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「第3世代光ディスク」の版間の差分

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2021年5月20日 (木) 11:47時点における版

第3世代光ディスクは、光ディスクのうち、主に2000年代以降に登場し、記録・再生に青紫色半導体レーザーを使用するものである。片面1層の12cmディスクの場合で最大25GB程度の容量がある。映像記録用途では、HDTV画質に適する。

主要な第3世代光ディスクとしてBlu-ray Disc(BD)とHD DVDがあり、本項目では主にこの2者について記述する。その他の第3世代規格については光ディスクの項目を参照のこと。

日本のメーカーを中心にアメリカの映画会社やパソコン会社などが両陣営に分かれて規格争いを繰り広げ、かつてのベータマックスVHSによる家庭用VTRの規格競争を彷彿とさせていたが、東芝のHD DVD事業終息に伴い[1]事実上Blu-ray Discの1規格に収束した。

第3世代光ディスクが実現されていなかった時代には、当時主流であったDVD(第2世代光ディスク)の次世代の光ディスクとなることから「次世代DVD」と一般に呼ばれることがあったが過渡的な呼称である。また「新世代DVD」「高精細ビデオディスク」などと呼ばれることもあり、これらの総称はいずれも正式なものではない。

概要

DVDと共通する基本構造・用途を持ちながら、デジタルハイビジョン映像の長時間収録が可能な大容量を実現している。

登場の背景

  • デジタルハイビジョン放送を収録・保存可能なほど大容量な媒体は、第2世代の当時まではテープメディアハードディスクしか存在しなかったため、光ディスクの大容量化が望まれていた。[2]
  • ハイビジョン映像に対応する大画面・薄型テレビが一般家庭に普及するとの予測に基づき、映画企業などがハイビジョン映像を収録可能なビデオパッケージ規格を求めた。
  • 既存のDVDソフトの市場は飽和状態となり成長が鈍化していることも背景にある。映画企業などはビデオパッケージ市場を活性化させる起爆剤として期待をかけ、DVDの次世代規格の開発に熱心に参加してきた。

呼称

Blu-ray DiscはBlu-ray Disc Association(Blu-ray Disc Foundersより改称)により策定されており、HD DVDはこれまでDVD規格を策定してきたDVDフォーラムによって策定された。そのためDVDの直接の後継となる規格はHD DVDのみであり、Blu-ray Discは独自に開発が行われている。

HD DVD・Blu-ray Discの呼称がまだ消費者に浸透していないため[いつ?]日本のマスメディアではそれぞれの規格を支持している代表的な企業の名称を示し、「東芝陣営」「ソニーパナソニック陣営」と併記されることも多い。[要出典]

2007年6月に発表された「次世代DVD」に関するアンケート調査では、ソニーやパナソニック、シャープなどの広告戦略によって「ブルーレイ」は徐々に認知されつつあるが、HD DVDはハードディスク(HD)や従来のDVDと混同されやすく分かりにくかったのではないかと言われていた。このような誤解を持った回答者が多かったため、一部項目ではHD DVDに関する有効なデータが得られなかったという[3]

採用技術

Blu-ray DiscとHD DVDは本来互換性がないが、共通する技術が数多く使用されている。

ともに直径12cmまたは8cm、厚さ1.2mmの円盤状で素材は主にプラスチックからなる[4]。読み取りには波長405nmの青紫色のレーザーを用いている。なおCDでは波長780nmの赤外線レーザー、DVDでは650nmの赤色レーザーを用いており、より波長の短いレーザーを用いることで高密度の読み取りを可能にしている。

いずれもビデオ規格では、多重化フォーマットとしてMPEG-2トランスポートストリームが採用され、また、映像コーデックとしてH.264/MPEG-4 AVCVC-1が採用され、主に1920×1080ドットの映像が収録される。音声コーデックには従来のDVDと同じドルビーデジタルDTSリニアPCM(ただしDVDよりも高いビットレートやマルチチャンネルのPCMを収録可能)、さらに新世代のコーデックとしてドルビーデジタルプラス、ドルビーTrueHDDTS-HDが採用されている。

著作権保護技術はどちらもAACS(Advanced Access Content System)を採用する。完全にコピーを禁止しているわけではなく、マネージドコピー(著作権者が許可する範囲内でハードディスクなどにコピーできる)に対応している。ただし、現在もAACSは暫定的なライセンスでありマネージドコピーは使用できない。

