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小田急8000形電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
西武8000系電車から転送)
小田急8000形電車
小田急8000形
(2021年11月24日 祖師ヶ谷大蔵駅
基本情報
運用者 小田急電鉄
製造所 日本車輌製造
川崎重工業
東急車輛製造
製造年 1982年 - 1987年
製造数 160両
運用開始 1983年3月22日
主要諸元
編成 4両固定編成
6両固定編成
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500V
架空電車線方式
最高運転速度 100 km/h[1]
設計最高速度 110 km/h[2]
起動加速度 3.0 km/h/s(界)[3]
3.3 km/h/s(V)[4]
減速度(常用) 3.5 km/h/s(界)[3]
4.0 km/h/s(V)[4]
減速度(非常) 4.0 km/h/s(界)[3]
4.5 km/h/s(V)[4]
車両定員 144名(先頭車)[5]
162名(中間車)[5]
自重 本文参照(#編成表
全長 20,000 mm
車体幅 2,900 mm
全高 4,040 mm(空調装置)[3]
4,145 mm(集電装置)[3]
車体高 3,665 mm(屋根上面)
床面高さ 1,150 mm
車体 普通鋼
台車 住友金属工業アルストムリンク式空気ばね台車
電動台車:
FS516(界)[5]
FS516A(V・開放MM)[6]
FS516B(V・全閉MM)[6]
付随台車:
FS016[5]
FS516T(サハ8050形)[6]
主電動機 三菱電機
界:直流複巻電動機
自己通風式 MB-3282-AC[3]
V:かご形三相誘導電動機
開放内扇式 MB-5102-A[7]
全閉外扇式 MB-5123-A[8]
主電動機出力 140kW × 4(界)[9]
190kW × 4(V)[2]
駆動方式 WN駆動方式[9]
歯車比 85:16=5.31(界)[3]
97:16=6.06(V)[2]
制御方式 界磁チョッパ制御
IGBT素子VVVFインバータ制御IPM・2レベル / 一部編成はハイブリッドSiC・3レベル)
制御装置 三菱電機
界:
FCM-148-15MRH[9]
V・開放MM
MAP-198-15V115A (2群)[6]
MAP-194-15V116A (1群)[6]
V・全閉MM:
MAP-198-15V115B (2群)[6]
MAP-194-15V116B (1群)[6]
V・SiC適用:
MAP-198-15V260 (2群)[6]
制動装置 界:回生制動併用電磁直通制動(HSC-R)[3]
V:回生制動併用電気指令電気演算式電磁直通制動(MBSA-R)[2]
保安装置 OM-ATSD-ATS-P
備考 界:界磁チョッパ制御車
V:VVVFインバータ制御車
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小田急8000形電車(おだきゅう8000がたでんしゃ)は、1983年昭和58年)に登場した、小田急電鉄の通勤型電車である。

本項では個別の編成について、小田急での用法に倣って「新宿寄り先頭車両の車両番号×両数」の表記とする(例:8051×4、8261×6)[10]。また編成内の個別の車両について示す際、それが一意でない場合には、各車の記号番号並びに番台区分から「デハ8100番台」などのように表記する。

概要

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輸送力増強と通勤車両の大型化のため[11]各駅停車から急行にまで運用可能な汎用通勤車両として登場した[12]9000形以来約11年ぶりのモデルチェンジが行われ[13]、1982年(昭和57年)から1987年(昭和62年)までの間に4両固定編成と6両固定編成が各16編成ずつ、合計160両が製造された[14]。2002年度から2013年度にかけて全編成に車体修理工事が実施されており、最初に施工された2編成(8251×6・8255×6)を除いてはVVVFインバータ制御への改造も併せて行われている。

登場の経緯

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小田急で1969年から大型通勤車両として導入が継続されていた5000形 (初代)は、13年間の増備によって1982年までに合計180両が製造され、車両運用や保守の面からみて適正な車両数となった[15]。この間に進歩した鉄道車両の技術動向を踏まえ、次世代の車両を開発するという機運が生じ[15]省エネルギー保守の容易化・長寿命化を主眼とした車両が開発された[12]

2600形は各駅停車用の車両として[16]、5000形は急行用の車両として製造された車両であった[16]が、新型通勤車両は千代田線直通を除く各駅停車・準急・急行のいずれの種別にも使用可能な仕様とすることとした[12]。また、高性能車の他形式[注 1]と相互に連結可能とした[15]上で、箱根登山電車への直通運転も可能な仕様とすることになった[17]

このような条件を踏まえた開発・設計が行われ、登場したのが8000形である。

車両概説

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本節では、登場当時の仕様を基本として、増備途上での変更点を個別に記述する。製造後の変更については後述する。

全長20 m、普通鋼製の4扉車で、1982年に6両編成が登場、1984年からは4両編成も製造された。どちらの編成も制御車のクハ8050形と、中間電動車のデハ8000形の2形式によって構成される。

車体

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先頭車・中間車とも車体長19,500 mm・全長20,000 mmで、車体幅は2,900 mmの全金属製車体である。外板は厚さ3.2 mmの耐候性鋼板鋼を採用した[18]。腐食防止対策の観点から、屋根と雨樋には全面的に厚さ1 mmのステンレス板を採用し[18]、床板もステンレス製のキーストンプレートとした[18]ほか、側梁の溶接はそれまでのスポット溶接から突き当て全周溶接に変更した[13]。また、台枠については、それまでの小田急の車両では台車の心皿部分が凸形となった構造であった[18]が、8000形では平台枠に変更し[18]台車ボルスタ部分と車体中心部を個別に製作した上で溶接する方式とした[18]

正面は大型曲面ガラスを用いたスケルトン構造とし、窓回りの柱を黒色とすることによって大きな1枚窓のような感覚を与えるものとする一方で、安全対策上から貫通扉を残し[17]、貫通路脇には手すりを設置した[19]前照灯尾灯は角型で、両者を横に並べたユニットが運転席・助士席の窓下、帯の中に配置された。種別表示器・行先表示器と通過標識灯、車号表記はガラス内に収められている。また乗務員室の奥行を拡大したため直後の戸袋窓は省略された[14]。スカートは海側に肘コック操作ようの切欠きがあるほか、山側に小さい蓋が設けられている。

