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[[ファイル:Paul Stahr - Be Patriotic, Sign your Country's Pledge to Save the Food.jpg|thumb|right|「愛国的であれ―あなたの国の食糧を守る宣誓に署名せよ」1917年、<br>[[第一次世界大戦]]中の[[アメリカ合衆国]]食品管理局によるポスター。]] |
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'''愛国心'''(あいこくしん |
'''愛国心'''(あいこくしん、{{lang-en-short|patriotism}})、'''祖国愛'''(そこくあい)は、自分の[[国家]]や[[共同体]]に対し、[[愛着]]や[[忠誠]]を抱く心情<ref>{{Cite web|和書|title=愛国心とは |url=https://kotobank.jp/word/%E6%84%9B%E5%9B%BD%E5%BF%83-23666 |website=コトバンク |access-date=2022-07-18 |language=ja |first=日本大百科全書(ニッポニカ),ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,精選版 日本国語大辞典,デジタル大辞泉,世界大百科事典 |last=第2版}}</ref><ref>[http://dic.search.yahoo.co.jp/search?p=%E6%84%9B%E5%9B%BD%E5%BF%83&ei=UTF-8&fr=top_ga1_sa デジタル大辞林、日本大百科全書(ニッポニカ)、他]</ref><ref>{{Cite web|和書|title=パトリオティズムとは |url=https://kotobank.jp/word/%E3%83%91%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%BA%E3%83%A0-603254 |website=コトバンク |access-date=2022-07-18 |language=ja |last=デジタル大辞泉}}</ref>。'''愛国主義'''(あいこくしゅぎ、{{lang-en-short|patriotism}})は、自国のために尽くそうとする思想や運動<ref>{{Cite web|和書|title=愛国主義とは |url=https://kotobank.jp/word/%E6%84%9B%E5%9B%BD%E4%B8%BB%E7%BE%A9-674259 |website=コトバンク |access-date=2022-07-18 |language=ja |last=デジタル大辞泉,世界大百科事典内言及}}</ref>。 |
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== 用語 == |
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英語の「愛国者」({{lang|en|patriot}})との用語は、[[エリザベス朝]]で初めて使用され、語源は6世紀の後期[[ラテン語]]で「国の人」を意味する {{lang|la|patriota}} で |
[[英語]]の「愛国者」({{lang|en|patriot}})との用語は、[[エリザベス朝]]で初めて使用され、語源は6世紀の後期[[ラテン語]]で「国の人」を意味する {{lang|la|patriota}} で<ref>{{cite encyclopedia|title= pātrĭōta |encyclopedia= A Latin Dictionary |year= 1879 |last= Lewis |first= Charlton T.|last2= Short|first2= Charles |location= Oxford |url= https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus%3Atext%3A1999.04.0059%3Aentry%3Dpatriota |access-date=23 September 2023}}</ref> 、さらにギリシア語に遡る<ref>{{cite encyclopedia|title= πατριώτης |encyclopedia= A Greek-English Lexicon |year= 1940 |last= Liddell |first= Henry George|last2= Scott|first2= Robert |location= Oxford |url= http://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus%3Atext%3A1999.04.0057%3Aentry%3Dpatriw%2Fths |access-date=23 September 2023}}</ref>。また「愛国主義」({{lang|en|patriotism}})の用語が派生したのは、18世紀初頭である<ref>Oxford English Dictionary</ref>。 |
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「愛国」という語句は古代中国より使われており、日本では『[[日本書紀]]』の中に見る事が出来るが、ここでいう愛国とは「故郷を懐かしむ」という意味である{{sfn|嘉戸一将|2008|pp=58-92}}。 |
