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絶縁油

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

絶縁油(ぜつえんゆ)は、液状の絶縁体材料のひとつ。日本工業規格 (JIS C 2320) では電気絶縁油として詳細に規格化されている。

絶縁油は多くの電力機器の絶縁材料として用いられ、次のような特性を備えていることが求められる。

  1. 絶縁耐力が大きいこと。
  2. 粘度が低いこと。
  3. 引火点が高いこと。
  4. 凝固点が低いこと。
  5. 機器を侵食しないこと。
  6. 電気的、化学的に安定していること。

かつて上記要件をよく満たすPCB(ポリ塩化ビフェニル)が用いられたが、発がん性等の有毒性が指摘され近年は使用されることはない。

絶縁油の規格

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JIS C 2320 において、絶縁油はその主成分によって大きく7種類に分類されていた。新しいJIS規格では国際電気標準会議 (IEC) 規格が取り入れられており、これまでの7種類の分類を種類A、追加されたIEC規格を種類Bとしている。

種類A

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1種 鉱油を主成分とする絶縁油。油入コンデンサや油入ケーブルで用いられる1号、油入変圧器油遮断器で用いられる2号3号(寒冷地除く)、大容量高圧変圧器で用いられる4号がある。
2種 アルキルベンゼンを主成分とする絶縁油。油入コンデンサや油入ケーブルで用いられる。分枝鎖形の1号(低粘度)、2号(高粘度)、直鎖形の3号(低粘度)、4号(高粘度)がある。
3種 ポリブテンを主成分とする絶縁油。油入コンデンサや油入ケーブルで用いられる。低粘度の1号、中粘度の2号、高粘度の3号がある。
4種 アルキルナフタレンを主成分とする絶縁油。油入コンデンサで用いられる。低粘度の1号、高粘度の2号がある。
5種 アルキルジフェニルアルカンを主成分とする絶縁油。油入コンデンサで用いられる。低粘度の1号、高粘度の2号がある。
6種 シリコーン油を主成分とする絶縁油。油入変圧器で用いられる。
7種 1種絶縁油と2種絶縁油の混合絶縁油。油入コンデンサや油入ケーブルで用いられる1号、油入変圧器や油遮断器で用いられる2号3号(寒冷地除く)、大容量高圧変圧器で用いられる4号がある。

種類B

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1種 IEC 鉱油を主成分とする絶縁油。油入ケーブルで用いられる1種 IEC 1号(クラス I、クラス II、クラス III、IEC60465:1988 に対応)、油入変圧器や油遮断器で用いられる1種 IEC 2号(クラス I、クラス II、クラス III、IEC60296:1982 に対応)、鉱油に酸化防止剤を添加した1種 IEC 2A号(クラス I A、クラス II A、クラス III A、IEC60296:1982 に対応)がある。
2種 IEC アルキルベンゼンを主成分とする絶縁油。油入コンデンサや油入ケーブルで用いられる。クラス I、クラス II、クラス III がある。IEC60867:1993 に対応する。
3種 IEC ポリブテンを主成分とする絶縁油。油入コンデンサや油入ケーブルで用いられる。低粘度のクラス I、高粘度のクラス II(タイプ I、タイプ II)がある。IEC60963:1988 に対応する。
4種 IEC アルキルナフタレンを主成分とする絶縁油。油入コンデンサで用いられる。IEC60867:1993 に対応する。
5種 IEC 油入コンデンサで用いられる絶縁油。メチルポリアリルメタンを主成分とする5種 IEC 1号アルキルジフェニルエタンを主成分とする5種 IEC 2号がある。IEC60867:1993 に対応する。
6種 IEC シリコーン油を主成分とする絶縁油。油入変圧器で用いられる。IEC60836:1988 に対応する。

絶縁破壊

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絶縁油中に不純物が混じっていた場合著しく絶縁能力が低下する。また、気泡が発生した場合も低下する。

参考文献

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関連項目

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