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日本サウナ・スパ協会では目的や体調に合わせて無理のないサウナ浴を提唱している。<ref>{{Cite web|title=公益社団法人日本サウナ・スパ協会のホームページ|url=https://www.sauna.or.jp/kisochishiki/saunabook_4.html|website=www.sauna.or.jp|accessdate=2021-05-03}}</ref> |
日本サウナ・スパ協会では目的や体調に合わせて無理のないサウナ浴を提唱している。<ref>{{Cite web|title=公益社団法人日本サウナ・スパ協会のホームページ|url=https://www.sauna.or.jp/kisochishiki/saunabook_4.html|website=www.sauna.or.jp|accessdate=2021-05-03}}</ref> |
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=== スポーツ・運動前後の入り方<ref>{{Cite web|title=サウナは運動前と運動後どっち?効果的な入り方と正しいマナー|url=https://spoit.jp/posts/sauna_diet_rules|website=初心者女子のためのスポーツメディア♡ {{!}} spoitスポイト|accessdate=2021-05-21}}</ref> === |
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結論から言うと、[https://spoit.jp/posts/sauna_diet_rules 運動前より運動後の方がおすすめ]です。運動前に長時間サウナに入ってしまった場合、体温が上昇し体に負担がかかるので運動中に倒れてしまうかもしれません。ただ、サウナで体を温める事によって循環血液量や心拍数が上がり、ウォーミングアップと同じ効果が得られるという研究もあり、短い時間のサウナ浴なら、運動前でもおすすめできます。そして運動後の方がおすすめの理由は、トレーニングの種類によっては疲労回復が早くなる効果が見込まれることと、運動前のサウナに比べてゆっくりとサウナを楽しむことができるからです。体を温めることにより血行が良くなり、[https://spoit.jp/posts/sauna_diet_rules 全身に満遍なく栄養を行き渡らせることで疲労回復効果が期待]できます。ただし、運動のしすぎや疲労が酷い場合は、体力を消耗してしまい逆効果になる可能性があるので控えましょう。 |
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=== ととのう === |
=== ととのう === |
2021年5月21日 (金) 17:48時点における版
サウナ(芬: sauna)は、蒸し風呂という蒸気浴・熱気浴のひとつで、フィンランドが発祥とされている。サウナ風呂(サウナぶろ)ともいう。サウナストーンと呼ばれる石をたくさん乗せたストーブを熱し、その熱と、石に水をかけてつくる蒸気とで室内の温度・湿度を調整する。室内の温度は低温のもは50度から高温は120度以上となる。入浴後は雪や水中に入る、もしくは外気で休憩を挟むなどクールダウンし再びサウナに入る温冷交代浴が一般的な入浴方法である。フィンランド、バルト三国、ロシアを中心に伝統的に使われていたが、近年では世界各国で利用されている。[1]日本へは1964年東京オリンピック後に普及。日本で開発された、心不全に対する治療法である和温療法は、低い温度(60度)のサウナによる[2]。
サウナの入浴法
室温を高温に設定したサウナ室に全裸又は水着、もしくはタオル着用で入室し身体を温めて、汗をかく。入室前や入室後に水風呂に入ったり、シャワーを浴びたりして身体を冷やすとともに、汗や汚れを落とす。これを温冷交代浴という。本場のフィンランドでは屋外に出て冷気に身を晒したり、自然の湖に入ったりすることもある。サウナ室内の設定温度は50度程度から120度程度まである。
