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2019年9月13日 (金) 15:20時点における版
共通語(きょうつうご)とは、ある地域や集団間で共通に用いられる言語をいう。
国際
経済大国など周囲への影響力の強い国や地域で話される言語は、言葉の違う他の国や民族を超えた共通の言語として使用されることがある。そのような言語のことを、国際共通語、もしくはリンガフランカと呼ぶ。その例として、古くは東アジアの漢文、インドのサンスクリット、ヘレニズム時代の地中海世界におけるギリシャ語、ローマ時代の地中海世界と中世のヨーロッパにおけるラテン語、17世紀から19世紀までの西洋におけるフランス語、さらには、東南アジアのマレー語、アラブ世界のアラビア語、東アフリカのスワヒリ語などがある。21世紀の現代においては、国際的な集まりにおいては英語がその役割を果たす場合が多い。
日本
戦前に日本政府が実質的に統治していた地域内で使われていた言語には、日本語、アイヌ語、中国語、モンゴル語、朝鮮語、ロシア語など多数が存在した。戦後になると日本は多くの地域を喪失したため、基本的には日本語と琉球語、アイヌ語だけとなった。しかし2018年現在はグローバル化により日本で暮らす外国人が年々増加傾向にあり、言語の使用も様々なケースが見られるようになった。ただし共通語は戦前から一貫して日本語である。
21世紀の日本では、方言の違いを超えて誰でも共通に理解しあえる言語づかいのことを共通語という。例えば、青森の人と鹿児島の人がそれぞれの方言で会話しようとすると相互理解が困難であるが、明治時代に制定された標準語を基にして第二次世界大戦後に整備され、普及した共通語で話せば、互いの意思疎通を容易にすることができる。 なお、共通語は規範とされる標準語とは違い、マスコミや広範な人の移動などを通じ自然に形成された言語である。
1949年に国立国語研究所が福島県白河市で学術調査を行った際、東北方言と標準語の中間のような日本語を話す話者がいることが確認された。これについて国立国語研究所は、全国共通に理解しあえる「全国共通語」であると評価し、「共通語」と呼ぶことにした[1][2]。すぐに「共通語」と言う呼称が浸透することはなかったが、最近はこの「共通語」が一般にも使われつつある。その理由について、国立国語研究所の言語調査を主導した柴田武は、「標準語という用語に伴う『統制』という付随的意味がきらわれたためだと思われる」と述べている[1]。柴田は、1980年に出版された『国語学大辞典』において、共通語と標準語の定義の違いについて、次のように述べている[1]。
共通語は現実であり、標準語は理想である。共通語は自然の状態であり、標準語は人為的につくられるものである。したがって、共通語はゆるい規範であり、標準語はきびしい規範である。言いかえれば、共通語は現実のコミュニケーションの手段であるが、標準語はその言語の価値を高めるためのものである。 — 国語学会編『国語学大辞典』東京堂出版、1980年9月
なお、標準語と同様に共通語も公式・法的に定められてはいない。