消費者の反応

  • 規格分裂は消費者にとって利益とならないため、規格争いが決着するまで購入を手控えている消費者が多いことが各種調査で指摘されていた。[要出典]
  • ハイビジョン映像に対応したテレビの普及と共に第3世代光ディスクの需要も増えることが見込まれた。実際に2007年度の年末商戦では、規格争い中にもかかわらずBDレコーダーが販売シェアで2割、金額ベースで4割ほどを占めたとBCNにより発表された。特に第3世代光ディスク全体に対するBDの販売シェアは9割以上を占め、翌年の規格争い終結へとつながった。

HD DVDとBlu-ray Discの比較

物理構造

HD DVDとBlu-ray Discでは物理的には記録層の深さ(保護層の厚さ)の違いがあり、HD DVDではDVDと同じ0.6mm厚であるのに対しBlu-ray Discは0.1mm厚である。この違いが様々な影響をもたらしている。

  • HD DVDではDVDと記録層の深さが同じため、現行のDVDのプレス施設を一部流用することが可能でありコスト面では有利だと言われている。
  • Blu-ray Discは保護層の薄さにより当初は傷に弱く、最初に製品化された記録型ディスクはDVD-RAMのようなカートリッジに収められていた。しかしTDKが開発したDURABIS技術などにより克服し、この点に懸念を示していたワーナー・ブラザースなどの支持を獲得した。2006年以降はBlu-ray Disc・HD DVDともCDやDVDと同様に裸のディスクで取り扱われる。
  • 記録層が浅いBlu-ray Discは記録密度を上げるのが比較的容易なため、片面一層25GBの記録が可能であるのに対しHD DVDにおいては片面一層15GBである。
  • Blu-ray Discはより高密度なため最大転送速度も速く、標準転送速度ではBlu-ray Discが53.95Mbps、HD DVDが36.55Mbpsである。1倍速はともに約36MbpsであるがBD-Videoでは1.5倍速(53.95Mbps)が標準転送速度であり、BD-Video再生には通常2倍速以上のドライブが使われる。
  • 片面2層にHD DVDとDVDを記録した「HD DVDツインフォーマットディスク」がHD DVDの発売当初(2006年3月)の段階から製品化されている。一方Blu-ray DiscとDVDのツインフォーマットディスクは現在開発中。

ビデオ規格の採用技術

現在、HD DVDではプレーヤーにおいて新世代のサラウンド音声フォーマットであるドルビーデジタルプラスとドルビーTrueHD 2chのデコードが必須であるが、Blu-ray Discのプレーヤーではオプション扱いである。もっとも、これらの音声フォーマットに対応したAVアンプは2007年6月に発売されたばかりで需要が非常に限られる上、PCMマルチチャンネル音声を収録した物や両者のプレーヤーの必須・オプションに無関係にロスレスサラウンドを収録する物、実質的にはBlu-ray Discプレーヤーでもデコード可能な音声フォーマットの範囲が拡大していること等、両者の決定的な違いには至らなかった。なおDTS-HDは両フォーマットともオプション扱いである。

DVD-Videoに比べて広範な機能を搭載できるインタラクティブ技術はBlu-ray DiscはJavaを基にしたBlu-ray Disc Java(BD-J)を、HD DVDはマイクロソフトが開発したHDiを採用している。現在、ピクチャーインピクチャーやインターネット接続などの機能はBlu-ray DiscではオプションでHD DVDでは必須となっており、製品化当初から標準規格化されていたHD DVDが先行している。

著作権保護技術に関して、Blu-ray DiscではAACSに加えより万全に海賊版対策ができる技術「BD+」を必須採用している。BD+を搭載した映像ソフトは2007年10月に登場し始めた。

おもな参入企業

下表の太字は一方を独占的に支持していた企業を表す。太字でないものは両陣営に参入していた企業を表すが、どちらかと言えば片方の陣営に近いと考えられる場合はそちらに含めている。いずれも2008年2月19日終結時点のものであり、規格争い終結後の移動・離脱は変更しない。

