コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

「マトリックス (映画)」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
Cewbot (会話 | 投稿記録)
96行目: 96行目:
|}
|}
* ソフト版吹き替え - [[VHS]]・[[DVD]]・[[Blu-ray Disc|BD]]収録
* ソフト版吹き替え - [[VHS]]・[[DVD]]・[[Blu-ray Disc|BD]]収録
: その他吹き替え - [[さとうあい]]、[[河相智哉]]、[[遠藤純一 (俳優)|遠藤純一]]
: その他吹き替え - [[さとうあい]]、[[河相智哉]]、[[遠藤純一]]
: 演出:[[岩浪美和]]、翻訳:久保喜昭、プロデューサー:尾谷アイコ(ワーナー・ホーム・ビデオ)
: 演出:[[岩浪美和]]、翻訳:久保喜昭、プロデューサー:尾谷アイコ(ワーナー・ホーム・ビデオ)
: 録音・調整:土屋雅紀、音響制作:中西真澄/米屋林太郎(プロセンスタジオ)
: 録音・調整:土屋雅紀、音響制作:中西真澄/米屋林太郎(プロセンスタジオ)

2021年3月21日 (日) 00:06時点における版

マトリックス (映画シリーズ) > マトリックス (映画)
マトリックス
The Matrix
監督 ラリー・ウォシャウスキー
アンディ・ウォシャウスキー[1]
脚本 ラリー・ウォシャウスキー
アンディ・ウォシャウスキー
製作 ジョエル・シルバー
製作総指揮 バリー・M・オズボーン
アンドリュー・メイソン
ラリー・ウォシャウスキー
アンディ・ウォシャウスキー
アーウィン・ストフ
ブルース・バーマン
出演者 キアヌ・リーブス
ローレンス・フィッシュバーン
キャリー=アン・モス
ヒューゴ・ウィーヴィング
ジョー・パントリアーノ
グロリア・フォスター
音楽 オリジナル
ドン・デイヴィス
ロブ・ドーガン
ジャック・デンジャーズ
チノ・モレノ
ハイブ
非オリジナル
レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン
マドンナ・ウェイン・ギャシー
ステファーヌ・グラッペリ
リーアム・ハウレット
ハリー・ジェイムス
グラント・マーシャル
撮影 ビル・ポープ
編集 ザック・ステンバーグ
製作会社 ヴィレッジ・ロードショー・ピクチャーズ
シルバー・ピクチャーズ
配給 ワーナー・ブラザース
公開 アメリカ合衆国の旗 1999年3月31日
イギリスの旗 1999年6月11日
オーストラリアの旗 1999年4月8日
日本の旗 1999年9月11日
上映時間 136分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 63,000,000ドル[2]
興行収入 アメリカ合衆国の旗カナダの旗 171,479,930ドル[2]
世界の旗 463,517,383ドル[2]
日本の旗 85億円[3]
配給収入 日本の旗 50億円[4]
次作 マトリックス リローデッド
テンプレートを表示

マトリックス』(The Matrix)は、1999年アメリカ映画。「マトリックス」シリーズの1作目である。1999年9月11日日本公開。

概要

SF映画であるが、香港映画カンフーファイトのテイストも含んでいる。ストーリーの各所にメタファーや暗示を置き、哲学信仰というテーマも表現している。従来のCGにはない、ワイヤーアクションバレットタイムなどのVFXを融合した斬新な映像表現は「映像革命」として話題となった。

1999年のアカデミー賞では視覚効果賞編集賞音響賞音響編集賞を受賞。

ストーリー

トーマス・アンダーソンは、大手ソフトウェア会社のメタ・コーテックス[5]に勤めるプログラマーである。しかし、トーマスにはあらゆるコンピュータ犯罪を起こす天才ハッカー[6]ネオという、もう1つの顔があった。平凡な日々を送っていたトーマスは、ここ最近、起きているのに夢を見ているような感覚に悩まされ「今生きているこの世界は、もしかしたら夢なのではないか」という、漠然とした違和感を抱いていたが、それを裏付ける確証も得られず毎日を過ごしていた。

ある日、トーマスは「起きろ、ネオ(Wake up, Neo.)」「マトリックスが見ている(The Matrix has you.)」「白ウサギについて行け(Follow the white rabbit.)」という謎のメールを受け取る。ほどなくしてトリニティと名乗る謎の女性と出会ったトーマスは、トリニティの仲間のモーフィアスを紹介され「あなたが生きているこの世界は、コンピュータによって作られた仮想現実だ」と告げられ、このまま仮想現実で生きるか、現実の世界で目覚めるかの選択を迫られる。日常の違和感に悩まされていたトーマスは現実の世界で目覚めることを選択する。次の瞬間、トーマスは自分が培養槽のようなカプセルの中に閉じ込められ、身動きもできない状態であることに気づく。トリニティたちの言ったことは真実で、現実の世界はコンピュータの反乱[7]によって人間社会が崩壊し、人間の大部分はコンピュータの動力源として培養されていた。覚醒してしまったトーマスは不良品として廃棄されるが、待ち構えていたトリニティとモーフィアスに救われる。

