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「ロシア語訳聖書」の版間の差分

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'''ロシア語訳聖書'''(ロシアごやくせいしょ、{{Lang-ru|Русские переводы Библии}})は、[[聖書#キリスト教|キリスト教聖書]]の[[ロシア語]]への翻訳である。それは9世紀に、[[東ローマ帝国]]の[[コンスタンチノープル]]から[[モラヴィア王国]]へ来た[[キュリロス (スラヴの(亜)使徒)|キュリロス]]と[[メトディオス (スラヴの(亜)使徒)|メトディオス]]の兄弟が[[グラゴル文字]]を考案して、今日[[古代教会スラヴ語]]と呼ばれる[[スラブ語]]の一[[言語]]へ翻訳したことに端を発している。10世紀後半[[ウクライナ]]の[[キエフ大公国]]でキリスト教は[[国教]]となり、その後[[ロシア帝国]]へ伝えられてゆく。
'''ロシア語訳聖書'''(ロシアごやくせいしょ、{{Lang-ru|Русские переводы Библии}})は、[[聖書#キリスト教|キリスト教聖書]]の[[ロシア語]]への翻訳である。それは9世紀に、[[東ローマ帝国]]の[[コンスタンチノープル]]から[[モラヴィア王国]]へ来た[[キュリロス (スラヴの(亜)使徒)|キュリロス]]と[[メトディオス (スラヴの(亜)使徒)|メトディオス]]の兄弟が[[グラゴル文字]]を考案して、今日[[古代教会スラヴ語]]と呼ばれる[[スラブ語]]の一[[言語]]へ翻訳したことに端を発している。10世紀後半[[ウクライナ]]の[[キエフ大公国]]でキリスト教は[[国教]]となり、その後[[ロシア帝国]]へ伝えられてゆく。


[[ロシア帝国]]中興の祖[[ピョートル1世|ピョートル大帝]]は聖書のロシア語翻訳を部下に命じているが、その後の消息はない。
[[ロシア帝国]]中興の祖[[ピョートル1世 (ロシア皇帝)|ピョートル大帝]]は聖書のロシア語翻訳を部下に命じているが、その後の消息はない。


== 初期のスラブ語訳聖書 ==
== 初期のスラブ語訳聖書 ==

2021年6月13日 (日) 05:11時点における版

フランツイスク・スカリナの聖書(ミンスクベラルーシ国立図書館、1517年)

ロシア語訳聖書(ロシアごやくせいしょ、ロシア語: Русские переводы Библии)は、キリスト教聖書ロシア語への翻訳である。それは9世紀に、東ローマ帝国コンスタンチノープルからモラヴィア王国へ来たキュリロスメトディオスの兄弟がグラゴル文字を考案して、今日古代教会スラヴ語と呼ばれるスラブ語の一言語へ翻訳したことに端を発している。10世紀後半ウクライナキエフ大公国でキリスト教は国教となり、その後ロシア帝国へ伝えられてゆく。

ロシア帝国中興の祖ピョートル大帝は聖書のロシア語翻訳を部下に命じているが、その後の消息はない。

初期のスラブ語訳聖書

フランツイスク・スカリナ(Франциск Скорина, 1490年頃 - 1552年)が1499年には完成していた教会スラブ語の『ゲンナディ聖書』などとチェコ語の聖書に基づいて、ロシア語訳聖書を作ろうとした先駆者である。アウグスト・ヘルマン・フランケ(August Hermann Francke, 1663年 - 1727年)が印刷して安価なロシア語訳聖書を作ろうとしたが、その後成功したのは1751年に広く配布された『エリザヴェータ聖書』(Елизаветинская Библия)であった。

正教会版聖書

1876年に、ロシア正教会の『シノド聖書』(ロシア語: Синодальный перевод英語: Synodal Translation)が出版された。これはサンクトペテルブルクに設立されたロシア聖書協会で行われ、1818年に「四福音書」、1822年に新約聖書全体が出版されて、1822年に旧約聖書の翻訳が始まり、1825年には「モーゼ五書」などが出版されて、途中中断した時期もあったが、1858年に翻訳が再開されて、ついには完成に漕ぎつけたものである。

旧約聖書はヘブライ語を元として翻訳されたが、各書の掲載順序は『七十人訳聖書』・『教会スラヴ語訳聖書』に習っていて、西方教会の聖書の掲載順序とは多少違っている。また、外典東方教会の聖書の伝統でもあり、外典を含まない聖書は英国外国聖書協会で発行されている。

現代

1990年代以降活動を再開したロシア聖書協会プロテスタント教会の協力で、新しいロシア語訳聖書を出版してきた。1995年に『現代語訳新約聖書』(動的等価訳)を出版して[1]、2011年には『旧約聖書』の現代語翻訳も完成して[2]、ロシア語『現代語訳聖書』全書を出版した。これは聖書協会の19世紀初版の『シノド聖書』以来の初めての全訳聖書翻訳である[3][4]

2000年には、ビブリカ(Biblica)が『命の言葉聖書』(Slovo Zhizny)を動的翻訳で翻訳して、これは英語版『新国際版聖書』に相当する。

2015年には、モスクワのザオスキー神学院の聖書翻訳学院(英文略称:BTI)が聖アンデレ神学院(Библейско-богословский институт святого апостола Андрея)と共同で、原語(ヘブライ語とギリシャ語)からのロシア語への翻訳を行ない、これは共同訳であった。エホバの証人は『新世界訳聖書』ロシア語版を出版している[5]

翻訳文の比較

翻訳書名 創世記 1:1-5
シノド聖書[6] 1 В начале сотворил Бог небо и землю. 2 Земля же была безвидна и пуста, и тьма над бездною, и Дух Божий носился над водою. 3 И сказал Бог: да будет свет. И стал свет. 4 И увидел Бог свет, что он хорош, и отделил Бог свет от тьмы. 5 И назвал Бог свет днем, а тьму ночью. И был вечер, и было утро: день один.
『命の言葉聖書』[7] 1 В начале сотворил Бог небо и землю. 2 Земля была безлика и пуста, тьма была над бездной, и Дух Божий парил над водами. 3 Бог сказал: «Да будет свет», и появился свет. 4 Бог увидел, что свет хорош, и отделил его от тьмы. 5 Бог назвал свет днем, а тьму – ночью. Был вечер, и было утро – день первый.
翻訳書名 ヨハネ福音書 3:16
『シノド聖書』[8] Ибо так возлюбил Бог мир, что отдал Сына Своего Единородного, дабы всякий верующий в Него, не погиб, но имел жизнь вечную.
『命の言葉聖書』[9] Ведь Бог так полюбил этот мир, что отдал Своего единственного Сына, чтобы каждый верующий в Него не погиб, но имел вечную жизнь.

脚注

関連項目

外部リンク