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'''特殊事件捜査係'''(とくしゅじけんそうさかかり)は、[[日本の警察]]の部署のひとつ。高度な科学知識・捜査技術に精通し、大規模な業務上過失事件や[[ハイジャック]]、爆破事件などに対処する<ref name="npa1977">{{Cite book|和書|editor=警察庁警察史編さん委員会|year=1977|title=日本戦後警察史|publisher=[[警察協会]]|ncid=BA59637079|page=769}}</ref><ref name="npa2008">{{Cite book|和書|editor=警察庁|year=2008|title=[[警察白書]] 平成20年|chapter=特集:変革を続ける刑事警察|publisher=ぎょうせい|isbn=978-4324085349|url=http://www.npa.go.jp/hakusyo/h20/honbun/html/kd100000.html}}</ref>。
'''特殊事件捜査係'''(とくしゅじけんそうさかかり)は、[[日本の警察]]の部署のひとつ。高度な科学知識・捜査技術に精通し、大規模な業務上過失事件や[[ハイジャック]]、爆破事件などに対処する<ref name="npa1977">{{Cite book|和書|editor=警察庁警察史編さん委員会|year=1977|title=日本戦後警察史|publisher=[[警察協会]]|ncid=BA59637079|page=769}}</ref><ref name="npa2008">{{Cite book|和書|editor=警察庁|year=2008|title=[[警察白書]] 平成20年|chapter=特集:変革を続ける刑事警察|publisher=ぎょうせい|isbn=978-4324085349|url=http://www.npa.go.jp/hakusyo/h20/honbun/html/kd100000.html}}</ref>。


[[警視庁]]及び道府県[[警察本部]]の[[刑事部]]内に設置されている。警察庁の[[警察白書]]では「特殊事件捜査係」と総称されているが、実際の部署名としては、特殊犯捜査係や特殊捜査班など、[[都道府県]]によって異なる呼称が用いられている。また警視庁の特殊犯捜査係は通称で'''SIT'''(エスアイティー<ref>[http://dictionary.goo.ne.jp/jn/23445/meaning/m0u/ エスアイティー【SIT】[special investigation team]の意味 - goo国語辞書](出典:[[デジタル大辞泉]])</ref><ref>2008年2月14日、警視庁捜査一課特殊班の訓練が初めて公開され、それを報じた「TOKYO MX NEWS」では、SITを『エス・アイ・ティー』と読んでいた。<br />[https://www.youtube.com/watch?v=wYyrsECNeJU 警視庁特殊部隊の訓練を初公開 - YouTube]([[東京メトロポリタンテレビジョン|TOKYO MX]]の[[YouTube]]チャンネル)</ref>またはシット<ref>http://xn--vekw70ybyi.com/nps_sit_sat.html{{出典無効|date=2018-11|title=[[WP:NOTRS]]と思われる。個人ニュースサイトの類か}}</ref>)と呼称されているが、他の警察本部の同種部署は通称名が異なる場合もある([[#道府県警察刑事部の突入班]]を参照)。なお、[[人質]]事件・[[誘拐事件]]にも対応することから、[[人質救出作戦]]部隊としての側面もある<ref>{{Cite book|和書|author=柿谷哲也|coauthors=菊池雅之|year=2008|title=最新 日本の対テロ特殊部隊|chapter=SAT&SIT|pages=5-26|publisher=三修社|isbn=978-4384042252}}</ref>。現在は、実員4000名体制の確立を目指していると言われている。
[[警視庁]]及び道府県[[警察本部]]の[[刑事部]]内に設置されている。警察庁の[[警察白書]]では「特殊事件捜査係」と総称されているが<ref name="npa2008"/>、実際の部署名としては、特殊犯捜査係や特殊捜査班など、[[都道府県]]によって異なる呼称が用いられている。また警視庁の特殊犯捜査係は通称で'''SIT'''(エスアイティー<ref>[http://dictionary.goo.ne.jp/jn/23445/meaning/m0u/ エスアイティー【SIT】[special investigation team]の意味 - goo国語辞書](出典:[[デジタル大辞泉]])</ref><ref>2008年2月14日、警視庁捜査一課特殊班の訓練が初めて公開され、それを報じた「TOKYO MX NEWS」では、SITを『エス・アイ・ティー』と読んでいた。<br />[https://www.youtube.com/watch?v=wYyrsECNeJU 警視庁特殊部隊の訓練を初公開 - YouTube]([[東京メトロポリタンテレビジョン|TOKYO MX]]の[[YouTube]]チャンネル)</ref>またはシット<ref>http://xn--vekw70ybyi.com/nps_sit_sat.html{{出典無効|date=2018-11|title=[[WP:NOTRS]]と思われる。個人ニュースサイトの類か}}</ref>)と呼称されているが、他の警察本部の同種部署は通称名が異なる場合もある([[#道府県警察刑事部の突入班]]を参照)。なお、[[人質]]事件・[[誘拐事件]]にも対応することから、[[人質救出作戦]]部隊としての側面もある<ref>{{Cite book|和書|author=柿谷哲也|coauthors=菊池雅之|year=2008|title=最新 日本の対テロ特殊部隊|chapter=SAT&SIT|pages=5-26|publisher=三修社|isbn=978-4384042252}}</ref>。<!---出典が確認できない記述であるため一旦コメントアウト致します。現在は、実員4000名体制の確立を目指していると言われている。--->


