コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

鈴木夕湖

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
鈴木 夕湖
カーリング選手
Yumi Suzuki
基本情報
出生国 日本の旗 日本
出身地 北海道北見市(旧常呂町
生年月日 (1991-12-02) 1991年12月2日(32歳)
身長 145cm
チーム
所属 ロコ・ソラーレ
スキップ 藤澤五月
サード 吉田知那美
セカンド 鈴木夕湖
リード 吉田夕梨花
リザーブ 石崎琴美
パートナー 両角公佑
所属歴
2010–現在 ロコ・ソラーレ
オリンピック
4人制
出場大会
最高成績 22位 銀メダル (2022)
世界選手権
4人制
出場大会
最高成績 22位 銀メダル (2016)
パシフィックアジア選手権
4人制
出場大会
最高成績 11位 金メダル (2015)
日本選手権
4人制
優勝
獲得メダル
カーリング
大会 1 2 3
オリンピック 0 1 1
世界選手権 0 1 0
アジア大会 0 0 1
パンコンチネンタル 1 0 0
パシフィックアジア 1 2 1
日本選手権 4 5 4
日本MD選手権 0 1 0
2023年2月9日現在
テンプレートを表示

鈴木 夕湖(すずき ゆうみ、Yūmi Suzuki, 1991年12月2日 - )は、日本の女子カーリング選手。ロコ・ソラーレ所属。2018年平昌オリンピック銅メダリスト、2022年北京オリンピック銀メダリスト。愛称は「夕湖」。同じチームの藤澤五月は、父親が従兄弟同士のはとこにあたる。血液型O型。

人物

[編集]

北海道常呂郡常呂町(現・北見市)出身。「夕湖」という名前は母が妊娠中によく見に行っていたサロマ湖の夕陽に由来し、夕陽のようにきれいに育って欲しいという想いから名付けられた。

身長145cmの小柄な体形であり「カーリングちび部部長」を自ら名乗っている[1]

小学校2年生からカーリングを始め[2][3]、このころから同級生の吉田知那美と、その2歳年下の妹である夕梨花姉妹とは一緒にプレーしていた[4]。北見市立常呂中学校で吉田姉妹、小野寺佳歩らと共に「常呂中学校ROBINS」を結成する。中学時代の2006年(第23回大会)[5]と2007年(第24回大会)[6]には北海道代表として日本カーリング選手権大会に出場し2年連続で3位入賞を果たした[7]。カーリングのほか、中学の部活動ではバスケットボール部に所属していた。

化学エンジニアを目指し旭川工業高等専門学校物質化学工学科へ進学[8]。旭川高専ではバレーボール部に所属し、週末は北見へ戻りカーリングを続けた。同校の富樫巌教授に指導を受け、卒業研究のテーマは「クロカビと黒色酵母に対するラベンダー精油の防カビ効果」[9]

高専在学中の2010年7月、本橋麻里が地元・北見市を拠点に結成したロコ・ソラーレに創立メンバーとして参加[10]。同じチームの藤澤五月は父親が従兄弟同士のはとこ[11]。「この時マリちゃん(本橋)に誘われてなければ、カーリングを辞めていた」と後述している[12]

2012年3月に旭川高専を卒業し、同年4月に北見工業大学工学部バイオ環境化学科へ3年次編入学[13]。北見工大ではキノコの研究を行い、食品研究室に所属[14]。佐藤利次博士に指導を受け、「組み換えシイタケによるラッカーゼの発現とウルシ(Toxicodendron vernicifluum|Toxicodendron vernicifluum)からのラッカーゼ遺伝子の単離」[15]を共同執筆している。2014年3月に同大学を卒業[16][17]。学位は学士(工学)。

大学卒業後は網走信用金庫へ就職したが、業務と競技の両立に悩み、入社から半年での退職[12]を余儀なくされた[18]。郷里の図書館でのアルバイトを経て[3]、ロコ・ソラーレを支援していた北見市体育協会へ就職[19]。こうした競技続行への不安や失業を経ていることから、2018平昌五輪にて銅メダル獲得直後のインタビューでは「(五輪でのメダル獲得を)当初は全く想像してなかった。こんなこともあるんですね。」と回答した[20]

