「アムロ・レイ」の版間の差分
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2021年9月6日 (月) 04:42時点における版
アムロ・レイ | |
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ガンダムシリーズのキャラクター | |
登場(最初) | 機動戦士ガンダム |
作者 | 富野由悠季、安彦良和 |
声優 |
古谷徹 代永翼(ガンダムさん)[1] |
プロフィール | |
年齢 | 15(初出時) |
性別 | 男性 |
身長 | 168cm[2] |
国籍 | 地球連邦(詳細は設定解説を参照) |
肩書き |
民間人(初出時) 地球連邦軍士官 |
アムロ・レイ (Amuro Ray[注 1]) は、ガンダムシリーズに登場する架空の人物。初出のアニメ『機動戦士ガンダム』および劇場アニメ『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』における主人公である。
デザイン
デザインは、『機動戦士ガンダム』のキャラクターデザイン全般を担当した安彦良和により、7年後を描いた続編の『機動戦士Ζガンダム』も同様である。さらに6年後を描いた『逆襲のシャア』では、同作のキャラクターデザイン全般を担当した北爪宏幸による。
後年の安彦のインタビューによれば、「赤毛の縮れ毛にして、ニンジンのようなキャラクターにしよう」とアイデアを描いたとのこと[4]。
設定の経緯
『機動戦士ガンダム』の企画案である『フリーダム・ファイター』は、宇宙版『十五少年漂流記』として企画が進められた[注 2]。企画を立案した日本サンライズ企画室デスク(当時)の飯塚正夫によれば、主人公を設定するに当たり同作のリーダー格であるブリアンやライバルのドニファン(ドノバン)がモデルでは面白みに欠けるため、ドニファンの弟で一時内向的になるジャックを参考にし、それがアムロの原型となった。当時はコンピューターがようやく一般的になり始めた頃であり、そういったハイテクの申し子ならいろいろできるだろうと、ちょっと内向的な少年を主人公に据えたという[5][注 3]。
名前は、1978年11月作成の「テレビ・アニメーション企画書 宇宙戦闘団ガンボーイ(仮称)」や[6]安彦によって描かれた初期稿では[7]「本郷東(あずま)」であった。アムロ・レイという名前は総監督の富野喜幸が語呂合わせで1か月かけて考案したものであり[8][9]、11月以降に富野によって書かれた企画メモでの名前は「テムロ・アムロ」であった[10]。その後の富野による「機動戦士ガンダム設定書・原案」では「アムロ・嶺(レイ)」と表記されており[11]、テレビ放送中に『アニメージュ』に掲載されたインタビューでも富野は「本当は漢字の嶺です」と答えている[8][9][注 4]。
声優
古谷は『機動戦士ガンダム』の音響監督だった松浦典良の薦めでオーディションを受けた[要出典]。内向的な少年を演じることについては、キャラクターへの共感だけでなく、アニメ『巨人の星』以来、熱血キャラの演技を求められ続ける状況を打破するためにもチャンスと考えたこと、そしてお手本がいないために役作りに苦労したことなど、当時のエピソードを多くのインタビューで語っている[要出典]。アムロとしての最初のセリフが「ハロ 今日も元気だね」だが、それで自分が演じるアムロが決まるのではないかと思ってすごく考えたとインタビューで答えている[13]。
続編の『Ζガンダム』や『逆襲のシャア』でも、古谷は成長したアムロを演じている。『逆襲のシャア』上映に合わせて放送されたテレビ特番では、古谷は同作のアムロを「大人として成長したアムロ」ということで「アダルトアムロ」と呼び、これを演じることを当初は難しいと感じたが、劇中のアムロと自分の実年齢が近くなったので、今の自分を重ねる感じで演じるとうまくいったという。ただし、戦闘のシーンでは少年の頃のアムロの声に戻ってしまったとも語っている。
設定解説
