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「夏島 (二等敷設艇)」の版間の差分

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2021年9月18日 (土) 07:20時点における版

夏島
竣工時の「夏島丸」(1912年10月10日)[1]
竣工時の「夏島丸」(1912年10月10日)[1]
基本情報
建造所 横浜船渠[2]
運用者  大日本帝国海軍
艦種 雑役船(大型敷設艇)[2]
二等敷設艇(1920年7月1日)[3]
建造費 当初予算 170,000円[4]
母港 横須賀[5]
呉(1920年から)[6]
艦歴
計画 明治42年度(1909年)[5]
進水 1911年6月20日[7]
竣工 1911年6月2日[8] または6月20日[9]
除籍 1923年4月1日[10]雑役船(練習船)へ[11]
その後 1927年2月28日廃船[2]
売却[12]
改名 夏島丸[5] → 夏島[13]
要目
排水量 計画:430英トン[14]
432.2トン(1918年調)[15]
435英トン(1926年時)[16]
基準排水量 405英トン[17]
常備排水量 420英トン[17]
長さ 200 ftin (60.96 m)[14]
22 ft 6 in (6.86 m)[14]
深さ 14 ft 0 in (4.27 m)[14]
吃水 5 ft 6 in (1.68 m)[14]
ボイラー 石炭専焼缶1基[17]
主機 3気筒3段膨張レシプロ2基[17]
推進 2軸[17]
出力 600hp[17]
実馬力 591[14]
速力 12ノット[8][14]
燃料 石炭30トン[8]、または44英トン[14]
航続距離 全速250カイリ、8ノットで815カイリ[8]
乗員 1916年4月乗員標準:18名(戦時最大+19名)[18]
兵装 40口径8cm単装砲(3インチ砲[14])2門[17]
落射機 2基[14]
有線機雷14個[14]
甲種機雷20個(倉庫内)、最大約80個[14]
その他 信号符字:GQBP(1911年6月5日)[19]
(無線)略符号:JJK(1916年4月11日)[20]
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夏島(なつしま)は日本海軍の雑役船[2]、特務艇(二等敷設艇)[3]。 片桐大自の研究によれば、艇名は横須賀港の夏島によるとされる[2]1918年(大正7年)から始まった追浜飛行場建設工事により島は陸続きとなった[2]。 現在の横須賀市夏島町にある。

艦型

本艇は各軍港、要港を警備するための機雷敷設艇で日本海軍で初めての大型敷設艇である[2]。 それまでは70トンの木造船に始まり300トンの中型艇を使用していた[2]。 本艇に次いで測天型敷設特務艇が建造された[2]

福井静夫によると本艇は測天型敷設特務艇と同型とされる[11]。 ただし写真を見る限り艦首形状、前部マストの高さ、短艇搭載位置などに測天型との違いが見られる[注釈 1]

艦歴

1909年(明治42年)4月15日に今年度予算で製造する500トン・マインボート(敷設艇)を夏島丸と命名[5]1911年(明治44年)6月に雑役船(大型敷設艇)として竣工、横須賀防備隊に所属した[2]

1918年(大正7年)から、似島丸(横須賀防備隊に附属予定)の竣工後、夏島丸は横須賀から呉防備隊に所属換えの予定とされた[21]

1920年(大正9年)7月1日に夏島丸夏島と改名された[13]。 同日、特務艇類別標準が制定され[3]、 雑役船にあった敷設艇は特務艇に編入[2]夏島は二等敷設艇に類別された[3]。 この年(1920年)、夏島は呉防備隊に所属変更となり、7月27日に横須賀港で回航員に引き渡された[6]。 なお似島(似島丸から改名)は同年10月15日に竣工している[22]

1923年(大正12年)4月1日、二等敷設艇より除かれ[10]、 雑役船に戻って練習船に指定された[2]1924年(大正13年)1月25日海軍兵学校へ引き渡され[23]、 艦船の発着訓練に使用された[24]1926年(大正15年)には他の艦艇の補充により海軍兵学校では不要となり、7月16日臨時附属解除の要望が上がり[24]、 同年9月25日還納認許、10月27日呉海軍港務部に還納された[25]