ロコ・ソラーレでは初年度に道内の大会で優勝を記録し、結成2年目(2011/12シーズン)の第29回日本カーリング選手権では準優勝[21]を果たしたが、結成から3年ほどは全国レベルの大会ではなかなか好成績を残せていなかった[22]。2014年に吉田知那美が加入、2015年に藤澤五月がチームに加入してからはセカンドのポジションで出場し、2015年パシフィックアジアカーリング選手権[23]、2016年第33回日本カーリング選手権大会と連続優勝を果たす[24]2016年世界女子カーリング選手権大会カナダスウィフトカレント)では決勝戦まで勝ち上がり、スイスとの決勝戦では最終第10エンドまで激しい攻防を繰り広げ敗戦を喫したが準優勝となった[25]

2017年9月、平昌オリンピック日本代表を賭けた中部電力カーリング部との最終5番勝負の決戦を3勝1敗で制し、ロコ・ソラーレをオリンピック出場に導いた[26]

2018年2月の平昌オリンピックでは、予選リーグを4位で突破した。鈴木は予選リーグ韓国戦の第8エンドで4秒間に19往復の「鬼スイープ」を発揮した。吉田知那美によると、鈴木と吉田夕梨花のコンビは国外の選手から畏敬をこめて「クレイジー・スイーパーズ」と呼ばれている[27][28]。準決勝は韓国との再戦となり延長戦の末敗れたが、イギリスとの3位決定戦を制しオリンピックで日本のカーリング史上初のメダルとなる銅メダルを獲得した[29]。なお、同大会中では試合中に戦術検討する際に発する「どれくらいだい?」や「そだねー」などの北海道方言での会話が話題となり、「そだねージャパン」の愛称で呼ばれた[30]

2018年3月19日に、北見工業大学よりカーリングの発展とオリンピックでの功績を評され「北見工業大学栄誉賞」を授与される[31]

プライベートではアメリカン・コッカー・スパニエルの愛犬「だいず」[11]を飼っている。好きな作家伊坂幸太郎で、サイン本を手にした際は大喜びしていたという[32]

2019年4月より、所属先が北見市体育協会から北見石油販売株式会社に変更となった。

2022年2月の北京オリンピックでは、決勝に進出するもイギリスに敗れ、前回平昌大会を上回る銀メダルを獲得した[33]

2023年1月のグランドスラム・カナディアンオープンで、アジアのチームとして史上初となるグランドスラム優勝を果たした[34]

2023年2月の日本選手権で優勝し、ロコ・ソラーレとして初の連覇を達成した[35]

チーム

[編集]

4人制女子

[編集]
シーズン フォース サード セカンド リード リザーブ 主な大会
2005–06 吉田知那美 中川ともな 小野寺佳歩 鈴木夕湖 小笠原茉由
2006–07 吉田知那美 小野寺佳歩 吉田夕梨花 鈴木夕湖
2007–08 吉田知那美 小野寺佳歩 吉田夕梨花 鈴木夕湖 小笠原茉由
2008–09 吉田知那美 吉田夕梨花 小野寺佳歩 鈴木夕湖 小笠原茉由
2009–10 吉田知那美 吉田夕梨花 小野寺佳歩 鈴木夕湖
2011–12 本橋麻里 馬渕恵 鈴木夕湖 江田茜 吉田夕梨花
2012–13 本橋麻里 吉田夕梨花 馬渕恵 鈴木夕湖
2013–14 本橋麻里 吉田夕梨花 鈴木夕湖 馬渕恵
2014–15 本橋麻里 吉田知那美 鈴木夕湖 吉田夕梨花 馬渕恵
2015–16 藤澤五月 吉田知那美 鈴木夕湖 吉田夕梨花 石崎琴美 PACC 2015
本橋麻里 WWCC 2016
2016–17 藤澤五月 吉田知那美 鈴木夕湖 吉田夕梨花 本橋麻里 PACC 2016
本橋麻里 吉田知那美 吉田夕梨花 鈴木夕湖 AWG 2017
2017–18 藤澤五月 吉田知那美 本橋麻里 吉田夕梨花 鈴木夕湖 PACC 2017
鈴木夕湖 本橋麻里 OG 2018
2018–19 藤澤五月 吉田知那美 鈴木夕湖 吉田夕梨花 石崎琴美 PACC 2018
JCC 2019
2019–20 藤澤五月 吉田知那美 鈴木夕湖 吉田夕梨花 TC 2019
2020–21 藤澤五月 吉田知那美 鈴木夕湖 吉田夕梨花 石崎琴美 JCC 2021
2021–22 藤澤五月 吉田知那美 鈴木夕湖 吉田夕梨花 石崎琴美 JOCT 2021, OQE 2021, OG 2022, JCC 2022
2022–23 藤澤五月 吉田知那美 鈴木夕湖 吉田夕梨花 石崎琴美 PCCC2022, JCC 2023
2023–24 藤澤五月 吉田知那美 鈴木夕湖 吉田夕梨花 石崎琴美 JCC 2024

