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「同境」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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2024年03月22日12時09分付け仏語版より新しい節を追加(あの~、下線のところ一応仏語版ではイタリック表示で強調されているんですけど…)
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[[Image:Stef57_Cobordisme_en_dim_1.jpg | thumb | right | 一つの円周(<math>C_3</math>)と、分かれた二つの円周(<math>C_1</math>と<math>C_2</math>)の合併、による同境。]]
[[Image:Stef57_Cobordisme_en_dim_1.jpg | thumb | right | 一つの円周(<math>C_3</math>)と、分かれた二つの円周(<math>C_1</math>と<math>C_2</math>)の合併、による同境。]]
1次元に結合された唯一のコンパクト多様体は[[円 (数学) |円周]]に似た微分同相のものである。実際、1次元のコンパクト可微分多様体は分かれた有限個の円周の寄せ集めである。{{ 仮リンク | ズボン (数学) | en | pair of pants (mathematics) | label = 数学で謂うところのズボン }}はひとつの円周と二つの円周のひとつの合併による或る同境を実現する(反対側の図を見よ)。いわば、分かれた有限個の円周の全部の合併は、ひとつの円周におけるその一周との同境である。1次元の同境はいかなる情報も与えない。
1次元に結合された唯一のコンパクト多様体は[[円 (数学) |円周]]に似た微分同相のものである。実際、1次元のコンパクト可微分多様体は分かれた有限個の円周の寄せ集めである。{{ 仮リンク | ズボン (数学) | en | pair of pants (mathematics) | label = 数学で謂うところのズボン }}はひとつの円周と二つの円周のひとつの合併による或る同境を実現する(反対側の図を見よ)。いわば、分かれた有限個の円周の全部の合併は、ひとつの円周におけるその一周との同境である。1次元の同境はいかなる情報も与えない。

=== 高次元 ===

* [[実数空間 |<math>\R^n</math>]]におけるコンパクトな[[超曲面]]のすべては、或るコンパクトな領域を境界づける。そのような領域からひとつの球状のものを取り去ったならば、<math>\R^n</math>におけるコンパクトな超曲面のすべては、[[球面#任意次元|球面]]<math>S^{n-1}</math>と同境となる。
* 二次元の向き付け可能なコンパクトな曲面のすべては<math>R^3</math>における或るコンパクトな超曲面のようなものになる。先の例は二次元の向き付け可能な曲面のすべては同境であることをしめす。その同境は[[種数]]についての情報を与えない。
* 三次元の向け付け可能なコンパクト多様体のすべては球面<math>S^3</math>のようなもの(もしくは空集合、それは同様になる)と同境になる。その結果は高次元においては成り立たない。


== 制約条件 ==
== 制約条件 ==
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=== スティーフェル・ホイットニー数 ===
=== スティーフェル・ホイットニー数 ===


* <math>\Z / 2\Z</math>における係数によるすべての特性類は(正規化の手法により)その[[スティーフェル・ホイットニー類]]に関する或る[[多項式]]のように記述される。
* [[剰余類環#2 を法とする剰余類環|<math>\Z / 2\Z</math>]]<!-- <- 左数式にリンク有り。 -->における係数によるすべての特性類は(正規化の手法により)その[[スティーフェル・ホイットニー類]]に関する或る[[多項式]]のように記述される。
* <math>n</math>次元可微分多様体のすべてにおいて、<math>n</math>の[[集合の分割|分割]]<math>s</math>のすべては、<math>\Z / 2\Z</math>における[[スティーフェル・ホイットニー類#スティーフェル・ホイットニー数|スティーフェル・ホイットニー数]]<math>w_s ( M )</math>に結び付けられる。
* <math>n</math>次元可微分多様体のすべてにおいて、<math>n</math>の[[集合の分割|分割]]<math>s</math>のすべては、<math>\Z / 2\Z</math>における[[スティーフェル・ホイットニー類#スティーフェル・ホイットニー数|スティーフェル・ホイットニー数]]<math>w_s ( M )</math>に結び付けられる。


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{{ math theorem | [[トムの定理]] | 同じ次元の二つの可微分多様体が同じスティーフェル・ホイットニー数を持ては、それらは同境である。}}
{{ math theorem | [[トムの定理]] | 同じ次元の二つの可微分多様体が同じスティーフェル・ホイットニー数を持ては、それらは同境である。}}


== h‐同境理論 ==
== 脚注または引用文献 ==

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h‐同境理論は'再定義'({{lang-fr-short| [[wikt:recollements|recollements]]}})<!-- こんな仏語ある?英語じゃないの? -->および位相的構成の用語での同境における理解を与える<ref group = "脚注">「h‐同境」のhは[[ホモトピー#ホモトピー同値 |ホモトビー同値]]の英語の頭文字である。</ref>。その証明は{{ 日本語版にない記事リンク | モース関数 | fr | fonction de Morse }}と[[モース理論]]の基礎の利用においてそれ自体を成り立たせる。

== 脚注 ==

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== 引用文献 ==

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* {{cite journal |language = fr | first = R. | last = Thom | authorlink = ルネ・トム | title = Quelques propriétés globales des variétés différentiables | journal = Commentarii Mathematici Helvetici | year = 1954 | issn=0010-2571 | url = https://link.springer.com/content/pdf/10.1007%2FBF02566923.pdf | pages = 17 - 86 | ref = harv }}
* {{cite journal |language = fr | first = R. | last = Thom | authorlink = ルネ・トム | title = Quelques propriétés globales des variétés différentiables | journal = Commentarii Mathematici Helvetici | year = 1954 | issn=0010-2571 | url = https://link.springer.com/content/pdf/10.1007%2FBF02566923.pdf | pages = 17 - 86 | ref = harv }}