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⚫ | 「愛国心」は[[祖国]]に対する愛着である。この愛着は自分の祖国に対しての、民族的、文化的、政治的、あるいは歴史的などの異なった観点によって特徴づけられ、また[[ナショナリズム]]に近接した概念である<ref name="books.google.com">{{cite book|url=https://books.google.com/books?id=5N-wqTXwiU0C&pg=PA313 |title=Historical Dictionary of the Enlightenment - Harvey Chisick - Google Books |publisher=Books.google.com |
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⚫ | 「愛国心」は[[祖国]]に対する愛着である。この愛着は自分の祖国に対しての、民族的、文化的、政治的、あるいは歴史的などの異なった観点によって特徴づけられ、また[[ナショナリズム]]に近接した概念である<ref name="books.google.com">{{cite book|url=https://books.google.com/books?id=5N-wqTXwiU0C&pg=PA313 |title=Historical Dictionary of the Enlightenment - Harvey Chisick - Google Books |publisher=Books.google.com |date= |accessdate=2013-11-03}}</ref>。 |
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[[国歌]]や[[国旗]]は愛国心の[[象徴]]ともされる。 |
[[国歌]]や[[国旗]]は愛国心の[[象徴]]ともされる。 |
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== 歴史 == |
== 歴史 == |
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古代ギリシアの民主制のポリスでは、市民はポリス間の戦争において兵士として国を防衛することが義務であった。 |
古代ギリシアの民主制のポリスでは、市民はポリス間の戦争において兵士として国を防衛することが義務であった。歴史学者[[エルンスト・カントロヴィチ]]によると、パトリオティズムの源流は[[ホラティウス]]などの詩の中に見られる「祖国のために死ぬこと(Pro Patria Mori)」という定型表現に遡ることができるという{{sfn|嘉戸一将|2008|pp=58-92}}。 |
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中世の[[封建制]]では、兵士の[[自己犠牲]]は[[君主]]に捧げられるものと理解されていたが、封建制が綻びを見せ、共同体が人的結合から領域的結合へと変化した[[12世紀]]以降には、祖国という[[古典古代]]の観念が復活した{{sfn|嘉戸一将|2008|pp=58-92}}。祖国は[[キリスト教]]の[[聖地]]になぞらえられ、[[王権]]はその領域を可視化する[[シンボル]]となった。また、[[カトリック教会|ローマ・カトリック教会]]は世俗勢力と対抗する中で、もともと[[イエス・キリスト]]の体を表す「神秘体」という言葉を、共同体を擬似的に人格化した概念を表象する言葉として用いるようになった。神秘体は「道徳的政治体」という防衛するべき単一の神聖な秩序として観念され、暗黒時代以来絶えていた国家についての倫理的価値や道徳的感情の回復に役立った{{sfn|嘉戸一将|2008|pp=58-92}}。 |
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⚫ | 1774年、[[サミュエル・ジョンソン]]は著作『愛国者』で、彼が偽りの愛国主義と考えたものを批判した。1775年4月7日、彼は有名な「愛国心は卑怯者の最後の逃げ口上」<ref>"Patriotism is the last refuge of a scoundrel."</ref>との発言をした<ref>{{Citation|last=Boswell|first=James|title=The Life of Samuel Johnson|year=1986|editor-last=Hibbert|editor-first=Christopher|publisher=Penguin Classics|location=New York|isbn=0-14-043116-0}}</ref> |
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[[フランス革命]] により誕生した近代[[国民国家]]である[[フランス]]は、[[市民革命]]の波及による[[王朝]]転覆を恐れた周辺各王国から攻撃されることなり、それまでの[[傭兵]]に代わって革命主体である[[市民]]が自ら国の防衛のため戦争を担うこととなった。ここに民主制国家の[[国民]]に同時に[[ナショナリズム]]が高揚した。各国民国家では、[[国旗]]や[[国歌]]をはじめ、言語、文化、宗教、教育などの標準化が進められ、場合によっては[[植民地]]などの被征服地域も含められた。このため[[少数民族]]や被征服民族などでは、国家に対する愛国心・忠誠心と、民族による伝統的文化や誇りが分裂する場合も発生した。 |
