Market Outlook』によると2006年現在、およそ215,000のフルサービスレストランがアメリカ合衆国にあり298億ドルを売上げ250,000の限定サービス([[ファストフード]])レストランが260億ドルを売り上げている。


== 脚注 ==
== 脚注 ==
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=== 参考文献 ===
=== 参考文献 ===
* Gernet, Jacques(translated by H. M. Wright)(1962), ''Daily Life in China on the Eve of the Mongol Invasion, 1250-1276'', Stanford: Stanford University Press, ISBN 0-8047-0720-0
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* Gernet, Jacques(translated by H. M. Wright)(1962), ''Daily Life in China on the Eve of the Mongol Invasion, 1250-1276'', Stanford: Stanford University Press, ISBN 0-8047-0720-0
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* Spang, Rebecca L.(2000), ''The Invention of the Restaurant'', Harvard University Press
|deadlinkdate = 2017年9月
* West, Stephen H. "Playing With Food: Performance, Food, and The Aesthetics of Artificiality in The Sung and Yuan," Harvard Journal of Asiatic Studies(Volume 57, Number 1, 1997): 67-106.
}}
* Whitaker, Jan(2002), ''Tea at the Blue Lantern Inn: A Social History of the Tea Room Craze in America", St. Martin's Press.
* Spang, Rebecca L.(2000), ''The Invention of the Restaurant'', Harvard University Press
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* West, Stephen H. "Playing With Food: Performance, Food, and The Aesthetics of Artificiality in The Sung and Yuan," Harvard Journal of Asiatic Studies(Volume 57, Number 1, 1997): 67-106.
* Whitaker, Jan(2002), ''Tea at the Blue Lantern Inn: A Social History of the Tea Room Craze in America", St. Martin's Press.


== 関連項 ==
== 関連項 ==
* [[レストラン船]]
* [[レストラン船]]
* [[食堂車]]
* [[食堂車]]
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* [[社員食堂]]
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* [[学生食堂]]
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* [[ブリード・ド・キュイジーヌ]]
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* [[1.5次会]]
* [[1.5次会]]
* [[ブラッスリー]]
* [[ブラッスリー]]
* [[レストランサービス技能士]]
* [[レストランサービス技能士]]
* [[ゴースト・レストラン]]


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
* [http://www.jfnet.or.jp/index.html 一般社団法人日本フードサービス協会公式ページ]
* [http://www.jfnet.or.jp/index.html 一般社団法人日本フードサービス協会公式ページ]


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2025年1月4日 (土) 04:16時点における最新版

レストラン: restaurant)は、客が料理を選ぶことができ、それをテーブルで提供してもらえ、その代価として料金を支払う飲食店[1]

元のフランス語[2]やそれを借用した英語では、テーブルで料理を提供してくれる広範囲の飲食店を指す用語であり、ともかくテーブルで料理を提供し対価をいただく飲食店である。フレンチ・レストラン、イタリアン・レストランなどだけでなくチャイニーズ・レストラン(中華料理店)もレストランに含み、テーブルで蕎麦を提供する蕎麦屋も英語ではsoba restaurantと言い、restaurantに含んでいる[3]

レストランの範囲、どこからがレストランでないのかについて解説すると、レストランではなくレストランと対比されるもののひとつは、テーブルでなくカウンターで飲食物を提供する店であるバール(bar)やバー(bar)である。また、たとえば料理を選ぶことができず、食べた人(生徒)から料金をとらない学校給食もレストランでは無いものである。

一方、日本の総務省の統計では、どうしてこういう分類法になってしまったか理由や経緯は不明だが、テーブルで料理が提供されても専門料理店(蕎麦屋、ラーメン店、焼肉店寿司屋など)はレストランに含めず、別の区分としている[4]。これは、あくまで過去のなんらかの統計調査の都合で生まれた分類法でしかなく、百科事典の定義などに仕えるものではないので[注釈 1]、本項では百科事典などに採用されている世界的に一般的な定義法を採用して説明する。

