「道頓堀川 (映画)」の版間の差分
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: 19歳。あだ名は『くにちゃん』。父を早くに亡くし母子家庭育ちだったが、先日母が病死したばかり。1ヶ月前から喫茶店『リバー』のウェイターをしながら、母が残してくれた学費で美術大学に通っている。面倒見のいい優しい性格で誰かが困っていると助けたくなる性分でお人好し。一応絵描きの卵として絵の勉強をしているが特に決まった目標はなく将来を迷っている状態。 |
: 19歳。あだ名は『くにちゃん』。父を早くに亡くし母子家庭育ちだったが、先日母が病死したばかり。1ヶ月前から喫茶店『リバー』のウェイターをしながら、母が残してくれた学費で美術大学に通っている。面倒見のいい優しい性格で誰かが困っていると助けたくなる性分でお人好し。一応絵描きの卵として絵の勉強をしているが特に決まった目標はなく将来を迷っている状態。 |
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: 道頓堀川沿いにある喫茶店『リバー』のマスター。邦彦の雇い主で、彼の父親代わり。妻は既に亡くなっている。15年前までハスラーとして日本一になるほどの実力を持っていた。10年以上前から半ば引退状態で現在は喫茶店で客と雑談しながらのんびりと接客しており、ビリヤードとは無縁の生活を送っている。 |
: 道頓堀川沿いにある喫茶店『リバー』のマスター。邦彦の雇い主で、彼の父親代わり。妻は既に亡くなっている。15年前までハスラーとして日本一になるほどの実力を持っていた。10年以上前から半ば引退状態で現在は喫茶店で客と雑談しながらのんびりと接客しており、ビリヤードとは無縁の生活を送っている。 |
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; 武内政夫 |
; 武内政夫 |
2022年12月5日 (月) 10:14時点における版
道頓堀川 | |
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監督 | 深作欣二 |
脚本 | 野上龍雄、深作欣二 |
原作 | 宮本輝「道頓堀川」 |
出演者 |
松坂慶子 真田広之 山﨑努 佐藤浩市 加賀まりこ |
音楽 | 若草恵 |
撮影 | 川又昂 |
編集 | 太田和夫 |
製作会社 | 松竹 |
配給 | 松竹 |
公開 | 1982年6月12日 |
上映時間 | 130分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
『道頓堀川』(どうとんぼりがわ)は、1982年公開の日本映画。監督は、深作欣二。主演は、松坂慶子と真田広之。宮本輝の同名小説の映画化作品。
内容は、19歳の若者と年上の女性との恋愛、元ハスラー[注 1]の父とハスラーを目指す息子との親子関係に焦点を当て、舞台となる道頓堀で暮らす人たちの人間模様が描かれている。
また本作ではハスラー同士が行う賭けビリヤードとしてナインボール[注 2]による対決も描かれている。
あらすじ
大阪の道頓堀川には、川沿いの繁華街のネオンライトが川面に反射し、夜の街の賑やかさを一層盛り上げていた。ある朝、美術大学に通う邦彦が大阪の大黒橋の公園から正面に見える道頓堀川の絵を描いていた所、犬の散歩中の着物の女性まち子と知り合う。邦彦は唯一の肉親だった母を亡くしたばかりで、1ヶ月前から同級生の父武内がマスターをする喫茶店で住み込みで働きながら学校に通っていた。その夜武内と夕食するため小料理屋『梅の木』に訪れると店の女将をするまち子と再会し、彼女もまた身寄りがない事がわかる。帰宅中武内から「道頓堀は華やかだがそこで暮らす人々は意外と寂しさを抱えているのかもしれない」と言われ、まち子のことが気になり始める。
武内の息子政夫はハスラーを目指していたが、元腕利きのハスラーで家庭を顧みず後悔して辞めた父から「ハスラーなんて“博打打ち”と同じ。やめておけ」と言われていた。父の心配をよそに政夫は関西のハスラーたちとの勝負を続けたが、ある時ハスラー時代の武内を知る新規オープンしたビリヤード場の店主ユキと出会い、父の実力の凄さを知らされる。後日政夫は人づてに近々東京で日本一のハスラーを決める闇大会が開かれると聞くが、ユキから大会に出るには150万円もの軍資金が必要と告げられる。一方、邦彦とまち子は孤独な似た者同士として交流を深めて行き、その後自然な流れで異性として惹かれ合いお互いの寂しさを埋めるように男女の関係を持つ。
