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「Macintosh 128K」の版間の差分

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'''Macintosh 128K'''(マッキントッシュ 128K)は、[[1984年]]に[[アップル (企業)|アップルコンピュータ]]から発売された[[パーソナルコンピュータ]]。同社の[[Macintosh|Macintoshシリーズ]]の最初のモデル、「初代Macintosh」である。発売時の名称は「Apple Macintosh」であったが、後に拡張版の[[Macintosh 512K]]が発売された段階で「Macintosh 128K」と[[レトロニム|再命名]]された。
'''Macintosh 128K'''(マッキントッシュ 128K)は、[[1984年]]に[[Apple|Apple Computer]]から発売された[[パーソナルコンピュータ]]。同社の[[Macintosh|Macintoshシリーズ]]の最初のモデル、「初代Macintosh」である。発売時の名称は「Apple Macintosh」であったが、後に拡張版の[[Macintosh 512K]]が発売された段階で「Macintosh 128K」と[[レトロニム|再命名]]された。


$2,495という個人でも手が届く価格でありながら、マウスによる直感的な操作インタフェース、マルチウィンドウ、[[メニュー (コンピュータ)|メニュー方式の操作]]、[[アイコン]]によるファイル操作、それまでになかった 美しい文字[[フォント]](フォントの線の太さの変化や、[[セリフ (文字)|細やかな飾りの部分]]の表現)などを実現し、パーソナルコンピュータの歴史に革命を起こした1台。
$2,495という個人でも手が届く価格でありながら、マウスによる直感的な操作インタフェース、マルチウィンドウ、[[メニュー (コンピュータ)|メニュー方式の操作]]、[[アイコン]]によるファイル操作、それまでになかった 美しい文字[[フォント]](フォントの線の太さの変化や、[[セリフ (文字)|細やかな飾りの部分]]の表現)などを実現し、パーソナルコンピュータの歴史に革命を起こした1台。

2021年5月20日 (木) 10:38時点における版

Apple Macintosh (Macintosh 128K)
製造元 Apple Computer
種別 一体型パソコン
発売日 アメリカ合衆国の旗1984年1月24日[1][2]
日本の旗1984年4月12日[3]
標準価格 アメリカ合衆国の旗2,495US$[4]
日本の旗698,000[3]
販売終了日 1985年10月1日[5]
OS System 1.0, System 1.1, System 2.0[6], 2.1, 3.0, 3.2
CPU MC68000 @ 7.8336 MHz
メモリ 128 KB (内蔵)
サイズ ベージュプラスティック (Pantone 453[7])
電源を入れOSを作動させた画面の雰囲気が分かる例。左側の箱は、増設した外付フロッピー・ドライブ。(GoogleのN.Y.オフィスの博物館の展示物)

Macintosh 128K(マッキントッシュ 128K)は、1984年Apple Computerから発売されたパーソナルコンピュータ。同社のMacintoshシリーズの最初のモデル、「初代Macintosh」である。発売時の名称は「Apple Macintosh」であったが、後に拡張版のMacintosh 512Kが発売された段階で「Macintosh 128K」と再命名された。

$2,495という個人でも手が届く価格でありながら、マウスによる直感的な操作インタフェース、マルチウィンドウ、メニュー方式の操作アイコンによるファイル操作、それまでになかった 美しい文字フォント(フォントの線の太さの変化や、細やかな飾りの部分の表現)などを実現し、パーソナルコンピュータの歴史に革命を起こした1台。

キーボードおよびワンボタン式のマウス[8]が付属。3.5インチフロッピーディスク・ドライブ(容量400KB)搭載。一体型の白黒9インチCRTの解像度は512x342ピクセル。[9] ベージュ色の本体ケースは、上部に手を入れて持ち運べる構造になっている。

付属アプリケーションソフト、同時発売アプリケーションソフト

ペイントソフトMacPaint およびワープロソフトMacWrite が同梱。 なお本機の発売と同時に、当機用で、マイクロソフト社初のGUI式表計算ソフトの「Microsoft Multiplan」 が(別売りで)発売された。

開発時の重点目標、実現した手法、販売成功

Macintosh 128Kは、徹底した低価格化、および描画性能に重点が置かれて設計された。それを実現するために白黒CRTが選択され、拡張性もあえて削られた。発売時の価格を$2,495に抑えることに成功。この価格にもかかわらず、その性能は当時の$10,000以上の中型機に匹敵するものとなった。こうして低価格と高性能を両立したことにより、Macintosh 128Kはまさに「飛ぶように売れ」、その販売台数は1984年5月3日までに72,000台に達した。

主構成

CPUとメモリ

マザーボード。中央やや左、縦長のやや大きめの集積回路がCPUのMC68000。その左側に16個並んでいるのはDRAMのIC「4264」。

CPUはMotorola 68000(7.8336MHz)。(近年は「MC68000」と呼ぶことが一般的)

RAMはDRAMが128KB 。この128KBのRAMをCPUとディスプレイコントローラが共有している。データバスは16ビット。RAMは拡張できない仕様[10]

ROMは64KB。そのROMにはブートプログラムおよびOSの一部のルーチンが書き込まれている。ROMは192 KBに拡張されたが、DMAビデオコントローラと共有されるディスプレイの22 KBフレームバッファに相殺された。