概説

[編集]

飲食を提供する店は古くからあり、例えばギリシャ・ローマ時代から使われている飲食できる店を意味する語にタベルナがあるが、これは市場などに集まってきた人々に屋台に近い設備で簡単な軽食を出すものであった[2]

中世ヨーロッパのギルド制のもとでは飲食店も25業種に分けられ、ロスティエールではロースト料理のみ、シャルキュティエでは豚料理のみなどギルドの種類ごとに決まった料理しか提供することが認められず、トレトゥールと呼ばれた仕出し屋のみが日替わりの料理を提供できた[2]。また、中世ヨーロッパでの飲食店や宿屋での食事の提供は大テーブルを客が囲み大皿から料理を取り分けて食べる方式であった[2]

レストランはフランス語に由来し、その起源については諸説あるが、フランス語のレストレ(restaurer)から来ている[2]。レストランの語が用いられるようになったのは、18世紀に都会に働きにきた人たちなどに体調を回復できるよう消化に良い食べ物を提供するようになったことが由来になっている[2]。レストランでの食事の提供の特徴は、客ごとに個別のテーブルを用意したこと、客が体調に応じてメニューから料理を選択できるようにしたこと、それぞれの料理の価格を明記したことなどが挙げられる[2]

レストランは国際標準産業分類(ISIC)ではサービス業としてホテルと同じ区分になっている[5]。また、日本標準産業分類では「小分類7611-食堂、レストラン(専門料理店を除く)」に分類されており「主として主食となる各種の料理品をその場所で飲食させる事業所」と定義されている[4]

歴史

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ヨーロッパ、地中海沿岸

[編集]
テルモポリウム

古代ギリシャ・ローマ世界にはテルモポリウム、すなわち「温かい食物を提供する場所」という名で呼ばれていた飲食店があった。 ヘルクラネウムの遺跡にはや大鍋をはめ込んだ石造りのカウンターを備えた飲食店が残されている。ポンペイ(紀元前5世紀頃 - 紀元後の79年)の遺跡にもカウンターを備えた飲食店が残り、瓶などの容器に残された成分の分析により、豚肉牛肉エスカルゴの料理が提供されていたことが判っており、カウンター前面の絵がメニューだとすると鶏肉料理も提供していた可能性がある[6]


バースのレストラン
ボリス・クストーディエフ:『モスクワのレストラン』(1916年)

西洋では古代から、宿屋が料理を提供していた。宿屋は旅行者向けの施設であり、一般に地域住民が食事をすることはほとんどなかった。

ザルツブルクシュティフツケラー・ザンクト・ペーターは、カール大帝の時代、803年の創業であり「現存するレストランとしては世界最古だ」と主張している。

中世イスラム世界のレストラン

中世イスラーム世界は、地中海沿岸の広域に広がっていたわけだが、イスラーム世界には「全ての種類の料理を注文できるレストラン」があった。これらのレストランについて、ムカッダスィー  (Al-Muqaddasi10世紀後半に言及した[7]

中世イスラム世界のスペインのレストランでは、3つのコースの食事が供された。これは9世紀シルヤブ  (Ziryab により早期に導入されたものであり食事はスープ、メインコース、およびデザートの3つの独立したコースとすることが主張された[8]


18世紀

レストラン(フランス語で「回復させる」を意味する動詞 restaurer の現在分詞 restaurant が語源)という言葉は16世紀に現れ「回復する食事」を意味し、特に栄養に富み強く風味付けされたスープであったが、この語が最初に食事店に使われたのは1765年頃にブーランジェが創業したパリエスタミネであった。ギルドの規則から煮込み料理は出せない代わりに、鶏や卵を使った料理やレストランを食べさせた。その後、似たような店が多数出現し、そうした店はレストラトゥールと呼ばれた[9]

