理性の党
理性の党 Partei der Vernunft | |
---|---|
連邦委員会議長 |
フリードリッヒ・ドミニクス (Friedrich Dominicus) |
連邦委員会副議長 |
トーマス・フラッハ (Thomas Flach) |
事務局長 |
ダーク・ヘッセ (Dirk Hesse) |
成立年月日 | 2009年5月30日 |
本部所在地 | ドイツベルリン |
ドイツ連邦議会議席数 |
0 / 736 (0%) |
連邦参議院議席数 |
- / - |
党員・党友数 |
352[1] (2017年) |
政治的思想・立場 | リバタリアニズム |
国際組織 |
欧州個人自由党(European Party for Individual Liberty) 国際リバタリアン党連盟 インターリバタリアンズ[2] |
公式サイト | Partei der Vernunft |
理性の党(りせいのとう、ドイツ語: Partei der Vernunft、略称: PDV)は、2009年に設立されたドイツの政党である[3][4]。オーストリア学派経済学に沿った政策、リバタリアニズム・最小国家構築を標榜、「国家の活動を国民の生命・自由・財産の保護に留める」、「国家によるあらゆる干渉に明確に反対」、「福祉国家に反対」、「地方分権・権限移譲・直接民主制の促進」といった主張を行っている[3][4][5]。
歴史
[編集]ジャーナリスト・オリバー・ジャニッチは、雑誌「フォーカス・マネー」に連載していたコラムにおいて、炭素税導入の動きに憤慨し、読者の賛同が十分に得られるのであれば「理性の党」を設立すると約束[6]、読者からは100通ほどの賛意が寄せられ、党設立の契機となった[7]。
2009年5月30日、ハンバッハ祭の開催地でドイツにおける解放運動の発祥・象徴の地とされるハンバッハ城にて、党の設立集会が開催され[8]、党連邦委員会議長としてオリバー・ジャニッチが選出された[9]。
2011年ニーダーザクセン州地方選挙が参加する初めての選挙となった。この選挙でハルゼフェルト町議会に1議席[10]、ザムトゲマインデ・ハルゼフェルト集合自治体議会に1議席[11]、ブレーマーフェルデ市議会に1議席を獲得した[12]。
2011年、フランクフルト・欧州中央銀行前にて「ギリシャへの追加支援」反対デモを開催[13]、2012年には「直接民主主義のための行動同盟(Aktionsbündnis Direkte Demokratie)」を組織し各地で欧州安定メカニズムに反対するデモを主導した[14]。
2012年5月13日、2012年ノルトライン=ヴェストファーレン州議会選挙にて、州議会選挙に初挑戦したが[15]、比例代表の第2投票で6356票(得票率0.1%)に留まり、議席獲得には至らなかった[16]。
エルディング市議会議員ハラルド・エーベルト(Harald Ebert、元自由民主党エルディング・エーバースベルク選挙区地方議長・地区副議長)は、ユーロ救済パッケージに対する憤慨から2011年9月に自由民主党を離党し[17]、2012年には本党バイエルン支部の最高財務責任者に就任した[18]。
2013年4月17日、オリバー・ジャニッチが党連邦委員会議長を辞任[19]。ノルベルト・ゲンが職務を引き継ぎ[20]、6月開催の第4回党大会において、正式に連邦員会議長に選出された[21]。
2013年ドイツ連邦議会選挙には4州のみで参加し、比例代表の第2投票で24719票(得票率0.1%)に留まり、議席獲得には至らなかった[22]。
2013年9月28日、オランダ・ユトレヒトにて、ヨーロッパ4か国の古典的自由主義政党・リバタリアン政党(ドイツ・理性の党、フランス・自由民主党、スペイン・個人自由党、オランダ・リバタリアン党)が、欧州域内で国境を越えて活動する政党「欧州個人自由党」設立の共同宣言に署名した[23][24]。
2013年11月3日、フランクフルトで開催の特別党大会において、スザンヌ・カブリッツ を党連邦委員会議長に選出した[25]。
2013年12月、ペガウ町議会議員のヴォルフ=ディーター・シュウィドップ(Wolf-Dieter Schwidop、2012年まで自由民主党所属)が加入した[26]。
2014年1月、自由民主党所属のギュータースロー郡議会議員で、ハルゼヴィンケルを地盤とするダーク・ヘッセ(Dirk Hesse)が加入した[27]。