そんな中、闇大会出場資金の工面に困った政夫は『梅の木』に訪れ、「邦彦が学費を滞納し、退学を回避するには150万円必要」とまち子を騙して軍資金を手に入れ東京に旅立つ。翌日、『梅の木』の板前から話を聞いた武内は政夫の代わりにまち子に金を返すが、邦彦は親友だった政夫に裏切られて傷つき、書置きを残して喫茶店を辞めて街を出て行く事にした。武内は政夫を探して偶然訪れたビリヤード場で、名人ハスラーの孫であるユキと再会すると、心の中で抑えていたハスラー魂が目を覚ます。武内は政夫とハスラーとして人生を賭けた勝負をすることを決め、自身のハスラー時代の打ち方を知るユキに助言を受けながら、15年間のブランクで鈍ったハスラーの勘を数日かけて取り戻そうとする。
別の街で住み込みで看板書きのペンキ職人として働いていた邦彦はその後まち子に探し出され、「一緒に暮らして欲しい」という彼女の願いを聞き入れ彼女との同棲を決心する。武内がユキの店での毎夜の練習でかつてのハスラーの腕を取り戻しつつあった頃、店に邦彦が訪れた。まち子との同棲を始めることを武内に報告し、これまでの感謝の言葉を述べた。その直後、東京の闇大会から帰郷した政夫が現れる。政夫は武内から「邦ちゃんはうちを出ていくことになった。お前のせいや。わしと勝負せい。お前が勝てば喫茶店を売るなり好きにしていい。負けたらハスラーから足を洗え。一生玉突きをやめろ」と告げられる。政夫は「おもろいやないけ。やったろやないけ!」と勝負を受ける。ナインボール5ゲーム先取りの9回戦勝負。まず先攻の政夫が数ゲーム独走でリードする。だが武内はゲームの流れの頃合いを見計らって心理戦でプレッシャーをかけ始めた。それは武内家にとって秘密にしていた武内両親夫婦と武内親子の過去について、奈落のどん底に落とされるような事実を語りだしたのだった。それを聞いて凍りつく邦彦、ユキ。顔面蒼白になって泣き崩れる政夫。政夫はビリヤードテーブルの玉触りをしてファールしてしまう。「ファールやな。どけ。どかんかい!」と息子を突き飛ばす父。「汚いやないけ!」と泣きながら訴える政夫に対し、武内は「これがバクチや。博打に汚いも綺麗もあるか。せやから言うた筈やぞ。博打はやめい、と」と言って博打勝負のハスラーの真髄を政夫に見せつける。技術的には五分と五分。だが、勝負師として酸いも甘いも知る武内の前に政夫は全く太刀打ちできなくなっていた。武内は一気に4ゲームを連取し、親子対決の真剣勝負は熾烈な最終ステージへと入っていく。2人の真剣勝負は4対4の最終ゲームになった。「ファイナルセット」とラストゲームを告げるユキ。緊迫感高まる肉親同士の真剣勝負に耐えきれなくなった邦彦は、ラストゲームの勝敗の行方を見ずにユキの店を飛び出した。そして人で賑わう夜の道頓堀をまち子が待つアパートへ急ぎ向かうのだった。その道頓堀の街には予想もしない邦彦のラストゲームが待っていた。
キャスト
- まち子
- 演 - 松坂慶子
- 小料理屋『梅の木』の女将(ママ)。邦彦より数歳年上。『梅の木』の2階で暮らしており、1階の一室で右の前足に障害のある“コタロー”と名付けた犬を飼っている。両親は既に亡くなっており天涯孤独の身だが、スポンサーの男性がいる。好きなものはレモンで、下戸らしくお酒が苦手。乱暴な人や嘘つきな人は嫌い。普段は人当たりが良いが、家族がいないということで人知れず寂しさを抱えている。
- 安岡邦彦
- 演 - 真田広之
- 19歳。あだ名は『くにちゃん』。父を早くに亡くし母子家庭育ちだったが、先日母が病死したばかり。1ヶ月前から喫茶店『リバー』のウェイターをしながら、母が残してくれた学費で美術大学に通っている。面倒見のいい優しい性格で誰かが困っていると助けたくなる性分でお人好し。一応絵描きの卵として絵の勉強をしているが特に決まった目標はなく将来を迷っている状態。
- 武内鉄男
- 演 - 山﨑努
- 道頓堀川沿いにある喫茶店『リバー』のマスター。邦彦の雇い主で、彼の父親代わり。妻は既に亡くなっている。15年前までハスラーとして日本一になるほどの実力を持っていた。10年以上前から半ば引退状態で現在は喫茶店で客と雑談しながらのんびりと接客しており、ビリヤードとは無縁の生活を送っている。
- 武内政夫
- 演 - 佐藤浩市、坂内真基(幼少時代)
- 武内の息子。邦彦の友達で彼から『まーちゃん』と呼ばれている。唯一の取り柄がビリヤードで日本一のハスラーになることを夢見ている。自身がハスラーになることについて否定的な武内に反発し、最近は自宅に帰っていない状態。基本的に自己中心的で甘ったれな性格のドラ息子だが、ビリヤードのことになると野心家で強気な言動をする。
ビリヤード関連
- ユキ
- 演 - 加賀まりこ、紗貴めぐみ(10代のユキ)
