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「走査型マクスウェル応力顕微鏡」の版間の差分

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== 概要 ==
== 概要 ==
[[原子間力顕微鏡]] (AFM) と同様に[[探針]]に働く電気力([[マクスウェルの応力テンソル|マクスウェル応力]])を外部から印加した[[交流]]電圧により誘起される[[強制振動]]を検出することにより、[[表面電位]]、[[電荷]]、[[誘電率]]、[[電気伝導率]]など電気的情報と同時に表面形状の情報を取得できる<ref>{{Cite journal|和書|author=|year=1994|title=走査型マクスウェル応力顕微鏡による表面の電気的イメージング|url=https://doi.org/10.11316/butsuri1946.49.281|journal=日本物理學會誌|volume=49|issue=4|page=|pages=281-286|doi=10.11316/butsuri1946.49.281|ISSN=00290181|NAID=110002077018|author1=横山浩|author2=井上貴仁|author3=伊藤順司}}</ref>。既存のAFMに[[電気回路|回路]]を追加する事でSMMを実現できる<ref name="SMM">{{citation|url=http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10342974/www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/hyoujun_gijutsu/spm/1_b_3_d.htm |title=走査型マクスウェル応力顕微鏡(SMM) }}</ref>。
[[原子間力顕微鏡]] (AFM) と同様に[[探針]]に働く電気力([[マクスウェルの応力テンソル|マクスウェル応力]])を外部から印加した[[交流]]電圧により誘起される[[強制振動]]を検出することにより、[[表面電位]]、[[電荷]]、[[誘電率]]、[[電気伝導率]]など電気的情報と同時に表面形状の情報を取得できる<ref>{{Cite journal|和書|author=|year=1994|title=走査型マクスウェル応力顕微鏡による表面の電気的イメージング|url=https://doi.org/10.11316/butsuri1946.49.281|journal=日本物理學會誌|volume=49|issue=4|page=|pages=281-286|doi=10.11316/butsuri1946.49.281|issn=00290181|naid=110002077018|author1=横山浩|author2=井上貴仁|author3=伊藤順司}}</ref>。既存のAFMに[[電気回路|回路]]を追加する事でSMMを実現できる<ref name="SMM">{{citation|url=http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10342974/www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/hyoujun_gijutsu/spm/1_b_3_d.htm |title=走査型マクスウェル応力顕微鏡(SMM) }}</ref>。


