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*稀にではあるが、遺伝的に睡眠時間が短い人間([[ショートスリーパー]])は存在する。 |
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*後天的に睡眠時間を縮めてコンディションを維持することについて、多くの睡眠専門医は不可能だと述べている。(短眠関連の本を書いている著者のほぼすべては、睡眠専門医とは全く関係のない人である。本には机上の空論が多々見られる。) |
*後天的に睡眠時間を縮めてコンディションを維持することについて、多くの睡眠専門医は不可能だと述べている。(短眠関連の本を書いている著者のほぼすべては、睡眠専門医とは全く関係のない人である。本には机上の空論が多々見られる。) |
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*「まったく睡眠を取らずに健康に生活している」と主張する者がいるのは事実である<ref>[https://web.archive.org/web/20111013210507/http://www.fujitv.co.jp/sciencemystery/chap_dna3_2.html 生涯眠らなかった男](2011年10月13日時点の[[インターネット |
*「まったく睡眠を取らずに健康に生活している」と主張する者がいるのは事実である<ref>[https://web.archive.org/web/20111013210507/http://www.fujitv.co.jp/sciencemystery/chap_dna3_2.html 生涯眠らなかった男](2011年10月13日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])</ref><ref>[http://x51.org/x/06/02/1515.php 33年間、眠らない男 ベトナム]</ref>。一例を挙げると、アメリカ・ニュージャージー州で暮らしていた[[アル・ハーピン]](1862? - 1947)という人物は「生涯で一度も眠ったことのない男」として『[[ニューヨークタイムズ]]』誌が少なくとも2度にわたって記事で紹介しており<ref>{{Cite news|title=Hasn't Slept in 10 years|newspaper=New York Times|date=February 29, 1904|url=https://query.nytimes.com/mem/archive-free/pdf?res=F2061EF9355E12738DDDA00A94DA405B848CF1D3|accessdate=2017-05-23}}</ref><ref>{{Cite news|title=Man Who Said He Never Slept Dies at 94; New Jersey Doctors Are Skeptical of Claim|newspaper=New York Times|date=January 4, 1947|url=https://select.nytimes.com/gst/abstract.html?res=F60C1EFC3F5A107A93C6A9178AD85F438485F9&scp=1&sq=alfred%20herpin&st=cse|accessdate=2017-05-23}}</ref>、比較的よく知られている。 |
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=== 文化差、地域差 === |
=== 文化差、地域差 === |
2017年9月4日 (月) 14:27時点における版
睡眠(すいみん、羅: somnus、仏: sommeil、英: sleep)は、ねむること、すなわち、周期的に繰り返す、意識を喪失する生理的な状態のことである[1]。ねむりとも言う[1]。からだの動きが止まり、外的刺激に対する反応が低下して意識も失われているが、簡単に目覚める状態のことをこう呼んでいる[2]。ヒトの通常は昼間に活動し夜間に睡眠をとる[3]。動物では夜間に活動し昼間に睡眠をとるものも多い[3]。