熱せられたサウナストーンに水をかけ蒸気を出し湿度を上げる行為をロウリュウという。伝統的なフィンランドサウナではアロマオイル等は使われず、入浴者自身でロウリュウを行う(セルフロウリュウ)。白樺の葉付きの枝(ヴィヒタ)で自身や仲間の身体を叩いて血行を促進する習慣もある。
ドイツではスタッフ(アウフギーザー)がサウナストーンにアロマオイル等の入った水をかけ、タオルを使い入浴者に熱風を送るパフォーマンスをアウフグースと呼び入浴者へのサービスとして実施されている。[3]
日本ではホテルやスーパー銭湯など大型施設を中心に、ロウリュウ及びアウフグースを取り入れているところがある。日本独自の内容としてアウフギーザーを熱波師と呼んだり、タオルの代わりに特大のうちわを使う[4]、ロウリュウの水をお茶にする[5][6]などが一部ではあるが実施されている。またサウナに限らず、岩盤浴でもアウフグースを行っているところもある。[7]
リトアニアとロシアを中心にウィスキングと呼ばれる、ヴィヒタを使ったサウナトリートメントのサービスを行っている。[8]
サウナにおける混浴
フィンランドのパブリックサウナでは浴場は男女別となっており、水着は着用せず全裸での入浴となっている。男女混浴のサウナでは水着着用となっている。プライベートサウナや貸し切りのサウナでは混浴することもあるが、あくまで家族や仲の良い友人達とである。ドイツのサウナではパブリックサウナでも全裸で男女混浴となっている。[9]
日本では入浴施設内にサウナが設置されていることが多く全裸での男女混浴であることはないが、水着着用を前提としたサウナの混浴施設は都市部を中心に増えている。[10]
サウナの種類
中世以前のサウナ
ダグアウトサウナ
石器時代の一番原始的なサウナ、テントサウナに近い形状をしている。掘った穴の中に木で骨組みを組み立てて動物の皮などでカバーするといったものである。熱した石積みストーブというものがあって蒸気を作るた めに水を投入し温度や湿度を調整するなど、ロウリュウの原型となるものも存在していた。石器時代はフィン人が各地を転々と狩猟しながら移動している時代であり、組みやすくばらしやすいこのタイプのサウナが使われていた。[11]
マーサウナ(アースサウナ)
農業や牧畜が始まり、定住生活が始まったころの地中サウナのこと、現在のサウナの原型とされている。小高い丘の地中に穴を掘り、その中に小さい小屋を建てる。石で作った炉とベンチ、屋根の上には土をのせ草をはやしたトゥルペ(TURPE)と呼ばれる形式であった。[12][13]
スモークサウナ
フィンランド語でサブサウナ(SAVUSAUNA)と呼ばれている、煙を使ったサウナのこと。煙突のない小屋で薪を焚き煙と熱を充満させ、室内が暖まったら煙を排出し入浴する。約1000年近くにわたって主要なサウナとして使われてきたが、第二次大戦後に人気がなくなり衰退する。1980年代に再び復活したが、推定ではスモークサウナの数は30,000程度であり、これは現在のフィンランドサウナ総数の1%に過ぎない。[12][11][13]
日本では長野県のフィンランドビレッジにスモークサウナが設置されている。[14]
近現代のサウナ
1900年代になると様々なサウナストーブが誕生し、煙突を使った薪ストーブも使われ始める。また電気ストーブやガスを使ったストーブも使われ始め現在の形となる。[12]
サウナは乾式(ドライサウナ)と湿式(ウェットサウナ)の2種類に大きく分けることが出来る。乾式サウナの特徴は温度が高く、湿度が低くなっている。日本ではこのドライサウナが多くある。湿式サウナドライサウナと比較して温度が低く湿度が高いものを指す。[15]
遠赤外線サウナ(コンフォートサウナ)
遠赤外線ヒーターを使ったドライサウナの1種で日本で最も多いタイプ。遠赤外線で入浴者を直接温める。温度は70~100度程度のものが多い乾式サウナ、蒸気皿等で湿度調整しているものはコンフォートサウナとも呼ばれる。[16][17]
フィンランド式サウナ
フィンランドでの一般的なサウナの形態である。サウナストーブの上にサウナストーンを並べ、空気とサウナストーンを熱する。ロウリュウで蒸気を発生させ熱い空気と蒸気で入浴者を温める。温度は80~90度程度、セルフロウリュウが出来る場合は湿度を自分で調整できる。[16][17]
ロッキーサウナ
フィンランド式サウナの一種でサウナストーンがストーブの上に山積みされている。大量のサウナストーンを金属の網でケージングし、立体的なサウナストーブを製造しているメーカーもある。[18]