宇宙世紀0064年(一説によれば0063年11月4日)父テム・レイと母カマリア・レイの一人息子として生まれる。日系人であり[14]、生誕から幼少まで過ごした地域は日本の山陰地方[15](テレビアニメ版設定)、あるいはカナダ・ブリティッシュコロンビア州の太平洋沿岸地域の町プリンスルパート(劇場版設定、ここからアングロサクソン系とする資料もある[16])、メキシコ北部のロサリトまたは鳥取県[17](『THE ORIGIN』設定)などがある。好物はハンバーガー。趣味は機械いじり[8]。茶色の縮毛が特徴で、続編でも受け継がれている。
幼い頃に母と離別し父と共に宇宙へ移民(父親には殴られたことはなかったという[18])。宇宙のどこで暮らしていたかは定かではないが、サイドを転々としていたと言われる[15](サイド7への移民が開始されたのは宇宙世紀0078年5月からである)。
父が仕事で家を空けることが多いため、自宅では1人で過ごすことが多く、コンピューターや機械いじりが好きな内向的な少年に育つ。その性格の表れとして爪を噛む癖が指摘されており、成人した宇宙世紀0087年の時点でもこの癖は直っていない。また、興味のあることには熱中する反面、使用した衣類や食器や本などの身の回りの物を片付けない、女の子(フラウ)が来てもシャツとパンツ姿のままで着替えないなど、興味の無いことには無頓着(幼い頃からの両親の不在による問題でもある)である。サイド7移民後は、隣家に住んでいた少女フラウ・ボゥとその家族によく面倒を見てもらっている。また、この時期にペットロボットハロを自分で作り上げている。
階級は、テレビ版ではジャブローで曹長に任命される。劇場版ではオデッサ作戦前の時点でセキ技術大佐が「アムロ曹長」と呼んでおり、ジャブローでは少尉に任官される。戦後は大尉に昇進するが、士官学校を卒業していないため、以後は階級が上っていない[注 5]。
- 最強のパイロットとして
- 劇中でサイド7でのMSの戦闘で当時民間人だったアムロが、偶然にも父親が開発したガンダムに乗り込みザクを2機破壊したのが最初の戦果である。その後はガンダムを愛機として駆り、多くの強敵たちと渡り合う。ニュータイプとしての覚醒以降その卓越した能力はなお加速し、自身の機体の性能が相手に比べ劣っても、その技量で圧倒するなどシリーズを通して超人的な戦果を挙げる。初期ではザクのマシンガンにかなり被弾しているが、ガンダムの装甲に助けられ難を逃れており、またガンダムに搭載された教育型コンピューターの助けを得て段階的に成長出来る環境にあった。それでもその技量は他のホワイトベースのパイロットの中でも抜群であり、不慣れなガンキャノンに搭乗した際もランバ・ラルのグフを圧倒し退けている。
- また、アムロはニュータイプとしてはオールドタイプ的感性を持っていることを、富野は『月刊マガジン』のインタビューで語っている[19]。「カミーユに比べてアムロは学習できないため、オールドタイプとして死んでいくしかない」ともコメントしている[20]。
- 「アムロとシャア…頂上決戦の結果は!? ガンダムシリーズ「最強パイロット」ランキング(宇宙世紀編)」という記事[21]において富野は「最高のニュータイプ能力はカミーユ」「パイロット技術最高はアムロ」と二人のことを公に評している。
劇中での活躍
ガンダムシリーズには多数の派生作品があり、いくつかの諸説や異同があるが、ここでは特に断りのない限りテレビアニメ『機動戦士ガンダム』『機動戦士Ζガンダム』及びアニメーション映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』における事蹟を基準に記す。
一年戦争後期 (『機動戦士ガンダム』)
- ガンダムとの出会い
- 15〜16歳。宇宙世紀0079年9月18日、地球連邦軍の新造艦ホワイトベースを追ってジオン公国軍のムサイ級巡洋艦「ファルメル」が周辺空域に侵入、ザクIIによるコロニー内への強襲に遭遇する。彼は、避難の最中に「V作戦」の極秘ファイル(ガンダムの操縦マニュアル)を偶然入手し、アイドリング状態だったガンダムに乗り込み起動。強襲を仕掛けてきたザクIIを初陣にして2機撃破する[22]。なお、この戦闘が歴史上初の実戦におけるモビルスーツ (MS) 同士の対戦であった。父親のテム・レイはこの戦闘で宇宙空間に放り出され行方不明となった。