18世紀になると、特定の料理が客から注文されこの注文に従って調理するような食事を供するレストランが各都市に現れた。ギネス・ワールド・レコーズによると現存する最古のレストランは1725年に開業した、スペインマドリードのボティン  (Sobrino de Botín である。ロンドンでは1798年にルールズが創業した。

標準となった形態(固定した営業時間中に客が個々のテーブルの一人分の場所に座り、メニューから料理を選ぶ)を持った最初のレストランは「Grand Taverne de Londres」(ロンドンの偉大な居酒屋)であり、1782年にアントワーヌ・ボーヴィリエにより創業された。彼は代表的料理作家、料理学の権威であり[10]、成功した料理店主として名声を得た。また、標準的な料理本となった『料理人の技術』(L'Art du cuisinier1814年)を著した。

フランス革命により料理ギルドが解体され、素晴らしい料理を作る技能を持つ使用人達を残して貴族が逃れたことでその後のフランスでレストランが普通のものとなった。一方同時に多くの地方人が、料理をしてくれる家族を残してパリに集まった。レストランはこれらの双方を呼び集める手段であった。そして、外食というフランスの伝統が生まれた。

19世紀のパリで最も有名であるとブリタニカが説明したレストランは、イタリアン大通りのカフェ・アングレ(イギリスのカフェ)である。「イギリス」がレストランの命名に使用されパリ市民がロンドン、イギリス、そしてイギリス人に対して明白に持つ高い敬意が表されている。

19世紀になってもパリ以外ではレストランは流行せず、イギリスの旅行ガイドブックにはパリに行ったときはレストランで食事することをすすめる内容が掲載されていたという[2]。レストランが世界的に広まるのは19世紀中頃のことである[2]

アメリカ

[編集]
ニューヨークのトムズ・レストラン。スザンヌ・ヴェガの歌「Tom's Diner」に歌われ、テレビドラマ、『となりのサインフェルド』に「Monk's」として登場する。

英語圏北米などにおいては料理・飲料類を提供する業種を指す名称として"restaurant"の言葉が使用され、西洋料理以外の店鋪でも"restaurant"と称する。

アメリカ合衆国では1794年ボストンでレストランが開店した(Jullien's Restarator)。しかしながら多くは共有の料理のテーブルを供して客がそれを自分で取って食べる形式(Service à la française、一般に「ファミリースタイル」レストランと呼ばれる)であり、より早く食べることを薦めるものであった。別の食事のフォーマルな形式はウェイターがテーブルの周りを料理の大皿を運ぶもので、Service à la russeとして知られている。この時間差フルコースは1810年帝政ロシアの皇太子に仕えた政治家・外交官アレクサンドル・クラーキンによりフランスに紹介されたと言われる。これが急速にイギリスを越えて広まった。食事が既に配置されている皿が客に供される普通のパターンのサービスはアメリカ由来でないことは確かであるが、「アメリカン・サービス」と呼ばれている。

中国

[編集]
A の茶屋、張択端作『清明上河図』より

食事のサービスを行う店は、前期の中国の北の首都である開封11世紀以降から知られていた。100万人以上の人口、歓待の文化により、開封ではレストラン発展の機が熟していた。旅行者向けの茶屋と居酒屋が発展し、開封のレストランは中国の他地域からの人びとを受け入れると同時に地域住民向けの産業として発展したと考えられる[11]。スティーブン・H・ウェストはレストラン事業の発展と宋で急拡大した中産階級商人に供された演劇舞台、賭博、および売春の施設に密接な関係があると論じている[12]

レストランは料理、価格帯、および宗教用件の様々な形式を供した。一軒のレストランでさえ多くの選択が可能であり、メニューから料理を選んで注文した[11]1275年以降の宋後期の首都、杭州について以下のように記述されている。

杭州の人々を喜ばせることは非常に難しい。四方八方から何百もの注文が行われる。ある人は温かい料理、別の人は冷たい料理、もう1人は微温の料理、4人目は冷却された料理を注文する。ある人は調理した料理、別の人は生の料理、別の人は焙った料理、別の者は焼いた料理を注文する[13]

