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紀州レンジャーズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
紀州レンジャーズ
創設 2008年
所属リーグ
関西独立リーグ (初代)(2009年 - 2013年)
歴代チーム名

  • 紀州レンジャーズ(2008年 - )
本拠地
和歌山県営紀三井寺野球場
(画像募集中)
収容人員 15,000人
和歌山県(2009年 - 2013年)
永久欠番
なし
獲得タイトル
リーグ優勝(1回)
2010後
成績(タイトル以外)
球団組織
監督 石井毅
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紀州レンジャーズ(きしゅうレンジャーズ、Kishu Rangers)は、2008年和歌山県に発足した野球チーム。クラブチームとしてスタートし、2009年から2013年まで関西独立リーグに加盟していた。リーグ発足当初から続けてリーグ戦に参加している唯一のチームであった。しかし、他球団との方針の相違により、2013年12月12日に脱退した。

脱退の際に2014年からはクラブチームに戻る方針を表明したものの、実際には活動を休止した。運営母体はスポーツクラブを主催する形で存続したが、2017年3月末で活動を停止した。

概要

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2008年に将来の独立リーグ加入(プロ化)を前提にクラブチームとして発足した。運営母体は株式会社として発足したが、のちに特定非営利活動法人(NPO)に変更された。

チーム名は、和歌山県のローカルヒーローである紀ノ國戦隊紀州レンジャーに由来している[1]

独立リーグ時代の使用球場は、和歌山県営紀三井寺野球場を本拠とし、ほかに和歌山県内の田辺市立市民球場(2012年度に閉鎖解体[2])、御坊総合公園野球場、上富田スポーツセンター野球場、貴志川スポーツ公園野球場、湯浅城公園なぎの里球場[3]くろしおスタジアム、そして三重県の「東紀州」に位置する山崎運動公園くまのスタジアム(熊野市)であった。 

設立の経緯

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有田市出身の元プロ野球選手の木村竹志(旧名・石井毅)が理事長を務める和歌山野球振興協会・夢クラブをはじめとした県内の3つのNPO法人が、木村を委員長とする設立準備委員会を設立し、2007年12月3日に記者会見を開いて構想を発表した[4]。それによると、和歌山県営紀三井寺野球場を本拠地とし、新たにNPO法人を発足させて運営に当たるとしていた。2008年は準備期間としてクラブチームで活動し、選手に対しては2009年度以降は給料として月20万円(2月~10月までの9ヶ月間)を支給する予定とされた。監督は木村委員長、和歌山市出身で元広島東洋カープ井上紘一がコーチを務めることも発表された。

チームの設立構想が表明された段階では関西独立リーグ構想が明らかになっていなかったため、四国・九州アイランドリーグもしくはベースボール・チャレンジ・リーグ(BCリーグ)に加入することもあり得るとしていた[5]

2008年6月に運営母体となる「株式会社紀州レンジャーズ」の設立とその役員人事が公表された。

歴史

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前節に記したように、所属リーグ未定の状態から関西独立リーグ設立に応じて加入したが、リーグの経営危機の発覚(運営会社の撤退)から三重スリーアローズの離脱を経て、実質的にリーグ運営の中心となった。しかし、後から参入した兵庫ブルーサンダーズが、既存の高校・大学野球部の枠に縛られない選手育成(学校法人芦屋学園との連携)を進めようとしたことに木村竹志が反発し、兵庫に賛同する06BULLSも含めた全球団が脱退する形でリーグは解散した。当球団は全期間にわたってリーグに所属した唯一の球団であった。

なお、袂を分かつ形で兵庫と06が設立したBASEBALL FIRST LEAGUE(現・さわかみ関西独立リーグ)は、2017年度から田辺市を本拠とする和歌山ファイティングバーズを参入させることを2016年6月に発表し[6][7]、予定通り2017年よりリーグ戦に参加している(2022年12月に和歌山ウェイブスに改称)。

