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荒木昭次郎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

荒木 昭次郎(あらき しょうじろう、1940年9月17日[1] - 2021年7月10日[2])は、日本の行政学者。専門は地方自治協働理論。日本で初めて協働概念を提唱したことで知られる。自治について社会的実践原理という視座から様々な考察を行った。東海大学名誉教授熊本県立大学名誉教授

経歴

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熊本県矢部町(現 山都町)出身[1]1961年海上保安庁水路部[1]1968年早稲田大学大学院政治学研究科(自治行政専攻)修了(政治学修士)[1]、同年、財団法人日本都市センター研究員[1]1973年東海大学専任講師、1977年同助教授、1985年同教授[1]2000年同大学名誉教授[1]熊本県立大学総合管理学部教授[1]2010年同大学を退官[1]、名誉教授。

学説

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日本において、地方自治の本旨としての住民自治と団体自治について、行政機関・自治研究者のいずれもが団体自治のみに着目していることを指摘し、一貫して住民自治の充実強化こそが団体自治を強化することに繋がるとの立場をとる[3][4]

数度の在外研究を経て、ヴィンセント及びエリノア・オストロム夫妻の提唱するCo-production概念(en:Coproduction (public services))、エマニュエル・サバスのサービスの特性分析、ロバート・キング・マートンの中範囲の理論にもとづく連続体概念分析等をもとに、日本において初めて「協働」の概念を提唱した[4]。この協働の概念は、現在では、地方自治体の政策における基本的な理念の一つとして広く受け入れられている[5]

また、自治行政をあらわす鍵概念として「私たち一人ひとりが社会的力を身につけ、他社との関係の中で自律的に合意形成をはかる存在に成長していけば、そのような人たちから成る自治体の行政は効率性が高くなり、人々にとって満足度もより高くなる」という「自治効率」の概念を提唱している。これは、従来から自治の現場で対立する二項としてとらえられてきた「効率性」と「民主性」について、その両者を調和するものであるとされる。[要出典]

著書

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単著

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  • 『参加と協働:新しい市民=行政関係の創造』(ぎょうせい、1990年)
  • 『協働型自治行政の理念と実際』(敬文堂、2012年)
  • 『連帯と共助が生み出す協治の世界~豊かなスモールネス社会をデザインする~』(敬文堂、2019年)
  • 『現代民主政治と自治~地域住民自治による地域運営のデザイン』(成文堂、2021年)

共編著

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訳書

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  • クラブ=ジャン・ムーラン編『広域行政:権力を市民の手に』(鹿島出版会、1970年)

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i * 荒木昭次郎教授 略歴[含 著書等・論文]」『アドミニストレーション』第16巻3・4、熊本 : 熊本県立大学総合管理学会、2010年3月、巻頭1-10、CRID 1520572357619091328ISSN 1340752X 
  2. ^ 『現代物故者事典 2021〜2023』日外アソシエーツ、2024年、p.23。
  3. ^ 「検証・2期目、幸山市政(11)=曲折経て自治基本条例が成立」(熊本日日新聞、2010年9月8日)
  4. ^ a b 「描くおおいたの未来像―住民自治が進めば行政依存が減少―」(大分合同新聞、2011年12月23日)
  5. ^ 「平成16年版 国民生活白書~人のつながりが変える暮らしと地域―新しい「公共」への道~」第3章第2節(地域の中で進む協働)

参考文献

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  • 荒木昭次郎『参加と協働:新しい市民=行政関係の創造』(ぎょうせい、1990年)
  • 荒木昭次郎『協働型自治行政の理念と実際』(敬文堂、2012年)
  • 荒木昭次郎・澤田道夫・黒木誉之・久原美樹子『現代自治行政学の基礎理論―地方自治の理論的地平を拓く―』(成文堂、2012年)