トーマスは、モーフィアスが船長を務める工作船「ネブカドネザル号」の仲間として迎えられ、ハッカーとして使っていた名前「ネオ」を名乗ることになった。モーフィアスはネオこそがコンピュータの支配を打ち破る救世主であると信じており、仮想空間での身体の使い方や、拳法などの戦闘技術を習得させた。人類の抵抗軍の一員となったネオは、仮想空間と現実を行き来しながら、人類をコンピュータの支配から解放する戦いに身を投じていく。

登場人物

キャスト

役名 俳優 日本語吹き替え
ソフト版 フジテレビ 機内上映版
ネオ(トーマス・A・アンダーソン) キアヌ・リーブス 小山力也 森川智之 宮本充
モーフィアス ローレンス・フィッシュバーン 玄田哲章 内海賢二
最上嗣生
トリニティー キャリー=アン・モス 日野由利加 戸田恵子
エージェント・スミス ヒューゴ・ウィーヴィング 中多和宏 大塚芳忠
オラクル グロリア・フォスター 此島愛子 片岡富枝
サイファー ジョー・パントリアーノ 金尾哲夫 樋浦勉
タンク マーカス・チョン 坂東尚樹 岩崎ひろし
エイポック ジュリアン・アラハンガ 山野井仁 水野龍司
マウス マット・ドーラン うえだゆうじ 石田彰
スウィッチ ベリンダ・マクローリー 紗ゆり 唐沢潤
ドーザー レイ・パーカー 宝亀克寿
エージェント・ブラウン ポール・ゴダード 安井邦彦 青山穣
エージェント・ジョーンズ ロバート・テイラー 石井康嗣
ラインハート デビッド・アストン 金尾哲夫 -
(?)
チョイ マーク・グレイ 小形満 平田広明
ドゥジュール(白いうさぎの女) エイダ・ニコデモ 大坂史子 金野恵子
警部補 ビル・ヤング 宝亀克寿
宅配便の男 デヴィッド・オコナー 川島得愛
  • ソフト版吹き替え - VHSDVDBD収録
その他吹き替え - さとうあい河相智哉遠藤純一
演出:岩浪美和、翻訳:久保喜昭、プロデューサー:尾谷アイコ(ワーナー・ホーム・ビデオ)
録音・調整:土屋雅紀、音響制作:中西真澄/米屋林太郎(プロセンスタジオ)
制作:ワーナー・ホーム・ビデオ/プロセンスタジオ
その他吹き替え - 佐久田修内田聡明牛山茂田原アルノ蓮池龍三
演出:小林守夫、翻訳:栗原とみ子(追加収録分:古瀬由紀子)、調整:金谷和美
効果:リレーション、録音:スタジオ・ユニ、制作:東北新社
2015年2月7日にWOWOWで放送された際にカット部分を同一声優で追加録音したものが放送された。その際、モーフィアス役の内海賢二は故人のため最上嗣生が代役を務めた。
※2018年11月7日発売の「マトリックス トリロジー 4K ULTRA HD& HD デジタル・リマスター ブルーレイ」にはソフト版に加え、フジテレビ版にカット部分を追加収録したWOWOW版が収録される[8]

地上波放送履歴

回数 放送日時 放送局 番組名 放送時間 吹替版
1 2002年10月5日 フジテレビ ゴールデンシアター 21:05-23:39 フジテレビ版
2 2003年6月6日 日本テレビ 金曜ロードショー 21:03-23:34
3 2005年4月2日 フジテレビ プレミアムステージ 21:00-23:34
4 2008年12月20日 土曜プレミアム 21:00-23:25
5 2011年6月24日 日本テレビ 金曜ロードショー 21:00-22:54 ソフト版

