特性類 (とくせいるい、英 : Characteristic class ) は、位相群 を構造群とするファイバーバンドル の不変量 であり、(十分性質がよい)位相空間 X を底空間とするファイバーバンドル
π
:
E
→
X
{\displaystyle \pi ~:~E\to X}
に対し、X のコホモロジー 群の元を対応させる対応関係
c
:
ξ
=
(
E
,
X
,
π
)
↦
c
(
ξ
)
∈
H
q
(
X
;
A
)
{\displaystyle c~:~\xi =(E,X,\pi )\mapsto c(\xi )\in H^{q}(X;A)}
で、「自然な」ものである。
原理的には任意のファイバーバンドルに対して特性類を定義できるが、研究が進んでいるのは主にベクトルバンドル に対する特性類である。ベクトルバンドルの特性類は以下の数学の分野に応用がある:
またX が可微分多様体 であれば、X の接バンドル TX の特性類をX 自身の不変量とみなす事ができる。接バンドルTX はX の可微分構造に依存しているので、ミルナー はTX の特性類を利用する事により、7次元球面と位相同型だが微分位相同型ではない可微分多様体 (英語版 ) の存在を示した。
1935年の多様体上のベクトル場についてのエドゥアルト・シュティーフェル (Eduard Stiefel) とハスラー・ホイットニー (Hassler Whitney) の仕事より、特性類の考え方が発生した。
以下、F をファイバーに持つファイバーバンドルの事をF - バンドルと呼ぶこととし、全空間E 、底空間X および射影
π
:
E
→
X
{\displaystyle \pi ~:~E\to X}
からなるF - バンドルを
(
E
,
X
,
π
)
{\displaystyle (E,X,\pi )}
と表記する。特性類の概念を厳密に定義するには圏論 の概念を使う必要があるので、まずは若干厳密性を犠牲にした定義を以下に述べる:
定義 (特性類 ) ― G を位相群 とし、F をG が作用する位相空間とし、A をアーベル群 とし、さらにq を非負整数とする。このとき次数q のA 係数特異コホモロジー 群におけるG に関する特性類 とは、CW複体 を底空間とし構造群G を持つF -バンドル
ξ
=
(
E
,
X
,
π
)
{\displaystyle \xi =(E,X,\pi )}
にコホモロジー群
H
q
(
X
;
A
)
{\displaystyle H^{q}(X;A)}
の元を対応させる「対応関係」
c
:
ξ
=
(
E
,
X
,
π
)
↦
c
(
ξ
)
∈
H
q
(
X
;
A
)
{\displaystyle c~:~\xi =(E,X,\pi )\mapsto c(\xi )\in H^{q}(X;A)}
で、任意のCW複体X 、Y 、構造群G を持つY 上の任意のF -バンドル
ξ
=
(
E
,
Y
,
π
)
{\displaystyle \xi =(E,Y,\pi )}
、および任意の連続写像
f
:
X
→
Y
{\displaystyle f~:~X\to Y}
に対し、
f
∗
(
c
(
ξ
)
)
=
c
(
f
∗
(
ξ
)
)
{\displaystyle f^{*}(c(\xi ))=c(f^{*}(\xi ))}
が成立するものの事をいう。またF -バンドル
ξ
{\displaystyle \xi }
のc による像
c
(
ξ
)
{\displaystyle c(\xi )}
の事をξ の(c に関する)特性類 と呼ぶ[ 1] 。
上の定義における記号の意味を説明すると、
f
∗
(
c
(
ξ
)
)
=
c
(
f
∗
(
ξ
)
)
{\displaystyle f^{*}(c(\xi ))=c(f^{*}(\xi ))}
における左辺の
f
∗
{\displaystyle f^{*}}
は、f がコホモロジーに誘導する写像
f
∗
:
c
(
ξ
)
∈
H
q
(
Y
,
A
)
↦
f
∗
(
c
(
ξ
)
)
∈
H
q
(
X
,
A
)
{\displaystyle f^{*}~:~c(\xi )\in H^{q}(Y,A)\mapsto f^{*}(c(\xi ))\in H^{q}(X,A)}
の事であり、右辺の
f
∗
{\displaystyle f^{*}}
はX 上のF -バンドル
ξ
=
(
E
,
X
,
π
)
{\displaystyle \xi =(E,X,\pi )}
のf による引き戻しによって定義されるY 上のF -バンドルの事である。
上の定義に関して2つの注意点を述べる。第一に、上の定義におけるバンドル写像f は構造群G のF への作用と両立するもののみを考えている。したがって例えばn 次元実ベクトルバンドル を
G
L
n
(
R
)
{\displaystyle \mathrm {GL} _{n}(\mathbb {R} )}
を構造群として持つ
R
n
{\displaystyle \mathbb {R} ^{n}}
-バンドルとみなしたとき、各点
x
∈
X
{\displaystyle x\in X}
のファイバー
F
x
{\displaystyle F_{x}}
上にバンドル写像f を制限した
f
|
x
:
F
x
→
F
y
{\displaystyle f|_{x}~:~F_{x}\to F_{y}}
は線型同型写像でなければならず、行列式が0 になってはならない。逆に言えば、いずれかの点
x
∈
X
{\displaystyle x\in X}
で行列式が0 になるf に対しては
f
∗
(
c
(
ξ
)
)
=
c
(
f
∗
(
ξ
)
)
{\displaystyle f^{*}(c(\xi ))=c(f^{*}(\xi ))}
が成立する必要はないし、次元が異なるベクトルバンドル間の写像に関してもこの性質が成立する必要はない。
第二に、本項では多くの教科書と同様、ファイバーバンドルの底空間B がCW複体 である場合に限定して特性類を定義したが、より一般の空間、例えばパラコンパクト な位相空間に対しても特性類を定義できる[ 2] 。ただしこの場合本項で述べる性質のいくつかは成立しない[ 2] 。なお幾何学における多くの用途ではCW複体を対象にすれば十分である。実際、任意の可微分多様体は単体的複体 、したがってCW複体と位相同型になる事が知られており[ 3] 、(可微分とは限らない)位相多様体もコンパクトな場合はCW複体とホモトピー同型になる事が知られている[ 3] 。さらにいえば任意の位相空間はCW複体と弱ホモトピー同型 (英語版 ) である[ 4] 。
また本項では底空間B に対してはCW複体である事を要求したものの、構造群G 、ファイバーF 、全空間E は(CW複体とは限らない)任意の位相群、位相空間でよい。
構造群を持つファイバーバンドルの性質として以下が知られている:
すなわち特性類を考える上では、底空間の間の写像はホモトピークラスのみを考慮すればよい。
以上では特性類の定義に「対応関係」という未定義の言葉を使ったが、圏論 の概念を使えばこうした未定義の語に頼らずに特性類の概念を定義できる:
なお、上述の特性類の定義において圏CW の射は連続写像としたが、下記の定理より、これを胞体写像に変えても定義は同値になる:
定理 (胞体近似定理 (英 : cellular approximation theorem )) ― X 、Y をCW複体とすると、
任意の連続写像
f
:
X
→
Y
{\displaystyle f~:~X\to Y}
は胞体写像(英 : cellular map )とホモトープである[ 5] 。
特性類に登場するコホモロジーとして、特異コホモロジーより簡便な(だが特異コホモロジーと同値である)胞体コホモロジーを用いる場合は議論に胞体写像を用いる必要があるのでこの定理は有用である。
以下の事実は特性類を具体的に定義する上で鍵となる重要な性質である:
定理 ― 構造群G のファイバーF への作用が効果的であれば[ 6] 、構造群G を持つF -バンドルと、構造群G を持つ主G -バンドル と1対1対応する[ 7] 。
この定理と特例類の定義からファイバーバンドルの特性類と主バンドルの特性類が1対1対応するという重要な事実が明らかに従う:
この事実からファイバーバンドルに対して特性類を定義するには主バンドルに対して特性類が定義できる事が必要十分である 事がわかる。そこで以下、おもに主バンドルにフォーカスして特性類の議論をすすめる事とする。
なお上の定理ではG がF に効果的に作用している事を仮定しているが、多くの場合この仮定は必須ではない。実際、F が十分性質の良い空間、たとえはCW複体であれば、G のF への作用が連続である必要十分条件は、G のF へ作用のから定まる写像
ϕ
:
G
→
H
o
m
e
o
(
F
)
{\displaystyle \phi ~:~G\to \mathrm {Homeo} (F)}
が(
H
o
m
e
o
(
F
)
{\displaystyle \mathrm {Homeo} (F)}
にコンパクト開位相 を入れたとき)連続になる事である[ 6] 。よってG の作用が忠実ではない場合であっても、写像
ϕ
{\displaystyle \phi }
のカーネル で割った位相群
G
/
k
e
r
ϕ
{\displaystyle G/\mathrm {ker} \phi }
はF へ忠実かつ連続に作用するので、F -バンドルの特性類を定義するには主
G
/
k
e
r
ϕ
{\displaystyle G/\mathrm {ker} \phi }
-バンドルの特性類を定義すれば良い。
本節では位相群の分類空間 のいう概念を導入し、分類空間の概念を用いて主バンドルの特性類の概念を全く別の角度から特徴づける。この分類空間を用いた特性類の定義は、後の節で特性類の具体例を構築する上で非常に有益である。
分類空間の概念を定義するため、まず以下の概念を定義する。
定義 ― 位相空間X が弱可縮 (英語版 ) であるとは、任意の自然数n に対し、n 次のホモトピー群
π
n
(
X
)
{\displaystyle \pi _{n}(X)}
が0 になる事である。
弱可縮の概念を用いて、分類空間の概念は以下のように定義される:
定義 ― G を位相群とする。
(
P
,
B
,
π
)
{\displaystyle (P,B,\pi )}
を主G -バンドルでP が弱可縮なものとするとき、B の事をG の分類空間 (英 : classifying space )といい、
(
P
,
B
,
π
)
{\displaystyle (P,B,\pi )}
を(あるいは単にP を)普遍G -バンドル (英 : universal G-bundle )という[ 8] 。
「分類空間」という名称の由来は次節に回すが、分類空間は必ず存在し、本質的に一意である:
定理 (普遍G -バンドルの存在性と本質的な一意性 ) ― 任意の位相群G に対し、分類空間とその上の普遍G -バンドルが存在する。しかも分類空間はcanonicalなホモトピー同型を除いて一意であり、普遍G -バンドルもG -ホモトピー同型を除いて一意である。さらに分類空間としてCW複体を取る事が可能である[ 8] 。
記号の定義 ― G の(ホモトピー同型を除いて)一意に存在する分類空間、普遍G -バンドルをそれぞれBG 、PG と表記する。
上述したように、分類空間はホモトピー同型を除いて一意ではあるものの、同一の位相群に対し位相同型ではない複数の分類空間が存在しうる。このため位相群に対する個々の分類空間の事を分類空間のモデル (英 : model )という[ 8] 。
分類空間はその名称が示す通り、与えられた底空間上のG -バンドルは、底空間から普遍G -バンドル
(
P
G
,
B
G
,
π
G
)
{\displaystyle (PG,BG,\pi _{G})}
への写像のホモトピークラスにより完全に分類される:
定理 (分類定理 ) ― G を位相群とし、
(
P
,
B
,
π
G
)
{\displaystyle (P,B,\pi _{G})}
を主G -バンドルとする。
さらにX を任意のCW複体とし、
[
X
,
B
]
{\displaystyle [X,B]}
をX からB への連続写像のホモトピークラス全体の集合とし、
P
G
(
X
)
{\displaystyle {\mathcal {P}}_{G}(X)}
をX 上の主G -バンドルの同型類の集合とする。
このとき
(
P
,
B
,
π
G
)
{\displaystyle (P,B,\pi _{G})}
が普遍G -バンドルである必要十分条件は任意のCW複体X に対し、
[
f
]
∈
[
X
,
B
]
↦
f
∗
(
P
)
∈
P
G
(
X
)
{\displaystyle [f]\in [X,B]\mapsto f^{*}(P)\in {\mathcal {P}}_{G}(X)}
が全単射な事である[ 8] 。ここで
f
∗
(
P
)
{\displaystyle f^{*}(P)}
は
f
:
X
→
B
{\displaystyle f~:~X\to B}
によるP のX への引き戻しである。
なお、上の定理において写像
[
f
]
∈
[
X
,
B
]
↦
f
∗
(
P
)
∈
P
G
,
F
(
X
)
{\displaystyle [f]\in [X,B]\mapsto f^{*}(P)\in {\mathcal {P}}_{G,F}(X)}
がwell-defined な事は、ホモトープな2つの写像が引き戻したバンドルは互いに同型な事だというすでに見た事実 から従う。
上記の定理から、X 上の任意の主G -バンドルξ に対し、写像
f
:
X
→
B
{\displaystyle f~:~X\to B}
がホモトピー同値を除いて一意に定まる。このf の事をξ の分類写像 (英 : classifying map )という[ 9] 。
構造群G を持つファイバーバンドルと主G -バンドルは1対1対応するので、上記の定理から一般のファイバーバンドルに対する分類定理が系として従う:
系 (ファイバーバンドルに対する分類定理 ) ― G を位相群とし、
(
P
,
B
,
π
G
)
{\displaystyle (P,B,\pi _{G})}
を普遍G -バンドルとし、F をG が忠実に作用する位相空間とし、
(
E
,
B
,
π
G
)
{\displaystyle (E,B,\pi _{G})}
を
(
P
,
B
,
π
G
)
{\displaystyle (P,B,\pi _{G})}
に随伴するF -バンドルとする。さらにCW複体X に対し、構造群G を持つX 上のF -バンドル全体の集合を
E
G
,
F
(
X
)
{\displaystyle {\mathcal {E}}_{G,F}(X)}
とする。
このとき、任意のCW複体X に対し、
[
f
]
∈
[
X
,
B
]
↦
f
∗
(
E
)
∈
E
G
,
F
(
X
)
{\displaystyle [f]\in [X,B]\mapsto f^{*}(E)\in {\mathcal {E}}_{G,F}(X)}
が全単射である[ 10] 。
分類定理の場合と同様、X 上のF -バンドルξ に対応する写像
f
:
X
→
B
{\displaystyle f~:~X\to B}
をξ の分類写像 (英 : classifying map )という[ 9] 。
G が離散群である場合は、定義より明らかに次が成立する:
定理 ― 離散群 G に対し、G のアイレンベルグ・マックレーン空間 (英語版 ) (英 : Eilenberg-Maclane space )
K
(
G
,
1
)
{\displaystyle K(G,1)}
、およびその普遍被覆空間
π
:
P
→
K
(
G
,
1
)
{\displaystyle \pi ~:~P\to K(G,1)}
はG の分類空間、普遍G バンドルである[ 11] 。
この意味において、分類空間とは離散群におけるアイレンベルグ・マックレーン空間の概念を位相群に拡張したものである。
2つの位相群G 、H の間の連続な準同型写像
φ
:
G
→
H
{\displaystyle \varphi ~:~G\to H}
が与えられたとき、φ から分類空間の間の写像
B
φ
:
B
G
→
B
H
{\displaystyle B\varphi ~:~BG\to BH}
を定義できる。
この事を見るために主バンドルの一般論を簡単に復習する。
π
:
P
→
X
{\displaystyle \pi ~:~P\to X}
を主G -バンドルとし、
φ
:
G
→
H
{\displaystyle \varphi ~:~G\to H}
を連続準同型写像とするとき、
P
×
φ
H
{\displaystyle P\times _{\varphi }H}
を
P
G
×
H
{\displaystyle PG\times H}
を同値関係
(
a
g
,
h
)
∼
(
a
,
φ
(
g
)
h
)
for some
g
∈
G
{\displaystyle (ag,h)\sim (a,\varphi (g)h)~{\text{ for some}}~g\in G}
で割った空間とする事で、バランス積 (balanced product [ 12] )と呼ばれるX 上の主H -バンドル
[
(
a
,
h
)
]
∈
P
×
φ
H
↦
π
(
a
)
∈
X
{\displaystyle [(a,h)]\in P\times _{\varphi }H\mapsto \pi (a)\in X}
を構成できる。そこで
B
φ
:
B
G
→
B
H
{\displaystyle B\varphi ~:~BG\to BH}
を次のように定義する:
実はこの対応関係は関手になっている:
定理 ― 以下のようにB を定義すると、B は位相群の圏からCW空間のホモトピー同値類の圏への関手である[ 13] :
位相群G にBG を対応させる
連続準同型写像
φ
:
G
→
H
{\displaystyle \varphi ~:~G\to H}
に
B
φ
:
B
G
→
B
H
{\displaystyle B\varphi ~:~BG\to BH}
を対応させる。
本節では、後で特性類を計算するとき必要となる分類空間の性質を述べる。
分類空間の関手B は直積に関して以下のように振る舞う。
なお圏論的 に言えば、「
X
×
k
Y
{\displaystyle X\times _{k}Y}
」はコンパクト生成位相空間の圏における圏論的な直積になっている[ 14] 。
分類空間の概念を用いる事により、主バンドルに対する特性類の概念を以下のように特徴づける事ができる:
定理 (分類空間による特性類の特徴づけ ) ―
B
G
{\displaystyle BG}
を位相群G の分類空間とし、F をG が効果的に作用する位相空間とし、さらにA をアーベル群とする。
このとき構造群G を持つF -バンドルの特性類とBG のコホモロジー群
H
∗
(
B
G
;
A
)
{\displaystyle H^{*}(BG;A)}
の元は1対1対応する[ 1] 。
上述の定理の1対1関係は具体的に以下のようにかける。すでに述べたように構造群G の忠実な作用を持つ任意のF -バンドルの特性類は主G -バンドルの特性類と主G -バンドルの1対1対応するのでこの場合に話を限定する。
まず主G -バンドルの任意の特性類c に対し、
c
(
P
G
)
∈
H
∗
(
B
G
;
A
)
{\displaystyle c(PG)\in H^{*}(BG;A)}
が対応する。逆に
c
G
∈
H
∗
(
B
G
;
A
)
{\displaystyle c_{G}\in H^{*}(BG;A)}
を任意に選ぶと、主G -バンドル
ξ
=
(
P
,
X
,
π
)
{\displaystyle \xi =(P,X,\pi )}
に対し、分類定理 により分類写像
f
ξ
:
X
→
B
G
{\displaystyle f_{\xi }~:~X\to BG}
がホモトピーを除いて一意に定まるので、X のc に対する特性類を
c
(
ξ
)
:=
f
ξ
∗
(
c
G
)
∈
H
∗
(
X
;
A
)
{\displaystyle c(\xi ):=f_{\xi }{}^{*}(c_{G})\in H^{*}(X;A)}
により定義できる。
上の定理から、
H
∗
(
B
G
;
A
)
{\displaystyle H^{*}(BG;A)}
の元を普遍特性類 (英 : universal characteristic class )という事がある。上の定理は普遍特性類と特性類が1対1対応する事を意味している。
定理の証明は以下の通りである:
特性類の概念は原理的には任意の位相群の主バンドルに対して定義できるが、研究が進んでいるのはベクトルバンドル(の主バンドル)に対する特性類である。
そこでベクトルバンドルの特性類について記述するための準備として、本節ではベクトルバンドルの構造群の分類空間を具体的に記述する。
すなわち本節では
K
=
C
,
R
{\displaystyle K=\mathbb {C} ,\mathbb {R} }
に対し、一般線型群
G
L
n
(
K
)
{\displaystyle GL_{n}(K)}
の分類空間を記述する。さらに
R
{\displaystyle \mathbb {R} }
の場合にはベクトルバンドルに向き付けが定義可能なので、向き付け可能な
R
{\displaystyle \mathbb {R} }
上ベクトルバンドルの構造群である
G
L
n
+
(
R
)
{\displaystyle GL_{n}^{+}(\mathbb {R} )}
の分類空間についても記述する。ここで
G
L
n
+
(
R
)
{\displaystyle GL_{n}^{+}(\mathbb {R} )}
は行列式 が正の
R
{\displaystyle \mathbb {R} }
上可逆行列のなす群である。
本節ではさらに、ユニタリ群
U
n
{\displaystyle U_{n}}
、直交群
O
n
{\displaystyle O_{n}}
、回転群
S
O
n
{\displaystyle SO_{n}}
の分類空間についても記述する。後述するように
G
L
n
(
C
)
{\displaystyle GL_{n}(\mathbb {C} )}
、
G
L
n
(
R
)
{\displaystyle GL_{n}(\mathbb {R} )}
、
G
L
n
+
(
R
)
{\displaystyle GL_{n}^{+}(\mathbb {R} )}
の分類空間は、実はそれぞれ
U
n
{\displaystyle U_{n}}
、
O
n
{\displaystyle O_{n}}
、
S
O
n
{\displaystyle SO_{n}}
の分類空間と等しい。
GLn (K ) の分類空間を記述する為、本節ではスティーフェル多様体 (英語版 ) とグラスマン多様体 (英語版 ) を定義する。
後述するようにこれらはそれぞれ普遍GLn (K ) -バンドルの全空間、分類空間になる。
W が次元m の有限次元ベクトル空間の場合は、
V
n
W
{\displaystyle V_{n}W}
、
V
n
U
W
{\displaystyle V_{n}^{U}W}
、
V
n
O
W
{\displaystyle V_{n}^{O}W}
は集合として自然に
V
n
W
≃
G
L
m
(
K
)
/
G
L
m
−
n
(
K
)
V
n
U
W
≃
U
(
m
)
/
U
(
m
−
n
)
when
K
=
C
V
n
O
W
≃
O
(
m
)
/
O
(
m
−
n
)
when
K
=
R
{\displaystyle {\begin{aligned}V_{n}W&\simeq \mathrm {GL} _{m}(K)/\mathrm {GL} _{m-n}(K)\\V_{n}^{U}W&\simeq U(m)/U(m-n)~~{\text{when }}K=\mathbb {C} \\V_{n}^{O}W&\simeq O(m)/O(m-n)~~{\text{when }}K=\mathbb {R} \end{aligned}}}
という同一視ができ[ 注 3] 、上式右辺には多様体 としての構造が入る事がリー群 の一般論[ 注 4] から従うので、スティーフェル「多様体」と呼ぶ。W が無限次元の場合は
V
n
W
{\displaystyle V_{n}W}
、
V
n
U
W
{\displaystyle V_{n}^{U}W}
、
V
n
O
W
{\displaystyle V_{n}^{O}W}
は有限次元多様体にはならないが、言葉を混用してこの場合もスティーフェル「多様体」と呼ぶ。
スティーフェル多様体と同様、W が次元m の有限次元ベクトル空間であれば、
G
n
W
≃
G
L
m
(
K
)
/
(
G
L
n
(
K
)
×
G
L
m
−
n
(
K
)
)
≃
{
U
(
m
)
/
(
U
(
n
)
×
U
(
m
−
n
)
)
when
K
=
C
O
(
m
)
/
(
O
(
n
)
×
O
(
m
−
n
)
)
when
K
=
R
{\displaystyle G_{n}W\simeq \mathrm {GL} _{m}(K)/(\mathrm {GL} _{n}(K)\times \mathrm {GL} _{m-n}(K))\simeq {\begin{cases}U(m)/(U(n)\times U(m-n))~&~{\text{when }}K=\mathbb {C} \\O(m)/(O(n)\times O(m-n))~&~{\text{when }}K=\mathbb {R} \end{cases}}}
および
G
~
n
W
≃
G
L
m
(
K
)
/
(
G
L
n
+
(
K
)
×
G
L
m
−
n
(
K
)
)
≃
O
(
m
)
/
(
S
O
(
n
)
×
O
(
m
−
n
)
)
when
K
=
R
{\displaystyle {\tilde {G}}_{n}W\simeq \mathrm {GL} _{m}(K)/(\mathrm {GL} _{n}^{+}(K)\times \mathrm {GL} _{m-n}(K))\simeq O(m)/(SO(n)\times O(m-n))~~{\text{when }}K=\mathbb {R} }
という同一視ができ、この同一視により、
G
n
W
{\displaystyle G_{n}W}
、
G
~
n
W
{\displaystyle {\tilde {G}}_{n}W}
に多様体としての構造が入る。
スティーフェル多様体
V
n
W
{\displaystyle V_{n}W}
の元であるn -フレームにそのフレームの貼る部分空間を対応させる事で商写像
π
n
:
V
n
W
→
G
n
W
{\displaystyle \pi _{n}~:~V_{n}W\to G_{n}W}
を定義できる。
π
n
:
V
n
U
W
→
G
n
W
{\displaystyle \pi _{n}~:~V_{n}^{U}W\to G_{n}W}
、
π
n
:
V
n
O
W
→
G
n
W
{\displaystyle \pi _{n}~:~V_{n}^{O}W\to G_{n}W}
、
π
n
:
V
n
O
W
→
G
~
n
W
{\displaystyle \pi _{n}~:~V_{n}^{O}W\to {\tilde {G}}_{n}W}
も同様に定義できる。
上記の定理に関する留意点を述べる。
K
=
C
,
R
{\displaystyle K=\mathbb {C} ,\mathbb {R} }
に対する GLn (K )の分類空間は U (n )、O (n )の分類空間と同一な空間
G
n
K
∞
{\displaystyle G_{n}K^{\infty }}
である 。
これはCW複体上の任意のベクトルバンドルには必ず内積 が定義でき、グラム・シュミットの正規直交化法 によりGLn (K ) がU (n )、O (n ) に可縮である事が理由である[ 18] 。
分類定理 で述べたように、Gn K∞ 上の主GLn (K ) -バンドルVn K∞ に随伴するn 次元ベクトルバンドルは、任意のCW複体X 上のn 次元ベクトルバンドルを分類する上で有益である。このためVn K∞ に随伴するn 次元ベクトルバンドルの事を普遍n -平面バンドル (英 : universal n -plane bundle )[ 19] と呼ぶ。