== 来歴 ==
== 来歴 ==
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特殊犯捜査係は普段から様々な事件を想定し、[[機動捜査隊]]などと協力して、車両を使用した追跡訓練、特殊通信、[[逆探知]]、[[交渉人|交渉(説得)技術]]の訓練などを実施している。人質立て篭もり事件が発生した際は重装備で出動し、犯人が説得に応じない場合は強行突入を行う。重装備で突入を行うことから、テロリストに対処する警備部の[[特殊急襲部隊|特殊部隊(SAT)]]や[[銃器対策部隊]]などと混同されがちであるが、特殊犯捜査係は刑事部の捜査員であり、主に誘拐、立てこもりといった一般刑事事件の強行犯に対処する。そのため、特殊犯捜査係の行動方針はあくまでも[[逮捕]]し[[取り調べ]]、[[裁判]]にかけるという[[刑事手続|司法手続き]]の流れが前提となっている<ref>[http://www.sankei.com/premium/news/150209/prm1502090004-n5.html 【日本の議論】「イスラム国事件」急派、警察の情報特殊部隊「TRT-2」の実像 「SAT」「SIT」と何が違うか 2015.2.9 産経ニュース]</ref>。なお、アメリカ警察の[[SWAT]]も特殊犯捜査係と同じ方針で活動している。
特殊犯捜査係は普段から様々な事件を想定し、[[機動捜査隊]]などと協力して、車両を使用した追跡訓練、特殊通信、[[逆探知]]、[[交渉人|交渉(説得)技術]]の訓練などを実施している。人質立て篭もり事件が発生した際は重装備で出動し、犯人が説得に応じない場合は強行突入を行う。重装備で突入を行うことから、テロリストに対処する警備部の[[特殊急襲部隊|特殊部隊(SAT)]]や[[銃器対策部隊]]などと混同されがちであるが、特殊犯捜査係は刑事部の捜査員であり、主に誘拐、立てこもりといった一般刑事事件の強行犯に対処する。そのため、特殊犯捜査係の行動方針はあくまでも[[逮捕]]し[[取り調べ]]、[[裁判]]にかけるという[[刑事手続|司法手続き]]の流れが前提となっている<ref>[http://www.sankei.com/premium/news/150209/prm1502090004-n5.html 【日本の議論】「イスラム国事件」急派、警察の情報特殊部隊「TRT-2」の実像 「SAT」「SIT」と何が違うか 2015.2.9 産経ニュース]</ref>。なお、アメリカ警察の[[SWAT]]も特殊犯捜査係と同じ方針で活動している。


現在は、特殊犯罪の認知件数の増加を受け、全国で4000名体制の確立を目指していると言われている。想定している事案は、主に捜査員による捜査の結果、犯人が軽武装している場合に、SIT部隊を現場に出動させ、突入させることである。モデルにしているのは米国NCISであると言われている。そのため、米国のNCISやSWATチームにも10名以上の隊員を研修に行かせ、また装備に関してはコルトカービン銃(小型のカービン銃)の配備に向けた動きや、レミントン製のスナイパー銃の配備も視野にあるようである。これはSATに次ぐ、今まで以上の本格的な特殊部隊の育成がなされていることを意味する。
<!---出典が確認できない記述であるため一旦コメントアウト致します。現在は、特殊犯罪の認知件数の増加を受け、全国で4000名体制の確立を目指していると言われている。想定している事案は、主に捜査員による捜査の結果、犯人が軽武装している場合に、SIT部隊を現場に出動させ、突入させることである。モデルにしているのは米国NCISであると言われている。そのため、米国のNCISやSWATチームにも10名以上の隊員を研修に行かせ、また装備に関してはコルトカービン銃(小型のカービン銃)の配備に向けた動きや、レミントン製のスナイパー銃の配備も視野にあるようである。これはSATに次ぐ、今まで以上の本格的な特殊部隊の育成がなされていることを意味する。


== 入隊に関して ==
== 入隊に関して ==
あまり知られていないが、入隊する者の約30%(過去の実績数)は全国の機動隊員から選抜されている。このこともあまり知られていないが、その他の70%は、警察官Ⅱ種試験以上に合格した上で、その合格証明書や入隊願書などを、警視庁内部に設置されているSITの事務係に直接手渡し、その上で過酷な選抜試験を経て入隊となる。
あまり知られていないが、入隊する者の約30%(過去の実績数)は全国の機動隊員から選抜されている。このこともあまり知られていないが、その他の70%は、警察官Ⅱ種試験以上に合格した上で、その合格証明書や入隊願書などを、警視庁内部に設置されているSITの事務係に直接手渡し、その上で過酷な選抜試験を経て入隊となる。
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== 過去に出動した事件 ==
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2018年11月29日 (木) 08:44時点における版

熊本県警察刑事部の人質立てこもり部隊の訓練状況

特殊事件捜査係(とくしゅじけんそうさかかり)は、日本の警察の部署のひとつ。高度な科学知識・捜査技術に精通し、大規模な業務上過失事件やハイジャック、爆破事件などに対処する[1][2]

警視庁及び道府県警察本部刑事部内に設置されている。警察庁の警察白書では「特殊事件捜査係」と総称されているが[2]、実際の部署名としては、特殊犯捜査係や特殊捜査班など、都道府県によって異なる呼称が用いられている。また警視庁の特殊犯捜査係は通称でSIT(エスアイティー[3][4]またはシット[5])と呼称されているが、他の警察本部の同種部署は通称名が異なる場合もある(#道府県警察刑事部の突入班を参照)。なお、人質事件・誘拐事件にも対応することから、人質救出作戦部隊としての側面もある[6]

