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ゆっくりしていってね!!!

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ゆっくり霊夢から転送)

ゆっくりしていってね!!!は、2ちゃんねるなどの電子掲示板でよく用いられるアスキーアート (AA) によるキャラクターの一種、およびインターネットスラングである[1]。アスキーアートを元としたイラストのキャラクターとしても用いられ、ゆっくりの名称で動画投稿サイト等で使用されている[2]

概要

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同人ゲーム東方Project』の主人公格のキャラクターである「博麗霊夢」と、「霧雨魔理沙」の頭部[注釈 1]をモチーフにしたキャラクターが2人で「ゆっくりしていってね!!![3][4][5]」と歓迎の意を表すAAである[6]。本来、感嘆符は全角の感嘆符を3つ使用して「ゆっくりしていってね!!!」と表現する(文末の感嘆符が半角で表記されることも多々ある)。またはイラスト化されたことで掲示板以外での仕様も広がり、動画投稿サイトなどで広く用いられている。

キャラクターを指す場合には「ゆっくり」と呼ばれることが多く、個々の名称を呼ぶ場合にはキャラクター名をつけ「ゆっくり霊夢」「ゆっくり魔理沙」と呼称されることもある。

沿革

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正確な年月は不明であるが、東方Projectの二次創作者のひとりであったグラフィックデザイナーのDプ竹崎が2ちゃんねるのスレッドに投稿したアスキーアートが始まりであるとされる[注釈 2][注釈 3][7]

厳密にいつから流行り出したかは不明だが、当初2007年末から2008年初頭にかけ2ちゃんねるゲーム関連スレやニュース速報板などに次々と投稿されるようになった。また、2008年2月2日にイラストレーターの「まそ」が運営する「2ch全AAイラスト化計画」というWebサイトにてイラストが公開された[8]。翌日には2ちゃんねるガイドライン板や東方シリーズ板にスレッドが立つなど動きもあり、2ちゃんねるのみならずふたば☆ちゃんねるなどでこのイラストも流行した[9][7]。その後まそは2ちゃんねるのトップページイラストを手掛けるようになり、2010年頃にはモナーやる夫などの2ちゃんねるアスキーアートを元としたキャラクターらとともに、ゆっくり霊夢およびゆっくり魔理沙のイラストも掲載されていた[10]

また「ゆっくりしていってね!!!」というフレーズ自体もインターネットスラングとして流行し、未来検索ブラジルが主催するネット流行語大賞では、2008年度の銅賞を受賞[11]。またgooが2008年7月に調査した『ネットの「ガイドライン」』では、10位にランクインしている[1]

「ゆっくり」のイラスト自体の人気も長く続き、霊夢や魔理沙のほかにも早苗チルノまたは射命丸文をモチーフにしたきめぇ丸のような他の東方Projectのキャラクターや、他のゲーム・アニメ作品のキャラクターを使用したものが作成され[9]、 フリー格闘ゲームM.U.G.E.Nに対応したキャラクターも製作されている。

さらにニコニコ動画YouTubeなどの投稿動画サイトで多用されるようになり、「ゆっくり実況」や「ゆっくり茶番劇」(またはトーク、物語など様々な呼び方がある)「ゆっくり解説」などのジャンルを構成するようになった[7][注釈 4]

ゆっくりボイス

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動画において「ゆっくり」が発声する音声は、アクエスト社の音声合成ライブラリ「AquesTalk」が元となっており、「ゆっくりボイス」と呼ばれている[3]。「AquesTalk」は同社の山崎信英が開発したものであり、本来組込用途を想定したソフトウェアであった。このライブラリを用いたテキスト読み上げフリーウェア「SofTalk[13]」には当初アクセントを付ける機能がなく、非常に平坦な音声であった。これが「ゆっくり」の音声として用いられたことで、独特の声と喋りで人気を博した[3]。また同じく「AquesTalk」のライブラリを用いたテキスト読み上げソフト「棒読みちゃん」も使用されている[14]。「AquesTalk」は当初よりバージョンアップが行われているが、動画投稿者は旧式の「AquesTalk 1」のライブラリを用いることが多いとされる[3]。「ゆっくりボイス」はゆっくり実況やゆっくり茶番劇などのゆっくりのイラストを用いた動画以外でも使用されており[14]2020年に流行した「たべるんごのうた」などにも使用されている[15]

著作権と二次使用

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イラストとしての「ゆっくり」は、キャラクターとしての霊夢及び魔理沙を二次創作としてアスキーアート化したものをイラストとし、さらにそれを元に三次創作が重ねられてきた経緯があり、権利関係が非常に不明確であった。

