「プルシリーズ」の版間の差分
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'''プルシリーズ'''は、アニメ『[[機動戦士ガンダムΖΖ]]』、[[小説]]及び[[OVA]]『[[機動戦士ガンダムUC]]』に登場する架空の人物たちの総称。[[ネオ・ジオン]]軍の[[ニュータイプ]] (NT) [[操縦士|パイロット]]である。 |
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2021年9月6日 (月) 03:35時点における版
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プルシリーズは、アニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』、小説及びOVA『機動戦士ガンダムUC』に登場する架空の人物たちの総称。ネオ・ジオン軍のニュータイプ (NT) パイロットである。
本項ではエルピー・プル、プルツー、マリーダ・クルスといった各個体についても詳述する。
概要
ネオ・ジオン軍のクローン技術によりNTパイロットとして生み出された、少女兵たちである。第1号であるエルピー・プルをはじめとして多数の個体が存在し、いずれも『機動戦士ガンダムΖΖ』の時点で10歳程度の少女の姿をしている。プルのクローンにはプルツーをはじめ、オリジナルのプルと合わせて最低12体の存在が確認されている。外見的には一般的な少女と大差ないが、遺伝子工学やバイオテクノロジーなどにより常人よりも強化された肉体を有している。それに加え、「刷り込み」[1]と呼ばれる意識操作により指示を下す人間を慕うように仕向けられているほか、モビルスーツ (MS) やモビルアーマー (MA) といった機動兵器による戦闘を行うのに適した調整が施されている。
誕生の経緯
一年戦争末期にジオン公国が実用化したサイコミュ搭載のNT対応兵器は、単独の機動兵器としては破格の戦果をもたらした。サイコミュが潜在的に持つ戦術・戦略的な価値は計り知れないものだったが、それを操縦できるNTは絶対数が非常に少なく、パイロットの確保が困難だった。このため、戦後に地球連邦軍はNT能力の低い人間でもNT対応兵器を操縦できるインコムや、人工的にNT能力をパイロットに付与する強化人間などの技術を開発した。これに対し、ネオ・ジオンではNT対応兵器の運用体系の確立に非常に独創的なアプローチをもって臨んでいる。それが、クローン技術によるNTパイロットの複製である。彼らはNT能力が遺伝的な形質に依存する側面があると考え、士官グレミー・トトの指揮の下、NTの素養を持つ人間の遺伝子を組み込み、発生段階から遺伝子レベルでの肉体強化を施したデザイナーベビー、プルシリーズを生み出した。かつてのザビ家主導によるジオン公国は、血統に対してある種のドグマを抱いており、そのことがこのような技術の進展を促したと考えられる[2]。
また、ギレン・ザビの子を自称するグレミーと同じく、ギレンの遺伝子とNTの素養を持った女性の遺伝子を人工授精させて生まれた存在という説がある。プルとプルツーは同じ女性の遺伝子からできた双子で、同じ経緯で誕生したグレミーとは異母兄妹に当たる。他のプルシリーズも、見た目や声が異なる(プルやプルツー以外のプルシリーズの声優は2人を演じた本多知恵子ではなく、松岡ミユキが担当している)ことなどから、異母姉妹と推測されている[3]。
能力
- 身体能力
- プルシリーズは、高G下においても血流を一定に保つ強化筋肉や、合計12か所の心臓補助器官、情報処理速度を高めた神経系を備え[要出典]、高機動戦闘用に設計された身体を有していた。『ΖΖ』本編では、連邦軍ムラサメ研究所の強化人間フォウ・ムラサメがカミーユ・ビダンを片手で持ち上げたような明白な筋力強化を示す描写はないものの[4]、後に映像化された『UC』に登場するマリーダ・クルス(プルトゥエルブ)にその高い身体能力が色濃く描写されている。
- 植えつけられた敵意