ケロサウナ
フィンランド式サウナの一種で、サウナ室の木材にケロが使用されている。ケロとは樹齢200年以上のパイン(欧州赤松)が立ち枯れた木材のことである。非常に希少でフィンランド内でもとても高価な天然木となっている。[19]
ボナサウナ
壁や腰掛けるベンチの下にサウナストーブが格納されているサウナのこと。ベンチの下格納されているため、サウナ室内のスペースを広く使うことが出来る。自動給水装置で湿度を調整しているタイプもある。
薪サウナ
薪ストーブを使用したサウナのこと。日本のパブリックサウナでは薪ストーブを使ったサウナはほとんど見られない。逆にテントサウナでは薪ストーブが多く使われている。
ミストサウナ・スチームサウナ
温度は50~60度程度、水蒸気や霧で室内を満たし湿度は80~100%となる。マイルドに体が温まるため熱さが苦手な人に向いている。
薬草を使った薬草サウナもこの分類に当てはまる。
塩サウナ
塩を皮膚に塗りながらサウナに入る、50度程度の低温のものが多い。
アイスサウナ
1、クールダウンを目的としたー20度近くの小部屋を指す。サウナや岩盤浴などに設置されている。
2、フィンランドなどで冬季限定で設置される、氷の壁で作られたサウナのこと。クールダウン目的ではなく、中にストーブを設置し通常のサウナ同様暖まるためのものである。[20]
家庭用サウナ
家庭で使用するサウナ。電話ボックスのような一人用や少人数用が主流を占め、遠赤外線やミストサウナなどもあり、多くのメーカーが発売している[21]。
簡易式フードサウナ
簡易フードに入り、顔だけ出してサウナ浴を行う。家庭用サウナと同じく遠赤外線方式とスチーム方式がある。個人で購入するサウナとしては一番手軽である。
テントサウナ
個人で持ち運びできるよう、名前の通りテントスタイルのサウナである。個人でアウトドア利用はもちろん、サウナフェスやイベントなどでも利用されている。断熱性の高いテントの中をストーブで温める。注意点は換気が必須なので必ずサウナ用のテントを使うほうが良いのと、一酸化炭素中毒の対策として一酸化炭素チェッカーが必要である。[22]
サウナトレーラー
トレーラー(被牽引車)をサウナに改造したもの、テントサウナ同様個人やイベント等で利用されている。
日本国内において、プール等に設置されている採暖室(40~60度)はサウナに該当しない。[23]ただしレジャー施設などでは浴場としてサウナを設置しているところもある。
歴史
蒸し風呂の文化自体は古来、日本を含む世界各地にあった。瀬戸内の石風呂、京都の竈風呂、古代ローマ帝国のテピダリウム(微湿浴室)とラコニクム(発汗室)、オスマン帝国などイスラム教圏のハマム、ロシアのバーニャ、メキシコのテマスカル、朝鮮半島の汗蒸(ハンジュン、한증)などである[24]。
歴史の詳しい内容についてはフィンランドの歴史を参照
サウナの起源はフィンランド国内でも諸説あり、決定的な起源は分かっていない。フィンランド民族の起源が数千年前の中央アジアにあり、その頃からサウナ浴は行われていた。ダグアウトサウナと呼ばれるもので、簡単なテントサウナのような形であった。遊牧の生活を営んでいたフィンランド民族は、徐々に西に移動を開始し、ロシアの南を北上し、リトアニア、ラトビア、エストニアを経て最終的に現在の地域に達している。マーサウナ(アースサウナ)を経てスモークサウナが登場する。[25]
10世紀頃になると隣国のスウェーデンやロシアの干渉が始まり、13世紀にはスウェーデン領となる。スウェーデンはフィンランドにキリスト教をもたらしフィンランド文化に大きな影響を与えたが、誕生から1000年以上現在に至るまでスモークサウナは利用されている。1900年代になると煙突を利用したストーブが登場し第二次世界大戦後はスモークサウナの人気はなくなり衰退する。1950年代末から69年代にかけて電気ストーブが一般家庭でも使われるようになり、その手軽さからサウナ離れをしていた人達を呼び戻すことになる。また都市部の高層住宅や海外でのサウナ設置も容易となった。[12]
サウナ外交
第二次世界大戦後のフィンランドは敗戦国となり、議会制民主主義と資本主義を保ちながらも共産主義圏の支配下に置かれることとなった。(フィンランド化、ノルディックバランスを参照)親ソ路線の外交政策の中で、サウナを通じ個人的な信頼を得るサウナ外交も行われる。フィンランドのウルホ・ケッコネン大統領は世界的リーダーや官公吏を自身のプライベートサウナに幾度も招待した。ソ連のニキータ・フルシチョフとはお互いに行き来しサウナを楽しんだ仲だった。[26]
