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福井火葬場心中事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

福井火葬場心中事件(ふくいかそうばしんじゅうじけん)は、2005年平成17年)11月に福井県で発生した心中事件[1][2]である。

事件の概要

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福井県大野市の旧火葬場で焼かれて白骨化した2人の遺体が見つかった。歯の治療痕などから近くに住む80歳の男性と82歳のその妻であることが分かった。

付近には乗用車がエンジンをかけられたまま放置され、クラシック音楽が大音量で流されていた。不審に思った近所の住民が警察に通報。警察当局が捜査した結果、使用されなくなって30年たつという火葬場の火葬炉から2人の遺体が発見された。

使用された乗用車の中からはガソリンスタンド伝票の裏にその日自宅を出てからの行動が事細かにメモされていた。

「午後4時半、車の中に妻を待たせている。」
「午後8時、妻とともに家を出る。」
「車で兄弟宅や思い出の場所を回って焼却炉にたどり着いた。」
「妻は一言も言わず待っている。」
「炭、薪で荼毘(だび)の準備をする」
「午前0時45分をもって点火する。さようなら。」

車から流れるクラシック音楽の中、2人は火葬炉に入りロープを使って扉を閉めたと思われる。

その翌日、市役所に夫からの遺言状と見られる手紙が届いた。手紙には住居や田畑などの不動産が細かく書き記され、「遺産は全て市に寄付します。」と添えられていた。書類の作成は約1年前と見られ、心中が周到に準備されていたことが窺える。

心中した2人は近所でも仲がいいと評判の夫婦だったが子供はなかった。妻は糖尿病を患い、ほとんど歩けなくなっていた上に数年前から認知症の症状が出始めていた。夫が車を運転して近くの病院に通っていたほか、掃除や洗濯など妻の介護を夫がすべて引き受けていた。そのため将来を悲観しての心中と見られた。

老老介護の末路として報道番組などに取上げられた他、ネット上などでも行動の周到さ、2人の絆の深さが話題を呼んだ。

また、その後ぶんか社レディースコミックに本件のルポルタージュ漫画が掲載されたり、講談社イブニングに本件をモチーフにした『よろこびのうた』(作・ウチヤマユージ)が連載されるなど、漫画界にも影響を与えた。

出典・注釈

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  1. ^ 大野市の火葬場で発見の遺体は近くの老夫婦〜日記に「妻とともに逝く」 市に遺言書郵送〜(FBCニュース 2005年11月9日、web.archive.org のアーカイブ)
  2. ^ 老夫婦火葬場心中、遺言状送っていた(日刊スポーツ 2005年11月10日、web.archive.org のアーカイブ)

関連項目

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