杭州のレストランはまた1120年女真の侵攻から逃れた北宋の人々の多くに利用され、多くのレストランが開封からの移民によって、経営されていたことが知られている[14]

女真に支配されたの時代、1153年に開封で開業した馬豫興桶子鶏  (Ma Yu Ching's Bucket Chicken House は、当時から現在まで変わらず経営しているとされる(連続した営業を証明する資料は存在せず、単に名前を頂いただけという可能性もある)。


日本

[編集]
昭和初期創業の雲仙観光ホテルのレストラン

日本では明治時代から昭和初期にかけて高級ホテルが開業し、集客の目玉として各国の料理を提供する西洋料理レストランが日本に導入された。以降、日本の食材と西洋料理の技法と掛け合わせた料理法が開発され日本独自にアレンジされた「洋食」を提供する場として「レストラン」が各地に作られていった。また、洋風の店舗で和食を提供する料理店は「和風レストラン」と名乗ったり、様々な個性的なレストランが増えている。

種類

[編集]
フィンランドタンペレにある中華料理店。
一軒家のイタリアンレストラン(日本)

レストランは多様であり、普段の昼食や職場の近くの食事場所など普通の環境での安価で質素な料理を提供する店から、フォーマルな環境で洗練された料理とワインが供される高価な料理店まで幅広い。

レストランは特定の種類の料理の専門店である場合もあるし、統一したテーマの料理を提供することもある。例えばシーフードレストラン、ベジタリアンレストラン、エスニックレストランがある。

欧米のレストラン(特に高級店)では、子供の入店を禁じている。ファミリーレストランは、子供の入店を禁じないカジュアルな店という事で、特にこのようにネーミングされたのが由来である。

形式による業態区分

[編集]

クイックサービスレストラン、カジュアルダイニングレストラン、ダイニングレストランといった分類がある[15]

  • クイックサービスレストラン
    • ファーストフードにおけるレストランをクイックサービスレストランという[15]
  • カジュアルダイニングレストラン
    • 中間的な形態で北米ではクイックサービスレストランとともに特に人気がある[15]
  • ダイニングレストラン
    • フォーマルな形式のレストランをダイニングレストランという[15]

特に高級レストランは「グランメゾン」と呼ばれる[要出典]

日本の統計上の区分

[編集]

農林水産省「外食産業に関する基本調査結果」の業態区分では、ファーストフードファミリーレストランカジュアルレストラン、ディナーレストラン、その他(喫茶店など)に分類している[16]

  • ファーストフード
    • 来客1人あたりの消費金額が700円未満で料理提供時間がおおよそ3分未満のもの[16]
  • ファミリーレストラン
    • 来客1人あたりの消費金額が700円以上1500円未満で料理提供時間がおおよそ3分から10分のもの[16]
  • カジュアルレストラン
    • 来客1人あたりの消費金額が1500円以上2000円未満で料理提供時間がおおよそ3分から10分のもの[16]
  • ディナーレストラン
    • 来客1人あたりの消費金額が2000円以上で料理提供時間がおおよそ10分以上のもの[16]

ファミリーレストランは、一般的にはチェーンストアとして展開している、家族連れを主な対象としている、メニューに和洋中の料理を広く含むといった特徴があるものをいう[17]。旧商業統計には、ファミリーレストランの定義について客単価が500円~2000円、料理提供時間が3分以上で、客席は80席以上あることという定義があった[17]。旧商業統計の分類によるとファミリーレストランは客単価はディナーレストランよりも低いがファーストフードよりは高く、ファーストフードよりも料理提供時間が長いものをいい、ファミリーレストランはカジュアルレストランとほぼ同じものをいうとされていた[17]

レストランと法規

[編集]

米国の法規

[編集]

