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金サッカ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
金炳淵から転送)
金 炳淵
生誕 1807年3月13日
京畿道楊州(推定)
死没 (1863-03-29) 1863年3月29日(56歳没)
全羅道和順同福
(埋葬地:江原道寧越郡金サッカ面(旧 下東面)臥石里)
配偶者 前妻(正室):長水黄氏、後妻(側室):慶州崔氏
子供 長男:翯均(兄 金炳河の許へ養子)、次男:翼均、三男(庶子):英圭
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金 サッカ
各種表記
ハングル 김삿갓
漢字 金笠
発音: キム・サッカッ(イプ、ニプ)
日本語読み: きん・さっかっ(りゅう)
ローマ字 Gim Satgat
マッキューン=ライシャワー式 Kim Sakkat
各種表記(本名)
ハングル 김병연
漢字 金炳淵
発音: キム・ビョンヨン
日本語読み: きん・へいえん
ローマ字 Gim Byeongyeon
マッキューン=ライシャワー式 Kim Pyŏngyŏn
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金 サッカ(きん さっか、キム・サッカ、1807年純祖7年) - 1863年哲宗14年))は、朝鮮後期諷刺放浪詩人である。

人物・来歴

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本名は金 炳淵(きん へいえん、; 김병연、キム・ビョンヨン(ピョンヨン))、本貫安東金氏であり、性深(せいしん; 성심、ソンシム)、蘭皐[1](らんこう; 난고、ナンゴ)である。漢字で「金笠」と書いて、訓読式に「キム・サッカッ」、あるいは漢字音で「キム・ニプ(김립)」「キム・イプ(김입)」などと呼ばれることもある[2]。日本では「金笠」と書き、発音の繁雑さを避けて「サッカ」と呼ばれるのが一般的である[2](本記事でも以下、「金笠(キムサッカ)」に統一する)。サッカ(삿갓)とは「編み笠」の意で、彼が編み笠をかぶって全国を放浪したことに因む俗称である[3]

韓国においては、当意即妙で機知に富み、風流で自由奔放、諧謔に富んだ人生と作品には非常に人気があり、近年、小説やTVドラマでも盛んに取り上げられている[4][5]

朝鮮全土を放浪して数多くの作品を作り庶民から親しまれたが、多くは口伝てであり、散逸しつつあった[6]

日本統治下1939年李応洙によって初めて「金笠詩集」(京城学芸社〈朝鮮文庫〉)が編纂された。日本においては、その「金笠詩集」を、当時、朝鮮を旅行中だった三好達治が読み、「漂泊詩人金笠に就て」という評論を1941年に雑誌『文學界』4月号から5回にわたって発表[7]したほか、佐藤春夫が、金素雲の韓国詩訳詩集『乳色の雲』に寄せた序文「朝鮮の詩人等を日本詩壇に迎へんとするの辭」で彼に触れている[8]

世俗のしがらみから飛び出して、放浪しながら奔放な詩を作ったという点で、日本の良寛山頭火に比せられる[9]

その他

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韓国の「この月の文化人物」に2002年9月に選ばれた。

彼の墓がある江原道寧越郡下東が、2009年10月20日に金サッカ面(ko:김삿갓면)に改称された。

出典・脚注

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  1. ^ 屈原の『楚辞』「離騒」の「步余馬於蘭皋兮,馳椒丘且焉止息(余が馬を蘭皐に歩ませ、椒丘に馳せてしばらく止息せん)」に基づく(崔碩義金笠キムサツカ詩選』「解説」の注2、351頁)。
  2. ^ a b 上掲『金笠詩選』、4頁。および崔碩義『放浪の天才詩人 金笠キム サッカ、19頁。
  3. ^ 上掲『放浪の天才詩人 金笠』、24頁
  4. ^ 上掲『放浪の天才詩人 金笠』、13頁。
  5. ^ 2001年韓国MBCのテレビドラマ商道にも主要人物ではないが登場する(参照:「金炳淵(キム・ピョンヨン)」、「商道 サンドの史実とドラマ」。
  6. ^ 上掲『金笠詩選』「三 金笠の研究について」、339-342頁
  7. ^ この評論は中絶しているが、それは1941年の早川の水害によって資料・ノート等を失ったからだということである(『三好達治全集』第七巻)。
  8. ^ 金素雲 『朝鮮詩集』 岩波書店岩波文庫〉赤72-1、1954年。ISBN 978-4-00-320721-5。(「解説」の225頁以下、この序の全文が収録されている)。
  9. ^ 上掲『放浪の天才詩人 金笠』、16-18頁。

参考文献

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  • 三好達治 著、川上徹太郎ほか 編『三好達治全集』 第七巻、筑摩書房、1965年。OCLC 672490694 
  • 崔碩義『放浪の天才詩人 金笠キム サッカ集英社集英社新書〉、2001年。ISBN 978-4-08-720082-9 
  • 崔碩義『金笠キムサツカ詩選』平凡社東洋文庫〉、2003年。ISBN 978-4-582-80714-1 

関連項目

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外部リンク

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また、以下のサイトが金サッカの漢詩作品の紹介・注解を行っている。