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「自動車警ら隊」の版間の差分

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* [[大阪府警察]]では、機動警ら隊に青バイ(スカイブルー隊)が配属されている。導入当初は2人1組で活動していたが、最近は1人で活動しているケースが多い。
* [[大阪府警察]]では、機動警ら隊に青バイ(スカイブルー隊)が配属されている。導入当初は2人1組で活動していたが、最近は1人で活動しているケースが多い。
* [[山口県警察]]では、県内全域でのパトロール強化を目指し、[[2014年]](平成26年)4月本部[[生活安全部]]地域課に「自動車警ら係」が新設された。
* [[山口県警察]]では、県内全域でのパトロール強化を目指し、[[2014年]](平成26年)4月本部[[生活安全部]]地域課に「自動車警ら係」が新設された。
* [[福岡県警察]]では、本部地域部自動車警ら隊が[[福岡地方|福岡]]、[[筑豊]]、[[筑後地方|筑後]]地区を所管して地区隊を配置している。コールサインは福岡1○○で、[[パトライト]]に白色のラインが貼付されている。北九州地区は[[北九州市警察部]]隷下[[機動警察隊]]が[[機動捜査隊]]業務も併せ担当している。前部に青色のライトが設置されている。
* [[福岡県警察]]では、本部地域部自動車警ら隊が[[福岡地方|福岡]]、[[筑豊地区|筑豊]]、[[筑後地方|筑後]]地区を所管して地区隊を配置している。コールサインは福岡1○○で、[[パトライト]]に白色のラインが貼付されている。北九州地区は[[北九州市警察部]]隷下[[機動警察隊]]が[[機動捜査隊]]業務も併せ担当している。前部に青色のライトが設置されている。
* [[鹿児島県警察]]では、2010年(平成22年)4月1日以降に、組織改編の一環として夜間警戒並びに取り締まり強化や犯罪初動捜査を迅速化する目的で、これまで各警察署毎に置かれていた自ら班に加えて本部直轄自ら隊を発足させた。
* [[鹿児島県警察]]では、2010年(平成22年)4月1日以降に、組織改編の一環として夜間警戒並びに取り締まり強化や犯罪初動捜査を迅速化する目的で、これまで各警察署毎に置かれていた自ら班に加えて本部直轄自ら隊を発足させた。
* 一部の警察本部では自ら隊の発展型として「遊撃特別警ら隊(警視庁[[深川警察署 (東京都)|深川署]]など)」を組織しており、[[繁華街]]など[[治安]]が悪化している地区を中心に、違法な[[客引き]]行為、[[飲酒運転|飲酒]]・[[無免許運転]]、[[覚醒剤|覚せい剤]]・[[麻薬]]犯、[[窃盗]]犯、[[風俗営業法|風営法]]違反、[[痴漢]]、[[ストーカー]]、[[賭博]]、[[暴走族]]等の街頭犯罪を取り締まり検挙している。なお、遊撃隊は、本来、[[刑事|専務警察官]]では無いが、地域警察としては例外的に一見して警察車両に見えないように秘匿車両を用いて、またその際、身軽な私服風の様相を呈しているのである。
* 一部の警察本部では自ら隊の発展型として「遊撃特別警ら隊(警視庁[[深川警察署 (東京都)|深川署]]など)」を組織しており、[[繁華街]]など[[治安]]が悪化している地区を中心に、違法な[[客引き]]行為、[[飲酒運転|飲酒]]・[[無免許運転]]、[[覚醒剤|覚せい剤]]・[[麻薬]]犯、[[窃盗]]犯、[[風俗営業法|風営法]]違反、[[痴漢]]、[[ストーカー]]、[[賭博]]、[[暴走族]]等の街頭犯罪を取り締まり検挙している。なお、遊撃隊は、本来、[[刑事|専務警察官]]では無いが、地域警察としては例外的に一見して警察車両に見えないように秘匿車両を用いて、またその際、身軽な私服風の様相を呈しているのである。


