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銀河宇宙オデッセイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

銀河宇宙オデッセイ(ぎんがうちゅうオデッセイ )(英題:A GALACTIC ODYSSEY)は、1990年NHK総合テレビの『NHKスペシャル』枠で放送された、天文現象を扱った科学番組である。第22回(1991年)星雲賞メディア部門を受賞した。

概要

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地球を出発した宇宙船「ヘリオス」が観測を続けるストーリーに沿って進められ、様々な天文現象に遭遇する。当時、第一線で活躍する天文学者が登場し、最新の成果を解説した。撮影にはNHK放送技術研究所が開発中だった高感度ハイビジョンカメラ(HARP)が投入され、数々の天文現象を記録した。この種の科学番組としては異例の豪華なセットや配役、ストーリー展開であった。また、随所に取り入れられたCGは当時の最高水準のもので、映像合成についても処理フロー内の映像品質劣化要因を洗い出して対処した結果、解像度減少や階調飛びが抑えられ、深遠なる宇宙の表現が可能になった[1][2][注釈 1]。以降、この番組に匹敵する額の予算の天文番組は制作されていない(時代を経るに連れてCG制作や動画編集のコストが大幅に安くなっているので、予算が抑えられる側面もある)。また、番組のソフト化については放送当時にレーザーディスクVHSが少数発売されただけで、再発売は行われていない。従って、21世紀に入ってから番組の視聴が困難になっている。全編に渡り流れるスムーズジャズBGMは当時ニューヨーク在住のジャズ・ギタリスト高内春彦(HARU)が制作した。NHKとしては銀河宇宙オデッセイの1年前に、「NHKスペシャル驚異の小宇宙 人体」」という番組でCGの本格活用を開始したばかりで、番組のデジタル制作のノウハウを蓄積する途上にあった[3]

番組構成

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  • 1990年6月30日:プロローグ 大星夜
  • 1990年7月1日:第1集 旅立ち・わが太陽系
  • 1990年7月8日:第2集 遭遇・超新星爆発
  • 1990年7月15日:第3集 接近・ブラックホール
  • 1990年9月9日:スペシャル 天才・ホーキングの宇宙
  • 1990年9月15日:第4集・交信・はるかなるET
  • 1990年9月16日:第5集 飛翔・超銀河団
  • 1990年11月11日:第6集 遡及・ビッグバン
  • 1990年11月18日:最終集 帰還・母なる宇宙
  • 1990年12月27日:総集編 第1部 旅・はるかなる時空
  • 1990年12月28日:総集編 第2部 夢・母なる宇宙

番組放送後の翌年1991年の1月2日に再放送として、第1集から第7集まで(スペシャルを除く)放送された。またVHSLDにて全巻およびBGV「天空の星碧」が販売されたが絶版となった。DVDBlu-ray Discでは再版されておらず、NHKオンデマンドでも提供されていない。そのため、視聴できるのはNHKアーカイブスの番組公開ライブラリー(第4集、総集編第1部、総集編第2部は視聴できない)に留まっている。

スタッフ

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  • 企画:高柳雄一
  • 音楽:HARU TAKAUCHI(高内春彦
  • ナレーター:山田誠浩
  • 進行:グレゴリー・ベンフォード(声:日下武史)
  • 声の出演:青二プロダクション
  • 特撮演出:豊田宏
  • 制作:伊藤道生、横須賀鎮夫、小野直路
  • 国際制作:RIAS-TV(現:DW-TVドイツ
  • 共同制作:NHKエンタープライズ
  • 企画・制作:NHK

ドラマパート

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  • 出演:リタ・ゾハール、ウィリアム・ヘイズ、キャスリン・マッキー、ステイシー・エリオット、フィッツ・ヒューストン、別所哲也、長山藍子(声)
  • 作:グレゴリー・ベンフォード
  • 脚本:ジョン・カーティス
  • 演出:田村文孝
  • 協力:ボス・フィルム

脚注

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注釈

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  1. ^ 宇宙のような神秘的な世界を表現する上で、各色8bitの映像処理に限界があったことが報告されている。

出典

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  1. ^ 山本直弘, 重永明義「NHKスペシャル「銀河宇宙オデッセイ」の映像技術」『テレビジョン学会誌』第45巻第8号、映像情報メディア学会、1991年、966-967頁、doi:10.3169/itej1978.45.966ISSN 0386-6831NAID 110003675132 
  2. ^ 重永明義, 山本直弘, 吉沢雄二, 鈴木彰「メイキングオヴ「銀河宇宙オデッセイ」 : 特殊撮影とディジタル合成」『テレビジョン学会技術報告』第15巻第23号、映像情報メディア学会、1991年、1-6頁、doi:10.11485/tvtr.15.23_1ISSN 0386-4227NAID 110003707044 
  3. ^ 伊藤博文「CG/アニメーションによる映像表現」『テレビジョン学会技術報告』第13巻第49号、映像情報メディア学会、1989年、9-12頁、doi:10.11485/tvtr.13.49_9ISSN 0386-4227NAID 110003684725 

関連項目

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外部リンク

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