ミックスダブルス

[編集]
シーズン 女性 男性 主な大会
2018–19 鈴木夕湖 平田洸介 JMDCC 2019
2019–20 鈴木夕湖 平田洸介 JMDCC 2020
2020–21 鈴木夕湖 両角公佑 JMDCC 2021

戦績

[編集]
獲得メダル
日本の旗 日本代表
オリンピック
銀メダル - 2位 2022 北京 4人制
銅メダル - 3位 2018 平昌 4人制
世界選手権
銀メダル - 2位 2016 スウィフトカレント 4人制
ワールドカップ
金メダル - 1位 2018 オマハ 4人制
パンコンチネンタル選手権
金メダル - 1位 2022 カルガリー 4人制
パシフィックアジア選手権
金メダル - 1位 2015 アルマトイ 4人制
銀メダル - 2位 2017 エリナ 4人制
銀メダル - 2位 2018 江陵 4人制
銅メダル - 3位 2016 義城郡 4人制
アジア冬季競技大会
銅メダル - 3位 2017 札幌 4人制
大会 05–06 06–07 07–08 08–09 09–10 10–11 11–12 12–13 13–14 14–15 15–16 16–17 17–18 18–19 19–20 20–21 21–22 22–23 23–24
4人制
冬季オリンピック 3 2
世界選手権 2 ×
ワールドカップ 第1節 4
第2節 1
第3節
最終節 4
パシフィックアジア選手権 1 3 2 2 ×
アジア冬季大会 3
日本選手権 3 3 5 6 3 2 4 3 2 1 2 2 1 2 1 1 4
北海道選手権 2 1 3 2 1 2 2 1 1
日本ジュニア選手権 3 2
ミックスダブルス
日本選手権 2 5T 5T

オリンピック

[編集]

世界選手権

[編集]

ワールドカップ

[編集]

パンコンチネンタル選手権

[編集]

パシフィックアジア選手権

[編集]

日本選手権

[編集]

ミックスダブルス

[編集]

ワールドカーリングツアー

[編集]

グランドスラム

[編集]

その他

[編集]

アジア冬季競技大会

[編集]

北海道選手権

[編集]
  • 第25回北海道カーリング選手権(2006年):22位 銀メダル(常呂中学校ROBINS)
  • 第26回北海道カーリング選手権(2007年):11位 金メダル(常呂中学校ROBINS)
  • 第27回北海道カーリング選手権(2008年):33位 銅メダル(常呂JJ)
  • 第28回北海道カーリング選手権(2009年):11位 金メダル(チーム常呂)
  • 第30回北海道カーリング選手権(2011年):11位 金メダル(LS北見
  • 第31回北海道カーリング選手権(2012年):22位 銀メダル(LS北見
  • 第32回北海道カーリング選手権(2013年):22位 銀メダル(LS北見
  • 第33回北海道カーリング選手権(2014年):11位 金メダル(LS北見
  • 第34回北海道カーリング選手権(2015年):11位 金メダル(LS北見

ジュニア

[編集]
  • 第17回日本ジュニアカーリング選手権(2008年):33位 銅メダル(常呂JJ)
  • 第19回日本ジュニアカーリング選手権(2010年):22位 銀メダル(チーム常呂)

