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風雲 (気象衛星)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

風雲 (Fēngyún 略:FY) は、中国気象局(CMA)と中国国家リモートセンシングセンター(NRSCC)が運用する中華人民共和国気象衛星極軌道衛星であるFY-1/3シリーズと、静止衛星のFY-2/4シリーズの二種類の衛星で構成されている。 1988年より現在[1]まで極軌道衛星9機、静止衛星10機が打ち上げられており、今後は2033年までにFY-3を7機、FY-2の後継となるFY-4を5機を打ち上げる計画となっている。

風雲1号(FY-1)

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風雲1号(FY-1)シリーズは、中国の極軌道気象衛星である。1988年から2002年にかけて4機の衛星が打ち上げられ、2012年まで運用された。極軌道気象衛星シリーズは後継の風雲3号へ移行した。衛星の開発は中国国家航天局が担当し、ミッション要件定義、地上システムの開発、衛星運用は中国気象局が行った。衛星は3軸安定方式で設計寿命は2年である。

観測機器

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  • マルチチャンネル可視赤外放射計(MVISR, Multichannel Visible Infrared Scanning Radiometer)
  • 宇宙環境モニタ(SEM, Space Environment Monitor)
風雲1号(FY-1)衛星リスト
打ち上げ年月日 略称 軌道 運用状態
1988年9月6日 FY-1A SSO 運用終了(1988-10-16)
1990年9月3日 FY-1B SSO 運用終了(1991-08-05)
1999年5月10日 FY-1C SSO 運用終了(2004-04-26)、2007年1月11日、人工衛星破壊実験の標的として破壊
2002年5月15日 FY-1D SSO 運用終了(2012-04-01)

人工衛星破壊実験による風雲1号Cの破壊

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破壊された風雲1号Cによる主なスペースデブリの軌道(赤線)。白線は国際宇宙ステーションの軌道。

風雲1号C (FY-1C) は風雲1号シリーズの3号機で、1999年5月10日長征4B型により極軌道の高度870kmに投入された。分解能1.1kmの多波長イメージャーを搭載した気象衛星で、打ち上げ時の重量は約960kg、設計寿命は2年とされている(公表値)。

2007年1月11日弾道ミサイルによる人工衛星破壊実験の標的となり、観測可能なものだけで2,841個以上という、大量のスペースデブリを発生させた。これによって生じたデブリは軌道高度約800kmと高いため、大気圏への突入に時間がかかることからISSや他の衛星への接近など大きな脅威になっている。2013年1月22日に破片がロシアの小型衛星BLITSに衝突し、使用不能になっていると見られる事が同年3月8日に発表されたが、後にこれは風雲1号Cとは無関係の破片であることが分かった。

風雲2号(FY-2)

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風雲2号
FY-2
所属 中国気象局
中華人民共和国の旗 中国
設計寿命 3年
打上げ機 長征3号
長征3号A
同型機
製造数 9機
打ち上げ数 8機
運用中 2機
退役済み数 6機
初打ち上げ 1997年6月10日
最終打ち上げ 2018年6月5日
物理的特長
発生電力 280 W
300 W
姿勢制御方式 スピン安定方式
軌道要素
周回対象 地球
軌道 静止軌道
搭載機器
DCS データ収集サービス
S-VISSR 可視赤外回転走査放射計
SEM 宇宙環境モニタ
SXM 太陽X線モニタ
テンプレートを表示

風雲2号(FY-2)シリーズは、中国の静止気象衛星である。2024年6月現在、FY-2G/Hの2機が軌道上で運用されている。 衛星はGMSやGOES(初期型)などと同じスピン安定方式であり、直径は2.10m、高さ1.60mの円筒形である。重量は1380kg(打ち上げ時、3号機以降)、スピンレートは100±1rpmで、撮影はスピン・スキャン方式が採用されている。 1994年に1号機(FY-2)が打ち上げ試験中に発射台で破壊され、2号機であるFY-2Aが1997年に打ち上げられた。これまでに8機が打ち上げられた。