- その後は民間人でありつつもホワイトベースの乗組員としてガンダムに搭乗し、ホワイトベース地球降下を阻止すべく執拗につけまわすジオン軍のエースパイロットにして、以後宿命のライバルとして戦い続けることとなるシャア・アズナブルの追撃を払い除ける日々が始まる。この頃はまともにガンダムを操れたのはアムロのみであったことから、いつしか地球連邦軍の正規パイロットのように扱われるようになる。地球降下前まではアムロ本人もまんざらではなく、新しい玩具を手に入れた子供のように嬉々としてガンダムの凄さをクルーに語ったりもしていた(テレビアニメ版では、まだ当時のロボットアニメ主流の熱血主人公の片鱗が見え隠れしていた[注 6])。
- 戦場からの逃亡
- しかし地球降下以後、「生き残る」という以外に戦う意義を見出せぬまま、アムロの精神はやがて疲弊していく。ガルマの執拗な追撃をなんとか退けたものの、自分を戦争の駒のように扱う二代目ホワイトベース艦長のブライト・ノアとは度々衝突し、唯一のアイデンティティとなっていた「ガンダムのパイロット」の地位さえ、ブライトの「リュウに任せよう」という発言から脅かされることとなる。これを偶然聞いてしまったアムロは脱走を決意し、ガンダムに乗って砂漠の大地に消えていった。この時にマ・クベの鉱山基地を単独で奇襲攻撃している[23]。
- 脱走中、砂漠の町のレストランに立ち寄ったところ、偶然ジオン公国の軍人ランバ・ラルと出会う。ラルの愛人であったクラウレ・ハモンと共に大変気に入られたが、敵同士であったが故に戦場で再会、対峙することになる。ラルの駆るグフを退けたものの、その口から「勝てたのは腕ではなくモビルスーツの性能のおかげだ」と指摘され、当初は「負け惜しみを」と意に介さなかったが、次第に正しさを認めたことで、初めて「あの人に勝ちたい」と、パイロットとして「生き残る」以外の意味を見出した。その後、アムロの目の前で軍人として殉じたランバ・ラルの姿は、敵ながらにして越えねばならぬ父親のような存在としてそびえ立ち、大きな影響を与えることとなった。そして、ラルの仇を討つためにホワイトベースに特攻を仕掛けたハモンと、彼女の攻撃を身を挺して防いだリュウの死が、アムロの中に生きる意味を問いかけることとなる。
- ニュータイプへの覚醒
- ラル、黒い三連星等、数々のジオンの戦士との死闘を経て、ホワイトベースの救援に駆けつけた連邦士官マチルダ・アジャンより「エスパーかも」とも評されたアムロは、いつしかニュータイプとしての覚醒を見せ始め、ジャブローでは再びあいまみえたシャアと互角以上の戦いを演じた。ジャブローから再び宇宙に上がってからも、ドレン大尉率いるキャメルパトロール隊のムサイ3隻を撃沈し、コンスコン機動艦隊との交戦では、敵艦隊擁する12機のリック・ドムのうち9機を3分で撃破した上に、コンスコンの乗る旗艦チベまでも撃沈して見せた。それ以降もアムロのニュータイプ能力は拡大し続け、ソロモン攻略戦など、幾多の戦闘で大きな戦果を挙げる。ジオンからは、“赤い彗星”シャアと対比して連邦の白いヤツ(バンダイのゲーム作品では白い悪魔、書籍『機動戦士ガンダム 戦略戦術大図鑑』やバンプレストのゲーム作品では白き流星)と恐れられるようになる。
- アムロの成長に伴い、その超人的な反応速度に反応しきれなくなったガンダムは、マグネット・コーティングを施される。このとき、技術者モスク・ハンの「生き延びて、いいデータを持ち帰ってくれ」という自分勝手な応援の言葉を「これだから人の本音は聞きたくない」と苦笑しながら受け流しており、人間としての成長が窺える。その頃にはシャアのゲルググを、通常のパイロットではありえない距離(ララァさえも、実験の際にはかなりの苦痛を伴った距離)から正確に狙撃する鬼神の如き働きを見せる。
- ララァとの出会いと別れ
- ララァ・スンとは中立コロニーで偶然にめぐりあい、戦場での敵同士としての再会の中でニュータイプ同士としての精神の交感を体験するが、その最中に襲い掛かるシャアに反撃した際、シャアを庇ったララァを戦死させてしまう。
- シャアとの決戦と仲間たちのもとへの生還
- 最終決戦となったア・バオア・クー攻略戦でシャアの駆るジオングと交戦、両者は相打ち(ジオングは撃破、ガンダムはAパーツの頭部と両腕、Bパーツの右脚を失う大破)となり、ガンダムは破壊されるものの最終的にホワイトベースの仲間たちとの交感と再会を経て、一年戦争を生き抜く。