バンドルの一般論から、普遍n -平面バンドルは
(
V
n
K
∞
×
K
n
)
/
G
L
n
(
K
)
{\displaystyle (V_{n}K^{\infty }\times K^{n})/GL_{n}(K)}
と表記できるが、より具体的に表記する事も可能である。
グラスマン多様体Gn Km はKm のn 次元部分ベクトル空間全体のなす多様体なので、グラスマン多様体の元V =ベクトル空間上のファイバーとして、V 自身を取ったベクトルバンドルを定義でき、これをグラスマン多様体のトートロジカル・バンドル (英語版 ) と呼ぶが、Gn K∞ のトートロジカル・バンドルが普遍n -平面バンドルになっている。
具体的には
E
n
m
:=
{
(
V
,
v
)
∈
G
n
K
m
×
K
m
∣
v
∈
V
}
{\displaystyle E_{n}^{m}:=\{(V,v)\in G_{n}K^{m}\times K^{m}\mid v\in V\}}
とし、第一成分への射影
π
n
m
:
(
V
,
v
)
∈
E
n
m
↦
V
∈
G
n
K
m
{\displaystyle \pi _{n}^{m}~:~(V,v)\in E_{n}^{m}\mapsto V\in G_{n}K^{m}}
により
E
n
m
{\displaystyle E_{n}^{m}}
をGn Km 上のベクトルバンドルとみなしたものがGn Km のトートロジカル・バンドルであり、m →∞ に関する帰納的極限をとった
π
n
:
E
n
→
G
n
K
∞
{\displaystyle \pi _{n}~:~E_{n}\to G_{n}K^{\infty }}
が普遍n -平面バンドルになっている[ 19] 。
本章では、複素ベクトルバンドルの特性類であるチャーン類 について述べる。これまでの議論からわかるように、複素ベクトルバンドルの整数係数の特性類とは分類空間
B
G
L
n
(
C
)
=
B
U
(
n
)
=
G
n
C
∞
{\displaystyle BGL_{n}(\mathbb {C} )=BU(n)=G_{n}\mathbb {C} ^{\infty }}
のコホモロジー
H
∗
(
B
U
(
n
)
;
Z
)
{\displaystyle H^{*}(BU(n);\mathbb {Z} )}
の元と1対1対応するので、
H
∗
(
B
U
(
n
)
;
Z
)
{\displaystyle H^{*}(BU(n);\mathbb {Z} )}
の具体的構成を調べる事で複素ベクトルバンドルの特性類を決定できる。チャーン類は、
H
∗
(
B
U
(
n
)
;
Z
)
{\displaystyle H^{*}(BU(n);\mathbb {Z} )}
の生成元である。
チャーン類について記述するため、まず
H
∗
(
B
U
(
n
)
;
Z
)
{\displaystyle H^{*}(BU(n);\mathbb {Z} )}
の具体的構成を調べる。
n
=
1
{\displaystyle n=1}
に対しては以下が成立する:
なお、上の補題において
α
{\displaystyle \alpha }
は偶数次のコホモロジーの元なので、
Z
[
α
]
{\displaystyle \mathbb {Z} [\alpha ]}
上カップ積は可換であるため、
Z
[
α
]
{\displaystyle \mathbb {Z} [\alpha ]}
が可換環であるという事実と矛盾しない。
一般のn に対して
H
∗
(
B
U
(
n
)
;
Z
)
{\displaystyle H^{*}(BU(n);\mathbb {Z} )}
の具体的構造を求めるため、連続準同型写像[ 注 6]
ι
:
U
(
1
)
n
↪
U
(
n
)
,
(
A
1
,
…
,
A
n
)
↦
A
1
⊕
⋯
⊕
A
n
{\displaystyle \iota ~:~U(1)^{n}\hookrightarrow U(n),~~(A_{1},\ldots ,A_{n})\mapsto A_{1}\oplus \cdots \oplus A_{n}}
を考える。ここで
A
1
⊕
⋯
⊕
A
n
{\displaystyle A_{1}\oplus \cdots \oplus A_{n}}
は
A
1
,
…
,
A
n
{\displaystyle A_{1},\ldots ,A_{n}}
をn ×n 行列の対角成分に配置した
U
(
n
)
{\displaystyle U(n)}
の元である。(なおリー群 の観点からは、
U
(
n
)
{\displaystyle U(n)}
の極大トーラス
U
(
1
)
n
{\displaystyle U(1)^{n}}
である)。このとき以下が成立する。
補題 (Splitting Principle ) ―
ι
{\displaystyle \iota }
が誘導する写像
ι
∗
:
H
∗
(
B
U
(
n
)
;
Z
)
→
H
∗
(
B
U
(
1
)
n
;
Z
)
≈
H
∗
(
B
U
(
1
)
;
Z
)
⊗
⋯
⊗
H
∗
(
B
U
(
1
)
;
Z
)
=
Z
[
α
1
,
…
,
α
n
]
{\displaystyle \iota ^{*}~:~H^{*}(BU(n);\mathbb {Z} )\to H^{*}(BU(1)^{n};\mathbb {Z} )\approx H^{*}(BU(1);\mathbb {Z} )\otimes \cdots \otimes H^{*}(BU(1);\mathbb {Z} )=\mathbb {Z} [\alpha _{1},\ldots ,\alpha _{n}]}
は単射環準同型である。ここでαi はi 番目の
H
∗
(
B
U
(
1
)
;
Z
)
{\displaystyle H^{*}(BU(1);\mathbb {Z} )}
の生成元である。
なお、上式においてコホモロジー環における積はカップ積である。また上式の値域における同型は直積に対する分類空間の振る舞い とKünnethの公式 (英語版 ) 、および上記の補題 から従う。
以上の事実から、後は
H
∗
(
B
U
(
n
)
;
Z
)
{\displaystyle H^{*}(BU(n);\mathbb {Z} )}
の
ι
∗
{\displaystyle \iota ^{*}}
による像が
Z
[
α
1
,
…
,
α
n
]
{\displaystyle \mathbb {Z} [\alpha _{1},\ldots ,\alpha _{n}]}
のどのような部分集合に落ちるかを決定すれば、
H
∗
(
B
U
(
n
)
;
Z
)
{\displaystyle H^{*}(BU(n);\mathbb {Z} )}
を具体的に書きあらわす事ができる。
H
∗
(
B
U
(
n
)
;
Z
)
{\displaystyle H^{*}(BU(n);\mathbb {Z} )}
の像を決定するため、主バンドル一般に対して成立する以下の事実を利用する:
命題 ―
任意の位相群G 、および任意の
g
∈
G
{\displaystyle g\in G}
に対し、G 上の内部自己同型
φ
g
:
h
↦
g
h
g
−
1
{\displaystyle \varphi _{g}~:~h\mapsto ghg^{-1}}
がBG に誘導する写像
B
φ
g
:
B
G
→
B
G
{\displaystyle B\varphi _{g}~:~BG\to BG}
は恒等写像 とホモトープである。
証明
命題を示すため、まず任意のu ∈ G に対し、バランス積
P
×
φ
u
G
{\displaystyle P\times _{\varphi _{u}}G}
はG -主バンドルとしてP と同型である事を示す。実際、
P
×
φ
u
G
{\displaystyle P\times _{\varphi _{u}}G}
はP × G を同値関係
(
a
,
h
)
≃
(
a
g
−
1
,
φ
u
(
g
)
h
)
{\displaystyle (a,h)\simeq (ag^{-1},\varphi _{u}(g)h)}
で割ったものとして定義されるので、写像
μ
:
P
→
P
×
φ
u
G
{\displaystyle \mu ~:~P\to P\times _{\varphi _{u}}G}
を
a
↦
[
(
a
u
,
1
)
]
{\displaystyle a\mapsto [(au,1)]}
により定義すると、任意の
[
(
a
,
h
)
]
∈
P
×
φ
u
G
{\displaystyle [(a,h)]\in P\times _{\varphi _{u}}G}
は
(
a
,
h
)
=
(
a
,
φ
u
(
φ
u
−
1
(
h
)
)
)
≃
(
a
φ
u
−
1
(
h
)
,
1
)
{\displaystyle (a,h)=(a,\varphi _{u}(\varphi _{u^{-1}}(h)))\simeq (a\varphi _{u^{-1}}(h),1)}
を満たすのでμ は全射である。また明らかに
μ
(
a
)
=
μ
(
b
)
⟺
[
(
a
,
1
)
]
=
[
(
b
,
1
)
]
⟺
a
=
b
{\displaystyle \mu (a)=\mu (b)\iff [(a,1)]=[(b,1)]\iff a=b}
なので、μ は単射でもある。μ とμ-1 の連続性の証明は省略する。
以上の事実を用いて命題を示す。定義より
B
φ
g
:
B
G
→
B
G
{\displaystyle B\varphi _{g}~:~BG\to BG}
は主バンドル
P
B
×
φ
g
G
→
B
G
{\displaystyle PB\times _{\varphi _{g}}G\to BG}
に対応する分類写像であり、上記の議論によりこの主バンドルは
P
G
→
B
G
{\displaystyle PG\to BG}
自身に等しいので、分類定理より
B
φ
A
{\displaystyle B\varphi _{A}}
は恒等写像とホモトープである。
A
∈
U
(
n
)
{\displaystyle A\in U(n)}
に対し
φ
A
:
B
↦
A
B
A
−
1
{\displaystyle \varphi _{A}~:~B\mapsto ABA^{-1}}
を
U
(
n
)
{\displaystyle U(n)}
上の内部自己同型 とすると、上述の命題より、
φ
A
{\displaystyle \varphi _{A}}
がコホモロジー群に誘導する写像
B
φ
A
∗
:
H
∗
(
B
U
(
n
)
;
Z
)
→
H
∗
(
B
U
(
n
)
;
Z
)
{\displaystyle B\varphi _{A}{}^{*}~:~H^{*}(BU(n);\mathbb {Z} )\to H^{*}(BU(n);\mathbb {Z} )}
は恒等写像である。単射
ι
{\displaystyle \iota }
により
U
(
1
)
n
{\displaystyle U(1)^{n}}
を
U
(
n
)
{\displaystyle U(n)}
の部分群とみなし、
U
(
1
)
n
{\displaystyle U(1)^{n}}
の正規化群
N
=
{
A
∈
U
(
n
)
∣
φ
A
(
U
(
1
)
n
)
=
U
(
1
)
n
}
{\displaystyle N=\{A\in U(n)\mid \varphi _{A}(U(1)^{n})=U(1)^{n}\}}
を
U
(
1
)
n
{\displaystyle U(1)^{n}}
の中心化群
Z
=
{
A
∈
U
(
n
)
∣
∀
B
∈
U
(
1
)
n
:
φ
A
(
B
)
=
B
}
{\displaystyle Z=\{A\in U(n)\mid \forall B\in U(1)^{n}~:~\varphi _{A}(B)=B\}}
で割った
W
=
N
/
Z
{\displaystyle W=N/Z}
を考え、
H
∗
(
B
U
(
1
)
n
;
Z
)
W
:=
{
u
∈
H
∗
(
B
U
(
1
)
n
;
Z
)
∣
∀
[
A
]
∈
W
:
B
φ
A
|
U
(
1
)
n
∗
(
u
)
=
u
}
{\displaystyle H^{*}(BU(1)^{n};\mathbb {Z} )^{W}:=\{u\in H^{*}(BU(1)^{n};\mathbb {Z} )\mid \forall [A]\in W~:~B\varphi _{A}|_{U(1)^{n}}{}^{*}(u)=u\}}
と定義する[ 注 7] とこの定義はWell-defined である。ここで
[
A
]
∈
W
=
N
/
Z
{\displaystyle [A]\in W=N/Z}
は同値類を表す。
このとき次の事実が従う事が知られている:
定理 ― 写像
ι
∗
:
H
∗
(
B
U
(
n
)
;
Z
)
→
H
∗
(
B
U
(
1
)
n
;
Z
)
W
≈
Z
[
α
1
,
…
,
α
n
]
W
{\displaystyle \iota ^{*}~:~H^{*}(BU(n);\mathbb {Z} )\to H^{*}(BU(1)^{n};\mathbb {Z} )^{W}\approx \mathbb {Z} [\alpha _{1},\ldots ,\alpha _{n}]^{W}}
は環同型である[ 20] 。
一般に連結 なコンパクト リー群G に対し、G の極大トーラスをT とするとき、T の正規化群
N
:=
{
g
∈
G
∣
φ
g
(
T
)
=
T
}
{\displaystyle N:=\{g\in G\mid \varphi _{g}(T)=T\}}
を中心化群
Z
:=
{
g
∈
G
∣
∀
t
∈
T
:
φ
g
(
t
)
=
t
}
{\displaystyle Z:=\{g\in G\mid \forall t\in T~:~\varphi _{g}(t)=t\}}
で割った群
W
(
G
)
:=
N
/
Z
{\displaystyle W(G):=N/Z}
の事をG のワイル群 という。なお極大トーラスは共役を除いて一意に定まる事が知られているので、ワイル群は極大トーラスの取り方によらず同型になる。またT の極大性から中心化群Z (G ) は実はT 自身に等しい。
明らかに前述のW は
U
(
n
)
{\displaystyle U(n)}
のワイル群に相当する。後は
U
(
n
)
{\displaystyle U(n)}
のワイル群を決定しさえすれば、
H
∗
(
B
U
(
n
)
;
Z
)
≈
H
∗
(
B
U
(
1
)
n
;
Z
)
W
{\displaystyle H^{*}(BU(n);\mathbb {Z} )\approx H^{*}(BU(1)^{n};\mathbb {Z} )^{W}}
の構造が決定できる。
P
i
j
:
C
n
→
C
n
{\displaystyle P_{ij}~:~\mathbb {C} ^{n}\to \mathbb {C} ^{n}}
を第i 成分と第j 成分を入れ替える行列とすると、明らかに
[
P
i
j
]
∈
W
{\displaystyle [P_{ij}]\in W}
である。この事実を利用すると、以下の事実が示せる:
証明
定理を示すために
U
(
1
)
n
{\displaystyle U(1)^{n}}
の
U
(
n
)
{\displaystyle U(n)}
における正規化群N から
A
∈
N
{\displaystyle A\in N}
を任意に選び、A の形を決定する。
そのために
u
1
,
…
,
u
n
∈
C
{\displaystyle u_{1},\ldots ,u_{n}\in \mathbb {C} }
を
|
u
i
|
=
1
{\displaystyle |u_{i}|=1}
を満たす相異なる複素数とし、
U
=
u
1
⊕
⋯
⊕
u
n
∈
U
(
n
)
{\displaystyle U=u_{1}\oplus \cdots \oplus u_{n}\in U(n)}
を
u
1
,
…
,
u
n
∈
C
{\displaystyle u_{1},\ldots ,u_{n}\in \mathbb {C} }
を対角成分に置いた行列とする。e 1 、...、e n を
C
{\displaystyle \mathbb {C} }
の標準的な基底とし、ei が張る複素1次元部分空間をEi とすると、U が対角行列である事から、Ei はU の固有値ui に関する固有空間である。
A が正規化群N の元である事から、
A
U
A
−
1
∈
U
(
1
)
n
{\displaystyle AUA^{-1}\in U(1)^{n}}
である。すなわち
|
c
i
|
=
1
{\displaystyle |c_{i}|=1}
を満たす
c
1
,
…
,
c
n
∈
C
{\displaystyle c_{1},\ldots ,c_{n}\in \mathbb {C} }
が存在し、
C
=
c
1
⊕
⋯
⊕
c
n
{\displaystyle C=c_{1}\oplus \cdots \oplus c_{n}}
とすると、
A
U
A
−
1
=
C
{\displaystyle AUA^{-1}=C}
が成立する。C も対角行列である事から、
v
i
=
e
i
A
{\displaystyle v_{i}=e_{i}A}
としてvi が張る複素1次元部分空間をVi とすると、Vi はC の固有値vi に関する固有空間である。
固有値分解の一意性より、ある置換
σ
:
{
1
,
…
,
n
}
→
{
1
,
…
,
n
}
{\displaystyle \sigma ~:~\{1,\ldots ,n\}\to \{1,\ldots ,n\}}
が存在し、
v
i
=
u
σ
(
i
)
{\displaystyle v_{i}=u_{\sigma (i)}}
かつ
V
i
=
E
σ
(
i
)
{\displaystyle V_{i}=E_{\sigma (i)}}
が成立する。Vi 、Eσ(i) はそれぞれvi 、eσ(i) が張る複素1次元部分空間なので、ある
a
i
∈
C
{\displaystyle a_{i}\in \mathbb {C} }
が存在し、
v
i
=
a
i
e
σ
(
i
)
{\displaystyle v_{i}=a_{i}e_{\sigma (i)}}
が成立する。
よって
P
σ
{\displaystyle P_{\sigma }}
を置換行列
P
σ
=
(
δ
i
,
σ
(
j
)
)
i
,
j
{\displaystyle P_{\sigma }=(\delta _{i,\sigma (j)})_{i,j}}
とする(
δ
i
,
j
{\displaystyle \delta _{i,j}}
はクロネッカーのデルタ )とき、vi の定義より
A
=
(
a
1
⊕
⋯
⊕
a
n
)
P
σ
{\displaystyle A=(a_{1}\oplus \cdots \oplus a_{n})P_{\sigma }}
が成立する。
A
∈
N
⊂
U
(
n
)
{\displaystyle A\in N\subset U(n)}
はユニタリ行列なので、
|
a
i
|
=
1
,
i
=
1
,
…
,
n
{\displaystyle |a_{i}|=1,~~i=1,\ldots ,n}
が成立する。すなわち
(
a
1
⊕
⋯
⊕
a
n
)
∈
U
(
1
)
n
{\displaystyle (a_{1}\oplus \cdots \oplus a_{n})\in U(1)^{n}}
である。よってワイル群
W
=
N
/
U
(
1
)
n
{\displaystyle W=N/U(1)^{n}}
においては、
[
A
]
=
[
(
a
1
⊕
⋯
⊕
a
n
)
P
σ
]
=
[
P
σ
]
∈
W
=
N
/
U
(
1
)
n
{\displaystyle [A]=[(a_{1}\oplus \cdots \oplus a_{n})P_{\sigma }]=[P_{\sigma }]\in W=N/U(1)^{n}}
が成立する。
A はN の任意の元だったので、Σn をn 次の置換群とするとき、以上の議論から
Σ
n
→
W
,
σ
↦
[
P
σ
]
{\displaystyle \Sigma _{n}\to W,~~\sigma \mapsto [P_{\sigma }]}
は全射である。
またこの写像は単射でもある。実際
I
{\displaystyle I}
をn 次の単位行列とする時、
[
P
σ
]
=
[
I
]
{\displaystyle [P_{\sigma }]=[I]}
であれば、
P
σ
∈
U
(
1
)
n
{\displaystyle P_{\sigma }\in U(1)^{n}}
が成立する必要がある。しかし
U
(
1
)
n
{\displaystyle U(1)^{n}}
の元は各ei を定数倍する行列なので、そのような形の
P
σ
{\displaystyle P_{\sigma }}
は明らかに
σ
=
i
d
{\displaystyle \sigma =\mathrm {id} }
のケースに限る。
以上のことからワイル群W が置換群に群同型な事が示せた。定理の後半も以上の議論から明らかに従う。
位相群に分類空間を対応させる関手B と位相空間にコホモロジー環を対応させる関手H* が直積を保つので、上述の定理からW は
H
∗
(
B
U
(
1
)
n
;
Z
)
≈
Z
[
α
1
,
…
,
α
n
]
{\displaystyle H^{*}(BU(1)^{n};\mathbb {Z} )\approx \mathbb {Z} [\alpha _{1},\ldots ,\alpha _{n}]}
の
α
1
,
…
,
α
n
{\displaystyle \alpha _{1},\ldots ,\alpha _{n}}
を入れ替える形で
H
∗
(
B
U
(
1
)
n
;
Z
)
{\displaystyle H^{*}(BU(1)^{n};\mathbb {Z} )}
に作用する。よって
H
∗
(
B
U
(
1
)
n
;
Z
)
W
⊂
H
∗
(
B
U
(
1
)
n
;
Z
)
≈
Z
[
α
1
,
…
,
α
n
]
{\displaystyle H^{*}(BU(1)^{n};\mathbb {Z} )^{W}\subset H^{*}(BU(1)^{n};\mathbb {Z} )\approx \mathbb {Z} [\alpha _{1},\ldots ,\alpha _{n}]}
は対称多項式 全体の集合に一致する。よく知られているように、任意の対称多項式は基本対称式 の多項式として書けるので、以上の事実からチャーン類を以下のように定義する:
定義 (チャーン類) ―
H
∗
(
B
U
(
1
)
n
;
Z
)
≈
Z
[
α
1
,
…
,
α
n
]
{\displaystyle H^{*}(BU(1)^{n};\mathbb {Z} )\approx \mathbb {Z} [\alpha _{1},\ldots ,\alpha _{n}]}
上の第i 基本多項式
σ
i
(
α
1
,
…
,
α
n
)
=
∑
A
⊂
{
1
,
…
,
n
}
,
|
A
|
=
i
(
∏
k
∈
A
α
k
)
{\displaystyle \sigma _{i}(\alpha _{1},\ldots ,\alpha _{n})=\sum _{A\subset \{1,\ldots ,n\},|A|=i}\left(\ \prod _{k\in A}\alpha _{k}\right)}
の
ι
∗
:
H
∗
(
B
U
(
n
)
;
Z
)
→
H
∗
(
B
U
(
1
)
n
;
Z
)
{\displaystyle \iota ^{*}~:~H^{*}(BU(n);\mathbb {Z} )\to H^{*}(BU(1)^{n};\mathbb {Z} )}
による逆像
c
i
(
n
)
=
(
ι
∗
)
−
1
(
σ
i
(
α
1
,
…
,
α
n
)
)
∈
H
2
i
(
B
U
(
n
)
;
Z
)
{\displaystyle c_{i}^{(n)}=(\iota ^{*})^{-1}(\sigma _{i}(\alpha _{1},\ldots ,\alpha _{n}))\in H^{2i}(BU(n);\mathbb {Z} )}
を第i チャーン類 (英 : i -th Chern class )と呼ぶ[ 20] 。
紛れがなければ添字を省略し、
c
i
(
n
)
{\displaystyle c_{i}^{(n)}}
を単に
c
i
{\displaystyle c_{i}}
と書く。
分類空間
H
∗
(
B
U
(
n
)
;
Z
)
{\displaystyle H^{*}(BU(n);\mathbb {Z} )}
の元と特性類は1対1でする ので、第i チャーン類
c
i
{\displaystyle c_{i}}
に対応する特性類
c
i
(
ξ
)
{\displaystyle c_{i}(\xi )}
をベクトルバンドルξ の第i チャーン類 という。分類空間の元
c
i
{\displaystyle c_{i}}
を
c
i
(
ξ
)
{\displaystyle c_{i}(\xi )}
と区別したいときは、
c
i
{\displaystyle c_{i}}
を第i 普遍チャーン類 (英 : i -th universal Chern class )という。
なお、
1
∈
H
∗
(
B
U
(
1
)
n
;
Z
)
{\displaystyle 1\in H^{*}(BU(1)^{n};\mathbb {Z} )}
を「0 次の基本対象式」とみなし、
c
0
(
n
)
:=
(
ι
∗
)
−
1
(
1
)
=
1
{\displaystyle c_{0}^{(n)}:=(\iota ^{*})^{-1}(1)=1}
を第0 チャーン類と呼ぶ。また
n
+
1
{\displaystyle n+1}
次以上の基本対称式は存在しないので、
B
φ
A
∗
:
H
∗
(
B
U
(
n
)
;
Z
)
→
H
∗
(
B
U
(
n
)
;
Z
)
{\displaystyle B\varphi _{A}{}^{*}~:~H^{*}(BU(n);\mathbb {Z} )\to H^{*}(BU(n);\mathbb {Z} )}
に対しては、第m チャーン類を
c
m
(
n
)
:=
0
{\displaystyle c_{m}^{(n)}:=0}
と定義する[ 注 8] 。
またチャーン類は埋め込み
ι
:
U
(
1
)
n
→
U
(
n
)
{\displaystyle \iota ~:~U(1)^{n}\to U(n)}
を使って定義されており、この埋め込みは
C
n
{\displaystyle \mathbb {C} ^{n}}
の正規直交基底の取り方に依存している。しかし正規直交基底の取り替えにより、
ι
{\displaystyle \iota }
は
U
(
n
)
{\displaystyle U(n)}
の内部自己同型
φ
A
{\displaystyle \varphi _{A}}
との合成
ι
∘
φ
A
{\displaystyle \iota \circ \varphi _{A}}
に置き換わるだけなので、前述した命題 から、チャーン類は正規直交基底の取り方によらずwell-defined である。
以上で見たように各α1 ,...,αn は対称多項式の根 に相当するものなので、α1 ,...,αn の事をチャーン根 [訳語疑問点 ] (Chern root [ 21] )という。
これまでの議論とチャーン類の定義から明らかに以下の事実が従う:
定理 ― :
H
∗
(
B
U
(
n
)
;
Z
)
=
Z
[
c
1
(
n
)
,
…
,
c
n
(
n
)
]
{\displaystyle H^{*}(BU(n);\mathbb {Z} )=\mathbb {Z} [c_{1}^{(n)},\ldots ,c_{n}^{(n)}]}
チャーン類の定義において、α1 ,...,αn の代わりに単元
u
∈
C
,
s.t.