港務部保管中の夏島は船体老朽のため1926年(昭和2年)1月11日に廃船の上申がなされ[26]、 2月4日廃船認許[27]、 2月28日廃船とされた[28]。 3月28日、旧夏島呉海軍工廠へ引き渡され[29] (使用可能な艤装品などを撤去するため)、 同年8月27日に15,000円で売却された[12]。 買受人は改造修理し汽船海光丸として運用の予定だった[30]

脚注

注釈

  1. ^ #日本海軍全艦艇史p.879掲載の夏島丸の写真と測天型との比較。

出典

  1. ^ #日本海軍全艦艇史p.879
  2. ^ a b c d e f g h i j k l #聯合艦隊軍艦銘銘伝pp.545-546
  3. ^ a b c d #海軍制度沿革巻八p.107、内令214。
  4. ^ #M42公文備考16/雑役船製造及購入(1)画像13
  5. ^ a b c d #海軍制度沿革巻八p.395、明治42年4月15日(達52)「明治四十二年度整備費ヲ以テ製造スヘキ横須賀敷設隊附属五百噸「マインボート」ヲ夏島丸ト命名ス」
  6. ^ a b #T9公文備考23/引渡授受画像23、横防第162号「大正九年七月二十七日 横須賀防備隊司令中島資朋 海軍大臣加藤友三郎殿 敷設艇夏島引渡ノ件 本年官房第二二七二号ヲ以テ本隊附属ヲ解キ呉防備隊附属ト定メラレタル敷設艇夏島ハ本日当地ニ於テ呉防備隊ヨリ派遣ノ同艇回航員ニ之カ引渡ヲ了ス 右報告ス」
  7. ^ #S2公文備考36/雑役船種類及所属定数表中改正の件画像16、造舩証明書
  8. ^ a b c d 大正7年8月12日付 軍務局第二課 軍務機密第522号。
  9. ^ #M44公文備考56/引渡及受領報告(2)画像16『横廠第六六八號ノ四 明治四十四年六月三十日 横須賀海軍工廠長坂本一 横須賀鎮守府司令長官男爵瓜生外吉殿 新造汽舩授受済ノ件 横須賀敷設隊附属 一、夏島丸一隻 本舩授受明治四十四年六月廿日結了ス 右報告ス (終)』
  10. ^ a b #海軍制度沿革巻八p.108、内令97、『特務艇類別等級別表中左ノ通改正ス 敷設艇二等ノ欄内「夏島」ヲ削ル』
  11. ^ a b #日本補助艦艇物語p.298
  12. ^ a b #S2公文備考36/呉鎮第34号の75の5(2)画像22、呉廠第109号の119
  13. ^ a b #海軍制度沿革巻八p.399、特務艇並雑役船船名改定ノ件(達115-2)
  14. ^ a b c d e f g h i j k l #帝国海軍水雷術史第4巻p.104
  15. ^ #T7公文備考22/付属換(1)画像4、大型敷設艇調
  16. ^ #T15-S1公文備考31/兵学校練習船千代田其他に関する件(1)画像29、練習船夏島現状
  17. ^ a b c d e f g 阿部安雄「日本海軍補助艦艇要目表」#日本補助艦艇物語pp.390-391
  18. ^ #海軍制度沿革10-2(1972)p.870、大正5年3月24日内令第60号、敷設艇乗員標準(大形)。将校1人、特務士官、准士官2人、下士4人、卒11人。備考2.戦時事変等に際しては本表乗員の外必要に応じ大形敷設艇に上等兵曹1、兵曹3、船匠手1、厨率1、水兵6、機関兵4、木工1、看護1、主厨1(中略)を増加することを得。
  19. ^ #M44達/6月画像3、明治44年6月5日達第67号
  20. ^ #T5達/4月画像39、大正5年4月11日達第68号
  21. ^ #T7公文備考22/付属換(1)画像2、大正7年7月2日起案、8月12日発布済「敷設艇附属の件 呉海軍工廠ニテ製造ノ大型敷設艇似島丸竣工ノ上ハ横須賀防備隊ヘ附属夏島丸ハ横須賀防備隊ヨリ呉防備隊ヘ附属換ノ豫定ニ有シ候 右内報ス」
  22. ^ #T10公文備考28/雑船製造の件 潜水艦も含む(5)画像47、大正9年10月18日電報「似島十五日授受結了」
  23. ^ #T13公文備考24/引渡受授(1)画像41、兵学第11号の13
  24. ^ a b #T15-S1公文備考31/兵学校練習船千代田其他に関する件(1)画像25-28、兵学第30号の144
  25. ^ #T15-S1公文備考30/公称第512号汽艇廃船処分の件(7)画像27、呉港第14号の64の7
  26. ^ #S2公文備考36/練習船千代田及夏島に廃船処分の件画像2、呉鎮第32号の94の6。同画像3、練習舩夏島検査報告(大正15年12月20日調)。
  27. ^ #S2公文備考36/練習船千代田及夏島に廃船処分の件画像1、官房第101号の2「呉鎮第三二號ノ九四ノ六練習船千代田及夏島廃船處分ノ件認許ス(終)」
  28. ^ #S2公文備考36/廃船引渡の件画像6、呉鎮第32号の94の9「雑役船廃船處分ノ件 二月四日官房第一〇一號ノ二認許ニ依リ呉海軍港務部保管中ノ左記雑役船ハ廃船處分致候 右報告ス 練習船千代田及夏島 二隻(終)」
  29. ^ #S2公文備考36/還納雑役船受領報告の件(1)画像32、呉港第14号の23の5
  30. ^ #S2公文備考36/雑役船種類及所属定数表中改正の件画像14「御願書 一、旧練習舩夏島丸今回小生払下ゲニ相成リ改造修理ノ上汽舩海光丸トシテ運用仕度其ノ為メ登記等ニ付テ別紙証明書御下附方御願ヒ?度??御許可願度候也(以下略)」