== 任務 ==
== 任務 ==
文字通り[[パトロールカー]]で警邏(パトロール)し、[[不審者|不審人物]]や不審車両に乗った人物の[[職務質問]]、[[110番|通信指令室]]からの指令に基づき事件現場に急行して初動措置・初動捜査を担当する。隊員は[[職務質問]]の技術・経験が豊富であり、職務質問についての指導資格等を持つ者も多い。大規模警察本部においては、警視庁を除く警察署地域課員と同様、隊員は三個中隊で編成され3交代制で勤務する。
文字通り[[パトロールカー]]で警邏(パトロール)し、不審人物や不審車両に乗った人物の[[職務質問]]、[[110番|通信指令室]]からの指令に基づき事件現場に急行して初動措置・初動捜査を担当する。隊員は[[職務質問]]の技術・経験が豊富であり、職務質問についての指導資格等を持つ者も多い。大規模警察本部においては、警視庁を除く警察署地域課員と同様、隊員は三個中隊で編成され3交代制で勤務する。


パトカーによるパトロールという活動から、交通違反の検挙に数多く実績をあげており「パトカーのプロ集団」といわれているが、例えば交通取締りを主任務としている[[交通機動隊]]や所轄署交通課と違い、交通違反を検挙した際に徹底した車内捜索や所持品検査を実施することによって、[[薬物]]や[[凶器]]、[[特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律|特殊開錠用具]]などの発見をし、[[覚醒剤]]等の違法所持、[[窃盗]]、[[強盗]]などの凶悪事件をも摘発検挙することを任務の一つとしている。
パトカーによるパトロールという活動から、交通違反の検挙に数多く実績をあげており「パトカーのプロ集団」といわれているが、例えば交通取締りを主任務としている[[交通機動隊]]や所轄署交通課と違い、交通違反を検挙した際に徹底した車内捜索や所持品検査を実施することによって、[[薬物]]や[[凶器]]、[[特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律|特殊開錠用具]]などの発見をし、[[覚醒剤]]等の違法所持、[[窃盗]]、[[強盗]]などの凶悪事件をも摘発検挙することを任務の一つとしている。

2019年1月1日 (火) 04:51時点における版

自動車警ら隊(じどうしゃけいらたい、英語表記:Mobile Patrol Force、Motor Patrol Unit)とは、警視庁及び各道府県警察本部において、パトロールカーによって各警察署の管轄区域を超えた各都道府県内全域のパトロールを行うことを主な任務とする組織である[注 1]。「警ら隊」という表記になっているのは、「警邏」の「邏」が常用漢字に含まれていないためである。「警察24時」といった類のテレビ番組でよく取り上げられている。

警察内部では自ら隊(じらたい)と略称されることも多く、宮城県警察群馬県警察大阪府警察岡山県警察では機動警ら隊などと呼ぶ。

来歴

1947年9月ごろ、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)から警視庁に対し、新時代の外勤警察のために機動力と通信機能を備えた自動車による警邏制度について示唆があり、警視庁では、FM無線機搭載のフォード式自動車2両を借用して、両脇に「移動警察」と書いた白幕を巡らし、1949年1月1日から浅草警察署管内で試験運用を実施した。これは予想以上の防犯効果を挙げ、順次、淀橋警察署築地警察署へと拡大した。また1948年11月には、GHQ/SCAPより、外勤警察の全面警邏および超短波(VHF)無線装置搭載の自動車による警邏が指令されたこともあり、1950年5月には「警視庁自動車警ら隊暫定運用要綱」が制定され、翌月1日より発足した[1]

国家地方警察でも、同年8月に「無線自動車警ら暫定要綱の制定について」(国家地方警察本部発備第百五号)を発し、東京都本部大阪府本部山口および福岡県本部において、無線自動車による警邏制度を本格的に実施した。また自治体警察でも、同年より横浜市警察本部に2台、大阪市警察本部に10台、京都および神戸市警察本部に各3台、福岡および門司市警察本部に各2台が配置された[2]

組織

自動車警ら隊は、府県警察本部においては地域部あるいは生活安全部に置かれる。警察本部警備部における機動隊と同様「執行隊」としての位置づけであり、組織構成は各警察本部により多少異なる。隊長は警視、副隊長は本部により警視または警部、隊員の身分は地域警察官である。

