砂糖税
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課税 |
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財政政策のありさまのひとつ |
砂糖税(さとうぜい)とは、清涼飲料などに対して、砂糖含有量に応じて課す税金、または課税の仕組みである。俗にソーダ税とも呼ばれる。砂糖は肥満や虫歯の一因とされ、その消費を抑制することが目的である。世界保健機関(WHO)が2016年に導入を勧めてきた[1]。砂糖添加飲料(SSB: sugar sweetened beverage)への税は、45か国以上で導入されている(2022年時点)[2]。
税制
[編集]21世紀における課税の根拠は健康への影響に対する科学的根拠である。
2016年に世界保健機関(WHO)は、飲食品への課税の効果を検討した文書において、砂糖が添加された清涼飲料水に20%以上の課税を行えば、肥満、糖尿病、虫歯を抑制するような消費の削減が可能であると提言した[3]。これは各種税制のひとつである(肥満税)。2015年には、WHOは科学的根拠に基づいた砂糖の摂取に関するガイドラインを発表し、体重に影響を与えるため、生涯における砂糖摂取量の削減および、全カロリーの10%未満とすることを強く推奨し、虫歯との関係から、さらに5%未満とすることも推奨した[4]。
WHOの言う砂糖には、単糖類、二糖類、蜂蜜、シロップ、果汁、濃縮果汁が含まれる[4]。物品税などの間接税で清涼飲料向けの税率を上げる場合がある[5]。
2022年の分析では、砂糖添加飲料への課税はその消費を減少させている[2]。
従来の税制
[編集]日本では1901年(明治34年)に、砂糖が嗜好品であることから砂糖消費税法が制定され、製造者らに課税されていたが、これは1989年(平成1年)の消費税の導入により廃止された[6]。制定時こうした税制は諸外国にも存在した[7]。
各国の状況
[編集]2022年には45か国以上で導入されている[2]。2011年にフランス、2014年にメキシコ、2017年にインドとタイ、2018年にはイギリス、フィリピンが導入した。
欧州
[編集]フランスでは、2011年12月28日より砂糖の添加された炭酸飲料に課税する通称ソーダ税が承認され、1缶につき約1円が課され税収は年間120億円となる見通し[8]。コカ・コーラ社は反発していた[8]。
イギリスでは、2018年4月より導入する子供の肥満防止のための砂糖の添加された飲料への課税案があり、メディアは砂糖税と評した[9]。
アメリカ大陸
[編集]2014年、メキシコでは、砂糖が添加された飲料に約10%価格上昇にあたる課税が導入された[10]
ポルトガルでは、2017年から砂糖が添加された飲料に課税され、100mlあたり砂糖が約10%の飲料では、330ml缶で6.3円の課税となる[11]。
アメリカ合衆国
[編集]カリフォルニア州バークレー市では、住民投票により2015年1月1日からソーダ税を開始することとした。課税額は1オンスあたり1セント[12]。ソフトドリンクの消費は半減、水の消費量が増加してきた[13]。2017年からペンシルベニア州フィラデルフィア市で、砂糖が添加された飲料へのソーダ税を課税する[14]。
アジア
[編集]タイが2017年に甘味料を加えた清涼飲料水に課税を開始し、課税額は砂糖の使用量に応じる仕組みとなる[15]。タイの飲料メーカーは砂糖の含有量を減らしてきている[5]。
インドでも2017年に炭酸飲料に対し税率28%の課税を適用した[15]。フィリピンも2018年より同様に清涼飲料水に対し「加糖飲料税」を導入し、1リットルあたり約12円が課税される[15]。
出典
[編集]- ^ 砂糖税とは『日本経済新聞』夕刊、2018年4月3日
- ^ a b c Andreyeva T, Marple K, Marinello S, Moore TE, Powell LM (2022-6). “Outcomes Following Taxation of Sugar-Sweetened Beverages: A Systematic Review and Meta-analysis”. JAMA Netw Open 5 (6): e2215276. doi:10.1001/jamanetworkopen.2022.15276. PMC 9161017. PMID 35648398 .
- ^ 世界保健機関 2016.
- ^ a b 世界保健機関 (2015). Guideline: sugars intake for adults and children (Report). World Health Organization. ISBN 978-92-4-154902-8.
(page.4.)WHO recommends a reduced intake of free sugars throughout the lifecourse (strong recommendation). In both adults and children, WHO recommends reducing the intake of free sugars to less than 10% of total energy intake (strong recommendation). WHO suggests a further reduction of the intake of free sugars to below 5% of total energy intake (conditional recommendation).
- ^ a b 岸本まりみ (2018年4月3日). “飲料に砂糖税 アジアで拡大 (夕刊)”. 日本経済新聞
- ^ 『砂糖消費税』 - コトバンク
- ^ 吉牟田勲「明治二〇年の主税局の外国租税論集一五巻及び明治三五年~大正九年の東京税務監督局の内国税彙纂八一冊」(pdf)『政経研究』第49巻第3号、2013年1月、533-602頁。
- ^ a b “仏憲法会議、ソーダ税を承認 肥満防止と税収拡大狙う”. AFPBB (2011年12月29日). 2012年1月4日閲覧。
- ^ “"砂糖税"、2018年にイギリスで導入へ 「手ぬるい」「仕事がなくなる」議論に”. ハフポスト日本版. (2016年8月19日) 2017年1月13日閲覧。
- ^ 世界保健機関 2016, p. 16.
- ^ “ポルトガル、ソフトドリンクに「砂糖税」導入へ 約91億円増収”. 共同通信. (2016年10月15日) 2017年1月13日閲覧。
- ^ “肥満防止にソーダ税、米バークリー市の「快挙」…「罪の税」は“アリの一穴”となるか”. 産経新聞社. (2014年12月19日) 2014年12月19日閲覧。
- ^ 松丸さとみ「加糖ジュース、「飲めば飲むほど死亡リスク高まる」米研究で」『ニューズウィーク日本版』2019年3月29日。2019年4月6日閲覧。
- ^ “米フィラデルフィア市、ソーダ税導入へ 業界から反発も”. CNN. (2016年6月19日) 2017年1月13日閲覧。
- ^ a b c “甘い清涼飲料に「砂糖税」 アジアで広がる”. 日本経済新聞 (2018年4月3日). 2018年4月24日閲覧。
参考文献
[編集]- 世界保健機関 (2016年9月21日). Fiscal policies for diet and the prevention of noncommunicable diseases (Report). World Health Organization. ISBN 978-92-4-151124-7. 2021年7月27日閲覧。