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田園住居地域

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

田園住居地域(でんえんじゅうきょちいき)は、都市計画法による用途地域の一つで、農地や農業関連施設などと調和した低層住宅の良好な住環境を守るための地域である。

用途制限

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用途地域による用途の制限(用途制限)に関する規制は、主に建築基準法令の規定による。以下、特記ない面積の数字については床面積の合計、階数については当該用途部分の階数について言う。

  • 住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿 - ○
  • 兼用住宅で、非住宅部分の床面積が、50m²以下かつ建築物の延べ面積の1/2未満のもの - ○
  • 店舗等 - 店舗部は2階以下
    • 店舗等の用途規制があり、下記のものに限られる。
      • 日用品の販売を主たる目的とする店舗又は食堂若しくは喫茶店 - 田園住居地域及びその周辺の地域で生産された農産物の販売又はそれを材料にした料理の提供を主たる目的とする場合は500m²以下、それ以外は150m²以下[1]
      • 理髪店、美容院、クリーニング取次店、質屋、貸衣装屋、貸本屋等 - 150m²以下
      • 洋服店、畳屋、建具屋、自転車店、家庭電気器具店等(作業場は50m²以下、かつ原動機設備は出力総計が0.75kW以下) - 150m²以下
      • 自家販売のために食品製造業を営むパン屋、米屋、豆腐屋、菓子屋等(作業場は50m²以下、かつ原動機設備は出力総計が0.75kW以下) - 田園住居地域及びその周辺の地域で生産された農産物を原材料とする食品の製造・加工を主たる目的とする場合は500m²以下、それ以外は150m²以下[1]
      • 学習塾、華道教室、囲碁教室等 - 150m²以下
  • 農産物の生産、集荷、処理施設 - ○
  • 事務所等 - ×
  • ホテル・旅館 - ×
  • 遊戯施設・風俗施設 - ×
  • 展示場等 - ×
  • 運動施設 - ×
  • 公共施設・病院・学校等
    • 幼稚園、小学校、中学校、高等学校 - ○
    • 大学、高等専門学校、専修学校等 - ×
    • 図書館等 - ○
    • 美術館、博物館等 -
    • 巡査派出所、公衆電話所、郵便局 - 郵便局は500m²以下
    • 神社、寺院、教会等 - ○
    • 病院(診療所を除く) - ×
    • 公衆浴場(風俗営業を除く)、診療所、保育所等 - ○
    • 老人ホーム、身体障害者福祉ホーム等 - ○
    • 老人福祉センター、児童厚生施設等 - 600m²以下
    • 自動車教習所 - ×
    • 近隣公園内の公衆便所および休憩所、路線バスの停留所の上家 - ○
    • 自治体の支部・支所 - 600m²以下
    • 税務署、警察署、保健所、消防署等 - ×
    • 第一種低層住居専用地域に建築できる電気通信、電気、ガス、液化石油ガス、水道、下水道、都市高速鉄道、熱供給の各事業のための施設 - ○
  • 工場・倉庫等
    • 農産物や農業の生産資材を貯蔵する倉庫 - ○
    • 建築物附属自動車車庫 - (車庫の床面積 + 建築物附属車庫用工作物の築造面積(50m²以下の場合はマイナス減算)) が、主建築物の延べ面積以下かつ600m²以下、かつ1階以下。
      • 公告対象区域にあっては、 (車庫の床面積 + 建築物附属車庫用工作物の築造面積) が2000m²以下、かつ、(1つの車庫の床面積 + 公告対象区域内の他の全車庫の床面積の総和 + 他の全建築物附属車庫用工作物の築造面積の総和) が (2000m² × 公告対象区域内の敷地の数 - 全建築物附属車庫用工作物の築造面積の総和) 以下
    • 建築基準法令で定める危険物の貯蔵又・処理 - ×
    • その他 - ×
  • 建築物附属物
    • 畜舎 - 15m²以下
    • 準住居地域における建築基準法法令で定める量を超える危険物の貯蔵・処理 - ×
  • 特定行政庁が用途地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可したもの - ○
  • 卸売市場、火葬場、と畜場、汚物処理場、ごみ焼却場等 - 都市計画区域内においては都市計画決定が必要

建ぺい率

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建ぺい率は30%、40%、50%、60%のいずれかに都市計画で定められ、建築物はその数値を超えてはならない。ただし、特定行政庁の指定する角地の建築物、防火地域内にある耐火建築物は、建ぺい率の制限を10%加えた数値まで緩和する。

容積率

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容積率は50%、60%、80%、100%、150%、200%のいずれかに都市計画で定められ、建築物はその数値以下でなければならない。ただし、前面道路の幅員が12メートル未満である場合は、原則としてその幅員のメートルの数値に10分の4を乗じたもの以下でなければならない。

その他の制限

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  • 10mまたは12mの絶対高さの制限を都市計画で定められる。そのため隣地斜線制限の適用がない。
  • 軒の高さが7mを超えるか、3階以上(地階を除く)の建築物で、条例で指定する区域に建つ物は、日影規制の適用を受ける。
  • 都市計画によって、敷地境界から建物の外壁までの距離を1mまたは1.5m離すよう定めることができる(外壁の後退距離制限)。

税制措置

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  • 市街化区域農地の固定資産税・都市計画税について、300平方メートルを超える部分に土地価額につき、類似宅地の価額を基準として求めた価額から造成費相当額を控除した価額の2分の1とする減価補正を行う[2]
  • 三大都市圏特定市における田園住居地域内の市街化区域農地につき、相続税・贈与税・不動産取得税の納税猶予を適用する[2]

脚注

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  1. ^ a b 「都市緑地法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令」平成28年政令第156号,官報平成28年6月14日号外第125号
  2. ^ a b 国土交通省都市局長「都市緑地法等の一部を改正する法律の施行について(技術的助言)」、平成30年3月30日

関連項目

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