側面は4箇所の客用扉(側引戸)があり、いずれも1,300 mm幅、高さ1800 mmの両開き扉である。戸閉装置は従来車の床置き式から鴨居設置に変更し[12]、単気筒複動式のものとした[12]。側面窓は900 mm四方で、扉間は60mmの縦桟を挟んだ2連窓となっている。1段下降窓である点は従来車と同様だが、本系列では新たにアルミニウム製のユニット窓を採用した[3]。これは防錆対策を行っても腐食の進行がみられた[注 2][3]という9000形での経験が生かされたものである。ユニット窓は窓部分と水受けとが完全に一体化されており、水受け内の水が水抜きパイプで車体外部に排出されることで完全防水形を実現している[3]。あわせてガラスもサッシレスとすることで、走行中の窓枠接触音[注 3]の解消を図った[20]。ユニット窓の採用により、側面窓外周にはアルミの枠が付いた見付けとなっている。また先頭部を除く各戸袋には戸袋窓があり、同様にアルミの縁取りが設けられた。

車両間の貫通路は5200形まで続いた広幅貫通路ではなく、800 mm幅の狭幅貫通路とし[21]、また保安度と空調効果の向上を目的に全ての妻面に貫通扉(妻引戸)を設置した[20]。扉は全て山側に開く[22]。扉の左右には固定窓が配されている。

塗色は従来車に準じたもので、ケープアイボリーの車体にロイヤルブルーの腰帯が配されている。落成当初は正面貫通扉に青帯が回り込んでいないデザインであったが[23]、報道発表時点で貫通扉にも青帯が入ったものに改められている。なお8052×4・8257×6の2編成は特別塗装で製造された(#イベントカーを参照)。

内装

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更新前の車内

車内レイアウトは定員も含め5000形と同じである[14]

室内の配色は寒色系でまとめられており、床面はライトグリーン、座席はダークブルーで[24]基本的には従来車と変わらないが、側壁にはライトグリーン系の色を使用した模様入りのアルミデコラが採用された[25]

座席はすべてロングシートで、扉間は7人掛けで3000 mm幅(1人あたり約428.5 mm)、車端部には4人掛けで1640 mm幅(1人あたり410 mm)の座席が配置されている。このうち先頭車の車端部はシルバーシートとされた。

増備途上での変更点として、1986年度に登場した6次車からは冷風吹き出し口が変更されたほか、車端座席の妻部にモケットが張られた[24]。さらに1987年製のラスト4編成(8064×4 - 8066×4・8266×6)については、車内の配色が寒色系から暖色系に変更されている[24]。座席モケットはワインレッド[26]、化粧板はホワイトベージュ基調に、床もグレーに変更された[24]。この基本配色は、同年に登場する1000形に引き継がれることとなる[27]

主要機器

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主回路装置には界磁チョッパ制御方式、電力回生ブレーキを備えるものとし[18]三菱電機製の装置が採用された。当時の技術としては電機子チョッパ制御の方が電力面で優れていたが、経済面を鑑みて採用は見送られている[18]。回生ブレーキについては小田急では既に2600形と9000形において採用しており、高速域からの電力回生制御についても技術の進歩があった[18]ことや、その後全線にわたり十分な回生負荷が見込まれるようになった[18]ことを踏まえての採用となっている。

主制御器は三菱電機製のFCM-148-15MRH形で、M2・M4に搭載する。GTO素子を採用し[28]回路の簡略化と同時に装置自体の小型化が図られている[20]抵抗制御の段数は直列13段、並列10段であり、回生制動の段数は13段である。またモニタ装置を内蔵して動作情報を記録しており、これは故障時の解析や試験時の情報収集等に役立てられる[29][30]主電動機は三菱電機製MB-3282-AC形、出力140kWの複巻整流子電動機が採用された[3]。界磁チョッパ用の複巻電動機では、直巻界磁と分巻界磁の2つを有する構造で[31]、分巻コイルが大きくなるため電動機自体の大型化が避けられない。これにより従来の丸型電動機では狭軌用の台車枠に収まらないため[32]、形状をスペースを有効に活用できる八角形とした[33]。駆動方式はWNドライブ[26]、歯数比は85:16=5.31とした[3]

制動装置(ブレーキ装置)はHSC-R[注 4]応荷重機構電力回生制動併用の電磁直通ブレーキが採用された[20]。これは従来車に用いられるHSC-D[注 5]の電空切換連動部分[注 6]を置き換えたものである。回生ブレーキを有効に活用しつつ、所定通りのブレーキ力を保つには、空気ブレーキと回生ブレーキそれぞれのブレーキ力の総和が、運転士からのブレーキ指令と一致してなければならない。そのためこの装置では、アナログ演算によって空気ブレーキのブレーキ力を回生ブレーキのブレーキ力の分だけ抑制する機能が追加されている[注 7]。なお抑速回生制動が失効した際には自動的に抑速空気制動に切り替わり[34]、安定した制動力が得られる機能としている[34]

FS016 付随台車

台車は2200形から採用実績のあるアルストムリンク式空気ばね台車である[26]住友金属工業製で形式は電動台車がFS516付随台車はFS016[5]。いずれも860 mm径[25]の波打車輪を使用する[22]。基礎ブレーキの踏面ブレーキは片押し式[27]、また常時加圧方式の踏面清掃装置が設けられた[25]。空気ばねには「低型スミライド」が採用されている[27]

補助電源装置は東洋電機製造製のブラシレス電動発電機 (BL-MG) が採用され、6両編成では容量140kVAのTDK3347-AをM1・M3に搭載する[33]。各装置は3両分の負荷を担当し、一方が故障した場合にもう一方から電源を供給する自動受給電装置をM3に搭載している。

なお4次車からは東芝製の静止形インバータ (SIV) に変更された。4両編成は90kVAのBS-483-G[9]をTc1・M1に搭載、6両編成は140kVAのBS-483-J[9]で従来と同じM1・M3へ搭載となる。いずれも自動受給電装置を備える。

電動空気圧縮機 (CP) は初代5000形後期車から続くC-2000Lを各先頭車に搭載する。

集電装置東洋電機製造製の菱形パンタグラフPT4212S-AMを採用し[3]、6両編成はM2・M3・M4、4両編成はM1・M2に各1基、いずれも小田原寄りに搭載する。付帯する機器としてヒューズ箱と避雷器が付近に配置されており、ヒューズ箱は6両編成のM3のみ2つとなっている(他は1つ)。6次車からは避雷器が六角柱から円柱状のものへ、ヒューズ箱が台形断面のものから箱状のものへそれぞれ変更された[24]