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[[第一次世界大戦]]は[[総力戦]]となり、各国では兵士だけでなく国民全体に戦意高揚が求められ、この時期に各国に[[戦争祈念施設]]も設立された。また[[社会主義]]勢力では、従来は[[カール・マルクス]]は「労働者には祖国は無い」と[[国際主義]]を提唱していたが、第一次世界大戦の際に各国の戦争に協力する[[社会民主主義]]([[社会愛国主義]])と、[[レーニン主義]]の[[共産主義]]に分裂し、共産主義でも後の[[スターリン主義]]や[[毛沢東思想]]では愛国主義が強調された([[左翼ナショナリズム]])。 |
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[[第二次世界大戦]]終結後は、[[アジア]]・[[アフリカ]]諸国でナショナリズム([[民族主義]])が高揚し、多数の[[独立]]運動や[[民族自決|民族解放]]闘争が行われ、それぞれの地域で愛国心が強調された。 |
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== 議論 == |
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{{quotation|愛国心とは、卑怯者の最後の逃げ口上だ|[[サミュエル・ジョンソン]]}} |
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{{quotation|[[帝国主義]]はいわゆる愛国主義を経となし,いわゆる[[軍国主義]]を緯となして,もって織り成せるの政策にあらずや|[[幸徳秋水]]著『帝国主義』}} |
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{{quotation|軍部が精神に重きを置き過ぎ、国力の差を軽視した|[[昭和天皇]]が自身の第5子・長男の[[皇太子#日本の皇太子|皇太子]][[明仁]]親王(当時、現:[[天皇]])に宛てた手紙}} |
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「愛国心」には話者によりその意味するところには大きな幅がある。愛国心の対象である「国」を社会共同体と政治共同体とに切り分けると以下となる。 |
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* 社会共同体としての「国」に対する愛着は「愛郷心」(あいきょうしん)と言い換えることができる |
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* 政治共同体としての「国」に対する愛着は「忠誠心」(loyalty)と言い換えることができる |
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愛国心によって表出する態度・言動の程度は様々で、[[ノスタルジー]]から[[民族主義]]や[[国粋主義]]まで幅広い。これらを十把一絡げに全て「愛国心」と表現することもできるため、その内容は不明確である。 |
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* 政府側の期待する「愛国心」は現[[政府]]に対する「忠誠心」と解釈できる |
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* 反政府側の訴える「愛国心」は革命後の新政府に対する「忠誠心」、もしくは時の政府に靡かない「愛郷心」と解釈できる |
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また、愛国心は大衆を煽動する道具とされてきた一面もある。国家が占領または支配下に置いた地域における愛国心教育には、複数のパターンが見られる。[[ナチス・ドイツ]]影響下の[[ヴィシー政権|ヴィシー・フランス]]や、[[日本]]支配下の[[満州国]]では、愛国心を育てる教育を行なわれた。[[第二次世界大戦]]後の[[日本]]、[[西ドイツ]]及び[[ドイツ民主共和国|東ドイツ]]では、「[[軍国主義]]的愛国心」を批判し、[[民主主義]]の教育が重視された。 |
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== 愛国心教育 == |
== 愛国心教育 == |
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=== 日本 === |
=== 日本 === |
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{{main|皇民化教育|神国思想}} |
{{main|皇民化教育|神国思想}} |
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明治6年([[1873年]])、[[自由民権運動#前史|書契事件]]などに代表される[[朝鮮王朝]]の横暴に憤慨し[[征韓論]]を唱え、「[[明治6年の政変]]」で下野した[[板垣退助]]は、翌年([[1874年]])[[1月12日]]、「[[愛国公党]]」を組織し、[[1月17日]]、政府に『[[民撰議院設立建白書]]』を提出した<ref name="itagaki seishin" />。これが日本で最初に「愛国」の名を冠した団体であり[[政治結社]]である<ref name="itagaki seishin">{{Cite web|和書|url=https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB28040443|title=『板垣精神 : 明治維新百五十年・板垣退助先生薨去百回忌記念』 |publisher=[[板垣退助先生顕彰会|一般社団法人 板垣退助先生顕彰会]] |date=2019-02-11 |accessdate=2019-08-30}}</ref>。