年表

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  • 2007年12月3日 - 木村竹志らが構想を発表。
  • 2008年
    • 1月9日 - 第1回のセレクションを実施。
    • 2月9日 - 第2回のセレクションを実施。2回のセレクションで合計24名が合格した。うち女性2名を含む19名が契約。
    • 3月6日 - 関西独立リーグの構想が発表され、紀州レンジャーズが加盟予定であることが明らかになる。
    • 3月29日 - 最初の対外試合として、ベースボール・チャレンジ・リーグの富山サンダーバーズとの練習試合を実施(2-8で敗戦)。
    • 6月5日 - 関西独立リーグ記者会見で代表取締役など役員体制の発表がされた。
    • 11月16日 - リーグのドラフト会議にて12名を指名(うち2名が従来からの紀州レンジャーズ在籍者)。これとは別に継続契約となる選手は4名。他に2名が大阪、1名が神戸に移籍することが決まる。発足時に契約した女性選手は1名が8月に退団、残る1名も指名や継続契約の枠には含まれなかった。
    • 11月25日 - 来シーズンの監督に、和歌山県出身で元阪神タイガース監督・前福井ミラクルエレファンツ監督の藤田平の就任を発表。
  • 2009年
    • 2月20日 - 竹下正造取締役兼任ゼネラルマネージャーが同リーグ神戸9クルーズに常務執行役として移籍。
    • 3月28日 - 関西独立リーグとしての公式戦の初戦を紀三井寺球場で開催。
    • 7月11日 - 前期終了。17勝17敗2分の勝率5割で3位。
    • 10月1日 - 初年度の公式戦終了。後期は13勝20敗3分で最下位であった。
    • 12月4日 - 退任した藤田平監督の後任として、木村代表が監督に復帰することを発表。監督としての登録名は現役時代の「石井毅」となる。
  • 2010年
    • 6月17日 - 経営難のため選手の給料を6月分より全額カットすることが発表された。
    • 6月27日 - 前期終了。17勝15敗2分で2位。
    • 9月19日 - 2位明石との直接対決に勝ち、22勝7敗3分で初の後期優勝。
    • 9月25日 - チャンピオンシップで神戸に連敗し、年間チャンピオンの座を逃す。
  • 2011年
    • 4月17日 - スプリングカップ終了。1勝2敗1分で4位。
    • 7月3日 - 前期終了。12勝9敗3分で2位。
    • 7月17日 - サマーカップ決勝戦で敗れ、準優勝。
    • 9月30日 - 後期終了。17勝6敗1分で2位。
  • 2012年
    • 7月9日 - 前期終了。13勝17敗2分で4位。
    • 7月24日 - サマーカップで初優勝。
    • 10月22日 - 後期終了。12勝16敗4分で4位。
  • 2013年
    • 7月12日 - 前期終了。11勝18敗3分で3位(最下位)。
    • 10月28日 - 後期終了。10勝20敗2分で3位(最下位)。
    • 12月12日 - 関西独立リーグからの脱退を発表した[8]。今後はクラブチームとして活動し、日本野球連盟への加入を目指すとしていた[9]
  • 2014年
    • 3月11日 - 公式ウェブサイトにおいて、今年度は活動を休止することを発表[10]
  • 2017年
    • 3月31日 - 運営母体が活動を停止[11]

成績

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リーグ戦

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年度 監督 順位 試合 勝利 敗戦 引分 勝率 ゲーム差
2009 藤田平 3 36 17 17 2 .500 2.0
4 36 13 20 3 .394 8.5
2010 石井毅 2 35 17 15 3 .531 1.5
1 32 22 7 3 .759 (注)4.0
2011 2 24 12 9 3 .541 2.0
2 24 17 6 1 .739 0.5
2012 4 32 13 17 3 .433 7.5
4 32 12 16 4 .429 7.0
2013 3 32 11 18 3 .379 7.0
3 32 10 20 2 .310 11.5

(注)2位とのゲーム差

リーグチャンピオンシップ

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  • 2010年 - 0勝2敗(対戦は神戸9クルーズ)