来歴

昭和40年代に入ると、科学技術の進歩や高度経済成長に伴う生活・行動様式や価値観の変化に伴って、新たなタイプの犯罪が問題となっていた。従来は考えられなかったような大型犯罪の発生や、犯罪の広域化・スピード化、爆発物や銃火器を使用した凶悪犯罪や、大量輸送機関に関連した事件事故などがそれである。この事態を受けて、警察庁では昭和45年度に「刑事警察刷新強化対策要綱」を策定し、捜査体制の抜本的な強化を打ち出した[1][2]

特殊事件捜査係は、このような新型・特殊な事件の捜査経験に富み、高度な科学知識および捜査技術に通暁した専任捜査官を警察本部に常駐させておき、管内のいかなる場所で事件が発生しても、速やかに応援捜査を行えるように設置された部署である。1970年より各警察本部への設置を図り[1]、1981年3月までに、警視庁および全ての道府県警察本部に設置された[2]警視庁では、前年に発生した吉展ちゃん誘拐殺人事件の教訓から、1964年4月1日に、特殊犯捜査係が創設された。創設時は、警部1人・警部補1人・巡査部長2人・巡査2人の計6人体制であった。当時は、吉展ちゃん誘拐殺人事件の継続捜査にも従事していた。

概要

特殊犯捜査係は各都道府県警察の刑事部捜査第一課に編成されており、人質立て篭もり事件や誘拐事件、企業恐喝事件、複数・多数の死傷者が出る業務上過失致死傷事件などに出動し、犯人逮捕・責任追及をすることを主要な任務としている。

1990年前後から、警視庁刑事部捜査第一課では、特殊犯捜査係を「SIT」と呼ぶ事が定着し始めたが、これはSousa Ikka Tokushuhan(捜査一課特殊班)の略称だったといわれている。当時の警視庁刑事部捜査第一課員の証言によると、会議の際に課や隊の名称を掲げることになっているが、存在をマスコミに悟られないよう苦肉の策としてローマ字表記(Sousa Ikka Tokushuhan)の頭文字を取りSITとしたのが始まりだという。それを在外公館勤務経験者の捜査第一課管理官が「Special Investigation Team」(特捜班)の略と解釈してしまい、公式名称となったと言われている。

大阪府警察本部では、刑事部捜査第一課特殊事件係を「Martial Arts Attack Team」の英語名称から通称、MAAT(マート)と称しており、1992年4月にこの呼称が制定された。大阪府警察本部の特殊事件係は、MAATと名付けられる以前から存在し、三菱銀行人質事件(1979年)や、グリコ・森永事件(1984年〜1985年)などに出動している。

特殊犯捜査係は普段から様々な事件を想定し、機動捜査隊などと協力して、車両を使用した追跡訓練、特殊通信、逆探知交渉(説得)技術の訓練などを実施している。人質立て篭もり事件が発生した際は重装備で出動し、犯人が説得に応じない場合は強行突入を行う。重装備で突入を行うことから、テロリストに対処する警備部の特殊部隊(SAT)銃器対策部隊などと混同されがちであるが、特殊犯捜査係は刑事部の捜査員であり、主に誘拐、立てこもりといった一般刑事事件の強行犯に対処する。そのため、特殊犯捜査係の行動方針はあくまでも逮捕取り調べ裁判にかけるという司法手続きの流れが前提となっている[7]。なお、アメリカ警察のSWATも特殊犯捜査係と同じ方針で活動している。

過去に出動した事件

過去に出動した事件を表示するには右の [表示] をクリックしてください。

警視庁SIT、大阪府警察MAAT及び道府県警察刑事部の突入班が出動した主な立てこもり事件は以下のとおりである。

1992年
1995年
  • 東京都大田区において、幼児人質篭城事件が発生。警視庁SITが出動。捜査第一課・蒲田警察署刑事課と共に突入し、犯人を逮捕、人質を救出した。
1998年
  • 東京証券取引所において、籠城事件が発生。警視庁SITが出動。犯人が捜査員の説得に応じて投降したため、突入は行われなかった。
2000年
2002年

 12月

  • 静岡県三島市において、人質立てこもり事件が発生。警視庁SITが出動し、静岡県警察に支援を行った。
なお、犯人は捜査員の説得に応じて投降し、逮捕された。
  • 京都府京都市の京都中央信用金庫において、人質立てこもり事件が発生。京都府警察刑事部捜査第一課特殊犯捜査係(略称不明)が出動。捜査員が説得により犯人を投降させ、人質を救出した。
2003年

 2月

  • 東京都渋谷区において、男性がホテルの一室に立てこもる事件が発生。警視庁SITが出動。この事件の際、初めてラペリング降下を使用した突入・検挙が行われた。

 6月

  • 東京都板橋区の都営住宅において、猟銃立てこもり事件が発生。警視庁SITが出動。犯人が立てこもる部屋に突入し身柄を確保した。突入の際、隊員2名が犯人に銃撃され、重傷を負った。
2004年

 5月

  • 大阪府大阪市において、人質立てこもり事件が発生。大阪府警察MAATが出動。突入により犯人を逮捕、人質を救出した。
  • 栃木県宇都宮市において、立て篭もり事件が発生。警視庁SITが出動し、栃木県警察の突入部隊を支援した。栃木県警察では機動隊銃器対策部隊と刑事部の機動捜査隊が突入を担当した。この事件の後、栃木県警察は捜査第一課にSIT(TSIT)を編成した。
  • 千葉県松戸市において、人質立てこもり事件が発生。千葉県警察ARTが出動。突入により犯人を逮捕、人質を救出した。