参考文献

  • 海軍省/編 編『海軍制度沿革 巻八』 明治百年史叢書 第180巻、原書房、1971年10月(原著1941年)。 
  • 海軍省/編『海軍制度沿革 巻十の2』 明治百年史叢書 第183巻、原書房、1972年4月(原著1940年)。 
  • 片桐大自『聯合艦隊軍艦銘銘伝 全八六〇余隻の栄光と悲劇』光人社、1993年。ISBN 4-7698-0386-9 
  • 館明次郎/編『帝国海軍水雷術史』海軍省教育局、1935年。 
  • 福井静夫『日本補助艦艇物語』 福井静夫著作集第10巻、光人社、1993年12月。ISBN 4-7698-0658-2 
  • 福井静夫『写真 日本海軍全艦艇史』ベストセラーズ、1994年。ISBN 4-584-17054-1 
  • アジア歴史資料センター(公式)(防衛省防衛研究所)
    • 『明治42年 公文備考 艦船1 巻16/雑役船製造及購入(1)』。Ref.C06092160600。 
    • 『明治44年 公文備考 艦船40 巻56/引渡及受領報告(2)』。Ref.C07090177600。 
    • 『大正7年 公文備考 艦船3 巻22/付属換(1)』。Ref.C08021107200。 
    • 『大正9年 公文備考 艦船3 巻23/引渡授受』。Ref.C08021560500。 
    • 『大正10年 公文備考 艦船2 巻25/雑船製造の件 潜水艦も含む(5)』。Ref.C08050175000。 
    • 『大正13年 公文備考 艦船4 巻24/引渡受授(1)』。Ref.C08051097700。 
    • 『大正15年 昭和元年 公文備考 艦船5 巻30/呉鎮第32号の87の2公称第512号汽艇廃船処分の件(7)』。Ref.C04015132000。 
    • 『大正15年 昭和元年 公文備考 艦船6 巻31/兵学校練習船千代田其他に関する件(1)』。Ref.C04015133900。 
    • 『昭和2年 公文備考 艦船7 巻36/廃船引渡の件』。Ref.C04015630600。 
    • 『昭和2年 公文備考 艦船7 巻36/還納雑役船受領報告の件(1)』。Ref.C04015630700。 
    • 『昭和2年 公文備考 艦船7 巻36/呉鎮第32号の94の6 練習船千代田及夏島に廃船処分の件』。Ref.C04015632100。 
    • 『昭和2年 公文備考 艦船7 巻36/呉鎮第34号の75の5 公称第280号 汽動艇外1隻廃船処分の件(2)』。Ref.C04015634400。 
    • 『昭和2年 公文備考 艦船7 巻36/雑役船種類及所属定数表中改正の件』。Ref.C04015635000。 
    • 『明治44年 達 完/6月』。Ref.C12070062400。 
    • 『大正5年 達 完/4月』。Ref.C12070070600。 

関連項目