2台1組の冷房装置
2台1組の冷房装置

冷房装置は10,500kcal/hの集約分散式で、1両あたり4台搭載するが[34]、2台をペアとして連続カバーにまとめられており、外観上は1両あたり2組となる[22]。装置は省電力型で、ロータリーコンプレッサーを使用している。形式はCU-195A[34]、6次車からはCU-195Bに変更された[24]。補助送風器はラインフローファンで、長手方向の配置にしたため従来車とは室内の天井の見附が大きく異なる[35]

乗務員室

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更新前の運転台
更新前の運転台

乗務員室は従来車より後方に100 mm拡張され[14]、部品は極力埋め込み式の取り付け方法とすることで室内空間を広くすることを図った[21]ほか、運転台の計器盤パネルは取り外し可能なユニット式とした[21]。また、ランプ類はLEDを使用し長寿命化を図った[36]

沿革

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イベントカー

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1984年に増備された8052×4と8257×6は特別な塗装が施された「イベント電車」[37][38]として製造された。塗装は小田急の歴史を表現したもので[39]、白を地色にオレンジレッド・イエロー・マルーンの3色[注 8]を階段状に塗り分けたデザインである[39]。白は当時の通勤車の一般色、オレンジレッドはSE車以降の特急色、イエローは戦後間もない頃の特急色、マルーンは戦前の車両色をイメージしている[注 9][39]

8052×4は4月17日から、8257×6は5月9日から営業運転を開始した。当初は「走るギャラリー」というヘッドマークを掲出していたが、後に愛称を一般公募[37]、7月1日に「ポケット号」と名付けられ[38]、ヘッドマークの文字も「小田急線『走るギャラリー』 ポケット号」に変更されている。

1986年10月から11月にかけて8054×4・8055×4・8253×6・8262×6の4編成に、車体側面中央部へ5色のカラーストライプが施された[27]。翌年に向ヶ丘遊園で開かれる「蘭・世界大博覧会」を記念したもので[27]、ストライプに加え、幕板部には博覧会のロゴマーク(シンボルマークとロゴタイプを組み合わせたもの)が大書されている[41]。「オーキッド号」として運行された[41]

博覧会終了後の1987年3月下旬にはロゴマークだけを消し[41]、「フラワートレイン」としての運行へ移行した[27]

1987年には6編成とも運行を終了しており、「ポケット号」の8257×6は4月[41]、8052×4は8月[27]に標準色に塗り替えられた。「フラワートレイン」の4編成も同年6月にストライプが外されたが[27]、その後も「イベントカー」として側扉のガラスにステッカーが貼られていた[42]

その他の装飾等

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  • 登場からしばらくの間、8251×6は車内で「懐かしの小田急沿線写真展」を行い[43]、「小田急沿線懐かしの写真展号」というヘッドマーク(特殊運板)も掲出された[44]
  • 1983年8月には、小田急百貨店で「鉄道展」が行われるのに伴い、8255×6に「鉄道展」のヘッドマークを掲出して運行した[13]
  • 1997年3月から6月にかけて、向ヶ丘遊園でイベント「ウルトラマンワールド」が開催されることに合わせ[41]、4月から6月にかけて8054×4・8055×4・8253×6・8262×6の4編成に対して[41]、正面の前照灯下と車端部をのぞく側面戸袋窓上部に「ウルトラマンワールド・ブースカランド」のステッカーが貼付された[41]
  • 2002年11月には、小田急百貨店開店40周年記念として、8054×4・8055×4・8253×6・8262×6の4編成に対して小田急百貨店の包装紙と同様のデザインが車体側面に施された[45]
  • 2019年度には8255×6に江ノ島線開業90周年の記念ラッピングが施された[46]

特別な運用

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1987年1月、踏切事故により3000形SE車が1編成使用不能になった[47]3100形NSE車7000形LSE車が各1編成ずつ工場に入場していた時期だったため特急車が不足し、1月24日・25日の「さがみ」の一部列車を8000形で運行する事態になった[47]。この時は種別幕は「臨時」と表示し[47]、特急料金は不要だった[47][注 10]。この特急代走については、特に理由・期間と使用編成について異説が存在する。

廃車

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2019年6月19日、8264×6に乗用車が衝突、脱線し[49]、同編成は翌年度頭の2020年4月1日付で廃車となった。また同年度の下期には8255×6・8251×6が廃車となり、界磁チョッパ制御車が消滅した。その後、2022年10月の8056×4を皮切りに本格的な廃車が始まっている。

改造工事

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小規模な変更

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  • 1987年から座席のセミバケット化が開始された[25]。色調は元の車内配色にあわせたものとなっている[46]
  • 1992年3月よりシルバーシートが増設され、各中間車の新宿寄りにも配置された。また2002年10月より優先席の名称に変更されている。
  • 台車の踏面清掃装置を撤去。
  • 2002年度から2003年度にかけて全編成のパンタグラフがシングルアーム式(PT7113-B)に交換された[50]。一部は車体修理工事と同時に実施している。
    • 2002年度:8051×4・8054×4・8055×4・8057×4・8058×4・8060×4・8061×4・8063×4 - 8066×4・8251×6・8252×6・8255×6・8257×6 - 8260×6・8263×6 - 8265×6
    • 2003年度:8052×4・8053×4・8056×4・8059×4・8062×4・8253×6・8254×6・8256×6・8261×6・8262×6・8266×6
  • 2003年度以降、床下機器の塗色を黒色から灰色に変更。
  • 一部の電動台車に増粘着装置(セラジェット)を設置[51]。後に撤去されている[51]
  • 2004年度、全車両に防音車輪を導入[52]。浪打車輪ではない車輪が用いられている。
  • 2004年頃から2007年頃にかけてクハ8550・8050番台の電気連結器の撤去が行われた。
  • 2005年5月より1号車(クハ8550番台)が女性専用車に設定された。
  • 2007年度から2011年度にかけて、D-ATS-P装置の設置が行われた[53]。一部は車体修理工事と同時に実施されている。なお保安装置のD-ATS-Pへの切替えは2012年から2015年にかけて行われた。
  • 2009年頃、各中間車の優先席位置を新宿寄りから小田原寄り車端部に変更した[53]。8054×4・8064×4・8056×4・8265×6の4編成は車体修理工事と同時に実施している[54]
    • なおこのとき床と壁面には手が加えられなかったため、優先席移設前に色分けを行った編成[注 11]では配色がちぐはぐになっている。
  • 2014年6月、8058×4のクハ8058と、8258×6のクハ8558の前照灯がLED化された。
  • 2021年、4両編成2本に対してクヤ31との連結に対応する改造が行われた。6月22日に8065×4、8月25日に8066×4に実施されている。
    • これまで使用していた1000形(1051×4・1751×6・1752×6)の廃車によるもので、クハ8150番台に三相交流電源給電用のジャンパ連結器が設置された[51]。これによりスカートの右側に切欠きが追加されている。
  • 2022年3月より順次、各編成の3号車(サハ8450番台)を「子育て応援車」とし、窓に合計24枚[注 12]のステッカーを掲出した[55]
  • 2022年に8065×4・8265×6、8066×4・8266×6の4編成で室内灯のLED化(川重製)が行われた。なおクハ8066のみは車体修理工事の際にLED化されており、再交換はされなかった。