|
u
|
=
1
{\displaystyle u\in \mathbb {C} ,{\text{ s.t. }}|u|=1}
をこれらに掛けた
β
1
:=
u
α
1
,
…
,
β
n
:=
u
α
n
{\displaystyle \beta _{1}:=u\alpha _{1},\ldots ,\beta _{n}:=u\alpha _{n}}
をチャーン根とするようにチャーン類を定義する事もできるため、チャーン類の定義には単元u の選び方だけ自由度がある事になる。
そこで何らかの規約を置くことでこの自由度を消す必要があるが、どのような規約を置くかは分野による。代数的位相幾何学 では普遍1-平面バンドル
ξ
U
=
(
E
U
(
1
)
,
B
U
(
1
)
,
π
)
{\displaystyle \xi _{U}=(EU(1),BU(1),\pi )}
に対し、
c
1
(
1
)
(
ξ
U
)
{\displaystyle c_{1}^{(1)}(\xi _{U})}
が
H
2
(
B
U
(
1
)
,
Z
)
{\displaystyle H^{2}(BU(1),\mathbb {Z} )}
のcanonicalな生成元になるという規約を置く事が多いが[ 22] 、代数幾何学 では
ξ
U
{\displaystyle \xi _{U}}
の双対ベクトルバンドル
ξ
U
∗
{\displaystyle \xi _{U}^{*}}
に対して
c
1
(
1
)
(
ξ
U
∗
)
{\displaystyle c_{1}^{(1)}(\xi _{U}^{*})}
が
H
2
(
B
U
(
1
)
,
Z
)
{\displaystyle H^{2}(BU(1),\mathbb {Z} )}
のcanonicalな生成元になるという規約を置く事が多い[ 22] 。
区別のため代数幾何学の方のチャーン類を
c
′
k
(
n
)
{\displaystyle c'{}_{k}^{(n)}}
と書くことにすると、代数的位相幾何学のチャーン類とは
c
′
k
(
n
)
=
(
−
1
)
k
c
k
(
n
)
{\displaystyle c'{}_{k}^{(n)}=(-1)^{k}c_{k}^{(n)}}
という関係を満たす[ 22] 。本稿では以下、特に断りがない限り、代数的位相幾何学の規約を採用するものとする。
定理・定義 (チャーン類の公理的特徴づけ) ― 特性類の組
(
c
i
(
n
)
)
i
,
n
{\displaystyle (c_{i}^{(n)})_{i,n}}
でn 次元複素ベクトルバンドル
ξ
=
(
π
,
E
,
B
)
{\displaystyle \xi =(\pi ,E,B)}
に
H
2
i
(
B
,
Z
)
{\displaystyle H^{2i}(B,\mathbb {Z} )}
の元を対応させるもの
c
i
(
n
)
:
ξ
=
(
π
,
E
,
B
)
↦
H
2
i
(
B
,
Z
)
{\displaystyle c_{i}^{(n)}~:~\xi =(\pi ,E,B)\mapsto H^{2i}(B,\mathbb {Z} )}
で以下の性質を満たすものが一意に存在する。
c
i
(
n
)
{\displaystyle c_{i}^{(n)}}
をn 次元ベクトルバンドルの第i チャーン類 と呼ぶ[ 23] 。
以下でX は任意のCW複体、ξ 、η はX 上の任意の複素ベクトルバンドル、n 、m はそれぞれξ 、η のファイバー(であるベクトル空間)の次元であり、「
⊕
{\displaystyle \oplus }
」はベクトルバンドルのホイットニー和である:
次元公理 [訳語疑問点 ] (英 : dimension axiom [ 24] ):
c
0
(
n
)
(
ξ
)
=
1
{\displaystyle c_{0}^{(n)}(\xi )=1}
、
c
i
(
n
)
(
ξ
)
=
0
for
i
>
n
{\displaystyle c_{i}^{(n)}(\xi )=0~~{\text{ for }}i>n}
。
ホイットニー和の公式 (英 : Whitney sum formula [ 25] ):
c
k
(
n
+
m
)
(
ξ
⊕
η
)
=
∑
i
=
0
k
c
i
(
n
)
(
ξ
)
⌣
c
k
−
i
(
m
)
(
η
)
{\displaystyle c_{k}^{(n+m)}(\xi \oplus \eta )=\sum _{i=0}^{k}c_{i}^{(n)}(\xi )\smile c_{k-i}^{(m)}(\eta )}
正規化公理 [訳語疑問点 ] (英 : normalization axiom [ 25] ):普遍1-平面バンドル
ξ
U
=
(
E
U
(
1
)
,
B
U
(
1
)
,
π
)
{\displaystyle \xi _{U}=(EU(1),BU(1),\pi )}
に対し、
c
1
(
1
)
(
ξ
U
)
{\displaystyle c_{1}^{(1)}(\xi _{U})}
は
H
2
(
B
U
(
1
)
,
Z
)
{\displaystyle H^{2}(BU(1),\mathbb {Z} )}
のcanonicalな生成元である。
前節で定義したチャーン類が次元公理と正規化公理を満たすのは明らかである。ホイットニー和の公式の証明は下記のとおりである。
証明
写像
U
(
n
)
×
U
(
m
)
→
U
(
n
+
m
)
{\displaystyle U(n)\times U(m)\to U(n+m)}
、
(
A
,
B
)
↦
A
⊕
B
{\displaystyle (A,B)\mapsto A\oplus B}
が分類空間に誘導する写像
B
U
(
n
)
×
B
U
(
m
)
→
B
U
(
n
+
m
)
{\displaystyle BU(n)\times BU(m)\to BU(n+m)}
を考えると、
H
∗
(
B
U
(
n
)
;
Z
)
{\displaystyle H^{*}(BU(n);\mathbb {Z} )}
の構造 とKünnethの公式 (英語版 ) から
H
2
i
(
B
U
(
n
+
m
)
;
Z
)
↪
H
2
i
(
B
U
(
n
)
×
B
U
(
m
)
;
Z
)
≃
∑
k
=
0
i
H
2
k
(
B
U
(
n
)
;
Z
)
×
H
2
(
i
−
k
)
(
B
U
(
m
)
;
Z
)
{\displaystyle H^{2i}(BU(n+m);\mathbb {Z} )\hookrightarrow H^{2i}(BU(n)\times BU(m);\mathbb {Z} )\simeq \sum _{k=0}^{i}H^{2k}(BU(n);\mathbb {Z} )\times H^{2(i-k)}(BU(m);\mathbb {Z} )}
が成立する。よって
α
1
,
…
,
α
n
+
m
{\displaystyle \alpha _{1},\ldots ,\alpha _{n+m}}
をチャーン根とすると、
c
i
(
n
+
m
)
=
σ
i
(
α
1
,
…
,
α
n
+
m
)
=
∑
k
=
0
i
σ
k
(
α
1
,
…
,
α
n
)
σ
i
−
k
(
α
n
+
1
,
…
,
α
n
+
m
)
≈
∑
k
=
0
i
c
k
(
n
+
m
)
⌣
c
i
−
k
(
n
+
m
)
{\displaystyle c_{i}^{(n+m)}=\sigma _{i}(\alpha _{1},\ldots ,\alpha _{n+m})=\sum _{k=0}^{i}\sigma _{k}(\alpha _{1},\ldots ,\alpha _{n})\sigma _{i-k}(\alpha _{n+1},\ldots ,\alpha _{n+m})\approx \sum _{k=0}^{i}c_{k}^{(n+m)}\smile c_{i-k}^{(n+m)}}
が成立する。なお上式の2つ目の等号は、対称多項式に関する簡単な計算により従う。
ホイットニー和の公式は上式を
ξ
⊕
η
{\displaystyle \xi \oplus \eta }
、ξ 、η に関する分類写像で引き戻す事で従う。
一方、上記の公理を満たす特性類の一意性は数学的帰納法 により容易に示せる。
チャーン類を取り扱う上で、下記のチャーン多項式を考えると便利である:
定義 (チャーン多項式、全チャーン類) ― 上と同様に記号を定義するとき、変数t に対し、
c
(
ξ
,
t
)
=
c
0
(
ξ
)
+
c
1
(
ξ
)
t
+
⋯
+
c
n
(
ξ
)
t
n
{\displaystyle c(\xi ,t)=c_{0}(\xi )+c_{1}(\xi )t+\cdots +c_{n}(\xi )t^{n}}
をξ のチャーン多項式 (英 : Chern polynomial )といい[ 26] 、特に
c
(
ξ
)
:=
c
(
ξ
,
1
)
=
c
0
(
ξ
)
+
c
1
(
ξ
)
+
⋯
c
n
(
ξ
)
{\displaystyle c(\xi ):=c(\xi ,1)=c_{0}(\xi )+c_{1}(\xi )+\cdots c_{n}(\xi )}
を全チャーン類 [ 27] (英 : total Chern class )という。
なお、チャーン類の定義より、チャーン多項式はチャーン根を使って形式的に
c
(
ξ
,
t
)
=
∏
i
(
t
+
α
i
)
{\displaystyle c(\xi ,t)=\prod _{i}(t+\alpha _{i})}
と因数分解できる。
チャーン多項式を用いると、ホイットニー和の公式は以下のように言い換えられる:
定義 ― 上と同様に記号を定義するとき、以下が成立する:
c
(
ξ
⊕
η
,
t
)
=
c
(
ξ
,
t
)
⌣
c
(
η
,
t
)
{\displaystyle c(\xi \oplus \eta ,t)=c(\xi ,t)\smile c(\eta ,t)}
チャーン多項式は以下の性質を満たす。なお文献によっては以下の性質をチャーン類の公理として入れているものもあるが[ 28] 、実は他の公理から従うので[ 29] 、公理に入れる必要はない。
命題 ― CW複体X 上の自明な直線バンドルε と任意のベクトルバンドルη に対して以下が成立する:
c
(
ϵ
,
t
)
=
1
{\displaystyle c(\epsilon ,t)=1}
安定性 (英 : stability [ 24] ):
c
(
η
⊕
ϵ
,
t
)
=
c
(
η
,
t
)
{\displaystyle c(\eta \oplus \epsilon ,t)=c(\eta ,t)}
本節以降、実ベクトルバンドルの特性類を記述していくが、その記述は複素ベクトルバンドルのそれと比べかなり複雑であるので、詳細は次節以降に譲り、本節では実ベクトルバンドルの特性類の概要を述べる。
実ベクトルバンドルの特性類が複雑になる理由は2つある:
実ベクトルバンドルの主バンドルの分類空間
H
∗
(
B
O
(
n
)
,
Z
)
{\displaystyle H^{*}(BO(n),\mathbb {Z} )}
は複素ベクトルバンドルの主バンドルの
H
∗
(
B
U
(
n
)
,
Z
)
{\displaystyle H^{*}(BU(n),\mathbb {Z} )}
と違い、
Z
2
{\displaystyle \mathbb {Z} _{2}}
-捩れ部分群 を持つ。この捩れ部分群が「悪さ」をするため、
H
∗
(
B
O
(
n
)
,
Z
)
{\displaystyle H^{*}(BO(n),\mathbb {Z} )}
を簡単に記述する事ができない。
実ベクトルバンドルの場合は複素ベクトルバンドルと違い、向き付けの概念がある。このため向き付けのない場合の分類空間
H
∗
(
B
O
(
n
)
,
Z
)
{\displaystyle H^{*}(BO(n),\mathbb {Z} )}
と向き付けのある場合の分類空間
H
∗
(
B
S
O
(
n
)
,
Z
)
{\displaystyle H^{*}(BSO(n),\mathbb {Z} )}
の両方を考察しなければならない。
1つ目の問題を回避するために、以下では
H
∗
(
B
O
(
n
)
,
Z
)
{\displaystyle H^{*}(BO(n),\mathbb {Z} )}
を直接考察するのを諦め、
H
∗
(
B
O
(
n
)
,
Z
2
)
{\displaystyle H^{*}(BO(n),\mathbb {Z} _{2})}
と
H
∗
(
B
O
(
n
)
,
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(BO(n),\Lambda )}
の2つを別々に考察することにする。ここでΛ は2 の逆元を持つ任意の可換環[ 注 9] である。ボックシュタインスペクトル系列 (英語版 ) を使う事で
H
∗
(
B
O
(
n
)
,
Z
2
)
{\displaystyle H^{*}(BO(n),\mathbb {Z} _{2})}
と
H
∗
(
B
O
(
n
)
,
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(BO(n),\Lambda )}
から
H
∗
(
B
O
(
n
)
,
Z
)
{\displaystyle H^{*}(BO(n),\mathbb {Z} )}
を計算できるので、実用上はこの2つに対する特性類が把握できていれば十分である。
2つ目の問題に関しては、
H
∗
(
B
O
(
n
)
)
{\displaystyle H^{*}(BO(n))}
と
H
∗
(
B
S
O
(
n
)
)
{\displaystyle H^{*}(BSO(n))}
とは環構造が異なるので、この2つを両方とも考察する必要がある。
係数環が
Z
2
{\displaystyle \mathbb {Z} _{2}}
の場合の特性類の記述は比較的簡単であり、
H
∗
(
B
O
(
n
)
)
{\displaystyle H^{*}(BO(n))}
と
H
∗
(
B
S
O
(
n
)
)
{\displaystyle H^{*}(BSO(n))}
の差はさほど大きくなく、
H
∗
(
B
O
(
n
)
,
Z
2
)
=
Z
2
[
w
1
,
…
,
w
n
]
H
∗
(
B
S
O
(
n
)
,
Z
2
)
=
Z
2
[
w
2
,
…
,
w
n
]
,
w
1
=
0
{\displaystyle {\begin{aligned}H^{*}(BO(n),\mathbb {Z} _{2})&=\mathbb {Z} _{2}[w_{1},\ldots ,w_{n}]\\H^{*}(BSO(n),\mathbb {Z} _{2})&=\mathbb {Z} _{2}[w_{2},\ldots ,w_{n}],~~w_{1}=0\\\end{aligned}}}
という形で両者を記述できる。ここで
w
1
,
…
,
w
n
{\displaystyle w_{1},\ldots ,w_{n}}
はスティーフェル・ホイットニー類 と呼ばれる特性類で、このような
w
1
,
…
,
w
n
{\displaystyle w_{1},\ldots ,w_{n}}
の存在はチャーン類の場合と類似した方法で証明できる。ただし第i チャーン類が2i 次 のコホモロジー群に属するのに対し、第i スティーフェル・ホイットニー類はi 次 のコホモロジー群に属するので注意が必要である。
それに対し係数環が
2
−
1
∈
Λ
{\displaystyle 2^{-1}\in \Lambda }
を満たすΛ の場合はより複雑である。
H
∗
(
B
O
(
n
)
,
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(BO(n),\Lambda )}
に関しては、
H
∗
(
B
O
(
n
)
,
Λ
)
=
Λ
[
p
1
,
…
,
p
⌊
n
/
2
⌋
]
{\displaystyle H^{*}(BO(n),\Lambda )=\Lambda [p_{1},\ldots ,p_{\lfloor n/2\rfloor }]}
の形で記述でき、
p
1
,
…
,
p
n
{\displaystyle p_{1},\ldots ,p_{n}}
をポントリャーギン類 という。(
p
i
{\displaystyle p_{i}}
は4i 次 のコホモロジー群に属する)。ここで
⌊
⋅
⌋
{\displaystyle \lfloor \cdot \rfloor }
は床関数 である。
具体的にはポントリャーギン類は実ベクトルバンドルを複素化する事で得られる複素ベクトルバンドルのチャーン類を使って
p
i
=
(
−
1
)
i
c
2
i
{\displaystyle p_{i}=(-1)^{i}c_{2i}}
と書ける。(なお、実ベクトルバンドルの複素化の場合、奇数次のチャーン類
c
2
i
+
1
{\displaystyle c_{2i+1}}
は
2
c
2
i
+
1
=
0
{\displaystyle 2c_{2i+1}=0}
を満たし、よって係数環がΛ の場合は必ず
c
2
i
+
1
=
0
{\displaystyle c_{2i+1}=0}
になる)。
一方、
H
∗
(
B
S
O
(
n
)
,
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(BSO(n),\Lambda )}
はn が偶数か奇数で形が異なり、
H
∗
(
B
S
O
(
n
)
,
Λ
)
=
{
Λ
[
p
1
,
…
,
p
⌊
n
/
2
⌋
]
if
n
is odd
Λ
[
p
1
,
…
,
p
⌊
n
/
2
⌋
,
χ
]
/
(
χ
2
=
p
⌊
n
/
2
⌋
)
if
n
is even
{\displaystyle H^{*}(BSO(n),\Lambda )={\begin{cases}\Lambda [p_{1},\ldots ,p_{\lfloor n/2\rfloor }]&{\text{ if }}n{\text{ is odd}}\\\Lambda [p_{1},\ldots ,p_{\lfloor n/2\rfloor },\chi ]/(\chi ^{2}=p_{\lfloor n/2\rfloor })&{\text{ if }}n{\text{ is even}}\\\end{cases}}}
と書ける。ここで
p
1
,
…
,
p
⌊
n
/
2
⌋
{\displaystyle p_{1},\ldots ,p_{\lfloor n/2\rfloor }}
は前述のポントリャーギン類であり、χ はオイラー類 と呼ばれる特性類である。また
Λ
[
p
1
,
…
,
p
⌊
n
/
2
⌋
,
χ
]
/
(
χ
2
=
p
⌊
n
/
2
⌋
)
{\displaystyle \Lambda [p_{1},\ldots ,p_{\lfloor n/2\rfloor },\chi ]/(\chi ^{2}=p_{\lfloor n/2\rfloor })}
は多項式環
Λ
[
p
1
,
…
,
p
⌊
n
/
2
⌋
,
χ
]
{\displaystyle \Lambda [p_{1},\ldots ,p_{\lfloor n/2\rfloor },\chi ]}
においてχ2 をpn と同一視して得られる環を表す。すなわち
Λ
[
p
1
,
…
,
p
n
,
χ
]
{\displaystyle \Lambda [p_{1},\ldots ,p_{n},\chi ]}
を単項イデアル
(
χ
2
−
p
⌊
n
/
2
⌋
)
{\displaystyle (\chi ^{2}-p_{\lfloor n/2\rfloor })}
で割った環である。
以上をまとめると、実ベクトルバンドルの分類空間のコホモロジーは以下のように記述できる:
係数環
分類空間
コホモロジー
Z
2
{\displaystyle \mathbb {Z} _{2}}
B
O
(
n
)
{\displaystyle BO(n)}
Z
2
[
w
1
,
…
,
w
n
]
{\displaystyle \mathbb {Z} _{2}[w_{1},\ldots ,w_{n}]}
B
S
O
(
n
)
{\displaystyle BSO(n)}
Z
2
[
w
2
,
…
,
w
n
]
{\displaystyle \mathbb {Z} _{2}[w_{2},\ldots ,w_{n}]}
、
w
1
=
0
{\displaystyle w_{1}=0}
2
−
1
∈
Λ
{\displaystyle 2^{-1}\in \Lambda }
を満たすΛ
B
O
(
n
)
{\displaystyle BO(n)}
Λ
[
p
1
,
…
,
p
⌊
n
/
2
⌋
]
{\displaystyle \Lambda [p_{1},\ldots ,p_{\lfloor n/2\rfloor }]}
B
S
O
(
n
)
{\displaystyle BSO(n)}
s.t. n は奇数
B
S
O
(
n
)
{\displaystyle BSO(n)}
s.t. n は偶数
Λ
[
p
1
,
…
,
p
⌊
n
/
2
⌋
,
χ
]
/
(
χ
2
=
p
⌊
n
/
2
⌋
)
{\displaystyle \Lambda [p_{1},\ldots ,p_{\lfloor n/2\rfloor },\chi ]/(\chi ^{2}=p_{\lfloor n/2\rfloor })}
本節では
H
2
(
B
O
(
n
)
;
Z
)
{\displaystyle H^{2}(BO(n);\mathbb {Z} )}
の構造を具体的に決定し、それをもとにスティーフェル・ホイットニー類を定義する。
H
2
(
B
O
(
n
)
;
Z
)
{\displaystyle H^{2}(BO(n);\mathbb {Z} )}
の構造の決定方法やスティーフェル・ホイットニー類の定義は、基本的には
H
2
(
B
U
(
n
)
;
Z
)
{\displaystyle H^{2}(BU(n);\mathbb {Z} )}
の構造の決定方法やチャーン類の定義と同様である。一点大きく違うのは、チャーン類の場合は
H
∗
(
B
U
(
1
)
;
Z
)
=
Z
[
α
]
{\displaystyle H^{*}(BU(1);\mathbb {Z} )=\mathbb {Z} [\alpha ]}
を満たす
α
{\displaystyle \alpha }
が2次のコホモロジー群
H
2
(
B
U
(
1
)
;
Z
)
{\displaystyle H^{2}(BU(1);\mathbb {Z} )}
に属していたのに対し、スティーフェル・ホイットニー類の場合はそのような元が1次のコホモロジー群に属する事である:
補題 ―
ある
β
∈
H
1
(
B
O
(
1
)
;
Z
2
)
{\displaystyle \beta \in H^{1}(BO(1);\mathbb {Z} _{2})}
が存在し、以下が成立する:
H
∗
(
B
O
(
1
)
;
Z
2
)
=
Z
2
[
β
]
{\displaystyle H^{*}(BO(1);\mathbb {Z} _{2})=\mathbb {Z} _{2}[\beta ]}
この違いが原因でチャーン類は偶数次のコホモロジー群にしか登場しなかったが、スティーフェル・ホイットニー類は奇数次のコホモロジーにも登場する。
なお、コホモロジーの係数が
Z
2
{\displaystyle \mathbb {Z} _{2}}
なので、カップ積 は奇数次のコホモロジーにおいても可換である。
自然数
n
≥
1
{\displaystyle n\geq 1}
に対し
H
2
(
B
O
(
n
)
;
Z
2
)
{\displaystyle H^{2}(BO(n);\mathbb {Z} _{2})}
の具体的形を調べるため、チャーン類のときと同様、連続準同型写像
ι
:
O
(
1
)
n
↪
O
(
n
)
,
(
A
1
,
…
,
A
n
)
↦
A
1
⊕
⋯
⊕
A
n
{\displaystyle \iota ~:~O(1)^{n}\hookrightarrow O(n),~(A_{1},\ldots ,A_{n})\mapsto A_{1}\oplus \cdots \oplus A_{n}}
により
O
(
1
)
n
{\displaystyle O(1)^{n}}
を
O
(
n
)
{\displaystyle O(n)}
の部分群とみなす。ここで「
⊕
{\displaystyle \oplus }
」は対角線上に行列を並べる演算である。
φ
A
:
B
↦
A
B
A
−
1
{\displaystyle \varphi _{A}~:~B\mapsto ABA^{-1}}
を内部自己同型とする。チャーン類の時と同様、
O
(
1
)
n
{\displaystyle O(1)^{n}}
の正規化群
N
=
{
A
∈
O
(
n
)
∣
φ
A
(
O
(
1
)
n
)
=
O
(
1
)
n
}
{\displaystyle N=\{A\in O(n)\mid \varphi _{A}(O(1)^{n})=O(1)^{n}\}}
を
O
(
1
)
n
{\displaystyle O(1)^{n}}
の中心化群
Z
=
{
A
∈
O
(
n
)
∣
∀
B
∈
O
(
1
)
n
:
φ
A
(
B
)
=
B
}
{\displaystyle Z=\{A\in O(n)\mid \forall B\in O(1)^{n}~:~\varphi _{A}(B)=B\}}
で割った
Σ
=
N
/
Z
{\displaystyle \Sigma =N/Z}
を考え[ 注 10] 、
H
∗
(
B
O
(
1
)
n
;
Z
)
Σ
:=
{
u
∈
H
∗
(
B
O
(
1
)
n
;
Z
)
∣
∀
[
A
]
∈
Σ
:
B
φ
A
∗
(
u
)
=
u
}
{\displaystyle H^{*}(BO(1)^{n};\mathbb {Z} )^{\Sigma }:=\{u\in H^{*}(BO(1)^{n};\mathbb {Z} )\mid \forall [A]\in \Sigma ~:~B\varphi _{A}{}^{*}(u)=u\}}
と定義するとこの定義はWell-defined である。ここで
[
A
]
∈
Σ
=
N
/
Z
{\displaystyle [A]\in \Sigma =N/Z}
は同値類を表す。このとき次の事実が従う:
定理 ― 写像
ι
∗
:
H
∗
(
B
O
(
n
)
;
Z
2
)
→
H
∗
(
B
O
(
1
)
n
;
Z
2
)
Σ
≈
Z
2
[
β
1
,
…
,
β
n
]
Σ
{\displaystyle \iota ^{*}~:~H^{*}(BO(n);\mathbb {Z} _{2})\to H^{*}(BO(1)^{n};\mathbb {Z} _{2})^{\Sigma }\approx \mathbb {Z} _{2}[\beta _{1},\ldots ,\beta _{n}]^{\Sigma }}
は全単射である[ 30] [ 31] 。
ここでβi は
H
∗
(
B
O
(
1
)
n
;
Z
2
)
≈
H
∗
(
B
O
(
1
)
;
Z
2
)
⊗
⋯
⊗
H
∗
(
B
O
(
1
)
;
Z
2
)
{\displaystyle H^{*}(BO(1)^{n};\mathbb {Z} _{2})\approx H^{*}(BO(1);\mathbb {Z} _{2})\otimes \cdots \otimes H^{*}(BO(1);\mathbb {Z} _{2})}
のi 番目の
H
∗
(
B
O
(
1
)
;
Z
2
)
{\displaystyle H^{*}(BO(1);\mathbb {Z} _{2})}
の生成元である。
定理 ― Σ は置換群 と群同型であり、Σ は
O
(
1
)
n
{\displaystyle O(1)^{n}}
の成分の入れ替えとして
O
(
1
)
n
{\displaystyle O(1)^{n}}
に作用する。
スティーフェル・ホイットニー類を以下のように定義する:
定義 (スティーフェル・ホイットニー類) ―
H
∗
(
B
D
;
Z
2
)
≈
Z
[
β
1
,
…
,
β
n
]
{\displaystyle H^{*}(BD;\mathbb {Z} _{2})\approx \mathbb {Z} [\beta _{1},\ldots ,\beta _{n}]}
上の第i 基本多項式
σ
i
(
β
1
,
…
,
β
n
)
=
∑
A
⊂
{
1
,
…
,
n
}
,
|
A
|
=
i
(
∏
k
∈
A
β
k
)
{\displaystyle \sigma _{i}(\beta _{1},\ldots ,\beta _{n})=\sum _{A\subset \{1,\ldots ,n\},|A|=i}\left(\ \prod _{k\in A}\beta _{k}\right)}
の
ι
∗
:
H
∗
(
B
O
(
n
)
;
Z
2
)
→
H
∗
(
B
O
(
1
)
n
;
Z
2
)
{\displaystyle \iota ^{*}~:~H^{*}(BO(n);\mathbb {Z} _{2})\to H^{*}(BO(1)^{n};\mathbb {Z} _{2})}
による逆像
w
i
(
n
)
=
(
ι
∗
)
−
1
(
σ
i
(
β
1
,
…
,
β
n
)
)
∈
H
i
(
B
O
(
n
)
,
Z
2
)
{\displaystyle w_{i}^{(n)}=(\iota ^{*})^{-1}(\sigma _{i}(\beta _{1},\ldots ,\beta _{n}))\in H^{i}(BO(n),\mathbb {Z} _{2})}
を第i スティーフェル・ホイットニー類 (英 : i -th Stiefel–Whitney class class )と呼ぶ[ 30] 。
紛れがなければ添字を省略し、
w
i
(
n
)
{\displaystyle w_{i}^{(n)}}
を単に
w
i
{\displaystyle w_{i}}
と書く。
分類空間
H
∗
(
B
O
(
n
)
;
Z
2
)
{\displaystyle H^{*}(BO(n);\mathbb {Z} _{2})}
の元と特性類は1対1でする ので、第i スティーフェル・ホイットニー類
w
i
{\displaystyle w_{i}}
に対応する特性類
w
i
(
ξ
)
{\displaystyle w_{i}(\xi )}
をベクトルバンドルξ の第i スティーフェル・ホイットニー類 という。分類空間の元
w
i
{\displaystyle w_{i}}
を
w
i
(
ξ
)
{\displaystyle w_{i}(\xi )}
と区別したいときは、
w
i
{\displaystyle w_{i}}
を第i 普遍スティーフェル・ホイットニー類 (英 : i -th universal Stiefel–Whitney class class )という。
チャーン類のときと同様、
w
0
(
n
)
:=
(
ι
∗
)
−
1
(
1
)
=
1
{\displaystyle w_{0}^{(n)}:=(\iota ^{*})^{-1}(1)=1}
、
w
m
(
n
)
:=
0
{\displaystyle w_{m}^{(n)}:=0}
for
m
>
n
{\displaystyle m>n}
と定義する。
明らかに以下の事実が従う[ 32] :
定理 ― :
H
∗
(
B
O
(
n
)
;
Z
)
=
Z
[
w
1
(
n
)
,
…
,
w
n
(
n
)
]
{\displaystyle H^{*}(BO(n);\mathbb {Z} )=\mathbb {Z} [w_{1}^{(n)},\ldots ,w_{n}^{(n)}]}
チャーン類と同様スティーフェル・ホイットニー類も公理的に特徴づける事ができる:
定理・定義 (スティーフェル・ホイットニー類の公理的特徴づけ) ― 特性類の組
(
w
i
(
n
)
)
i
,
n
{\displaystyle (w_{i}^{(n)})_{i,n}}
でn 次元実ベクトルバンドル
ξ
=
(
π
,
E
,
B
)
{\displaystyle \xi =(\pi ,E,B)}
に
H
i
(
B
,
Z
2
)
{\displaystyle H^{i}(B,\mathbb {Z} _{2})}
の元を対応させるもの
w
i
(
n
)
:
ξ
=
(
π
,
E
,
B
)
↦
H
i
(
B
,
Z
2
)
{\displaystyle w_{i}^{(n)}~:~\xi =(\pi ,E,B)\mapsto H^{i}(B,\mathbb {Z} _{2})}
で以下の性質を満たすものが一意に存在する。
w
i
(
n
)
{\displaystyle w_{i}^{(n)}}
をn 次元ベクトルバンドルの第i スティーフェル・ホイットニー類 と呼ぶ[ 33] [ 34] 。
以下でX は任意のCW複体、ξ 、η はX 上の任意の実ベクトルバンドル、n 、m はそれぞれξ 、η のファイバー(であるベクトル空間)の次元であり、「
⊕
{\displaystyle \oplus }
」はベクトルバンドルのホイットニー和である:
次元公理 [訳語疑問点 ] :
w
0
(
n
)
(
ξ
)
=
1
{\displaystyle w_{0}^{(n)}(\xi )=1}
ホイットニー和の公式 :
w
k
(
n
+
m
)
(
ξ
⊕
η
)
=
∑
i
=
0
k
w
i
(
n
)
(
ξ
)
⌣
w
k
−
i
(
m
)
(
η
)
{\displaystyle w_{k}^{(n+m)}(\xi \oplus \eta )=\sum _{i=0}^{k}w_{i}^{(n)}(\xi )\smile w_{k-i}^{(m)}(\eta )}
正規化公理 [訳語疑問点 ] :1次元実射影空間
R
P
1
≈
S
1
{\displaystyle \mathbb {R} P^{1}\approx S^{1}}
上の普遍1-平面バンドル
ξ
U
{\displaystyle \xi _{U}}
に対し、
w
1
(
1
)
(
ξ
U
)
≠
0
{\displaystyle w_{1}^{(1)}(\xi _{U})\neq 0}
。
全チャーン類と同様、全スティーフェル・ホイットニー類を定義でき、全チャーン類と同様の性質を示す事ができる[ 注 11] :
自然な写像
ν
:
S
O
(
1
)
→
U
(
1
)
{\displaystyle \nu ~:~SO(1)\to U(1)}
が誘導する写像
H
∗
(
U
(
1
)
;
Z
2
)
→
H
∗
(
S
O
(
1
)
;
Z
2
)
{\displaystyle H^{*}(U(1);\mathbb {Z} _{2})\to H^{*}(SO(1);\mathbb {Z} _{2})}
は単射であり、
H
∗
(
U
(
1
)
;
Z
2
)
{\displaystyle H^{*}(U(1);\mathbb {Z} _{2})}
の生成元α の自乗α2 がβ に移る事が知られている[ 36] 。したがって
σ
i
(
α
1
2
,
…
,
α
n
2
)
∈
H
∗
(
U
(
1
)
n
;
Z
2
)
{\displaystyle \sigma _{i}(\alpha _{1}{}^{2},\ldots ,\alpha _{n}{}^{2})\in H^{*}(U(1)^{n};\mathbb {Z} _{2})}
は
w
i
∈
σ
i
(
β
1
,
…
,
β
n
)
∈
H
∗
(
U
(
1
)
n
;
Z
2
)
{\displaystyle w_{i}\in \sigma _{i}(\beta _{1},\ldots ,\beta _{n})\in H^{*}(U(1)^{n};\mathbb {Z} _{2})}
に移るが、
Z
2
{\displaystyle \mathbb {Z} _{2}}
上では
σ
i
(
α
1
2
,
…
,
α
n
2
)
=
σ
i
(
α
1
,
…
,
α
n
)
2
=
c
i
{\displaystyle \sigma _{i}(\alpha _{1}{}^{2},\ldots ,\alpha _{n}{}^{2})=\sigma _{i}(\alpha _{1},\ldots ,\alpha _{n})^{2}=c_{i}}
になので、以下が成立する:
逆に複素ベクトルバンドル
ω
{\displaystyle \omega }
から複素構造を忘れて (英語版 ) 実ベクトルバンドルとみなしたものを
ξ
{\displaystyle \xi }
の脱複素化 (英 : decomplexification 、英 : realification )と呼び、
ω
R
{\displaystyle \omega _{\mathbb {R} }}
と書くと任意の非負整数i に対して以下が成立する事が知られている:
本節では
2
−
1
∈
Λ
{\displaystyle 2^{-1}\in \Lambda }
を満たす可換環Λ に対し、
H
∗
(
B
S
O
(
n
)
,
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(BSO(n),\Lambda )}
、
H
∗
(
B
O
(
n
)
,
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(BO(n),\Lambda )}
の構造を決定し、これをもとにポントリャーギン類とオイラー類を定義する。
本節ではコホモロジー環
H
∗
(
B
S
O
(
n
)
,
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(BSO(n),\Lambda )}
、
H
∗
(
B
O
(
n
)
,
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(BO(n),\Lambda )}
の構造し、これをもとにポントリャーギン類とオイラー類を定義する。そのために利用するのは、チャーン類のときと同様、ワイル群に関する議論である。そこでSO (n ) の極大トーラスを記述するため、n が偶数であるか奇数であるかに応じてn =2m 、n =2m +1 として
μ
:
S
O
(
2
)
m
↪
S
O
(
n
)
{\displaystyle \mu ~:~SO(2)^{m}\hookrightarrow SO(n)}
を
μ
:
S
O
(
2
)
m
↪
S
O
(
n
)
,
(
R
(
θ
1
)
,
…
,
R
(
θ
m
)
)
↦
{
R
(
θ
1
)
⊕
⋯
⊕
R
(
θ
m
)
if
n
=
2
m
R
(
θ
1
)
⊕
⋯
⊕
R
(
θ
m
)
⊕
1
if
n
=
2
m
+
1
{\displaystyle \mu ~:~SO(2)^{m}\hookrightarrow SO(n),~~(R(\theta _{1}),\ldots ,R(\theta _{m}))\mapsto {\begin{cases}R(\theta _{1})\oplus \cdots \oplus R(\theta _{m})&{\text{if }}n=2m\\R(\theta _{1})\oplus \cdots \oplus R(\theta _{m})\oplus 1&{\text{if }}n=2m+1\end{cases}}}
により定義する[ 38] 。ここで「
⊕
{\displaystyle \oplus }
」は対角線上に行列を並べる演算であり、R (θ ) は2次元の回転行列
R
(
θ
)
:=
(
cos
θ
−
sin
θ
sin
θ
cos
θ
)
{\displaystyle R(\theta ):={\begin{pmatrix}\cos \theta &-\sin \theta \\\sin \theta &\cos \theta \end{pmatrix}}}
である。
μ
{\displaystyle \mu }
によるSO (2 )m の像はSO (n ) の極大トーラスである事が知られている。さらに自然な埋め込み
ι
:
S
O
(
n
)
↪
O
(
n
)
{\displaystyle \iota ~:~SO(n)\hookrightarrow O(n)}
を考える。
そしてこれら2つの写像が分類空間のコホモロジーに誘導する写像を考える:
H
∗
(
B
O
(
n
)
,
Λ
)
→
B
ι
∗
H
∗
(
B
S
O
(
n
)
,
Λ
)
→
B
μ
∗
H
∗
(
B
S
O
(
2
)
m
,
Λ
)
≈
Λ
[
γ
1
,
…
,
γ
m
]
{\displaystyle H^{*}(BO(n),\Lambda ){\overset {B\iota ^{*}}{\to }}H^{*}(BSO(n),\Lambda ){\overset {B\mu ^{*}}{\to }}H^{*}(BSO(2)^{m},\Lambda )\approx \Lambda [\gamma _{1},\ldots ,\gamma _{m}]}
上式の最後の同型「
≈
{\displaystyle \approx }
」は、リー群として
S
O
(
2
)
≈
U
(
1
)
{\displaystyle SO(2)\approx U(1)}
である事からチャーン類のときの議論により従う。ここで「
≈
{\displaystyle \approx }
」は環としての同型であり、
H
∗
(
B
S
O
(
2
)
m
,
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(BSO(2)^{m},\Lambda )}
の積はカップ積である。
またγj は
H
∗
(
B
S
O
(
2
)
m
;
Λ
)
≈
⊗
j
H
∗
(
B
S
O
(
2
)
;
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(BSO(2)^{m};\Lambda )\approx \otimes _{j}H^{*}(BSO(2);\Lambda )}
のj 番目の
H
∗
(
B
S
O
(
2
)
;
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(BSO(2);\Lambda )}
の生成元であり、γj は次数2 のコホモロジー
γ
j
∈
H
2
(
B
S
O
(
2
)
;
Λ
)
{\displaystyle \gamma _{j}\in H^{2}(BSO(2);\Lambda )}
に属している。(これらもチャーン類のときの議論により従う)。
なお、
H
∗
(
B
S
O
(
2
)
;
Λ
)
≈
Λ
[
γ
]
{\displaystyle H^{*}(BSO(2);\Lambda )\approx \Lambda [\gamma ]}
の生成元γ の選び方は、Λ の単元倍の自由度があるので、この自由度をなくす為、以下の規約を置く:
規約 ―
H
∗
(
B
S
O
(
2
)
;
Λ
)
=
H
∗
(
B
U
(
1
)
;
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(BSO(2);\Lambda )=H^{*}(BU(1);\Lambda )}
の生成元γ として、第一チャーン類
c
1
{\displaystyle c_{1}}
を選ぶ。
上で自然な同型
S
O
(
2
)
≈
U
(
1
)
{\displaystyle SO(2)\approx U(1)}
を用いた。このように規約を決めると、チャーン類の定義から
γ
=
c
1
{\displaystyle \gamma =c_{1}}
は整数係数の コホモロジー
H
∗
(
B
S
O
(
2
)
;
Z
)
=
H
∗
(
B
U
(
1
)
;
Z
)
{\displaystyle H^{*}(BSO(2);\mathbb {Z} )=H^{*}(BU(1);\mathbb {Z} )}
に属する事になるのが利点である。
本項の目標は、
H
∗
(
B
S
O
(
2
)
m
,
Λ
)
≈
Λ
[
γ
1
,
…
,
γ
m
]
{\displaystyle H^{*}(BSO(2)^{m},\Lambda )\approx \Lambda [\gamma _{1},\ldots ,\gamma _{m}]}
を用いる事で
H
∗
(
B
S
O
(
n
)
,
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(BSO(n),\Lambda )}
と
H
∗
(
B
O
(
n
)
,
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(BO(n),\Lambda )}
の構造を特定し、これをもとにポントリャーギン類とオイラー類を定義する事である。
詳細は後回しにし、先に結論を述べる。
定理 (
H
∗
(
B
S
O
(
n
)
;
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(BSO(n);\Lambda )}
、
H
∗
(
B
O
(
n
)
;
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(BO(n);\Lambda )}
の構造 ) ―
B
ι
∗
{\displaystyle B\iota ^{*}}
、
B
μ
∗
{\displaystyle B\mu ^{*}}
は単射であり、
γ
1
2
,
…
,
γ
m
2
{\displaystyle \gamma _{1}{}^{2},\ldots ,\gamma _{m}{}^{2}}
の基本対称式を
p
j
(
n
)
:=
σ
j
(
γ
1
2
,
…
,
γ
m
2
)
{\displaystyle p_{j}^{(n)}:=\sigma _{j}(\gamma _{1}{}^{2},\ldots ,\gamma _{m}{}^{2})}