通常のAFM用[[カンチレバー]]の探針部分表面に[[導電性]]を確保するための[[白金]]薄膜を[[スパッタリング]]により 100 [[ナノメートル|nm]] 程度被膜形成したものを用いる<ref name="SMM"/>。{{Math|1=''V''(''t'') = ''V''<sub>DC</sub> + ''V''<sub>AC</sub>sin''ωt''}} で表される外部交流電圧を探針に印加することにより[[静電誘導|誘起]]される探針表面と試料表面の電荷間に電気力(マクスウェル応力)が作用するので、これを強制力としてカンチレバーには {{Mvar|ω}} および {{Math|2''ω''}} の[[角周波数]]成分を含んだ強制振動が生じる。この2つの振動成分を[[ロックインアンプ]]で同期検出する<ref name="SMM" />。{{Mvar|ω}} 成分をゼロになるように[[直流]]電圧 {{Math|''V''<sub>DC</sub>}} を調節する[[フィードバック制御]]により、表面電位像を得ることができ、また {{Math|2''ω''}} 成分を一定にするようにフィードバック制御を行うことにより、[[静電容量]]一定の条件で表面上を走査できる<ref name="SMM" />。
通常のAFM用[[カンチレバー]]の探針部分表面に[[導電性]]を確保するための[[白金]]薄膜を[[スパッタリング]]により 100 [[ナノメートル|nm]] 程度被膜形成したものを用いる<ref name="SMM"/>。{{Math|1=''V''(''t'') = ''V''<sub>DC</sub> + ''V''<sub>AC</sub>sin''ωt''}} で表される外部交流電圧を探針に印加することにより[[静電誘導|誘起]]される探針表面と試料表面の電荷間に電気力(マクスウェル応力)が作用するので、これを強制力としてカンチレバーには {{Mvar|ω}} および {{Math|2''ω''}} の[[角周波数]]成分を含んだ強制振動が生じる。この2つの振動成分を[[ロックインアンプ]]で同期検出する<ref name="SMM" />。{{Mvar|ω}} 成分をゼロになるように[[直流]]電圧 {{Math|''V''<sub>DC</sub>}} を調節する[[フィードバック制御]]により、表面電位像を得ることができ、また {{Math|2''ω''}} 成分を一定にするようにフィードバック制御を行うことにより、[[静電容量]]一定の条件で表面上を走査できる<ref name="SMM" />。
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== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
* {{Cite journal|和書|author=横山浩|year=1994|title=走査型マクスウェル応力顕微鏡--表面電気現象を力として観る新しい走査型プロ-ブ顕微鏡|journal=静電気学会誌|volume=18|issue=2|page=|pages=99-106|ISSN=03862550|NAID=40004174094|series=表面を観る< 特集>}}
* {{Cite journal|和書|author=横山浩|year=1994|title=走査型マクスウェル応力顕微鏡--表面電気現象を力として観る新しい走査型プロ-ブ顕微鏡|journal=静電気学会誌|volume=18|issue=2|page=|pages=99-106|issn=03862550|naid=40004174094|series=表面を観る< 特集>}}
* {{Cite journal|和書|author=井上貴仁|year=1994|title=走査型マクスウェル応力顕微鏡による有機薄膜の局所的電気力のイメージング|journal=電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス|volume=94|issue=192|pages=1-6|author2=横山浩|naid=110003300858}}
* {{Cite journal|和書|author=井上貴仁|year=1994|title=走査型マクスウェル応力顕微鏡による有機薄膜の局所的電気力のイメージング|journal=電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス|volume=94|issue=192|pages=1-6|author2=横山浩|naid=110003300858}}
* {{Cite journal|和書|author=|year=1994|title=ヘテロダイン力検出法に基づく走査型マクスウェル応力顕微鏡の高分解能化|url=https://doi.org/10.11470/oubutsu1932.63.709|journal=応用物理|volume=63|issue=7|page=|pages=709-712|doi=10.11470/oubutsu1932.63.709|ISSN=0369-8009|NAID=10006626663|author1=横山浩|author2=井上貴仁|author3=伊藤順司}}
* {{Cite journal|和書|author=|year=1994|title=ヘテロダイン力検出法に基づく走査型マクスウェル応力顕微鏡の高分解能化|url=https://doi.org/10.11470/oubutsu1932.63.709|journal=応用物理|volume=63|issue=7|page=|pages=709-712|doi=10.11470/oubutsu1932.63.709|issn=0369-8009|naid=10006626663|author1=横山浩|author2=井上貴仁|author3=伊藤順司}}
* {{Cite journal|和書|author=横山浩|year=1995|title=走査型マクスウェル応力顕微鏡 (SMM)|journal=化学と工業|volume=48|issue=3|pages=249-251|ISSN=00227684|NAID=10001680757}}
* {{Cite journal|和書|author=横山浩|year=1995|title=走査型マクスウェル応力顕微鏡 (SMM)|journal=化学と工業|volume=48|issue=3|pages=249-251|issn=00227684|naid=10001680757}}


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==

2020年1月25日 (土) 16:39時点における版

走査型マクスウェル応力顕微鏡(そうさがたマクスウェルおうりょくけんびきょう、: Scanning Maxwell Stress Microscope: SMM)は走査型プローブ顕微鏡の一種。

概要

原子間力顕微鏡 (AFM) と同様に探針に働く電気力(マクスウェル応力)を外部から印加した交流電圧により誘起される強制振動を検出することにより、表面電位電荷誘電率電気伝導率など電気的情報と同時に表面形状の情報を取得できる[1]。既存のAFMに回路を追加する事でSMMを実現できる[2]

通常のAFM用カンチレバーの探針部分表面に導電性を確保するための白金薄膜をスパッタリングにより 100 nm 程度被膜形成したものを用いる[2]V(t) = VDC + VACsinωt で表される外部交流電圧を探針に印加することにより誘起される探針表面と試料表面の電荷間に電気力(マクスウェル応力)が作用するので、これを強制力としてカンチレバーには ω および 2ω角周波数成分を含んだ強制振動が生じる。この2つの振動成分をロックインアンプで同期検出する[2]ω 成分をゼロになるように直流電圧 VDC を調節するフィードバック制御により、表面電位像を得ることができ、また 2ω 成分を一定にするようにフィードバック制御を行うことにより、静電容量一定の条件で表面上を走査できる[2]

用途

  • 表面電位、誘電率の分布の観察

脚注

  1. ^ 横山浩、井上貴仁、伊藤順司「走査型マクスウェル応力顕微鏡による表面の電気的イメージング」『日本物理學會誌』第49巻第4号、1994年、281-286頁、doi:10.11316/butsuri1946.49.281ISSN 00290181NAID 110002077018 
  2. ^ a b c d 走査型マクスウェル応力顕微鏡(SMM), http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10342974/www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/hyoujun_gijutsu/spm/1_b_3_d.htm 

参考文献

関連項目