須川長之助
須川長之助（すかわ ちょうのすけ、1842年3月17日（天保13年2月6日）[1] - 1925年（大正14年）2月24日）は岩手県の農民で、植物学者カール・ヨハン・マキシモヴィッチの協力者。正教徒であり、ダニイルは聖名。
概略
[編集]ロシアの植物学者カール・ヨハン・マキシモヴィッチが滞日中の3年間その採集を助け、ロシア帰国後も、自ら採集した標本を二十数年間送り続けた[2]。マキシモヴィッチからはチョウノスキー（Tschonoski）と呼ばれ、シロバナエンレイソウ、イヌシデ、コメツツジなどの学名にその名が採用されている[2]。マキシモヴィッチ死去により調査費がなくなったため植物採集を辞めたが、その観察眼と知識、経験、技術は飛び抜けており、伊藤篤太郎も『植物学雑誌』に惜しむ声を載せた[2]。
略歴
[編集]- 1842年 - 陸中国紫波郡下松本村（現：岩手県紫波郡紫波町下松本字元次）に生まれる。
- 1860年 - 函館に移住。職を転々とする。
- 1861年 - カール・ヨハン・マキシモヴィッチの下で掃除夫兼風呂番として働くこととなる。これがきっかけとなり、マキシモヴィッチから信頼を得た須川は、その後日本全国を旅して、植物標本採集をマキシモヴィッチに代わり行った。
- 1864年 - マキシモヴィッチのロシア帰国。この後も須川はマキシモヴィッチからの依頼により、標本を送り続ける。
- 1877年 - 函館でアナトリイ神父から正教の洗礼を受け、聖名をダニイルとして正教徒となる。
- 1891年 - マキシモヴィッチの永眠。これ以降には植物標本の本格的な採集旅行に出掛ける事はなくなり、農業に専念。
- 1925年 - 永眠。死の直後に、日露文化交流に貢献した功績を顕彰するため、「須川長之助翁寿碑」が志和稲荷神社の社頭に建立され除幕される（紫波町城山公園にも碑が立てられている[3]）。
- 1978年 - 紫波町名誉町民。
脚注
[編集]出典・参考文献
[編集]- 著者：司祭パウエル及川信、図版と説明編集：司祭イオアン小野貞治『日本正教会の歴史 1日本の光照者亜使徒聖ニコライの歩み』（16頁、日本ハリストス正教会西日本主教区2008年8月28日初版発行）
- 須川長之助（1842 - 1925） - ウェイバックマシン（2004年9月18日アーカイブ分）
- 須川長之助採集の植物標本 岩手大学ミュージアム植物標本データベース作成委員会 最終更新 2005年3月25日
関連書籍
[編集]- 井上幸三『マクシモヴィッチと須川長之助 : 日露植物学会の交流史』（増訂版）岩手植物の会、1996年。 NCID BA30832764。全国書誌番号:98006551。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 死後80年経て岩手大学ミュージアムに 植物採集家の須川長之助コーナー新設
- 善人チョウノスキー - ウェイバックマシン（2001年4月10日アーカイブ分）
- 早池峰山 - ウェイバックマシン（2006年10月24日アーカイブ分）
- 須川長之助とマクシ－モヴィチ資料、その他
- 須田裕「須川長之助翁と岩手大学」、岩手大学情報メディアセンターミュージアム、2008年6月。
- 銀河系いわて情報スクエアメールマガジン
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