グリプス戦役 (『機動戦士Ζガンダム』)
- 軟禁された英雄
- 23歳。一年戦争後は英雄的扱いを受け、彼に注目した多くのジャーナリストから「ニュータイプとは何か?」と取材を受けることになるが、彼の発言は大衆にとって抽象的で難解なものとして理解されなかったといわれる。やがて大尉に昇進し、北アメリカのシャイアン基地に勤務。しかし、地球連邦政府のニュータイプを危険視する思惑から事実上の軟禁状態に置かれ、彼もララァを死に至らしめたことの後悔を引きずって鬱屈した生活を送っていた。また、長期軟禁の影響で精神的な疲弊が起きていたのか、MSへ再び乗ることに躊躇していた。
- 『THE ORIGIN』では機密保持やニュータイプ研究のため、隔離状態にあったが、宇宙世紀0082年には監視兼護衛付きではあるが、行動の自由が許されている。出雲の旅行でハヤトからフラウとの結婚を打ち明けられた後、自分たちにとってすべての始まりの場所であるサイド7復興に行う意志を示した。
- エゥーゴへの参加と地球への残留
- 宇宙世紀0087年、かつてのガールフレンドでありハヤトの妻になっていたフラウと再会し、カツ・コバヤシに説得され共に監視を抜け出す。空港で輸送機を奪ってエゥーゴの支援組織カラバに合流し、シャア(クワトロ)と7年振りの再会を果たす[注 7]。シャアからは宇宙に上がり共闘することを薦められたが、無重力の感覚への恐怖を理由に固辞している。その際、「ララァと再び会うのが怖いのか」と胸中を看破され、一年戦争時代に負ったトラウマを克服できていない自身の精神的な脆さを否定できず、ハヤトらと共に地上に留まる。また、自分より若いカミーユにガンダムMk-IIを使わせていることや、それを容認する周囲の人間たちに「不甲斐ない自分への当てつけ」といった感情を少なからず感じていたようである[注 8]。
- しかし、昔の自分を思い出させるカミーユ・ビダンや、ベルトーチカ・イルマに刺激され、再びMSで戦うことを決意すると、7年のブランクを感じさせない卓越した操縦技術でエゥーゴを援助。宇宙に上がったアポリー・ベイ中尉が残したリック・ディアスでカミーユを指導しながらアッシマーを撃墜したのを皮切りに、その後はリック・ディアスを改修したディジェを駆って、キリマンジャロ攻撃作戦やダカールでの戦い、ニューギニア基地攻略などで活躍した。
- なお、一年戦争時には一人称が「僕」であったが、この頃から「俺」に変化している。ブライトに対しても一年戦争時は上官として従う立場であったが、これ以降は対等な立場として接している。
- 設定上での諸説
- 雑誌企画『ガンダム・センチネル』の設定では、グリプス戦役終盤にアウドムラの第18飛行部隊の隊長として、パーソナルカラーに塗装されたΖプラスに搭乗したといわれている。また、アトラクション『ガンダム新体験 グリーンダイバーズ』や3DCGアニメ『GUNDAM EVOLVE../9 MSZ-006 Ζ-GUNDAM』では、戦争終結前後に確認されたΖガンダム3号機のテストパイロットの1人で、「ホワイト・ユニコーン」のコードネームで呼ばれる人物とする説も存在する(漫画『機動戦士Ζガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのレポートより―』ではアムロがΖガンダム3号機に搭乗する様子が描かれた)。
第一次ネオ・ジオン抗争 (『機動戦士ガンダムΖΖ』)
- 宇宙での活動
- 24歳。第一次ネオ・ジオン抗争においては全く姿を見せることはなかったが、アーガマが地上に降りた時のブライトとハヤト・コバヤシとの会話[24]から、この時既に宇宙に上がっていた。これ以降、消息不明となったシャアの居場所を探るべく、数年にわたる内偵を開始する。
第二次ネオ・ジオン抗争 (『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』)
- ネオ・ジオンとの戦い