2020年10月8日、東方Project25周年を記念した公認二次創作ゲーム『東方ダンマクカグラ』を制作するアンノウンX[注釈 5]より、その歴史や著作権をまとめた動画が発表された[2]。この動画の中で東方Projectの原著作権者である上海アリス幻樂団代表ZUN、アスキーアートの制作者Dプ竹崎、イラスト制作者のまその三者とも基本的に自由使用が可能であるとしたコメントが紹介され、他の東方Project関連のキャラクター同様、「東方Projectの二次創作ガイドライン」の対象であるとされた[2]

ゆっくり茶番劇商標登録問題

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YouTuberである柚葉/Yuzuhaが東方Project原作のキャラクター(博麗霊夢・霧雨魔理沙など)をモチーフにした「ゆっくり」を使用する動画ジャンルの「ゆっくり茶番劇(ゆっくりちゃばんげき)」の名称を商標登録を行い、この単語を使用する動画投稿者などから利用料の徴収等を試み、Twitterを中心としたプラットフォーム上で大きな反発を招いた騒動。騒動の後、商標権は破棄された。

アスキーアート

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   _,,....,,_  _人人人人人人人人人人人人人人人_
 -''":::::::::::::`''>   ゆっくりしていってね!!!   <
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 r-'ァ'"´/  /! ハ  ハ  !  iヾ_ノ i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i |
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 `!  !/レi' (ヒ_]     ヒ_ン レ'i ノ   !Y!""  ,___,   "" 「 !ノ i |
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左が「ゆっくり魔理沙」、右が「ゆっくり霊夢」

ギャラリー

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脚注

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注釈

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  1. ^ ただし、「生首」や「饅頭」といった形容が行われる事が多い。
  2. ^ 「ゆっくりしていってね!!!」のアスキーアートを生み出したのはDプ竹崎ではない
  3. ^ 2009年12月5日に放送された『ザ☆ネットスター!』が取材した時点で既に元となったスレッドは削除されている。
  4. ^ 2008年5月ごろにはケイブ社のオンラインゲーム真・女神転生IMAGINE』の公式サイトが「ニコニコ動画」を意識したインターフェイスで公開された際に、キャラクターを「ゆっくり化」されたものが掲載されている[12]
  5. ^ 企画原案のAQUASTYLE、企画・運営のDeNA、開発のxeenによる共同チーム。動画発表時の名称はスポンサーX。

出典

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  1. ^ a b 鳴海淳義「「いいえ、ケフィアです」「○○はわしが育てた」--印象に残るネットの「ガイドライン」ベスト30CNET Japan、2008年9月2日。
  2. ^ a b c “いま明かされる“ゆっくり”。そもそもなんなの? 勝手に使っていいの?”. 電撃オンライン. (2020年10月10日). https://dengekionline.com/articles/53136/ 
  3. ^ a b c d 「ゆっくりしていってね!!!」の声はどうやって生まれたのか 開発者が語る“起業エンジニアの生存戦略””. nlab.itmedia.co.jp. ねとらぼアンサー (2019年1月26日). 2022年5月16日閲覧。
  4. ^ 「ゆっくりしていってね!!!」にそっくりな建造物が発見される”. j-town.net. Jタウンネット. 2020年5月23日閲覧。
  5. ^ あの「ゆっくりしていってね!!!」がぬいぐるみに”. gigazine.net. Gigazine. 2020年5月23日閲覧。
  6. ^ ザ☆ネットスター!NHK衛星第2テレビジョン、2008年9月5日放送分。
  7. ^ a b c 文月 (2022年5月7日). “YouTubeで人気急上昇のジャンル「ゆっくり解説」の解説”. 週プレNEWS. 2022年5月15日閲覧。
  8. ^ 2ch全AAイラスト化計画 2008.
  9. ^ a b 『非常にウザいと言うか、どう見てもセリフと表情が噛み合っていないこのイラスト』”. www.akibablog.net. アキバBlog. 2020年5月23日閲覧。
  10. ^ 夏にはじめる2ちゃんねる~2ちゃんねる徹底活用ガイド2010” (2010年7月9日). 2022年5月16日閲覧。
  11. ^ ネット流行語大賞2008結果発表です”. texpo.jp. texpo. 2020年5月23日閲覧。
  12. ^ 『真・女神転生IMAGINE』の公式サイトがヤバすぎる!”. news.livedoor.com/. トレビアンニュース (2008年5月29日). 2020年5月23日閲覧。
  13. ^ SofTalk”. www35.atwiki.jp. @wiki. 2022年5月16日閲覧。
  14. ^ a b 生首キャラと棒読みの化学反応──ニコ動で流行る「ゆっくり」動画とは?”. マイナビニュース. マイナビニュース (2010年4月2日). 2022年5月16日閲覧。
  15. ^ 「たべるんごのうた」がニコニコで大ブームに デレマス・辻野あかり、ネットも巻き込んだシンデレラストーリー”. J-CAST ニュース. J-CAST ニュース (2020年5月21日). 2022年5月16日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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