 9月

  • 千葉県市原市において、人質立てこもり事件が発生。千葉県警察ARTが出動。突入により犯人を逮捕、人質を救出した。
2007年

 4月

 5月

なお、この事件では、愛知県警察特殊部隊(SAT) 及び大阪府警察MAATも支援で出動し、特殊部隊(SAT) に所属する隊員1名が犯人の銃撃を受け死亡した。

 8月

  • 愛知県刈谷市において、人質立てこもり事件が発生。愛知県警察SITが出動。包丁を所持した犯人に対して説得をおこなったが応じなかったため、突入により人質を救出し、犯人を逮捕した。

 9月

  • 愛知県豊明市において、立てこもり事件が発生。愛知県警察SITが出動し、立てこもっていた男性の身柄を確保した。
なお、男性はエアソフトガンを持ち自宅に立てこもっていたことから、刑事法の構成要件に該当しなかった。このため、逮捕等の刑事処分は受けていない。
2008年

 2月

  • 東京都府中市において、立てこもり事件が発生。警視庁SITが出動し、立てこもっていた男性の身柄を確保した。

 3月

  • 茨城県土浦市において、土浦連続殺傷事件が発生。茨城県警察SITが出動。この事件の際、捜査員は「SIT」と記載された帽子を被り、私服姿であった(NHKニュース等で確認)。

 4月

  • 東京都日野市において、立てこもり事件が発生。警視庁SITが出動し、立てこもっていた男性の身柄を確保した。

 6月

  • 埼玉県川越市において、立てこもり事件が発生。埼玉県警察STSが出動。拳銃を所持して自動車内に立てこもっていた男性が自殺を図ったため、同県警察機動隊のRATSと合同で強行突入を行い、男性の身柄を確保した。男性は病院搬送後、死亡が確認された。

 7月

  • 愛知県内の東名高速道路において、バスジャック事件が発生。愛知県警察SITが近隣で誘拐事件の訓練中に事件が発生し出動。美合パーキングエリア付近で追いつき、立てこもっていた少年の身柄を機動捜査隊と供に確保した。[8]
  • 愛知県新城市において、立てこもり事件が発生。愛知県警察SITが出動し、立てこもっていた男性の身柄を確保した。

 8月

  • 大阪府東大阪市において、立てこもり事件が発生。大阪府警察MAATが出動。事件発生後の約5時間後に突入し、刃物を所持して立てこもっていた男性の身柄を確保した。

 9月

  • 東京都板橋区において、立てこもり事件が発生。警視庁SITが出動し、刃物を持って立てこもっていた女の身柄を確保した。
  • 東京都江戸川区において、立てこもり事件が発生。警視庁SITが出動し、刃物を持って立てこもっていた男の身柄を確保した。
2009年

 1月

  • 栃木県足利市において、けん銃使用の殺人未遂事件が発生。犯人が埼玉県上尾市内で駐車場のトラックに潜伏していたため、埼玉県警察STS、RATSおよび栃木県警察SITが合同で強行突入し、犯人の身柄を確保した。
なお、捜査員が突入した際、犯人は右手にけん銃を握ったまま、トラックの寝台で眠っていたと報道されている。
  • 東京都江戸川区において、立てこもり事件が発生。警視庁SITが出動し、刃物を持って立てこもっていた男性の身柄を確保した。
  • 警視庁は振り込め詐欺対策として、SIT及び機動捜査隊を捜査に投入する方針を発表。SITを投入する理由は、振り込め詐欺で、現金の受け渡し場所を転々とさせる手口が目立ち、身代金目的誘拐と同様の捜査手法が有効と判断されたためである。

 11月

  • 神奈川県横浜市南区において、立てこもり事件が発生。神奈川県警察SISが突入したが、男性は拳銃で頭部を撃ち自殺を図っており、搬送先の病院で死亡が確認された。また、この事件では女性の突入隊員の姿も確認されている。
2010年

 6月

  • 東京都板橋区において、立てこもり事件が発生。警視庁SITが出動し、刃物を持って立てこもっていた男性の身柄を確保した。

 10月

  • 大阪市西成区に所在するノミ賭博場の家宅捜索の際、胴元が立てこもったため、大阪府警察MAATが出動。鉄製のドアを爆破して捜査員突入の支援を行った。
  • 愛知県一宮市において、立てこもり事件が発生。愛知県警察SITが出動し、刃物を持って立てこもっていた男性の身柄を確保した。

 11月

  • 茨城県水戸市の茨城県庁舎において、立てこもり事件が発生し、茨城県警察SITが出動。男性は刃物を所持し、捜査員に対して「自殺する」などと主張したため、閃光弾を使用して男性の身柄を確保した。
  • 東京都羽村市のマンションにおいて、奈良県警察の捜査員がマンション5階に住む男性を詐欺容疑で逮捕しようとしたところ、男性がベランダから逃走し、3階の部屋に立てこもったため、警視庁SITが出動。突入により男性を逮捕した。その後、男性の身柄は奈良県警察の捜査員に引き渡された。
  • 埼玉県新座市のマンションにおいて、立てこもり事件が発生し、埼玉県警察STSが出動。刃物を持って立て篭もっていた女性の身柄を確保した。
  • 岩手県雫石町の町営住宅において、立てこもり事件が発生し、岩手県警察SITが出動。刃物を持って立て篭もっていた男性の身柄を確保した。
2011年