頭山満の[[玄洋社|向陽社]](玄洋社の前身)も、この系統を引き[[自由民権運動]]の結社として結成された<ref name="itagaki seishin" />。[[明治憲法]]の起草はヨーロッパの憲法を参考に行われたが、その起草者のひとりである[[井上毅]]は、当時の日本には西洋のような愛国観念や、キリスト教に当たる教化の素地がなかったと述べており、当時の啓蒙思想家たちも同様の認識を共有していた{{sfn|嘉戸一将|2008|pp=58-92}}。明治憲法では、近代的な国民国家を作るために、万世一系の[[天皇]]という[[イデオロギー]]を国民教育の準拠とし、人民に[[武士]]的規範を賦活することで[[臣民]]としての遵法精神や忠誠心を養い、国民の協力同心を図る「忠君愛国」というモデルを構築した{{sfn|嘉戸一将|2008|pp=58-92}}。 |
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[[明治維新]]後[[近代化]]を経て[[学制]]を実施し、[[1890年]](明治23年)[[10月30日]]に発布された[[教育勅語]]を国民の教育方針として掲げ、[[学校教育]]では「[[修身]]」という現在の「[[道徳教育|道徳]]」に相当する[[科目]]を設け、[[明治]]~[[大正]]・[[昭和]]初期を経て、[[戦争]]を遂行するにあたり、[[大日本帝国]]の国内([[内地]]および[[外地]]の[[日本統治時代の朝鮮|朝鮮]]・[[日本統治時代 (台湾)|台湾]])、その他の戦争による[[アジア]]の占領地域で、[[軍国主義]]に基づく[[富国強兵]]路線に沿いつつ、[[国教]]として[[国家神道]]を確立させ、「5. 忠君愛国(大君たる[[天皇]]に忠節を誓い、[[神国]]日本を愛する)」を根幹に据えた徹底した愛国心教育が行われた。 |
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⚫ | [[平成]]18年([[2006年]])[[12月22日]]に、[[第1次安倍内閣]]([[自公連立政権]])の下で「[[教育基本法]]」が改正され、その内の第2条「教育の目標」の一つとして、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と[[郷土愛|郷土を愛する]]とともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」という条文が取り入れられ[[板垣退助]]ら[[明治維新]]の精神が盛り込まれた<ref>{{Cite web|和書| url = https://www.mext.go.jp/b_menu/kihon/about/06121913/002.pdf | title = 改正前後の教育基本法の比較 | publisher = [[文部科学省]] | date = 2006-12-19 | accessdate = 2019-10-20 | format = PDF }}</ref>。 |
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[[第二次世界大戦]][[日本の降伏|敗戦]]後は、[[連合国軍占領下の日本|連合国軍占領下]]で、「日本が戦争を起こすに至ったのは盲目的な愛国教育によるところが大きい」と[[連合国軍最高司令官総司令部|占領軍]](GHQ/SCAP)は認識した。[[日本教職員組合]](日教組)などは「教え子を再び戦場に送るな、青年よ再び銃を取るな」をスローガンに掲げ、「お国のために」を禁忌視した。例えば、主に[[公立学校]]の教育現場で公的な行為として[[日本の国旗|日の丸]]掲揚・[[君が代]]斉唱を行ない、また児童・生徒に強制することには強く反対した。このように、愛国心(忠誠心)教育は一部の学校を除いて実施されてこなかった(君が代に対する意見の対立については、「[[国旗及び国歌に関する法律]]」を参照)。 |
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=== 中国 === |
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祖国や故郷を愛する自然な気持ちではなく、[[中国共産党]]とその支配体制を愛するということ<ref>{{Cite web|和書|title=愛国とは中国共産党を愛すること 香港の自治は骨抜きに:朝日新聞デジタル|url=https://www.asahi.com/articles/ASP4V4HBDP3VUPQJ012.html|website=朝日新聞デジタル|accessdate=2021-07-17|language=ja}}</ref>で中国共産党の教育を受けて持つ気持ちである。従って、中国で使用される愛国又は愛国心は本来の意味での愛国心ではない。 |
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[[文化大革命]]下の中国では、職場や学校などで[[毛沢東思想]]の日常的な学習が求められたほか、[[東方紅]]、[[社会主義は好い]]、[[私の好きな天安門]]のように毛沢東や中国共産党、[[社会主義]]思想のもと建設された「新中国」を礼賛する歌も広く歌われた。 |
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{{参照方法|date=2009年9月|section=1}} |
