視線誘導施設
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視線誘導施設(しせんゆうどうしせつ)とは、道路の側方や中央などに沿って、路端や道路線形などを明示し、昼夜間における車両運転者の視線誘導を行うために設置する施設の総称である。また積雪地帯では、除雪作業の目印としての役割も果たすものもある。
種類と概要
[編集]- 視線誘導標
→「視線誘導標」を参照
- 視線誘導樹
- 路側や中央分離帯に連続的に樹木を植えたものをいう。防砂林・防雪林などとしても効果を発揮し、また特に雪景色を背景にした場合(光る視線誘導標よりも黒く見える木のほうが)視認性が高いメリットもある[1]が、極寒地にあっては日陰をつくるなどして路面凍結をおこし、しばしば交通事故を誘発することがある。一部の地域では間伐材を植えているところもある。
LED発光式視線誘導標の固定式視線誘導柱
- 固定式視線誘導柱
- 積雪の多い地域で道路の路肩に立てた背の高い標識柱で、デリネーターを兼用しているものが多い(前述)。特に積雪の多い地方では片持式(オーバーハング式)のうち、逆L型の高い支柱に空中から矢羽根で路肩の位置を示している物が使われ、この場合、軽易なスノーポールと区別し、固定式視線誘導柱と呼称される場合がある[1]。矢羽根は時に既設の門型式(オーバーヘッド式)等標識柱の路肩上部に後から配置する事もある。北海道での設置が特に多く、固定式視線誘導柱が並ぶ光景は北海道の沿道風景の代名詞とされる事もある。
- 一般道用固定式視線誘導柱に使われる矢羽根の配色は主に赤白が多く用いられるが、時に黄色(蛍光黄色を含む)と黒・黄色(同)と濃紺色などに配色された物もある。矢羽根の形状は通常の矢印形以外にも風穴を空けた物・芋虫形状の矢羽根・台形形状(下端部を斜めに切ってある)などの事があり、また矢羽根に代えて、円形のデリネーター・「端末支柱」等の文字を入れた細長い標識板・他の道路標識と矢印を組み合わせた物などもある[1]。
- 矢羽根の中には夜間のみ発光する赤色・黄色・橙色・緑色などの高輝度LEDが使われる種類もあり、支柱1本ごとに独立した太陽電池パネルと蓄電池を持ち、発光用電力をまかなう。LEDの配置方法も多様で、矢羽根中央に一直線または破線状に配置された物・矢羽根全面または先端と同じ色の全体に配置された物・矢羽根の外縁に配置された物(矢羽根全体、または先端のみ)・LED発光体が矢羽根から独立した物などがある[1]。発光の点滅間隔は微弱無線により近隣の支柱と同期をとり、一斉に同じ点滅を行うことにより運転者が困惑しないよう配慮されている。
- 高速道路用では路肩側が緑色、中央分離帯側が黄色の燈火が多く、点滅のない常時点灯で、LEDのみならず電球式も多い。高速道路用は好天時には点灯せず、路面状況や視界不良に起因する速度規制が行われた場合に点灯することが多い。
- この固定式視線誘導柱は、道路管理者発注による除雪業者の除雪作業のための目印となるほか、運転者にとっても地吹雪や霧などで水平より下方の視界が効かない場合でも上方のスノーポールは辛うじて視認できることが多いため、視界不良時の道標として高い効果を発揮している。
- 線形誘導標
→「線形誘導標」を参照
- 車線分離標(ラバーポール)
→「ガイドポスト」を参照
- クッションドラム
- 車線数が変わる所、標識などの手前、待避所などと道路との境界などに安全保安用具として設置されることが多い。
- 形状は、樽型をした丸型と組み合わせて使われる角型がある。内部には、不凍液などを充填した水袋がクッションとして詰められており、衝突した場合の衝撃を和らげる効果がある。胴回りには、反射材などが使用されているのが一般的である。
- 道路鋲 (Raised pavement marker)
- センターラインなどの道路鋲(キャッツアイ (Cat's eye (road)) 、チャッターバーなど)、縁石鋲(「キャットアイマーカー」など)、交差点鋲など。再帰反射板やLED自発光板などを持つ。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 雪氷チーム (2007年10月). “寒地土木研究所月報No.653「吹雪視程障害を考慮した視線誘導施設について」”. PDF. 国立研究開発法人 土木研究所 寒地土木研究所. 2019年6月30日閲覧。