- その潜在意識には、エゥーゴの象徴であるΖΖガンダム、あるいは幾度もジオンを敗北に追いやった歴代の「ガンダム」という概念そのものへの敵意が植え付けられ、戦闘時に憎悪を増幅するように調整が施されており、この点もマリーダの描写で明らかにされている。
- NTパイロットとしての能力
- プルシリーズは実戦投入の時点ではまだ成体でなかったが、NTパイロットとして非常に優秀な能力を発揮し、ハマーン・カーン専用とされていた高性能のNT対応MSキュベレイを使いこなせた。存在が確認されている12体中、2番目の個体であるプルツーは最高レベルの能力を有していたとされ、サイコガンダムMk-IIやクィン・マンサといった大型機動兵器を手足の如く扱い、グレミー擁するNT部隊の主力を務めている。
- 一方で、中にはパイロット適性が目標値に満たない個体もいたとされ、主な例として第一次ネオ・ジオン抗争時のアクシズ攻防戦において、兵器システム「ラーフ・システム」の運用目的にグレミー側からインドラ隊に貸し出されている[5]。
問題点
強化人間であるプルシリーズは指示を下す「マスター」の存在がなければ精神の平衡を保てず、その者との間に共依存関係を形成しやすい傾向にあったとされており、精神面での不安要素を多く抱えていた。プルは当初、自らのマスターとしてグレミーを慕っていたが、ΖΖガンダムのパイロットであるジュドー・アーシタとの接触によって意識調整が解かれ、彼の感性に惹かれてエゥーゴへ寝返る。さらにプルツーも最終的には、ジュドーの許へ出奔している。その後、グレミーの死亡により拠り所を失ったプル・シリーズは、乗機の量産型キュベレイでキャラ・スーン操るゲーマルクと交戦し、12番目の個体であるプルトゥエルブ(後のマリーダ・クルス)を除いて戦死している。
エルピー・プル
エルピー・プル | |
---|---|
声 |
本多知恵子 本多陽子(『ガンダムジオラマフロント』以降[6]) |
性別 | 女 |
生年月日 |
U.C.0077年3月8日 命日:U.C.0088年10月31日 |
年齢 | 10歳[7] |
出身地 | アクシズ |
職業 | モビルスーツパイロット |
機体 | 「搭乗機」を参照 |
身長 | 150cm |
体重 | 37kg |
血液型 | O型 |
好物 | チョコレートパフェ |
趣味 | 入浴 |
特技 | モビルスーツの操縦 |
キャラクターデザイン | 北爪宏幸 |
アニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場。声は本多知恵子、本多陽子(『ガンダムジオラマフロント』以降)。
アクシズ内においてグレミー・トトらの監視の下、パイロットとして養成されていた少女。出生に関しては謎が多く、意図的に記録が抹消され残されていないとする資料もある。彼女の時点で既に誰かのクローンであったという説など諸説ある。本人の弁によれば、「生まれも育ちもアクシズ」とのこと(第18話)。養成の段階で強化措置を施されており、10歳(厳密には11歳)という幼さも手伝って情緒不安定な面を時折のぞかせる。性格は天真爛漫にして気まぐれ、我儘。時に気性の激しい一面を見せる。また、その出生や境遇もあってか、独占欲も強い。しかし好意の対象となる人物に対しては献身的。無類の綺麗好きで風呂好きでもある。初登場時にプルが発した「プルプルプルプルー!」という独特の口癖は彼女を象徴する台詞として、映画・OVA『機動戦士SDガンダム』シリーズやゲーム作品などで頻繁に使われている。
劇中での活躍
アクシズに潜入したジュドー・アーシタに対面前から胸をときめかせており(第18話)、彼に付きまとう。時にはジュドーの関心を惹くためだけにキュベレイMk-IIを操り、彼の搭乗するΖΖガンダムに躍りかかるなど、熱烈な思慕の情を見せる。地球降下作戦の際にはグレミー・トトによって意識調整を施され、ジュドーの前に立ちはだかるが、戦闘中に暗示が解けて彼の操るΖガンダムに救助され、降下に成功する(第23話)。その後はアーガマに収容され、捕虜として扱われることになるが、積極的にジュドーと行動を共にする。ダカール襲撃に向けてジュドーらガンダム・チームとアーガマが別行動をとった際はジュドーたちに随行し、メンバーの危機を救う場面も見られる。ダカール襲撃戦時にジュドーが彼の妹リィナと再会した際には嫉妬の感情を爆発させ、彼女と揉み合いになった際には一瞬だが殺意さえ抱く(第28話)。