車体修理

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2002年度から2013年度にかけて、小田急車両工業小田急エンジニアリングにより全編成に車体修理と機器更新が実施された[46]。6両編成の方が先に施工されており、こちらは2009年度で完了、4両編成は2007年度より施工が開始されている。5200形で行われた内容をより向上させ、2000形や3000形で採用された内容が取り入れられている[56]。室内のカラーリングは暖色系となった[56]。当初の施工内容を以下に示す。

劣化・腐食部分等の補修・修繕
  • 塗装剥離の上、車体外板・屋根・床・側引戸、配管・配線などに実施[57][56]
機器類の更新等
  • 主回路機器の更新。初期に施工された2編成は界磁チョッパ制御のまま装置更新を行った[56]。なお3編成目以降はIGBT素子によるVVVFインバータ制御へ変更されている。
  • 電動空気圧縮機 (CP) を交流駆動スクロール式に、補助電源装置を静止形インバータ (SIV) にそれぞれ変更[58][56]。CPは複数の形式が存在するが、当初はRC1500が採用された[6]。SIVは東芝製で容量140 kVAの2レベルIGBTタイプ[46]、6両編成では形式はINV095-K0となる[6]
  • 種別・行先表示器をLEDに変更し、側面の表示器・表示窓は縦横比を変更(2000形以降で採用の横長タイプ[58])。LED表示器は施工時期により3色のものとフルカラーのものが存在する。
  • 前面の通過標識灯を完全に撤去[58]、また尾灯側灯をLED化[58]。このうち戸閉車側灯は3000形2次車より採用された小判型のものへ変更されている[58]
  • 滑走防止装置(ファインスキッド)設置[46]。先頭車を含む付随車[注 13][59]に設置された。
車内・接客設備等
  • ドアチャイム・車内表示器の設置[58]。ドアチャイムは全ての側扉に設置、車内表示器はLEDスクロール式で千鳥に配置された。チャイムの音色は2000形以降と同一[58]
  • 側下降窓(ユニット)の取替。UVカットガラスを採用し、カーテンは廃止された[56][58]。また側窓ガラスは外側にも手掛が設置されたものとなっている[58]
  • 側引戸窓の支持方式変更(車内側の平滑化)。金属枠でガラスを抑え込む方式は変わらないが、車内側から抑えていたものが車外側から抑えるものへ変更された。
  • つり革・荷棚の取替[58]。つり革は丸形から3000形2次車と同じ三角形のものに、荷棚は金網からパイプを使用したものにそれぞれ形状が変更されている[58]
  • 化粧板・床材の張替え[58]。化粧板は白系、床はベージュ系で中央部と外側、境目のフットラインで3色が使い分けられてている。床面の中央部とフットラインは柄入りで、両者の境目には菱形の模様が配されている[58]
  • 表記類の変更。最初は3000形に準じたものが用いられたが[58]、施工時期によりバリエーションが存在する。
  • 座席のセミバケット化、7人掛け座席へのスタンションポール設置[56]。座席モケットは一般席は赤系、優先席は青系で両者とも同一の細かい模様が入る。また座席下の蹴込板が交換された[58]
  • 車椅子スペース(収納式座席付)の設置[56]。先頭車の右側面、乗務員室直後の3席分が割り当てられている。横の4人掛け座席との間には板状の袖仕切りが取り付けられた。
  • 非常通報装置を警報式から対話式に変更[58]。乗務員との会話ができるもので、3000形と同タイプである[58]
  • 自動放送装置の設置[58]
乗務員室等
  • モニタ装置を設置[注 14]。表示器としてタッチパネル式の液晶画面が車掌台と背面に計2台設置され、ダイヤル式の指令器は撤去された[58]。なお主回路が変更されていない関係上、制御できる項目が限られている。
  • 乗務員間の連絡用インターホンを変更。運転台左の送受話器が撤去され、付近の壁面に運転士用のマイクが設置された。車掌から運転士への連絡は後述の受報器を使用する[58]
  • 非常通報装置の受報器を設置。運転台コンソールの右手に配置されている[58]
  • 自動放送装置の制御器を設置(下り方先頭車助手席後部)[58]
  • 車掌操作器(放送用マイク)の位置・数を変更。中央の1台であったものが左右側面に各1台の配置となった。
  • 車掌モニタ[注 15]を変更。1000形後期車以降と同じ形となった[注 16][58]

仕様変更等

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10年程かけて実施されていることから、施工時期による仕様の差異が多岐にわたる。これらの仕様変更を以下に示す。

VVVFインバータ制御への変更

3番目に施工され、2004年3月に竣工した8254×6以降は機器面で3000形3次車と共通化が図られた[56]。制御方式・制動方式が変更され、6両編成は編成構成も変更されている。

6両編成の編成構成としては、従来4M2T(MT比2:1)であったところ、デハ8400番台を付随車化し3M3T(MT比1:1)とした。同車は新形式となるサハ8050形のサハ8450番台へと変更され[56]、パンタグラフや主電動機を撤去したほか、台車形式がFS516Tに変更されている[56]。クハと同様に滑走防止装置も設置[59]

誘導電動機を搭載する電動台車 (写真はFS516B)
誘導電動機を搭載する電動台車
(写真はFS516B)
付随台車へ改造された元電動台車 (FS516T)
付随台車へ改造された元電動台車
(FS516T)
速度センサを新設した付随台車 (FS016)
速度センサを新設した付随台車
(FS016)