とし、
e
(
n
)
:=
γ
1
⋯
γ
m
{\displaystyle e^{(n)}:=\gamma _{1}\cdots \gamma _{m}}
とするとき、以下が成立する[ 39] [ 38] [ 40] :
H
∗
(
B
S
O
(
n
)
;
Λ
)
→
∼
B
μ
∗
{
Λ
[
p
1
(
n
)
,
…
,
p
m
(
n
)
]
if
n
=
2
m
+
1
Λ
[
p
1
(
n
)
,
…
,
p
m
(
n
)
,
e
(
n
)
]
if
n
=
2
m
{\displaystyle H^{*}(BSO(n);\Lambda ){\overset {B\mu ^{*}}{\overset {\sim }{\to }}}{\begin{cases}\Lambda [p_{1}^{(n)},\ldots ,p_{m}^{(n)}]&{\text{ if }}n=2m+1\\\Lambda [p_{1}^{(n)},\ldots ,p_{m}^{(n)},e^{(n)}]&{\text{ if }}n=2m\\\end{cases}}}
H
∗
(
B
O
(
n
)
;
Λ
)
→
∼
B
μ
∗
∘
B
ι
∗
Λ
[
p
1
(
n
)
,
…
,
p
m
(
n
)
]
{\displaystyle H^{*}(BO(n);\Lambda ){\overset {B\mu ^{*}\circ B\iota ^{*}}{\overset {\sim }{\to }}}\Lambda [p_{1}^{(n)},\ldots ,p_{m}^{(n)}]}
ポントリャーギン類とオイラー類を以下のように定義する:
定義 (ポントリャーギン類、オイラー類) ―
上の定理と同様に記号を定めるとき、
p
i
(
n
)
∈
H
4
i
(
B
O
(
n
)
;
Λ
)
{\displaystyle p_{i}^{(n)}\in H^{4i}(BO(n);\Lambda )}
を第i ポントリャーギン類 (英 : i -th Pontryagin class )といい、
n
=
2
m
{\displaystyle n=2m}
のとき、
e
(
n
)
∈
H
n
(
B
S
O
(
n
)
;
Λ
)
{\displaystyle e^{(n)}\in H^{n}(BSO(n);\Lambda )}
をオイラー類 (英 : Euler class )という。
紛れがなければ、
p
i
(
n
)
{\displaystyle p_{i}^{(n)}}
、
e
(
n
)
{\displaystyle e^{(n)}}
を単に
p
i
{\displaystyle p_{i}}
、
e
{\displaystyle e}
と書く。
分類空間
H
∗
(
B
O
(
n
)
;
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(BO(n);\Lambda )}
や
H
∗
(
O
(
n
)
;
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(O(n);\Lambda )}
の元と特性類は1対1でする ので、第i ポントリャーギン類
p
i
{\displaystyle p_{i}}
やオイラー類e に対応する特性類
p
i
(
ξ
)
{\displaystyle p_{i}(\xi )}
、
e
(
ξ
)
{\displaystyle e(\xi )}
をそれぞれベクトルバンドルξ の第i ポントリャーギン類 、オイラー類 という。分類空間の元
p
i
{\displaystyle p_{i}}
、e を
p
i
(
ξ
)
{\displaystyle p_{i}(\xi )}
、
e
(
ξ
)
{\displaystyle e(\xi )}
と区別したいときは、
p
i
{\displaystyle p_{i}}
、e をそれぞれ第i 普遍ポントリャーギン類 (英 : i -th universal Pontryagin class )、普遍オイラー類 (英 : universal Euler class )という。
なぜ上述の定理 が成立するのかについては後述 する。
本節では、前述したH * (BSO (n );Λ ) とH * (BO (n );Λ ) の構造を記述した定理 がなぜ成立するかを次の3つの場合に分けて説明する:
n が偶数の場合のH * (BSO (n );Λ ) の構造
n が奇数の場合のH * (BSO (n );Λ ) の構造
H * (BO (n );Λ ) の構造
定理 を示すにはチャーン類の場合と同様、ワイル群を用いる事でH * (BSO (n );Λ ) の構造を決定する。そのためにBorelによる以下の一般的な定義を用いる:
定理 (Borelの定理 ) ―
p を素数 とし、G を連結 なコンパクト リー群 で整数係数コホモロジー
H
∗
(
G
,
Z
)
{\displaystyle H^{*}(G,\mathbb {Z} )}
がp -捻れ部分群 を持たないものとする。
さらにT をG の極大トーラス とし、W をG のワイル群とし、
H
∗
(
B
T
,
Z
)
W
{\displaystyle H^{*}(BT,\mathbb {Z} )^{W}}
を
H
∗
(
B
T
,
Z
)
{\displaystyle H^{*}(BT,\mathbb {Z} )}
の元でW に関して不変なもの全体の集合とする。
H
∗
(
B
T
,
Z
)
W
⊗
Z
p
⊂
H
∗
(
B
T
,
Z
p
)
{\displaystyle H^{*}(BT,\mathbb {Z} )^{W}\otimes \mathbb {Z} _{p}\subset H^{*}(BT,\mathbb {Z} _{p})}
とみなすと[ 注 12] 、包含写像
ι
:
T
↪
G
{\displaystyle \iota ~:~T\hookrightarrow G}
がコホモロジーに誘導する写像
B
ι
∗
:
H
∗
(
B
G
,
Z
p
)
→
H
∗
(
B
T
,
Z
)
W
⊗
Z
p
{\displaystyle B\iota ^{*}~:~H^{*}(BG,\mathbb {Z} _{p})\to H^{*}(BT,\mathbb {Z} )^{W}\otimes \mathbb {Z} _{p}}
は環同型である[ 41] 。
H
∗
(
S
O
(
n
)
;
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(SO(n);\Lambda )}
が
p
≠
2
{\displaystyle p\neq 2}
のねじれ元を持たない事を利用して、以下の命題を示せる:
命題 (H* (BSO (n ),Λ ) のワイル群による表現 ) ― 写像
μ
∗
:
H
∗
(
B
S
O
(
n
)
;
Λ
)
→
H
∗
(
B
S
O
(
2
)
m
;
Z
)
W
⊗
Λ
{\displaystyle \mu ^{*}~:~H^{*}(BSO(n);\Lambda )\to H^{*}(BSO(2)^{m};\mathbb {Z} )^{W}\otimes \Lambda }
は環同型である。
上述の命題ではBorelの定理で「
Z
p
{\displaystyle \mathbb {Z} _{p}}
」であったところが「Λ 」に代わっているが、普遍係数定理 を用いる事で「Λ 」に代えてよい事が容易に示せる。
命題の証明には普遍係数定理 を使うので、まずこの定理を復習する:
すでに述べたようにBSO (n ) やBSO (2 ) はグラスマン多様体として表す事ができる。そしてグラスマン多様体をCW複体であって各k に対してk 包体が有限個のもので表せる事が知られている[ 43] 。よって
H
k
(
B
S
O
(
n
)
;
Z
)
{\displaystyle H_{k}(BSO(n);\mathbb {Z} )}
、
H
k
(
B
S
O
(
n
)
;
Z
)
{\displaystyle H^{k}(BSO(n);\mathbb {Z} )}
、
H
k
(
B
S
O
(
2
)
m
;
Z
)
{\displaystyle H_{k}(BSO(2)^{m};\mathbb {Z} )}
、
H
k
(
B
S
O
(
2
)
m
;
Z
)
{\displaystyle H^{k}(BSO(2)^{m};\mathbb {Z} )}
は全て有限生成であり、上述の普遍係数定理の前提条件が満たされる。
以下、
Λ
=
Z
[
1
/
2
]
=
{
a
/
2
n
∣
a
∈
Z
,
n
∈
Z
≥
0
}
{\displaystyle \Lambda =\mathbb {Z} [1/2]=\{a/2^{n}\mid a\in \mathbb {Z} ,n\in \mathbb {Z} _{\geq 0}\}}
の場合に対してのみ定理を証明する。それ以外の場合に関しては普遍係数定理から従う。なお
Λ
=
Z
[
1
/
2
]
{\displaystyle \Lambda =\mathbb {Z} [1/2]}
は単項イデアル整域であり、
Λ
{\displaystyle \Lambda }
上のイデアルは素数
p
≠
2
{\displaystyle p\neq 2}
により生成される単項イデアルのみである事を容易に示せる。
μ
:
S
O
(
2
)
m
→
S
O
(
n
)
{\displaystyle \mu ~:~SO(2)^{m}\to SO(n)}
が誘導する写像
B
μ
Λ
∗
:
H
k
(
B
S
O
(
n
)
,
Λ
)
≈
H
k
(
B
S
O
(
n
)
,
Z
)
⊗
Λ
→
H
k
(
B
S
O
(
2
)
m
,
Z
)
W
⊗
Λ
{\displaystyle B\mu {}_{\Lambda }^{*}~:~H^{k}(BSO(n),\Lambda )\approx H^{k}(BSO(n),\mathbb {Z} )\otimes \Lambda \to H^{k}(BSO(2)^{m},\mathbb {Z} )^{W}\otimes \Lambda }
...(1)
を考えるとき、まず(1)式の右辺について、
H
k
(
B
S
O
(
2
)
m
,
Z
)
W
⊗
Λ
≈
Λ
r
k
{\displaystyle H^{k}(BSO(2)^{m},\mathbb {Z} )^{W}\otimes \Lambda \approx \Lambda ^{r_{k}}}
...(2)
となる非負整数rk が存在する事が言える。
実際、
S
O
(
2
)
≈
U
(
1
)
{\displaystyle SO(2)\approx U(1)}
であるので、チャーン類のところで述べた議論から、
H
∗
(
B
S
O
(
2
)
m
;
Z
)
≈
Z
[
γ
1
,
…
,
γ
m
]
{\displaystyle H^{*}(BSO(2)^{m};\mathbb {Z} )\approx \mathbb {Z} [\gamma _{1},\ldots ,\gamma _{m}]}
であり、よって特に各k に対し、
H
k
(
B
S
O
(
2
)
m
;
Z
)
{\displaystyle H^{k}(BSO(2)^{m};\mathbb {Z} )}
は自由アーベル群であり、したがってその部分群である
H
k
(
B
S
O
(
2
)
m
,
Z
)
W
{\displaystyle H^{k}(BSO(2)^{m},\mathbb {Z} )^{W}}
も自由アーベル群であるので(2)がしたがう。
Λ
=
Z
[
1
/
2
]
{\displaystyle \Lambda =\mathbb {Z} [1/2]}
は単項イデアル整域なので、有限生成加群の基本定理 を使って
H
k
(
B
S
O
(
n
)
;
Z
)
≈
Λ
t
k
⊕
S
(
k
)
{\displaystyle H^{k}(BSO(n);\mathbb {Z} )\approx \Lambda ^{t_{k}}\oplus S^{(k)}}
と自由Λ -加群部分
Λ
t
k
{\displaystyle \Lambda ^{t_{k}}}
と捩れ部分群部分
S
(
k
)
{\displaystyle S^{(k)}}
の直和として表すと、(2)式より(1)式は
B
μ
Λ
∗
:
H
k
(
B
S
O
(
n
)
,
Λ
)
≈
Λ
t
k
⊕
S
(
k
)
→
H
k
(
B
S
O
(
2
)
m
,
Z
)
W
⊗
Λ
≈
Λ
r
k
{\displaystyle B\mu {}_{\Lambda }^{*}~:~H^{k}(BSO(n),\Lambda )\approx \Lambda ^{t_{k}}\oplus S^{(k)}\to H^{k}(BSO(2)^{m},\mathbb {Z} )^{W}\otimes \Lambda \approx \Lambda ^{r_{k}}}
...(3)
と書ける。
H
∗
(
S
O
(
n
)
;
Z
)
{\displaystyle H^{*}(SO(n);\mathbb {Z} )}
は素数
p
≠
2
{\displaystyle p\neq 2}
に対し、p -捩れ部分群を持たないので、
G
=
S
O
(
n
)
{\displaystyle G=SO(n)}
、
T
=
S
O
(
2
)
m
{\displaystyle T=SO(2)^{m}}
に対してBorelの定理を使う事ができ、
B
μ
Z
p
∗
:
H
∗
(
B
S
O
(
n
)
,
Z
p
)
→
∼
H
∗
(
B
S
O
(
2
)
m
,
Z
)
W
⊗
Z
p
{\displaystyle B\mu {}_{\mathbb {Z} _{p}}^{*}~:~H^{*}(BSO(n),\mathbb {Z} _{p}){\overset {\sim }{\to }}H^{*}(BSO(2)^{m},\mathbb {Z} )^{W}\otimes \mathbb {Z} _{p}}
for
p
≠
2
{\displaystyle p\neq 2}
である。上式と(3)式と普遍係数定理を使って書き換える事で、
B
μ
Z
p
∗
:
Z
p
t
k
⊕
(
S
(
k
)
⊗
Z
p
)
⊕
(
S
(
k
+
1
)
⊗
Z
p
)
→
∼
Z
p
r
k
{\displaystyle B\mu {}_{\mathbb {Z} _{p}}^{*}~:~\mathbb {Z} _{p}{}^{t_{k}}\oplus (S^{(k)}\otimes \mathbb {Z} _{p})\oplus (S^{(k+1)}\otimes \mathbb {Z} _{p}){\overset {\sim }{\to }}\mathbb {Z} _{p}{}^{r_{k}}}
for
p
≠
2
{\displaystyle p\neq 2}
...(4)
が言える。
有限生成加群の基本定理から
S
(
k
)
{\displaystyle S^{(k)}}
、
S
(
k
+
1
)
{\displaystyle S^{(k+1)}}
は有限集合なので、
S
(
k
)
{\displaystyle S^{(k)}}
、
S
(
k
+
1
)
{\displaystyle S^{(k+1)}}
には位数q の元が存在しない素数
q
≠
2
{\displaystyle q\neq 2}
を取る事ができる。(4)式で
p
=
q
{\displaystyle p=q}
とすると、q の取り方から
S
(
k
)
⊗
Z
q
=
S
(
k
+
1
)
⊗
Z
q
=
0
{\displaystyle S^{(k)}\otimes \mathbb {Z} _{q}=S^{(k+1)}\otimes \mathbb {Z} _{q}=0}
が成立する。よって(4)式から
r
k
=
t
k
{\displaystyle r_{k}=t_{k}}
...(5)
が成立する。すなわち
H
k
(
B
S
O
(
n
)
;
Λ
)
{\displaystyle H^{k}(BSO(n);\Lambda )}
の自由アーベル群部分のランクは
H
k
(
B
S
O
(
2
)
m
,
Z
)
W
⊕
Λ
{\displaystyle H^{k}(BSO(2)^{m},\mathbb {Z} )^{W}\oplus \Lambda }
のランクに等しい。
また任意の
p
≠
2
{\displaystyle p\neq 2}
に対し(4)式の両辺で
Z
p
{\displaystyle \mathbb {Z} _{p}}
上の次元が同じでなければならないので、(5)式から
S
(
k
)
⊗
Z
p
=
S
(
k
+
1
)
⊗
Z
p
=
0
{\displaystyle S^{(k)}\otimes \mathbb {Z} _{p}=S^{(k+1)}\otimes \mathbb {Z} _{p}=0}
である。よって
S
(
k
)
{\displaystyle S^{(k)}}
も
S
(
k
+
1
)
{\displaystyle S^{(k+1)}}
も
p
≠
2
{\displaystyle p\neq 2}
に対しp -捩れ元を持たない。Λ の定義から2 -捩れ元はそもそも存在しないので、結局(4)式は同ランクの自由加群の間の写像
B
μ
Λ
∗
:
H
k
(
B
S
O
(
n
)
,
Λ
)
≈
Λ
r
k
→
H
k
(
B
S
O
(
2
)
m
,
Z
)
W
⊗
Λ
≈
Λ
r
k
{\displaystyle B\mu {}_{\Lambda }^{*}~:~H^{k}(BSO(n),\Lambda )\approx \Lambda ^{r_{k}}\to H^{k}(BSO(2)^{m},\mathbb {Z} )^{W}\otimes \Lambda \approx \Lambda ^{r_{k}}}
...(6)
として書ける。
B
μ
Λ
∗
{\displaystyle B\mu {}_{\Lambda }^{*}}
を行列として表してその行列式
|
B
μ
Λ
∗
|
∈
Λ
{\displaystyle |B\mu {}_{\Lambda }^{*}|\in \Lambda }
を考えると、(5)式が同型である事から
p
≠
2
{\displaystyle p\neq 2}
に対し
|
B
μ
Λ
∗
|
mod
p
≠
0
{\displaystyle |B\mu {}_{\Lambda }^{*}|{\bmod {p}}\neq 0}
であり、したがって
|
B
μ
Λ
∗
|
∈
Λ
{\displaystyle |B\mu {}_{\Lambda }^{*}|\in \Lambda }
は
p
≠
2
{\displaystyle p\neq 2}
を約数に持たない。Λ の定義からこれは
|
B
μ
Λ
∗
|
{\displaystyle |B\mu {}_{\Lambda }^{*}|}
がΛ 内で逆数を持つことを意味しており、よって
B
μ
Λ
∗
{\displaystyle B\mu {}_{\Lambda }^{*}}
は逆行列を持つ。したがって(6)は同型写像である。
以上の事からSO (n ) のワイル群W =W (SO (n )) の具体的な形と
H
∗
(
B
S
O
(
2
)
m
,
Z
)
W
⊗
Λ
⊂
H
∗
(
B
S
O
(
2
)
m
,
Z
)
≈
Λ
[
γ
1
,
…
,
γ
m
]
{\displaystyle H^{*}(BSO(2)^{m},\mathbb {Z} )^{W}\otimes \Lambda \subset H^{*}(BSO(2)^{m},\mathbb {Z} )\approx \Lambda [\gamma _{1},\ldots ,\gamma _{m}]}
の具体的な形を決定すれば
H
∗
(
B
S
O
(
n
)
,
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(BSO(n),\Lambda )}
の具体的な形が決定できる事になる。
n が偶数の場合のH * (BSO (n ),Λ) の構造[ 編集 ]
n =2m とし、ワイル群
W
=
W
(
S
O
(
n
)
)
{\displaystyle W=W(SO(n))}
の具体的な形を決定するため、実ベクトル空間として
R
n
=
(
R
2
)
m
{\displaystyle \mathbb {R} ^{n}=(\mathbb {R} ^{2})^{m}}
という同一視をし、以下の2種類の行列を考える[ 38] [ 44] :
Pσ :
(
R
2
)
m
{\displaystyle (\mathbb {R} ^{2})^{m}}
の成分を置換
σ
{\displaystyle \sigma }
に従って入れ替える置換行列。すなわち
(
x
j
,
y
j
)
j
=
1
,
…
,
m
∈
(
R
2
)
m
{\displaystyle (x_{j},y_{j})_{j=1,\ldots ,m}\in (\mathbb {R} ^{2})^{m}}
を
(
x
σ
(
i
)
,
y
σ
(
i
)
)
i
=
1
,
…
,
m
∈
(
R
2
)
m
{\displaystyle (x_{\sigma (i)},y_{\sigma (i)})_{i=1,\ldots ,m}\in (\mathbb {R} ^{2})^{m}}
に写す行列。
Ci :yi の符号を反転する写像。すなわち
(
x
j
,
y
j
)
j
=
1
,
…
,
m
∈
(
R
2
)
m
{\displaystyle (x_{j},y_{j})_{j=1,\ldots ,m}\in (\mathbb {R} ^{2})^{m}}
を
(
x
j
,
(
−
1
)
δ
i
,
j
y
j
)
j
=
1
,
…
,
m
∈
(
R
2
)
m
{\displaystyle (x_{j},(-1)^{\delta _{i,j}}y_{j})_{j=1,\ldots ,m}\in (\mathbb {R} ^{2})^{m}}
に写す行列[ 注 13] 。ここでδi,j はクロネッカーのデルタ である。
Pσ の方はxi とyi がセットになって置換されるので
R
n
=
(
R
2
)
m
{\displaystyle \mathbb {R} ^{n}=(\mathbb {R} ^{2})^{m}}
上の空間の向きを保ち、SO (n ) に属するが、Ci の方は空間の向きを反転するのでO (n ) には属するもののSO (n ) には属さない。しかしCi を偶数個かけ合わせたもの はSO (n ) に属する[ 38] 。
命題 ―
ワイル群の任意の元はCi を偶数個 かけ合わせたものとPσ を使って書ける[ 44] 。
証明
まず示すべき命題を厳密に記述する:
命題 ―
n =2m のとき、W =W (SO (n )) の任意の元は、
[
C
1
ε
1
⋯
C
m
ε
m
P
σ
]
{\displaystyle [C_{1}{}^{\varepsilon _{1}}\cdots C_{m}{}^{\varepsilon _{m}}P_{\sigma }]}
s.t.