ダブリンで巡洋艦サンドラと交戦した際には、同艦に搭載されていたサイコガンダムMk-IIのサイコミュ波動を感知して未整備のガンダムMk-IIで単身出撃し、量産型バウを駆るアリアス隊の襲撃により窮地に陥るが、ファ・ユイリィと共にダブリンで療養中にあったカミーユ・ビダンの「声」によるサポートを受け、危機を脱する。しかし、ガンダムMk-IIは中破したうえにプル自身も重傷を負う[8](第34話)。その後、プルツーの操るサイコガンダムMk-IIがアーガマを急襲した際、解体中のキュベレイMk-IIで再出撃を強行したプルは、自分の分身とも言うべきプルツーの出現に戸惑いつつ必死の抵抗を試みるが、最後はジュドーをかばって死亡する(第36話)。
その後は思念体となってジュドーを見守り続けており、アクシズ崩壊時にジュドーがプルツーと対峙した際には彼と共にプルツーに語りかけ、彼女をグレミーの呪縛から解き放っている(第46話)。
搭乗機
- AMX-004-2 キュベレイMk-II - プル専用機。機体色は濃い紫。
- MSZ-010 ΖΖガンダム - 一時的に搭乗。
- RX-178 ガンダムMk-II - 一時的に搭乗。
- FXA-08R メガライダー - 一時的に搭乗。
- MSZ-006 Ζガンダム - 漫画版のみ。
命名の由来
「エルピー・プル」の名の由来には諸説あり、「エルドラド・ピープル」あるいは「エルフ・ピープル」「エレ・ピープル」から来たとするものや、当時話題となったロリコン雑誌「レモンピープル」をもじった (L (emon) peo ple) とするもの、命名に悩んでいる際に目に入ったLP盤レコードプレーヤーの筐体からとった(LP PULL〈ボタン表記〉)説などが存在する。ジ・アニメのインタビューにおいて『機動戦士ガンダムΖΖ』の監督である富野由悠季から同作品のアフレコに際し、プルを演じる本多は「オジサンが見て、かわいいという感じでやってくれと言われました。それもじきじきに。」とのアドバイスしてもらったと答えている[9]。
備考
- プルは私服の状態でMSに乗ることが多いが、2回だけノーマルスーツを着た状態で出撃したことがある(第23話・第34話)。
- 1987年には徳間書店のアニメージュ文庫より、プルの印象的なシーンを集めた小冊子『機動戦士ガンダムΖΖ エルピー計画』が発売された (ISBN 978-4196695622) 。
- 漫画『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』では、プルやプルツーと思われる少女たちが登場。地球を恋しがり、ハマーン・カーンに問いかける様子が描かれている。また、水原賢治の漫画『機動戦士ガンダム0084 Psi-trailing』では、宇宙世紀0084年にグレミー直属のNT研修生として登場。アクシズを離れるシャア・アズナブルを引き止めたいミネバ・ザビのためにMSで出撃し、追いかけようとした。ただし、この作品自体は公式設定というわけではない。
- アニメイトカセットコレクション『機動戦士ガンダムΖΖ』では、プルを題材にした「鏡のむこうのプル」「ガンダム・ステーション」が収録されている。「鏡のむこうのプル」はテレビ版第36話「重力下のプルツー」を再構築した内容となっており、プルの死亡から場面を切り替えて彼女を主人公に据え、走馬灯のようにジュドーと遊園地で遊ぶ様子が描かれている。最後は鏡のむこう、つまりもう1人のプルであるプルツーを「殺さないで」と、プルツーを追い詰めたジュドーにテレパシーを飛ばし、絶命する。
- プラモデル『元祖SDガンダム』シリーズでは、説明書にデフォルメされたプルが描かれており、組み立ての説明役を担当していた(旧シリーズのみ。新シリーズからは商品ごとに異なった人物が解説している)。
- 漫画版では敵味方ともに「プル」とは呼ばず、作中一貫して「エルピー」と呼ばれていた。なお、アニメ版でも一度だけジュドーが「エルピー」と呼んでいる(第25話)。
プルツー