ヒトの睡眠中は、急速眼球運動(レム, REM)が生じ、ノンレム睡眠であるステージIからステージIVの4段階と、レム睡眠を、周期90~110分で反復する[4]。睡眠は、心身の休息、身体の細胞レベルでの修復、また記憶の再構成など高次脳機能にも深く関わっているとされる。下垂体前葉は、睡眠中に2時間から3時間の間隔で成長ホルモンを分泌する。放出間隔は睡眠によって変化しないが、放出量は多くなる。したがって、子供の成長や創傷治癒、肌の新陳代謝は睡眠時に特に促進される。また、睡眠不足は身体にとってストレスである。
睡眠
睡眠中は刺激に対する反応がほとんどなくなり、移動や外界の注視などの様々な活動も低下する。一般的には、閉眼し意味のある精神活動は停止した状態となるが、適切な刺激によって容易に覚醒する。このため睡眠と意識障害とはまったく異なるものである。またヒトをはじめとする大脳の発達したいくつかの動物では、睡眠中に夢と呼ばれるある種の幻覚を体験することがある。
短期的には睡眠は栄養の摂取よりも重要である。ネズミの実験では、完全に睡眠を遮断した場合、約1、2週間で死亡するが、これは食物を与えなかった場合よりも短い。極端な衰弱と体温調節の不良と脳では視床の損傷が生じている。ヒトの場合でも、断眠を続けると思考能力が落ち、妄想や幻覚が出て、相当期間、強制的に、眠らない状態でいさせると恐らく死んでしまうと言われている[5][6]。
ヒトの睡眠
睡眠のタイプ
20世紀になり、ヒトの睡眠は、脳波と眼球運動のパターンで分類できることが知られるようになった。急速眼球運動 (Rapid Eye Movement) を伴う睡眠をレム睡眠 (Rapid eye movement sleep、REM sleep)、ステージI - IVのように急速眼球運動を伴わない睡眠をまとめてノンレム睡眠 (Non-rapid eye movement sleep、Non-REM sleep)と呼ぶ[4]。
- ステージI(N1)
- 傾眠状態。脳波上、覚醒時にみられたα波が減少し、低振幅の電位がみられる。
- ステージII(N2)
- 脳波上、睡眠紡錘 (sleep spindle) がみられる。
- ステージIII(N3)
- 低周波のδ波が増える(20% - 50%)。
- ステージIV(N4)
- δ波が50%以上。
- レム睡眠(REM)
成人はステージI〜REMの間を睡眠中反復し、周期は90-110分程度である[4]。
入眠やステージI - IVとレム睡眠間の移行を司る特別なニューロン群が存在する。入眠時には前脳基部(腹外側視索前野)に存在する入眠ニューロンが活性化する。レム睡眠移行時には脳幹に位置するコリン作動性のレム入眠ニューロンが活動する。覚醒状態では脳内の各ニューロンは独立して活動しているが、ステージI - IVでは隣接するニューロンが低周波で同期して活動する。
生涯における睡眠の変化
新生児では断続的に、つまり細かく中断をはさむかたちで1日あたり16時間の睡眠をとり、2歳児で9〜12時間になり、成人は(健康な人では)一晩で6〜9時間の睡眠を必要とする[3]。パターンの推移としては、乳幼児期に短時間の睡眠を多数回とるというパターンで、成人になるにつれ一度にまとまった睡眠パターンへと推移していく。
高齢になると昼間に何度も居眠りし夜間は数時間しか眠らないというパターンになる[3]。睡眠の深さも浅くなり、ノンレム睡眠が完全に消失していることもある[4]。
環境からの影響
睡眠と生体内物質
覚醒を維持する神経伝達物質には、ノルアドレナリン、セロトニン、ヒスタミン、アセチルコリン、オレキシンなどがあるが、睡眠中はこれらの神経伝達物質を産生する神経細胞が抑制されている。その抑制には腹背側視索前野に存在するGABA作動精神系が関与しているとされる[要出典]。アセチルコリン作動性神経の一部はレム睡眠の生成にも関与している。
カルシウムイオンが細胞内に取り込まれることで脳が眠りにつくという[7]。
睡眠時間と健康
睡眠が不足すると、生命にとって大切ないわゆる「免疫力」「自然治癒力」などに悪影響があり、成長ホルモンの分泌にも悪影響があり乳幼児・幼児・青少年では身体の成長にも悪影響があり(身長が伸びにくくなる)。睡眠不足では胃や腸の調子が悪くなる人も多い。顔がむくみ、血色が悪くなり、人によっては土気色(つちけいろ)つまり死人のような顔色になり、皮膚の状態は目に見えて悪くなる。また睡眠不足は肥満を招きがちである。精神的には気分に悪影響があり鬱(あるいは躁状態や鬱状態の不安定な変化)になりがちで不機嫌で人間関係が悪くなり、また脳の知的面での基本機能である記憶力、集中力などに悪影響があり、結果として学生では学業(勉強)の効果に、成人では仕事の質に深刻な悪影響を及ぼす。睡眠不足だと仕事のミスが増え、肉体労働などをしている人では深刻な負傷を負ったり死亡事故に遭う確率(労働災害発生率)が増してしまうことが各種労働統計によっても明らかにされている。