  • 北海道警察では、警察本部地域部におかれ、主に札幌市内とその周辺の札幌方面中央、北、南、西、東、豊平、白石、厚別、手稲、江別の各警察署と小樽警察署の一部、の管轄区域を所管している。北海道警察方面本部の内、旭川、函館、釧路については機動警察隊が担当している(釧路方面本部は釧路・根室地区は釧路機動警察隊が、帯広・十勝地区は十勝機動警察隊に分かれている)また、北見方面本部は同地域課内に自動車警ら係がある。
  • 宮城県警察では、機動警ら隊員全員が音楽隊を兼務している。
  • 新潟県警察では、1990年代以降に所轄警察署単位での地域密着型警らを重要視して隊を廃止し、人員と車輌は各警察署の機動警ら係増強に充てている。
  • 警視庁では以下の通り、第一自動車警ら隊(三田署海岸通交番すぐ、蒲田消防署隣、玉川署)、第二自動車警ら隊(池袋通告センター、新宿署南千住署南千住八丁目交番)、第八方面自動車警ら隊(第八方面本部、調布署)、第九方面自動車警ら隊(第九方面本部、多摩中央署)。地域部地域指導課に職務質問技能指導班があり、「地域指導」のコールサインで自前のパトロールカーを駆使して、警察署の応援を行ったり、若手の警察官を同乗させて職務質問に対応している。
  • 千葉県警察では、大規模警察施設のある地区や、都県境に自ら隊の方面隊を編成している。その他に地域部に職務質問指導班があり、「地域指導」のコールサインを用いて自動車警ら隊の各方面の垣根を超えて警らと技能指導に従事している。
  • 神奈川県警察では、県内全ての自ら隊はコールサインを「横浜0」で呼び、繁華街だけでなく農村地帯も地区深くまで進出して警らしている。自ら隊の他に「チーム隼」と言われる技能指導に付いて特別の班がある。
  • 長野県警察では、各警察署毎に自動車警ら班が置かれていたが、2008年平成20年)4月1日以降は本部通信指令室指揮下になり、2010年(平成22年)4月1日以降は新設の地域部直属になり規模が拡大されている。
  • 静岡県警察では、静岡市清水区に隊本部・直轄隊を置き、沼津市の東部支隊と磐田市西部支隊がそれぞれ担当している。
  • 愛知県警察では、県内全域にコールサイン「愛知」で配備され、緊急配備に備えている。愛知県では地域部地域総務課に職務質問技能指導班があり、地方外からも警察官を招き、職務質問の技能を磨いている。愛知県警察の地域指導警察官は広域技能指導の資格を持つ者も多く、本庁中部局)でも重要視されていた。
  • 富山県警察では、従来まで生活安全部内に置かれていたが、近年は警備部機動隊に吸収されている。
  • 岐阜県警察では、組織緊縮により「西濃」、「東濃」、「岐阜市地区」に通称「自ら隊」が配備されていたが、現在は岐阜県南西部を拠点に岐阜市近辺を巡回している。2013年(平成25年)より、地域部発足に伴い、直属。他の車両は代表署の大垣署多治見署内に「機動警ら課」を発足させ、広域パトロールに配置替え。
  • 兵庫県警察では、隊ぐるみの捜査報告偽造問題が2005年(平成17年)に発覚して解散し、「機動パトロール隊」が新設されている。2010(平成22)年度以降は、職務質問と初動態勢を強化するため本部機動パトロール隊と各警察署の自動車警ら班により、パトカーの機動力を活かした24時間体制のフロントライン・パトロール隊が「FRONTLINE PATROL」と記載された車両で担当している。同様のシステムは静岡でも運用されている。
  • 大阪府警察では、機動警ら隊に青バイ(スカイブルー隊)が配属されている。導入当初は2人1組で活動していたが、最近は1人で活動しているケースが多い。
  • 山口県警察では、県内全域でのパトロール強化を目指し、2014年(平成26年)4月本部生活安全部地域課に「自動車警ら係」が新設された。
  • 福岡県警察では、本部地域部自動車警ら隊が福岡筑豊筑後地区を所管して地区隊を配置している。コールサインは福岡1○○で、パトライトに白色のラインが貼付されている。北九州地区は北九州市警察部隷下機動警察隊機動捜査隊業務も併せ担当している。前部に青色のライトが設置されている。
  • 鹿児島県警察では、2010年(平成22年)4月1日以降に、組織改編の一環として夜間警戒並びに取り締まり強化や犯罪初動捜査を迅速化する目的で、これまで各警察署毎に置かれていた自ら班に加えて本部直轄自ら隊を発足させた。
  • 一部の警察本部では自ら隊の発展型として「遊撃特別警ら隊(警視庁深川署など)」を組織しており、繁華街など治安が悪化している地区を中心に、違法な客引き行為、飲酒無免許運転覚せい剤麻薬犯、窃盗犯、風営法違反、痴漢ストーカー賭博暴走族等の街頭犯罪を取り締まり検挙している。なお、遊撃隊は、本来、専務警察官では無いが、地域警察としては例外的に一見して警察車両に見えないように秘匿車両を用いて、またその際、身軽な私服風の様相を呈しているのである。