- 29歳。地球連邦軍大尉。アムロとて一部のエリートが地球から宇宙のスペースノイドを支配・管理している独善を決してよしとしているわけではなかったが、彼には内部改革の夢があり人類の叡智も信じてもいた。それが、アムロを地球連邦軍に留まらせている理由だった[25]。ときに宇宙世紀0093年、アムロは外郭新興部隊「ロンド・ベル」のMS隊隊長として、リ・ガズィやνガンダムを駆り、ブライトらと共に、シャア率いるネオ・ジオンとの最後の戦いを挑む。
- 第二次ネオ・ジオン抗争が勃発した宇宙世紀0093年3月4日、地球連邦軍本部があるチベットのラサに向け小惑星5thルナの落下を目論むネオ・ジオンを阻止するためにリ・ガズィに搭乗して戦闘に参加。ヤクト・ドーガを駆るギュネイ・ガスを退けるのには成功したものの、サザビーで出撃してきたシャアには圧倒された上に、落下阻止限界点を越えてしまい、5thルナを巡る攻防は惨敗に終わる。その後、いまだフォン・ブラウン市の工場で開発中であったνガンダムを半ば強引に受領し、シャアとの決戦に備える。
- その後、サイド1のロンデニオンでハサウェイ・ノア、クェスと共にドライブをしている時に、乗馬していたシャアと遭遇。シャアに掴みかかり取っ組み合いになった後、銃で狙撃しようとするも、クェスに邪魔をされギュネイがホビー・ハイザックで救援に来たために逃げられる。
- シャアとの最終決戦
- アクシズ落としを目論むシャアの動きを看破したアムロたちロンド・ベル隊は、アクシズへ急行する。宇宙世紀0093年3月12日、アクシズの防衛ラインを単機で突破し、シャアとの決戦では、サザビーとのMS戦だけではなく生身での白兵戦や舌戦も交えた激戦を繰り広げ、再びMSに搭乗して全ての武装を使い果たした後もガンダムの格闘攻撃でサザビーを圧倒し、これによってサザビーからシャアの乗る脱出ポッドが放出される。その時、ブライトたちが行った落下阻止のためのアクシズ分断作戦が裏目に出て、片割れがそのまま地球への落下を開始する。アムロはシャアを逃がすまいと脱出ポッドを捕まえるが、シャアにブライトたちが行った作戦のおかげでアクシズ落下という目的を果たせると、高々と勝利宣告をされる。
- これに怒ったアムロは、地球へ落下していくアクシズの片割れを、シャアの脱出ポッドを保持したまま単機で「たかが石ころ一つ、ガンダムで押し返してやる。νガンダム(の能力)は伊達じゃない」と抵抗する。
- シャアと共に生死不明
- 「地球の重力に魂を縛られた人々」に絶望し、大罪を犯してまで人類を次のステージ、いわゆるニュータイプに上げようとしたシャアに対し、アムロは愚直なまでに人類の可能性を信じた。そしてアムロの行動を見た他のMSのパイロットも、連邦、ネオ・ジオンを問わず加勢し、小惑星・アクシズの軌道を逸らすことを試みる。空力加熱でオーバーロードを起こして爆散する機体も出る中、アムロの叫びと共にサイコフレームによって増幅された光に包まれ、生き残ったMS群はアクシズから乖離し、ついにアクシズの軌道は地球への落下コースから逸れていく。しかし、同時にアムロとνガンダム、そしてシャアは閃光に包まれ、行方不明となる。その後、MIA(消息不明、連邦の公式記録には実質的に死亡扱い)となる[注 9]。
- アニメ版『機動戦士ガンダムUC』では宇宙を漂うシャアの残留思念に、アムロ、ララァのものとおぼしき思念が迎えにいくかのような描写が存在している(アニメ版『機動戦士ガンダムUC』のストーリー担当・福井晴敏は「生き霊かもしれない」と述べている[26])。
その後
宇宙世紀0105年、アデレートの地球連邦閣僚会議を急襲した秘密結社マフティー所有の機動兵器Ξガンダムにはアムロ・レイが最後に使用したガンダムであるνを引き継ぐ意図で “ξ”(Ξ) の文字が冠されている。そのパイロットである秘密結社の主導者マフティー・ナビーユ・エリンとは、アムロやシャアといったニュータイプを見てきたハサウェイ・ノアであった。そしてハサウェイがΞガンダムに乗り込んだ直後、ハサウェイの心に「身構えているときには、死神は来ない」とアムロの声が響いている(『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』)。
宇宙世紀0110年、サナリィにおいてガンダムF90が開発された。1号機にはアムロの戦闘データがプログラムされた疑似人格コンピューター「A.R」が搭載され、宇宙世紀0122年までの長きにわたり実験が繰り返されている(『機動戦士ガンダムF90』)。
