コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

「一般相対性原理」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
記述の整理。
一般相対性原理(一般共変性原理)について説明を記述した。
3行目: 3行目:
なお、一般相対性原理をより数学的に具体的に拡張した主張として[[一般共変性原理]]がある。これは、「自然の一般法則は、すべての座標系に対して成り立つ、すなわち任意の座標変換に対して一般共変な方程式で表される」あるいは「一般座標変換によって物理法則は不変である」という命題からなり、数学的には、自然の法則がテンソルのすべての成分がゼロになるということで定式化されるべきであることを主張する<ref>{{harvnb|リーマン|リッチ|レビ=チビタ|アインシュタイン|1971|pp=104-108}}</ref>。
なお、一般相対性原理をより数学的に具体的に拡張した主張として[[一般共変性原理]]がある。これは、「自然の一般法則は、すべての座標系に対して成り立つ、すなわち任意の座標変換に対して一般共変な方程式で表される」あるいは「一般座標変換によって物理法則は不変である」という命題からなり、数学的には、自然の法則がテンソルのすべての成分がゼロになるということで定式化されるべきであることを主張する<ref>{{harvnb|リーマン|リッチ|レビ=チビタ|アインシュタイン|1971|pp=104-108}}</ref>。


== 方程式の一般共変性 ==
具体的に考えるため、座標系 <math>x^0,x^1,x^2,x^3</math> において仮に自然の法則
:<math>X(x^0,x^1,x^2,x^3) + \alpha Y(x^0,x^1,x^2,x^3) = A(x^0,x^1,x^2,x^3)</math>
が成り立つとする。この法則が一般相対性原理(一般共変性原理)を満たすとは次のことを意味する。まず、式変形して右辺がゼロに等しい式
:<math>X(x^0,x^1,x^2,x^3) + \alpha Y(x^0,x^1,x^2,x^3) - A(x^0,x^1,x^2,x^3) = \bold{0}</math>
に直す。この式全体ははどのように座標変換してもゼロであることに変わりはない。一方で各項は、たとえば座標系 <math>x'^0,x'^1,x'^2,x'^3</math> に変換したとすれば、
:<math>\frac{\partial x'^a}{\partial x^j}\cdots\frac{\partial x'^c}{\partial x^l}X(x'^0,x'^1,x'^2,x'^3) + \alpha \frac{\partial x'^d}{\partial x^m}\cdots\frac{\partial x'^f}{\partial x^o} Y(x'^0,x'^1,x'^2,x'^3) - \frac{\partial x'^g}{\partial x^p}\cdots\frac{\partial x'^i}{\partial x^r}A(x'^0,x'^1,x'^2,x'^3)</math>
とそれぞれ異なる形状の式に変換されるはずである。ここで、各項 <math>X,Y,A</math> が座標変換に関して共変的(covariant)と呼ばれる性質をもつものであれば([[テンソル]](tensor)と呼ばれるものはそのような性質を持つ)、上式は変換係数が共通することになるためそれでくくることができるようになり、
:<math>X(x^0,x^1,x^2,x^3) + \alpha Y(x^0,x^1,x^2,x^3) - A(x^0,x^1,x^2,x^3) = \frac{\partial x'^a}{\partial x^j}\cdots\frac{\partial x'^c}{\partial x^l}\left\{ X(x'^0,x'^1,x'^2,x'^3) + \alpha Y(x'^0,x'^1,x'^2,x'^3) - A(x'^0,x'^1,x'^2,x'^3) \right\} = \bold{0}</math>
となる。
:<math>\frac{\partial x'^a}{\partial x^j}\cdots\frac{\partial x'^c}{\partial x^l} \neq 0</math>
であるので、必然的に座標系 <math>x'^0,x'^1,x'^2,x'^3</math> に関して、
:<math>X(x'^0,x'^1,x'^2,x'^3) + \alpha Y(x'^0,x'^1,x'^2,x'^3) - A(x'^0,x'^1,x'^2,x'^3) = \bold{0}</math>
でなくてはならない。このテンソルの各項はもとの座標系の項とイコールではないが、式全体の関係は変わっていない。一般相対性原理は、テンソルで記述された物理法則は座標変換に関して上記のような性質を持つと仮定するものである。
== 脚注 ==
== 脚注 ==
<references />
<references />

2022年2月20日 (日) 16:04時点における版

一般相対性原理(いっぱんそうたいせいげんり、: general principle of relativity)とは、一般相対性理論においてアルベルト・アインシュタインが仮設として導入した原理の一つで「物理学の法則は、任意の仕方で運動している座標系に関していつも成立する」[1]という命題からなる。慣性系間の座標変換に関する命題である特殊相対性原理を、一般相対性理論の対象である重力場を含む加速度系についても適用できるように拡張したものとして提案された。

なお、一般相対性原理をより数学的に具体的に拡張した主張として一般共変性原理がある。これは、「自然の一般法則は、すべての座標系に対して成り立つ、すなわち任意の座標変換に対して一般共変な方程式で表される」あるいは「一般座標変換によって物理法則は不変である」という命題からなり、数学的には、自然の法則がテンソルのすべての成分がゼロになるということで定式化されるべきであることを主張する[2]

方程式の一般共変性

具体的に考えるため、座標系 において仮に自然の法則

が成り立つとする。この法則が一般相対性原理(一般共変性原理)を満たすとは次のことを意味する。まず、式変形して右辺がゼロに等しい式

に直す。この式全体ははどのように座標変換してもゼロであることに変わりはない。一方で各項は、たとえば座標系 に変換したとすれば、

とそれぞれ異なる形状の式に変換されるはずである。ここで、各項 が座標変換に関して共変的(covariant)と呼ばれる性質をもつものであれば(テンソル(tensor)と呼ばれるものはそのような性質を持つ)、上式は変換係数が共通することになるためそれでくくることができるようになり、

となる。

であるので、必然的に座標系 に関して、

でなくてはならない。このテンソルの各項はもとの座標系の項とイコールではないが、式全体の関係は変わっていない。一般相対性原理は、テンソルで記述された物理法則は座標変換に関して上記のような性質を持つと仮定するものである。

脚注

  1. ^ リーマン et al. 1971, p. 100
  2. ^ リーマン et al. 1971, pp. 104–108

関連項目

参考文献

  • リーマン、リッチ、レビ=チビタ、アインシュタイン、マイヤー 著、矢野健太郎(訳) 編『リーマン幾何とその応用』共立出版、1971年。