 6月

  • 札幌市南区において、立てこもり事件が発生。北海道警察捜査第一課特殊犯(名称不明)が出動し、刃物を持って立てこもっていた男性の身柄を確保した。

 7月

  • 栃木県野木町の短期賃貸マンションにおいて、警視庁SITが突入し潜伏していた立川6億円強奪事件の主犯格の一人で元暴力団幹部の男性の身柄を確保した。事前に犯人が拳銃を所持しているとの情報があり、実際に回転式拳銃2丁と実弾28発を所持していた。

 9月

  • 東京都国分寺市において、立てこもり事件が発生。警視庁SITが出動し、刃物を持って立てこもっていた男性の身柄を確保した。

 11月

  • 大阪市中央区に所在するバカラ賭博場の家宅捜索の際、店員が立てこもったため、大阪府警察MAATが出動。鉄製のドアを爆破して捜査員突入の支援を行った。
  • 千葉県千葉市において、 路線バス人質立てこもり事件が発生。千葉県警察ARTが出動し犯人を逮捕、人質を救出した。当時のフジテレビの報道によれば、突入の際、ARTの捜査員は、背中に灰色文字で「ART」と記載された紺色のベストを着用していたほか、私服捜査員は実在する新聞社の腕章を着用して偽装していた。
2012年

 2月

  • 大阪府高槻市において、立てこもり事件が発生。大阪府警察MAATが出動し、刃物を持って立てこもっていた男性の身柄を確保した。

 3月

  • 東京都世田谷区において、自殺志願者による立てこもり事件が発生。警視庁SITが出動し、刃物を持って立てこもっていた男性の身柄を確保した。

 10月

  • 東京都世田谷区において、立てこもり事件が発生。警視庁SITが出動し、刃物(日本刀)を持って立てこもっていた男性の身柄を確保した。男性は現場で自殺を図っており、死亡が確認された。

 11月

  • 愛知県豊川市の豊川信用金庫蔵子支店において、人質立てこもり事件が発生。愛知県警SITが出動し、事件発生から約13時間後に突入。サバイバルナイフを持って立てこもっていた犯人を確保し、人質を救出した。

 12月

  • 東京都港区において、立てこもり事件が発生。警視庁SITが出動し、刃物を持って立てこもっていた男性の身柄を確保した。
2013年

 3月

  • 神奈川県愛甲郡愛川町において、立てこもり事件が発生。神奈川県警察STSが出動し、刃物を持って立てこもっていた男性の身柄を確保した。なお人質(子供)救出の際、女性隊員の姿も確認されている

 4月

  • 愛知県稲沢市において、立てこもり事件が発生。愛知県警察SITが出動し、刃物を持ってアパート屋根に立てこもっていた犯人を催涙弾を使用して確保し、人質を救出した。また、確保する際に捜査員は上空に向けて2発、犯人の足元近くに1発の威嚇射撃を行った。

 6月

  • 愛知県名古屋市の雑居ビルにおいて、立てこもり事件が発生。愛知県警察SITが出動し、立てこもっていた男性の身柄を確保した。
2014年

 1月

  • 愛知県春日井市において、立てこもり事件が発生。愛知県警察SITが出動し、銃器を持って立てこもっていた男性の身柄を確保した。

 3月

  • 群馬県高崎市において、立てこもり事件が発生。群馬県警察捜査第一課特殊犯が出動し、刃物を持って立てこもっていた男性の身柄を確保した。

 5月

  • 保釈されたパソコン遠隔操作事件の被告人に対し警視庁SITが尾行を実施。被告人が偽装工作に用いたスマートフォンを荒川河川敷に埋める現場を目撃。警察はこのスマートフォンを回収し、被疑者は保釈を取り消された。

 7月

  • 岡山県美作市において、立てこもり事件が発生。岡山県警察捜査第一課特殊犯が出動し、けん銃を持って立てこもっていた男性の身柄を確保した。男性は現場で自殺を図り、後に死亡が確認された。
2015年

 2月

  • 東京都渋谷区において、立てこもり事件が発生。警視庁SITが出動し、屋上からリペリング降下を行い突入して男性の身柄を確保した。なお男性はベランダからプリンターやゴルフバッグなどを放り投げ、モデルガンで警察官を威嚇していた。

 4月

  • 大阪市西成区のアパートにて立てこもり事件が発生。事件発生から約13時間後に大阪府警察MAATが突入し、男性の身柄を確保した。なお、この男性は事件発生当日に同区内の郵便局にて、他人名義の通帳を利用し預金を引き出そうとした容疑が持たれている。

 5月

  • 宮城県大崎市の農協店舗において、立てこもり事件が発生。宮城県警察SITが出動、突入して男性の身柄を確保した。なお男性は店舗内にガソリンのような液体をカウンターに撒いていた。
  • 東京都町田市において、立てこもり事件が発生。警視庁SITが出動し、突入して男性の身柄を確保した。なお男性はベランダから刃物などを投げつけ、「自殺する」などと言って警察官を威嚇していた。

 6月

  • 東京都杉並区において立てこもり事件が発生。警視庁SITが出動し、刃物を所持していた男性の身柄を確保した。なお男性は「自殺する」「火をつける」などと言って警察官を威嚇していた。

 8月

  • 愛知県岡崎市のコンビニエンスストアにおいて、人質立てこもり事件が発生。愛知県警察SITが出動し、事件発生から約7時間後に突入。包丁を持って立てこもっていた犯人を確保し、人質を救出した。
2016年