プルツー (Ple Two、Ple-Two) | |
---|---|
声 |
本多知恵子 本多陽子(『ガンダムジオラマフロント』以降) |
性別 | 女 |
生年月日 |
不明 命日:U.C.0089年1月17日(小説版) |
年齢 | 10歳? |
出身地 | アクシズ |
職業 | モビルスーツパイロット |
機体 |
MRX-010 サイコガンダムMk-II AMA-004-3 キュベレイMk-II NZ-000 クイン・マンサ |
身長 | 150cm |
体重 | 37kg |
血液型 | O型 |
特技 | モビルスーツの操縦 |
キャラクターデザイン | 北爪宏幸 |
プルツーは、アニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場する架空の人物。声は本多知恵子、本多陽子(『ガンダムジオラマフロント』以降)。
ネオ・ジオンにおいて養成されたクローンの一員で、グレミー率いるNT部隊の中核をなす存在。エルピー・プルの同器質体であり、他のプル・クローン体共々サンドラのコールドスリープルームにて眠りについていた。サイコミュへの親和性はプルよりも高く、サイコガンダムMk-IIやキュベレイMk-II、クィン・マンサといった数々のNT専用機に搭乗、その性能を奮う。設定画では、プルよりも髪が若干長く目つきが鋭く描かれ、アニメーターがそのように作画するよう指示がされている。また、プルに比べて攻撃的で好戦的な性格となっている。しかし年相応の精神年齢だったプルと比べると、冷静沈着で非常に大人びた立ち居振る舞いをしており、軍人としての行動規範を逸脱する所は少なかった。プラモデル「マスターグレード キュベレイMk-II」に付属するパーソナルマーキングにも外見的特徴が表れており、もみあげの造形がプルのものと若干異なる。また、バストサイズはプルよりも上。
劇中での活躍(プルツー)
ダブリンへのコロニー落としが行われた際にグレミーによってコールドスリープを解かれ、アーガマ討伐のためにサイコガンダムMk-IIに搭乗して出撃する。ジュドー・アーシタのΖΖガンダム、アーガマに収容されていたプルのキュベレイMk-IIと対峙した際には、自分と同じ存在であるプルに対して不快感を露にする。やがてプルを殺害するものの、それがジュドーの怒りを呼び、乗機を破壊される。プルツーは脱出するが、その後も精神に動揺を抱えたまま、グレミーに命じられるままに戦闘へ身を投じていく。
その後も幾度となくジュドーの前に立ちはだかり、 キュベレイMk-IIからクィン・マンサへ搭乗機を変え、ラビアンローズを破壊するなど、強大な脅威として立ちはだかる。ジュドーには戦闘を放棄するよう説得を受け続けるも拒み続けたが、最終的にグレミーと共にジュドーと対峙した際、プルの思念体に諭されて己の真意に気づく。ジュドーに心を開いて彼の元に駆け寄るも、乗機のクィン・マンサが爆発する際に重傷を負う。
その後はネェル・アーガマに収容され、瀕死状態の中、崩壊していくコア3周辺宙域内に取り残された兄のように慕うジュドーを脱出させる手引きをした後、力を使い果たして倒れる。
- 本編外での結末
- テレビ版本編や漫画版では明確な死亡描写はないが、小説版では絶命して葬儀が行われたことが描写されている。また、『機動戦士ガンダムヒロインズ』では「死亡」とされている[10]。
搭乗機(プルツー)
- MRX-010 サイコガンダムMk-II
- AMX-004-3 キュベレイMk-II - プルツー専用機。カラーリングは赤。ヘッドセット型サイコミュ・コントローラーを通じて、外部からの無人機体制御が可能な改良型。
- NZ-000 クィン・マンサ
備考(プルツー)
- ジオン軍にいたときのシャア・アズナブルを連想させる服装で登場したこともある(第43話参照)。ただし、マスクをつけていないなどの違いがある。
- CGアニメ『GUNDAM EVOLVE../10』では、第一次ネオ・ジオン抗争後、木星圏へ向かうジュピトリスIIにプルツーと同タイプのパイロットスーツを着用した人物が亡命する様子が描かれているが、詳細は不明。
マリーダ・クルス
マリーダ・クルス (Marida Cruz) | |
