雪婆
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雪婆(ゆきんば[1]、ゆきばんば[2])とは、愛媛県北宇和郡吉田町(現・松野町)などに伝わる妖怪である[1]。
愛媛では「ゆきんば」といい、雪の降る時期に現れる一本足の老婆とされ、歩くと雪の上に一本足の足跡を残すという[1]。子供をさらうともいい、この時期には吉田町の人々は、子供を外出させないように注意を払っていた[3]。
明治時代の作といわれる妖怪絵巻『ばけもの絵巻』(作者不詳)では「雪姥」とされる。それによれば、かつて奥越の松の山なる地方で、2月頃にある者が雪の降る麦畑を歩いていると、自分を呼びとめる女の声が聞こえた。見ると、乱れ髪の一本足の雪姥が現れ、襲いかかろうとしてきた。彼は必死に逃げ、やがて雪が晴れるとともに雪姥は消えたという[4]。
また、山梨県西八代郡の旧上九一色村でも「ゆきばんば」といって、晩秋の曇った夕方に「しろつこ」という小さい羽虫が飛ぶと、雪婆が近くの山まで来ている兆しだといわれた[2]。
脚注
[編集]- ^ a b c 藤沢衛彦「スキーと雪と雪の怪」『旅と伝説』創刊号、三元社、1928年1月、41-42頁、NCID AN00139777、2014年8月30日閲覧。
- ^ a b 土橋里木「甲州 上九一色村の童謡・童戯」『旅と伝説』第7巻第10号(通巻82号)、1934年10月、84頁、NCID AN00139777、2014年8月30日閲覧。
- ^ 大藤時彦他 著、民俗学研究所 編『綜合日本民俗語彙』 第4巻、柳田國男監修、平凡社、1956年、1673頁。 NCID BN05729787。
- ^ 著者不詳 著「ばけもの絵巻」、湯本豪一 編『妖怪百物語絵巻』国書刊行会、2003年、98-99頁。ISBN 978-4-336-04547-8。