また、ソ連側もサウナ外交を行っている。ロシアのリス・エリツィン大統領はサウナ愛好家で、サウナ外交を盛んに行っていた。1997年にで行われたクラスノヤルスク会談ではエリツィン大統領が橋本龍太郎首相を自らが所有するダーチャに招き、中止にはなったがサウナ会談が行われる予定であった。[27]
日本を含むフィンランド大使館にはサウナが設置されており、必要に応じて招待されている。
近年ではグローバル化と効率アップを求める声や女性の政財界への進出でサウナ外交は衰退しつつある。裸を受け付けない文化的背景を持つ人物との交渉も増えてきている、これまでの草の根政治を主流とした流れから専門知識を持った政治家が増え効率化が重視されている。フィンランドのサウナは男女別での裸での入浴が基本であり、女性政治家がサウナ外交を行いにくいなどが理由とされている。タルヤ・ハロネン大統領は、2005年のウラジーミル・プーチン大統領が訪問した際、国賓をサウナに招くという習慣を初めて破っている。報道官は「ハロネン大統領はサウナは好きですが、外国の要人とは一緒に入らないというだけのことなのです」と語った。ちなみにプーチン大統領はこの時、ハロネン大統領の夫と一緒にサウナに入っている。[28]
フィンランドのサウナが世界的に注目されたのは、1936年ベルリンオリンピックがきっかけである。選手村にフィンランド選手団がサウナを持ち込み注目を集めた。[29]
フィンランドの多くの家庭にサウナがあり、総数は約550万人の人口に対して約300万とする推計もある。フィンランドで2番目に大きい都市タンペレは「サウナキャピタル(サウナの首都)」とも称されている[30][31]。
2020年12月にはユネスコの無形文化遺産に、エストニア ヴォル県のスモークサウナの伝統、フィンランドのサウナ文化が登録されている。
日本のサウナ文化
日本への普及
日本では許斐氏利が1951年に開業した銀座の東京温泉で初めてサウナが取り入れられた。許斐が1956年メルボルンオリンピックに選手として出場した際にフィンランドの選手が持ち込んだスチームサウナにヒントを得て、1961年にサウナを開設している。[32]ただし当時フィンランド式のサウナ建築の知識や技術がなく、サウナ室の壁や床に蒸気配管を張りめぐらせて、そこに蒸気を通して部屋を暖めたというオリジナルのものだった。
全国的に普及し始めたのは1964年東京オリンピック後、前述のベルリンオリンピック同様にフィンランド選手団が選手村にサウナを持ち込み注目を集めた。[33]1966年に中山産業(現株式会社メトス)が渋谷のスカンジナビアクラブにてフィンランド式のサウナが設置された。フィンランドから設計図を仕入れ作られたが、カランやお風呂など日本風の設備も併せて設置された。ロウリュウも当時から出来るようになっていたが、誤った使い方での火傷が多発し、施設側にもフィンランド式サウナの知識がなかったため1971年頃には無くなった。サウナの設置は増加し続け、1971年には都内だけで440件のサウナがあり、銭湯のサウナ設置も1969年には埼玉県内に銭湯が380軒あり、そのうちの50軒にはサウナが設置されていた。[34]
銭湯のサウナ設置急増は高度経済成長に入り家庭用風呂が普及したため、不振にあえぐ銭湯が家庭にはないサウナを取り入れていったためである。また大型ホテル・旅館の共同浴場、健康ランドやスーパー銭湯、カプセルホテル、スポーツクラブやゴルフ場など風呂を持つ施設のオプションとしてもサウナは広まっていく。もともとある入浴文化のついでに少しサウナも楽しむことが好まれ、短時間で発汗出来る高温低湿度の乾式サウナが主流となった。[35]
現在では岩盤浴やプールの併設、マッサージ、熱した薬草や香油の薫りを浴びさせるアロマテラピー、理髪店、漫画・雑誌やテレビ付きのリクライニングシートの設置、カラオケ、食堂やフードコート・BARなどの飲食スペース、アウフグースやウィスキング、コアワーキングスペースや美容サービスなどと組み合わせた施設もある[36]。
日本サウナ総研による2021年の日本のサウナ実態調査では月1回以上月4回未満利用の「ミドルサウナー」は523万人、月4回以上サウナを利用する「ヘビーサウナー」は339万人としている。[37]