 2月

  • 千葉県佐倉市内の教会において、人質立てこもり事件が発生。事件発生から約8時間後に、千葉県警察ARTが閃光弾を使用して教会に突入し、人質を救出、犯人を逮捕した。

 4月

  • 東京・千代田区の9階建ての雑居ビルの4階あった振り込め詐欺グループのアジトにラペリングで突入し、容疑者らグループのメンバー11人を逮捕した。SITは振り込め詐欺専従捜査班、通称「ステルスチーム」を7年前から運用し、捜査にあたっていた。

 8月

  • 和歌山県和歌山市で発生した発砲事件に和歌山県警SITと応援派遣された大阪府警MAATが出動。発砲事件の被疑者らしき男が和歌山駅前のホテルに潜伏しているとの情報を受け、両隊で突入するも既に男は部屋から逃走していた。 その後男は和歌山県警の追跡を振り切って同市の住宅街のアパートに立て籠り膠着状態となる。警察は慎重に説得を続けたが、立て籠りから17時後に男が突如自らの腹部を銃撃して自殺を図り説得に当たっていた大阪府警MAATによって身柄を確保された。なお、男は病院に搬送されたが2時間後に死亡が確認された。

 9月

  • 福島県福島市のアパートにおいて、人質立てこもり事件が発生。事件発生から約7時間後に、福島県警察SITが閃光弾を使用しアパートに突入、犯人を逮捕し人質を救出した。
  • 東京都立川市のアパートにおいて、立てこもり事件が発生。事件発生から約3時間後、警視庁SITが男の部屋に突入し、ボウガンを持っていた男を公務執行妨害容疑で現行犯逮捕した。
  • 神奈川県横浜市の団地において、立てこもり事件が発生。事件発生から約3時間後、神奈川県警察SISが男の部屋に突入し、刃物を持って立てこもっていた男を逮捕した。
2017年

 1月

  • 神奈川県大和市のマンションにおいて、立てこもり事件が発生。「死んでやる」などと警察に通報し立て込もっていたが、事件発生から約7時間後、神奈川県警察SISが部屋に突入し、包丁を持って立て込もっていた女を逮捕した。部屋には女の母親もいたが、無事保護された。

 4月

  • 福岡県篠栗町のアパートにおいて、立てこもり事件が発生。事件発生から約9時間後、福岡県警察捜査第一課特殊犯(名称不明)が部屋に突入し、ライフル銃を持って立てこもっていた男を逮捕した。

 5月

  • 東京都台東区のマンションにおいて、人質立てこもり事件が発生。ストーカーの男が元交際相手の母親を人質にして立てこもった。事件発生から約3時間後に母親が刺され、その2分後に警視庁SITが特殊閃光弾等を用い、玄関とベランダから突入し男を逮捕。人質と、突入時に自殺を図った男は命に別状なし。

 9月

  • 大阪府豊中市のマンションにおいて、立てこもり事件が発生。事件発生から約7時間半後、大阪府警察MAATが突入し、包丁を持って立てこもっていた男を逮捕した。部屋には男の祖母もいたが、無事保護された。
2018年

 6月

  • 東京都渋谷区の居酒屋において、立てこもり事件が発生。警視庁SITが店内に突入して酩酊状態の男を逮捕した。なお男は外に向け花火を発射したり炊飯器などを投げ落とすなどし抵抗していた。

 7月

  • 東京都中央区のホテルにおいて、立てこもり事件が発生。事件発生から約4時間後、警視庁SITが突入し、路上に向けハンガーなどを投げ落としていた男を逮捕した。

編成されている地域と支援体制

特殊犯捜査係は全国の都道府県警察本部の捜査第一課に設置されているが、規模の小さな県警察本部では係員が捜査第一課の他係と兼務している場合もある。

1994年4月に警察庁は、全国の警察本部における特殊犯事件に対する捜査能力向上を目的として、刑事局捜査一課内に特殊事件特別捜査班(通称タスクフォース)を設置した。これは、警視庁SITと大阪府警察本部MAATの係員を10人前後タスクフォースに所属させ、「警察庁兼務職員」として全国各地に派遣する制度である。タスクフォースは各道府県警察本部に対して、特殊犯事件に関する訓練や指導を行っている。

タスクフォースに選ばれた捜査員は、警視庁や大阪府警察の警察官であっても、特例的に他道府県で発生した特殊犯事件に介入することが可能だが、任務は事件発生地を管轄する警察本部の支援に限定されている。またタスクフォースに在籍する警視庁SITの捜査員は、米国連邦捜査局(FBI)に研修に赴き、米国での特殊犯事件への対応の現状や、拳銃の射撃訓練、プロファイリングに関する動向などのレクチャーを受けたといわれている。さらに、FBIとの交流を契機として、神奈川県横須賀市に駐留する米海軍犯罪捜査局(NCIS)極東方面本部の幹部が、警視庁SITの立てこもり訓練に指導・助言を与える形で参加するようになった。NCISは、主に拳銃などの武器使用に関する指導や、ビルを駆け下りたりするなどの基礎運動の形成に関する助言を行ったといわれている。

現在、タスクフォースは特殊班派遣部隊という名称の部隊に発展し、警視庁と大阪府警察に加えて、北海道警察、愛知県警察、福岡県警察の5都道府県警察に設置されている。 特殊班派遣部隊が編成された年は不明であるが、2006年に警察庁が発表した文章に部隊の名称が記載されている[脚注 1]。また2016年に開催された国家公安員会定例会議の議事録には、和歌山県和歌山市で発生した立てこもり事件に、大阪府警察の特殊班派遣部隊が派遣されたとの記述がある[脚注 2]