- ヒトに必要な睡眠量には個体差があり、7 - 8時間の場合が多い。カリフォルニア大学サンディエゴ校のDaniel KripkeらのSleep medicine掲載論文[8]や名古屋大学医学部大学院玉腰暁子の研究[9][10]によれば、1日の睡眠時間が7時間の人は他の人たちに比べて死亡リスクが低い。ただし、睡眠時間が短い人や長い人が睡眠時間を7時間にすれば死亡しにくくなるのかどうかはわかっていない。
- 不眠症によりうつ病は2.1倍になる。[11]慢性的な不眠症はうつ病を含む精神疾患のリスクを高める。[12]うつ病の約8割に不眠が、1割に過眠が見られる[13]。
- 睡眠時間が短い人は、血中の食欲を抑えるレプチンが少なく食欲を増進させるグレリンが多い。その結果、睡眠時間が短くなるほど食欲が亢進しやすく肥満になるリスクが高くなる[14]。
- 慢性的な寝不足状態にある人は高血圧、糖尿病、脂質異常症、心筋梗塞、狭心症などの冠動脈疾患や脳血管障害といった生活習慣病に罹りやすい[15]。また免疫力を低下させ、インフルエンザなどの感染症や癌の誘因や増悪因子になる[16]。
- 子供は大人に比べて睡眠を長くとる必要がある。
- 睡眠不足は子どもの身体能力や学業成績に多大な影響を及ぼす(脳は睡眠中に、昼間体感・学習した情報から余計な情報を省いて効率よく整理し、長期的な感覚や記憶として処理される)。子供たちの学習量は増える一方なのに、学んだことを処理するための睡眠量は最近どんどん削られている[17]。
- 夜更かしした翌日に長時間睡眠をとって寝不足を解消することはできるが、逆に前日に長時間睡眠し、翌日に夜更かしするなどといった「寝貯め」はできないとされている。また、前者のような「まとめ寝」も、寝不足は解消できるが、長時間睡眠により睡眠の質が下がったり、睡眠バランスや体のリズムを崩すためよくないとされる。
- 1900年頃まで、人々の本来の睡眠サイクルは、太陽が沈んでから4-5時間の睡眠をとり、日中に2度目の睡眠をとるのが一般的なリズムであった。20世紀になって作為的に行われるようになった制度、八時間労働制の悪影響で不眠症が起きている面がある、と指摘している研究がある[18]。
推奨時間
児童は成長のために一日より多くの睡眠時間を必要とする。新生児は一日18時間以上必要だが、成長に従って減少していく[19]。2015年初頭に、全米睡眠財団(National Sleep Foundation)は2年間の研究成果を以下に公表した[20]。
年齢 | 必要時間 |
---|---|
新生児 (0–3 ヶ月) | 14 〜 17 時間[20] |
乳児 (4–11 ヶ月) | 12 〜 15 時間[20] |
幼児 (1–2 歳) | 11 〜 14 時間[20] |
就学前 (3–5 歳) | 10 〜 13 時間[20] |
学童 (6–13 歳) | 9 〜 11 時間[20] |
青年 (14–17 歳) | 8 〜 10 時間[20][21] |
若年者 (18 - 25 歳)、中年者 (26 - 64 歳) | 7 〜 9 時間[20] |
老人 (65 歳以上) | 7 〜 8 時間[20][22] |
熟睡
深い眠りに入っている状態を「熟睡」という。熟寝(うまい)ともいう。その状態は「ぐっすりと~」と表現される[23]。医学的にはノンレム睡眠のステージⅢ、Ⅳの徐波睡眠を指し「深睡眠」とも呼ばれる[24]。脳機能の回復と記憶の再構成にはこの状態に入ることが重要とされている。
熟睡のポイント
- 睡眠サイクル(体内時計)を固定する。特に起床時刻を一定にすることが重要。
- 毎日起きる時刻に本物の日光(太陽の光)を浴びることで、次回に眠りに入るタイミングがセットされるように体内時計ができている(強烈な日光を浴びてからおよそ14時間後に次第に眠くなってゆくような仕組みが体内にある、ということが近年の研究で明らかにされてきている)ので、起床時に太陽の光を浴びることをあなどらず、面倒でも必ずしっかりと日光を浴びる。