油と動物性油脂の論争のため米国のレストランは油が動物性油脂なしであるか、あるいは含まれることをメニューに記述することが合衆国法で定められている。またある料理に同じ油と動物性油脂を揚げ物等に使用するレストランについて、ある物質や料理の他の成分のアレルギー反応に関するケースによる話もある。ほとんどのレストランは法によりこれを強制されることはないが、メニューに記載する必要がある。[要出典]

地域の慣習および制度により、レストランがを供することができるか否かが決定される。レストランでは、食事なしで酒を販売することがアルコール販売法で禁じられる。このような販売はバーの業務と考えられ、バーにはより厳しい制限がある。レストランには、酒の販売の認可(「完全認可」)と客によるアルコールの「持ち込み」(BYOまたはBYOB)の許可がある。ある場所ではレストランの認可はビール販売、またはワインとビールの制限がされることがある。

日本の法規

[編集]

日本の法規では「レストラン」は、食品衛生法第3条でいう「食品等事業者(食品もしくは添加物を採取し、製造し、輸入し、加工し、調理し、貯蔵し、運搬し、もしくは販売することもしくは器具もしくは容器包装を製造し、輸入し、もしくは販売することを営む人もしくは法人または学校、病院その他の施設において継続的に不特定もしくは多数の者に食品を供与する人もしくは法人をいう。)」にあたる。

営業をするためには同法第52条の規定により、都道府県知事の許可(窓口は保健所)を受けなければならない。

レストラン・ガイド

[編集]

書籍

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レストランガイドはレストランをレビューし、格付けまたは客向けの情報(料理の種類、アクセシビリティ、設備等)を提供する。12世紀の杭州(上記の最初のレストランの場所)では、地域のレストランと料理の質についての地域客の意見を一覧する看板が街の広場に掲示されていた。現在、レストランのレビューはより文明的な方法で行われる。西ヨーロッパで有名な現代のガイドのひとつは、ミシュランの一連のガイドである。料理に高い評価が認められたレストランに、1つから3つの星が与えられる。

アメリカ合衆国では、『モービル・トラベルガイド』と『AAA(全米自動車協会)』が同様に1から5の星(モービル)またはダイアモンド(AAA)の評価でレストランを格付けする。3、4、および5星/ダイアモンドの格付けはミシュランの1、2、および3星の格付けに該当し1および2星の格付けはよりカジュアルな食事場所を示す。ミシュランは、アメリカ合衆国で初のニューヨーク市ガイドを2005年に発行した。ザガット・サーベイは個人のコメント集で人気があるが、「公式の」批判的査定は記載しない。オーストラリアの新聞社フェアフォックスグループが発行する『グッド・フード・ガイド』は、オーストラリアで最も良い食事場所を一覧するガイドである。傑出するレストランに、1から3のシェフ帽が与えられる。『グッド・フード・ガイド』はまたバー、カフェ、およびプロバイダも組み込んでいる。オーストラリアにはまたもうひとつのレストラン・ガイドである『グッド・レストラン・ガイド』[18]があり一般客が経験したレストランのレビュー、場所の案内と詳細な連絡先を提供する。誰でもレビューを出すことができる。

ほとんどすべてのアメリカの新聞はレストラン評論家を雇って、新聞を販売する都市のオンライン食事ガイドを発行している。出版された標準的なガイドに対しレストランへの徹底的で考え深いレビューと評判を記載する新聞も幾つかあるが、他は一覧サービスを提供している。

オンライン

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最近のインターネット・サイトでは、食事評論家のレビューと一般による人気レビューの両方を提供している。これらは成長分野で市場は未成熟である。どのサイトもまだ市場の優位性も批判的なサポートも得ることができていない。Zagat.com、chowhound.com、およびFodors.com等、幾つかは牽引力を有するサイトもある。ブロガーと検索エンジンにより主要な競争が行われる。これは検索エンジンが大量の静的なウェブサイトよりも活発なブロガーを好むためである。