ε
1
+
⋯
+
ε
m
=
0
mod
2
{\displaystyle \varepsilon _{1}+\cdots +\varepsilon _{m}=0{\bmod {2}}}
という形で書ける。ここで
[
⋅
]
{\displaystyle [\cdot ]}
は(ワイル群は正規化群を中心化群で割ったものであったので)中心化群による同値類を表し、σ は置換である。
ワイル群の元
[
A
]
∈
W
{\displaystyle [A]\in W}
の具体的な形が定理に書かれた形である事を示す。
そのために相異なる値
κ
1
,
…
,
κ
m
∈
[
0
,
2
π
)
{\displaystyle \kappa _{1},\ldots ,\kappa _{m}\in [0,2\pi )}
を選び、
K
:=
R
(
κ
1
)
⊕
⋯
⊕
R
(
κ
m
)
{\displaystyle K:=R(\kappa _{1})\oplus \cdots \oplus R(\kappa _{m})}
とする。
さらに
e
1
,
f
1
,
e
2
,
f
2
,
…
,
e
m
,
f
m
{\displaystyle e_{1},f_{1},e_{2},f_{2},\ldots ,e_{m},f_{m}}
を
R
n
=
(
R
2
)
m
{\displaystyle \mathbb {R} ^{n}=(\mathbb {R} ^{2})^{m}}
の基底とし、
E
i
{\displaystyle E_{i}}
をei 、fi が張る
(
R
2
)
m
{\displaystyle (\mathbb {R} ^{2})^{m}}
の部分ベクトル空間とする。
ワイル群の定義から、
[
A
]
∈
W
{\displaystyle [A]\in W}
と上記のG に対し、
φ
A
(
G
)
∈
S
O
(
2
)
m
{\displaystyle \varphi _{A}(G)\in SO(2)^{m}}
なので、ある
κ
1
′
,
…
,
κ
m
′
∈
[
0
,
2
π
)
{\displaystyle \kappa '_{1},\ldots ,\kappa '_{m}\in [0,2\pi )}
が存在し、
φ
A
(
G
)
=
R
(
κ
1
′
)
⊕
⋯
⊕
R
(
κ
m
′
)
{\displaystyle \varphi _{A}(G)=R(\kappa '_{1})\oplus \cdots \oplus R(\kappa '_{m})}
が成立する。
e
i
′
:=
e
i
A
{\displaystyle e'_{i}:=e_{i}A}
、
f
i
′
:=
f
i
A
{\displaystyle f'_{i}:=f_{i}A}
とし、e'i 、f'i が張る
R
2
m
{\displaystyle \mathbb {R} ^{2m}}
の部分ベクトル空間をE'i とすると、直交行列K の標準形の一意性より、ある置換
σ
:
{
1
,
…
,
m
}
→
{
1
,
…
,
m
}
{\displaystyle \sigma ~:~\{1,\ldots ,m\}\to \{1,\ldots ,m\}}
が存在し、
E
i
′
=
E
σ
(
i
)
{\displaystyle E'_{i}=E_{\sigma (i)}}
が成立する。これは
E
i
′
=
E
σ
(
i
)
{\displaystyle E'_{i}=E_{\sigma (i)}}
の二組の基底
(
e
i
,
f
i
)
{\displaystyle (e_{i},f_{i})}
、
(
e
i
′
,
f
i
′
)
{\displaystyle (e'_{i},f'_{i})}
が2次元の可逆行列で移り合う事を意味する。
よってある2次元の可逆行列
A
1
,
…
,
A
m
{\displaystyle A_{1},\ldots ,A_{m}}
が存在し、
A
=
(
A
1
⊕
⋯
⊕
A
m
)
⋅
P
σ
{\displaystyle A=(A_{1}\oplus \cdots \oplus A_{m})\cdot P_{\sigma }}
が成立する。A が向きを保つ直交行列であり、
R
n
=
(
R
2
)
m
{\displaystyle \mathbb {R} ^{n}=(\mathbb {R} ^{2})^{m}}
上の置換行列
P
σ
{\displaystyle P_{\sigma }}
も向きを保つ直交行列なので、
A
1
⊕
⋯
⊕
A
m
{\displaystyle A_{1}\oplus \cdots \oplus A_{m}}
も向きを保つ直交行列でなければならない。したがって
A
1
,
…
,
A
m
{\displaystyle A_{1},\ldots ,A_{m}}
はすべて直交行列であり、しかも
|
A
1
|
⋅
⋯
⋅
|
A
m
|
=
1
{\displaystyle |A_{1}|\cdot \cdots \cdot |A_{m}|=1}
が成立する。ここで
|
⋅
|
{\displaystyle |\cdot |}
は行列式である。
Ai は直交行列なので、
A
i
=
C
ε
i
R
(
θ
i
)
{\displaystyle A_{i}=C{}^{\varepsilon _{i}}R(\theta _{i})}
となる
θ
i
∈
[
0
,
2
π
)
{\displaystyle \theta _{i}\in [0,2\pi )}
、
ε
i
∈
{
0
,
1
}
{\displaystyle \varepsilon _{i}\in \{0,1\}}
が存在する。ここで
C
:
R
2
→
R
2
{\displaystyle C~:~\mathbb {R} ^{2}\to \mathbb {R} ^{2}}
は
(
x
,
y
)
∈
R
2
{\displaystyle (x,y)\in \mathbb {R} ^{2}}
を
(
x
,
−
y
)
∈
R
2
{\displaystyle (x,-y)\in \mathbb {R} ^{2}}
に写す写像であり、
ε
i
{\displaystyle \varepsilon _{i}}
はAi が向きを保つときは0 、そうでないときは1 である。
よって
A
=
(
A
1
⊕
⋯
⊕
A
m
)
⋅
P
σ
=
(
(
C
ε
1
R
(
θ
1
)
)
⊕
⋯
⊕
(
C
ε
m
R
(
θ
m
)
)
)
⋅
P
σ
=
(
C
ε
1
⊕
⋯
⊕
C
ε
m
)
⋅
(
R
(
θ
1
)
⊕
⋯
⊕
R
(
θ
m
)
)
⋅
P
σ
=
(
C
1
ε
1
⋯
C
m
ε
m
)
⋅
(
R
(
θ
1
)
⊕
⋯
⊕
R
(
θ
m
)
)
⋅
P
σ
{\displaystyle A=(A_{1}\oplus \cdots \oplus A_{m})\cdot P_{\sigma }=((C{}^{\varepsilon _{1}}R(\theta _{1}))\oplus \cdots \oplus (C{}^{\varepsilon _{m}}R(\theta _{m})))\cdot P_{\sigma }=(C{}^{\varepsilon _{1}}\oplus \cdots \oplus C{}^{\varepsilon _{m}})\cdot (R(\theta _{1})\oplus \cdots \oplus R(\theta _{m}))\cdot P_{\sigma }=(C_{1}{}^{\varepsilon _{1}}\cdots C_{m}{}^{\varepsilon _{m}})\cdot (R(\theta _{1})\oplus \cdots \oplus R(\theta _{m}))\cdot P_{\sigma }}
であり、
R
(
θ
1
)
⊕
⋯
⊕
R
(
θ
m
)
∈
S
O
(
2
)
m
{\displaystyle R(\theta _{1})\oplus \cdots \oplus R(\theta _{m})\in SO(2)^{m}}
であるので、
[
A
]
=
(
C
1
ε
1
⋯
C
m
ε
m
)
P
σ
{\displaystyle [A]=(C_{1}{}^{\varepsilon _{1}}\cdots C_{m}{}^{\varepsilon _{m}})P_{\sigma }}
が成立する。また
|
A
1
|
⋅
⋯
⋅
|
A
m
|
=
1
{\displaystyle |A_{1}|\cdot \cdots \cdot |A_{m}|=1}
であった事から
|
C
ε
1
|
⋯
|
C
ε
m
|
=
1
{\displaystyle |C{}^{\varepsilon _{1}}|\cdots |C{}^{\varepsilon _{m}}|=1}
が成立し、したがって
ε
1
+
⋯
+
ε
m
=
0
mod
2
{\displaystyle \varepsilon _{1}+\cdots +\varepsilon _{m}=0{\bmod {2}}}
も成立する。
よって
P
σ
{\displaystyle P_{\sigma }}
、
C
i
{\displaystyle C_{i}}
が
H
∗
(
B
S
O
(
2
)
m
;
Z
)
≈
Z
[
γ
1
,
…
,
γ
m
]
{\displaystyle H^{*}(BSO(2)^{m};\mathbb {Z} )\approx \mathbb {Z} [\gamma _{1},\ldots ,\gamma _{m}]}
上に誘導する写像を特定すれば、
H
∗
(
B
S
O
(
n
)
;
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(BSO(n);\Lambda )}
の構造が決定できるが、これらの写像は以下の通りである:
証明
P
σ
{\displaystyle P_{\sigma }}
が誘導する写像が
γ
i
{\displaystyle \gamma _{i}}
を
γ
σ
(
i
)
{\displaystyle \gamma _{\sigma (i)}}
に写す写像な事はチャーン類のときの議論と場合と同様、分類空間は直積に対して自然に振る舞う 事から従うので、補題の後半のみを示す。
証明はm =1 の場合のみ示せば良い。実際、m =1 の場合に
C
1
{\displaystyle C_{1}}
が誘導する写像が
γ
i
{\displaystyle \gamma _{i}}
を
−
γ
i
{\displaystyle -\gamma _{i}}
に代える写像であれば、
H
∗
(
B
S
O
(
2
)
m
;
Z
)
{\displaystyle H^{*}(BSO(2)^{m};\mathbb {Z} )}
≈
⊗
i
=
1
,
…
,
m
H
∗
(
B
S
O
(
2
)
;
Z
)
{\displaystyle \approx \otimes _{i=1,\ldots ,m}H^{*}(BSO(2);\mathbb {Z} )}
≈
⊗
i
=
1
,
…
,
m
Λ
[
γ
i
]
{\displaystyle \approx \otimes _{i=1,\ldots ,m}\Lambda [\gamma _{i}]}
である事から一般の場合が従う。
すでに述べたように
π
:
P
S
O
(
2
)
→
B
S
O
(
2
)
{\displaystyle \pi ~:~PSO(2)\to BSO(2)}
(のモデルの一つ)は、無限次元の正規直交スティーフェル多様体
V
2
O
R
∞
{\displaystyle V_{2}^{O}\mathbb {R} ^{\infty }}
と向きづけられた無限次元グラスマン多様体
G
~
2
R
∞
{\displaystyle {\tilde {G}}_{2}\mathbb {R} ^{\infty }}
により、
π
:
(
e
1
,
e
2
)
∈
P
S
O
(
2
)
=
V
2
O
R
∞
→
[
e
1
,
e
2
]
∈
B
S
O
(
2
)
=
G
~
2
R
∞
{\displaystyle \pi ~:~(e_{1},e_{2})\in PSO(2)=V_{2}^{O}\mathbb {R} ^{\infty }\to [e_{1},e_{2}]\in BSO(2)={\tilde {G}}_{2}\mathbb {R} ^{\infty }}
と表現できた。ここで
[
e
1
,
e
2
]
{\displaystyle [e_{1},e_{2}]}
は
(
e
1
,
e
2
)
{\displaystyle (e_{1},e_{2})}
が張る向きづけられた平面である。
分類空間への誘導写像の定義 より、
B
φ
C
1
:
B
S
O
(
2
)
→
B
S
O
(
2
)
{\displaystyle B\varphi _{C_{1}}~:~BSO(2)\to BSO(2)}
は、
P
S
O
(
2
)
×
φ
C
1
S
O
(
2
)
{\displaystyle PSO(2)\times _{\varphi _{C_{1}}}SO(2)}
=
V
2
O
R
∞
×
φ
C
1
S
O
(
2
)
{\displaystyle =V_{2}^{O}\mathbb {R} ^{\infty }\times _{\varphi _{C_{1}}}SO(2)}
→
B
S
O
(
2
)
{\displaystyle \to BSO(2)}
=
G
~
2
R
∞
{\displaystyle ={\tilde {G}}_{2}\mathbb {R} ^{\infty }}
の分類写像であった。
C
1
{\displaystyle C_{1}}
による共役
φ
C
1
:
S
O
(
2
)
→
S
O
(
2
)
{\displaystyle \varphi _{C_{1}}~:~SO(2)\to SO(2)}
は
R
(
θ
)
{\displaystyle R(\theta )}
を
R
(
−
θ
)
{\displaystyle R(-\theta )}
に写す写像なので、バランス積
P
S
O
(
2
)
×
φ
C
1
S
O
(
2
)
{\displaystyle PSO(2)\times _{\varphi _{C_{1}}}SO(2)}
は
(
(
e
1
,
e
2
)
,
R
(
θ
)
)
∼
(
R
(
−
θ
)
(
e
1
,
e
2
)
,
1
)
{\displaystyle ((e_{1},e_{2}),R(\theta ))\sim (R(-\theta )(e_{1},e_{2}),1)}
という同値関係で
P
S
O
(
2
)
×
S
O
(
2
)
{\displaystyle PSO(2)\times SO(2)}
を割る事により定義される。ここで
R
(
−
θ
)
(
e
1
,
e
2
)
{\displaystyle R(-\theta )(e_{1},e_{2})}
は
(
e
1
,
e
2
)
{\displaystyle (e_{1},e_{2})}
を含む平面上で
(
e
1
,
e
2
)
{\displaystyle (e_{1},e_{2})}
を
−
θ
{\displaystyle -\theta }
だけ回転させたものである。この同値類による同値関係を以下
[
⋅
]
φ
C
1
{\displaystyle [\cdot ]_{\varphi _{C_{1}}}}
と表す。
写像
ξ
{\displaystyle \xi }
を
ξ
:
[
e
1
,
e
2
]
∈
B
S
O
(
2
)
=
G
~
2
R
∞
↦
[
e
1
,
−
e
2
]
∈
B
S
O
(
2
)
=
G
~
2
R
∞
{\displaystyle \xi ~:~[e_{1},e_{2}]\in BSO(2)={\tilde {G}}_{2}\mathbb {R} ^{\infty }\mapsto [e_{1},-e_{2}]\in BSO(2)={\tilde {G}}_{2}\mathbb {R} ^{\infty }}
により定義すると、下記の図式が可換 になる:
[
(
(
e
1
,
e
2
)
,
R
(
θ
)
)
]
φ
C
1
∈
V
2
O
R
∞
×
φ
C
1
S
O
(
2
)
→
R
(
θ
)
(
e
1
,
−
e
2
)
∈
V
2
O
R
∞
↓
↻
↓
[
e
1
,
e
2
]
∈
G
~
2
R
∞
→
ξ
[
e
1
,
−
e
2
]
∈
G
~
2
R
∞
{\displaystyle {\begin{array}{ccc}[((e_{1},e_{2}),R(\theta ))]_{\varphi _{C_{1}}}\in V_{2}^{O}\mathbb {R} ^{\infty }\times _{\varphi _{C_{1}}}SO(2)&\to &R(\theta )(e_{1},-e_{2})\in V_{2}^{O}\mathbb {R} ^{\infty }\\\downarrow &\circlearrowright &\downarrow \\[][e_{1},e_{2}]\in {\tilde {G}}_{2}\mathbb {R} ^{\infty }&{\overset {\xi }{\to }}&[e_{1},-e_{2}]\in {\tilde {G}}_{2}\mathbb {R} ^{\infty }\\\end{array}}}
よって、
B
φ
C
1
{\displaystyle B\varphi _{C_{1}}}
の定義より、
B
φ
C
1
{\displaystyle B\varphi _{C_{1}}}
はξ と一致し、ξ の定義から
B
φ
C
1
=
ξ
{\displaystyle B\varphi _{C_{1}}=\xi }
が
H
∗
(
B
S
O
(
2
)
;
Z
)
{\displaystyle H^{*}(BSO(2);\mathbb {Z} )}
上に誘導する写像は、生成元
γ
1
{\displaystyle \gamma _{1}}
を
−
γ
1
{\displaystyle -\gamma _{1}}
に写す。
よって、以下が成立する:
これらの事実を用いると、基本対称式
p
i
=
σ
i
(
γ
1
2
,
…
,
γ
m
2
)
{\displaystyle p_{i}=\sigma _{i}(\gamma _{1}{}^{2},\ldots ,\gamma _{m}{}^{2})}
と
e
=
γ
1
⋯
γ
m
{\displaystyle e=\gamma _{1}\cdots \gamma _{m}}
を用いて、
H
∗
(
B
S
O
(
n
)
;
Λ
)
≈
Λ
[
p
1
,
…
,
p
m
,
e
]
{\displaystyle H^{*}(BSO(n);\Lambda )\approx \Lambda [p_{1},\ldots ,p_{m},e]}
と書ける事がわかる。
証明
n が奇数の場合は上述の命題から自明に定理が従うので、n が偶数の場合のみ定理を示す。
n
=
2
m
{\displaystyle n=2m}
とする。
m =1 の場合は、変数γi が1つしかないため「λi の偶数回の符号反転」は恒等写像のみであるので、定理は自明に従う。
m ≧2 に対し、任意の
f
(
γ
1
,
…
,
γ
m
)
∈
Λ
[
γ
1
,
γ
2
]
W
{\displaystyle f(\gamma _{1},\ldots ,\gamma _{m})\in \Lambda [\gamma _{1},\gamma _{2}]^{W}}
は
f
(
γ
1
,
…
,
γ
m
)
=
∑
ε
1
,
…
,
ε
m
∈
{
0
,
1
}
f
ε
1
,
…
,
ε
m
(
γ
1
2
,
…
,
γ
m
2
)
γ
1
ε
1
⋯
γ
m
ε
m
{\displaystyle f(\gamma _{1},\ldots ,\gamma _{m})=\sum _{\varepsilon _{1},\ldots ,\varepsilon _{m}\in \{0,1\}}f_{\varepsilon _{1},\ldots ,\varepsilon _{m}}(\gamma _{1}{}^{2},\ldots ,\gamma _{m}{}^{2})\gamma _{1}{}^{\varepsilon _{1}}\cdots \gamma _{m}{}^{\varepsilon _{m}}}
という形で書きあらわせる。ここで
f
ε
1
,
…
,
ε
m
(
γ
1
2
,
…
,
γ
m
2
)
γ
1
ε
1
⋯
γ
m
ε
m
{\displaystyle f_{\varepsilon _{1},\ldots ,\varepsilon _{m}}(\gamma _{1}{}^{2},\ldots ,\gamma _{m}{}^{2})\gamma _{1}{}^{\varepsilon _{1}}\cdots \gamma _{m}{}^{\varepsilon _{m}}}
は各i =1 ,2 に対し、λi の次数を
mod
2
{\displaystyle {\bmod {2}}}
したものが
ε
i
{\displaystyle \varepsilon _{i}}
になる項の和である。
k
,
ℓ
∈
{
1
,
…
,
m
}
{\displaystyle k,\ell \in \{1,\ldots ,m\}}
に対し
γ
k
,
γ
ℓ
{\displaystyle \gamma _{k},\gamma _{\ell }}
の符号を反転すると、
f
(
γ
1
,
…
,
−
γ
k
…
,
−
γ
ℓ
,
…
,
γ
m
)
=
(
∑
ε
k
=
0
,
ε
ℓ
=
0
−
∑
ε
k
=
1
,
ε
ℓ
=
0
−
∑
ε
k
=
0
,
ε
ℓ
=
1
+
∑
ε
k
=
1
,
ε
ℓ
=
1
)
f
ε
1
,
…
,
ε
m
(
γ
1
2
,
…
,
γ
m
2
)
γ
1
ε
1
⋯
γ
m
ε
m
{\displaystyle f(\gamma _{1},\ldots ,-\gamma _{k}\ldots ,-\gamma _{\ell },\ldots ,\gamma _{m})=\left(\sum _{\varepsilon _{k}=0,\varepsilon _{\ell }=0}-\sum _{\varepsilon _{k}=1,\varepsilon _{\ell }=0}-\sum _{\varepsilon _{k}=0,\varepsilon _{\ell }=1}+\sum _{\varepsilon _{k}=1,\varepsilon _{\ell }=1}\right)f_{\varepsilon _{1},\ldots ,\varepsilon _{m}}(\gamma _{1}{}^{2},\ldots ,\gamma _{m}{}^{2})\gamma _{1}{}^{\varepsilon _{1}}\cdots \gamma _{m}{}^{\varepsilon _{m}}}
となる。f は偶数回の符号反転に関して不変でなければならない事から、
f
(
γ
1
,
…
,
γ
m
)
=
f
(
γ
1
,
…
,
−
γ
k
…
,
−
γ
ℓ
,
…
,
γ
m
)
{\displaystyle f(\gamma _{1},\ldots ,\gamma _{m})=f(\gamma _{1},\ldots ,-\gamma _{k}\ldots ,-\gamma _{\ell },\ldots ,\gamma _{m})}
なので、
ε
k
=
ε
ℓ
{\displaystyle \varepsilon _{k}=\varepsilon _{\ell }}
となる項以外は0 でなければならない。
k
,
ℓ
{\displaystyle k,\ell }
の任意性から
ε
1
=
⋯
=
ε
m
{\displaystyle \varepsilon _{1}=\cdots =\varepsilon _{m}}
となる項のみが生き残る事になるので、f は
f
(
γ
1
,
…
,
γ
m
)
=
f
0
,
…
,
0
(
γ
1
2
,
…
,
γ
m
2
)
+
f
1
,
…
,
1
(
γ
1
2
,
…
,
γ
m
2
)
γ
1
⋯
γ
m
{\displaystyle f(\gamma _{1},\ldots ,\gamma _{m})=f_{0,\ldots ,0}(\gamma _{1}{}^{2},\ldots ,\gamma _{m}{}^{2})+f_{1,\ldots ,1}(\gamma _{1}{}^{2},\ldots ,\gamma _{m}{}^{2})\gamma _{1}\cdots \gamma _{m}}
であり、f が
γ
1
2
,
…
,
γ
m
2
,
γ
1
⋯
γ
m
{\displaystyle \gamma _{1}{}^{2},\ldots ,\gamma _{m}{}^{2},\gamma _{1}\cdots \gamma _{m}}
の多項式で書ける事がわかる。
f は変数の入れ替えに対しても不変でなければならないので、以上の議論からf は
γ
1
2
,
⋯
,
γ
m
2
{\displaystyle \gamma _{1}{}^{2},\cdots ,\gamma _{m}{}^{2}}
の基本対象式と
τ
=
γ
1
⋯
γ
m
{\displaystyle \tau =\gamma _{1}\cdots \gamma _{m}}
の多項式として書く事ができ、定理が示された。
n が奇数の場合のH * (BSO (n ),Λ) の構造[ 編集 ]
n =2m +1 とし、ワイル群
W
=
W
(
S
O
(
n
)
)
{\displaystyle W=W(SO(n))}
を具体的に求めるため、実ベクトル空間として
R
n
=
(
R
2
)
m
×
R
{\displaystyle \mathbb {R} ^{n}=(\mathbb {R} ^{2})^{m}\times \mathbb {R} }
という同一視をし、Pσ 、Ci をn が偶数の場合と同様に取る[ 注 14] 。さらに以下の行列を考える:
M :
(
(
x
i
,
y
i
)
i
,
z
)
∈
(
R
2
)
m
×
R
{\displaystyle ((x_{i},y_{i})_{i},z)\in (\mathbb {R} ^{2})^{m}\times \mathbb {R} }
に
(
(
x
i
,
y
i
)
i
,
−
z
)
{\displaystyle ((x_{i},y_{i})_{i},-z)}
を対応させる写像。
M は明らかに位数2 の元であり、しかもCi と可換である。そして埋め込み
μ
:
S
O
(
2
)
m
↪
S
O
(
n
)
{\displaystyle \mu ~:~SO(2)^{m}\hookrightarrow SO(n)}
の定義からM による共役は
S
O
(
2
)
m
{\displaystyle SO(2)^{m}}
上恒等写像になる。
n が偶数の場合と同様の議論により、ワイル群の任意の元は
C
1
,
…
,
C
m
,
M
{\displaystyle C_{1},\ldots ,C_{m},M}
の偶数個の積とPσ との積により書ける事がわかるが、M に着目するとさらに簡単な表現も得られる。
実際、M による共役は
S
O
(
2
)
m
{\displaystyle SO(2)^{m}}
上恒等写像なので、変換に影響するのはM 以外の
C
1
,
…
,
C
m
{\displaystyle C_{1},\ldots ,C_{m}}
(とPσ )のみである。そしてこれらの積
C
1
ε
1
⋯
C
m
ε
m
{\displaystyle C_{1}{}^{\varepsilon _{1}}\cdots C_{m}{}^{\varepsilon _{m}}}
が偶数個の積であっても奇数個の積であっても、
C
¯
i
:=
C
i
M
{\displaystyle {\bar {C}}_{i}:=C_{i}M}
とすると、
C
¯
1
ε
1
⋯
C
¯
m
ε
m
=
C
1
ε
1
⋯
C
m
ε
m
M
ε
1
+
⋯
+
ε
m
{\displaystyle {\bar {C}}_{1}{}^{\varepsilon _{1}}\cdots {\bar {C}}_{m}{}^{\varepsilon _{m}}=C_{1}{}^{\varepsilon _{1}}\cdots C_{m}{}^{\varepsilon _{m}}M^{\varepsilon _{1}+\cdots +\varepsilon _{m}}}
は必ず偶数個の元
C
1
,
…
,
C
m
,
M
{\displaystyle C_{1},\ldots ,C_{m},M}
の積である。よって以下が成立する:
命題 ―
ワイル群の元は
C
¯
1
,
…
,
C
¯
m
{\displaystyle {\bar {C}}_{1},\ldots ,{\bar {C}}_{m}}
を偶数個または奇数個 かけ合わせたものとPσ を使って書ける[ 44] 。
証明
まず示すべき命題を厳密に記述する:
命題 ―
n =2m +1 のときW =W (SO (n )) の任意の元は、
[
C
¯
1
ε
1
⋯
C
¯
m
ε
m
P
σ
]
{\displaystyle [{\bar {C}}_{1}{}^{\varepsilon _{1}}\cdots {\bar {C}}_{m}{}^{\varepsilon _{m}}P_{\sigma }]}
という(偶数個または奇数個の )積の形で書ける。
ここで
[
⋅
]
{\displaystyle [\cdot ]}
は(ワイル群は正規化群を中心化群で割ったものであったので)中心化群による同値類を表し、σ は置換である。
n が偶数の場合と同様の議論により、
ワイル群の任意の元が
[
C
1
ε
1
⋯
C
m
ε
m
M
δ
P
σ
]
{\displaystyle [C_{1}{}^{\varepsilon _{1}}\cdots C_{m}{}^{\varepsilon _{m}}M^{\delta }P_{\sigma }]}
s.t.