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* 『増補 想像の共同体 ナショナリズムの起源と流行』[[ベネディクト・アンダーソン]] NTT出版 ISBN 487188516X |
* 『増補 想像の共同体 ナショナリズムの起源と流行』[[ベネディクト・アンダーソン]] NTT出版 ISBN 487188516X |
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* 『資料で読む 戦後日本と愛国心 全3巻』日本図書センター、2008年-2009年。ISBN 978-4-284-50105-7 |
* 『資料で読む 戦後日本と愛国心 全3巻』日本図書センター、2008年-2009年。ISBN 978-4-284-50105-7 |
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* 『在台日本人の郷土主義(レジョナリズム)』橋本恭子(日本台湾学会報2007.5)[http://www.jats.gr.jp/journal/pdf/gakkaiho009_13.PDF] |
* 『在台日本人の郷土主義(レジョナリズム)』橋本恭子(日本台湾学会報2007.5)[http://www.jats.gr.jp/journal/pdf/gakkaiho009_13.PDF] |
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* {{Cite book|和書 |author = 嘉戸一将 |title = 明治国家の精神史的研究:<明治の精神>をめぐって |year = 2008 |chapter = 「忠君」と「愛国」 |publisher = 以文社 |editor = 鈴木徳男・嘉戸一将 |isbn = 9784753102655 |ref = harv }} |
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* [[愛国無罪]] |
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* [[民族主義]]/[[全体主義]]/[[ファシズム]]/[[国家主義]]/[[国粋主義]]/[[ジンゴイズム]]/[[ナショナリズム]] |
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* [[クオーレ]] - イタリアの愛国小説 |
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* [[蛍の光]] - 歌われることがなくなった3番と4番 |
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* [[愛国公党]] - 日本で初めて「愛国」を名称に冠した組織・団体・結社として知られる。 |
* [[愛国公党]] - 日本で初めて「愛国」を名称に冠した組織・団体・結社として知られる。 |
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* [[愛国百人一首]] |
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* [[郷土愛]] |
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* [[パトリオットミサイル|MIM-104 パトリオット]] - アメリカで開発された広域防空用[[地対空ミサイル]]システム。愛称の「パトリオット(Patriot)」は「'''P'''hased '''a'''rray '''T'''racking '''R'''adar to '''I'''ntercept '''o'''n '''T'''arget」(直訳:目標物迎撃用追跡[[フェーズドアレイレーダー|位相配列レーダー]])の頭文字をとったものとされるが、英語では「愛国者」を意味する単語(片仮名読みとしては「ペイトリオット」に近い)である。 |
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* [[共同体主義]] |
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* {{仮リンク|例外主義|en|exceptionalism}} - ある[[民族]]、[[国]]等が「例外的」であるという認識や信念(参照者が何らかの点で優れているという含意を含む) |
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* [[排外主義]] |
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* [[外国人恐怖症]] |
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* [[アイデンティティ政治]] |
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* [[殉国]] - 国のために殉じたこと。慰霊碑を殉国碑という。 |
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* [[憲法学会]] - [[日本学術会議協力学術研究団体]] |
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2024年12月26日 (木) 19:51時点における最新版
ナショナリズム |
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カテゴリ |