Blu-ray Disc支持 両規格支持 HD DVD支持
規格策定・促進団体
家電、部品製造等
映画・映像ソフト
IT関連
メディア製造

両方に消極的な企業

  • 日本の大手映像ソフト発売元は参入に消極的な企業が多い(規格策定団体に加入しているが具体的な発売予定がない等)。東映系列・東宝系列・角川系列・シナノ企画などがその例である。Blu-rayに規格が統一された後、これらの企業は相次いでBlu-rayの発売予定を発表したが、その一方で松竹・日活・ショウゲートなどHD DVDを発売していた企業の参入はBlu-rayが未発売だった企業に比べて遅れている傾向が強かった。

規格争い

両規格が分裂したまま製品化された結果、VHSベータマックス規格争いと同様に、BDが圧倒的に普及してHD DVDが淘汰された。また、技術面でのハードルが比較的少ないため、DVD-RAM/-RW/-R対DVD+RW/+Rと同様に、BDとHD DVDの両対応機器も一部存在した。2006年、本格的な製品が発売された当時からBlu-ray Disc有利と言われ続けていた[要出典]

製品化以前

  • 1999年7月 ソニーフィリップスがDVR-Blue規格を発表した。DVR-Blueは405nmの青紫色レーザーを使用し、保護層0.1mm、直径12cmのディスク片面一層で22.5GBの容量を持つ規格である。
  • 2001年10月 DVD-RAMを支持していた松下電器産業(現:パナソニック)や日立製作所東芝日本ビクターによりDVD-RAM規格を発展させた「二層相変化RAMディスク」を開発。DVR-Blueと同様405nmの青紫色レーザーを使用し、直径12cmのディスクを使用しているものの二層記録方式を採用しているため50GBの容量を持つ規格である。
  • 2002年
    • 2月19日 DVR-Blueと二層相変化RAMディスクの技術を統合し、日立製作所LG電子、松下電器産業(現:パナソニック)、パイオニアフィリップスサムスン電子シャープソニートムソンの9社がBlu-ray Disc(BD)の規格を策定したことが発表された。BD規格はDVD規格を定めてきたDVDフォーラムで策定した物ではなく、上記の9社が共同で策定した規格である。この時に承認されたのは片面一層の書き換え型規格である。同年5月には「Blu-ray Disc Foundations」が上記の9社により設立。
    • 8月29日東芝NECは共同で青紫色レーザーを用いた第3世代光ディスク規格として「Advanced Optical Disc(AOD)」(仮称)をDVDフォーラムに提案、11月26日にHD DVDという名称で正式に承認された。この時に承認されたのは再生専用(HD DVD-ROM)ディスク規格である。