ε
1
+
⋯
+
ε
m
+
δ
=
0
mod
2
{\displaystyle \varepsilon _{1}+\cdots +\varepsilon _{m}+\delta =0{\bmod {2}}}
という形で書ける事を示せる。
よって、
[
C
1
ε
1
⋯
C
m
ε
m
M
δ
P
σ
]
=
(
1
)
[
C
1
ε
1
⋯
C
m
ε
m
M
ε
1
+
⋯
+
ε
m
P
σ
]
=
(
2
)
[
(
C
1
M
)
ε
1
⋯
(
C
m
M
)
ε
m
P
σ
]
=
(
3
)
[
C
¯
1
ε
1
⋯
C
¯
m
ε
m
P
σ
]
{\displaystyle [C_{1}{}^{\varepsilon _{1}}\cdots C_{m}{}^{\varepsilon _{m}}M^{\delta }P_{\sigma }]{\underset {(1)}{=}}[C_{1}{}^{\varepsilon _{1}}\cdots C_{m}{}^{\varepsilon _{m}}M^{\varepsilon _{1}+\cdots +\varepsilon _{m}}P_{\sigma }]{\underset {(2)}{=}}[(C_{1}M){}^{\varepsilon _{1}}\cdots (C_{m}M){}^{\varepsilon _{m}}P_{\sigma }]{\underset {(3)}{=}}[{\bar {C}}_{1}{}^{\varepsilon _{1}}\cdots {\bar {C}}_{m}{}^{\varepsilon _{m}}P_{\sigma }]}
が成立する。ここで
(1)は
ε
1
+
⋯
+
ε
m
+
δ
=
0
mod
2
{\displaystyle \varepsilon _{1}+\cdots +\varepsilon _{m}+\delta =0{\bmod {2}}}
とM の位数が2 な事から従う。
(2)はM がCi と可換な事から従う。
(3)は
C
¯
i
{\displaystyle {\bar {C}}_{i}}
の定義から従う。
n が偶数の場合と同様、
P
σ
{\displaystyle P_{\sigma }}
、
C
i
{\displaystyle C_{i}}
が
H
∗
(
B
S
O
(
2
)
;
Z
)
≈
Z
[
γ
1
,
…
,
γ
m
]
{\displaystyle H^{*}(BSO(2);\mathbb {Z} )\approx \mathbb {Z} [\gamma _{1},\ldots ,\gamma _{m}]}
上に誘導する写像は、それぞれ
γ
1
,
…
,
γ
m
{\displaystyle \gamma _{1},\ldots ,\gamma _{m}}
を
γ
σ
(
1
)
,
…
,
γ
σ
(
m
)
{\displaystyle \gamma _{\sigma (1)},\ldots ,\gamma _{\sigma (m)}}
に写す写像、
γ
i
{\displaystyle \gamma _{i}}
を
−
γ
i
{\displaystyle -\gamma _{i}}
に代える写像である。またM による共役は恒等写像なので、
C
¯
i
=
C
i
M
{\displaystyle {\bar {C}}_{i}=C_{i}M}
が
H
∗
(
B
S
O
(
2
)
;
Z
)
≈
Z
[
γ
1
,
…
,
γ
m
]
{\displaystyle H^{*}(BSO(2);\mathbb {Z} )\approx \mathbb {Z} [\gamma _{1},\ldots ,\gamma _{m}]}
上に誘導する写像も
γ
i
{\displaystyle \gamma _{i}}
を
−
γ
i
{\displaystyle -\gamma _{i}}
に代える写像である。よって以下が成立する。
これらの写像で不変な元は
γ
i
2
{\displaystyle \gamma _{i}{}^{2}}
の対称式なので、基本対称式
p
i
=
σ
i
(
γ
1
2
,
…
,
γ
m
2
)
{\displaystyle p_{i}=\sigma _{i}(\gamma _{1}{}^{2},\ldots ,\gamma _{m}{}^{2})}
を用いて、
H
∗
(
B
S
O
(
n
)
;
Λ
)
≈
Λ
[
p
1
,
…
,
p
m
]
{\displaystyle H^{*}(BSO(n);\Lambda )\approx \Lambda [p_{1},\ldots ,p_{m}]}
と書ける事がわかる。
O
(
n
)
/
S
O
(
n
)
=
Z
2
{\displaystyle O(n)/SO(n)=\mathbb {Z} _{2}}
である事から、部分群の分類空間に関する定理 より、包含写像
ι
:
S
O
(
n
)
⊂
O
(
n
)
{\displaystyle \iota ~:~SO(n)\subset O(n)}
が誘導する写像
B
ι
:
B
S
O
(
n
)
→
B
O
(
n
)
{\displaystyle B\iota ~:~BSO(n)\to BO(n)}
は
Z
2
{\displaystyle \mathbb {Z} _{2}}
-主バンドルである[ 38] 。
Z
2
{\displaystyle \mathbb {Z} _{2}}
のBSO (n ) への作用は、
Z
2
{\displaystyle \mathbb {Z} _{2}}
の
H
∗
(
B
S
O
(
n
)
;
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(BSO(n);\Lambda )}
への作用を誘導する。
Z
2
{\displaystyle \mathbb {Z} _{2}}
の作用により不変な
H
∗
(
B
S
O
(
n
)
;
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(BSO(n);\Lambda )}
の元の集合を
H
∗
(
B
S
O
(
n
)
;
Λ
)
Z
2
{\displaystyle H^{*}(BSO(n);\Lambda )^{\mathbb {Z} _{2}}}
とすると以下が成立する事が知られている:
定理 ―
B
ι
∗
:
H
∗
(
B
O
(
n
)
;
Λ
)
→
H
∗
(
B
S
O
(
n
)
;
Λ
)
Z
2
{\displaystyle B\iota ^{*}~:~H^{*}(BO(n);\Lambda )\to H^{*}(BSO(n);\Lambda )^{\mathbb {Z} _{2}}}
は環同型である[ 38] 。
上述の定理から特に、
H
∗
(
B
O
(
n
)
;
Λ
)
→
H
∗
(
B
S
O
(
n
)
;
Λ
)
→
Λ
[
γ
1
,
…
,
γ
m
]
{\displaystyle H^{*}(BO(n);\Lambda )\to H^{*}(BSO(n);\Lambda )\to \Lambda [\gamma _{1},\ldots ,\gamma _{m}]}
は単射である事が従う。この単射における
H
∗
(
B
O
(
n
)
;
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(BO(n);\Lambda )}
の像は、前述 のCi の(偶数個または奇数個の)積が作用が誘導する写像、Pσ が誘導する写像で不変でなければならないので、H * (BSO (n ),Λ) のときと同様の議論により、
H
∗
(
B
O
(
n
)
;
Λ
)
≈
Λ
[
p
1
,
…
,
p
m
]
{\displaystyle H^{*}(BO(n);\Lambda )\approx \Lambda [p_{1},\ldots ,p_{m}]}
が従う。
前述の定理 が成り立つ理由の説明は後回し にし、本節ではポントリャーギン類とオイラー類の性質を述べる。
ポントリャーギン類はチャーン類との間に以下の関係を満たす:
定理を示すには、包含写像
ι
:
O
(
n
)
⊂
U
(
n
)
{\displaystyle \iota ~:~O(n)\subset U(n)}
が誘導する写像
ι
∗
:
H
∗
(
B
U
(
n
)
;
Z
)
→
H
∗
(
B
O
(
n
)
;
Z
)
{\displaystyle \iota ^{*}~:~H^{*}(BU(n);\mathbb {Z} )\to H^{*}(BO(n);\mathbb {Z} )}
によって
B
ι
∗
(
c
k
)
=
{
(
−
1
)
j
p
j
if
k
=
2
j
0
if
k
=
2
j
+
1
{\displaystyle B\iota ^{*}(c_{k})={\begin{cases}(-1)^{j}p_{j}&{\text{if }}k=2j\\0&{\text{if }}k=2j+1\end{cases}}}
となる事を任意の非負整数k に対して示せば良い。
これまで同様
μ
:
O
(
2
)
m
↪
O
(
n
)
,
(
A
1
,
…
,
A
m
)
↦
{
R
(
θ
1
)
⊕
⋯
⊕
R
(
θ
m
)
if
n
=
2
m
R
(
θ
1
)
⊕
⋯
⊕
R
(
θ
m
)
⊕
1
if
n
=
2
m
+
1
{\displaystyle \mu ~:~O(2)^{m}\hookrightarrow O(n),~~(A_{1},\ldots ,A_{m})\mapsto {\begin{cases}R(\theta _{1})\oplus \cdots \oplus R(\theta _{m})&{\text{if }}n=2m\\R(\theta _{1})\oplus \cdots \oplus R(\theta _{m})\oplus 1&{\text{if }}n=2m+1\end{cases}}}
を考え、可換図式
O
(
2
)
m
↪
μ
O
(
n
)
↪
ι
U
(
n
)
ρ
↓
↻
φ
U
^
|
S
O
(
n
)
↓
↻
φ
U
^
↓
U
(
1
)
n
↪
ν
U
(
n
)
=
U
(
n
)
{\displaystyle {\begin{matrix}O(2)^{m}&{\overset {\mu }{\hookrightarrow }}&O(n)&{\overset {\iota }{\hookrightarrow }}&U(n)\\\rho \downarrow &\circlearrowright &\varphi _{\hat {U}}|_{SO(n)}\downarrow &\circlearrowright &\varphi _{\hat {U}}\downarrow \\U(1)^{n}&{\overset {\nu }{\hookrightarrow }}&U(n)&=&U(n)\end{matrix}}}
、
を考える。ここで
ρ
{\displaystyle \rho }
は
(
R
(
θ
j
)
)
j
=
1
,
…
,
m
↦
{
(
e
i
θ
j
,
e
−
i
θ
j
)
j
=
1
,
…
,
m
if
n
=
2
m
(
(
e
i
θ
j
,
e
−
i
θ
j
)
j
=
1
,
…
,
m
,
1
)
if
n
=
2
m
+
1
{\displaystyle (R(\theta _{j}))_{j=1,\ldots ,m}\mapsto {\begin{cases}(e^{i\theta _{j}},e^{-i\theta _{j}})_{j=1,\ldots ,m}&{\text{if }}n=2m\\((e^{i\theta _{j}},e^{-i\theta _{j}})_{j=1,\ldots ,m},1)&{\text{if }}n=2m+1\end{cases}}}
であり、
φ
U
^
{\displaystyle \varphi _{\hat {U}}}
は回転行列を
U
R
(
θ
)
U
−
1
=
(
e
i
θ
0
0
e
−
i
θ
)
.
{\displaystyle UR(\theta )U^{-1}={\begin{pmatrix}\mathrm {e} ^{i\theta }&0\\0&\mathrm {e} ^{-i\theta }\end{pmatrix}}.}
と対角化する行列
U
=
i
2
(
i
1
1
i
)
{\displaystyle U={i \over {\sqrt {2}}}{\begin{pmatrix}i&1\\1&i\end{pmatrix}}}
を並べてできる行列
U
^
:=
{
U
⊕
⋯
⊕
U
⏞
m
if
n
=
2
m
U
⊕
⋯
⊕
U
⏞
m
⊕
1
if
n
=
2
m
+
1
{\displaystyle {\hat {U}}:={\begin{cases}\overbrace {U\oplus \cdots \oplus U} ^{m}&{\text{if }}n=2m\\\overbrace {U\oplus \cdots \oplus U} ^{m}\oplus 1&{\text{if }}n=2m+1\end{cases}}}
による内部自己同型
φ
U
^
:
U
(
n
)
→
U
(
n
)
,
R
→
U
^
R
U
^
−
1
{\displaystyle \varphi _{\hat {U}}~:~U(n)\to U(n),~R\to {\hat {U}}R{\hat {U}}^{-1}}
であり、
ν
{\displaystyle \nu }
は対角線への埋め込み
ν
:
U
(
1
)
n
↪
U
(
n
)
,
(
a
1
,
…
,
a
n
)
↦
a
1
⊕
⋯
⊕
a
n
{\displaystyle \nu ~:~U(1)^{n}\hookrightarrow U(n),~~(a_{1},\ldots ,a_{n})\mapsto a_{1}\oplus \cdots \oplus a_{n}}
である。
n =2m の場合に元の動きを図示すると、以下の通りである:
(
R
(
θ
j
)
)
j
=
1
,
…
,
m
↪
μ
R
(
θ
1
)
⊕
⋯
⊕
R
(
θ
m
)
↪
ι
R
(
θ
1
)
⊕
⋯
⊕
R
(
θ
m
)
ρ
↓
↻
φ
U
^
↓
↻
φ
U
^
↓
(
e
i
θ
j
,
e
−
i
θ
j
)
j
=
1
,
…
,
m
↪
ν
e
i
θ
1
⊕
e
−
i
θ
1
⊕
⋯
⊕
e
i
θ
m
⊕
e
−
i
θ
m
=
e
i
θ
1
⊕
e
−
i
θ
1
⊕
⋯
⊕
e
i
θ
m
⊕
e
−
i
θ
m
.
{\displaystyle {\begin{matrix}(R(\theta _{j}))_{j=1,\ldots ,m}&{\overset {\mu }{\hookrightarrow }}&R(\theta _{1})\oplus \cdots \oplus R(\theta _{m})&{\overset {\iota }{\hookrightarrow }}&R(\theta _{1})\oplus \cdots \oplus R(\theta _{m})\\\rho \downarrow &\circlearrowright &\varphi _{\hat {U}}\downarrow &\circlearrowright &\varphi _{\hat {U}}\downarrow \\(e^{i\theta _{j}},e^{-i\theta _{j}})_{j=1,\ldots ,m}&{\overset {\nu }{\hookrightarrow }}&e^{i\theta _{1}}\oplus e^{-i\theta _{1}}\oplus \cdots \oplus e^{i\theta _{m}}\oplus e^{-i\theta _{m}}&=&e^{i\theta _{1}}\oplus e^{-i\theta _{1}}\oplus \cdots \oplus e^{i\theta _{m}}\oplus e^{-i\theta _{m}}.\end{matrix}}}
よって非負整数k に対し、
B
ι
∗
(
c
k
)
=
(
1
)
B
ι
∗
B
φ
U
^
∗
(
c
k
)
{\displaystyle B\iota ^{*}(c_{k}){\underset {(1)}{=}}B\iota ^{*}B\varphi _{\hat {U}}{}^{*}(c_{k})}
=
B
(
φ
U
^
|
S
O
(
n
)
)
∗
(
c
k
)
{\displaystyle =B(\varphi _{\hat {U}}|_{SO(n)}){}^{*}(c_{k})}
=
(
2
)
B
(
φ
U
^
|
S
O
(
n
)
)
∗
(
B
ν
∗
−
1
(
σ
k
(
α
1
,
…
,
α
n
)
)
)
{\displaystyle {\underset {(2)}{=}}B(\varphi _{\hat {U}}|_{SO(n)}){}^{*}(B\nu ^{*}{}^{-1}(\sigma _{k}(\alpha _{1},\ldots ,\alpha _{n})))}
=
B
μ
∗
−
1
(
B
ρ
∗
(
σ
k
(
α
1
,
…
,
α
n
)
)
)
{\displaystyle =B\mu ^{*}{}^{-1}(B\rho ^{*}(\sigma _{k}(\alpha _{1},\ldots ,\alpha _{n})))}
=
(
3
)
{
B
μ
∗
−
1
(
σ
k
(
γ
1
,
−
γ
1
,
…
,
γ
m
,
−
γ
m
)
)
if
n
=
2
m
B
μ
∗
−
1
(
σ
k
(
γ
1
,
−
γ
1
,
…
,
γ
m
,
−
γ
m
,
0
)
)
if
n
=
2
m
+
1
{\displaystyle {\underset {(3)}{=}}{\begin{cases}B\mu ^{*}{}^{-1}(\sigma _{k}(\gamma _{1},-\gamma _{1},\ldots ,\gamma _{m},-\gamma _{m}))&{\text{if }}n=2m\\B\mu ^{*}{}^{-1}(\sigma _{k}(\gamma _{1},-\gamma _{1},\ldots ,\gamma _{m},-\gamma _{m},0))&{\text{if }}n=2m+1\end{cases}}}
が成立する。ここで
α
s
{\displaystyle \alpha _{s}}
、
γ
t
{\displaystyle \gamma _{t}}
はそれぞれ
H
∗
(
U
(
1
)
m
;
Z
)
≈
⊗
u
H
∗
(
U
(
1
)
;
Z
)
{\displaystyle H^{*}(U(1)^{m};\mathbb {Z} )\approx \otimes _{u}H^{*}(U(1);\mathbb {Z} )}
、
H
∗
(
O
(
2
)
m
;
Z
)
≈
⊗
v
H
∗
(
O
(
2
)
;
Z
)
{\displaystyle H^{*}(O(2)^{m};\mathbb {Z} )\approx \otimes _{v}H^{*}(O(2);\mathbb {Z} )}
のs 番目、j 番目の
H
∗
(
U
(
1
)
;
Z
)
{\displaystyle H^{*}(U(1);\mathbb {Z} )}
、
H
∗
(
O
(
2
)
;
Z
)
{\displaystyle H^{*}(O(2);\mathbb {Z} )}
の生成元を表し、(1)は内部自己同型は分類空間に恒等写像を誘導する 事から従い、(2)はチャーン類の定義から従い、(3)はρ の定義から従い、それ以外の等号は可換図式を追う事で従う。
σ
k
(
γ
1
,
−
γ
1
,
…
,
γ
m
,
−
γ
m
,
0
)
=
σ
k
(
γ
1
,
−
γ
1
,
…
,
γ
m
,
−
γ
m
)
{\displaystyle \sigma _{k}(\gamma _{1},-\gamma _{1},\ldots ,\gamma _{m},-\gamma _{m},0)=\sigma _{k}(\gamma _{1},-\gamma _{1},\ldots ,\gamma _{m},-\gamma _{m})}
である事が対象多項式の定義から容易に従うので結局n によらず
B
ι
∗
(
c
k
)
=
B
μ
∗
−
1
(
σ
k
(
γ
1
,
−
γ
1
,
…
,
γ
m
,
−
γ
m
)
)
{\displaystyle B\iota ^{*}(c_{k})=B\mu ^{*}{}^{-1}(\sigma _{k}(\gamma _{1},-\gamma _{1},\ldots ,\gamma _{m},-\gamma _{m}))}
が成立する。
任意の不定元 au 、bv 、X に対し、
(
1
+
a
1
X
)
⋯
(
1
+
a
2
m
X
)
=
∑
k
σ
k
(
a
1
,
…
,
a
2
m
)
X
k
{\displaystyle (1+a_{1}X)\cdots (1+a_{2m}X)=\sum _{k}\sigma _{k}(a_{1},\ldots ,a_{2m})X^{k}}
なので、
∑
k
=
1
2
m
σ
k
(
b
1
,
−
b
1
,
…
,
b
m
,
−
b
m
)
X
k
{\displaystyle \sum _{k=1}^{2m}\sigma _{k}(b_{1},-b_{1},\ldots ,b_{m},-b_{m})X^{k}}
=
(
1
+
b
1
X
)
(
1
−
b
1
X
)
⋯
(
1
+
b
m
X
)
(
1
−
b
m
X
)
{\displaystyle =(1+b_{1}X)(1-b_{1}X)\cdots (1+b_{m}X)(1-b_{m}X)}
=
(
1
−
b
1
2
X
2
)
⋯
(
1
−
b
m
2
X
2
)
{\displaystyle =(1-b_{1}{}^{2}X^{2})\cdots (1-b_{m}{}^{2}X^{2})}
=
∑
j
=
1
m
(
−
1
)
j
σ
j
(
b
1
2
,
…
,
b
m
2
)
X
2
j
{\displaystyle =\sum _{j=1}^{m}(-1)^{j}\sigma _{j}(b_{1}{}^{2},\ldots ,b_{m}{}^{2})X^{2j}}
が成立する。両辺の次数を比較する事により、
σ
k
(
b
1
,
−
b
1
,
…
,
b
m
,
−
b
m
)
=
{
(
−
1
)
j
σ
j
(
b
1
2
,
…
,
b
m
2
)
if
k
=
2
j
0
if
k
=
2
j
+
1
{\displaystyle \sigma _{k}(b_{1},-b_{1},\ldots ,b_{m},-b_{m})={\begin{cases}(-1)^{j}\sigma _{j}(b_{1}{}^{2},\ldots ,b_{m}{}^{2})&{\text{if }}k=2j\\0&{\text{if }}k=2j+1\end{cases}}}
である。以上の議論とポントリャーギン類の定義
p
i
=
B
μ
∗
−
1
(
σ
j
(
γ
1
2
,
…
,
γ
m
2
)
)
{\displaystyle p_{i}=B\mu ^{*}{}^{-1}(\sigma _{j}(\gamma _{1}{}^{2},\ldots ,\gamma _{m}{}^{2}))}
から定理が従う。
上の定理がΛ 係数のコホモロジーに関するものである事に注意されたい。チャーン類は整数係数のコホモロジーに属するが、整数係数の場合は
c
2
j
+
1
(
ξ
C
)
=
0
{\displaystyle c_{2j+1}(\xi _{\mathbb {C} })=0}
が成立するとは限らない 。しかし
2
c
2
j
+
1
(
ξ
C
)
=
0
{\displaystyle 2c_{2j+1}(\xi _{\mathbb {C} })=0}
である事は言える[ 注 16] 。実際、一般に複素ベクトルバンドル
η
{\displaystyle \eta }
の複素共役バンドル
η
¯
{\displaystyle {\bar {\eta }}}
とすると、
c
k
(
η
¯
)
=
(
−
1
)
k
c
k
(
η
)
{\displaystyle c_{k}({\bar {\eta }})=(-1)^{k}c_{k}(\eta )}
が成立し、しかも実ベクトルバンドルの複素化
ξ
C
{\displaystyle \xi _{\mathbb {C} }}
はその複素共役バンドル
ξ
¯
C
{\displaystyle {\bar {\xi }}_{\mathbb {C} }}
と同型なので、
2
c
2
j
+
1
(
ξ
C
)
=
0
{\displaystyle 2c_{2j+1}(\xi _{\mathbb {C} })=0}
が成立する。
またチャーン類は整数係数のコホモロジーに属している事から、以下の系も従う:
系 ―
ポントリャーギン類は整数係数コホモロジーに属する。すなわち任意のi に対し、
H
∗
(
B
O
(
n
)
;
Z
)
↪
H
∗
(
B
O
(
n
)
;
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(BO(n);\mathbb {Z} )\hookrightarrow H^{*}(BO(n);\Lambda )}
の像に
p
i
{\displaystyle p_{i}}
は属している。
H
∗
(
B
O
(
n
)
;
Z
)
↪
H
∗
(
B
O
(
n
)
;