主回路機器はVVVF化により大きく変更されており、制御装置は三菱電機製の2レベルVVVFインバータ(PGセンサレスベクトル制御[注 17]純電気ブレーキ対応[60])で、IGBT素子を組み込んだIPM(インテリジェントパワーモジュール)が用いられている[59]。デハ8300番台には1C4M2群のMAP-198-15V-115A、デハ8500番台には同じく1群のMAP-198-15V-116Aを搭載する。主電動機も同じく三菱電機製、出力190 kWの三相かご形誘導電動機とし、形式はMB-5102-Aとなる[56]。歯車装置も変更され、歯数比は97:16=6.06[56]となった。これらの変更に伴いM車は台車枠が新造され、台車形式もFS516Aへと変更されている。また主電動機の変更により床面の点検蓋が廃止された[46]

ブレーキ装置は電気指令式ブレーキに変更され[61]、クハ8250番台にはブレーキ読み替え装置が設置された[注 18][56]。車掌用の非常ブレーキスイッチも引き紐式から電気スイッチ式に変更されている。

これらに伴い運転台は大きく変更され、左手操作式ワンハンドルマスコンを備えるデスクタイプとなった[62][56]。モニタ表示器も計器盤に収められ[61]、装置の機能も追加されたが、TIOSは搭載していない[42]。これに加え、正面の遮光板がカーテンに変更されている[61]

このほか外観や客室などの変化として、スカートは海側の切欠きがなくなったほか、クハ8250番台(後の4両編成では8150番台)は二段電連に対応した開口の大きなものとされた。最初に施工された3編成では電気連結器の増設そのものは行われなかったが、後に実施されている。また運転士側のワイパーが黒色の電動式に変更、先頭車前面の表示器が連結時に消灯するように変更された。さらに設備面では優先席部の荷棚高さとつり革高さを低下させ、一般席部のつり革高さも僅かながら低下させた[59]。また先頭車への消火器設置、冷房装置の改良(室内ファン・冷風吹き出し口)[59]等がなされている。

以後も施工時期により以下のような改良が加えられている。

  • 乗務員室の仕切窓を小形化、車掌台の高さを拡大し道具箱を収納(8256×6 (2004.08) より)。
  • 電気連結器増設(8257×6 (2005.03) より)[42]。クハ8250番台(後の4両編成では8150番台)において、既存の96芯電気連結器の下に36芯電気連結器(子電連)が新設されている[24]。先に施工された3編成にも追って実施された[46]
  • 戸閉解除スイッチ設置、冷房吹き出し口の変更(8259×6 (2005.08) より)[63]
  • マスコンハンドルの形状変更・優先席へのスタンションポール設置(8253×6 (2005.11) より)[63]
  • 種別・行先表示器のフルカラー化(8252×6 (2006.03) より)[42]。当初は明朝体の表示であったが、2012年11月から12月にかけてゴシック体に変更された。
  • 空気圧縮機をマルチユニットタイプに変更(8266×6 (2007.03) より)[64]。6両編成はMBU1600T-1、4両編成はMBU1100T-1となる。
4000形の仕様を取り入れ

2007年8月竣工の8260×6からは内装において、スタンションポールの形状変更と増強、色分け(7人掛け座席部を2本に、優先席部を黄色に)[42]、出入口部の床面を凹凸のある黄色のものへ変更[65]、座席前に並ぶつり革のうち一部の高さを50 mm低くする[66] など、4000形の意匠を取り入れた仕様に変更された[67]。またD-ATS-Pを搭載し、運転台に表示灯が設置された。このほかマスコンをオートリターン式(手を離すとニュートラル位置に戻るもの[53])にするとともに、形状が変更されている。

  • さらに同年11月竣工の8264×6からは、優先席エリアの色分け・明確化(淡黄色の内装と青色の床材に変更)が行われたほか、主電動機も4000形と同様の全密閉式である三菱電機製のMB-5123-Aに変更[42]、これにより電動台車の形式もFS516Bに変更された。また車体側面の「OER」の切り抜き文字が撤去された[42]
4両編成への施工

2008年3月竣工の8051×4を皮切りに、2007年度から4両固定編成の更新も開始された[42]。基本的な施工内容は6両編成と変わらないが、以下のような違いがある。

  • ブレーキ読み替え装置を省略[42]。2008年のダイヤ改正以降は分割・併合が大幅に減少し、連結する編成を電気指令式ブレーキ使用車両に限定することが可能となるためである[42][68]
  • SIVに5000形の廃車発生品を流用[42]。形式はINV095-H1であり6両編成と異なるが、基本的な仕様・外観は同一である。

以後も以下のような変更が行われている。

  • 種別・行先表示器の表示書体を明朝体からゴシック体に変更(8051×4 (2008.03) より)[注 19]
  • つり革の増設(8057×4 (2008.11) より)。扉間の中央部枕木方向に3つ、1両あたり9つが増設された。
  • 車椅子スペース部の収納座席を廃止、また中間車の優先席位置を変更(8054×4 (2009.02) より)[69]。なおクハ8050・8550番台の車椅子スペース部には車椅子用のスロープ板を収納している[46]。また既存車も後に収納状態で固定された。
  • 改造銘板を「小田急車両」のアクリルプレートから「小田急車両工業」のステッカーへ変更(8052×4 (2010.08) より)。
  • 走行中に側面表示器が消灯する機能を追加(8058×4 (2011.08) より)。後に既存車にも実施。
LED室内灯の採用

2011年8月竣工の8063×4では川重車両テクノ製、翌年3月竣工の8066×4では東芝ライテック製のLED照明が、いずれもクハ8050番台のみ試験的に採用された[69]

2012年8月竣工の8055×4以降で本格採用され、同編成は川重車両テクノ製、以後に施工された4編成は東芝ライテック製となっている[69]

ハイブリッドSiCモジュールの採用

2013年度、最後に更新された8061×4・8059×4の2編成では新たな制御装置が試験的に採用された。三菱電機製の3レベルVVVFインバータで、IPMに代わりハイブリッドSiCモジュールを用いた[70]いわゆる「ハイブリッドSiC」となっている。従来のモジュールと比較してスイッチング素子はSi-IGBTで変わらないが、還流ダイオードがSiC-SBDに変更さてれている点が新しい。なお主回路システム自体は従来車からVVVFインバータのみ変更したものとしており、主電動機等は従来車と変わらない[70]。大幅な小型軽量化(装置の筐体寸法・重量がともに約40%減少)[70]、約15%の消費電力削減(低損失であることや高温動作特性により、力行電力量の減少と回生ブレーキ力が向上[注 20][70]が実現しており、この試験結果は2014年度よりリニューアルを開始している1000形に反映された[70]。なおこちらはスイッチング素子にもSiC-MOSFETを使用するいわゆる「フルSiC」とされた点が大きく異なる(なお現在両編成共に廃車されたため、この形態は消滅している)。