製品化以降

  • 2003年
  • 2004年
  • 2005年
    • 4月21日 両陣営が規格統一で交渉に入ったことが報道される。しかし記録層や光ディスクに対する根本的なビジネススタンスの差により、両陣営はその後決裂した。
    • 6月15日 三洋電機が同年4月末を以て、HD DVDプロモーショングループ幹事企業としては初めてBlu-ray Disc Associationに加盟したことが明らかにされる。
    • 10月3日 HD DVD陣営であったパラマウント映画がBDでもリリースを行うと発表、同月20日にはワーナー・ブラザースもBDでもリリースを行うと発表したため、米国の大手映画スタジオでHD DVDのみでリリースを行うのはユニバーサル・ピクチャーズ 1社のみとなった。
  • 2006年
    • 3月31日 HD DVDソフトが発売。
    • 6月20日 BDソフトが発売。
      • HD DVDソフトの発売が先行したことや初期のBDソフトで画質の評価が低いタイトルがあったことなどで、緒戦はHD DVD有利でスタートした。しかし11月に日米でのプレイステーション3の発売以降、BDソフトの売上が飛躍的に増加した。
    • 録画機が重視される日本国内では7月に東芝がHD DVDレコーダーを、11~12月に松下電器産業とソニーがBDレコーダーを発売した。年末商戦ではプレーヤー・レコーダーのシェアでBDが94.7%を占め圧勝した(BCNランキングの発表)。この数字にはプレイステーション3が含まれていないため実際のシェアはBDがより圧倒的であるとみられる。
    • かつての記録型DVDの規格争い(DVD-RAM/-RW/-R対DVD+RW/+R)のようにBD/HD DVD両対応機器への動きも出てきた。LG電子が両対応プレーヤーを発表(2007年2月発売)。またワーナーがディスク両面にBDとHD DVDを記録する「Total Hi Def(THD)」ディスクを発表したものの、まだ研究開発段階でありコストも高いため業界や消費者からは批判的な反応が多かった。
  • 2007年
    • 米国最大手のレンタルビデオチェーンBlockbusterが実質的にBD支持を打ち出す[7]など、ソフトの需要の拡大からBDが有利になっている情勢となった。
    • しかしHD DVD陣営の東芝はプレーヤーの低価格化で巻き返しを図ろうとし、HD DVD陣営はゲーム機を除いた専用プレーヤーの販売台数の多さやアタッチレート(ハード1台あたりのソフトの売上本数)が高い(データを示していないが)ことで優位性があると主張する。
    • 8月20日 ヴァイアコム傘下のパラマウント・ピクチャーズ等はコンテンツをHD DVDに独占供給すると発表、契約開始から18ヶ月間HD DVDのみでの発売となる。ただし、スティーヴン・スピルバーグが監督した作品に関しては対象外となっていて、加えて今回の独占発表時にも引用された映画「トランスフォーマー」の監督マイケル・ベイからも独占決定に厳しい異論が出ていた[8]。また、今回のヴァイアコムの決定にはHD DVD陣営からの1億5000万ドルの見返りがあったためであると複数の米メディア[9]が伝えている。このように市場の動向を反映しない今回の決定に、一部ではこの発表は「パラマウント・ショック」と呼ばれていた。
    • 10月 CEATEC JAPANでのBD陣営の発表によると日本国内のBDのシェアはソフトが約90%、レコーダーが96%、メディアが98%と圧倒した。
    • 日本のレコーダー市場ではソニー・松下・シャープの新機種発売により全体に占めるBDのシェアが20%前後にまで急上昇した。東芝のHD DVDレコーダーの新機種発売がやや遅れたため年末商戦で大きく引き離される結果となった。
    • BD陣営の発表によると、2007年1年間の米国内のBD:HD DVDのソフト売上シェアは64:36となった。秋にはパラマウント・ショックで一時接近したものの年末商戦では再びBDが差を広げている[10]
    • BCNの発表によると、録画機が主流の日本において、2007年10~12月の第3世代光ディスクレコーダーの販売シェアは、ソニーが6割、松下電器産業が3割を占め、3位のシャープと合わせた台数シェアでは、BD陣営が96%と前年に続き圧勝した。前年より第3世代光ディスクレコーダーのシェアが大幅に伸びた上のBD陣営圧勝は東芝にとってかなり苦しいものとなった[11]
  • 2008年
    • 1月5日(日本時間) もともとHD DVD陣営であり現在のHD DVDタイトルのおよそ50%を供給するワーナーホームビデオが、現在HD DVDとBDで並行して供給しているソフトを、2008年6月以降発売のタイトルからBDのみで供給すると発表した[12]。前年のパラマウント・ショックと違い市場に対する影響が大きく、ワーナー・ショックと呼ぶ向きもある。これでBDの勝利が決定的になったと伝えるメディアが多い。又、これに伴いニューライン・シネマは既にBDへの独占供給へと移行した[13]
    • 1月8日(日本時間) パラマウントもワーナーに追随してBDに鞍替えする可能性があると英フィナンシャル・タイムズが報じた。2007年夏のHD DVD独占供給契約にはワーナーがHD DVD陣営を離れればパラマウントも同調することができるという条項が含まれており、それを行使する見込みと報じている。
    • 2月12日 米国小売店大手のBEST BUYが、今後はBlu-rayを推奨フォーマットとして展開することを発表する。また、レンタル店大手のNet-FlixもBlockbusterと同様にBD専売化を発表する[14]
    • 2月15日
      • 世界最大の販売店である米Wal-Martが、BD専売化を発表する。在庫の販売は続けるものも、ワーナーがBD専売化する6月までには、4000店舗とオンラインストアからHD DVD製品は撤去[15]
      • 映画会社や小売業者のHD DVD離れを受け、東芝はHD DVDへの投資を数週間以内に諦める可能性があるとロイター通信により報じられた。1月15日以降、東芝はHD DVDプレイヤーを更に半額にするという戦略に出たにも関わらず、ゲーム機を除く再生機の販売数で大差をつけられたためという[16]
    • 2月16日 東芝本社役員[誰?]により東芝のHD DVD事業全面撤退がほのめかされる。これにより本規格競争はBD側がほぼ完全に主導権を握る事となった。撤退による東芝の損失は数百億円規模になるとみられる[17]
    • 2月19日 東芝の西田厚聡社長はHD DVD事業について3月末をめどに全面撤退すると正式に発表した。ワーナーの離脱により、勝ち目がないと判断したためという[18]。撤退の際、店頭や倉庫の在庫が問題視されたが、流通在庫に関しては東芝で買い戻すという。これにより第3世代光ディスク、「次世代DVD」と呼ばれる主要な規格はBlu-ray Discのみとなり、本格的な移行が始まると考えられた[19]
    • 2月20日(日本時間)ユニバーサル・ピクチャーズがBlu-ray Discに参入を表明[20]「規格がブルーレイに統一されるのは(映画会社など)娯楽産業と消費者にとって喜ばしい」とコメントした。
    • 2月21日(日本時間)パラマウント・ピクチャーズがBlu-ray Discに再参入を表明、「1つの規格に移ることは喜ばしい」とコメントする。[21]これによりハリウッド大手6映画会社全てがBlu-ray Discへと集結した。
    • 3月28日 HD DVD陣営の推進団体であるHD DVDプロモーショングループが解散し、名実共にHD DVDの歴史に幕が下ろされた。[22]