- 朝食をとることも体内時計に影響を及ぼすので、日光を浴びた後1時間以内に朝食をとる。
- 寝る数時間前に運動や入浴をして体温を上げることで、眠りに就くときに体温が急激に低下する。これを利用すれば眠りに入りやすくなる。
- 寝る予定の30分〜2時間前から照明をしっかり暗くすることでメラトニンの分泌を促す。
- 毎日の食事で炭水化物とたんぱく質(トリプトファン)をしっかり摂取する。トリプトファン摂取→セロトニン合成&分泌→メラトニンができる。
- 入眠ニューロンは体温の上昇によって活動が亢進するため、入眠前に入浴をすることや入眠時に寝室を暖かくすることは有効である。また睡眠にはメラトニンが関わっており、メラトニンを脳にある松果体で生成するには起床中に2500ルクス以上の光を浴びる必要がある[25]。
- 寝室を暗くする[26]。
短眠について
- 稀にではあるが、遺伝的に睡眠時間が短い人間(ショートスリーパー)は存在する。
- 後天的に睡眠時間を縮めてコンディションを維持することについて、多くの睡眠専門医は不可能だと述べている。(短眠関連の本を書いている著者のほぼすべては、睡眠専門医とは全く関係のない人である。本には机上の空論が多々見られる。)
- 「まったく睡眠を取らずに健康に生活している」と主張する者がいるのは事実である[27][28]。一例を挙げると、アメリカ・ニュージャージー州で暮らしていたアル・ハーピン(1862? - 1947)という人物は「生涯で一度も眠ったことのない男」として『ニューヨークタイムズ』誌が少なくとも2度にわたって記事で紹介しており[29][30]、比較的よく知られている。
文化差、地域差
この節には独自研究が含まれているおそれがあります。 |
国 | 時間 | 国 | 時間 |
---|---|---|---|
日本 | 7時間50分 | ノルウェー | 8時間 | 3分
スウェーデン | 8時間 | 6分ドイツ | 8時間12分 |
イタリア | 8時間18分 | メキシコ | 8時間21分 |
OECD18カ国 | 8時間22分 | イギリス | 8時間23分 |
ベルギー | 8時間25分 | フィンランド | 8時間27分 |
ポーランド | 8時間28分 | カナダ | 8時間29分 |
オーストラリア | 8時間32分 | トルコ | 8時間32分 |
ニュージーランド | 8時間33分 | スペイン | 8時間34分 |
アメリカ合衆国 | 8時間38分 | フランス | 8時間50分 |
世界
スペインを初めとする地中海地方などに於いては昼食の後に睡眠を含む一休みをする「午睡(シエスタ)」の風習がある。健康増進の効果がある。
2000年代に入って米国などでも、Lifehack(ハッカー文化の一端にある仕事術)の延長で、短時間の昼寝が注目されている。昼寝をすることで、大切な頭脳の働きが良くなるのであり、頭脳労働をする人々のあいだではそれが重視されているのである。 しかしその一方で、皮肉なことに、地中海地方の国々で労働時間が増加してしまい、シエスタをさせない企業が増えつつある。
日本
現代日本[いつ?]の場合、電車やバスで通勤・通学をする者も多く、またこれらの交通機関においての治安も非常に良いため、その中で眠る者も多い。
肉体労働の多い職種では、昼休み時間の昼食の後、午後の作業再開までの間、15分〜30分程度の短い睡眠をとる場合も多い。短時間ではあるが、午前中に溜まった疲労から回復させ、注意力も回復する、という重要な役割がある。昼寝をとるのととらないのでは、午後の事故発生率が変わる。肉体労働の現場では眠気を催すこと(うつらうつらすること)は生命の危険に直結する。現場監督などは、現場で事故が起きないように注意を払う役割・任務があるので、作業員の昼寝も評価していて奨励していることが一般的で、できるだけそっとしておいたり、睡眠できる環境を確保するのに協力することが一般的である。
座ったままで眠ることは「居眠り」と呼ばれる。授業中の居眠りは「やる気がない」とみなされる場合があり、内申点に影響することがある。仕事中居眠りもやはり「やる気がない」と誤解されがちで、上司や同僚からの評価も低くなりがちである。あまりひどいと解雇にもなることがある。