2014年ミュンヘン地方選挙において、党創設者・オリバー・ジャニッチは公約「プランM」を発表し[28]、自身のミュンヘン市長選挙立候補[29]、党のミュンヘン市議会選挙への参加(自身は党最高順位候補としての立候補)を目指すが[30]、選挙参加に必要な支持者署名の確保が難航し[31]、双方とも参加には至らなかった[32][33]。
2014年11月9日、カブリッツ連邦委員会議長、同副議長、事務局長ほか連邦委員会メンバー8名が辞任・離党した[34]。党は、9日付けで党員への事情説明の為に配布した「手紙」を、翌10日には一般にも公開し、背景を「党設立から5年経過するなか、当初の成功体験はあったものの、その後の党勢は低迷し、党の理想実現は現状では不成功と総括せざるを得ない」「党内の些細な争いや内輪もめが目立つようになり、真の政治活動に支障をきたしており、それが限界に達した」などと説明した[35]。2013年より連邦委員で今回辞任・離党しなかったライナー・ホフマンが、同日付で暫定議長に、11月30日には正式に連邦委員会議長に就任した[36]。
2015年3月6日、国際リバタリアン党連盟創立に際し、創立メンバー10政党の一つとして参加した[37]。
2015年6月、党大会においてフリードリッヒ・ドミニクス(Friedrich Dominicus)を党連邦委員会議長に選出した[38]。
2017年ドイツ連邦議会選挙にはザールラント州のみで参加し、比例代表の第2投票で533票(得票率0.0%)に留まり、議席獲得には至らなかった[39]。
2019年ザクセン州議会選挙では、比例代表の第2投票で2268票(得票率0.1%)に留まり、議席獲得には至らなかった[40]。
政策
[編集]2012年6月17日、第4回連邦党大会において「基本綱領」を採択した[41]。この綱領はオーストリア学派経済学の考えに基づいており、「『自然的秩序(natürliche Ordnung)』の回復が自由で持続可能な繁栄をもたらす」などとしている[42]。主な政策(将来的な「あるべき姿」として掲げる内容)は以下の通り。
- 全体主義、独裁政治の明確な否定[42]。
- 民主的な法の支配、自由な精神に裏打ちされた社会秩序の確立と強化[42]。
- 自由権、財産権、自己決定権の絶対的保証(国家や他者による介入・制限は、第三者に被害が出る場合のみに限る)[42]。
- 租税制度の簡素化、直接税の廃止し間接税のみに一本化、国税・州税を廃止し地方自治体税に一本化[43]。
- 地方自治の強化・拡充、直接民主主義の実現[44]。
- 有形資産に裏付けされた通貨の導入を含め、使用する通貨の自由化といった、通貨・金融制度の抜本的改革[45]。
- 超国家的な組織としての欧州連合に反対し、域内他国に対するドイツの経済的負担の削減、域内協力は自由貿易に関するものに限定[46]。
- 環境保護に関して、汚染者負担原則を徹底し国の関与・負担回避、エネルギー市場の完全自由化、再生可能エネルギー法廃止[47]。
脚注
[編集]- ^ “42 Parteien sind dabei” (ドイツ語). Tagesschau. Norddeutscher Rundfunk (2017年8月21日). 2021年11月27日閲覧。
- ^ “Members” (英語). Interlibertarians. 2013年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月28日閲覧。
- ^ a b Peter Mühlbauer (2012年3月30日). “Erben der FDP?” (ドイツ語). TELEPOLIS. Heise Medien. 2017年2月14日閲覧。
- ^ a b Jan Dinter (2017年8月30日). “Partei der Vernunft” (ドイツ語). bpb. 連邦政治教育センター. 2021年6月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月13日閲覧。
- ^ Partei der Vernunft Bundesgeschäftsstelle (2012年6月17日). PARTEI DERVERNUNFT Grundsatzprogramm (PDF) (Report) (ドイツ語). Partei der Vernunft. 2021年11月17日閲覧。
- ^ Janich, Oliver (2018). “BÖRSENKOMMENTAR > Neue Partei”. FOCUS-MONEY (Hubert Burda Media) (2). ISSN 1615-4576 2021年11月29日閲覧。.