- ビリヤード場『紅白』のママ。ハスラー界で名の知れた玉田の孫。10代の頃に玉田のビリヤードを間近で見ていたことから自身もビリヤードの技術などに長けており、武内とも何度か交流した過去がある。気っ風のいい芯の強い姉御肌な性格で、考え方が甘い政夫に率直な意見を口にする。
- 玉田
- 演 - 大滝秀治
- ビリヤードの名人。故人。過去にハスラーとして名を馳せた。16年前に武内がビリヤードで対戦した相手。現在は既に亡くなっており生前武内について「彼は天才。自分が死んだら次の日本一は彼になるに違いない」と評していた。
- 渡辺
- 演 - 渡瀬恒彦
- ハスラー。政夫によると大阪で一番の凄腕。根は真面目な性格だが、覚せい剤を常用して影響でさとみの金をシャブ代に使ったりしている。ハスラー時代の武内を知っており、彼の実力に脱帽している。
- 野口
- 演 - 片桐竜次
- ヤクザ。組のシマにあるビリヤード場などでショバ代を取るなどしている。渡辺と政夫の賭けビリヤード対決を見届ける。裏では渡辺に覚せい剤を売っている。金にがめつい性格で汚い手を使う。
- 木村
- 演 - 成瀬正
- ハスラー。ユキのビリヤード場の客。新人ハスラーの政夫の強さを聞きつけて彼と試合をするために神戸市から大阪までやって来る。しかし試合の賭け金が用意できなかった政夫に「大したことあらへんな」と悪態をつく。
- 風間
- 演 - 加島潤
- 木村の知人。具体的な関係は不明だが木村からは敬語を使って話されている。政夫に曲玉(きょくだま。球をジャンプさせるなどの高度な技を使ったショット)[注 3]を見せられて驚く。
その他
- 勝さん
- 演 - 名古屋章
- 『梅の木』の雇われの板前でまち子と2人で店を切り盛りしている。曲がったことが嫌いで政夫がまち子から大金を借りようとした時に彼女に助言する。まち子が2階にいる時に1階の店内に呼び出す時は、いつも階段の柱を叩いて知らせる。
- 田村
- 演 - 安部徹
- まち子のスポンサー(支援者)。70代の男。淀屋橋にある大きな不動産会社の社長。5年前まで芸姑をしていたまち子を引き上げて『梅の木』の開店資金を出したり、彼女の両親が亡くなった時に世話をするなど彼女にとって恩義のある人。武内から「貫禄のある立派な人」と評されている。
- かおる
- 演 - カルーセル麻紀
- ゲイボーイ。『リバー』の常連客で邦彦とも顔見知り。今で言うニューハーフバーのような店で働く。普段は自虐を含めた辛口な言葉を用いて陽気に振る舞っているが、時にしおらしい態度を見せたり心ない言動に心を痛めることもある。恋人の石塚に惚れ込んでいるが彼に振り回されていることに悩んでいる。
- 石塚
- 演 - 柄本明
- かおるの恋人。仕事は流しらしく、着流しを着て三味線を持って夜の街をうろついたり、かおるの部屋でお座敷唄らしき歌を歌っている。一見すると大人しそうに見えるがどことなく凄みがあり、時にかおるに手をあげることもある。嘘つきでしたたかな性格。
- さとみ
- 演 - 古館ゆき
- 渡辺の妻。高校3年生の頃の邦彦のクラスメイト。現在は、踊り子でキャバレーを回って各店のダンスショーで踊って生活費を稼いでいる。ビリヤードだけが取り柄だが、違法薬物に手を出した渡辺に振り回される。
- 鈴子
- 演 - 岡本麗
- 武内の妻。政夫の母。故人。政夫が子供の頃に亡くなっている。ハスラーをしていた頃の武内が家庭よりビリヤードを優先するあまり自身は辛い時期を過ごした。
- リカ
- 演 - 横山リエ
- 『リバー』の常連客。ホステスらしき女性で、昼過ぎぐらいに喫茶店に訪れかおるたちと顔を合わせる。かおるとは水商売の良きライバルで冗談や嫌味を言い合うが仲は良い。
- ゲイボーイ
- 演 - アミー、花井優、美露
- かおるの仕事仲間で『リバー』の常連客。かおると似たように明るい性格で歯に衣着せぬ物言いで場を盛り上げる。
- ドヤの中年男
- 演 - 浜村純
- ドヤ街にある簡易宿所に寝泊まりする同性愛者らしきおじさん。ある日客として泊まりに来た邦彦とベッドが近くにあったことから彼に声をかける。
スタッフ
- 監督 - 深作欣二
- 原作 - 宮本輝「道頓堀川」(筑摩書房刊)
- 脚本 - 野上龍雄、深作欣二
- 撮影 - 川又昂
- 音楽 - 若草恵
- 美術 - 森田郷平
- 録音 - 原田真一
- 編集 - 太田和夫
- スチール - 長谷川宗平
- 助監督 - 満友敬司
- 照明 - 小林松太郎
- 製作 - 織田明、斎藤守恒
製作
製作としてクレジットされている松竹の織田明プロデューサーは、本作の企画は杉崎重美松竹企画部長と話している[1]。