スタッフ

作品解説

「MATRIX」という語

「Matrix」はラテン語の「母」を意味するmaterから派生した語で、転じて「母体」「基盤」「基質」「そこから何かを生み出す背景」などの概念を表す。

本作では、コンピュータの作り出した仮想現実を「MATRIX」と呼んでいる。

撮影

ロケーション撮影シドニーオーストラリア連邦)で主に行われた。

影響

作品はウィリアム・ギブスンから香港アクション映画日本アニメまで様々なものに影響を受けた上で、特にジャン・ボードリヤールの哲学を基調としたとウォシャウスキー兄弟は語っている。ギブスンはマトリックスを「間違いなく究極のサイバーパンク芸術品」と絶賛している[9]。「MATRIX」という言葉自体はギブスンのニューロマンサーにも見られ、ボードリヤールの著書『シミュラークルとシミュレーション』の中にも掲げられており、これが出所となったという見方もある。作中ではハードカバーのボードリヤールの本が映るシーンも見られる。2作目からボードリヤール本人をアドバイザーに迎える計画があったが、断られたという。

ウォシャウスキー兄弟曰く、脚本の大部分はレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの『Wake Up』を聴きながら書き上げたとのこと。映画でもエンディング・テーマに起用されており、そのバンド名やその活動自体が正にマトリックスの世界そのものとされている。

影響を受けた作品

シミュラークルとシミュレーション
1981年出版のジャン・ボードリヤールの著書。監督のウォシャウスキー兄弟は『シミュラークルとシミュレーション』からストーリーのヒントを得たという。劇中でネオがチョイに渡したディスクを隠していた本がこれであり、モーフィアスが語る「現実の砂漠」の出所もボードリヤールである[10]
ニューロマンサー
1984年出版のウィリアム・ギブスンの小説。当初、監督のウォシャウスキー兄弟は『ニューロマンサー』の映画化を目指したがスポンサーがつかず、企画が変更された。共通点は「マトリックス」という電脳空間人工知能が自我を持つ聖域の「ザイオン」、人体に埋め込んだジャックにプラグを挿して電脳空間へ移動、凄腕ハッカーの主人公が恋仲になった女戦士を通じて謎の男が率いるチームに参加するというメインキャラ達の相関などである。なお下記の『攻殻機動隊』も、『ニューロマンサー』の影響を受けたとされる。
ゼイリブ
1988年公開のジョン・カーペンター監督による映画。人間に変装した宇宙人たちによって知らぬ間に支配されている世界が舞台であり、主人公はふとしたことから入手した特殊なサングラスを通して宇宙人の変装を見破れるようになり、その状況を暴露するために奔走するという内容。人類がなにものかに知らぬまま支配されているという点が共通している。
GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊
1995年公開。原作:士郎正宗、監督:押井守による劇場用アニメ映画。製作のジョエル・シルバーが「監督のウォシャウスキー兄弟が私に『攻殻機動隊』を見せて、俳優による実写で映像化したいと言った」と明言しているように[11]、この作品からインスパイアされた。オープニングの黒い画面にグリーンの文字が流れる通称「マトリックス・コード[12]、後頭部にプラグを挿す、ビルの屋上に着地した際に地面のコンクリートがめくれ上がる、ロビーでの銃撃戦で柱が粉砕される、市場での銃撃シーンでスイカが被弾して割れる、全裸で水溶液に浸かる人間などが共通している[13]
ウォシャウスキーらが監督の押井守と面会した際、マトリックスの企画が攻殻より前であることを主張されたという。押井は自作も他作品の演出を拝借していると言い、気にしていなかったという[14] 。なお、押井はマトリックスがあまり好きではなく、自分の演出が実写になるとこれほど恥ずかしいものだったのかと思い知らされ、恥ずかしかったと語っている[15]
AKIRA
1988年公開。原作・監督:大友克洋によるアニメ映画。マトリックスに影響を与えたとされる[16]
獣兵衛忍風帖
1993年公開。原作・監督:川尻善昭によるアニメ映画。アクションシーンの表現に影響を受けたとされる[17]。ウォシャウスキー兄弟とマトリックスのスタッフが好きなアニメの一つとして知られ[16]、ウォシャウスキー兄弟が製作で参加した『ニンジャ・アサシン』にも影響が見られる[18]
ジョン・ウー
映画監督。サングラスと黒いロングコートに二丁拳銃というスタイル、スローモーションを多用した銃撃戦、銃を複数用意して弾が切れたら再装填せずに捨てて次を抜く、激しい銃撃にコンクリートの壁が崩れるなどの描写は、ウー監督が得意とするガンアクションの演出と酷似している。
ブルース・リー
映画俳優。カンフーアクションの際の手足の動きや顔の表情などに、リーの影響がある。「考えるな。感じるんだ」という台詞は、リーの代表作『燃えよドラゴン』で使われた言葉。
ジェット・リー
映画俳優。キアヌ・リーブスはマトリックスに出るための準備として見た『マスター・オブ・リアル・カンフー 大地無限』『フィスト・オブ・レジェンド 怒りの鉄拳』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』によりジェット・リーを知りスタイルのヒントになったという[19]。またマトリックスでカンフーアクションの指導を行ったユエン・ウーピンは上記の3作に関わった人物でもある。

