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* [[アポロドーロス]]『ギリシア神話』[[高津春繁]]訳、[[岩波文庫]](1953年)
* [[アポロドーロス]]『ギリシア神話』[[高津春繁]]訳、[[岩波文庫]](1953年)
* 『ギリシア悲劇III ―[[エウリピデス]](上)』、[[ちくま文庫]](1986年)
* 『ギリシア悲劇III ―[[エウリピデス]](上)』、[[ちくま文庫]](1986年)
* [[パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍渓書舎(1991年)
* [[パウサニアス (地理学者)|パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍渓書舎(1991年)
* 『[[ヘシオドス]] 全作品』[[中務哲郎]]訳、[[京都大学学術出版会]](2013年)
* 『[[ヘシオドス]] 全作品』[[中務哲郎]]訳、[[京都大学学術出版会]](2013年)
* 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』、[[岩波書店]](1960年)
* 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』、[[岩波書店]](1960年)

2021年11月15日 (月) 10:43時点における版

ヘーラクレースとイオラーオス。紀元前1世紀頃のモザイクイタリアアンツィオ

イオラーオス古希: Ἰόλαος, Iolāos英語: Iolaus)は、ギリシア神話の人物である。長母音を省略してイオラオスとも表記される。

ヘーラクレースの異父兄弟イーピクレースアウトメドゥーサの子[1]クレオーンの娘メガラーとの間にレイペピレーをもうけた[2]。レイペピレーはヘーラクレイダイピューラースと結婚し、ヒッポテースとテーローの母となった[3][4]

イオラーオスはエウリュステウスに仕えた父イーピクレースとは異なり[5]、ヘーラクレースの戦車の御者として冒険に同行し、ヘーラクレースの多くの冒険を助けた。

神話

ヒュドラーと戦うヘーラクレース、イオラーオス。ルーブル美術館所蔵。

ヒュドラーの退治

ヘーラクレースがレルネーのヒュドラーを退治したとき、イオラーオスはヘーラクレースの戦車の御者となってレルネーに同行した。またヘーラクレースがヒュドラーの再生する首に苦戦するのを見て、イオラーオスは森を燃やし、その燃え木でヒュドラーの首を焼いて再生するのを防いで助けた。しかしこのためエウリュステウスはヒュドラー退治を難行から除外した[6]。しかしイオラーオスはその後もヘーラクレースの冒険に同行し、ヘーラクレースは12の難行を達成した後、イオラーオスにメガラーを妻として与えた[7]。またイオラーオスはカリュドーンの猪狩りや[8][9]アルゴナウタイに参加し[10]オリュンピア競技祭[11]ペリアースの葬礼競技では戦車競走で勝利した[12]

エウリュステウスとの戦い

ヘーラクレースの死後、年老いたイオラーオスはヘーラクレイダイと行動をともにし、エウリュステウスの迫害を避けて放浪した後にマラトーンにたどり着き、テーセウスの子デーモポーンに受け入れられた。デーモポーンは彼らの為にエウリュステウスの軍勢と戦おうとしたが、そこにヒュロスが援軍を率いて現れたとき、イオラーオスは自らも戦争に加わった。そして戦場でエウリュステウスの戦車を発見すると、ヘーベーゼウスに1日だけ若返ることを願った。この願いは聞き届けられ、天から2つの星が現れるとイオラーオスの戦車を黒い雲が包み込み、中から若返ったイオラーオスが現れた。イオラーオスは勇戦してスケイローンの岩付近でエウリュステウスを捕らえ[13]、殺した[14]。しかしエウリュステウスを討ったのはヒュロスともいわれる[15]

その後

後にイオラーオスはアッティカ人とボイオーティアのテスピアイ人を率いてサルディニア島に移住し[16][17]、イオラーオスはオルビア市を、アッティカ人はオグリュレー市を創建した[18]テーバイの伝承ではイオラーオスはサルディニア島で死に[17]、島のイオライアではイオラーオスが祀られていたという[18]

系図

アムピトリュオーン
 
 
 
 
 
アルクメーネー
 
 
 
ゼウス
 
ピューラース
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
クレオーン
 
イーピクレース
 
アウトメドゥーサ
 
 
 
ヘーラクレース
 
メーダ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
メガラー
 
 
 
イオラーオス
 
 
 
 
 
 
 
アンティオコス
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
レイペピレー
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ピューラース
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ヒッポテース
 
テーロー
 
アポローン
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アレーテース
 
 
 
カイローン
 
 
 


脚注

  1. ^ アポロドーロス、2巻4・11。
  2. ^ 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』p.48a。
  3. ^ パウサニアス、9巻40・6。
  4. ^ ヘーシオドス断片190。(パウサニアス、9巻40・6 による『大エーホイアイ』の引用)。
  5. ^ ヘーシオドスヘーラクレースの楯』90行-91行。
  6. ^ アポロドーロス、2巻5・2。
  7. ^ アポロドーロス、2巻6・1。
  8. ^ オウィディウス変身物語』8巻。
  9. ^ ヒュギーヌス、173話。
  10. ^ ヒュギーヌス、14話。
  11. ^ パウサニアス、5巻8・3-8・4。
  12. ^ ヒュギーヌス、273話。
  13. ^ エウリーピデース『ヘーラクレースの子供たち』。
  14. ^ パウサニアス、1巻44・10。
  15. ^ アポロドーロス、2巻8・1。
  16. ^ パウサニアス、7巻2・2。
  17. ^ a b パウサニアス、9巻23・1。
  18. ^ a b パウサニアス、10巻17・5。

参考文献