愛国心(あいこくしん、英: patriotism)、祖国愛(そこくあい)は、自分の国家や共同体に対し、愛着や忠誠を抱く心情[1][2][3]。愛国主義(あいこくしゅぎ、英: patriotism)は、自国のために尽くそうとする思想や運動[4]。
用語
[編集]英語の「愛国者」(patriot)との用語は、エリザベス朝で初めて使用され、語源は6世紀の後期ラテン語で「国の人」を意味する patriota で[5] 、さらにギリシア語に遡る[6]。また「愛国主義」(patriotism)の用語が派生したのは、18世紀初頭である[7]。
「愛国」という語句は古代中国より使われており、日本では『日本書紀』の中に見る事が出来るが、ここでいう愛国とは「故郷を懐かしむ」という意味である[8]。
概要
[編集]「愛国心」は祖国に対する愛着である。この愛着は自分の祖国に対しての、民族的、文化的、政治的、あるいは歴史的などの異なった観点によって特徴づけられ、またナショナリズムに近接した概念である[9]。
歴史
[編集]古代ギリシアの民主制のポリスでは、市民はポリス間の戦争において兵士として国を防衛することが義務であった。歴史学者エルンスト・カントロヴィチによると、パトリオティズムの源流はホラティウスなどの詩の中に見られる「祖国のために死ぬこと(Pro Patria Mori)」という定型表現に遡ることができるという[8]。
中世の封建制では、兵士の自己犠牲は君主に捧げられるものと理解されていたが、封建制が綻びを見せ、共同体が人的結合から領域的結合へと変化した12世紀以降には、祖国という古典古代の観念が復活した[8]。祖国はキリスト教の聖地になぞらえられ、王権はその領域を可視化するシンボルとなった。また、ローマ・カトリック教会は世俗勢力と対抗する中で、もともとイエス・キリストの体を表す「神秘体」という言葉を、共同体を擬似的に人格化した概念を表象する言葉として用いるようになった。神秘体は「道徳的政治体」という防衛するべき単一の神聖な秩序として観念され、暗黒時代以来絶えていた国家についての倫理的価値や道徳的感情の回復に役立った[8]。
18世紀、ヨーロッパの啓蒙主義思想家は、従来の教会に対する忠誠より、国家に対する忠誠を重視した。聖職者は彼らの「愛する国」が天国であるため、公立学校で教えることは許されるべきではない、と論じられた。愛国心の古典的概念の最も有力な支持者の1人はジャン=ジャック・ルソーであった[9]。
1774年、サミュエル・ジョンソンは著作『愛国者』で、彼が偽りの愛国主義と考えたものを批判した。1775年4月7日、彼は有名な「愛国心は卑怯者の最後の逃げ口上」[10]との発言をした[11]
愛国心教育
[編集]日本
[編集]明治6年(1873年)、書契事件などに代表される朝鮮王朝の横暴に憤慨し征韓論を唱え、「明治6年の政変」で下野した板垣退助は、翌年(1874年)1月12日、「愛国公党」を組織し、1月17日、政府に『民撰議院設立建白書』を提出した[12]。これが日本で最初に「愛国」の名を冠した団体であり政治結社である[12]。頭山満の向陽社(玄洋社の前身)も、この系統を引き自由民権運動の結社として結成された[12]。明治憲法の起草はヨーロッパの憲法を参考に行われたが、その起草者のひとりである井上毅は、当時の日本には西洋のような愛国観念や、キリスト教に当たる教化の素地がなかったと述べており、当時の啓蒙思想家たちも同様の認識を共有していた[8]。明治憲法では、近代的な国民国家を作るために、万世一系の天皇というイデオロギーを国民教育の準拠とし、人民に武士的規範を賦活することで臣民としての遵法精神や忠誠心を養い、国民の協力同心を図る「忠君愛国」というモデルを構築した[8]。
平成18年(2006年)12月22日に、第1次安倍内閣(自公連立政権)の下で「教育基本法」が改正され、その内の第2条「教育の目標」の一つとして、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」という条文が取り入れられ板垣退助ら明治維新の精神が盛り込まれた[13]。
中国
[編集]祖国や故郷を愛する自然な気持ちではなく、中国共産党とその支配体制を愛するということ[14]で中国共産党の教育を受けて持つ気持ちである。従って、中国で使用される愛国又は愛国心は本来の意味での愛国心ではない。
文化大革命下の中国では、職場や学校などで毛沢東思想の日常的な学習が求められたほか、東方紅、社会主義は好い、私の好きな天安門のように毛沢東や中国共産党、社会主義思想のもと建設された「新中国」を礼賛する歌も広く歌われた。 1994年に中国共産党の中央宣伝部が「愛国主義教育実施要綱」を起草し、愛国心教育が制度化された[15]。
脚注
[編集]- ^ 第2版, 日本大百科全書(ニッポニカ),ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,精選版 日本国語大辞典,デジタル大辞泉,世界大百科事典. “愛国心とは”. コトバンク. 2022年7月18日閲覧。
- ^ デジタル大辞林、日本大百科全書(ニッポニカ)、他
- ^ デジタル大辞泉. “パトリオティズムとは”. コトバンク. 2022年7月18日閲覧。
- ^ デジタル大辞泉,世界大百科事典内言及. “愛国主義とは”. コトバンク. 2022年7月18日閲覧。
- ^ Lewis, Charlton T.; Short, Charles (1879). "pātrĭōta". A Latin Dictionary. Oxford. 2023年9月23日閲覧。
- ^ Liddell, Henry George; Scott, Robert (1940). "πατριώτης". A Greek-English Lexicon. Oxford. 2023年9月23日閲覧。
- ^ Oxford English Dictionary
- ^ a b c d e f 嘉戸一将 2008, pp. 58–92.