また、2012年度末で小田急車両工業の事業が小田急エンジニアリングへ引き継がれたことにより、本グループは小田急エンジニアリングにより改造が施工されており、銘板の表記も同様に変更されている。

各編成の施工時期

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編成 両数 竣工[71] 仕様変更・備考
8251×6 6両編成 2003.02 6両編成への施工を開始。
8255×6 2003.03
8254×6 2004.03 機器:VVVF化、ブレーキ変更、運転台変更、スカート・ワイパー変更。
内装:つり革・荷棚高さ変更。
8256×6 2004.08
8258×6 2004.11
8257×6 2005.03 機器:電気連結器増設(クハ8250・8150番台、後に既存のVVVF車も実施)。
8259×6 2005.08 機器:戸閉解除スイッチ設置。
8253×6 2005.11 機器:マスコンハンドルの形状変更。
内装:優先席へのスタンションポール設置。
8252×6 2006.03 機器:種別・行先表示器のフルカラー化。
8261×6 2006.08
8262×6 2006.11
8266×6 2007.03 機器:空気圧縮機マルチユニット化。
8260×6 2007.08 機器:D-ATS-P搭載。
内装:スタンションポールの形状変更・増強・色分け、扉付近床面黄色化、一部つり革高さ低下。
8264×6 2007.11 機器:主電動機全閉式化(MB-5123-A)、車体側面「OER」ロゴ撤去。
内装:優先席部内装材色分け。
8051×4 4両編成 2008.03 4両編成への施工を開始。
機器:種別・行先表示器の表示書体変更(後に既存のフルカラー車も実施)。
8263×6 6両編成 2008.08
8057×4 4両編成 2008.11
8054×4 2009.02 内装:収納座席廃止(後に既存車も固定)、優先席位置変更(既存車も実施)。
8064×4 2009.07
8056×4 2009.10
8265×6 6両編成 2010.02 6両編成への施工が完了。
8052×4 4両編成 2010.08 内装:改造銘板をステッカーに変更。
8053×4 2010.12
8058×4 2011.04
8063×4 2011.08 内装:クハ8063に川重車両テクノ製のLED室内灯を試用。
8065×4 2011.12
8066×4 2012.03 内装:クハ8066に東芝ライテック製のLED室内灯を試用。
8055×4 2012.08 内装:LED室内灯を本格採用(本編成のみ川重車両テクノ製、以後東芝ライテック製)。
8062×4 2012.11
8060×4 2013.03
8061×4 2013.10 小田急エンジニアリングによる施工へ変更。
機器:VVVFにハイブリッドSiCモジュールを採用。
8059×4 2014.02 4両編成への施工が完了、全32編成の工事が終了。本編成は銘板の改造年「2013」。

編成表

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6両編成・界磁チョッパ制御車

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[8][6]
号車 1 2 3 4 5 6
形式 クハ8050 デハ8000 デハ8000 デハ8000 デハ8000 クハ8050
車種 Tc2 M4 M3 M2 M1 Tc1
搭載機器 CP CON,PT MG or SIV,
PT
CON,PT MG or SIV CP
自重 当初 32.0 t 40.0 t 39.5 t 40.0 t 39.5 t 32.0 t
更新 32.0 t 40.0 t 38.2 t 40.0 t 38.2 t 32.0 t
定員
(座席)
144
(50/47)
162
(58)
162
(58)
162
(58)
162
(58)
144
(50/47)
車両番号 8551 8501 8401 8301 8201 8251
8555 8505 8405 8305 8205 8255

車両番号はVVVF化されなかった編成のみ記載[注 21]

6両編成・VVVFインバータ制御車

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[8][6]
← 小田原・藤沢・唐木田
新宿・片瀬江ノ島 →
号車 1 2 3 4 5 6
形式 クハ8050 デハ8000 サハ8050 デハ8000 デハ8000 クハ8050
車種 Tc2 M3 T M2 M1 Tc1
搭載機器 CP CON,PT SIV CON,PT SIV CP
自重 VF 31.2 t 39.8 t 33.3 t 40.3 t 39.3 t 31.7 t
全閉 31.2 t 40.0 t 33.3 t 40.5 t 39.5 t 31.7 t
定員
(座席)
144
(47)
162
(58)
162
(58)
162
(58)
162
(58)
144
(47)
車両番号
(旧車号)
8552


8554
 
8502


8504
 
8452
(8402)

8454
(8404)
8302


8304
 
8202


8204
 
8252


8254
 
8556


8566
 
8506


8516
 
8456
(8402)

8466
(8416)
8306


8316
 
8206


8216
 
8256


8266
 

4両編成

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[8][6]
← 小田原・藤沢・唐木田
新宿 →
号車 7 8 9 10
形式 クハ8050 デハ8000 デハ8000 クハ8050
車種 Tc2 M2 M1 Tc1
搭載機器 CP CON,PT SIV,PT SIV,CP
自重 当初 32.0 t 40.0 t 39.5 t 34.0 t
全閉 31.3 t 40.5 t 39.2 t 34.1 t
SiC 31.3 t 39.9 t 39.2 t 34.1 t
定員
(座席)
144
(50/47)
162
(58)
162
(58)
144
(50/47)
車両番号 8151

8166
8101

8116
8001

8016
8051

8066
凡例・注釈
  • 当初:製造当初(界磁チョッパ制御)
  • 更新:車体修理・界磁チョッパ制御車
  • VF:車体修理・VVVFインバータ制御車
  • 全閉:車体修理・VVVFインバータ制御車・全密閉式主電動機搭載
  • SiC:車体修理・VVVFインバータ制御車・SiC適用・全密閉式主電動機搭載