2024年3月22日 (金) 11:18時点における版

微分位相幾何学において、同境(読み:どうきょう、: cobordism: Kobordismus: cobordisme: Бордизм: 配边)とはコンパクト可微分多様体におけるひとつの同値関係である。もし二つのコンパクト可微分多様体が或るコンパクト多様体の境界のような境界のようになることを与えるならば、それらは同境な(形容詞:: cobordant)または同境である: cobordisme)。からのひとつの同境を実現しても、このような多様体からのひとつの同境である。そのような同境についての存在はが同じ次元であることに関係する。

厳密にいうと、同境は同値関係ではない、なぜなら或る一定の次元の可微分多様体における類別は集合ではない。しかしながら、二つの多様体が同境であるにはこれらの多様体の微分同相の同値類での同一性に依存することが与えられている。同境は、微分同相を除いて区別する次元の可微分多様体における集合での同値関係を定める。

規約しだいで、或る多様体は可算コンパクトを満たす。各々のコンパクトは局所地図 フランス語: carte locale の領域の有限な個数において覆われることを与えられ、そして各々の領域は開集合で一体化する。或る可微分多様体はこのようにして連続体濃度である。次元の可微分多様体の類は実数の集合における次元の可微分多様体の集合のひとつの商として得られるのに似た微分同相により同一視される。

向き付けられた可微分多様体についての同境であるところの、より詳細な関係がある。境界をもつ或る多様体における或る向き付けはその境界における或る向き付けから得られる。連結する向き付け可能な可微分多様体について、異なった二つの向き付けが存在する。この向け付けが取り挙げられることにおいて一つあれば、は向き付けられると呼ばれる。二番目の向き付けの負の多様体をで記す。コンパクトな境界を持った或る多様体が存在し、における直和が境界となるような向き付けが存在すれば、二つの向き付けられたコンパクト多様体は互いに同境と呼ばれる。によって向き付けられた同境であると呼ばれる。

記事冒頭において取り上げるべきその他の同境についての概念も同じく存在する。

同境の例

0次元

0次元のコンパクト多様体はまさしく点の有限集合である[要出典]。微分同相は全単射である。微分同相を除いて、それらは基数によって分類される。コンパクトな境界をもつ1次元のひとつの多様体は分かれた、区間における複写物(: copy)ならびに円周の複写物の、単なる集まりである。区間の利用は幾つかの点の対を無効にする或る同境に対して可能にされる。これに対し、ひとつの点は点の対に対して同境ではない。実際、二つの有限集合はそれらが同じ偶奇性をもつ基数であるならば同境である。

関係する多様体のすべてのように、(またはの)記号をもって記される、二つの向き付けを或る点は確かに有する。0次元の向き付けられたコンパクト多様体は記号の有限な集まりである。向き付けられた区間の複写物を使うことは、記号を取り消す、もしくは記号を生み出すことに逆な、向き付けられた同境を可能にする。数学で謂うところの署名英語版を呼び出す、記号の個数から記号の個数を差し引いたものは、向き付けられた同境についての不変量である。

1次元

一つの円周(上部)と、分かれた二つの円周(下部)の合併、による同境。
一つの円周()と、分かれた二つの円周()の合併、による同境。

1次元に結合された唯一のコンパクト多様体は円周に似た微分同相のものである。実際、1次元のコンパクト可微分多様体は分かれた有限個の円周の寄せ集めである。数学で謂うところのズボン英語版はひとつの円周と二つの円周のひとつの合併による或る同境を実現する(反対側の図を見よ)。いわば、分かれた有限個の円周の全部の合併は、ひとつの円周におけるその一周との同境である。1次元の同境はいかなる情報も与えない。

高次元

  • におけるコンパクトな超曲面のすべては、或るコンパクトな領域を境界づける。そのような領域からひとつの球状のものを取り去ったならば、におけるコンパクトな超曲面のすべては、球面と同境となる。
  • 二次元の向き付け可能なコンパクトな曲面のすべてはにおける或るコンパクトな超曲面のようなものになる。先の例は二次元の向き付け可能な曲面のすべては同境であることをしめす。その同境は種数についての情報を与えない。
  • 三次元の向け付け可能なコンパクト多様体のすべては球面のようなもの(もしくは空集合、それは同様になる)と同境になる。その結果は高次元においては成り立たない。

制約条件

二つの可微分多様体が同境にあることを妨げるホモロジー的性質の制約条件がある。この制約条件は特性類を用いる[1]

スティーフェル・ホイットニー数

ポントリャーギンの定理 ―  同じ次元の二つの可微分多様体がもし同境であれば、それらは同じスティーフェル・ホイットニー数を持つ。

トムの定理 ―  同じ次元の二つの可微分多様体が同じスティーフェル・ホイットニー数を持ては、それらは同境である。

h‐同境理論

h‐同境理論は'再定義'(: recollements)および位相的構成の用語での同境における理解を与える[脚注 1]。その証明はモース関数 フランス語: fonction de Morse モース理論の基礎の利用においてそれ自体を成り立たせる。

脚注

  1. ^ 「h‐同境」のhはホモトビー同値の英語の頭文字である。

引用文献

  • Thom, R. (1954). “Quelques propriétés globales des variétés différentiables” (フランス語). Commentarii Mathematici Helvetici: 17 - 86. ISSN 0010-2571. https://link.springer.com/content/pdf/10.1007%2FBF02566923.pdf. 
  • Stong, Robert (2016 (first edition, 1968)) (英語). Notes on Cobordism theory. Princeton: Princeton University Press. ISBN 978-0-691-64901-6