DVD

2000年に発売されたDVDは、3種類のパターンのDVDが順番に発売された。3種類ともジャケットのパターンが異なる。コメンタリーはケン・ウィルバーコーネル・ウェストが担当、コーネル・ウェストは劇中に出演もしている。

当時はまだDVDプレイヤーが普及する前で、日本全国でも十数万台しか再生機器が流通していない状況であり、今作のDVDは同時期に発売されたPS2の売り上げに大きく貢献(一気に百万台以上の再生機器が発生したことになる)、DVDプレーヤー普及となるキラーコンテンツの一つとなった。

以前のDVDはメインメニュー画面が4:3だったが、この映画のDVD発売を境にメニュー画面も16:9となり、ワイドテレビ対応になった。これらのうち2種類を購入した人を対象として、抽選で2,000名に「特製ケース付きオリジナルICテレホンカード(全3種類のうち1種類)」が当たるキャンペーンが行われた。

マトリックス コレクターズ・ボックス完全英語版
特製ボックスにオリジナル台本や特大ポスターなどのグッズが封入された豪華版。本編DVDは日本語吹替え、日本語字幕なしの完全英語版。
マトリックス 特別版
本編に加え、映像特典を追加した特別版。
マトリックス ROM対応特別版
特別版の内容にROM特典を追加した内容。主にPC向けの特典。日本語吹替えが未収録の代わりにコレクターズ・ボックス完全英語版に収録されていたサウンドトラックを収録。

関連作品

オリジナルビデオ
劇場映画
ゲーム
  • 2003年5月20日には映画をモチーフとしたゲーム『ENTER THE MATRIX』が発売された。『マトリックス リローデッド』の内容と密接に関連している。
  • 米国ワーナー・ブラザース社は、『マトリックス レボリューションズ』後の世界をモチーフにしたネットゲーム『The Matrix Online』のサービスを展開している。
  • 2005年12月には『The Matrix: Path of Neo』が発売された。

脚注

  1. ^ 現・ウォシャウスキー姉妹
  2. ^ a b c The Matrix (1999)”. Box Office Mojo. 2009年12月12日閲覧。
  3. ^ 日本国内 1999年 年間総合興行収入ランキング”. 映画ランキングドットコム. 2018年8月12日閲覧。
  4. ^ 日本映画産業統計 過去配給収入上位作品 (配給収入10億円以上番組) 1999年(1月~12月)”. 社団法人日本映画製作者連盟. 2010年4月6日閲覧。
  5. ^ 同名の企業が実在する。
  6. ^ ハッカー」ではなく原理的な意味でクラッカーと表現するべきという動きもあるが、現実のアメリカのセキュリティ企業やハッカーグループの多くはクラッカーよりもハッカーを圧倒的に多く使っており、コンピューターに侵入する意味でハッキングと呼びそれを行う人間をハッカーと呼称するのはしばしば日本では誤解されているが決して誤用ではない
  7. ^ このコンピュータの反乱については、『アニマトリックス』を参照。
  8. ^ マトリックス トリロジー<4K ULTRA HD&HDデジタル・リマスター ブルーレイ>
  9. ^ The Matrix is arguably the ultimate "cyberpunk" artifact. —William Gibson, 2003-01-28, "THE MATRIX: FAIR COP" , The William Gibson Blog
  10. ^ Taking the Red Pill: Science, Glenn Yeffeth, p.72
  11. ^ Joel Silver, interviewed in "Making The Matrix" featurette on The Matrix DVD.
  12. ^ もっとも、攻殻機動隊はアラビア数字が横方向に流れるが、マトリックスは仮名が縦方向に流れるという相違もある。
  13. ^ Rose, Steve (19 October 2009). "Hollywood is haunted by Ghost in the Shell". The Guardian.
  14. ^ 勝つために戦え!〈監督ゼッキョー篇〉p.312
  15. ^ 勝つために戦え!〈監督ゼッキョー篇〉p.318
  16. ^ a b Matrix Virtual Theatre (interview with the Wachowski Brothers)”. Warner Brothers Studios, Official Website (1999年11月6日). 2012年9月28日閲覧。
  17. ^ アニマトリックス 特典映像 Scrolls to Screen: The History and Culture of Anime
  18. ^ Interview With Ninja Assassin Director James McTeigue /Film(英語)[1]
  19. ^ Cyber Keanu by J.A. Bondy - Keanu Reeves on Matrix - interview, making-of article[2]

外部リンク