警視庁特殊犯捜査係の編成

警視庁の特殊犯捜査係は、全国の特殊犯捜査係の中で最も人員が多く、体制が充実している。その編成は以下のとおりである

  • 特殊犯罪対策官(警視
  • 第1特殊犯捜査・管理官(警視)
    • 特殊犯捜査第1係
    • 特殊犯捜査第2係
      • 第1係と第2係は、人質立てこもり事件・誘拐事件・企業恐喝事件などを担当している。立てこもり事件が発生した際は重装備で現場に出動することから、報道関係者の前に現れることが多い。また、任務に突入などの強硬手段が含まれるため、特殊部隊(SAT)を除隊した警察官も配属されている。通常「SIT」とは、この第1係と第2係を指す場合が多い。
    • 特殊犯捜査第3係
      • 第3係は、企業の過失による重大事故や、重大な医療過誤事件など業務上過失事件を主に担当する。
  • 第2特殊犯捜査・管理官(警視)
    • 特殊犯捜査第4係
      • 第4係は、捜査第一課の遊軍的な係で、第1特殊犯捜査だけでなく捜査第一課の第2~第7強行犯捜査が担当する殺人事件・強盗事件の応援捜査を行う。
  • 各係長の階級は警部である。

道府県警察刑事部の突入班

近年では警視庁や大阪府警察本部以外の道府県警察本部においても、人質立てこもり事件などに対処するため、突入担当班が編成されている。

隊員に関しては、選抜や訓練などが道府県警察刑事部においては困難なため、警視庁SITが概ね一元的に管理している。そしてそこから各道府県警察刑事部に配属されている。

編成の基準は道府県により異なるが、道府県警察本部は警視庁や大阪府警察本部と比べて特殊犯捜査係の人員が少ない。そのため立てこもり事件が発生した際、特殊犯捜査係のみでの強行突入は困難であることから、警備部機動隊や機動捜査隊の隊員を加えて突入班を編成することが多い。

現在判明している突入班の名称と、所属は以下のとおりである。

一部の突入班は全国で行われている「水際危機管理対策訓練」などに参加し、テロ事件発生時にも出動することもある。また各道府県で重大事件、テロ事件が発生した際には、特殊班派遣部隊や警備部の特殊部隊(SAT)と連携して活動する。

特殊犯捜査係および刑事部突入班の装備

特殊犯捜査係および、道府県警察刑事部の突入班が立てこもり事件などに対処するための主要な装備は以下のとおりである。

銃器

けん銃
ベレッタ 92
銃把(グリップ)部分にレーザーサイトを装着した自動式けん銃。また、フラッシュライトやミニミルダットサイトを装着することもある。銃の仕様は92FS Vertec(バーテック)である。
この銃の使用が確認された都道府県警察と組織名は以下のとおり。
SIG P230JP
1998年東京証券取引所で発生した立てこもり事件において警視庁SITが使用。
S&W M3913
2004年栃木県宇都宮市で発生した立てこもり事件の際、警視庁SITが使用。また、2008年に埼玉県川越市で発生した立てこもり事件において埼玉県警察RATSが使用。
ニューナンブM60
2008年、茨城県大洗港で行われたシージャック(船舶乗っ取り)対策訓練の際、茨城県警察SITが3インチモデルを使用。
機関けん銃
H&K MP5
セミオート射撃のみ可能で銃身は短く、フラッシュライトと折曲式の銃床を装着したもの。
軍事専門誌「SATマガジン」(2009年1月号)では記事の中で、この銃の仕様がMP5SFK(SFKはシングルファイヤークルツ、単射小型の略称)であり、室内突入時の近距離狙撃用であると記載している。
この銃の使用が確認された都道府県警察と組織名は以下のとおり。
  • 警視庁SIT - 2007年、町田市立てこもり事件において使用。
  • 大阪府警MAAT - 2007年、愛知立てこもり事件において使用。
  • 静岡県警察SRP - 2007年、公開訓練において使用[脚注 3]
  • 埼玉県警察STS、RATS - 2008年、埼玉県川越市で発生した立てこもり事件において使用。
  • 愛知県警察SIT - 2012年、豊川信用金庫立てこもり事件において使用。
 スナイパー銃
   試験的にレミントン製M24及びM27を各一丁調達 
空気銃
FN 303
FN社製の空気銃。の散弾と催涙液が入った実包射撃することが可能な低致死性装備。
2015年に愛知県岡崎市で発生した立てこもり事件において、愛知県警察SITが使用。