- ^ “OLIVER JANICH – QANON-DESINFORMATIONEN AUF ALLEN KANÄLEN” (ドイツ語). BELLTOWER NEWS. Amadeu Antonio Stiftung (2020年10月16日). 2021年11月29日閲覧。
- ^ "30. Mai im Hambacher Schloß: Partei der Vernunft wird gegründet" (Press release) (ドイツ語). Partei der Vernunft. 25 May 2009. 2017年9月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年2月15日閲覧。
- ^ “gegründet” (ドイツ語). Partei der Vernunft (2009年6月6日). 2009年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月24日閲覧。
- ^ “Bekanntmachung des Wahlergebnisses > Das endgültige Wahlergebnis der Gemeinderatswahl im Flecken Harsefeld” (PDF) (ドイツ語). Harsefeld Der Gemeindewahlleiter (2011年9月15日). 2014年5月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年3月26日閲覧。
- ^ “Bekanntmachung des Wahlergebnisses > Das endgültige Wahlergebnis der Samtgemeinderatswahl Harsefeld” (PDF) (ドイツ語). Harsefeld Der Samtgemeindewahlleiter. 2014年5月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年3月26日閲覧。
- ^ “Kommunalwahl 2011” (ドイツ語). Stadt Bremervörde (2011年9月15日). 2013年9月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年3月26日閲覧。
- ^ Katharina Iskandar (2011年9月13日). “Demo gegen den Euro - mit Bankangestellten” (ドイツ語). フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング. 2021年11月27日閲覧。
- ^ Preuß, Madlen; van de Wetering, Denis; Zick, Andreas (2014年). Rechtspopulismus in Niedersachsen und Bremen. Eine Analyse der Agitation und Verbreitung rechtspopulistischer Orientierungen in der Bevölkerung (PDF) (Report) (ドイツ語). Universität Bielefeld - Institut für interdisziplinäre Konflikt- und Gewaltforschung. pp. 68–69. 2021年11月27日閲覧。
- ^ “Parteien zur Landtagswahl 2012 Parteien mit Landesliste im Überblick (3)” (ドイツ語). 西部ドイツ放送 (2012年4月17日). 2017年2月15日閲覧。
- ^ “LANDTAGSWAHL 2012 > 0 Nordrhein-Westfalen” (ドイツ語). Ministerium für Inneres und Kommunales Nordrhein-Westfalen -Landeswahlleiterin. 2021年11月25日閲覧。
- ^ Hans Moritz (2011年9月30日). “Das große Stühlerücken im Erdinger Stadtrat” (ドイツ語). Merkur.de. Münchener Zeitungs-Verlag. 2017年2月15日閲覧。
- ^ “Landesvorstand Bayern” (ドイツ語). Partei der Vernunft. 2012年7月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月26日閲覧。
- ^ "Der Bundesvorsitzende der Partei der Vernunft tritt zurück" (Press release) (ドイツ語). Partei der Vernunft. 18 April 2013. 2013年4月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年2月15日閲覧。
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- ^ “Bundestagswahl 2013” (ドイツ語). Der Bundeswahlleiter. 2021年11月25日閲覧。
- ^ “Libertäre Parteien aus ganz Europa schließen sich zusammen” (ドイツ語). Partei der Vernunft (2013年9月30日). 2013年10月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年2月15日閲覧。
- ^ European Party for Individual Liberty (2013年9月28日). “The Utrecht Declaration and Covenant of European Classical Liberal and Libertarian Parties” (英語). facebook. 2021年11月28日閲覧。