各種産業との関連性

  • 映画の興行収入およびDVDの売上シェアではBlu-ray Disc陣営が7,8割を占めていたのに対し、HD DVD陣営は3割程度であった(いずれの数値も両規格支持の企業を含む)。2008年6月以降はワーナーがBD独占となるためHD DVD陣営は2割程度となる。
  • 日本国内では単体プレーヤーよりもレコーダーの市場が大きいため、第3世代光ディスクのシェアにも大きな影響を与えていた。DVDレコーダーの大手メーカーのうちHD DVD支持は東芝のみであった。この為、HD DVDレコーダーを第3世代光ディスクレコーダーコーナーから外し、従来型DVDレコーダーのコーナーで販売する家電量販店も見られた。
  • 大画面薄型テレビにおいてもBD陣営が圧倒的な割合を占めていた。特に日本ではテレビ・レコーダー間のリンク機能(ビエラリンクAQUOSファミリンクなど)の人気が高くDVDレコーダーの売上にも影響を及ぼしており、第3世代光ディスクレコーダーのシェア争いにも影響を与えていた。
  • 家庭用ゲーム機においては、BDドライブを標準搭載するプレイステーション3に対抗してか、マイクロソフトのXbox 360がHD DVD対応周辺機器を発売した。PS3はBDフォーマットの強力な牽引役となっているが、Xbox 360は標準搭載でないため売上30万台程度と言われ(また一部再生できない不具合があった)、影響力はあまり大きくなかった。2007年6月時点で米国内においてPS3が約140万台(BDプレーヤー全体の約93%)、Xbox 360用HD DVDプレーヤーが約15万台(HD DVDプレーヤー全体の約50%)を売り上げたというデータも存在する[23]
  • パーソナルコンピュータにおいては東芝がHD DVDを、BDドライブは初期搭載機種やBTO等でDELL・NEC・富士通・エプソンダイレクト・ソニー等で採用されている。
    • マイクロソフトはWindows Vistaの発売以前に同OSでHD DVDを優先的にサポートすると表明していたが[24]、その姿勢はトーンダウンしたようである。両フォーマットの物理構造以外の差は少ないこと、再生・書き込みアプリケーションがOSとは別に必要なこともあり、実際にVistaで利用する上でBDが不利になることはない。
    • NECは本来HD DVD陣営だが、書き換え型メディアの規格策定の遅れによりBDドライブを先に搭載していた。その後BD/HD DVDコンボドライブを搭載したが、記録型HD DVDには対応していない。
    • 東芝は一時、近い内東芝製全ノートPCにHD DVDドライブを搭載すると公言していたが、実現の目処すら立たない内に事業が終結する。

備考

  • HD DVD陣営のメモリーテックは複数のソフト会社と資本関係にあり、その影響でBD参入をためらった日本のソフトメーカーが多いと推測される。これに該当するのはポニーキャニオン(当初積極的にHD DVDソフトを発売したが、BDにも参入している)、エイベックス(2007年10月に両規格参入を表明したがHD DVDに力を入れている)。

互換性の確保

DVDとの互換性

HD DVD・BDの再生/記録機器はDVDにも対応しているが、メディア側でも従来のDVD機器への互換性を保とうとする動きがある。HD DVDで製品化されているツインフォーマットディスクがその例である。