座席定員は(当初/更新)の表記とする。

各編成の詳細

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6両編成
編成 製造年/
製造所
区分
[46]
更新
[71]
主回路
機器
電動空気
圧縮機
表示器 廃車
[72]
その他・備考
8251×6 1982 東急 1次車 2003.02 界磁 RC1500 3色LED 2021.03 銘板の製造年表記は昭和58年
8252×6 1983 川重 2006.03 VVVF FC-LED  
8253×6 1983 川重 2005.11 3色LED 元イベントカー(オーキッド号)
8254×6 1983 日車 2004.03 2023.10  
8255×6 1983 日車 2次車 2003.03 界磁 2020.10
8256×6 1983 川重 2004.08 VVVF 2023.11
8257×6 1984 日車 3次車 2005.03 2024.11 元イベントカー(ポケット号)
8258×6 1984 川重 2004.11 クハ8558のみ前照灯LED
8259×6 1984 日車 4次車 2005.08 2022.11  
8260×6 1984 東急 2007.08 MBU1600 FC-LED
8261×6 1985 東急 2006.08 RC1500 2024.05 西武鉄道へ譲渡(2024年5月)
8262×6 1985 川重 2006.11 元イベントカー(オーキッド号)
8263×6 1985 川重 5次車 2008.08 VVVF
(全閉)
MBU1600  
8264×6 1986 日車 6次車 2007.11 2020.04 事故廃車(2019年6月、踏切事故)
8265×6 1986 日車 2010.02 室内灯LED(川)
8266×6 1987 東急 2007.03 VVVF
4両編成
編成 製造年/
製造所
区分
[46]
更新
[71]
主回路
機器
廃車
[73]
その他・備考
8051×4 1984 東急 3次車 2008.03 VVVF
(全閉)
 
8052×4 1984 東急 2010.08 2023.06 元イベントカー(ポケット号)
8053×4 1984 東急 2010.12  
8054×4 1984 川重 4次車 2009.02 2023.02 元イベントカー(オーキッド号)
8055×4 1984 川重 2012.08 2022.12 室内灯LED(川)・元イベントカー(オーキッド号)
8056×4 1985 日車 2009.10 2022.10  
8057×4 1985 日車 2008.11
8058×4 1985 日車 5次車 2011.04 クハ8058のみ前照灯LED
8059×4 1986 東急 2014.02 VVVF(SiC) 2024.10 室内灯LED(芝)
8059×4は銘板の改造年「2013」
8060×4 1986 川重 6次車 2013.03 VVVF(全閉) 2023.05
8061×4 1986 川重 2013.10 VVVF(SiC) 2023.12
8062×4 1986 川重 2012.11 VVVF
(全閉)
2023.01
8063×4 1986 川重 2011.08 クハ8063のみ室内灯LED(川)
8064×4 1987 東急 2009.07  
8065×4 1987 日車 7次車 2011.12 クヤ31連結対応・室内灯LED(川、クハ8066のみ芝)
8066×4 1987 日車 2012.03
  • 4両編成は全て電動空気圧縮機MBU1100、表示器FC-LED。

譲渡車

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西武鉄道(8000系)

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西武鉄道で「サステナ車両」として6両編成約40両を国分寺線に投入し、その第1編成が2024年度より運行を開始する予定であることが2023年9月26日に同社より発表された[74]。車体や経年の浅い機器類など、総じて状態が良好であることが評価された模様で[51]、具体的な導入数は6両編成7本の42両となることが2024年9月20日発売の鉄道ファン誌で明かされてる[51]

譲渡後の形式とデザインは最初の発表からちょうど1年後となる2024年9月26日に発表されており、この形式については小田急電鉄の「8000形」であることを踏まえたものとしている[75][76]。主な改造内容としては保安装置の変更のほか、車端部の座席数変更(4人掛けから3人掛けへ)、室内灯のLED化、広告枠サイズの変更などが明かされており、従来の車号表記や「OER」の文字、小田急の車籍銘板、また乗務員扉脇の握り棒(2段になっている箇所)を取り外す様子なども公開されている[77][78][79][80]。小田急車両の改造銘板は残される[81]

車両のうごきとしては、2024年5月19日から20日にかけて第1編成となる8261×6が小田急電鉄の新松田駅から西武鉄道の小手指車両基地まで甲種輸送されている[82][83][84]。その後6月30日終電後(7月1日の未明)に武蔵丘車両基地まで自力回送の上、同日日中に隣接する武蔵丘車両検修場へ入場した[85][86]。西武鉄道では同編成の甲種輸送や自力回送、また改造やデザイン検討時の様子を公式YouTubeに随時投稿しているほか、かわら版にもレポートを掲載している。

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 8000形登場時点での小田急の高性能通勤車両は、2200形・2220形2320形2400形・2600形・5000形・5200形・9000形。
  2. ^ 下降窓の特性として、窓の隙間から雨水が車体内部に入り込む
  3. ^ 列車の振動や、すれ違い時の風圧を受けた際などに発生する音のこと。
  4. ^ 「ハイスピードコントロール (High Speed Control) ・回生制動 (Regenerative brake) 付」の略である。
  5. ^ 「ハイスピードコントロール (High Speed Control) ・ダイナミックブレーキ (Dynamic Break) 付」の略である。
  6. ^ 制動装置の電気制動・空気制動の切り替えを行う箇所
  7. ^ それぞれ空圧による比較減算を行う方式であるため、空気演算方式と呼ばれる。
  8. ^ マンセル値はそれぞれ4.8Y 9.2/2.37.7R 5.6/17.73.7Y 8.4/14.62.4YR 3.1/4.9である[40]
  9. ^ 白とオレンジレッドに関してはイメージ元が現存していたが、僅かに異なる色が用いられている。
  10. ^ 1月24日は8252×6、1月25日は8265×6が運用された[48]
  11. ^ 2008年頃に車体修理工事を実施した8264×6・8051×4・8263×6・8057×4の4編成が該当(同工事の詳細は後述)。
  12. ^ 全ての側引戸で16枚、扉間の側窓で6枚、妻引戸で2枚。
  13. ^ 中間の付随車はVVVF車にのみ存在する
  14. ^ 機器の動作監視やサービス機器の制御を行う。
  15. ^ 車掌スイッチ付近の表示灯とブザーが一体になった箱
  16. ^ 従来よりある「戸閉」のほか「走行」「三扉」の表示が追加されている。
  17. ^ PGセンサとは速度検出器のこと。
  18. ^ 4両編成では設置されていない。
  19. ^ 後に既存のフルカラーLED車にも実施。
  20. ^ 回生率が従来の場合は28.6%だが、この方式では37.5%まで向上している。
  21. ^ これらの編成はいずれも車体修理車(補助電源SIV)。