- ^ “Bundesparteitag wÀhlt Susanne Kablitz zur neuen Bundesvorsitzenden und stellt Kandidatenliste zur Europawahl auf” (ドイツ語). Partei der Vernunft (2013年11月4日). 2013年11月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月28日閲覧。
- ^ Tim Tertel (2013年12月15日). “Der Landesverband Sachsen heiÃt seinen ersten offiziellen MandatstrÀger willkommen!” (ドイツ語). Partei der Vernunft. 2013年12月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年2月15日閲覧。
- ^ “Kreistagsmitglied Dirk Hesse wechselt zur PDV” (ドイツ語). Partei der Vernunft (2014年1月22日). 2014年2月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年2月15日閲覧。
- ^ OLIVER JANICH (2013年11月28日). “Plan M: München soll unabhängig werden” (ドイツ語). OLIVER JANICH INVESTIGATIV. 2017年2月15日閲覧。
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- ^ “Wahl des Oberbürgermeisters > München” (ドイツ語). München Stadtverwaltung. 2021年11月25日閲覧。
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- ^ “RÃŒcktritt vom Bundesvorstand” (ドイツ語). Partei der Vernunft (2014年11月9日). 2014年11月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年2月15日閲覧。
- ^ Susanne Kablitz, Uwe Schröder, Peter Bruchmann, Johannes RoÃmanith, Peter Abel, Gerhard Breunig, Thomas Stahl und André Liedgens (2014年11月10日). “Dokumentation: Partei der Vernunft > Bundesvorstand tritt zurÃŒck” (ドイツ語). eigentÃŒmlich frei. Lichtschlag Verlag. 2014年11月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年2月15日閲覧。
- ^ “Partei der Vernunft wählt neuen Bundesvorstand”. Partei der Vernunft (2014年11月30日). 2021年11月29日閲覧。
- ^ “Our History” (英語). International Alliance of Libertarian Parties. 2021年11月28日閲覧。
- ^ “Erfolgreicher Bundesparteitag mit großer Ernsthaftigkeit und viel Spaß” (ドイツ語). Partei der Vernunft (2015年6月17日). 2021年11月28日閲覧。
- ^ “Bundestagswahl 2017 Ergebnisse” (ドイツ語). Bundeswahlleiter. 2017年9月25日閲覧。
- ^ “Wahlen > Landtagswahlen >2019 > Wahlergebnisse” (ドイツ語). Der Landeswahlleiter, Statistisches Landesamt des Freistaates Sachsen. 2021年11月29日閲覧。
- ^ “Die Partei der Vernunft beschlieÃt einstimmig die Teilnahme an der Bundestagswahl 2013” (ドイツ語). Partei der Vernunft. 2012年6月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月27日閲覧。
- ^ a b c d Partei der Vernunft Bundesgeschäftsstelle 2012, p. 2.
- ^ Partei der Vernunft Bundesgeschäftsstelle 2012, pp. 2, 5.
- ^ Partei der Vernunft Bundesgeschäftsstelle 2012, pp. 2, 3.
- ^ Partei der Vernunft Bundesgeschäftsstelle 2012, pp. 2–3.
- ^ Partei der Vernunft Bundesgeschäftsstelle 2012, p. 3.
- ^ Partei der Vernunft Bundesgeschäftsstelle 2012, pp. 4–5.
参考資料
[編集]- Partei der Vernunft Bundesgeschäftsstelle (2012年6月17日), PARTEI DER VERNUNFT Grundsatzprogramm (PDF) (ドイツ語), Partei der Vernunft, 2021年11月27日閲覧。