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石灰化上皮性歯原性腫瘍

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

石灰化上皮性歯原性腫瘍(せっかいかじょうひせいしげんせいしゅよう、Calcifying epthelial odontogenic tumor; CEOT)は、歯原性腫瘍の一種で、通常良性腫瘍であるが、リンパ節転移を起こす悪性例の報告も数例存在する[1]。Pindborg腫瘍 (Pindborg tumor) とも。1955年にPindborgにより命名された腫瘍[2]で、かつては歯原性石灰化上皮腫と訳された。

疫学

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好発年齢は特になく、10 - 90歳代まで発生する[3]。わずかに女性に多い[4]。60 - 70 %が下顎に発生し[3]、特に大臼歯部に多く、約50 %で埋伏歯と関連している[5]。大部分は骨中心性である。歯原性遺残上皮埋伏歯退縮エナメル上皮含歯性嚢胞裏装上皮口腔粘膜上皮などが由来として考えられている[3]

診断

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X線所見

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境界明瞭な単房性 (2/3) または多房性 (1/3) の透過像の中に石灰化物を認める[4]

病理組織学的所見

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アミロイド様の物質の沈着が見られ、細胞間橋の目立つ多角形細胞のシート状から索状の増殖が見られる。また、多形性が見られるが、異型核分裂像は見られない。そのため、鑑別診断としては容易であるが、細胞の多形性を悪性所見であるとしないよう注意が必要である。

アミロイドはコンゴーレッド染色チオフラビンT染色で証明する[3]

症状

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大部分は骨内性で、緩慢に増大する無痛性腫瘤[5]。まれに骨外性[5]上顎骨に発生した場合、突出、鼻出血鼻腔閉塞が発生する事がある。

治療

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一般に摘出術が行われるが、大きなものでは顎骨切除術、再建術が選ばれることもある[5][4]

予後

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再発は稀である。

脚注

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  1. ^ 長浜純二佐藤啓司棚町啓之加島健司駄阿勉賀来直美中山巌横山繁生悪性歯原性石灰化上皮腫の1例」『日本臨床細胞学会雑誌』第41巻第6号、特定非営利活動法人日本臨床細胞学会、2002年11月、406-410頁、ISSN 0387-11932010年5月3日閲覧 
  2. ^ J.J. Pindborg (1955). “Calcifying epithelial odontogenic tumor”. Acta Pathol. Microbiol. Scand 111 (Suppl.): 71. 
  3. ^ a b c d 賀来亨 著「7.歯原性腫瘍 症例2」、賀来, 亨立川, 哲彦; 田中, 陽一 ほか 編『カラーアトラスEBMに基づいた口腔病理診断学』(第1版)永末書店京都市上京区、2003年11月28日、133-134頁。ISBN 4-8160-1130-7 
  4. ^ a b c 高田隆森昌彦小川郁子 著「第7章 口腔腫瘍 2歯原性腫瘍 2.良性上皮性歯原性腫瘍 3)石灰化上皮性歯原性腫瘍(Pindborg腫瘍)」、白砂兼光古郷幹彦 編『口腔外科学』(第3版)医歯薬出版東京都文京区、2010年3月10日、209-211頁。ISBN 978-4-263-45635-4NCID BB01513588 
  5. ^ a b c d 覚道健治 著「V.顎口腔領域の腫瘍及び類似疾患」、栗田, 賢一覚道, 健治小林, 馨 編『SIMPLE TEXT 口腔外科の疾患と治療』(第1版)永末書店京都市左京区、1998年11月23日、143-144頁。ISBN 4-8160-1071-8