以上の他に、長谷川裕一の漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム スカルハート』では、木星帝国残党にガンダムのコア・ファイターのデータが盗まれ、一年戦争時代のアムロの戦闘データをコピーしたMS「アマクサ」が作られるというエピソードが存在する。このMSは「ジュピター・ガンダム」と呼ばれ、トビア・アロナクス、グレイ・ストークら歴戦のニュータイプたちを圧倒していたが、死闘の末に撃破される。
小説版での相違
- 『機動戦士ガンダム』
- 富野由悠季著の小説版『機動戦士ガンダム』では設定が大幅に異なっている。民間人ではなく連邦軍の曹長で、教導班において教官のラルフ中尉にビンタでしごかれるパイロット候補生。のち中尉に昇進する。年齢はUC0080で二十歳。リュウやカイ、ハヤトらは同期である。セイラ・マスとは夜を共にする仲となる。テレビ版よりも大幅に大人びた精神を持つが、奥手で不器用なところもある。乗機のガンダムはテキサスにて大破し、ガンダム三号機「G3」に乗り換える。
- 作品終盤にシャアから協力してザビ家を討つことを打診され、それを理解した瞬間、シャアの部隊に属していたルロイ・ギリアム中尉のリック・ドムに誤射・撃墜され、戦死してしまう。しかしアムロの意思は多くの人間の精神を刺激し、大戦終結のきっかけとなる。ただし、この作品が『機動戦士Ζガンダム』以降の作品を否定するものではないと富野によって述べられてもいる。実際に、富野も角川スニーカー文庫から再版する際に、続編との辻褄を合わせるためにアムロとハヤトを殺さない内容に改稿を試みたものの、過去の自分を否定する行為であるとして結局断念したとのことである。
- 『機動戦士ガンダムΖΖ』
- 小説版『機動戦士ガンダムΖΖ』(著作は遠藤明範)では、ストーリー中盤にアムロが登場し、シュツルム・ディアスに乗り、ジュドー・アーシタが宇宙へ上がるのを助けている。最初はアムロを「つまらない大人の1人」だと感じていたジュドーであったが、別れの際には、カミーユと初めて会った時と同じような「宇宙のビジョン」を、アムロの中に見ている。
- また、この作品ではアムロは「自分が宇宙へ上がる時はシャアと決着を付ける時」と発言している。なお、ダカール戦後のサイコガンダムMk.IIとの戦いでは彼が止めを刺している。
- 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』
- 劇場版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のシナリオ第一稿をベースにした角川文庫小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』においては、ベルトーチカとの関係が続いており(アニメージュ文庫小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』では別れていることが語られている)、彼女のお腹の中にはアムロとの子どもが宿っている。
- 『ガンダム映画化委員会』とも言うべきインベスター(出資者)側の「映画でアムロの結婚した姿を見たくない」という意見と「映画のヒーローは素敵に恋をし、冒険しなければならない、ガンダムはロボット物なのでその主人公が誰かの所有物になって『生活』をしたのでは見る必要がない」という著者の考えを反映した結果、シナリオは現在のものに差し替えられている。
搭乗機
アムロのパーソナル・エンブレムは、『逆襲のシャア』のνガンダムより頭文字の "A" をモチーフとしたもの(左肩)、およびこれとユニコーンの頭部を組み合わせたもの(シールド)が設定され、前者は『ガンダム・センチネル』のΖプラスなどにも踏襲されている。また、Ζプラスの左肩に「Aタイプ」の意として描かれていたものを、アムロが気に入って自分のものにしたことを示唆する資料もある[27]。
外伝作品
- 機動戦士ガンダム(小説版)
-
- RX-78-3 G-3ガンダム
- 機動戦士ガンダム THE ORIGIN(漫画版)
-
- RGM-79 ジム (一時的に搭乗)
- 機動戦士Ζガンダム Define