---|---|
声 | 甲斐田裕子 |
性別 | 女 |
年齢 | 18歳 |
出身地 | アクシズ |
職業 | モビルスーツパイロット |
機体 |
(主な搭乗機のみ記載) NZ-666 クシャトリヤ RX-0 バンシィ |
好物 | アイスクリーム |
キャラクターデザイン | 安彦良和 |
マリーダ・クルスは、小説及びOVA『機動戦士ガンダムUC』に登場する架空の人物。声優は甲斐田裕子。
「袖付き」のガランシェールに搭載されているMSクシャトリヤの女性パイロット。階級は中尉。長い栗色の髪と蒼い目を持ち、強靭な肉体と鋭い洞察力を持つ強化人間である。ガランシェール船長のスベロア・ジンネマンを「マスター」と呼んで忠実に従うが、養父でもある彼とは主従を越えた固い信頼関係で結ばれている。マリーダの名前は、ジンネマンの愛娘マリィに由来する。
『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場したエルピー・プルの12体目のクローンであり、当初はプルトゥエルブというコードネームで呼ばれていた。第一次ネオ・ジオン抗争ではグレミー・トトの敗死後、自分と同じく量産型キュベレイを駆る姉妹たちが戦死していく戦場から単独で逃亡し、脱出ポッドを用いて地上に降りる。その後、ポッドからマリーダを回収した男たちの手で娼館へ売られた。後にジンネマンに養女として保護されるが、その時点ですでにマリーダの身体は客の倒錯行為により著しく消耗しており、女性としての機能も破壊されていた。マリーダが「魂を置いてきた」とされる量産型キュベレイは彼女自身にとって最大のトラウマとなっており、マーサ・ビスト・カーバインによるマスター書き換えの際に利用される。
『機動戦士ガンダムUC』では、強靭な筋力[11]、高い心肺能力、高い格闘能力など、強化人間ゆえの身体能力の高さが詳細に描写されている。また、プルシリーズは通常の強化人間と異なり胚の状態から手を加えられているため、再調整はできないという判断がされている。
劇中での活躍(マリーダ・クルス)
インダストリアル7における「ラプラスの箱」受領の任についたガランシェール隊の一員として、クシャトリヤで作戦に参加。作戦行動を察知したロンド・ベル隊所属のネェル・アーガマ隊と交戦し、多大な戦果を上げる。しかし、戦闘中にNT-Dが発動したユニコーンガンダムに圧倒される。その後はデブリ内でシナンジュとユニコーンの戦闘に乱入し、ユニコーンの捕縛に成功する。
パラオ攻略戦でユニコーンを駆るバナージ・リンクスと再び対峙し、NT-Dを発動したユニコーンに自機のファンネルのコントロールを奪われて撃墜寸前にまで追い込まれるが、そこで2人は精神感応を起こして意識を共有する。バナージは攻撃を停止し、クシャトリヤと共にネェル・アーガマへ収容される。
重力下で評価試験を受けていたユニコーンガンダム2号機「バンシィ」の専属強化人間パイロットとなる検体として、ビスト財団により地球へ移送されることになるが、その途中でガエル・チャンの襲撃を受けたアルベルト・ビストを庇い、彼に思いを寄せられる。地球降下後はオーガスタ研究所で、元々敵として刷り込まれていたガンダムを「光を奪った男たちの世界への憎しみ」の対象とする再調整を受けて「プルトゥエルブ」とされ、アルベルトをマスターとしてバンシィを駆り、ダカールの戦闘で消耗していたユニコーンの捕獲に成功する。その後はラー・カイラムと共にトリントン基地へ移動するが、トリントン襲撃の隙をついて脱走したユニコーンとガルダ上で再び交戦すると、ジンネマンの再三の説得やバナージとの交戦で精神に変調を来たして暴走し、サイコフレームの共鳴現象から発生するサイコフィールドで、ガルダを破壊する。ガルダ格納庫での死闘では炎で照らされたバンシィの影からガンダムを自分で操っていることに気づき、自分=敵と認識して混乱しながら意識を消失し、コクピットから排出される。
バナージとジンネマンにより救出された後、ネェル・アーガマに収容されて意識が回復しないままハサンの治療を受ける。まもなく、ガランシェール隊によるネェル・アーガマ強奪と、フル・フロンタルの脅迫で危機に陥ったミネバの求めに反応して覚醒し、正気を取り戻す。その直後、ミネバと共にクシャトリヤを起動させて艦の窮地を救い、連邦への復讐心とネェル・アーガマクルーへの信頼との板挟みで思考停止に陥っていたジンネマンを救う。