観測機器

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  • データ収集サービス(DCS, Data Collection Service)
  • 可視赤外回転走査放射計(S-VISSR, Stretched Visible and Infrared Spin Scan Radiometer)
  • 宇宙環境モニタ(SEM, Space Environment Monitor)
  • 太陽X線モニタ(SXM, Solar X-ray monitor) - FY-2F以降に搭載
風雲2号(FY-2)衛星リスト[2]
打ち上げ年月日 略称 軌道 運用状態
N/A FY-2 1994年4月2日、射点で燃料充填中に爆発して破壊
1997年6月1日 FY-2A GEO 105°E 運用終了(1998-04-08)
2000年6月25日 FY-2B GEO 105°E 運用終了(2004-09-01)
2004年10月19日 FY-2C GEO 105°E 運用終了(2009-11-23)
2006年12月8日 FY-2D GEO 80.6°E 運用終了(2015-06-30)
2008年12月23日 FY-2E GEO 105°E 運用終了(2018-12-31)
2012年1月13日 FY-2F GEO 112°E 運用終了(2022-04-01)
2014年12月31日 FY-2G GEO 86.5°E 運用中[3]
2018年6月5日 FY-2H GEO 86.5°E 運用中

風雲3号(FY-3)

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風雲3号(FY-3)シリーズは、風雲1号の後継となる極軌道気象衛星である。2021年7月現在、3機(FY-3B/C/D)が運用中で、2025年までに更に4機が打ち上げられる予定である。衛星は3軸安定方式で設計寿命は5年(FY-3A/Bのみ2年)である。

風雲3号(FY-3)衛星リスト[4]
打ち上げ年月日 略称 軌道 運用状態
2008年5月27日 FY-3A SSO 運用終了
2010年11月4日 FY-3B SSO 運用中
2013年9月22日 FY-3C SSO 運用中
2017年11月14日 FY-3D SSO 運用中
2021年7月4日 FY-3E SSO 試験運用中
2023年(予定) FY-3F SSO 計画中
2023年(予定) FY-3G 未定 計画中
2024年(予定) FY-3H SSO 計画中
2025年(予定) FY-3I SSO 計画中
2025年(予定) FY-3J 未定 計画中

風雲3号 降雨観測衛星(FY-3G/J)

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風雲3号 降雨観測衛星(FY-3G/J)は、計画中の極軌道気象衛星である。旧名はFY-3RM-1/2。全球降水観測計画主衛星と同様のKu/Kaバンド降水レーダーを搭載し、低緯度熱帯地域の多頻度観測を行う。2023年および2025年の打ち上げが計画されている。衛星は3軸安定方式で設計寿命は3年である。

風雲3号 降雨観測衛星 衛星リスト
打ち上げ年月日 略称 軌道 運用状態
2023年(予定) FY-3G 未定 計画中
2025年(予定) FY-3J 未定 計画中

風雲4号(FY-4)

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風雲4号(FY-4)シリーズは、風雲2号の後継となる静止気象衛星である。2025年から2033年にかけて5機の打ち上げが計画されている。衛星は3軸安定方式で設計寿命は7年(FY-4Aは5年)。

風雲4号(FY-4)衛星リスト[5]
打ち上げ年月日 略称 軌道 運用状態
2016年12月10日 FY-4A GEO 運用中
2021年6月2日 FY-4B GEO 試験運用中
2025年(予定) FY-4C GEO 計画中
2026年(予定) FY-4D GEO 計画中
2027年(予定) FY-4E GEO 計画中
2030年(予定) FY-4F GEO 計画中
2033年(予定) FY-4G GEO 計画中

脚注

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  1. ^ 2021年7月現在。
  2. ^ WMO OSCAR  |  Details for Satellite Programme: FY-2”. space.oscar.wmo.int. 2021年7月20日閲覧。
  3. ^ “長征三号甲ロケット、気象衛星「風雲二号08星」の打ち上げに成功”. Sorae.jp. (2014年12月31日). https://sorae.info/030201/5405.html 2015年1月4日閲覧。 
  4. ^ WMO OSCAR  |  Details for Satellite Programme: FY-3”. space.oscar.wmo.int. 2021年7月20日閲覧。
  5. ^ WMO OSCAR  |  Details for Satellite Programme: FY-4”. space.oscar.wmo.int. 2021年7月20日閲覧。

外部リンク

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関連項目

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