-
- MSZ-000 零式(アムロ専用)
- ガンダム・センチネル(設定のみ)
-
- MSZ-006A1 ΖプラスA1型 (ブルー塗装→オレンジ塗装)
- ガンダム新体験 グリーンダイバーズ
-
- MSZ-006-3 Ζガンダム3号機
- ガンダムトライエイジ BUILD MS
-
- KRX-001 フルバースト・サイコ・ガンダム
- 機動戦士ガンダムΖΖ(小説版)
-
- RMS-099S シュツルム・ディアス
- 機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス
-
- MSΖ-009M メガゼータ
- 機動戦士ガンダム ハイ・ストリーマー
-
- RGM-88X ジェダ
- 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン
-
- RX-93-ν2 Hi-νガンダム
未搭乗の専用機
- 機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争
-
- RX-78NT-1 ガンダムNT-1 アレックス
- 機動戦士ガンダム CROSS DIMENSION 0079
-
- RX-78XX ピクシー
- 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア MSV
-
- RGZ-91B リ・ガズィ・カスタム
搭乗艦
- 機動戦士ガンダム
- 機動戦士ガンダム(小説版)
- 機動戦士Zガンダム
- 機動戦士ムーンガンダム
- 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
その他
- 劇場版『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の劇場公開間近の2021年4月22日には、上記の女性遍歴を文春オンラインにネタにされ、「もしもガンダム世界に文藝春秋があったら——『元ホワイトベース隊のエース アムロ・レイ大尉 女遍歴の背後にうごめく思惑』という記事が公開されている[28]。
脚注
注釈
- ^ 英文表記の初出は、サウンドトラック『機動戦士ガンダムIII アムロよ…』の販促用ポスター[3]。
- ^ 経緯の詳細は機動戦士ガンダム#企画の経緯を参照。
- ^ なお、テレビ放送と並行して『冒険王』で連載されたコミカライズ版では、ギレン・ザビの演説を放送していたテレビを殴り壊すなど、従来型の勇ましい熱血ヒーローのごとき言動を見せている。
- ^ ただし、脚本を担当した星山博之は後年のインタビューで「レイは零式艦上戦闘機の零なんだよ」と述べている[12]。
- ^ 地球連邦軍では士官学校を卒業していないたたき上げの場合は、どのような偉大な功績を挙げても勲章を受けられるだけで佐官・将官にはなれない(「機動戦士ガンダム 戦略戦術大図鑑」)。ただし、「シャアの反乱」でシャア諸共行方不明になった以後の『機動戦士ガンダムUC』では、戦死扱いの二階級特進で中佐になっている。
- ^ 例えば第4話「ルナツー脱出作戦」では、軍紀を重んじるだけのルナツー司令ワッケインや監禁房でも皮肉を口にするカイ・シデンに詰め寄ろうとする血気盛んとも取れる面を覗かせる、監禁房から脱出した後はブライトと共に警備兵に不意打ちをかけて飛び蹴りの一撃で昏倒させるなどのヒーロー的な活躍を見せている。
- ^ 没にはなったが、企画の段階では輸送機でブラン・ブルタークの乗るアッシマーに特攻した際に死亡するという筋書きもあった。
- ^ なお、監督の富野は本作においてアムロをガンダムに乗せなかった理由について「アムロをガンダムに乗せてしまったら、本作の主人公であるカミーユの存在感が薄れてしまうから」とコメントしている[要出典]。
- ^ 古谷は「シャアと共にララァの世界に行ったのだと思っています」と述べている[要出典]。
出典
- ^ “STAFF&CAST”. ガンダムさん 公式サイト. 2020年11月20日閲覧。
- ^ 「人物対比図①」『機動戦士ガンダム 記録全集』 2巻、日本サンライズ、1980年、132頁。
- ^ ロマンアルバム 1980, p. 170.