運転中に眠ることは「居眠り運転」といって、悲惨な事故につながる。長距離輸送を行っているトラックの運転手はいかにして眠らないように運転をするか、さまざまな工夫をしなければならない。高速道路などの運転は単調になりがちで居眠り運転が起きやすい。また法律で連続的に運転できる時間に制限が定められている。長距離輸送では2名交代制にしていることも多い。運転席の後部に小さな睡眠用のベッドがしつらえてあって、身体を伸ばして、遮光カーテンで光をさえぎり睡眠がとりやすくなっている構造になっているトラックも多い。大型バスの運転手もトラック同様に様々な規制があり、2名が1チームを組み、片方のドライバーが運転している間、もう片方のドライバーはバスの下にある睡眠用のスペースで睡眠をとれるようになっていることが多い。近年では、ドライバーが過酷な労働体制下で無理なローテーションで長時間の運転を連続的に行い居眠り運転をしてしまったり、また睡眠障害のドライバーが高速道路で深刻な事故を起こし、死者が多数出て社会問題になった。
風呂に入浴中の居眠りは溺死の危険性があるため要注意である。また、運転中の居眠りも交通事故などの危険性があるため要注意。
2001年2月に発表されたNHKの調査によると、日本人の平均睡眠時間は平日で7時間26分、土曜日で7時間41分、日曜日で8時間13分であった[32]。2014年の調査では平均睡眠5時間44分と、世界最悪の水準まで短くなっている[33]。
無意識や文化的背景に影響される就寝行動を就寝形態という観点で文化人類学、教育社会学的に比較検証する研究もある。
年をとると早寝早起きの習慣が身につくと一般に考えられている。しかし、本当に習慣であるのか、高齢者に多く見られる睡眠相前進症候群の症状であるのかは、容易には判断できない。
仏教思想と結び付けて、頭を北に、足を南に配置する形で寝ることは北枕と呼ばれ、忌避されている。
昼寝
最近[いつ?]、日本でも昼寝の効用について研究が行われている。昼寝を行うことにより、事故の予防・仕事の効率アップ・自己評価のアップなどが期待されるため、職場・学校などで昼寝が最近、奨励されるようになった。また、昼寝により、脳が活発になるため、独創的なアイデアが浮かびやすい環境になるという。
昼寝におけるその他の研究報告
- 30分以下の昼寝を習慣的にとる人は、それ以外の人に比べてアルツハイマー病にかかるリスクが低下するという報告がある[34]。
- 高齢者は昼寝後と前では最大血圧で平均8.6mmHg、最小血圧で平均15.6mmHgも血圧が降下したという報告もあり、生活習慣病予防も期待される[35]。(広島大学)
- 40分以上の昼寝は、メタボリックシンドロームのリスクを増加させる[36]。
昼寝の方法
- 目安としては午後1〜3時ごろが良いとされる(遅くとると、夜、眠れなくなることがあるため)。
- 15〜30分程度が良いとされる。1時間とると、逆に疲労になることがある(30分以上睡眠をとると、多くの人が深睡眠に入り寝起きが悪くなるため)。
動物の睡眠
必要な睡眠時間は種ごとの体の大きさに依存する。例えば小型の齧歯類では15時間 - 18時間、ネコでは12 - 13時間、イヌでは10時間、ゾウでは3 - 4時間、キリンではわずか20分 - 1時間である。これは大型動物ほど代謝率が低く、脳細胞の傷害を修復する必要が少なくなるためとも考えられている[37][38]。また小型の動物は他の動物に捕食者として狙われやすいので、無防備になる睡眠時間は短い傾向がある。体躯が同程度であれば、草食動物は睡眠時間は短く、肉食動物は長い傾向にある。草食動物は摂取する食料に不自由しない反面、食料は低カロリーであり、繊維質も多く、長時間食べる事、消化する事を余儀なくされるので、睡眠時間は短い。一方で肉食動物は、食物を得る機会は乏しく、一方で食物は高カロリーであるため、一度食物を得た後はしばらく食物を摂る必要が無い。そのため何もしない時間が多く、その間は睡眠によって消費カロリーを抑えていると考えられる。
すべての陸生哺乳類にレム睡眠が見られるものの、レム睡眠時間の種差は体の大きさとは無関係である。例えば、カモノハシは9時間の睡眠時間のうち、レム睡眠が8時間を占める。イルカはレム睡眠をほとんど必要としない。
脊椎動物以外の動物、例えば節足動物にも睡眠に類似した状態がある。神経伝達物質の時間変化を観察すると、レム睡眠と似た状態になっているらしい[39]。
ヒトと異なり、生物の中には、長い期間覚醒しない種もある。これは冬眠と呼ばれる。冬眠する生物の例として、クマ、リス、カエルなどが挙げられる。