任務

文字通りパトロールカーで警邏(パトロール)し、不審人物や不審車両に乗った人物の職務質問通信指令室からの指令に基づき事件現場に急行して初動措置・初動捜査を担当する。隊員は職務質問の技術・経験が豊富であり、職務質問についての指導資格等を持つ者も多い。大規模警察本部においては、警視庁を除く警察署地域課員と同様、隊員は三個中隊で編成され3交代制で勤務する。

パトカーによるパトロールという活動から、交通違反の検挙に数多く実績をあげており「パトカーのプロ集団」といわれているが、例えば交通取締りを主任務としている交通機動隊や所轄署交通課と違い、交通違反を検挙した際に徹底した車内捜索や所持品検査を実施することによって、薬物凶器特殊開錠用具などの発見をし、覚醒剤等の違法所持、窃盗強盗などの凶悪事件をも摘発検挙することを任務の一つとしている。

また、繁華街や比較的治安が悪い傾向にある地域では、細い路地裏とも言えるような道路にも進入し、歩行者のちょっとした不審な挙動(パトカーや警察官を見て目を背けたり逃げるような仕草など)や不審車両など(無灯火・車体の一部やナンバープレートの破損及び折り曲げ・パトカーを見て急に進路を変えたり逃げるような仕草・信号無視や一時不停止などの交通違反)を見逃さず積極的な職務質問を実施する。

その際に徹底的な車内捜索や所持品検査をすることにより、やはり薬物(危険ドラッグ)や凶器、特殊開錠用具の違法所持や指名手配犯の発見、飲酒運転酒気帯び運転無免許運転の検挙、盗難届が出されている車両の発見など数多くの成果を挙げている。さらに事件・事故発生ともなれば、所轄署および交通機動隊のパトカーや機動捜査隊覆面パトカーとともに真っ先に現場へ駆けつけたり、現場付近の捜索を実施して被疑者の検挙にあたる。

装備

2018年(平成30年)現在、車両はトヨタ・クラウン(180系・200系・210系)、スバル・レガシィB4(BM型)、が多く導入されている。逃走した不審車両を迅速に確保出来るよう、相応の出力を持つ排気量2.5 L級の車両が用いられる。

さらに、近年被疑車両が逃亡を企てるためにパトカーに体当たりする事案が急増している現状から、愛知県警では日産・サファリ埼玉県警宮城県警では日産・エクストレイルといった車高が高い大型ボディのSUVを配備し、乗務員の受傷や車両損傷による走行不能を防ぐとともに、体当たりそのものを断念させる効果も狙っている。

一部の警察本部では、同様に警邏任務に従事している白バイがあり、該当車両は「MAP」の表示を付けている(Mobile Area Patrol―地域機動警戒の略)。ただし警視庁のMAP白バイは警備部機動隊の所属である。

脚注

注釈

  1. ^ これに対し白バイ隊は、道府県警察本部交通部交通機動隊高速道路交通警察隊、または皇宮警察本部の所属である。

出典

参考文献

  • 警察庁警察史編さん委員会 編『日本戦後警察史』警察協会、1977年。 NCID BA59637079 
  • 警視庁 編『警視庁百年の歩み』警視庁創立100年記念行事運営委員会、1974年。 NCID BN01114204 

関連項目

外部リンク