- ^ “人はめぐりあい、過ちを繰り返す 『ガンダム』で描いた正義なき世界 安彦良和のTHE ORIGIN(前編)”. 朝日新聞デジタル&M(アンド・エム). 朝日新聞社. 2020年2月21日閲覧。
- ^ 「サンライズ 企画室デスク(当時)飯塚正夫INTERVIEW 『機動戦士ガンダム』誕生の秘密 いかにして『ガンダム』は大地に立ったか」『ガンダム・エイジ ガンプラ世代のためのガンダム読本』洋泉社、1999年4月、63-64頁。
- ^ 『機動戦士ガンダム ガンダムアーカイヴ』メディアワークス、1999年6月、10頁。
- ^ ガンダム展が明日から東京で!アムロの初期設定に古谷徹も驚き
- ^ a b c 尾形英夫編「機動戦士ガンダム きみはこれを見て生きのびることができるか? ファンからのここが聞きたいガンダム67の質問」『アニメージュ 1979年12月号』徳間書店、昭和54年12月10日。雑誌 01577-12、23-24頁。
- ^ a b 氷川竜介・藤津亮太編「第二章 TV版と音楽と ファンからのここが聞きたいガンダム67の質問(1979)」『ガンダムの現場から 富野由悠季発言集』キネマ旬報社、2000年10月16日。ISBN 4-87376-537-4、68-70頁。
- ^ 「ガンボーイ企画メモ」『ガンダムの現場から 富野由悠季発言集』キネマ旬報社、2000年10月、25頁。
- ^ 『機動戦士ガンダム 記録全集1』日本サンライズ、1979年12月、16頁。
- ^ Web現代「ガンダム者」取材班編集「第6章 脚本(チーフシナリオライター) 星山博之 《キャラクターの生命》」『ガンダム者 ガンダムを創った男たち』講談社、2002年10月9日、ISBN 4-06-330181-8、284頁。
- ^ 編集 尾形英夫『ロマンアルバム・エクストラ(53)』徳間書店、1980年7月30日、185頁。
- ^ 『機動戦士ガンダム 記録全集1』日本サンライズ、1979年12月、104頁。
- ^ a b 『アニメック16号 機動戦士ガンダム大事典』ラポート、1981年3月、132頁。
- ^ 『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙 大百科』勁文社、1982年5月、251頁。
- ^ いなば余談(安彦良和氏に対するインタビュー。日本海新聞 2015年11月14日(土)20面)
- ^ 第9話「翔べ! ガンダム」より。
- ^ 月刊マガジン 2006年4月号 イチオシ倶楽部EXTRA 富野由悠季インタビュー
- ^ 月刊マガジン 2006年4月号 イチオシ倶楽部EXTRA 富野由悠季インタビュー
- ^ ガンダムシリーズ「最強パイロット」ランキング(宇宙世紀編)
- ^ 第1話『ガンダム大地に立つ!!』
- ^ 『灼熱のアッザムリーダー』
- ^ アニメ版35話。
- ^ 『別冊アニメディア 機動戦士ガンダム 劇場版 逆襲のシャア』
- ^ “『機動戦士ガンダムUC』福井晴敏インタビュー(ストーリー担当) 5年の歳月を経て完結 後編”. アニメ!アニメ!. イード (2014年8月10日). 2018年12月27日閲覧。
- ^ 『MG 1/100 MSZ-006A1 ゼータプラス(テスト機カラータイプ)』バンダイ、2001年10月、10頁。
- ^ 中岡潤一郎 (2021年4月22日). “もしもガンダム世界に文藝春秋があったら——「元ホワイトベース隊のエース アムロ・レイ大尉 女遍歴の背後にうごめく思惑」”. 文藝春秋 2021年4月23日閲覧。
参考文献
- 書籍
- 『ロマンアルバム・エクストラ35 機動戦士ガンダム』徳間書店、1980年7月30日。
関連項目
- ガンダムシリーズの登場人物一覧
- 若井おさむ - アムロのコスプレや物まねを基本スタイルとするお笑い芸人。
- 行列のできる芸能人通販王決定戦 - 通販でのカーナビ「マップラス」にアムロのボイスを起用。
- 安室奈美恵 - アルバム『PAST < FUTURE』の収録曲「Defend Love」のミュージック・ビデオでガンダム及びアムロとコラボレート。
- トリビアの泉 〜素晴らしきムダ知識〜 - 影のナレーションとして登場したことがある。