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「アミノレブリン酸」の版間の差分

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== 用途 ==
== 用途 ==
医療分野においては[[光増感剤]]として、[[光線性角化症]]や[[ニキビ]]の治療薬([[光線力学的療法]]、PDT)に用いられており、近年では[[レーザー]]照射と組み合わせて[[脳腫瘍]]の術中診断([[光線力学的診断法]]、PDD)に用いられる。また、[[皮膚癌]]等の[[癌]]の治療も試みられている<ref>http://www.cancerit.jp/xoops/modules/words_nci/entry.php?entryID=205</ref>。また、2018年には、京都大学の和田敬仁准教授らが、難病の一つATR-X症候群の治療薬としての可能性を示唆する論文を発表している<ref>{{Cite web |date= 2018-05-22|url= http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2018/180522_1.html|title= 難治性疾患「ATR-X症候群」の治療に新たな光|publisher= 京都大学|accessdate=2018-05-22}}</ref>。
医療分野においては[[光増感剤]]として、[[光線性角化症]]や[[尋常性痤瘡|ニキビ]]の治療薬([[光線力学的療法]]、PDT)に用いられており、近年では[[レーザー]]照射と組み合わせて[[脳腫瘍]]の術中診断([[光線力学的診断法]]、PDD)に用いられる。また、[[皮膚癌]]等の[[癌]]の治療も試みられている<ref>http://www.cancerit.jp/xoops/modules/words_nci/entry.php?entryID=205</ref>。また、2018年には、京都大学の和田敬仁准教授らが、難病の一つATR-X症候群の治療薬としての可能性を示唆する論文を発表している<ref>{{Cite web |date= 2018-05-22|url= http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2018/180522_1.html|title= 難治性疾患「ATR-X症候群」の治療に新たな光|publisher= 京都大学|accessdate=2018-05-22}}</ref>。
* アミノレブリン酸塩酸塩は製品名「アラグリオ<ref>https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00067162</ref>」として、青色光線(400~410nm)を用いた光力学診断を併用した[[経尿道的膀胱腫瘍切除術]](TURBT)に用いられる。{{main|アラグリオ}}
* アミノレブリン酸塩酸塩は製品名「アラグリオ<ref>https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00067162</ref>」として、青色光線(400~410nm)を用いた光力学診断を併用した[[経尿道的膀胱腫瘍切除術]](TURBT)に用いられる。{{main|アラグリオ}}



2020年8月25日 (火) 00:01時点における版

アミノレブリン酸
IUPAC命名法による物質名
識別
CAS番号
106-60-5
ATCコード L01XD04 (WHO)
PubChem CID: 137
DrugBank APRD00793
KEGG C00430
化学的データ
化学式C5H9NO3
分子量131.13 g/mol
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5-アミノレブリン酸(5-aminolevulinic acid、5-ALA)またはδ-アミノレブリン酸(dALA, δALA)は、ポルフィリン合成経路の最初の生成物である。

生物種によって異なる合成経路

ポルフィリン合成経路の出発物質であるアミノレブリン酸の合成経路には2種類があり、生物の系統によってどちらを用いているかは異なる。

Shemin経路
グリシンスクシニルCoAを縮合させて合成する。αプロテオバクテリアと、真核生物のミトコンドリアで利用されている。
C5経路
tRNAにチャージされているグルタミン酸を還元的に切り離し、アミノ基転移を経て合成する。大部分の原核生物と、真核生物の色素体で利用されている。

2種類の経路を両方もつ生物は稀である。色素体を持つ真核生物はミトコンドリアも持っているが、通常どちらか一方のみが用いられる。例えば緑色植物紅藻珪藻では色素体のC5経路のみが利用されShemin経路はそもそも存在しない。両方の経路を利用している生物としてはミドリムシが挙げられる。

動物における合成経路

動物においてはグリシンおよびスクシニルCoAからアミノレブリン酸合成酵素EC 2.3.1.37)の作用で合成される。

5-アミノレブリン酸は、動物においてはポルフォビリノーゲンシンターゼによってポルフォビリノーゲンEC 4.2.1.24)に代謝され、さらにヒドロキシメチルビランウロポルフィリノーゲンIIIコプロポルフィリノーゲンIIIプロトポルフィリノーゲンIXプロトポルフィリンIXとなる。プロトポルフィリンはイオンを配位することで、血液中のヘモグロビンや薬物代謝酵素であるP450を構成するヘムとなる。

δ-アミノレブリン酸からプロトポルフィリンIXまでの生合成経路

合成阻害

無機は、SH基と結合することにより、5-アミノレブリン酸脱水酵素と、ヘム合成酵素を阻害するため、尿中には5-アミノレブリン酸とコプロポルフィリンが排泄される。これらの異常値は症状が無くても認められるため、鉛曝露の指標として有用である。さらに、鉛のヘムの分解の促進と合成の阻害により、ヘムの量は著しく減少し、ヘモグロビンだけでなく、ヘム蛋白質であるP450も減少する。症状としては、貧血鉛仙痛が挙げられる。

用途

医療分野においては光増感剤として、光線性角化症ニキビの治療薬(光線力学的療法、PDT)に用いられており、近年ではレーザー照射と組み合わせて脳腫瘍の術中診断(光線力学的診断法、PDD)に用いられる。また、皮膚癌等のの治療も試みられている[1]。また、2018年には、京都大学の和田敬仁准教授らが、難病の一つATR-X症候群の治療薬としての可能性を示唆する論文を発表している[2]

光増感剤の作用による除草剤として考えられていたが大量に使わないと効果がなく、逆に成長を促進する現象が見られて断念、肥料として使用する研究がされた。低濃度のアミノレブリン酸と微量のミネラルを配合した水溶液を植物に散布すると、葉緑素が増えて成長を促進させることが発見され、これを添加した液体肥料が販売されるなど、農業分野においても応用されている。

現在、コスモ石油において光合成細菌による大量生産法が確立されている。

脚注

  1. ^ http://www.cancerit.jp/xoops/modules/words_nci/entry.php?entryID=205
  2. ^ 難治性疾患「ATR-X症候群」の治療に新たな光”. 京都大学 (2018年5月22日). 2018年5月22日閲覧。
  3. ^ https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00067162

関連項目

外部リンク