- ^ a b Historical Dictionary of the Enlightenment - Harvey Chisick - Google Books. Books.google.com 2013年11月3日閲覧。
- ^ "Patriotism is the last refuge of a scoundrel."
- ^ Boswell, James (1986), Hibbert, Christopher, ed., The Life of Samuel Johnson, New York: Penguin Classics, ISBN 0-14-043116-0
- ^ a b c “『板垣精神 : 明治維新百五十年・板垣退助先生薨去百回忌記念』”. 一般社団法人 板垣退助先生顕彰会 (2019年2月11日). 2019年8月30日閲覧。
- ^ “改正前後の教育基本法の比較” (PDF). 文部科学省 (2006年12月19日). 2019年10月20日閲覧。
- ^ “愛国とは中国共産党を愛すること 香港の自治は骨抜きに:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2021年7月17日閲覧。
- ^ 岡村志嘉子「中国の愛国主義教育に関する諸規定」、国立国会図書館『レファレンス』2004年12月。[1]
参考文献
[編集]- 『増補 想像の共同体 ナショナリズムの起源と流行』ベネディクト・アンダーソン NTT出版 ISBN 487188516X
- 『ナショナリズムと自由民権』田村安興 清文堂出版 ISBN 4792405491
- 『資料で読む 戦後日本と愛国心 全3巻』日本図書センター、2008年-2009年。ISBN 978-4-284-50105-7
- 『在台日本人の郷土主義(レジョナリズム)』橋本恭子(日本台湾学会報2007.5)[2]
- 嘉戸一将 著「「忠君」と「愛国」」、鈴木徳男・嘉戸一将 編『明治国家の精神史的研究:<明治の精神>をめぐって』以文社、2008年。ISBN 9784753102655。
関連項目
[編集]- 民族
- 愛国無罪
- 社会愛国主義
- 民族主義/全体主義/ファシズム/国家主義/国粋主義/ジンゴイズム/ナショナリズム
- クオーレ - イタリアの愛国小説
- 蛍の光 - 歌われることがなくなった3番と4番
- 愛国公党 - 日本で初めて「愛国」を名称に冠した組織・団体・結社として知られる。
- 愛国百人一首
- 売国奴
- 愛国ポルノ
- 郷土愛
- MIM-104 パトリオット - アメリカで開発された広域防空用地対空ミサイルシステム。愛称の「パトリオット(Patriot)」は「Phased array Tracking Radar to Intercept on Target」(直訳:目標物迎撃用追跡位相配列レーダー)の頭文字をとったものとされるが、英語では「愛国者」を意味する単語(片仮名読みとしては「ペイトリオット」に近い)である。
- 共同体主義
- 例外主義 - ある民族、国等が「例外的」であるという認識や信念(参照者が何らかの点で優れているという含意を含む)
- 排外主義
- 外国人恐怖症
- アイデンティティ政治
- 殉国 - 国のために殉じたこと。慰霊碑を殉国碑という。
- 憲法学会 - 日本学術会議協力学術研究団体