DVD版の同梱

バンダイビジュアルは「BD+DVD」または「HD DVD+DVD」の2枚組製品を発売することを決めた[25]

またこれらの製品は現在流通している「BD用ケース」または「HD DVD用ケース」ではなく主に市販のDVDに用いられるトールケースを採用しているため、一般的なBD/HD DVDソフトとはケースのサイズが異なり、判りづらいという指摘や、サイズを一般的な「BD(HD DVD)用ケース」に合わせてほしいという意見も多い[要出典]。その後、バンダイビジュアルは販売形態をBDに一本化し、「BD+DVD」で販売されていた製品をBD単品で再発売する予定である。

Blu-ray Disc・HD DVD両対応機器

数少ない両規格対応ドライブ

2006年、LG電子サムスン電子がBlu-ray DiscとHD DVDの両方を再生可能なプレーヤーを発表し、2007年前半に発売された。またPC用のBD記録再生・HD DVD-ROM再生に対応したドライブが製品化され、2007年後半以降に市場に出回っている。

双方の書き込み規格に対応可能なピックアップレンズやLSIが製品化されているが、HD DVDは書き込み規格の製品化が進まないまま2008年3月で終息し、双方の書き込みに対応するドライブやレコーダーは未発売のままとなった。

Total Hi Def

2007年1月、両規格を支持するワーナー・ブラザースがBlu-ray Disc・HD DVDの双方を両面に記録した再生専用ディスク「Total Hi Def」(略:Total HD、THD)を発表した。しかし以下のような理由で多くの冷ややかな反応・批判を受けていた。

  • 製造コストが極めて高いとされ、実売価格も高く設定されるとすれば消費者に余分な負担を強いることになる。
  • ワーナーはHD DVD・BDの片面ディスクも併売すると発表していた。同じ映画タイトルでHD DVD・BD・THDの3種類の次世代ディスクが発売されれば流通業者に余計な負担がかかることになり、当然消費者にも混乱を与える。
  • THDの製品化以前に発売された再生機器との互換性に疑問が残る。
  • 両面記録メディアのため「レーベルが印刷できない」、「取り扱いに注意を要する」などの難点。

これらの反響を受けてか、ワーナーは2007年6月、同年後半としていたTotal Hi Defの発売を2008年に延期した[26]

さらに2008年1月にワーナーがHD DVD撤退を発表し、Total Hi Defソフトが継続的に発売される可能性はほぼ無くなった。開発が既に打ち切られたとの情報もある[27]

課題点


フラッシュメモリ・ハードディスク・ネット配信との競争

第3世代光ディスクにおいてBDがデファクトスタンダードとなったのち、その容量を上回るUSBフラッシュメモリの登場と価格低下からフラッシュメモリとの競合を指摘したり、ハードディスクドライブの大容量化と光ファイバー網の広がりから、ネット配信との競合を指摘する声も根強いが[29]、 コンテンツ保存用メディアとして比較した場合、2008年3月時点で、USBフラッシュメモリはBDメディアの価格[1]と比較して数倍のコストが掛かる。またハードディスクドライブは容量あたりの単価は安い[2][3]が、その構造上耐久性に問題が多い。ネット配信によるオンデマンド配信も、コンテンツを保存する場合は上記の問題が当て嵌まるほか、ネット配信を快適に楽しむには高速なネット環境が必要となる。特にストリーミング形式の場合、通信速度が低い場合はコンテンツの再生すらできないこともある。

デジタルコンテンツの配信、保存に重要なファクターとなるコピー制御に関しても、ハードディスクやネット配信はともかくとして、フラッシュメモリについては、特に家電向け据付録画機の分野において普及したコピー制御技術が日本では存在しないか主流となっておらず、そのためコピー制御の掛かっているデジタルコンテンツをフラッシュメモリに格納してやり取りすると言うスタイルは、携帯機器向けに品質を大幅に落としたダウンコンバートを施してコピーすると言う場合以外には、特に家電向け据付録画機の分野において一般的ではない。