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(BO(n);\mathbb {Z} )\hookrightarrow H^{*}(BO(n);\Lambda )}
は単射ではない(位数2の元が0に移る為)が、この写像による
p
i
{\displaystyle p_{i}}
の逆像として
(
−
1
)
j
c
2
j
(
E
C
)
{\displaystyle (-1)^{j}c_{2j}(E_{\mathbb {C} })}
を選べば、
c
2
j
(
E
C
)
{\displaystyle c_{2j}(E_{\mathbb {C} })}
が整数係数のコホモロジーに属するというのが上記の定理の意味である。以下、整数係数のコホモロジーにおけるポントリャーギン類 を
p
i
:=
(
−
1
)
j
c
2
j
(
E
C
)
{\displaystyle p_{i}:=(-1)^{j}c_{2j}(E_{\mathbb {C} })}
によって定義する。
チャーン類の場合と同様以下の定義をする:
定理 ― n 次元実ベクトルバンドルξ に対し、ξ のポントリャーギン多項式 を
p
(
ξ
,
t
)
:=
p
0
+
p
1
t
+
⋯
p
⌊
n
/
2
⌋
t
⌊
n
/
2
⌋
{\displaystyle p(\xi ,t):=p_{0}+p_{1}t+\cdots p_{\lfloor n/2\rfloor }t^{\lfloor n/2\rfloor }}
により定義し、全ポントリャーギン類 を
p
(
ξ
)
:=
p
(
ξ
,
1
)
{\displaystyle p(\xi ):=p(\xi ,1)}
により定義する。
チャーン類に対するホイットニー和の公式からポントリャーギン類のホイットニー和の公式が従う:
上の定理では整数係数のコホモロジーを考えているので、両辺についている「2 」を消すことはできない[ 注 16] 。
2
−
1
∈
Λ
{\displaystyle 2^{-1}\in \Lambda }
を満たす可換環Λ を係数とするコホモロジーにおいては両辺に2 の逆元をかける事で、
p
(
ξ
⊕
η
)
=
p
(
ξ
)
⌣
p
(
η
)
{\displaystyle p(\xi \oplus \eta )=p(\xi )\smile p(\eta )}
in
H
∗
(
B
O
(
n
)
;
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(BO(n);\Lambda )}
が成立する事がわかる。
また複素ベクトルバンドル
ω
{\displaystyle \omega }
から複素構造を忘れて (英語版 ) 実ベクトルバンドルとみなしたものを
ξ
{\displaystyle \xi }
の脱複素化 (英 : decomplexification 、英 : realification )と呼び、
ω
R
{\displaystyle \omega _{\mathbb {R} }}
と書く。
ω
R
{\displaystyle \omega _{\mathbb {R} }}
を再び複素化したベクトルバンドル
(
ω
R
)
C
{\displaystyle (\omega _{\mathbb {R} })_{\mathbb {C} }}
は
ω
⊕
ω
¯
{\displaystyle \omega \oplus {\bar {\omega }}}
と同型になる事が知られている[ 47] 。ここで
ω
¯
{\displaystyle {\bar {\omega }}}
はω の共役バンドルである。
よって、チャーン類のホイットニー和の公式からチャーン多項式が
c
(
(
ω
R
)
C
,
1
)
{\displaystyle c((\omega _{\mathbb {R} })_{\mathbb {C} },1)}
=
c
(
ω
,
1
)
c
(
ω
¯
,
1
)
{\displaystyle =c(\omega ,1)c({\bar {\omega }},1)}
=
c
(
ω
,
1
)
c
(
ω
,
−
1
)
{\displaystyle =c(\omega ,1)c(\omega ,-1)}
を満たす事がわかる。成分で書くと、
∑
j
=
0
2
n
c
j
(
(
ω
R
)
C
)
=
∑
k
=
0
n
c
k
(
ω
)
∑
ℓ
=
0
n
(
−
1
)
ℓ
c
ℓ
(
ω
)
=
∑
j
=
0
2
n
∑
s
=
0
j
(
−
1
)
s
c
j
−
s
(
ω
)
c
s
(
ω
)
{\displaystyle \sum _{j=0}^{2n}c_{j}((\omega _{\mathbb {R} })_{\mathbb {C} })=\sum _{k=0}^{n}c_{k}(\omega )\sum _{\ell =0}^{n}(-1)^{\ell }c_{\ell }(\omega )=\sum _{j=0}^{2n}\sum _{s=0}^{j}(-1)^{s}c_{j-s}(\omega )c_{s}(\omega )}
である。ここでn はω のファイバーの次元である。
右辺の形から、右辺の(4 の倍数+2 )次のコホモロジーは0 になるので、左辺も(4の倍数+2 )のコホモロジーは0 で4 の倍数次のみ生き残る。よって整数係数のポントリャーギン類の定義から以下が結論付けられる:
定理 ―
ω を複素ベクトルバンドルとし、n をそのファイバーの次元とすると、以下が成立する[ 47] :
∑
i
=
0
n
p
i
(
ω
R
)
=
∑
k
=
0
n
c
k
(
ω
)
∑
ℓ
=
0
n
(
−
1
)
ℓ
c
ℓ
(
ω
)
{\displaystyle \sum _{i=0}^{n}p_{i}(\omega _{\mathbb {R} })=\sum _{k=0}^{n}c_{k}(\omega )\sum _{\ell =0}^{n}(-1)^{\ell }c_{\ell }(\omega )}
前節で述べたようにオイラー類は
μ
:
S
O
(
2
)
m
→
S
O
(
n
)
{\displaystyle \mu ~:~SO(2)^{m}\to SO(n)}
により誘導される写像を使って
χ
=
B
μ
∗
(
γ
1
⋯
γ
m
)
{\displaystyle \chi =B\mu ^{*}(\gamma _{1}\cdots \gamma _{m})}
と定義されていた。よって明らかに以下が成立する:
すでに述べたように 、実ベクトルバンドル
ξ
=
(
π
,
X
,
E
)
{\displaystyle \xi =(\pi ,X,E)}
に対し、
H
∗
(
X
;
Z
2
)
{\displaystyle H^{*}(X;\mathbb {Z} _{2})}
において
c
i
(
ξ
C
)
=
w
i
(
ξ
)
2
{\displaystyle c_{i}(\xi _{\mathbb {C} })=w_{i}(\xi )^{2}}
が成立する。よってポントリャーギン類の定義より以下が成立する。
オイラー類の満たす式「
p
i
(
ξ
)
=
e
(
ξ
)
2
{\displaystyle p_{i}(\xi )=e(\xi )^{2}}
in
H
∗
(
X
;
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(X;\Lambda )}
」と上記の「
p
i
(
ξ
)
=
w
2
i
(
ξ
)
2
{\displaystyle p_{i}(\xi )=w_{2i}(\xi )^{2}}
in
H
∗
(
X
;
Z
2
)
{\displaystyle H^{*}(X;\mathbb {Z} _{2})}
」から、整数係数コホモロジー
H
∗
(
X
;
Z
)
{\displaystyle H^{*}(X;\mathbb {Z} )}
の元
e
¯
(
ξ
)
{\displaystyle {\bar {e}}(\xi )}
で、
e
¯
(
ξ
)
=
e
(
ξ
)
{\displaystyle {\bar {e}}(\xi )=e(\xi )}
in
H
∗
(
X
;
Λ
)
{\displaystyle H^{*}(X;\Lambda )}
、
e
¯
(
ξ
)
=
w
n
(
ξ
)
{\displaystyle {\bar {e}}(\xi )=w_{n}(\xi )}
in
H
∗
(
X
;
Z
2
)
{\displaystyle H^{*}(X;\mathbb {Z} _{2})}
、
を満たす元が一意に存在する。ここでn は
ξ
{\displaystyle \xi }
のファイバーの次元である。このような
e
¯
(
ξ
)
{\displaystyle {\bar {e}}(\xi )}
を整数係数コホモロジーにおけるオイラー類 と呼ぶ。以下、紛れがなければ
e
¯
(
ξ
)
{\displaystyle {\bar {e}}(\xi )}
の事を単に
e
(
ξ
)
{\displaystyle e(\xi )}
と書く。
本項では、Λ 係数のコホモロジーからスタートしてオイラー類を定義したため、整数係数コホモロジーにおけるオイラー類は上記のように人工的なもののになったが、トムの同型定理 (英語版 ) を使って整数係数コホモロジーにおけるオイラー類を直接的に定義する事もできる。詳細はオイラー類 の項目を参照。
X 上の実ベクトルバンドル
ξ
{\displaystyle \xi }
、
η
{\displaystyle \eta }
に対し、それぞれのファイバーの次元をn 、m とすると、ホイットニー和の公式から
w
n
+
m
(
ξ
⊕
η
)
=
w
n
(
ξ
)
⊕
w
m
(
η
)
{\displaystyle w_{n+m}(\xi \oplus \eta )=w_{n}(\xi )\oplus w_{m}(\eta )}
in
H
∗
(
X
;
Z
2
)
{\displaystyle H^{*}(X;\mathbb {Z} _{2})}
なので、前述したΛ係数のオイラー類の直和に対する振る舞い と合わせて、整数係数コホモロジーにおけるオイラー類に対しても下記の定理が成り立つことが分かる:
特性類は、反変性を持ち、本質的にコホモロジー論 的な現象である。ベクトル束の切断は空間上の函数の一種で、変更を必要とする切断の存在から反変性を導く。ホモロジー論 やホモトピー論 は空間への写像を基礎とする共変な理論であり、反変な理論であるコホモロジー論 はその後に発見された。障害理論 (英語版 ) (obstruction theory)の一部として特性類の理論が生まれた1930年代において、ホモロジー論の「双対」な理論を構築しようとする大きな理由として特性類の理論がある。曲率 不変量に対する特性類のアプローチは、一般化されたガウス・ボネの定理 を証明するための理論を作ることが目的であった。
特性類の基礎が確立した1950年ごろ、当時知られていた基本的な特性類(スティーフェル・ホイットニー類 やチャーン類 やポントリャーギン類 )は、古典線型群や極大トーラス (maximal torus)の構造を反映していることが明らかとなった。さらには、グラスマン多様体 (英語版 ) (Grassmannian)のシューベルトの計算 (英語版 ) (Schubert calculus)や、代数幾何学のイタリア学派 (英語版 ) (Italian school of algebraic geometry)の業績の中にすでにチャーン類により記述されるべきものが存在することがわかった。
このような経緯で、特性類の基本的な構造は次のように認識された。空間 X とその上のベクトル束が与えられると、適切な線型群 G に対して、ホモトピーカテゴリ (homotopy category)の中で、X から分類空間 BG への写像が存在する。コホモロジー H*(BG) が計算することで、反変性により同じ次数の H*(X) の中にバンドルの特定類が定義される。ホモトピー論に対し、適切な情報は G の直交群 (orthogonal group)やユニタリ群 のようなコンパクトな部分群によりもたらされる。例えば、チャーン類 は偶数次元の次数付きの成分を持った一つの類である。
幾何学においてさらなる構造を理論に組み込むこと有益である。1955年以降、K-理論 やコボルディズム論 (英語版 ) といった新たなコホモロジー理論に対しても、特性類の定義において文字 H を適切に変更するだけでそれらの理論における特性類を定義できる。
特性類は、後日、多様体の葉層構造 (英語版 ) (foliation)の中でも発見された。(葉層に対してはある特異点を許容するように意味を変更すると)特性類はホモトピー論の中に分類空間の理論を持っている。
さらに20世紀後半における数学と物理学の再接近の結果として、ドナルドソン とコチックにより新しい特性類がインスタントン (英語版 ) (instanton)の理論の中で発見された。またチャーン(S. S. Chern)の観点と業績も重要であると認識された。チャーン・サイモンズ形式 やチャーン・サイモンズ理論 を参照のこと。
^ F -バンドルの定義によってはX 上のF -バンドル全体は集合ではなく真のクラスになってしまうという問題を抱える。しかし例えば
{
U
×
F
∣
U
⊂
X
,
U
{\displaystyle \{U\times F\mid U\subset X,~U}
は開集合
}
{\displaystyle \}}
から作る事ができるF -バンドルのみ考える定義を採用すれば、主F -バンドル全体は集合となり、したがってこのこの同型類も集合になるので問題が回避できる。
^ 文献により
V
n
W
{\displaystyle V_{n}W}
の事をスティーフェル多様体と呼ぶもの、
V
n
U
W
{\displaystyle V_{n}^{U}W}
、
V
n
O
W
{\displaystyle V_{n}^{O}W}
の事をスティーフェル多様体と呼ぶもの、双方をスティーフェル多様体と呼ぶものがある。
^
V
n
W
{\displaystyle V_{n}W}
に対するこの同一視の詳細は下記の通り。
V
n
U
W
{\displaystyle V_{n}^{U}W}
、
V
n
O
W
{\displaystyle V_{n}^{O}W}
も同様。
W の基底
e
=
(
e
1
,
…
,
e
m
)
{\displaystyle e=(e_{1},\ldots ,e_{m})}
を1つfixすると、写像
M
:
A
∈
G
L
m
(
K
)
↦
A
e
{\displaystyle M~:~A\in \mathrm {GL} _{m}(K)\mapsto Ae}
、
G
L
m
(
K
)
{\displaystyle \mathrm {GL} _{m}(K)}
の元とW のm -フレーム(すなわちW のの基底)が1対1に対応する。
写像m -フレームの後ろm-n 本のベクトルを「忘れる」写像
F
:
(
f
1
,
…
,
f
m
)
↦
(
f
1
,
…
,
f
n
)
{\displaystyle F~:~(f_{1},\ldots ,f_{m})\mapsto (f_{1},\ldots ,f_{n})}
により、m -フレームにn -フレームを対応させる事ができる。
この2つを合成した
F
∘
H
{\displaystyle F\circ H}
を考える事で、
G
L
m
(
K
)
{\displaystyle \mathrm {GL} _{m}(K)}
がn -フレーム全体の集合
V
n
W
{\displaystyle V_{n}W}
に推移的に作用 するが、この作用のkernelは
G
L
n
(
K
)
{\displaystyle \mathrm {GL} _{n}(K)}
であるので、
V
n
W
{\displaystyle V_{n}W}
は
G
L
m
(
K
)
/
G
L
n
(
K
)
{\displaystyle \mathrm {GL} _{m}(K)/\mathrm {GL} _{n}(K)}
と同一視できる。
^ 一般に、リー群G を閉部分リー群H で割った等質空間 G/H にはG から多様体としての構造が誘導される。
^ より厳密に言うと、多項式環
Z
[
X
]
{\displaystyle \mathbb {Z} [X]}
から
H
∗
(
B
U
(
1
)
;
Z
)
{\displaystyle H^{*}(BU(1);\mathbb {Z} )}
への写像で
X
↦
α
{\displaystyle X\mapsto \alpha }
を満たすものがあり、しかもそれが環同型写像であるという事である。
^ 埋め込み
ι
:
U
(
1
)
n
→
U
(
n
)
{\displaystyle \iota ~:~U(1)^{n}\to U(n)}
の取り方は
C
n
{\displaystyle \mathbb {C} ^{n}}
の基底の取り方に依存する。しかしこれらの埋め込みは
U
(
n
)
{\displaystyle U(n)}
上の内部自己同型で互いに移り合う関係にある(これは極大トーラスが内部自己同型を除いて一意だというリー群の一般論からも従う)ので、後述する補題 により、どの埋め込みもコホモロジー間に同一の写像
H
∗
(
B
U
(
n
)
;
Z
)
→
H
∗
(
B
U
(
1
)
n
;
Z
)
{\displaystyle H^{*}(BU(n);\mathbb {Z} )\to H^{*}(BU(1)^{n};\mathbb {Z} )}
を誘導する。よって特に、後述するチャーン類の定義は
C
n
{\displaystyle \mathbb {C} ^{n}}
の基底の取り方によらずwell-defined である。
^
φ
A
{\displaystyle \varphi _{A}}
の
U
(
1
)
n
{\displaystyle U(1)^{n}}
への制限
φ
A
|
U
(
1
)
n
:
U
(
1
)
n
→
U
(
1
)
n
{\displaystyle \varphi _{A}|_{U(1)^{n}}~:~U(1)^{n}\to U(1)^{n}}
は
U
(
1
)
n
{\displaystyle U(1)^{n}}
上の(自己同型ではあるが)内部自己同型ではないので、
φ
A
|
U
(
1
)
n
{\displaystyle \varphi _{A}|_{U(1)^{n}}}
が
H
∗
(
B
U
(
1
)
n
;
Z
)
≈
Z
[
α
1
,
…
,
α
n
]
{\displaystyle H^{*}(BU(1)^{n};\mathbb {Z} )\approx \mathbb {Z} [\alpha _{1},\ldots ,\alpha _{n}]}
に誘導する写像
B
φ
A
|
U
(
1
)
n
∗
:
H
∗
(
B
U
(
1
)
n
;
Z
)
→
H
∗
(
B
U
(
1
)
n
;
Z
)
{\displaystyle B\varphi _{A}|_{U(1)^{n}}{}^{*}~:~H^{*}(BU(1)^{n};\mathbb {Z} )\to H^{*}(BU(1)^{n};\mathbb {Z} )}
は恒等写像ではない事に注意されたい。
^ すなわち、m >n のときは基本対象式の定義
σ
i
(
α
1
,
…
,
α
n
)
=
∑
A
⊂
{
1
,
…
,
n
}
,
|
A
|
=
i
(
∏
k
∈
A
α
k
)
{\displaystyle \sigma _{i}(\alpha _{1},\ldots ,\alpha _{n})=\sum _{A\subset \{1,\ldots ,n\},|A|=i}\left(\ \prod _{k\in A}\alpha _{k}\right)}
における和が空和になるので、m 次の基本対象式を0 とみなすという事である。
^ 例えばp≠2 に対する
Z
p
{\displaystyle \mathbb {Z} _{p}}
や、有理数体
Q
{\displaystyle \mathbb {Q} }
など。なお、普遍係数定理 があるので、
Λ
=
Z
[
1
/
2
]
=
{
a
/
2
n
|
a
∈
Z
,
n
∈
Z
≥
0
}
{\displaystyle \Lambda =\mathbb {Z} [1/2]=\{a/2^{n}|a\in \mathbb {Z} ,n\in \mathbb {Z} _{\geq 0}\}}
の場合だけ考えれば十分である。
^
O
(
1
)
n
{\displaystyle O(1)^{n}}
は
O
(
n
)
{\displaystyle O(n)}
の極大トーラスではないので、チャーン類のときと違い、
Σ
{\displaystyle \Sigma }
はワイル群ではない。
^ チャーン類の場合と同様、原理的には全スティーフェル・ホイットニー類のみならず、スティーフェル・ホイットニー多項式が定義できるはずだが、スティーフェル・ホイットニー多項式を定義している文献がほとんどなかったため、説明を省いた。
^ 一般には
H
∗
(
B
T
,
Z
)
W
⊗
Z
p
{\displaystyle H^{*}(BT,\mathbb {Z} )^{W}\otimes \mathbb {Z} _{p}}
と
H
∗
(
B
T
,
Z
p
)
W
{\displaystyle H^{*}(BT,\mathbb {Z} _{p})^{W}}
は等しくなく、前者が後者に包含される事しか言えない。例えば
Z
[
γ
1
,
γ
2
]
{\displaystyle \mathbb {Z} [\gamma _{1},\gamma _{2}]}
上の「90度回転」
R
:
a
γ
1
+
b
γ
2
↦
−
b
γ
1
+
a
γ
2
{\displaystyle R~:~a\gamma _{1}+b\gamma _{2}\mapsto -b\gamma _{1}+a\gamma _{2}}
によって生成される群がワイル群であった場合、
R
(
γ
1
+
γ
2
)
=
−
γ
1
+
γ
2
≠
γ
1
+
γ
2
{\displaystyle R(\gamma _{1}+\gamma _{2})=-\gamma _{1}+\gamma _{2}\neq \gamma _{1}+\gamma _{2}}
なので
γ
1
+
γ
2
{\displaystyle \gamma _{1}+\gamma _{2}}
は
H
∗
(
B
T
,
Z
)
W
{\displaystyle H^{*}(BT,\mathbb {Z} )^{W}}
には属さず、よって
H
∗
(
B
T
,
Z
)
W
⊗
Z
2
{\displaystyle H^{*}(BT,\mathbb {Z} )^{W}\otimes \mathbb {Z} _{2}}
にも属さないが、
R
(
γ
1
+
γ
2
)
=
−
γ
1
+
γ
2
=
γ
1
+
γ
2
mod
2
{\displaystyle R(\gamma _{1}+\gamma _{2})=-\gamma _{1}+\gamma _{2}=\gamma _{1}+\gamma _{2}\mod 2}
なので、
H
∗
(
B
T
,
Z
2
)
W
{\displaystyle H^{*}(BT,\mathbb {Z} _{2})^{W}}
には属する。
^ なお、xi の方の符号を反転する行列
(
x
j
,
y
j
)
j
=
1
,
…
,
m
↦
(
(
−
1
)
δ
i
,
j
x
j
,
y
j
)
j
=
1
,
…
,
m
{\displaystyle (x_{j},y_{j})_{j=1,\ldots ,m}\mapsto ((-1)^{\delta _{i,j}}x_{j},y_{j})_{j=1,\ldots ,m}}
は、Ci と90度回転の組み合わせで書く事ができるので、ワイル群の生成元を議論する際にはCi の方だけあれば十分である。なお本項では[ 44] に合わせてCi を用いる事にしたが、[ 38] ではCi の代わりに
(
0
1
1
0
)
{\displaystyle {\begin{pmatrix}0&1\\1&0\end{pmatrix}}}
を用いている。しかしこれもワイル群上ではCi と同一の元を表すので、どちらを用いても問題ない。
^ すなわち、Pσ は
(
(
x
j
,
y
j
)
j
,
z
)
∈
(
R
2
)
m
×
R
{\displaystyle ((x_{j},y_{j})_{j},z)\in (\mathbb {R} ^{2})^{m}\times \mathbb {R} }
に
(
(
x
σ
(
j
)
,
y
σ
(
j
)
)
j
,
z
)
{\displaystyle ((x_{\sigma (j)},y_{\sigma (j)})_{j},z)}
を対応させ、Ci は
(
(
x
j
,
(
−
1
)
δ
i
,
j
y
j
)
j
,
z
)
{\displaystyle ((x_{j},(-1)^{\delta _{i,j}}y_{j})_{j},z)}
を対応させる。
^ ここで添字の「!」は通常期待されるのと逆向きの写像である事を表す。en:Shriek map を参照。
^ a b
H
∗
(
B
O
(
n
)
;
Z
)
{\displaystyle H^{*}(BO(n);\mathbb {Z} )}
は2-捻れ元を持つので、
2
x
=
0
{\displaystyle 2x=0}
であっても
x
=
0
{\displaystyle x=0}
であるとは限らない。
この書籍のappendix "Geometry of Characteristic Classes" には、特性類の考え方の発展について非常に整理された深い入門が記載されている。