フロッピー・ドライブ

開発時、1983年の夏の時点では Lisaと同じ5.25インチ"Twiggy"フロッピーディスクドライブが採用される予定だったが、このドライブは信頼性が低かったため、ソニー製の3.5インチ、容量400KBの、フロッピーディスクドライブに変更された。


拡張ポートと周辺機器

筺体背面
拡張ポート
  • 筺体前面:キーボードコネクタ。
  • 筺体背面:
    • DE-9マウスポート
    • 外付けフロッピーディスクドライブポート
    • RS-422 (シリアルポート。筺体にはプリンタのアイコンを表示)
    • DE-9(シリアルポート。モデムを接続することを示唆するために筺体には受話器のアイコンを表示)

ハンドシェイクはサポートされなかった。

周辺機器

Apple社純正プリンターとしては、ドットマトリクス式で144dpiの、ImageWriterが販売された。

コマーシャル

発売年にちなみ、リドリー・スコット制作のテレビコマーシャル、『1984』が1984年の1月22日のスーパーボウルXVIIIで放映され、米国では大きな話題を呼んだ[1]


アップグレードサービスの用意

128Kを512K(e)にアップグレードしたもの。

アップル社は「公式」の、ただしかなり高額の、アップグレードサービスを用意していた。Macintosh 128Kには、以下のいずれのキットも、単独でも組合せでも、追加することができた。全てのアップグレード作業はアップル社のプロの技術者が担当した。

Macintosh 512Keへのアップグレード

ロジックボードを128Kタイプから512Kタイプへ交換する、というもの。

他にも、アップル社は「800KBフロッピーディスク用のキット」を用意しており、そこには512Kロジックボードへの更新と、128KROMへのアップグレードも含まれていて、つまりそちらでもMacintosh 512Keへとアップグレードできた。

Macintosh Plusへのアップグレード

ロジックボードを「128K」から「512Ke」へアップグレードして、同様に筐体も入れ替えて、結局Macintosh Plusへとアップグレードすることもできた(ただしこの場合、純正のMacintosh Plusとは出力端子の配置が異なるものとなる)。Macintosh Plusの拡張キーボードも選択できた。

開発者らの署名

開発関係者47人の署名。

1982年初頭に作られたMacintoshの筺体の金型には、筐体の内側、つまりユーザからは見えない面に、開発関係者のビル・アトキンソンアンディ・ハーツフェルドスティーブ・ジョブズジェフ・ラスキンスティーブ・ウォズニアックジョアンナ・ホフマンジェリー・マノックら47名の署名が彫られていた[11]

加熱と対処法

当機は放熱が十分でなく、加熱問題がつきまとった。

スティーブ・ジョブズというのは静穏なコンピュータが好きな人で[12]、このMacintosh 128Kの開発時、ジョブズの判断で、騒音の元になりがちな冷却ファンを取り付けることは見送られた、という経緯がある。たしかにそのおかげで静かな製品とはなったが、そのかわりに加熱問題が伴ってしまったのである。

たとえば夏季などに筺体内部のFDDドライブ等がひどく加熱してしまい、一部では挿入したフロッピーディスクのラベルが茶色く焦げ気味になる事態まで起き、当機は「The beige toaster(ベージュ色のトースター)」というあだ名までつけられてしまった。

Larry Pinaという人物が、当機の問題点を解消するための、DIY方式の安価な改修法の、総計数百ページにもおよぶ以下のマニュアルを公表・出版した。

ギャラリー

脚注

  1. ^ a b Linzmayer, Owen W. (2004年). Apple Confidential 2.0. No Starch Press. pp. 113. ISBN 1-59327-010-0. http://www.owenink.com 
  2. ^ The Macintosh Product Introduction Plan”. 2009年7月18日閲覧。
  3. ^ a b 「キヤノン販売、米アップルの「マッキントッシュ」を69万8000円で12日発売。」『日経産業新聞』1984年4月10日、4面。
  4. ^ 当時の日本円で約59万円。
  5. ^ Macintosh 128K: Technical Specifications
  6. ^ System Software: Configs for Mac 128K, XL, 512, & 512KE (7/94)
  7. ^ History of computer design: Apple Macintosh
  8. ^ トリビア:マッキントッシュシリーズを通してマウスは「ワンボタン」であることが継承されてゆく。
  9. ^ トリビア:これはDTPの72PPIの規格の元になった。
  10. ^ これが当機の弱点、欠点となった。ただしアップル社純正の、だが高価な、アップグレードサービスも用意されていた。(後述)
  11. ^ “シリコンバレー101(550) Macintoshプロジェクトチームの同窓会で実感、ぶれないAppleのスゴさ” (日本語). マイナビニュース. https://news.mynavi.jp/article/svalley-550/ 2018年6月27日閲覧。 
  12. ^ トリビア:
    • 1985年にジョブスがアップルを去った後、1987年に発売されたMacintosh SEでは冷却ファンが取り付けられた。
    • 後にジョブズが復帰しファンを除去してリリースしたPower Mac G4 Cubeで再び熱問題を起こすこととなった。

関連項目

外部リンク