脚注

[編集]
  1. ^ 沙羅ちゃんに続け! 五輪最小カーラーで“ちび部部長”・鈴木夕湖の逆襲が始まる ヤフーニュース 2018年2月19日
  2. ^ 恩師「小栗のおじさん」に届けたい メダルに挑むカーリング女子「LS北見」 産経ニュース 2018年2月24日
  3. ^ a b 「もぐもぐ」鈴木夕湖、亡き恩師とクリームソーダ ニッカンスポーツ 2018年2月28日
  4. ^ チームワークの原点 地元・北見に… NHKニュースウオッチ9ブログ 2018年2月27日
  5. ^ 第23回 日本カーリング選手権 公益社団法人日本カーリング協会 公式サイト
  6. ^ 第24回 日本カーリング選手権 公益社団法人日本カーリング協会 公式サイト
  7. ^ チーム「常呂中学校」全国3位 経済の伝書鳩 2007年2月27日
  8. ^ 鈴木夕湖 選手 世界女子カーリング選手権 準優勝おめでとう!! 旭川工業高等専門学校 2016年3月30日
  9. ^ 化学系学協会北海道支部冬季研究発表会講演要旨集(2012年1月31日)
  10. ^ チーム青森脱退の本橋麻里が新チーム結成を発表、北海道拠点に活動へ Excite News 2010年8月16日
  11. ^ a b カーリング女子、家族がメンバーの帰宅後の様子明かす デイリースポーツ 2018年2月28日
  12. ^ a b カー女子鈴木夕湖「マリちゃんに誘われてなければ」 ニッカンスポーツ
  13. ^ LS北見、鈴木選手は「理系女子」全力で続けた研究と練習、北海道新聞電子版、2018年2月19日
  14. ^ ホウドウキョク、2018年2月23日放送回
  15. ^ 平成25年度 公益社団法人日本農芸化学会 北海道支部講演会
  16. ^ 北見工業大学 大学からのお知らせ(2017年9月11日)
  17. ^ 北見工業大学広報誌「オホーツクスカイ」第26号
  18. ^ 小粒でピリリ、鈴木選手健闘 カーリング準決勝 日本経済新聞電子版
  19. ^ LS北見、出身地から五輪へ 選手の熱意に地元企業が熱いサポート(北海道新聞電子版、2018年1月29日)
  20. ^ セカンド鈴木夕湖「ありがとう!」に藤沢五月ら大爆笑 地元・北見に向けて全員で「帰りまーす!」一問一答 2018年2月25日 産経ニュース
  21. ^ 2012年のカーリング日本選手権女子で準優勝し、記念撮影するLS北見の創設メンバー。左から本橋麻里、江田茜、馬渕恵、吉田夕梨花、鈴木夕湖(江田茜さん提供) 時事通信社 2018年2月25日
  22. ^ 快挙支えた故郷・北見 本橋の挑戦 地元の夢 北海道新聞 2018年2月25日
  23. ^ LS北見が優勝 カーリングのパシフィック・アジア選手権 日本経済新聞 2015年11月14日
  24. ^ 女子はLS北見が初優勝 カーリング日本選手権 日本経済新聞 2016年2月13日
  25. ^ カーリング女子、金メダル逃す 強豪スイスに惜敗 日刊スポーツ 2016年3月28日付
  26. ^ カーリング女子、LS北見が初の五輪代表に 読売新聞 2017年9月10日
  27. ^ カーリング女子 世界が恐れる「ゴシゴシ」とは FNNニュース 2018年2月22日(2018年3月11日時点のアーカイブ
  28. ^ “カーリング女子。「リケジョ」の頭脳と世界が恐れる「スイープ力」で強敵・韓国と準決勝”. ホウドウキョク. (2018年2月23日). https://www.houdoukyoku.jp/posts/26602 2018年4月13日閲覧。 
  29. ^ 平昌五輪結果 日本カーリング協会
  30. ^ 「そだねー」流行語大賞候補第1号に浮上 芸能人も使用 スポーツニッポン 2018年2月23日
  31. ^ 鈴木夕湖選手(LS北見)に国立大学法人北見工業大学栄誉賞を授与しました
  32. ^ 悲願の銅メダル、カーリング女子たちの"お嫁さんにしたくなる"素顔とは 週プレNEWS 2018年2月25日 同年3月2日閲覧
  33. ^ カーリング女子で日本は史上初の「銀」、2大会連続メダル…イギリスに3-10で敗れる”. 読売新聞オンライン (2022年2月20日). 2022年2月20日閲覧。
  34. ^ Co-op Canadian Open – The Grand Slam of Curling 初優勝!応援ありがとうございました! - ロコ・ソラーレ” (2023年1月16日). 2023年2月9日閲覧。
  35. ^ ロコ・ソラーレ、初連覇で7年ぶり世界選手権出場! 藤沢五月「何よりずっとずっと出たかった」(スポーツ報知)”. Yahoo!ニュース. 2023年2月9日閲覧。

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]