ユニークなサイトにMenuism.comがある。ここではレストランよりも料理をレビューする。これらサイトの多くは、割引券と地図を提供する。

統計

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レストランでの昼食

米国

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Barnes Reports社による『2006 U.S. Industry & Market Outlook』によると2006年現在、およそ215,000のフルサービスレストランがアメリカ合衆国にあり、298億ドルを売上げ、250,000の限定サービス(ファストフード)レストランが260億ドルを売り上げている。

脚注

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  1. ^ 行政が行う統計では、一般的な定義や分類法とは異なる妙な分類法がしばしば行われてしまう。たとえば世の中ではファミリーレストランというカテゴリーが明らかにあり、百科事典などでも「ファミリーレストラン」は掲載され、フード業界誌などでもファミリーレストランという区分は明らかに使われ、ビジネス業界ではそれの統計がとられているが、日本の行政の統計ではなぜか「ファミリーレストラン」という区分で統計をとらず、別の2つの用語で別々に統計をとってしまっていて、非常に使いづらい。行政の統計というのは、統計をとる側の特殊な事情を優先し、しばしばまともな定義に一致しない変な区切り方を使い、ともかくそれまでに調査できて明らかにできていた数字を使って統計数値をはじき出そうとする。また政府の統計は、経年的変化を追跡するために何年も同じ基準(区分法)で集計することが優先されるので、最初にうっかり変な区分が採用されてしまうと、たとえそれが変な区分法であっても、翌年以降もその変な区分法を踏襲してしまことがほとんどである。ともかく、統計上の区分は、あくまで統計上の、しばしば人にはまともに説明できないような統計調査する側の集計上の都合の区分なので、百科事典の定義文として採用してはいけない。
  1. ^ American dictionary, restaurant”. 2024年1月4日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i 赤松幹之「語源を楽しむ」『情報管理』第55巻第3号、科学技術振興機構、2012年、203-206頁、doi:10.1241/johokanri.55.203ISSN 0021-7298NAID 130001855932 
  3. ^ [1]
  4. ^ a b 大分類M-宿泊業,飲食サービス業”. 総務省. 2020年11月6日閲覧。
  5. ^ A表 国際標準産業分類(ISIC)”. 独立行政法人労働政策研究・研修機構. 2020年11月6日閲覧。
  6. ^ 「古代ローマの飲食店」”. にゃこめしの食材博物記. 2024年7月4日閲覧。
  7. ^ Lindsay, James E. (2005), Daily Life in the Medieval Islamic World, Greenwood Publishing Group, p. 131, ISBN 0313322708 
  8. ^ Salma Khadra Jayyusi and Manuela Marin(1994), The Legacy of Muslim Spain, p. 117, en:Brill Publishers, ISBN 9004095993
  9. ^ エドモンド・ネランク、ジャン=ピエール・プーラン 辻調グループ監訳『よくわかるフランス料理の歴史』同朋舎出版 1994年、ISBN 4810413276 pp56-57
  10. ^ Encyclopaedia Britannica 15th Ed.
  11. ^ a b Gernet, 133.
  12. ^ West, 69-76.
  13. ^ Kiefer, 5-7.
  14. ^ Gernet, 133-134.
  15. ^ a b c d ニールセン「食品の成分と消費者の心理 世界の原材料と外食の傾向」 (2021年8月20日閲覧)
  16. ^ a b c d e 農林水産省「外食産業に関する基本調査結果」 農林水産省総合食料局(2021年8月20日閲覧)
  17. ^ a b c 井上尚美、西崎雅仁「ファミリーレストラン市場の変化と経営的視座に関する研究」『経営情報学会 全国研究発表大会要旨集』2010年秋季全国研究発表大会、経営情報学会、2010年、1頁、doi:10.11497/jasmin.2010f.0.1.0NAID 130004606295 
  18. ^ グッド・レストラン・ガイド(英語)

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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