東京五輪が開催された1960年代、そしてスーパー銭湯が全国各地に登場した1990年代に続く第3次サウナブームだというのである。全国にあるサウナ(公衆サウナ)の総数は約5000軒と言われている。[38][39][40]
性風俗としてのサウナは特殊浴場を参照。
日本のサウナ大使は2名、長嶋茂雄とマンガ家のタナカカツキである[41]。
サウナの入り方
日本ではととのうことを目的として「サウナ→水風呂→外気浴」の温冷交代浴+休憩を数回繰り返す方法がスタンダードな入り方として紹介されている。[42]
日本サウナ・スパ協会では目的や体調に合わせて無理のないサウナ浴を提唱している。[43]
スポーツ・運動前後の入り方[44]
結論から言うと、運動前より運動後の方がおすすめです。運動前に長時間サウナに入ってしまった場合、体温が上昇し体に負担がかかるので運動中に倒れてしまうかもしれません。ただ、サウナで体を温める事によって循環血液量や心拍数が上がり、ウォーミングアップと同じ効果が得られるという研究もあり、短い時間のサウナ浴なら、運動前でもおすすめできます。そして運動後の方がおすすめの理由は、トレーニングの種類によっては疲労回復が早くなる効果が見込まれることと、運動前のサウナに比べてゆっくりとサウナを楽しむことができるからです。体を温めることにより血行が良くなり、全身に満遍なく栄養を行き渡らせることで疲労回復効果が期待できます。ただし、運動のしすぎや疲労が酷い場合は、体力を消耗してしまい逆効果になる可能性があるので控えましょう。
ととのう
ととのうとはプロサウナーの濡れ頭巾ちゃんが提唱した、サウナ入浴後の多幸感を言語化したサウナ用語である。[45]ととのうが出てくるまでは恍惚、サウナトランス、ニルヴァーナ(涅槃)などと呼ばれていたが、タナカカツキ氏がSNSでととのうという言葉を見つけ、自身の作品である『サ道』でピックアップした。[46]
日本サウナ学会の加藤容崇は、医学的にととのいとは「血中には興奮状態の時に出るアドレナリンが残っているのに、自律神経はリラックス状態の副交感神経優位になっている稀有な状態」としている。「サウナ→水風呂→外気浴」を繰り返すことで普段では得られない副交感神経優位となり、アドレナリンやノルアドレナリン、エンドルフィンも短い時間であるが共存している。外気浴中は体はリラックスしているが頭は冴えて多幸感に包まれている状態となると著書で説明している。[15]
フィンランドや英語ではサウナ後の多幸感を表す言葉は無く、日本生まれのサウナ用語として紹介されている。
「まるで天然の麻薬のような、サウナがもたらす多幸感やリフレッシュした気分を意味する」と、フィンランドの公共放送ニュースで紹介されたのは、日本で生まれたサウナ用語、“ととのう(TOTONOU)”だ。[47]
サウナの日(3月7日)
公益社団法人サウナ・スパ協会が1984年に語呂合わせでサウナの日として、3月7日を日本記念日協会に登録した。
ととのえの日(11月11日)
サウナー専門ブランド「TTNE PRO SAUNNER」を運営するTTNE株式会社がサウナでの「ととのえ」体験を通して健やかに過ごしてもらうことが目的で、「1」がきれいに4つ並び1年でいちばんととのった日と思われる11月11日を日本記念日協会に登録した。[48]
効能
サウナ浴の効能には温水浴と同等の効能があり、全身の血行促進と気分転換の作用がある。
2018年の調査で13のランダム化比較試験 (RCT) が見つかり、9研究は心不全に対する和温療法で比較された標準治療よりも指標を改善し、2研究は慢性疼痛に対するRCTでは頭痛の減少および職場復帰の増加が見出され、2研究は風邪の人で大きな効果はなく[49]検証数が少ないランダム化比較試験の信頼性は低い。フィンランドでサウナを頻繁に利用する2315人の20年以上の前向き追跡調査では、認知症66%・アルツハイマー病65%のリスク低下、心臓関連の突然死の63%の減少、全死因の40%のリスク減少が見られている[49]。十数人の予備研究では、リウマチや強直性脊椎炎の痛みや倦怠感の減少、2研究は慢性疲労症候群に対するRCTで倦怠感や不安な気分などを改善し、覚醒剤のデトックス(または解毒)では症状の減少を示し、脂溶性の毒(PCB、残留性有機汚染物質のひとつ)ではサウナの効果はなかった[49]。高温による精子数の減少とサウナ停止半年後に正常化したこと、また40研究中6研究では軽度の副作用の報告があり、ほかの1研究では熱に耐えられないとして温度低下の変更があり、また閉所恐怖症のため中止した例が1件あった[49]。