Blu-rayの拡張、後継規格としてBDXLやUHD BDが開発され、UHD BDではCMP Exportと言う外部媒体コピー技術をサポートする事となった。

Blu-rayスペックでの放送の録画ニーズは殆ど日本国内にほぼ局在しており[30]、よってBDXL対応録画機器の流通は日本国内にほぼ局在している。

映像のネット配信は4Kの場合15 - 30Mbps程度だが、激増するインターネットのトラフィックによるネットワークの混雑が足かせとなる。一方Blu-rayでは約54Mbps、UHD BDでは約92 - 123Mbpsの安定したストリームをサポートできる。

脚注

  1. ^ HD DVD事業の終息について - 東芝 プレスリリース 2008年2月19日
  2. ^ ただしDVDへのAVCRECなど、ハイビジョンを録画可能な規格が出現した。
  3. ^ 次世代DVD製品購入における最重要ポイントは“画質”-みずほ情報総研ら調査。普及状況や価格も考慮 - Impress AV Watch 2007年6月4日
  4. ^ Blu-ray Disc陣営はを素材の一部に採用したディスクを開発している。詳細はBlu-ray Discを参照。
  5. ^ 米ワーナー、ブルーレイ単独支持・DVD規格争い、早期決着も - NIKKEI NET
  6. ^ Intel社、HD DVD/Blu-ray両方式のサポートを表明 - EDN japan 2007年9月19日
  7. ^ 米Blockbuster、1,700店舗でBlu-rayのレンタルを実施-BDのレンタル実績を評価 - Impress AV Watch 2007年6月19日
  8. ^ Bay to Paramount: "No Blu-ray, No Transformers 2!" - High-Def Digest 2007年8月21日(現地時間)
  9. ^ 東芝、HD-DVD支持見返りに170億円・米紙報道 - NIKKEI NET 8月22日
  10. ^ 勝利宣言!? ワーナー独占で注目のBDAプレスカンファレンス - Phile-web 2008年1月8日
  11. ^ 次世代DVDレコーダー、BD陣営シェア96% ソニー・松下が2強 - ITmedia 2008年1月17日
  12. ^ WarnerがBlu-rayに一本化。6月以降BDのみ発売-「消費者は明確にBDを選択した」 - Impress AV Watch 2008年1月5日
  13. ^ New Line Details Transition to Blu-ray - High-Def Digest 2008年1月8日(現地時間)
  14. ^ 米Best Buy、Blu-rayを推奨フォーマットに決定-「消費者の混乱を防ぐ」。レンタル大手Netflixも - WATCH IMPRESS 2008年2月12日
  15. ^ 米Wal-Martも、次世代DVD規格をBlu-rayに決定。HD DVDは在庫を販売継続。6月にはBlu-rayのみに - WATCH IMPRESS 2008年2月15日
  16. ^ 東芝、間もなくHD DVDから撤退か - ITmedia 2008年2月15日
  17. ^ 東芝 HDDVD撤退で調整 - NHKニュース 2008年2月16日
  18. ^ 東芝、HD DVD事業から撤退。3月末で終息に - IMPRESS WATCH 2008年2月19日
  19. ^ HD DVD Xデーを経て現DVDからの次世代DVDへの移行が本格化する - 日系TRENDY 2008年2月18日
  20. ^ ブルーレイ向けDVD販売 HD陣営の米ユニバーサル - 東京新聞 2008年2月20日
  21. ^ パラマウントもブルーレイ 米映画6社、足並みそろう - 山陰中央新報 2008年2月21日
  22. ^ 「HD―DVD」名実とも幕、東芝陣営の団体が解散 - IT PLUS 2008年3月29日
  23. ^ Blu-ray Holds 5 to 1 Hardware Lead Over HD-DVD - IGN.COM
  24. ^ 本田雅一の週刊モバイル通信 第341回 Windows VistaのHD DVDサポート - Impress AV Watch 2006年5月26日
  25. ^ バンダイビジュアル、BD/HD DVD 11作品を7月より発売 - Impress AV Watch 2007年3月22日
  26. ^ 米Warner、「Total HD」ソフトの発売を2008年に延期 - ファイル・ウェブ 2007年6月29日
  27. ^ TotalHD gets the axe - EngadgetHD 2007年11月15日
  28. ^ 世界で初めてブルーレイディスクを記録メディアに採用した「BDカム(ブルーレイカム)Wooo(ウー)」2機種を発売 - 日立 ニュースリリース 2007年8月2日
  29. ^ パッケージメディアの終わりの始まり ASCII.JP 2008年02月19日
  30. ^ http://news.mynavi.jp/articles/2015/08/21/4k8k/

関連項目