睡眠の際の姿勢も生物によって異なる。魚は単に水中を漂う形で睡眠状態に入る。フラミンゴは片足で立ったまま眠るとされる。またイルカは数秒程度の半球睡眠(大脳半球ずつ交互に眠ること)を繰り返して取るため、眠りながら泳ぎ続けることが可能である。半球睡眠は人間では脳障害などの病気や薬の重篤な副作用以外では脳の構造上、不可能と言われている。
ネコは丸くなって寝ているという印象が多いが、これは身を守ろうとしているか寒い時の状態で、飼い猫などはほぼ確実に攻撃を受けないと確信したリラックス状態や、暑さで体の熱を逃がすために仰向けで寝ることもある。この例は猫だけに限った事例ではなく、犬も当然行い、特に体毛が多く、気候や気温が安定しない場所で生活する動物は行う。
生理学
脳の覚醒は脳内のヒスタミンにより齎されており、脳内のヒスタミンを妨害することで脳は睡眠へと導かれる[40]。脳内のヒスタミンを妨害する物質には、ATP代謝物のアデノシンがある[40]。抗ヒスタミン剤の成分の一部にも脳内のヒスタミンの妨害を行い、眠気を誘発するものがある[40]。また、プロスタグランジンD2は、脳内のアデノシンを増やし、眠気を誘発する[40]。
睡眠誘発物質のアデノシンは、アデノシンデアミナーゼにより代謝されることでイノシンとなるが、脳脊髄中のイノシンの量は不眠バイオマーカーの一つとされる[41]。またアデノシンは、アデノシンキナーゼによりアデノシン三リン酸 (ATP)からリン酸を一つ貰い受け、アデニル酸 (アデノシン一リン酸)へと戻るが、ATPの生成を補助する物質コエンザイムQ10の摂取は俗に悪夢を増やすと言われている。
また、ショートスリーパーはDEC2遺伝子の変異が関係するとされる[42]が、DEC2遺伝子はATP消費による脂質形成 (同化)を抑制するとされる[43]。DEC2は、低酸素状態でも発現するとされる[43]。
睡眠不足時のマーカー
- オレイン酸アミド が脳脊髄液中に増加。この物質は、東京大学大学院/キリン/小岩井乳業の共同研究によれば、認知症の原因となるアミロイドβの沈着を防止するとされる[44]。
- ジアシルグリセロール 36:3 が血清中で減少[45]。
- シュウ酸 - ペンシルベニア大学の研究によれば、睡眠不足になると減少するとされる。
また、ペンシルベニア大学の研究によれば、睡眠不足になると脂質代謝の変化も起こるとされる。
睡眠障害のマーカー
睡眠にまつわる表現
しばしば死は睡眠に例えられる。死を睡眠になぞらえた例には次のようなものがある。これは、亡くなった状態を遺族や悲しむ人々や、ご遺体本人に気を使う意味で使われる。
- 永眠
- the eternal sleep
また、「寝る」、「眠る」という語を含むことわざとして次のようなものがある。主に「辛抱強い」や「気長」、「寝ているように大人しい」状態を意味する。
- 果報は寝て待て
- 寝る間も惜しんで
- 寝る子は育つ(科学的・医学的に正しいが、ことわざとして語句通りの意味で用いた場合は誤用[46])
- 寝ても覚めても
- 寝た子を起こす
- 草木も眠る丑三つ時
- 猫鼠同眠
- 寝食を忘れる
- 寝るより楽は無かりけり 浮世の馬鹿が起きて働く
脚注
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- ^ アルツハイマー病を予防できる可能性 - カマンベールチーズに原因物質の沈着を抑える成分を発見 - 東京大学大学院 2015年3月12日
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- ^ この諺が成立したのは栄養失調、病気、寄生虫その他による乳幼児死亡率が高かった時代で、そういった場合、死ぬ可能性の高い乳児は寝ずに泣き続けるケースが多いことから来ているため、この場合の「育つ」とは単なる成長の著しさではなく「死なずに無事生きる」事を指している。
関連項目
外部リンク
- 日本睡眠学会 - 睡眠の基礎知識
- ラッセル・フォスター: なぜ人は眠るのか?の講演映像。睡眠と健康について語っている。 - TEDカンファレンス、2013年6月、21分46秒。
- 睡眠のメカニズム
- プレスリリース詳細 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター - 『潜在的睡眠不足』の解消が内分泌機能改善につながることを明らかに