その他

ガス筒発射器
一般的には「ガス銃」と呼ばれるもの。警視庁SITが2007年に発生した町田市立てこもり事件において、折りたたみ式銃床を装着したガス筒発射器を使用。
特殊閃光弾
スタングレネード、フラッシュバンとも呼ばれている特殊な手榴弾。突入の際、犯人を無力化させるために使用する非殺傷兵器の一種。
防弾盾
覗き穴に防弾ガラスを装着した黒色のケブラー製防弾盾や、開閉式の銃眼が付いた銀色のチタン製防弾盾、ポリカーボネート製の小型防弾盾などを装備。
ヘルメット
防弾フェイスガードを装着した黒色ケブラー製ヘルメットを装備。フェイスガードは取り外しが可能である。
また、2008年に公開された訓練において、警視庁SITがプロテック社製のヘルメットを使用。このヘルメットはABS樹脂製で防弾機能は無い。なお、2008年10月に青森市で行われたハイジャック対策訓練において、青森県警察TSTが同様のヘルメットを使用。
防弾ベスト
銃弾から胴体を防護するベストで、下腹部を防護するプレートが付属。また、左右上腕部や脚部に防弾プレートを装着する場合もある。防弾ベストは突入型防弾衣という名称で警察庁が国費(国家予算)により導入し、都道府県警察に配備している。各警察によっては都道府県費(自治体予算)を使用して独自の防弾ベストを購入している場合もある。
タクティカルベスト
予備弾倉など様々な装備品を収納できる黒色のベスト。背部に突入班の名称が記載されていることが多い。近年はタイラップ(フレックスカフ)などを引っ掛けていることも。
アサルトスーツ
黒もしくは紺色の突入服。警視庁SITは上腕部に「SIT」と記載されたワッペンを装着している。ノーメックス製が多く、隊員の意見などからスタングレネードポーチやニーパッド、エルボーパッド付きのものなど(防弾ベストとタクティカルベストの組み合わせによる不具合の解消)、様々な種類が存在する。国費ではなく都道府県費でメーカーに作らせているものもある。
防刃フード
頭部を刃物から保護するフード。2008年の公開訓練において警視庁SITが使用。また、2007年に花巻空港で行われたハイジャック対策訓練において、岩手県警察SITが同種のフードを使用。
防刃ジャケット
上半身を刃物から保護するケブラー繊維製のジャケット。2008年の公開訓練において警視庁SITが使用。また、2012年愛知県豊川市で発生した立てこもり事件において、愛知県警察SITが着用している。
刺又(さすまた)
日本の警察で標準的に使用されている制圧用装備。アルミ合金製で刃物を所持した犯人に対して使用する。警視庁SITが2008年に公開した訓練において使用。また、2013年に愛知県稲沢市で発生した立てこもり事件で愛知県警察SITが使用している。
クッション
突入の際、刃物を所持した犯人に投げつけ、怯んだ隙に制圧するための装備。ラグビーボール大で重りが入っており、飛んでくるものを瞬間的につかんでしまう人間の習性を応用したもの。都道府県によっては機動捜査隊の車両にも常備。警視庁SITが2008年に公開した訓練において使用。
各種情報収集用機材
集音機やファイバースコープ、ドロップフォン(投げ込み電話)、スロートマイク、コルチイヤホン(ワイヤレスイヤホン)など。
各種破壊突入用具
破城槌ボルトカッタ、揮発性危険物中和用水性投擲弾など。

各種車両

捜査用資器材搬送車
キャンターエルフフォワードなどのコンテナトラック。コンテナ内に捜査用資器材を収納。
突入支援車
ランドクルーザーに折りたたみ式の梯子を取り付けたもの。2004年栃木県宇都宮市で発生した立てこもり事件の際、警視庁SITが使用。
現場指揮車
ワンボックス型やマイクロバス型の車両。現場において指揮を行う際に使用する。

上記以外にも様々な装備品を保有しているが、装備品の詳細は各都道府県警察により異なる。

登場作品

特殊犯捜査係は特殊な犯罪や、未解決事件の捜査を担当するため、小説、映画、ドラマ、漫画、アニメ等様々な作品に登場する。以下は特殊犯捜査係が登場する主な作品である。

脚注

  1. ^ 2006年8月に警察庁が公表した文章「治安再生に向けた7つの重点」の第2項目「重要犯罪等に対する捜査の強化」の中に、「特殊班派遣部隊用の装備資機材の整備」との記載がある[1]
  2. ^ 2016年9月1日の議事録では、警察庁刑事局長が「拳銃を持っているので、通常の犯人と違う点もあり、大阪府警察の特殊班派遣部隊も派遣された。」と発言している[2]
  3. ^ 軍事専門誌「Jグランド」(イカロス出版)20号に、訓練で使用している様子が写真で掲載されている

出典

  1. ^ a b c 警察庁警察史編さん委員会 編『日本戦後警察史』警察協会、1977年、769頁。 NCID BA59637079 
  2. ^ a b c d 警察庁 編「特集:変革を続ける刑事警察」『警察白書 平成20年』ぎょうせい、2008年。ISBN 978-4324085349http://www.npa.go.jp/hakusyo/h20/honbun/html/kd100000.html 
  3. ^ エスアイティー【SIT】[special investigation team]の意味 - goo国語辞書(出典:デジタル大辞泉
  4. ^ 2008年2月14日、警視庁捜査一課特殊班の訓練が初めて公開され、それを報じた「TOKYO MX NEWS」では、SITを『エス・アイ・ティー』と読んでいた。
    警視庁特殊部隊の訓練を初公開 - YouTubeTOKYO MXYouTubeチャンネル)
  5. ^ http://xn--vekw70ybyi.com/nps_sit_sat.html[出典無効]
  6. ^ 柿谷哲也、菊池雅之「SAT&SIT」『最新 日本の対テロ特殊部隊』三修社、2008年、5-26頁。ISBN 978-4384042252 
  7. ^ 【日本の議論】「イスラム国事件」急派、警察の情報特殊部隊「TRT-2」の実像 「SAT」「SIT」と何が違うか 2015.2.9 産経ニュース
  8. ^ 2008年07月19日毎日新聞掲載。

参考文献

画像外部リンク
滋賀県警察刑事部
現場指示
突入準備
突入準備
突入

関連項目