メガラニカへ向かう最終決戦では、クシャトリヤでユニコーンのバックアップを担当。万全な身体でないにもかかわらずネオ・ジオン艦隊を一蹴し、損傷した機体でフロンタルをも退ける無類の強さを見せるが、ミネバにフラれヤケクソになったリディ・マーセナスのバンシィからネェル・アーガマへ放たれたビームを身を挺して防ぎ、死亡する。散り際のマリーダの遺志は、バナージ、ミネバ、ジンネマンだけでなくリディやアルベルト、トライスターにすら影響を与え、再起を促した。
アニメ版ではガルダ内での戦闘で、自身が敵であるはずのガンダムを操縦しているという矛盾に気づくきっかけが異なり、リディに「ガンダム」と呼ばれたことがきっかけとなっている。また、乗機のクシャトリヤはユニコーンガンダムとの戦闘で大破させられていたため、ネェル・アーガマ内で二度の改修を経て武装や外見が大きく変更されている。
搭乗機(マリーダ・クルス)
- AMX-004G 量産型キュベレイ
- NZ-666 クシャトリヤ
- RX-0 ユニコーンガンダム2号機 バンシィ
- NZ-666 クシャトリヤ・ベッセルング ※『UC』アニメ版。
- NZ-666 クシャトリヤ・リペアード ※『UC』アニメ版。
その他のプルシリーズ
『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場したグレミー傘下のNT部隊は量産型キュベレイに搭乗して戦うが、ゲーマルクとの交戦で全員が撃墜されている。『機動戦士ガンダムUC』に登場したマリーダ・クルスは、この戦いで被弾しつつも脱出に成功した生存者である。
『機動戦士ガンダムUC』の原作小説第4巻では、マリーダによる回想として上記の場面の詳細が短く描写されている。小説での回想は「プルスリー」の名で呼ばれている個体が撃墜され、“4番目”が動揺する姉妹たちを落ち着かせようとする場面から始まる。全員が同じ顔をしているものの、それぞれには一人称の違いといった個体差があったとされ、“6番目”の一人称は「あたし」であったと言及されている。姉妹たちは密集したところにメガ粒子砲の攻撃を受け、壊滅する[要ページ番号]。
ゲームでの登場
- スーパーロボット大戦シリーズ
- プル・プルツーともども原作とは異なり命を落とさず主人公側の仲間に加わる展開が多く、原作にはない特殊台詞や2人の合体技などもある。
- 『スーパーロボット大戦MX』では『ΖΖ』終了後の世界を舞台としているが、プルツーはプルと共に生存しており、ジュドーらガンダム・チームと共に登場する。一方、同じく本編終了後を舞台とする『スーパーロボット大戦D』では原作同様死亡しており、ジュドーがファンネルを使用した際の演出でのみ登場する。
- 『スーパーロボット大戦64』では「プルクローン」名義で量産型キュベレイのパイロットとして登場。基本的な能力値は他組織の強化人間技能を持った一般兵と変わらないが、その強化人間技能が他の一般兵と違い最大のLv9まで上昇する。また、『第2次スーパーロボット大戦α』でハマーン率いるネオ・ジオン軍の強化兵は全てプルクローンであり、強制されているわけではなく自らの意志で従っているのだとハマーンは語っている。このほか、『スーパーロボット大戦A』の量産型キュベレイのパイロットも名義はジオン強化兵だが、ジュドーたちの反応からプルのクローンであることが示唆されている。
- 『第3次スーパーロボット大戦Z』ではマリーダはクローンによるニュータイプ試作品の12番目の個体・「プロト・プル・トゥエルブ」という設定になっている。なお、後編の『天獄篇』の終盤で原作通りに死亡してしまうが、条件を満たすと生存させることができる。また、マリーダが死亡した場合でもクシャトリヤは最後まで主人公側に残る[12]。
- 『スーパーロボット大戦V』ではプル・プルツー・マリーダの三人が同時に登場する。
- SDガンダム GGENERATIONシリーズ
- 初代『SDガンダム GGENERATION』から「ネオ・ジオンニュータイプ兵」名義でプルクローンが登場する。