出典

[編集]
  1. ^ PHP研究所「小田急電鉄のひみつ」34頁。
  2. ^ a b c d 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 pp.310-311
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n 『鉄道ピクトリアル』通巻414号 p.42
  4. ^ a b c レールアンドテック出版「鉄道車両と技術」No.98 8000形更新車諸元表 18頁(6両編成VVVF更新車)ならびに日本鉄道車両機械技術協会「R&m」2008年12月号 主要諸元49頁(4両編成VVVF更新車)
  5. ^ a b c d e 『私鉄の車両2 小田急』 p.174
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m 『鉄道ピクトリアル』通巻976号 小田急電鉄 現有車両主要諸元表
  7. ^ 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.310
  8. ^ a b c d 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.311
  9. ^ a b c d e 『私鉄の車両2 小田急』 p.175
  10. ^ 『鉄道ダイヤ情報』通巻145号 p.15
  11. ^ 『小田急電鉄の車両』 p.72
  12. ^ a b c d e 『鉄道ピクトリアル』通巻546号 p.186
  13. ^ a b c 『私鉄の車両2 小田急』 p.32
  14. ^ a b c d 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.249
  15. ^ a b c 『鉄道ピクトリアル』通巻679号 p.228
  16. ^ a b 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.109
  17. ^ a b 『日本の私鉄5 小田急』 p.44
  18. ^ a b c d e f g h i j 『鉄道ピクトリアル』通巻414号 p.41
  19. ^ 『私鉄の車両2 小田急』 p.144
  20. ^ a b c d 『私鉄の車両2 小田急』 p.33
  21. ^ a b c 『鉄道ピクトリアル』通巻414号 p.43
  22. ^ a b c とれいん 1983年3月号(通巻99号) 車輛の視点「小田急電鉄8000系新通勤車」 pp.10 - 15
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参考文献

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書籍

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  • 生方良雄諸河久『日本の私鉄5 小田急』保育社、1985年。ISBN 4586505303 
  • 小山育男、諸河久『私鉄の車両2 小田急』保育社、1985年。ISBN 4586532025 
  • 吉川文夫 編『小田急 車両と駅の60年』大正出版、1987年。0025-301310-4487。 
  • 生方良雄、諸河久『日本の私鉄1 小田急』保育社、1988年。ISBN 4586507683 
  • 大幡哲海『小田急電鉄の車両』JTBパブリッシング、2002年。ISBN 4533044697 

雑誌記事

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  • 生方良雄「千代田線直通用 小田急9000形新造車両の概要」『鉄道ピクトリアル アーカイブスセレクション』第2号、電気車研究会、2002年12月、101-104頁。 
  • 大沢偉二「新車ガイド2 省エネタイプのニュー通勤車 小田急8000形登場」『鉄道ファン』第263号、交友社、1983年3月、46-53頁。 
  • 船山貢「小田急8000形」『鉄道ピクトリアル』第414号、電気車研究会、1983年3月、41-46頁。 
  • 辻村功「電気車の駆動システム(2)」『鉄道ジャーナル』第245号、鉄道ジャーナル社、1987年4月、98-101頁。 
  • 「TOPIC PHOTOS」『鉄道ピクトリアル』第478号、電気車研究会、1987年4月、104-111頁。 
  • 刈田草一「小田急電鉄 列車運転の変遷」『鉄道ピクトリアル』第546号、1991年7月、145-156頁。 
  • 酒井明「車両総説」『鉄道ピクトリアル』第546号、電気車研究会、1991年7月、22-27頁。 
  • 大幡哲海「私鉄車両めぐり145 小田急電鉄」『鉄道ピクトリアル』第546号、電気車研究会、1991年7月、175-197頁。 
  • 高嶋修一「小田急電鉄 車両カタログ」『鉄道ピクトリアル』第679号、電気車研究会、1999年12月、173-188頁。 
  • 大幡哲海「私鉄車両めぐり164 小田急電鉄」『鉄道ピクトリアル』第679号、電気車研究会、1999年12月、201-243頁。 
  • 「CAR INFO 『小田急8000形がリニューアル』」『鉄道ファン』第505号、交友社、2003年5月。 
  • 「付録 『大手私鉄の車両ファイル2003』」『鉄道ファン』第509号、交友社、2003年9月。 
  • 「CAR INFO 『小田急電鉄の話題』」『鉄道ファン』第519号、交友社、2004年7月。 
  • 小田急電鉄(株)運転車両部車両担当「小田急電鉄 8000形車両のインバータ化改造工事」『鉄道車両と技術』第98号、レールアンドテック出版、17-24頁。 
  • 編集部「小田急車両オールガイド2007 (通勤車両篇)」『鉄道ダイヤ情報』、交通新聞社、2007年6月、30-32頁。 
  • 鈴木政智・亀井 進「小田急電鉄 8000形(4両編成)更新工事の概要」『ROLLINGSTOCK&MACHINERY』、日本鉄道車両機械技術協会、2008年12月、49-52頁。 
  • 山岸庸次郎「5000形、9000形の記録」『鉄道ピクトリアル』第829号、電気車研究会、2010年1月、109-117頁。 
  • 中山嘉彦「小田急車両 -音と色-」『鉄道ピクトリアル』第829号、電気車研究会、2010年1月、189-191頁。 
  • 杉田弘志「小田急電鉄 列車運転の変遷とその興味」『鉄道ピクトリアル』第829号、電気車研究会、2010年1月、204-219頁。 
  • 岸上明彦「小田急電鉄現有車両プロフィール」『鉄道ピクトリアル』第829号、電気車研究会、2010年1月、241-295頁。 
  • 岸上明彦「小田急電鉄 車歴表」『鉄道ピクトリアル』第829号、電気車研究会、2010年1月、300-309頁。 
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  • 「小田急通勤型電車大図鑑」『鉄道のテクノロジー』第12号、三栄書房、2011年10月、80-99頁、ISBN 9784779613494 
  • 「Railway Topics」『鉄道ジャーナル』第549号、鉄道ジャーナル社、2012年7月、146-151頁。「小田急の鉄道事業設備投資計画」 
  • 日本鉄道車両機械技術協会「ROLLINGSTOCK&MACHINERY」2014年5月号「小田急電鉄8000形SiC適用主回路システムの導入」
  • 橋本政明「小田急電鉄 現有車両プロフィール 2020」『鉄道ピクトリアル』第976号、電気車研究会、2020年8月、231-289頁。 
  • 岸上明彦「小田急電鉄 現有車両主要諸元表」『鉄道ピクトリアル』第976号、電気車研究会、2020年8月、290-305頁。 
  • 岸上明彦「小田急電鉄 現有車両車歴表」『鉄道ピクトリアル』第976号、電気車研究会、2020年8月、306-318頁。 

関連項目

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