腐男子
腐男子(ふだんし)とは、ボーイズラブ(BL)・やおい作品を好む男性のこと[1]。腐男子の別名として、父兄をもじった腐兄(ふけい)[1] がある。腐兄という言葉はPINKちゃんねるの801板で2002年に発生した[2]。
概要
[編集]やおい・ボーイズラブの愛好者は大半が女性であり[4]、そういった嗜好は男性から嫌悪の対象となることが多い[5]。しかし、男性の中にはアニメや小説のBL・やおいを好む者もおり、自らを腐女子をもじって腐男子と呼称する場合がある。このほか、百合を好む男性という意味で用いられることもある[6]。また、フダンシズム-腐男子主義-に代表されるように、腐女子に理解を示す男性をこう呼ぶ場合もある。大手SNSサイトのtwitterでは腐女子のランク付けである貴腐人、汚長腐人等々のように、腐男子→腐兄(ふけい)→腐士(ぶし)→腐将(ぶしょう)→腐神(ぶしん)→腐墮(ブッダ)と、腐男子にランク付けをする者も現れるなど、少しずつ浸透の動きを見せている。
自身も腐男子であると公言する吉本たいまつによれば、ゼロ年代前半あたりから積極的に(揶揄の対象としてではなく)やおい・ボーイズラブ作品を鑑賞する男性が増え始めたという。流れとしてはまず男性向けのショタものを愛好するようになり、そこから徐々に女性向けのショタもののボーイズラブ作品にも興味を示すようになることが多く、少女のような外見を持っているが性別は男性という「男の娘」というジャンルも出現している[7]。
ボーイズラブ雑誌の購入者の中には、ゲイ向けの雑誌の入手が困難なためその代替としてボーイズラブを楽しんでいるという男性同性愛者も含まれている[8]。ただし、腐男子=男性同性愛者の等式は必ずしも成り立たない。2010年7月に吉本がおこなったウェブ上のアンケート調査によれば[9]、「あなたの性的志向(性的に欲情する対象)はなんですか?」という設問に対し、「男性のみ」「男性寄りのバイ」という回答が合わせて全体の約5割を占めた一方、異性愛者の存在も18%確認されている[3]。しかしながら吉本は、異性愛でなければならないという社会的圧力は、腐男子の間では相当弱まっていると判断している[10]。
脚注
[編集]- ^ a b 金田淳子 「ヤオイ・イズ・アライブ わかりたいあなたのための、やおいマンガ・マップ」『ユリイカ』 2006年1月号、177頁。
- ^ 男のヤオイ好きのユウウツ
- ^ a b 吉本たいまつ 『腐男子にきく2。』みるく☆きゃらめる、2010年、16-17頁。
- ^ 東園子 「女性のホモソーシャルな欲望の行方――二次創作「やおい」についての一考察」『文化の社会学―記憶・メディア・身体』 文理閣、2009年、263頁。ISBN 978-4892595868。
- ^ 吉本たいまつ 「男もすなるボーイズラブ」『ユリイカ』2007年6月臨時増刊号、106頁。
- ^ ヒロヤス・カイ 『オタクの考察』 シーアンドアール研究所、2008年、70頁。ISBN 978-4903111728。
- ^ 「男もすなるボーイズラブ」『ユリイカ』2007年6月臨時増刊号、106-108頁。
- ^ 守如子 『女はポルノを読む―女性の性欲とフェミニズム』 青弓社、2010年、99頁。ISBN 978-4787233103。
- ^ 吉本たいまつ 『腐男子にきく2。』みるく☆きゃらめる、2010年、3頁。
- ^ 吉本たいまつ 『腐男子にきく。改訂版』みるく☆きゃらめる、2009年、20-21頁。
参考資料
[編集]- 吉本たいまつ『腐男子にきく。 改訂版』みるく☆きゃらめる、2009年3月。全国書誌番号:21716570。
- 吉本たいまつ『腐男子にきく2。』みるく☆きゃらめる、2010年8月。全国書誌番号:22066783。
関連資料
[編集]- 佐藤麻衣、石田仁「BL読者/非読者に対する調査 報告書」2022年4月20日。