絵のような風景
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組曲『絵のような風景』(えのようなふうけい、仏:Scènes pittoresques)はジュール・マスネが1873年に作曲した管弦楽用組曲。演奏時間は約16分。
概要
[編集]マスネは演奏会用の管弦楽組曲を全部で7曲作曲したが[1]、第1作目の『組曲第1番』を除く全てに「-の風景」という副題を添えている。『絵のような風景』は組曲第4番に当たり、組曲第7番『アルザスの風景』とともにしばしば演奏会で取り上げられる。作曲は家族とともに過ごしたフォンテーヌブローの森の中の邸宅で進められ、完成した作品は友人の作曲家であるエミール・パラディールに捧げられた[2]。
初演
[編集]1874年3月22日、パリ、シャトレ座にてエドゥアール・コロンヌ指揮コンセール・コロンヌにより初演[3]。
編成
[編集]フルート2(うち1はピッコロ持ち替え)、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット4、トロンボーン3、ティンパニ、スネアドラム、バスドラム、シンバル、トライアングル、弦五部
構成
[編集]以下の4曲からなる。
- 行進曲(Marche) Allegro moderate
- 行進曲ではあるが、愛らしい性格の曲。
- 舞踏曲(Air de ballet) Allegretto scherzando
- 三部形式。弦を主体とした三拍子の舞曲。
- お告げの鐘(Angélus, Angelus)[4] Andante sostenuto
- 歌謡形式。ホルンによる鐘の描写が見事な緩徐楽章。
- ジプシーの祭(Fête Bohème) Allegro moderate
- ファンファーレが鳴り響き、にぎやかな祭の情景が描写される。
脚注
[編集]- ^ その他に付随音楽『復讐の三女神』(Les Erinnyes)から組曲を編んでいる。
- ^ ポケットスコア解説p.5,7。
- ^ ポケットスコア解説p.5。ただし、『最新名曲解説全集』p.289では初演者・場所(シャトレ座の記述はなし)は同じだが、初演日時は1873年11月となっている。
- ^ 「夕べの鐘」と訳す場合もある。
参考文献
[編集]- 「最新名曲解説全集5 管弦楽曲II」(平島正郎執筆 音楽之友社)
- ポケットスコア(野平多美解説執筆 全音楽譜出版社)ISBN 978-4-11-893511-9