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おとがい

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
顎 (ヒト)から転送)
オトガイ
頸部前面
概要
動脈 下歯槽動脈
神経 オトガイ神経
表記・識別
ラテン語 mentum
MeSH D002680
ドーランド
/エルゼビア
c_27/12232781
TA A01.1.00.011
FMA 46495
解剖学用語

おとがい: chin)は、ヒト下あごまたは下あごの先端をさす語である。オトガイチンとも。

概要

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おとがいは皮膚筋肉などからなる分厚い構造体である(#構造)。おとがいには10種近い筋肉が起始・停止している(#筋肉)。形状には大きな個人差があり割れ顎など特徴的なものには俗称がつけられている(#形状)。

おとがいは分野によって異なる名称で呼ばれる場合があり、一般社会では「あご」がおとがいを指すこともある(#呼称と誤用)。

おとがいの機能はいまだ明確でない(#機能)。ヒトの進化においてオトガイは分岐学上の派生的形質のひとつであり、現生人類古生人類から分ける解剖学的な定義のひとつとなっている。

構造

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おとがいはオトガイ唇溝おとがいしんこう: mentolabial sulcus頤唇溝とも)を上方の境界とし[1]、上方は口唇と、後方はと連続する。

おとがいは皮膚筋肉神経血管などからなる分厚い構造体である。

おとがいの骨は下顎骨であり、下顎骨下顎底の正中領域がおとがいに含まれる。この領域にはオトガイ隆起オトガイ結節が存在し[2]、おとがいの形状に大きな影響を与えている。

おとがいはオトガイ神経に支配される[3]。またオトガイ神経は外側のオトガイ孔を通っている。

機能

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おとがいの機能は明確でない。10種近い筋肉が起始・停止している一方で、咬合には関与していない[4]

オトガイは音声に関連する口唇の微妙な動きを可能にする筋群が付着する部位として発達してきた。[独自研究?]

筋肉

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オトガイに起始・停止するとして以下が挙げられる[5]

形状

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おとがいの形状には大きな個人差があり、また病理的な指標にもなっている。

おとがいが二つに割れているように見えるものは割れ顎と呼ばれ、しばしば尻顎(けつあご)とも蔑称される。

また、おとがいの周囲の皮膚がたるんで顎が二重になったように見えるものは二重顎(にじゅうあご)とも呼ばれ、英語表記の「Double chin」が「デブ」の語源になったという説もあるなど[6]して、一般的には肥満の典型的な様態であるとされるが、二重顎は必ずしも肥満だけが原因ではなく、猫背や姿勢の悪さに起因するおとがい周囲の浮腫[7]、極端な場合突顎の顔貌に発展する事もあるアデノイド顔貌が原因である[8]ともされており、体が痩せている人物でも二重顎となる場合はある。

美人の形容として、「おとがい細く」のような使い方がある。

呼称と誤用

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おとがいは下顎骨の先端部をさす[注 1]。おとがいは顎そのものを意味する「jaw(ジョー)」とは区別される。しかしボクシングプロレスなどの格闘技では、攻撃の標的としての顎がしばしば頤と混同される事があり、プロレス技の顎砕き(チンクラッシャー)や、石原裕次郎の『嵐を呼ぶ男』の主題歌歌詞(ボディブローアッパーカットを形容した箇所)にもこうした英語表現がみられる。

脚注

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注釈

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  1. ^ 漢語の「」(日本語の「」)は、文章語として「」(下あごの先端(おとがい、chin)あるいは両脇(えら、jowl))または(「」(あご全体、jaw(「」に同じ))を指し、転じて現代では専ら「瞼頬」(ほほ、cheak)を指す。なお音符の「𦣞」(あるいは異体の「𦣝」)は、「」の(本字(古字))であり、『説文解字』では下あごの象形文字とされている。また左に縦棒を添えた「」も異体同字。

出典

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  1. ^ "口唇は ... 口裂と下顎先端との中間位にあたる頤唇溝を下側の境界として皮膚と連続している。" p.1 より引用。五味. (2020). “赤唇部の加齢変化に関する組織学的研究”. 東京工科大学博士論文. NAID 500001441963.
  2. ^ "下顎底の中央部は前方に突出し(オトガイ隆起 mental protuberance), ... オトガイ隆起のすぐ外側には,左右のオトガイ結節 mental tubercle が少し張り出している。" Drake 2011, p. 814 より引用。
  3. ^ "オトガイ神経 mental nerve は,オトガイ孔から出て多数の小枝に分かれたあと,下唇の皮膚と粘膜およびオトガイの皮膚に分布する" Drake 2011, p. 867 より引用。
  4. ^ "オトガイ部は咬合とは無関係な部位である" p.51 より引用。長坂. (2009). イブニングセミナー・テーマ 顎変形症治療におけるオトガイ形成術の位置付け. 日本顎変形症学会雑誌 Volume 19 Issue 2 Pages 51-59.
  5. ^ "オトガイ部には,唇側面にオトガイ筋,口輪筋,下唇下制筋,口角下制筋,広頚筋,舌側面にオト ガイ舌筋,オトガイ舌骨筋,顎二腹筋前腹,顎舌骨筋が付着している。" p.54 より引用。川村. (2009). Broad soft tissue pedicle genioplasty と 人工材料の応用法について. 日本顎変形症学会雑誌 Volume 19 Issue 2 Pages 51-59.
  6. ^ 「でぶちん」は英語だった!? | <高麗川駅前徒歩1分> 学校では教えてくれない英会話 Nexus English - アメーバブログ
  7. ^ 若い女性に急増の“スマホ二重あご” 解消&予防の顔トレ指南 (1/3) -ダイエットポストセブン
  8. ^ 顎がない「アデノイド顔貌」の治療法!歯科矯正で治る? - 歯医者の選び方

参考文献

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  • Drake, Richard (2011). グレイ解剖学 (原著第2版 ed.). エルゼビア・ジャパン. ISBN 978-4860347734 

関連項目

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