長期増分費用方式
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長期増分費用方式(ちょうきぞうぶんひようほうしき)英: Long Run Incremental Costs とは、現時点で利用可能な最も効率的な技術で新規構築した設備の仮想供給原価に基づき料金を決定するものである。
先進国で基礎的電気通信役務の電話料金・公衆交換電話網のアクセスチャージ設定に用いられている。
長期増分費用方式の長所・短所
[編集]長期増分費用モデル研究会 [1]。において、総括原価方式と比較して、次のような長所、短所が指摘されている。
長所
[編集]短所
[編集]- 仮想設備原価が、実際原価と大幅に乖離した場合、事業者間の過大な利益・損失原因となる。
- 需要が減少した場合、利用者の料金上昇・事業者の投資回収不能が同時に起こる。
諸国の固定電話網における接続料算定方式
[編集]国 | PSTN接続料 | 料金規制の適用対象事業者 | ||
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算定方式 | 詳細 | IP-LRIC | ||
米国 | ビル&キープ方式へ移行予定 | |||
英国 | LRIC方式による上限規制 | pureLRIC | ○ | BT 他事業者にも同額を義務付け |
フランス | LRIC方式による上限規制 | pureLRIC | ○ | 全事業者 |
ドイツ | LRIC方式による認可制 | pureLRIC | ○ | DT 他事業者にも同額を義務付け |
韓国 | LRIC方式による認可制 | 平均費用方式 | × | KT |
日本 | LRIC方式による認可制 | 平均費用方式 | × | NTT東日本 NTT西日本 |
英国のIP-LRICモデルと日本のIP-LRICモデルの違い
[編集]国 | 加入者回線 | 中継伝送 | ルータの設置位置 | 音声とデータの共用 | PIOの位置 | |||||
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想定 | IP化位置 | 収容装置 | 階層 | 接続形態 | 設備 | 対象サービス | 設備 | |||
英国 | メタル回線 路上MASNで光化される場合あり |
収容局 路上の場合あり |
MASN 路上又は加入者局 |
4 BA SA AN CN |
ノード間を原則としてリングで接続 遠隔地のみ例外的に Point-to-Point接続 |
DWDM 装置としてはOTN多重化装置 |
BA 全国 40000 SA 1100 まではL2SWを配置 AN 106 CN 20 ルータ |
ブロードバンド 技術 サービスは指定せず 帯域のみ設定 |
伝送装置 伝送路等 コアルータは 音声とブロードバンドで別 |
IC接続を全国20 コアノードの設置局と一致 で提供 GC接続は提供しない IP-LRICモデルのIC接続料を PSTNのGC接続料に適用 |
日本 | メタル回線 路上のFRT等で光化される場合あり |
収容局 | 音声収容装置 ISDN 収容交換機 |
3 収容局 GC相当局 コア局 |
ノード間を原則としてリングで接続 | PTN | 収容局 約70000 コア局 約100 ルータ |
DSL 専用線等 |
伝送装置 伝送路 |
IC接続を全国約100 コアノードの設置局と一致 で提供 GC接続を GC相当局で提供 |
脚注
[編集]- ^ “長期増分費用モデル研究会 報告書 (案)”. 総務省 長期増分費用モデル研究会 (2017年6月27日). 2017年6月21日閲覧。