- 『SDガンダム GGENERATION WARS』の『∀ガンダム』のミスルトゥを舞台にしたステージ3では、ロラン・セアックがスエッソン・ステロを撃破した後、∀ガンダムを敵と認識したプルが8体のプルクローンの駆る量産型キュベレイを引き連れ、ロランたちと交戦する。
- 2016年11月22日発売の『GENESIS』でプルとプルツー役の声優が本多陽子に変更されている。ただし、一部のセリフに生前の本多知恵子が録音したものが使用される。原作アニメではプル・プルツーとは声が違うプルクローンたちに関しても、本作では本多がキャスティングされ、同じ声となっている。
- ギレンの野望シリーズ
- プルとプルツーに加え、ゲームオリジナルキャラクターとしてプルクローン1〜5が登場。クローン5人の能力値はそれぞれ差別化が図られているが、強化人間であるためか、全員ともに「魅力」の数値は0のまま、一切上昇しないことが特徴。
- ガンダム無双
- プルでは『機動武闘伝Gガンダム』のドモン・カッシュや『新機動戦記ガンダムW』のミリアルド・ピースクラフトとのタッグ、プルツーでは『機動戦士Ζガンダム』のエマ・シーンや『∀ガンダム』のロランとのタッグを組むというクロスオーバー的シナリオがある。また、マリーダは『ガンダム無双3』でDLCとして登場する。
- 機動戦士ガンダム vs.シリーズ
- 『機動戦士ガンダム ガンダムVS.ガンダムNEXT PLUS』ではプル・プルツー・マリーダが登場する。
- 『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス』では、プルツー、マリーダがプレイヤーキャラとして、プルがプレイヤーナビとして登場する。
- 2017年7月6日発売の『ガンダムバーサス』でプルツー役の声優が本多陽子に変更されている。
- ガンダムジオラマフロント
- プル、プルツー、マリーダが登場。プルとプルツー役の声優は、本多知恵子から本多陽子に変更されている。
脚注
- ^ 『機動戦士ガンダムΖΖ』小説版より。
- ^ 『データコレクション 機動戦士ガンダムΖΖ』より。
- ^ 『ビークラブ』No.15、『アニメディア』別冊「機動戦士ガンダムΖΖ PART2」。
- ^ プルに関しては、エル・ビアンノに取り押さえられる場面が多いばかりか、同程度の体格のリィナ・アーシタ(腹部を銃撃で負傷中)とも、互角程度の闘いしかできていなかった。
- ^ 漫画『機動戦士ガンダムΖΖ外伝 ジオンの幻陽』、書籍『データガンダム キャラクター列伝[宇宙世紀編II]』131頁。
- ^ 『プルFile』(カンゼン刊、2016年10月27日発売、ISBN 978-4-862-55369-0) 199p。
- ^ 物語開始時。ジュドーと初めて会ったU.C.0088年4月29日時点では11歳。
- ^ この時の戦いでプルは、劣勢に陥った自分に思念の「声」を送り続けたカミーユのことを、「やさしい人」と評している。
- ^ 『ジ・アニメ』1986年8月号。
- ^ 宝島社 p117。
- ^ アニメ版では、バナージに高い所から落とされ、自分に落下した仲間(実際に体重が重そうな巨漢)を片手で受け止め(2話)、子供を片手で持ち上げるシーン(6話)が存在する。
- ^ なお、前編の『時獄編』でも条件を満たすとマリーダだけが離脱し、クシャトリヤはそのまま自軍として入手。
備考
- 新約SDガンダム外伝 救世騎士伝承【二人の皇子編】」では、「人魚姫プル三姉妹」としてマリーダ、プル、プルツーが人魚姫の姿で登場している。
- A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ-くろうさぎのみた夢-では、同作に登場するアリシア・ザビやアリス親衛隊の容姿は、プルシリーズに酷似したものとなっている。
- 機動戦士ガンダム U.C.0094 アクロス・ザ・スカイでは、同作に登場するルガー・ルウが続編『機動戦士ガンダム U.C.0096 ラスト・サン』において、プルシリーズとは異なるタイプのクローン・ニュータイプであることが明かされている。