シドニー大学が1984年に発表した研究では、85度湿度10%のドライサウナ室に20分入った場合、精子数が約2/3も減少し、5週間後に正常に戻った。また精子の形態異常も一部確認されたが6週間後に正常に戻った。1998年にタイにおいて報告された研究結果では、80~90度のサウナに30分2週間毎日入った場合、精子の移動速度の低下がサウナ直後に確認された。だが1週間後には正常に戻っている。以上の研究結果により妊活中の男性にサウナは向かないので注意が必要である。
排出
排出されてしまうミネラル成分は人体の生命活動に必要不可欠なものであり、逆に過度な発汗により慢性疲労や熱中症の原因になりやすいため発汗の際には充分な水分補給とミネラル補給が必要である。
過度の利用では命の危険性がある。
サウナは汗中の鉛の排泄量を増加させたという研究があるが検証数は少ない[50]。
サウナによる発汗でデトックス効果があると言われていたが、近年の研究ではポリ塩化ビフェニル(PCB)など体脂肪に蓄積する残留性有機汚染物質は汗からはほとんど出ない。食生活からとりこんだうちの0.02%だと述べている。1日に2リットルの汗をかいたとしても、それらの汚染物質は0.1ナノグラム(0.00000001)以下であり、1日にどれだけ汗を出しても1%にも満たない。[51](なおPCB重金属などダイオキシンは脂溶性で主な排泄経路は、糞と皮脂である[52])。
和温療法
鄭忠和(てい ちゅうわ)は、1989年、鹿児島の病院で心臓病末期の患者の願いをかなえるため、心電図などを見ながら注意して毎日温泉の湯に入れることになったが、次第に心不全の症状が軽快していくことを目の当たりにした[2]。データもとっていたが、湯の水圧は注意が必要なほど心臓の内圧を高めるため、通常より低い温度(60度)のサウナを利用して心不全に対する治療法となった[2]。研究報告を続けるがなかなか認知されず、2007年にはなごみとぬくもりを意味する「和温療法」と命名、日本の2010年版『慢性心不全治療ガイドライン』には補助療法として記載されるに至った[2]。血管内皮機能を改善し、酸化ストレスを低下させ、心不全の予後改善、不整脈改善効果があり、また閉塞性動脈硬化症や動脈硬化危険因子のある生活習慣病の人の治療にも期待されている[53]。
無形文化遺産
ユネスコの無形文化遺産に、エストニア ヴォル県のスモーク・サウナの伝統、フィンランドのサウナ文化が登録されている。
ユネスコは「フィンランドのサウナ文化は、大半の人々の生活に欠かせないもの」であると表明。サウナ文化は「単に体を洗うことにとどまらない。サウナで人々は体と心を清め、内面の安らぎの感覚を抱く」と説明した。[54]
その他
フィンランド・ヘルシンキをはじめ、サウナが普及している国や地域では動画共有サイトYouTubeに利用方法をまとめた動画[55]や体験記を投稿している人が多い。
サウナを題材とした作品
- テレビ
- ラジオ
参考文献
- 加藤容崇『医者が教えるサウナの教科書――ビジネスエリートはなぜ脳と体をサウナでととのえるのか?』ダイヤモンド社、2020年3月、ISBN 447811031X
- こばやしあやな『公衆サウナの国フィンランド: 街と人をあたためる、古くて新しいサードプレイス』学芸出版社、2018年12月、ISBN 4761526947
- 石野 裕子『物語 フィンランドの歴史 - 北欧先進国「バルト海の乙女」の800年』、2017年10月、ISBN 4121024567
- 沼尻良『サウナをつくろう:設計と入浴法の全て』建築資料研究社、1992年5月、ISBN 4-87460-351-3
出典
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- ^ Six Steps To Do Sauna - Eurobest Helsinki 2019年4月21日閲覧。
関連項目
- ミストサウナ
- 東京温泉 - 日本初のサウナ施設。1951年(昭和26年)、東京都中央区銀座6丁目にオープン。
- 世界サウナ選手権
- チムジルバン
- テマスカル
- スウェット・ロッジ
- タナカカツキ - 公益社団法人 日本サウナ・スパ協会 サウナ大使