カップ戦

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スプリングカップ
  • 2011年 4位 1勝2敗1分
サマーカップ
  • 2011年 準優勝
  • 2012年 優勝

スタッフ・選手

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観客動員数など

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関西独立リーグ参入初年度2009年の観客動員数は36試合15,412人(1試合平均428人)。1試合平均の入場者数はリーグ最少であった。財団法人和歌山社会経済研究所は2009年9月に、今後3年間でのレンジャーズによる経済波及効果を推計6億3300万円と算出した[12]

2010年の観客動員数は34試合で8,444人(1試合平均248人)。昨年度より落ち込んだが、その他のチームがこれ以上に落ち込んだためリーグトップ。

これまでの1試合での最多観客動員記録は2010年9月19日に行われた明石戦で2027人。

関西独立リーグ発足以前の試合

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上記の通り、関西独立リーグに加盟する前のクラブチーム時代は木村代表が監督を務めていた。社会人クラブチームのほか、独立リーグのBCリーグや四国・九州アイランドリーグのチームとも練習試合を行った。

発足直後のBCリーグ2チームとの試合には敗戦したが、2008年7月2日徳島インディゴソックス戦には5-3で勝利し、独立リーグのチームから初めて勝ち星を挙げた[13]

マスコット

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上記の紀ノ國戦隊紀州レンジャーを公式キャラクターとしていた。

このほか、紀州犬をモチーフとした非公式マスコットが存在していた[14]

脚注

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  1. ^ このため、メジャーリーグテキサス・レンジャーズとの関係はない。
  2. ^ “市民球場を解体撤去へ 田辺市、跡地に弓道場や広場”. 紀伊民報. (2011年6月22日). https://archive.fo/ozVfM 2016年11月5日閲覧。 
  3. ^ 試合結果2012年 - ウェイバックマシン(2015年3月10日アーカイブ分) - 06BULLS。5月20日の箇所を参照。
  4. ^ 来春、県内でプロ野球チーム結成 独立リーグ参入目指す - AGARA紀伊民報
  5. ^ 四国・九州ILに月1の交流戦依頼-和歌山の新球団 - 四国新聞2007年12月13日
  6. ^ “野球で地域盛り上げたい 田辺市に独立リーグ球団”. 紀伊民報. (2016年6月10日). http://www.agara.co.jp/news/daily/?i=315969&p=more 2016年6月13日閲覧。 
  7. ^ “「グローバル球団目指す」 独立リーグ・BFLに加盟 田辺”. 毎日新聞. (2016年6月11日). https://web.archive.org/web/20180626163849/http://mainichi.jp/articles/20160611/ddl/k30/050/512000c 2016年6月13日閲覧。 
  8. ^ 紀州レンジャーズからのご報告”. 紀州レンジャーズ (2013年12月12日). 2013年12月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年12月12日閲覧。
  9. ^ 関西独立リーグが事実上消滅 紀州も脱退表明 - 朝日新聞デジタル2013年12月12日
  10. ^ 紀州レンジャーズ - ウェイバックマシン(2015年1月4日アーカイブ分)(「紀州レンジャーズ(独立リーグ)の休部についてのご報告(2014年3月11日)」の箇所を参照)
  11. ^ 紀州レンジャーズ - ウェイバックマシン(2017年4月22日アーカイブ分)
  12. ^ がんばれ 紀州レンジャーズ ~和歌山県への経済波及効果の推計~ - ウェイバックマシン(2013年2月18日アーカイブ分)。ただし、この推計が「初年度入場者数1万9292人(実際より3880人多い)、2年目=2万7100人、3年目=3万8600人」という前提である点には留意が必要。
  13. ^ 試合結果 - ウェイバックマシン(2008年12月19日アーカイブ分) - 紀州レンジャーズ
  14. ^ がんばれ紀州レンジャーズ - わかやま新報(2009年9月9日の箇所を参照。リンク先の記事は削除済)

外部リンク

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